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JP5909488B2 - 磁場解析プログラム及び磁場解析方法 - Google Patents
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Description

本発明は、リアクトルやモータなどの電磁機器のインダクタンスを高速に計算可能な磁場解析プログラムと磁場解析方法に関する。
リアクトルは、直流電流に交流電流が重畳された形で使用される。また、モータや発電機の稼動中に高周波ノイズ電流が重畳する現象も、基本波電流成分を近似的に直流とみなせば、直流電流に交流電流が重畳された状況が生じていると考えることができる。そのため、リアクトルやモータといった電磁機器を設計する際には、直流電流に重畳した交流電流に関するインダクタンス、すなわち直流磁場に重畳した交流磁場に関するインダクタンスを高速・高精度に計算することが求められる。
直流電流に重畳した交流電流に関するインダクタンスを計算する方法として、これまでにさまざまな方法が提案されている。例えば特許文献1に記載の技術では、磁界解析シミュレータにより所定の直流電流に対する動作点を求め、その結果を初期値とする一方、事前に作成した磁束密度と増分透磁率との関係を示す点列データから増分透磁率を決定し、交流解析を行ってインダクタンス値を得ている。しかしこの方法では、動作点を求めた後の交流解析において、過渡応答解析(時刻を少しずつ進めながら各瞬間の磁場を解き、これを多数ステップ繰り返す解析手法)を行うため、解析時間が長くかかる。
また特許文献2及び3に記載の技術では、過渡応答解析を行わず、1回の静磁場解析でインダクタンスを求めることで高速化しているが、鉄心に流れる渦電流を考慮できないため計算精度に劣る。そこで特許文献4に記載の技術では、1回の静磁場解析で渦電流の影響を考慮するために、リング状の試料を用いて渦電流の影響を加味した増分透磁率を実測で求め、この増分透磁率を用いて磁場解析を行っている。しかし手順が煩雑である上、計算精度にも限界がある。
そこで最近では、動作点を求めた後の交流解析を、過渡応答解析ではなく、より高速である周波数応答解析(正弦波状の電流を入力したときに、磁束密度が正弦波状に時間変化すると仮定して複素数領域で定常状態を解く解析手法)で行う市販の磁場解析プログラムも現れている(非特許文献1参照)。しかしながら、初磁化曲線とマイナーループの関係を忠実にモデル化しているとは言い難い。すなわち、非特許文献1に記載の磁場解析プログラムでは、本来マイナーループは初磁化曲線上の点から磁場が減少する向きに形成されるはずのところを、初磁化曲線上の点を中心に磁場が増減するようにモデル化している。そのため、マイナーループ上端の点が初磁化曲線の上に乗っていないという、現実とは異なる解が導かれるという課題が残っている。
WO2010/038799 特開2004−294123号公報 特開2010−122089号公報 特許第2984108号公報
JMAGアプリケーションカタログNo.158、"マイナーヒステリシスループを考慮したリアクトルの直流重畳特性解析"、[online]、2010年12月27日、株式会社JSOL、[平成23年6月21日検索]、インターネット〈URL:http://www.jmag-international.com/jp/catalog/158_Reactor_SuperImposedDirectCurrent.html〉
以上説明したように、従来の技術では、直流磁場に交流磁場が重畳した体系について、インダクタンスの高速な計算と高精度な計算を両立するのが困難であり、実用には不便であった。
本発明は、直流磁場に重畳する交流磁場に関するインダクタンスを高速かつ高精度に計算することができる磁場解析プログラムと磁場解析方法を提供することを目的とする。
本発明による磁場解析プログラムは、交流磁場を周波数応答解析で解く磁場解析プログラムであり、次のような特徴を持つ。
入力手段を用いて、直流磁束密度または直流磁界強度と、交流電流の振幅及び周波数と、解析対象の磁性部材の初磁化曲線を入力し、直流磁束密度が入力された場合はこの直流磁束密度と前記初磁化曲線から直流磁界強度を求め、直流磁界強度が入力された場合はこの直流磁界強度と前記初磁化曲線から直流磁束密度を求め、前記直流磁束密度と前記直流磁界強度と前記交流電流の振幅及び周波数と前記初磁化曲線とを記憶手段に記憶する手順と、前記交流電流の振幅及び周波数を用いて周波数応答解析を実行して、交流磁束密度と交流磁界強度を計算する手順と、前記周波数応答解析で得られる交流磁束密度の最大値と前記直流磁束密度の合計が、前記周波数応答解析で得られる交流磁界強度の最大値と前記直流磁界強度の合計と前記初磁化曲線とで決まる磁束密度と、前記記憶手段から読み出した精度で一致する解を導出する手順をコンピュータに実行させる。
本発明によれば、直流磁場に重畳する交流磁場に関するインダクタンスを高速かつ高精度に計算することができる。
第1の実施例による磁場解析プログラムを示すフローチャート。 代表的な磁性体における磁束密度Bと磁界強度Hの関係を示す模式図。 第1の実施例による磁場解析プログラムで求められるB−H平面上の磁場の軌跡を示す図。 第2の実施例による磁場解析プログラムを示すフローチャート。 第3の実施例による磁場解析プログラムを示すフローチャート。 第3の実施例による磁場解析プログラムで求められるB−H平面上の磁場の軌跡を示す図。
本発明による磁場解析プログラムと磁場解析方法は、動作点を求めた後の交流解析として周波数応答解析を用い、マイナーループ上端の点が初磁化曲線の上に乗った解を導出することで、高速かつ高精度な磁場解析を実現する。具体的には、目的に応じた2種類の方法を用いる。すなわち、解析の簡便さを重視する場合は、初磁化曲線を参照して増分透磁率を調整しながら周波数応答解析を複数回繰り返すことで、マイナーループ上端の点が初磁化曲線の上に乗った解を導出する。この方法により、解析精度を確保できるとともに、増分透磁率に関するデータベースの準備が不要となって簡便に解析を実行することができる。一方、解析精度を重視する場合は、周波数応答解析の前に静磁場解析を1回行ってマイナーループ中央点を求め、そこを中心とする周波数応答解析を行うことで、より現実の物理現象に近い高精度な解析を実現することができる。
本発明により、高精度の解を従来の解析方法よりも簡便に得ることと、従来の解析方法では得られない高精度な解を得ることが可能であり、インダクタンスの高速な計算と高精度な計算とを両立することができる。従って、リアクトルの直流重畳特性、あるいはモータの低〜高周波特性を短時間で高精度にモデリング可能になる。このようなモデルを用いると、電磁ノイズやインバータサージといった高周波現象を評価することが可能になり、モータドライブの最適化設計や開発期間短縮に貢献できる。なお、本発明の磁場解析プログラムと磁場解析方法は、モータやリアクトルのほか、誘導加熱装置の解析にも応用可能である。
本発明による磁場解析プログラムと磁場解析方法は、入力装置、出力装置、演算装置及び記憶装置を備えるコンピュータにより実行される。解析に必要なデータは、キーボードやマウスなどの入力装置により入力され、解析結果は、ディスプレーなどの出力装置に出力して表示することができる。演算装置は、コンピュータを制御し、磁場解析その他の演算を実行する。また、入力されたデータや解析で得られたデータは、ハードディスクやメモリなどの記憶装置に保存することができる。
本発明による磁場解析プログラムと磁場解析方法は、微小領域に分割された解析対象モデルと、オフセットとなる直流磁束密度または直流磁界強度と、交流磁束密度または交流磁界強度と、初磁化曲線を入力とし、微小領域について磁場解析を行い、直流磁場に重畳する交流磁場に関するインダクタンスを計算する。オフセットとなる直流磁束密度または直流磁界強度の代わりに、オフセットとなる直流電流を入力としてもよい。
以下、本発明による磁場解析プログラムの実施例について説明する。
図1は、本発明による磁場解析プログラムの第1の実施例を示すフローチャートである。図2は、代表的な磁性体における磁束密度Bと磁界強度Hの関係を示す模式図であり、初磁化曲線及びマイナーループを示している。図3は、本実施例による磁場解析プログラムで求められるB−H平面上の磁場の軌跡を示す図であり、磁束密度Bと磁界強度Hの関係を示す。
図2において、直流磁場は、初磁化曲線1にて決定される。初磁化曲線1に重畳する交流磁場は、マイナーループ4に従ってB−H平面上に軌跡を描く。マイナーループ4の勾配、すなわち式(1)で表される物理量μを、増分透磁率と呼ぶ。
μ=(B−B)/(H−H) (1)
、Hは、それぞれマイナーループ4の最大磁界強度と最小磁界強度であり、B、Bは、それぞれマイナーループ4上でH、Hに対応する磁束密度である。なお、以下で「磁場」と記述した場合、磁束密度及び磁界強度のいずれか一方または両方を意味することとする。
本実施例では、図2に示したような物理現象を図1のフローチャートに従って解析する。この解析により、磁場は、B−H平面上において図3に示すような軌跡15を描くことになり、マイナーループ上端の点が初磁化曲線1の上に乗ることになる(軌跡15を表す線分がマイナーループを表している)。
以下、図1の各ステップについて説明する。
最初にステップS100において、微小領域に分割された解析対象モデルと、直流磁場と、交流電流の振幅及び周波数と、解析対象モデルの磁性部材の初磁化曲線を入力する。入力された直流磁場が磁束密度B及び磁界強度Hのどちらか一方のみであった場合は、初磁化曲線に基づいて、入力されたBまたはHに対応するHまたはBを決定する。初磁化曲線は、磁場解析プログラムが備えているものを指定して入力してもよく、個々の解析者が準備して入力してもよい。解析対象モデルの磁性部材に応じて、複数の初磁化曲線を入力することもできる。
これらの入力には、磁場解析プログラムを実行するコンピュータが備える入力装置を用いることができる。解析対象モデルと直流磁場(直流磁束密度Bと直流磁界強度H)と交流電流の振幅及び周波数と初磁化曲線は、記憶装置に記憶される。
次にステップS103において、解析対象モデルの各微小領域での増分透磁率を設定する。一般に、動作点は微小領域毎に異なるため、増分透磁率も微小領域毎に異なる。増分透磁率の設定方法としては、例えば、ステップS100で入力した直流磁場の値における初磁化曲線の傾きから導出する。
次にステップS104において、ステップS100で入力した交流電流の振幅及び周波数とステップS103で設定した増分透磁率とを用いて、周波数応答解析により交流磁場を計算する。この周波数応答解析による交流磁場計算には、既存の方法を用いることができる。
図3に、この最初の周波数応答解析でのB−H平面上の磁場の軌跡の例を、軌跡14として線分で示す。軌跡14を表す線分がマイナーループを表している。静磁場解析ではなく周波数応答解析を行うことで、鉄心や巻線などに流れる渦電流を考慮することができるため、精度が向上する。また、過渡応答解析ではなく周波数応答解析を行うことで、解析時間を短縮できる。ただし、この段階では磁気飽和などの非線形性を考慮できていないので、次のステップ以降で収束計算を行う。
ステップS105において、各微小領域での最大磁界強度Hと最大磁束密度Bを計算する。Hは、ステップS100で入力した直流の磁界強度Hと、ステップS104で求めた交流の磁界強度の振幅(H−H)とから求められる。Bは、ステップS100で入力した直流の磁束密度Bと、ステップS104で求めた交流の磁界強度の振幅(H−H)と、ステップS103で設定した増分透磁率とから求められる。増分透磁率をμとすると、Bは式(2)のように表される。
=B+μ(H−H) (2)
図3を用いて説明すると、最大磁束密度Bは、直流の磁束密度Bに、交流磁場の振幅3(すなわちH−H)に増分透磁率μ(例えば、動作点2における初磁化曲線1の勾配)を掛けたものを加えた値である。
続いて、ステップS106において、解の収束判定を行う。判定は、ステップS105で得られた最大磁束密度Bの値が、初磁化曲線上の点と所望の精度で一致するかどうかで行う。図3を用いて説明すると、最大磁束密度Bが、初磁化曲線1上で最大磁界強度Hに対応する磁束密度B’と、所望の精度で一致しているかどうかで判定する。所望の精度は、デフォルト値を用いても、解析者が入力した値を用いてもよく、予め定めて記憶装置に記憶しておく。
ステップS106で収束していないと判定した場合は、ステップS103に戻って増分透磁率を再設定して更新する。増分透磁率の再設定には、例えば下記の式(3)を用いる。
μ=(B’−B)/(H−H) (3)
μは、再設定した増分透磁率である。
ただし、増分透磁率の変化が急過ぎると解が収束しない恐れがあるため、一般には式(4)または式(5)のように緩和係数νを導入して、変化を緩和させる。
μ=μ+ν((B’−B)/(H−H)−μ) (4)
μ=((B’−B)/(H−H))νμ 1−ν (5)
緩和係数νは、予め定めた値とし、0<ν≦1の実数、例えばν=0.1と設定する。
このように再設定した増分透磁率を用いて、再度、ステップS104及びS105を実行し、S106にて判定を行う。この反復計算は、要求する精度にも依存するが、通常は5回以内で収束する。反復計算が収束すると、図3に示すように、このときに描かれるB−H平面上の磁場の軌跡15は、マイナーループ上端の点が初磁化曲線1の上に所望の精度で乗る。
反復計算が収束したと判定されると、ステップS107に進み、インダクタンス計算などの後処理を行い、ある特定の直流成分及び交流成分に関する解析を完了する。実際には、引き続いて異なる条件での解析に進むことが多い。なお、インダクタンスの計算は、得られた磁場の値を用いて従来方法で行えばよい。
本実施例による磁場解析プログラムは、直流磁場に重畳する交流磁場に関するインダクタンスを高速かつ高精度に計算することができ、さらに、磁束密度と増分透磁率との関係を示す点列データ(データベース)が不要であるため、簡便に実施可能であるという特徴を有する。
以下、本発明による磁場解析プログラムの第2の実施例について説明する。
図4は、本発明による磁場解析プログラムの第2の実施例を示すフローチャートである。以下、図4の各ステップについて説明する。
最初にステップS101において、微小領域に分割された解析対象モデルと、直流電流と、交流電流の振幅及び周波数と、解析対象モデルの磁性部材の初磁化曲線を入力する。初磁化曲線は、磁場解析プログラムが備えているものを指定して入力してもよく、個々の解析者が準備して入力してもよい。解析対象モデルの磁性部材に応じて、複数の初磁化曲線を入力することもできる。第1の実施例との相違点は、直流磁場ではなく、その起源となる直流電流を入力する点である。
これらの入力には、磁場解析プログラムを実行するコンピュータが備える入力装置を用いることができる。解析対象モデルと直流電流と交流電流の振幅及び周波数と初磁化曲線は、記憶装置に記憶される。
続いてステップS102において、初磁化曲線に基づき、ステップS101で入力した直流電流により発生する直流磁場を計算し、磁束密度B及び磁界強度Hを得る。直流磁場の計算には、従来の方法を用いることができる。得られた磁束密度B及び磁界強度Hは、記憶装置に記憶される。
続くステップS103以降は、第1の実施例と基本的に同じであるため、説明を省略する。ただし、ステップS103やステップS105で用いる直流磁場は、直接入力したものではなく、ステップS102にて計算したものである点が異なる。
本実施例による磁場解析プログラムは、第1の実施例による磁場解析プログラムと同様に、直流磁場に重畳する交流磁場に関するインダクタンスを高速かつ高精度に計算することができ、さらに、磁束密度と増分透磁率との関係を示す点列データ(データベース)が不要であるため、簡便に実施可能であるという特徴を有する。
以下、本発明による磁場解析プログラムの第3の実施例について説明する。
図5は、本発明による磁場解析プログラムの第3の実施例を示すフローチャートである。また図6は、本実施例による磁場解析プログラムで求められるB−H平面上の磁場の軌跡を示す図であり、磁束密度Bと磁界強度Hの関係を示す。
本実施例では、初磁化曲線1上にないマイナーループ中央点13(図6を参照)を求め、続いてその点を中心とする周波数応答解析を実施することで、マイナーループ上端の点を所望の精度で初磁化曲線1の上に乗せる。このため、より高精度にマイナーループを表現した解析を実現することができる。
以下、図5の各ステップについて説明する。
ステップS201において、微小領域に分割された解析対象モデルと、直流電流と、交流電流の振幅及び周波数と、解析対象モデルの磁性部材の初磁化曲線を入力する。さらに、解析対象モデルの磁性部材について、磁束密度と増分透磁率との関係、または磁界強度と増分透磁率との関係を示す点列データ(以下、「データベース」と称する)を入力する。初磁化曲線とデータベースは、磁場解析プログラムが備えているものを指定して入力してもよく、個々の解析者が準備して入力してもよい。解析対象モデルの磁性部材に応じて、複数の初磁化曲線とデータベースを入力することもできる。
これらの入力には、磁場解析プログラムを実行するコンピュータが備える入力装置を用いることができる。解析対象モデルと直流電流と交流電流の振幅及び周波数と初磁化曲線とデータベースは、記憶装置に記憶される。
続いてステップS202において、初磁化曲線に基づき、直流電流に交流電流の振幅を加えた最大電流に対する磁場(最大磁場)を、静磁場解析にて求める。静磁場解析には、従来の方法を用いることができる。交流磁場により発生する可能性のある渦電流の影響は、ここでは無視する。得られた最大磁束密度をB、最大磁界強度をHとする。
次にステップS203において、得られた最大磁束密度Bまたは最大磁界強度Hから、ステップS201で入力したデータベースを用いて、解析対象モデルの各微小領域での増分透磁率μを決定する。
次にステップS204において、増分透磁率μ、最大磁束密度B、及び最大磁界強度Hを用いて、直流電流に対する磁場(磁束密度Bと磁界強度H)を静磁場解析にて求める。この静磁場解析には、増分透磁率μ、最大磁束密度B、及び最大磁界強度Hから計算される残留磁束密度M(=B−μ)を用いてもよい。静磁場解析には、従来の方法を用いることができる。得られた磁束密度Bと磁界強度Hが、マイナーループ中央点13(図6参照)を与える磁場である。このマイナーループ中央点13を求める静磁場解析を実施する際、収束判定値を十分に小さく設定するなどの精度確保対策を施すことで、次のステップS205にて得られるマイナーループ上端の点が初磁化曲線1の上に所望の精度で乗ることになる。所望の精度は、デフォルト値を用いても、解析者が入力した値を用いてもよく、予め定めて記憶装置に記憶しておく。マイナーループ中央点13(すなわち、磁束密度Bと磁界強度H)は、解析対象モデルの各微小領域に対して求める。
次にステップS205において、ステップS203で決定した増分透磁率μを用いて、周波数応答解析により交流磁場を計算する。この周波数応答解析による交流磁場計算は、第1の実施例でのステップS104と同様の方法で行うことができる。
図6に、この交流磁場計算で描かれるB−H平面上の磁場の軌跡の例を、軌跡21として線分で示す。軌跡21を表す線分がマイナーループを表している。静磁場解析ではなく周波数応答解析を行うことで、鉄心や巻線などに流れる渦電流を考慮することができるため、精度が向上する。また、過渡応答解析ではなく周波数応答解析を行うことで、解析時間を短縮できる。さらに、本実施例では、第1及び第2の実施例とは異なり、最大磁場(磁束密度Bで磁界強度H、すなわちマイナーループ上端の点)が既に初磁化曲線の上にあるため、収束計算は不要である。よって、解析時間はさらに短くなる。
最後にステップS206にて、インダクタンス計算などの後処理を行い、ある特定の直流成分及び交流成分に関する解析を完了する。実際には、引き続いて異なる条件での解析に進むことが多い。なお、インダクタンスの計算は、得られた磁場の値を用いて従来方法で行えばよい。
本実施例は、磁束密度と増分透磁率との関係、または磁界強度と増分透磁率との関係に関するデータベースが必要である点は従来技術と同じであるが、マイナーループ中央点を求める静磁場解析を追加することで解析精度が向上するという特徴を有する。
1…初磁化曲線,2…動作点,3…交流磁場の振幅,4…マイナーループ,13…マイナーループ中央点,14…第1の実施例における、最初の周波数応答解析での磁場の軌跡,15…第1の実施例における、最後の周波数応答解析での磁場の軌跡,21…第3の実施例における、周波数応答解析での磁場の軌跡。

Claims (5)

  1. 交流磁場を周波数応答解析で解く磁場解析プログラムにおいて、
    入力手段を用いて、直流磁束密度または直流磁界強度と、交流電流の振幅及び周波数と、解析対象の磁性部材の初磁化曲線を入力し、直流磁束密度が入力された場合はこの直流磁束密度と前記初磁化曲線から直流磁界強度を求め、直流磁界強度が入力された場合はこの直流磁界強度と前記初磁化曲線から直流磁束密度を求め、前記直流磁束密度と前記直流磁界強度と前記交流電流の振幅及び周波数と前記初磁化曲線とを記憶手段に記憶する手順と、
    前記交流電流の振幅及び周波数前記磁性部材の増分透磁率を用いて周波数応答解析を実行し、前記周波数応答解析で得られる交流磁束密度の最大値と前記直流磁束密度の合計が、前記周波数応答解析で得られる交流磁界強度の最大値と前記直流磁界強度の合計と前記初磁化曲線とで決まる磁束密度と、前記記憶手段から読み出した精度で一致するまで、前記増分透磁率を更新しながら前記周波数応答解析を反復して解を導出して、交流磁束密度と交流磁界強度を計算する手順と、
    前記周波数応答解析で得られる交流磁束密度の最大値と前記直流磁束密度の合計が、前記周波数応答解析で得られる交流磁界強度の最大値と前記直流磁界強度の合計と前記初磁化曲線とで決まる磁束密度と、前記記憶手段から読み出した精度で一致する解を導出する手順を、
    コンピュータに実行させるための磁場解析プログラム。
  2. 前記直流磁束密度または前記直流磁界強度を入力する代わりに、前記入力手段を用いて直流電流を入力する手順と、
    前記直流電流と前記初磁化曲線を用いて、前記直流磁束密度と前記直流磁界強度を求める手順を、
    コンピュータに実行させるための請求項記載の磁場解析プログラム。
  3. 交流磁場を周波数応答解析で解く磁場解析プログラムにおいて、
    入力手段を用いて、直流電流と、交流電流の振幅及び周波数と、解析対象の磁性部材の初磁化曲線と、磁束密度と前記磁性部材の増分透磁率との関係または磁界強度と前記磁性部材の増分透磁率との関係を示すデータベースを入力し、前記直流電流と前記交流電流の振幅及び周波数と前記初磁化曲線と前記データベースとを記憶手段に記憶する手順と、
    前記直流電流と前記交流電流の振幅の合計と前記初磁化曲線とを用いて、最大磁束密度と最大磁界強度を静磁場解析によって求める手順と、
    前記データベースと前記最大磁束密度または前記最大磁界強度とから、前記磁性部材の増分透磁率を決定する手順と、
    前記最大磁束密度と前記最大磁界強度と前記増分透磁率とから、前記直流電流に対する磁束密度と磁界強度を静磁場解析にて求める手順と、
    前記交流電流の振幅及び周波数と前記増分透磁率とを用いて周波数応答解析を実行して、交流磁束密度と交流磁界強度を計算する手順を、
    コンピュータに実行させるための磁場解析プログラム。
  4. 入力手段と演算手段と記憶手段を備えるコンピュータを用いて、交流磁場を周波数応答解析で解く磁場解析方法において、
    前記入力手段が、直流磁束密度または直流磁界強度と、交流電流の振幅及び周波数と、解析対象の磁性部材の初磁化曲線を入力する工程と、
    前記演算手段が、直流磁束密度が入力された場合はこの直流磁束密度と前記初磁化曲線から直流磁界強度を求め、直流磁界強度が入力された場合はこの直流磁界強度と前記初磁化曲線から直流磁束密度を求める工程と、
    前記記憶手段が、前記直流磁束密度と前記直流磁界強度と前記交流電流の振幅及び周波数と前記初磁化曲線とを記憶する工程と、
    前記演算手段が、前記交流電流の振幅及び周波数と前記磁性部材の増分透磁率とを用いて周波数応答解析を実行して、交流磁束密度と交流磁界強度を計算する工程と、
    前記演算手段が、前記周波数応答解析で得られる交流磁束密度の最大値と前記直流磁束密度の合計が、前記周波数応答解析で得られる交流磁界強度の最大値と前記直流磁界強度の合計と前記初磁化曲線とで決まる磁束密度と、前記記憶手段から読み出した精度で一致するまで、前記増分透磁率を更新しながら前記周波数応答解析を反復して解を導出する工程を、
    有することを特徴とする磁場解析方法。
  5. 入力手段と演算手段と記憶手段を備えるコンピュータを用いて、交流磁場を周波数応答解析で解く磁場解析方法において、
    前記入力手段が、直流電流と、交流電流の振幅及び周波数と、解析対象の磁性部材の初磁化曲線と、磁束密度と前記磁性部材の増分透磁率との関係または磁界強度と前記磁性部材の増分透磁率との関係を示すデータベースを入力する工程と、
    前記記憶手段が、前記直流電流と前記交流電流の振幅及び周波数と前記初磁化曲線と前記データベースとを記憶する工程と、
    前記演算手段が、前記直流電流と前記交流電流の振幅の合計と前記初磁化曲線とを用いて、最大磁束密度と最大磁界強度を静磁場解析によって求める工程と、
    前記演算手段が、前記データベースと前記最大磁束密度または前記最大磁界強度とから、前記磁性部材の増分透磁率を決定する工程と、
    前記演算手段が、前記最大磁束密度と前記最大磁界強度と前記増分透磁率とから、前記直流電流に対する磁束密度と磁界強度を静磁場解析にて求める工程と、
    前記演算手段が、前記交流電流の振幅及び周波数と前記増分透磁率とを用いて周波数応答解析を実行して、交流磁束密度と交流磁界強度を計算する工程を、
    有することを特徴とする磁場解析方法。
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