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JP5900852B2 - 鉄含有複合リン酸フッ化物、その製造方法、及びそれを正極活物質として用いた二次電池 - Google Patents
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JP5900852B2 - 鉄含有複合リン酸フッ化物、その製造方法、及びそれを正極活物質として用いた二次電池 - Google Patents

鉄含有複合リン酸フッ化物、その製造方法、及びそれを正極活物質として用いた二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、二次電池の電極活物質に関し、特に鉄含有複合リン酸フッ化物、その製造方法、及びそれを正極活物質として用いた二次電池に関する。
リチウム等のアルカリ金属、マグネシウム等のアルカリ土類金属、これらの合金、又は、これらの化合物等を負極活物質とする非水電解質二次電池は、正極活物質からの負極金属イオンの脱離(デインターカレーション)反応、又は、正極活物質への負極金属イオンの挿入(インターカレーション)反応によって、その大放電容量と充電可逆性とが確保されている。従来、リチウムを負極活物質として用いる二次電池として、リチウムに対してインターカレーションホストとなり得るLiCoO、及びLiNiO等の層状岩塩型(α-NaFeO型)酸化物、又はLiMn等スピネル型酸化物に代表されるトンネル状酸化物を正極材料として用いた二次電池が提案されていた。しかし、これらの酸化物は、中心の遷移金属の3価/4価間の酸化還元反応を利用して対Liの放電電圧が4Vの起電をしており、充電時に、遷移金属が化学的に不安定な4価状態になってしまうため、熱安定性が著しく低下するという問題があった。
この問題を解決するために、3価/4価間の酸化還元反応の代わりに2価/3価間の酸化還元反応を用い、酸素をリン(P)と強固に共有結合させることで熱安定性を改善した系としてオリビン型LiCoPO又はLiFePO等のリン酸塩化合物が、正極活物質として提案されている(例えば、下記特許文献1、2及び下記非特許文献1参照)。このリン酸オリビン系の正極は、従来のLiCoO等の酸化物系の正極よりも、熱安定性が改善されるという特徴を有する。特に、LiFePOは最も安定した容量が実現されている。しかし、LiFePOは、作動電圧が3.3Vと低く、二次電池の高エネルギー密度化には不十分な特性であった(例えば、下記非特許文献1参照)。これを改善するために、さらにリン酸オリビン系正極の反応電子数を1以上に拡大することによって、放電電圧の増加によるエネルギー密度の改善をはかるべく、リン酸ポリアニオンPOの酸素の一部を酸素より電気陰性度の大きなフッ素Fで置換した、一般式LiMPOF(式中、Mは遷移金属を表し、xは0≦x≦2を満たす)で表される正極活物質が提案されている(例えば、下記特許文献3、4及び下記非特許文献2参照)。
しかし、LiMPOFは、フッ素成分及びリチウム成分の揮発性のために、通常の製造方法である固相焼成法によって量産することが難しいという問題がある。この問題を解決するために、LiFとオリビン型リン酸塩LiMPOとの直接反応の代わりに、より反応性が高いNaFとNaMPOとを固相反応させることでNaMPOFの単相を合成し、これをLiと、電気化学的又は化学的にイオン交換する単相合成法が提案されている(例えば、下記特許文献5参照)。
LiMPOFの結晶構造に関しては、Mイオンのイオン半径の違い、NaイオンとLiイオンとのイオン半径の差、及び合成プロセスの選択により以下のものが報告されている。
・LiNiPOF型構造(図1参照)
・タボライト(Tavorite)型構造(図2参照)
MがNi又はCoのものは、LiNiPOF型構造である(例えば、下記非特許文献2、3及び4参照)。MがFeのものに関しては、LiFePOFにLiイオンを挿入することによりタボライト型構造のものが報告されている(例えば、下記非特許文献5及び6参照)。
特許第3484003号明細書 特許第3523397号明細書 特許第3624205号明細書 特開2007−73360号公報 特開2010−260761号公報
岡田,荒井,山木,電気化学および工業物理化学, 65, No.10, p.802 (1997). S. Okada et al., J. Power Sources, 146, p.565 (2005). J. M. Montel et al., J. Solid State Chemistry, 142, p.1 (1999). S. Okada et al., J. Electrochemical Soc., 157, p.A748 (2010). J. M. Tarascon et al., Chemistry Mater., 22, p.1142 (2010). L. F. Nazaret al., Electrochemical and Solid-State Letters, 13, p.A43 (2010).
上記したLiMPOFのうち、特にMがFe系の材料は、資源的に豊富であり、環境への負荷が小さいことが想定されるため、実用化への期待が大きい。しかし、タボライト型構造のLiFePOFは、理論容量が145mAh/g(実際には、これ以下の値しか実現できていない)と、1電子反応の材料であり、それ以上の大きな容量を得ることができない問題がある。よって依然として、Fe系の材料であり、多電子反応が可能であり、二次電池の電極活物質として使用された場合に、より高容量特を示す材料が期待されている。
したがって、本発明は、多電子反応が可能なFe系の材料であり、二次電池の電極活物質として使用された場合に従来よりも高容量特を示す新規な材料、その製造方法、及びそれを正極活物質として用いた非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
上記の目的は、下記によって達成することができる。
即ち、本発明に係る鉄含有複合リン酸フッ化物は、一般式LiNaFePOF(0≦x<2、0<y<2、0<x+y≦2)で表される。
好ましくは、鉄含有複合リン酸フッ化物は、複数のFeOが稜を共有する八面体の列を形成し、且つ近接する4本の八面体の列によって形成されるトンネル内にLiが位置するLiNiPOF型構造を有する。
本発明に係る鉄含有複合リン酸フッ化物の製造方法は、上記の鉄含有複合リン酸フッ化物の製造方法であって、Li、Na、Fe、PO、及びFのモル比が、x:y:1:1:1(0≦x<2、0<y<2、0<x+y≦2)となるように、Li源物質、Na源物質、Fe源物質、PO源物質、及びF源物質を混合して混合物を生成する第1ステップと、混合物に化学反応を起こさせる第2ステップとを含む。
好ましくは、第2ステップは、大気よりも還元性の雰囲気で行なわれる。
より好ましくは、第2ステップは、窒素若しくはアルゴンの気流中、又は、還元剤が配置された大気中で行なわれる。
さらに好ましくは、第2ステップにおいて、混合物が溶解しない所定温度まで混合物を加熱することにより化学反応を起こさせる。
好ましくは、鉄含有複合リン酸フッ化物の製造方法は、Li源物質、Fe源物質、及びPO源物質としてLiFePOを使用し、Na源物質及びF源物質としてNaFを使用する。
より好ましくは、鉄含有複合リン酸フッ化物の製造方法は、Li源物質及びF源物質として、LiFをさらに使用する。
さらに好ましくは、鉄含有複合リン酸フッ化物の製造方法は、第2ステップにおいて化学反応を起こした混合物と、リチウム塩とを有機溶剤に投入した後、撹拌する第3ステップをさらに含む。
好ましくは、リチウム塩は臭化リチウムである。
本発明に係る二次電池は、上記の鉄含有複合リン酸フッ化物を正極活物質として含む。
好ましくは、二次電池は、リチウム又はナトリウムを負極活物質として含む。
本発明によれば、一般式LiNaFePOF(0≦x<2、0<y<2、0<x+y≦2)で表される鉄含有複合リン酸フッ化物を二次電池の正極活物質として使用することによって、LiFePO等のオリビン型リン酸系ポリアニオンを用いた従来の正極よりも、容量が大きい二次電池を実現することができる。
また、本鉄含有複合リン酸フッ化物を正極材料として用いる場合、負極はLiに限らず、Naを用いることができる。したがって、従来よりも高容量のリチウム電池及びナトリウム電池を実現することができる。
また、本鉄含有複合リン酸フッ化物は、通常の固相焼成法によって製造することができる。即ち、Li源物質、Na源物質、Fe源物質、PO源物質、及びF源物質を混合し、加熱する等によって化学反応を起こさせて製造することができる。このように、本鉄含有複合リン酸フッ化物の製造方法は簡単であり、量産化に適する。
また、本鉄含有複合リン酸フッ化物は、資源的に豊富なFe系の材料であり、環境への負荷が小さい。
従来のLiMPOFの結晶構造の例としてLiNiPOF型構造を示す斜視図である。 従来のタボライト型結晶構造のLiFePOFを示す斜視図である。 本発明の実施の形態に係るLiNaFePOFの結晶構造図を示す斜視図である。 実施例1で得られた試料のX線回折パターンを示すグラフである。 実施例1で得られた試料を用いたコイン型ナトリウム電池の充放電曲線を示すグラフである。 実施例3で得られた試料を用いたコイン型リチウム電池の充放電曲線を示すグラフである。 実施例7(評価試験)において作製したコイン型電池の概略構造を示す断面図である。
以下の実施の形態では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの名称及び機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
(非水電解質二次電池用電極活物質)
本発明の実施の形態に係る二次電池用電極活物質は、一般式LiNaFePOFで表される鉄含有複合リン酸フッ化物である。ここで、xは0≦x<2の範囲内の任意の値であり、yは0<y<2の範囲内の任意の値である。但し、0<x+y≦2の制約がある。
図3に示すように、本鉄含有複合リン酸フッ化物LiNaFePOF(0≦x<2、0<y<2、0<x+y≦2)の基本骨格は、PO四面体ポリアニオンとMO八面体とで構成される。PO四面体の3つの頂点のO(酸素)はMO八面体(ここでMはFe)と共有されている。隣接するMO八面体は、八面体の中央の正方形を形成する稜を共有し、b軸方向に1次元的に配列している(以下、この1次元配列を「MO八面体列」という)。Liは、MO八面体列のトンネル内、即ち、近接する4本のMO八面体列によって取囲まれて形成される空間内に、b軸方向(MO八面体列の方向)に1次元的に配置されている。したがって、Liの拡散性が期待できる。後述するように、二次電池の正極活物質として使用可能な化合物であるLiNaFePOFは、これまで報告されていない新規な化合物である。
後述する本鉄含有複合リン酸フッ化物の製造方法では、通常、x+y=2の組成体が合成される。したがって、この鉄含有複合リン酸フッ化物を二次電池用電極活物質として使用する場合、この組成が初期状態となり、製造された二次電池内では充電から行なわれることとなる。x+y<2の組成体が合成された場合、放電から行なうことでx+y=2の組成体を得ることができる。
(鉄含有複合リン酸フッ化物の製造方法)
上記した鉄含有複合リン酸フッ化物LiNaFePOFは、Li源、Na源、Fe源、PO源、及びF源となる単体物又は化合物を混合し、例えば加熱する等によって化学反応を生じさせることで得ることができる。Li源としては、炭酸リチウム、水酸化リチウム等種々の原料を使用することができる。Na源としては、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等種々の原料を使用することができる。Fe源としては、鉄、酸化鉄等種々の原料を使用することができる。PO源としては、リン酸等を使用することができる。また、複数の元素源として、化合物を使用することができる。例えば、オリビン型LiFePOは、Li源、Fe源及びPO源として使用することができる。マリサイト型NaFePOは、Na源、Fe源及びPO源として、フッ化リチウムはLi源及びF源として、フッ化ナトリウムはNa源及びF源として、それぞれ使用することができる。
x+y=2の組成体はFeの平均価数が2価と見積もれることから、合成する際は大気よりも還元性の雰囲気で行なうことが必要である。例えば、窒素気流中、又はアルゴン気流中で合成を行なう。大気下で合成する場合には、例えば炭素等の還元剤を共存させることが必要である。簡便な合成法としては、市販されている炭素で表面を被覆したオリビン型LiFePOとフッ化ナトリウムとをx=y=1の組成で、メノウ乳鉢内で混合し、望ましくはボールミルを用いて6時間程度均質になるまで混合する。その後、混合粉を、耐熱性があり、混合粉と反応し難い陶製のるつぼ等の容器に保持し、混合粉が溶解しない程度の高温(望ましくは550℃以上650℃以下、より望ましくは600℃以上650℃以下)まで上昇させ、単一の相(単相)が生成するまで数時間(望ましくは5時間以上、より望ましくは10時間以上)保持することで、LiNaFePOFを得ることができる。
なお、未反応の炭素が一部共存する可能性があるが、その量は、粉末X線回折では検出されない程度の微量である。また、後述する電極を作成する際に混合する導電剤と同様の働きをするので、未反応の炭素が一部共存していても、二次電池材料として問題はない。
通常のオリビン型LiFePOを、Li源、Fe源及びPO源として用いる場合には、混合条件及び焼成温度等は上記と同じであるが、雰囲気として窒素又はアルゴン気流を用いて、鉄の平均価数を低く維持することが必要である。
上記のようにして得られたLiNaFePOFは、x=y=1の組成物である。これを基に種々の組成の材料を得ることができる。例えば、エタノールと臭化リチウムとを用いたイオン交換により、Naの一部をLiに置換することにより、LiNaFePOFの組成を変化させることができる。
(鉄含有複合リン酸フッ化物を用いた電極)
上記した鉄含有複合リン酸フッ化物は、二次電池用電極に用いることができる。具体的には、電極活物質として、上記した鉄含有複合リン酸フッ化物の粉末を用いる。電極中における本活物質(鉄含有複合リン酸フッ化物)の含有量は、用いる活物質の種類、結着材(バインダー)、及び導電材の使用量等に応じて適宜設定すればよい。また、電極においては、電極活物質として所定の電極特性が得られる限り、上記の鉄含有複合リン酸フッ化物を単独で使用しても、公知の電極活物質との混合物として使用してもよい。
(鉄含有複合リン酸フッ化物を用いた電極の製造方法)
上記した二次電池用電極の製造方法は、鉄含有複合リン酸フッ化物を用いる以外は、公知の電極の製造方法と同様である。例えば、上記の鉄含有複合リン酸フッ化物の粉末を必要に応じて公知の結着材と混合する。さらに必要に応じて公知の導電材と混合してもよい。得られた混合粉末を、ステンレス鋼製等の支持体上に圧着成形する、又は金属製容器に充填することによって、二次電池用電極を製造することができる。また、例えば、この混合粉末を有機溶剤と混合して得られたスラリーをアルミニウム又はステンレス等の金属基板上に塗布する等の方法によっても、二次電池用電極を製造することができる。
ここで、公知の結着材は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルクロライド、エチレンプロピレンジエンポリマー、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、又は、ニトロセルロース等である。公知の導電材は、例えば、アセチレンブラック、カーボン、グラファイト、天然黒鉛、人造黒鉛、又はニードルコークス等である。有機溶剤は、例えば、N−メチルピロリドン、トルエン、シクロヘキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N−N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、又はテトラヒドロフラン等である。
二次電池用電極の厚さは、通常1〜10000μm、好ましくは3〜200μm、より好ましくは5〜100μm程度である。厚過ぎると導電性が低下する傾向にあり、薄過ぎると容量が低下する傾向にある。なお、塗布及び乾燥によって得られた電極は、活物質の充填密度を上げるために、ローラープレス等により圧密されてもよい。
(鉄含有複合リン酸フッ化物を用いた非水電解質二次電池)
本発明の実施の形態に係る非水電解質二次電池は、上記した鉄含有複合リン酸フッ化物を電極として用いる以外は、公知の非水電解質二次電池における構成要素を採用することができる。上記した鉄含有複合リン酸フッ化物を用いた電極は、通常正極として使用することが可能である。この場合、負極には、電極活物質として公知の負極活物質を使用することが可能である。負極には、リチウム、ナトリウム、及びそれらの混合物からなる群の中から選択される1つの物質、又は、その含有物を用いることが好ましい。
なお、本非水電解質二次電池における負極活物質には、リチウム及びナトリウム等のアルカリ金属、アルカリ金属の化合物、又はアルカリ金属の合金等の他、アルカリ金属イオンを吸蔵及び放出することが可能な材料(例えば、黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン、Li2.5CO0.5N、LiTi12等)も含まれる。
負極の製造方法は公知の方法と同じである。例えば、上記した方法と同様にして製造することができる。即ち、負極活物質の粉末を必要に応じて公知の結着材、さらに必要に応じて公知の導電材と混合した後、この混合粉末をシート状に成形し、これをステンレス、及び銅等の導電体網(集電体)に圧着すればよい。また、例えば、上記の混合粉末を公知の有機溶剤と混合して得られたスラリーを、銅等の金属基板上に塗布することにより負極を製造することができる。
その他の構成要素としては、公知の非水電解質二次電池に使用されるものを構成要素として使用することができる。以下に例示する。
電解液は通常、電解質及び溶媒を含む。電解液の溶媒は、非水系であればよく、特に制限されない。電解液の溶媒には、例えばカーボネート類、エーテル類、ケトン類、スルホラン系化合物、ラクトン類、ニトリル類、塩素化炭化水素類、エーテル類、アミン類、エステル類、アミド類、又はリン酸エステル化合物等を使用することができる。これらの代表的なものを列挙すると、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、メチルホルメート、ジメチルスルホキシド、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、スルホラン、エチルメチルカーボネート、1,4−ジオキサン、4−メチル−2−ペンタノン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、1,2−ジクロロエタン、リン酸トリメチル、及びリン酸トリエチル等を使用することができる。なお、これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。
電解液としては、上記の溶媒に、負極活物質中のアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンが、上記の正極活物質と、又は、上記の正極活物質及び負極活物質と電気化学反応するために移動することができる電解質物質を使用することができる。電解液として、例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiAsF、LiB(C、LiCl、LiBr、CHSOLi、CFSOLi、LiN(SOCF、LiN(SO、LiC(SOCF、又はLiN(SOCF等を使用することができる。電解液に可溶であれば、塩化リチウム、又は臭化リチウム等を用いることもできる。また、Na塩ではNaClO、NaPF、NaBF、CFSONa、NaAsF、NaB(C、CHSONa、CFSONa、NaN(SOCF、NaN(SO、NaC(SOCF、NaN(SOCF等種々の塩を使用可能である。電解液に可溶であれば、塩化ナトリウム、又は臭化ナトリウム等を用いることもできる。なお、公知の固体電解質、例えば、ナシコン構造を有するLiTi(PO等をも使用できる。
また、リン酸塩は、負極としても用いることも可能であることから、これらを用いることによって、正極、電解質及び負極がリン酸塩で構成された固体電池を製造することが可能となる。例えば、LiNaFePOFを含む上記した電極を正極として用い、LiVP(0≦z≦1)を含む電極を負極として用い、LiTi(POを固体電解質として用いることができる。即ち、正極/電解質/負極=LiNaFePOF/LiTi(PO/LiVPという電池系を製造することができる。この固体電池は、負極、電解質及び正極の全てに、POリン酸ポリアニオンという基本ユニットの共通フレームがあることによって、連続一体合成の可能性が開ける。それだけでなく、この固体電池は、固体電池で常に問題となる、負極と電解質との界面、及び電解質と正極との界面での格子不整及びインピーダンスマッチングの現象が、本質的に緩和され、解消され得る。
また、セパレータ、電池ケース他、構造材料等の要素についても公知の各種材料を使用でき、特に制限はない。例えば、正極と負極との間にセパレータを使用する場合には、微多孔性の高分子フィルムが用いられ得る。例えば、ナイロン(登録商標)、セルロースアセテート、ニトロセルロース、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びポリブテン等のポリオレフィン高分子よりなるものが用いられ得る。セパレータの化学的及び電気化学的安定性の観点からは、ポリオレフィン系高分子が好ましい。電池セパレータの目的の1つである自己閉塞温度の観点からは、ポリエチレン製であることが望ましい。
ポリエチレンセパレータの場合、高温形状維持性の観点から超高分子量ポリエチレンであることが好ましく、その分子量の下限は好ましくは50万、より好ましくは100万、さらに好ましくは150万である。分子量の上限は、好ましくは500万、より好ましくは400万、さらに好ましくは300万である。分子量が大き過ぎると、流動性が低過ぎて、加熱されたときにセパレータの孔が閉塞しない場合があるからである。
本発明の実施の形態に係る非水電解質二次電池は、上記した電池要素を用いて公知の方法で組立てることができる。なお、電池の外形形状についても特に制限されることはない。例えば、円筒型、角型、コイン型等種々の形状、及びサイズを適宜採用することができる。
(鉄含有複合リン酸フッ化物を用いた非水電解質二次電池の充放電)
本発明の実施の形態に係る非水電解質二次電池においては、電極活物質(LiNaFePOF)中の遷移金属M、即ちFeの2価/3価間の酸化還元反応、及び3価/4価間の酸化還元反応を利用して充放電が行なわれる。従来のオリビン型LiMPO等のような電極活物質では、遷移金属Mの3価/2価の酸化還元反応しか利用できなかったが、本非水電解質二次電池においては、フッ素の導入により、遷移金属Mの2価/3価間の酸化還元反応のみならず3価/4価間の酸化還元反応を利用することができるので、その分充放電容量が上昇する。
以下に実験結果を示し、本発明の有効性を示す。二次電池用の正極活物質として使用可能な鉄含有複合リン酸フッ化物を作製した。
原料として、LiFePOとNaFとを用いた。LiFePOは公知の技術を用いて製造することができる。ここでは、市販の炭素で被覆されたLi電池用LiFePOを用いた。1:1のモル比に秤量したLiFePO4とNaFとを、遊星型ボールミルを用いて6時間、回転速度600rpmで混合した。得られた混合粉をアルミナ製るつぼに入れ、室温から600℃まで4時間かけて昇温した後、600℃に維持して10時間大気中で保持した。600℃から4時間かけて室温まで戻し、焼成体を、メノウ乳鉢で粉砕して粉末を得た。得られた粉末のX線回折測定結果のグラフ(図4)におけるピークの高さから、LiNiPOF型構造をもつ単相のLiNaFePOFが得られたことを確認した。図4において、縦軸はカウント数であり、横軸は入射X線(CuKα線)に対する観測角度(散乱角度)2θである。
得られたLiNaFePOFを電極物質として用いて作製した二次電池の充放電特性を図5に示す。図5には、1回目の放電曲線が示されていない。これは、LiNaFePOFはx+y=2の組成体であるため、1回目の放電はできないからである。しかし、充電することにより、約130mAh/gの放電容量を得ることができる。
原料として、上記の実施例1で使用したLiFePO及びNaFに加えてLiFを用いて、二次電池用の正極活物質として使用可能な鉄含有複合リン酸フッ化物を作製した。具体的には、LiFePO、NaF及びLiFを、Li1.25Na0.75FePOFの組成になるように秤量して使用した。それ以外は、実施例1と同じであるので説明を繰返さない。得られた粉末のX線回折測定結果のグラフにおけるピークの高さから、LiNiPOF型構造をもつ単相のLi1.25Na0.75FePOFが得られたことを確認した。
上記の実施例1で得られたLiNaFePOFを用いて、二次電池用の正極活物質として使用可能な鉄含有複合リン酸フッ化物を作製した。具体的には、実施例1で得られたLiNaFePOF粉末1gと臭化リチウム(LiBr)10gとを100mlのエタノールに入れ95℃の温度に維持したまま、48時間攪拌した。その後、LiNaFePOF及び臭化リチウムを含むエタノールをろ過して得られた粉体を乾燥させ、粉末を得た。得られた粉末のX線回折測定結果のグラフにおけるピークの高さから、LiNiPOF型構造をもつ単相のLi1.65Na0.35FePOFが得られたことを確認した。なお、臭化リチウム以外のリチウム塩を用いてもよい。
得られたLi1.65Na0.35FePOFを電極物質として用いて作製した二次電池の充放電特性を図6に示す。この場合、目標組成のx+y=2(x=1.65、y=0.35)より実際はLiが欠損していたため、放電から行なうことでx+y=2の組成体になる。その結果として、充電及び放電それぞれの容量が1電子を越える約193mAh/gの容量を得ることができる。
原料として、上記の実施例1で使用したLiFePO及びNaFに加えてLiFを用いた。具体的には、LiFePO、NaF及びLiFを、Li1.35Na0.65FePOFの組成になるように秤量したLiFePO4、NaF、及びLiFを、遊星型ボールミルを用いて6時間、回転速度600rpmで混合した。得られた混合粉をアルミナ製るつぼに入れ、室温から600℃まで4時間かけて昇温した後、600℃に維持して10時間大気中で保持した。600℃から4時間かけて室温まで戻し、焼成体をメノウ乳鉢で粉砕して粉末を得た。得られた粉末のX線回折測定結果から、Li1.25Na0.75FePOFとLiFePOとの2相混合粉が得られたことを確認した。この2相混合粉は、Li1.25Na0.75FePOFを含むが、単相ではないので、二次電池の電極材料として使用した場合、単相のLi1.25Na0.75FePOFを使用した場合(実施例2参照)よりも低い性能しか得られない。しかし、従来と同等以上の性能が得られる。
実施例4と同様に、原料として、上記の実施例1で使用したLiFePO及びNaFに加えてLiFを用いた。具体的には、LiFePO、NaF及びLiFを、Li1.50Na0.50FePOFの組成になるように秤量して使用した。それ以外は、実施例4と同じであるので説明を繰返さない。得られた粉末のX線回折測定結果から、Li1.25Na0.75FePOFとLiFePOとの2相混合粉が得られたことを確認した。この2相混合粉は、実施例4と同様に、単相のLi1.25Na0.75FePOFを使用した場合(実施例2参照)よりも低い性能しか得られない。しかし、従来と同等以上の性能が得られる。
実施例4と同様に、原料として、上記の実施例1で使用したLiFePO及びNaFに加えてLiFを用いた。具体的には、LiFePO、NaF及びLiFを、Li1.65Na0.35FePOFの組成になるように秤量して使用した。それ以外は、実施例4と同じであるので説明を繰返さない。得られた粉末のX線回折測定結果から、Li1.25Na0.75FePOFとLiFePOとの2相混合粉が得られたことを確認した。この2相混合粉は、実施例4と同様に、単相のLi1.25Na0.75FePOFを使用した場合(実施例2参照)よりも低い性能しか得られない。しかし、従来と同等以上の性能が得られる。
実施例1〜3において作製したそれぞれの活物質を用いて、非水電解質二次電池(リチウム金属電池及びナトリウム金属電池)を作製し、評価試験を行なった。
ここでは、図7に示す構造を有するコイン型二次電池を、従来の方法により作製した。作製したコイン型二次電池は、正極ケース1、負極ケース2、ガスケット3、正極板4、負極板5、及びセパレータ6を備える。
正極板4は以下のように作製した。即ち、実施例1〜3の何れかで作製した材料70重量部と、導電剤であるアセチレンブラック22重量部とを、メノウ乳鉢を用いて混合し、得られた混合粉を、結着剤であるポリビニリデンフルオライド(PVDF)8重量部を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに溶かしたものに、十分に分散させ、スラリー状にした。これを、厚さ20μmのアルミニウム金属箔上に塗布した。N−メチル−2−ピロリドンを120℃で蒸発させ、乾燥したシートを、圧延ローラーを用いて圧延し、アルミニウム箔を含めて40μmの厚さのシートに形成した。このシートを直径14mmの円形に打ち抜き、正極板4とした。負極板5には、厚さ0.2mmの金属リチウム箔(ナトリウム電池の場合にはナトリウム金属箔)を直径16mmの円形に打ち抜いたものを用いた。
非水電解液には、エチレンカーボネート及びジメチルカーボネートを体積比1:2の割合で混合して得られた混合非水溶媒に、溶質として六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1mol/lになるように溶解して得られた非水電解質を用いた。ナトリウム電池の場合には、プロピレンカーボネート溶媒に溶質として過塩素酸ナトリウム(NaClO)を1mol/lになるように溶解して得られた非水電解質を用いた。セパレータ6には、ポリプロピレンの単層構造を有するセパレータを用い、非水電解質を含浸させた。
これらを用いて、露点−60℃以下のアルゴン雰囲気下で制御されたグローブボックス内で、図7に示したコインセルを組立てた。出来上がったコインセルを28mA/gで充放電し、初期容量を確認した。その結果を表1に示す。
Figure 0005900852
表1から、作製した非水電解質二次電池は何れも、十分な容量及び電圧範囲を有しており、鉄含有複合リン酸フッ化物が非水電解質二次電池の正極活物質として有効であることが分かる。
以上、実施の形態を説明することにより本発明を説明したが、上記した実施の形態は例示であって、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、種々変更して実施することができる。
1 正極ケース
2 負極ケース
3 ガスケット
4 正極板
5 負極板
6 セパレータ

Claims (11)

  1. 一般式LiNaFePOF(1.25≦x≦1.650.35≦≦0.75、0<x+y≦2)で表され、
    複数のFeOが稜を共有する八面体の列を形成し、且つ近接する4本の前記八面体の列によって形成されるトンネル内にLiが位置するLiNiPOF型構造を有する鉄含有複合リン酸フッ化物。
  2. 請求項1に記載の鉄含有複合リン酸フッ化物の製造方法であって、
    Li、Na、Fe、PO、及びFのモル比が、x:y:1:1:1(0≦x<2、0<y<2、0<x+y≦2)となるように、Li源物質、Na源物質、Fe源物質、PO源物質、及びF源物質を混合して混合物を生成する第1ステップと、
    前記混合物に化学反応を起こさせる第2ステップとを含み、
    前記化学反応は、前記混合物が溶解しない温度で実行されることを特徴とする鉄含有複合リン酸フッ化物の製造方法。
  3. 前記第2ステップは、大気よりも還元性の雰囲気で行なわれることを特徴とする請求項2に記載の鉄含有複合リン酸フッ化物の製造方法。
  4. 前記第2ステップは、窒素若しくはアルゴンの気流中、又は、還元剤が配置された大気中で行なわれることを特徴とする請求項3に記載の鉄含有複合リン酸フッ化物の製造方法。
  5. 前記第2ステップにおいて、前記混合物が溶解しない所定温度まで前記混合物を加熱することにより前記化学反応を起こさせることを特徴とする請求項3に記載の鉄含有複合リン酸フッ化物の製造方法。
  6. 前記Li源物質、前記Fe源物質、及び前記PO源物質としてLiFePOを使用し、
    前記Na源物質及び前記F源物質としてNaFを使用することを特徴とする請求項2から5の何れか1項に記載の鉄含有複合リン酸フッ化物の製造方法。
  7. 前記Li源物質及び前記F源物質として、LiFをさらに使用することを特徴とする請求項6に記載の鉄含有複合リン酸フッ化物の製造方法。
  8. 前記第2ステップにおいて化学反応を起こした前記混合物と、リチウム塩とを有機溶剤に投入した後、撹拌する第3ステップをさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載の鉄含有複合リン酸フッ化物の製造方法。
  9. 前記リチウム塩は、臭化リチウムであることを特徴とする、請求項8に記載の鉄含有複合リン酸フッ化物の製造方法。
  10. 請求項1に記載の鉄含有複合リン酸フッ化物を正極活物質として含むことを特徴とする二次電池。
  11. リチウム又はナトリウムを負極活物質として含むことを特徴とする請求項10に記載の二次電池。
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