JP5938348B2 - 反応特異性の増加のための非標準塩基を含む増幅プライマー - Google Patents
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Description
本願は、2009年10月23日出願の米国仮出願第61/254,281号に基づく優先権を主張し、その内容は参照により完全に本明細書に組み入れられる。
本テクノロジーは、分子生物学、組換えDNA技術、および核酸増幅の領域に一般に関する。より具体的には、本テクノロジーは、増幅反応における特異性を改善するための非標準塩基の使用に関する。
核酸増幅は、分子生物学に関係する重要な過程である。核酸増幅の多数の方法は、過程の何らかの段階において、オリゴヌクレオチドプライマーの鋳型核酸へのアニーリングを必要とする。増幅過程は、標的核酸の指数関数的な増加をもたらすことができる。しかしながら、標的核酸増幅の成功は、プライマーが、その標的、即ち、その相補配列にアニールする特異性にかかっている。プライマーが非特異的な部位にアニールするか、それとも相補配列に特異的にアニールするかは、アニーリング温度、プライマーの長さ、G/C含量、pH、および形成され得る二次構造または三次構造を含む多数の要因に依存する。プライマーアニーリングの特異性に関係する変数の過多を考慮すると、どのプライマーがある種の条件の下で標的核酸に特異的にアニールするかを正確に予測することは困難であり得る。
一つの局面において、本開示は、増幅反応のアニーリング特異性を増加させるための方法を提供し、本方法は、増幅条件下で、以下:
(a)鋳型配列に相補的な3'セグメント;
(b)イソCおよびイソGからなる群より独立に選択される少なくとも2個の連続するかまたは連続しない非標準塩基を含みかつ少なくとも一つのプライマーのアニーリング位置を3'セグメントに制限する、3'セグメントの5'末端にあるイソ領域;ならびに
(c)鋳型配列に相補的なヌクレオチド配列を含むイソ領域の5'末端にある5'セグメント
を含む少なくとも一つのプライマーと、核酸試料とを接触させる工程を含み、少なくとも一つのプライマーは、3'セグメントのみを有するプライマーと比較して増加した鋳型配列に対するアニーリング特異性を有する。
(a)第一増幅産物を形成させるため、第一のアニーリング温度で、鋳型配列の変性、少なくとも一つのプライマーのアニーリング、および少なくとも一つのプライマーの伸長を少なくとも2サイクル含む、鋳型配列の第一段階増幅を実施する工程であって、少なくとも一つのプライマーが、(i)鋳型配列に相補的な3'セグメントと;(ii)イソCおよびイソGからなる群より独立に選択される少なくとも2個の連続するかまたは連続しない非標準塩基を含み、かつ少なくとも一つのプライマーのアニーリング位置を3'セグメントに制限する、3'セグメントの5'末端にあるイソ領域と;(iii)鋳型配列に相補的なヌクレオチド配列を含む、イソ領域の5'末端にある5'セグメントとを含む、工程;ならびに
(b)第二のアニーリング温度で、
(i)工程(a)から生成された増幅産物の変性、少なくとも一つのプライマーのアニーリング、および少なくとも一つのプライマーの伸長;または
(ii)工程(a)から生成された増幅産物の変性、ならびに少なくとも一つのプライマーの5'セグメントに対応する配列を含むプライマーのアニーリングおよび伸長
を少なくとも1サイクル含む、第一増幅産物の第二段階増幅を実施する工程
を含む、二段階反応において標的核酸を増幅する方法を提供する。
(a)オリゴヌクレオチドdTプライマーもしくはアンカード(anchored)オリゴヌクレオチドdTプライマーを標的mRNAのポリAテール領域にハイブリダイズさせるか、または六量体、七量体、および/もしくは八量体のランダムオリゴヌクレオチドを標的mRNAにハイブリダイズさせること;ならびに
(b)cDNAを作製するため標的mRNAを逆転写すること
により形成されたcDNAである。
PCR;多重DNA増幅;差次的に発現された遺伝子の同定;3'-RACE;5'-RACE;プライマー伸長反応;全長cDNAの増幅;5'濃縮(enriched)cDNAの増幅;DNAフィンガープリント;RNAフィンガープリント;多重遺伝子ファミリーにおける保存されたホモロジーセグメントの同定;ヌクレオチド配列変動の同定;プレmiRNA増幅;rRNA増幅;PCR後の高分解能融解分析;および変異誘発
の群を含む方法に適用される。
(a)3'セグメントが鋳型配列に相補的である少なくとも一つのプライマーを合成する工程;
(b)イソCおよびイソGからなる群より独立に選択される少なくとも2個の連続するかまたは連続しない非標準塩基を含み、かつ少なくとも一つのプライマーのアニーリング位置を3'セグメントに制限し、それにより、3'セグメントのみを有するプライマーと比較して、3'セグメントのアニーリング特異性を増加させるイソ領域を、3'セグメントの5'末端に組み入れる工程;
(c)鋳型配列を含有している鋳型の任意の領域に相補的なヌクレオチド配列を含む5'セグメントを、イソ領域の5'末端に組み入れる工程
を含む、少なくとも一つのプライマーのアニーリング特異性を増加させる方法を提供する。
[本発明1001]
核酸試料を、増幅条件下で、
(a)鋳型配列に相補的な3'セグメント;
(b)イソCおよびイソGからなる群より独立に選択される少なくとも2個の連続するかまたは連続しない非標準塩基を含み、かつ少なくとも一つのプライマーのアニーリング位置を3'セグメントに制限する、3'セグメントの5'末端にあるイソ領域;
(c)鋳型配列に相補的なヌクレオチド配列を含む、イソ領域の5'末端にある5'セグメントであって、少なくとも一つのプライマーが3'セグメントのみを有するプライマーと比較して増加した鋳型配列に対するアニーリング特異性を有する、5'セグメント
を含む少なくとも一つのプライマーと接触させる工程
を含む、増幅反応のアニーリング特異性を増加させるための方法。
[本発明1002]
前記少なくとも一つのプライマーが6〜60ヌクレオチド長である、本発明1001の方法。
[本発明1003]
前記イソ領域が約1〜約15個の非標準塩基を含む、本発明1001の方法。
[本発明1004]
増幅反応が、
PCR;逆転写酵素PCR;リアルタイムPCR;ディファレンシャルディスプレイPCR;PCRに基づくゲノム分析;AP(Arbitrary Primed)-PCR;多重PCR;ロングレンジ(long-range)PCR;直線的(linear)PCR;逆PCR;定量的PCR;タッチダウンPCR;インサイチューPCR;ベクトレット(vectorette)PCR;TAIL(thermal asymmetric interlaced)PCR;MOPAC(mixed oligonucleotide-primed amplification of cDNA);3'-RACE;5'-RACE、高分解能融解分析、およびプライマー伸長反応
からなる群より選択される、本発明1001の方法。
[本発明1005]
前記アニーリング工程が、3'セグメントのみを有するプライマーと比較して、前記少なくとも一つのプライマーのアニーリング特異性を増加させるために十分な温度で実施される、本発明1001の方法。
[本発明1006]
(a)鋳型配列の変性、少なくとも一つのプライマーのアニーリング、および少なくとも一つのプライマーの伸長を少なくとも2サイクル含む、第一増幅産物を形成させるために第一のアニーリング温度で鋳型配列の第一段階増幅を実施する工程であって、少なくとも一つのプライマーが、
(i)鋳型配列に相補的な3'セグメント;
(ii)イソCおよびイソGからなる群より独立に選択される少なくとも2個の連続するかまたは連続しない非標準塩基を含み、かつ少なくとも一つのプライマーのアニーリング位置を3'セグメントに制限する、3'セグメントの5'末端にあるイソ領域;ならびに
(iii)鋳型配列に相補的なヌクレオチド配列を含む、イソ領域の5'末端にある5'セグメント
を含む、工程と、
(b)第二のアニーリング温度で、
(i)工程(a)から生成された増幅産物の変性、少なくとも一つのプライマーのアニーリング、および少なくとも一つのプライマーの伸長;または
(ii)工程(a)から生成された増幅産物の変性、ならびに少なくとも一つのプライマーの5'セグメントに対応する配列を含むプライマーのアニーリングおよび伸長
を少なくとも1サイクル含む、第一増幅産物の第二段階増幅を実施する工程と
を含む、二段階反応において標的核酸を増幅するための方法。
[本発明1007]
標的核酸が、
(a)オリゴヌクレオチドdTプライマーもしくはアンカード(anchored)オリゴヌクレオチドdTプライマーを標的mRNAのポリAテール領域にハイブリダイズさせるか、または六量体、七量体、および/もしくは八量体のランダムオリゴヌクレオチドを標的mRNAにハイブリダイズさせること;ならびに(b)cDNAを作製するために標的mRNAを逆転写すること
により形成されたcDNAである、本発明1006の方法。
[本発明1008]
二段階増幅手順が、
PCR;多重DNA増幅;差次的に発現された遺伝子の同定;3'-RACE;プライマー伸長反応;5'-RACE;全長cDNAの増幅;5'濃縮(enriched)cDNAの増幅;DNAフィンガープリント;RNAフィンガープリント;多重遺伝子ファミリーにおける保存されたホモロジーセグメントの同定;ヌクレオチド配列変動の同定;プレmiRNA増幅;rRNA増幅;PCR後の高分解能融解分析;および変異誘発
の群を含む方法に適用される、本発明1006の方法。
[本発明1009]
(a)3'セグメントが鋳型配列に相補的である少なくとも一つのプライマーを合成する工程;
(b)イソCおよびイソGからなる群より独立に選択される少なくとも2個の連続するかまたは連続しない非標準塩基を含むイソ領域を、3'セグメントの5'末端に組み入れる工程であって、該イソ領域が、少なくとも一つのプライマーのアニーリング位置を3'セグメントに制限し、それにより、3'セグメントのみを有するプライマーと比較して、3'セグメントのアニーリング特異性を増加させる、工程;
(c)鋳型配列を含有している鋳型の任意の領域に相補的なヌクレオチド配列を含む5'セグメントを、イソ領域の5'末端に組み入れる工程であって、それによって少なくとも一つのプライマーが、3'セグメントのみを有するプライマーと比較して増加した鋳型配列に対するアニーリング特異性を有する、工程
を含む、少なくとも一つのプライマーのアニーリング特異性を増加させるための方法。
[本発明1010]
前記合成する工程が、固相合成;DNA複製;逆転写;制限消化;ランオフ(run-off)転写;PCR;PCRに基づく方法;プライマー伸長反応;およびライゲーションからなる群より選択される方法を含む、本発明1009の方法。
[本発明1011]
前記少なくとも一つのプライマー配列が6〜60デオキシリボヌクレオチド長または6〜60リボヌクレオチド長である、本発明1009の方法。
[本発明1012]
前記イソ領域が約1〜約15個の非標準塩基を含む、本発明1011の方法。
[本発明1013]
前記少なくとも一つのプライマーが増幅反応または二段階増幅反応において使用される、本発明1009の方法。
テクノロジーのある種の局面、様式、態様、変動、および特色が、本開示の実質的な理解を提供するため、様々なレベルで詳細に以下に記載されることが認識されるべきである。
本テクノロジーの一つの局面は、核酸配列の増幅において使用するためのIAPおよびその適用に関する。IAPは、多数の要因、例えば、アニーリング温度、プライマーの長さ、G/C含量、pH、および形成され得る二次構造または三次構造、即ち、「アニーリング要因」と共同して、核酸増幅の特異性が有意に改善されるよう、プライマーアニーリングの制御を可能にする。IAPにより増加するアニーリング特異性の原理は、イソ領域により分離された明瞭な3'セグメントおよび5'セグメントを有するオリゴヌクレオチドプライマーの組成に基づく(図1を参照のこと)。3'セグメントと5'セグメントとの間に位置するイソ領域は、本明細書に記載されたアニーリング要因と共同して、鋳型アニーリングを制御する調節因子として作用する。イソ領域の存在は、5'セグメントのアニーリングを妨げ、同時に、IAPアニーリングを3'セグメントに制限し、アニーリング特異性の劇的な改善をもたらす。3'セグメントと5'セグメントとの間に位置する非標準塩基、即ち、イソ塩基は、各セグメントを整合的に画定するイソ領域を画定する。従って、IAPは、従来のプライマーとは基本的に異なり、アニーリング要因と共同して、従来のプライマーと比較して、より高いアニーリング特異性を有する。同様に、イソ塩基は、他の塩基または塩基置換と比較して、より有利に、相補的なイソ塩基と塩基対形成するため、IAPは、その後の増幅サイクルにおいても、従来のプライマーと比較して増加した感度を有する。
本テクノロジーの一つの局面において、開示は、
(a)鋳型配列に相補的な3'セグメント;ならびに
(b)イソCおよびイソGからなる群より独立に選択される少なくとも2個の連続するかまたは連続しない非標準塩基を含み、かつプライマーのアニーリング位置を3'セグメントに制限し、それにより、3'セグメントのみを有するプライマーと比較して、3'セグメントのアニーリング特異性を増加させる、3'セグメントの5'末端にあるイソ領域;ならびに
(c)鋳型配列を含有している鋳型の任意の領域に相補的なヌクレオチド配列を含有している、イソ領域の5'末端にある5'セグメント
を含むが、これらに限定されない、増幅反応のアニーリング特異性を増加させる方法を企図する。本方法において、プライマーは、3'セグメントのみを有するプライマーと比較して増加した鋳型配列に対するアニーリング特異性を有する。
一つの態様において、IAPはポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)増幅技術に適用される。PCRは、第一および第二のアニーリング温度の下で、即ち、異なるストリンジェンシーの下で実施され得る。一つの態様において、第一のアニーリング温度は、第二のアニーリング温度と等しくてもよいし、または第二のアニーリング温度より低くてもよい。従って、第二のアニーリング温度は、第一のアニーリング温度より高くてもよい。二つの異なるアニーリング温度で実施されるPCR過程においては、第一のアニーリング温度で、3'セグメントが鋳型配列にアニールし、第二増幅段階において、即ち、第二のアニーリング温度で、取り込まれた5'セグメントがプライミング部位として機能する。
(a)第一のアニーリング温度で、標的核酸に相補的な3'セグメントを含有している第一のIAPが標的核酸にアニールし、それにより、増幅産物を産生する条件の下で、プライマーアニーリング、プライマー伸長、および変性を少なくとも2サイクル含む、標的核酸の第一段階増幅を実施する工程;ならびに
(b)第二のアニーリング温度で、プライマーが増幅産物のそれぞれ3'末端および5'末端にアニールすることを可能にする条件の下で、工程(a)からの同一プライマー、即ち、IAP、または工程(a)において使用されたプライマーの各5'セグメントに対応する予め選択された任意のヌクレオチド配列を含有しているプライマーを使用して、プライマーアニーリング、プライマー伸長、および変性を少なくとも1サイクル含む、工程(a)から生成された産物の第二段階増幅を実施する工程
を含むが、これらに限定されない、核酸の混合物から標的核酸が増幅される、二段階増幅手順を使用した方法を企図する。従って、工程(a)からの増幅産物が再増幅される。
(a)鋳型によって駆動されるDNA合成が起こるために十分な条件の下で、mRNAポリAテールとのハイブリダイゼーションのため、IAPであってもよいオリゴヌクレオチドdT(「オリゴdT」)プライマーまたはアンカードオリゴdTプライマーと、mRNAを接触させる工程;ならびに
(b)第一cDNA鎖を作製するため、mRNAを逆転写する工程;ならびに
(c)第一のアニーリング温度で、工程(b)から入手された第一cDNA鎖から、プライマーアニーリング、プライマー伸長、および変性を少なくとも2サイクル含む、標的核酸の第一段階増幅を実施する工程(IAPはハイブリダイズするための標的核酸の一領域に相補的な3'セグメントを含有している);ならびに
(d)第二のアニーリング温度で、プライマーが増幅産物のそれぞれ3'末端および5'末端にアニールすることを可能にする条件の下で、工程(c)において使用されたのと同一のプライマー、即ち、IAP、または工程(c)において使用されたプライマーの各5'セグメントに対応する予め選択された任意のヌクレオチド配列を含有しているプライマーを使用して、プライマーアニーリング、プライマー伸長、および変性を少なくとも1サイクル含む、工程(c)から生成された増幅産物の第二段階増幅を実施する工程
を含むが、これらに限定されない、標的mRNA配列を選択的に増幅するため、二段階増幅過程を利用する方法が提供される。従って、工程(c)からの増幅産物が再増幅される。
本テクノロジーの別の局面は、複数のプライマー対が同一反応において使用される、複数の標的核酸を増幅する方法を開示する。一つの態様において、アニーリングは、DNA-DNAハイブリダイゼーションが起こることを可能にする様々な温度で起こる。従って、IAPは、高温でのアニーリング/増幅の高い特異性のため、多重DNA増幅の最適化にとって理想的である。
一つの態様において、本テクノロジーは、二つ以上の核酸試料において差次的に発現されたmRNAからのcDNAを検出しクローニングするためにIAPを使用する方法を開示する。テクノロジーの別の局面において、方法は、mRNAを逆転写し、少なくとも一つのIAPを使用して、増幅反応を実施することを要する。一つの態様において、IAPは、逆転写から生成されたcDNA鎖の一領域に相補的である。別の態様において、テクノロジーは、差次的に発現された遺伝子の同定に適用される、本明細書に記載された二段階増幅手順を利用する。
(a)mRNA転写物の第一の集団を表す第一の核酸試料、およびmRNA転写物の第二の集団を表す第二の核酸試料;ならびに
(b)鋳型により駆動されるDNA合成が起こるために十分な条件の下で、第一の核酸試料および第二の核酸試料の各々を、別々に、IAPと接触させる工程(第一のプライマー、即ち、第一のIAPの3'セグメントは、ハイブリダイズするための差次的に発現されたmRNAの第一の部位に相補的な配列を含有している);ならびに
(c)第一のプライマーがハイブリダイズする第一の核酸試料における差次的に発現されたmRNAに相補的な第一cDNA鎖の集団を作製し、第一のプライマーがハイブリダイズする第二の核酸試料における差次的に発現されたmRNAに相補的な第一cDNA鎖の第二の集団を作製するため、差次的に発現されたmRNAを逆転写し、第一のプライマーをハイブリダイズさせる工程;ならびに
(d)第一cDNA鎖の第一の集団および第二の集団の各々を精製し定量化する工程;ならびに
(e)第一のアニーリング温度で、第二のプライマー、即ち、第二のIAPが、第一cDNA鎖の各集団における第二の部位にアニールし、第二cDNA鎖の第一の集団および第二の集団が生成される条件の下で、3'セグメントが第一cDNA鎖の第一の集団および第二の集団における第二の部位に相補的である第二のIAPを使用して、プライマーアニーリング、プライマー伸長、および変性を少なくとも1サイクル含む、工程(d)から入手された第一cDNA鎖の第一の集団および第二の集団の各々の第一段階増幅を実施する工程;ならびに
(f)第二のアニーリング温度で、プライマーが各第二cDNA鎖のそれぞれ3'末端および5'末端の配列にアニールし、第二cDNA鎖の増幅産物が生成される条件の下で、それぞれ工程(b)および(e)からの同一の第一のプライマーおよび第二のプライマー、即ち、第一のIAPおよび第二のIAP、または工程(b)および(e)において使用された第一のプライマーおよび第二のプライマーの各5'セグメントに対応する予め選択された任意のヌクレオチド配列を含有しているプライマーを使用して、プライマーアニーリング、プライマー伸長、および変性を少なくとも2サイクル含む、工程(e)から生成された各第二cDNA鎖の第二段階増幅を実施する工程;ならびに
(g)工程(f)から入手された増幅産物の第一の集団および第二の集団における個々の増幅産物の存在またはレベルを比較する工程
を含むが、これらに限定されない。
本テクノロジーにより企図されるように、IAPは、標準塩基、即ち、天然塩基に加えて、少なくとも2個の連続するかまたは連続しない非標準塩基を含有している。天然塩基、即ち、DNAおよび/またはRNAは、それぞれ、ホスホジエステル結合により連結されたデオキシリボースまたはリボースを含むオリゴヌクレオチド鋳型を形成することができる。デオキシリボースまたはリボースは、各々、糖にカップリングされた塩基を含んでいる。天然に存在するDNAおよびRNAに取り込まれる天然塩基は、アデノシン(A)、グアノシン(G)、チミジン(T)、シチジン(C)、およびウリジン(U)である。GがCと対形成し、AがTまたはUと対形成する、WatsonおよびCrickにより詳述された塩基対形成の法則に従って、天然塩基は、ハイブリダイズして、プリン−ピリミジン塩基対を形成することができる。これらの対形成法則は、オリゴヌクレオチドの、相補的なオリゴヌクレオチドとの特異的なハイブリダイゼーションを容易にする。
本テクノロジーの一つの局面は、増加したアニーリング特異性を有する増幅反応を実施するための試薬および説明書を含有しているキットを開示する。一つの態様において、キットは、鋳型核酸に相補的な特異的な3'セグメント配列から、イソ領域により分離されている、核酸鋳型に相補的な5'セグメントを含むIAPを含有している。一つの態様において、キットは、少なくとも2個の連続するかまたは連続しない非標準塩基を含むイソ領域から構成されるIAPを含有している。別の態様において、キットは、非標準ヌクレオチド三リン酸、即ち、イソCおよび/またはイソGを含有している。本テクノロジーのキットは、緩衝液、DNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼ補因子、およびデオキシリボヌクレオチド5'三リン酸、即ち、dNTP、またはリボヌクレオチド5'三リン酸、即ち、NTPのような、PCR反応を実施するための試薬も含み得る。一つの態様において、キットは、逆転写酵素および/またはDNAポリメラーゼ活性を阻害する抗体のような様々なポリヌクレオチド分子も含み得る。
本明細書に開示されたIAPを、標的核酸を増幅するために適用する。以下の実験を、一段階PCR増幅において実施する。IAP系が、バックグラウンドおよび非特異的産物増幅のような、従来のプライマーセットまたは標準プライマーセットから生じる主要な問題を克服し得ることを証明するため、IAPを、従来のプライマーセットまたは標準プライマーセットから改作する。そのため、様々な融解温度(Tm)を有し、かつ散在する標準塩基を含み、または含まずに、少なくとも2個の連続するかまたは連続しないイソ塩基を含有するよう、IAPプライマーを設計した。5'セグメントは、約50℃〜65℃のTmを保有するIAPを作製するため、可変数の塩基を含有している。以下のIAPプライマーの3'セグメントは、約4〜10塩基を含有している。
2個の連続するイソG塩基を含むフォワードIAPプライマー、およびFAM(フルオレセイン)により標識された標準FluAリバースプライマーの存在下で、10,000×LoD FluA(FluA)DNA標的の増幅を行った。IAPプライマーは、60℃の5'セグメントTmを有し、3'末端に4〜7個の範囲の変動する数の塩基を有していた(表1を参照のこと)。PCR増幅反応のためのサイクリング条件は、94℃2分の反応物の予備加熱、それに続く、95℃5秒の変性、45℃20秒のアニーリング、および72℃30秒の伸長を含む70反応サイクルを含んでいた。表1に示されるように、蛍光(カウント)の減少は、リアルタイムで測定された、各増幅サイクルによる消光アンプリコンの生成によるものであり、標的DNA増幅の指標として機能した。増幅の後、得られたアンプリコンを熱変性を介した鎖分離に供し、蛍光シグナルを再生させた。融解が起こる特定の温度を、増幅産物の同一性を確認するために使用した(表1「Tm」を参照のこと)。
2個の連続するイソG塩基を有するフォワードIAPプライマー、およびFAMにより標識された標準FluAリバースプライマーの存在下で、FluA RNA標的の増幅を行った。IAPプライマーは、50℃の5'セグメントTmを有し、3'末端に4〜7個の範囲の変動する数の塩基を有していた(表3を参照のこと)。RNAを、50℃で15分間、MMLV-RT(Promega,Madison,WI)を使用して逆転写した後、増幅した。PCR増幅反応のサイクリング条件は、94℃2分の反応物の予備加熱、それに続く、95℃5秒の変性、45℃20秒のアニーリング、および72℃30秒の伸長を含む70反応サイクルを含んでいた。表3に示されるように、蛍光(カウント)の減少は、消光アンプリコンの生成によるものであった。アンプリコン同定の確認も、上記と同様に実施した。
2個の連続するイソG塩基を有するフォワードIAPプライマー、および標準リバースプライマーの存在下で、FluA DNA標的の増幅を行った。IAPプライマーは、55℃の5'セグメントTmを有し、3'末端に4〜7個の範囲の変動する数の塩基を有していた(表5を参照のこと)。PCR増幅反応は、二本鎖(ds)DNAインターカレーティング色素サイバーグリーンを利用し、94℃2分の反応物の予備加熱、それに続く、95℃5秒の変性、55℃20秒のアニーリング、および72℃30秒の伸長を含む70反応サイクルを含むサイクリング条件を利用した。表5に示されるように、蛍光(カウント)の変化は、リアルタイムで測定されたdsアンプリコンへのサイバーグリーンのインターカレーションによるものであり、標的DNA増幅の指標として機能した。アンプリコン同定の確認も、上記と同様に実施した。
1個の天然塩基により分離された2個の連続しないイソG塩基を有するリバースIAPプライマー、および標準フォワードプライマーの存在下で、FluA DNA標的の増幅を行った。IAPプライマーは、60℃の5'セグメントTmを有し、3'末端に4個の塩基を有していた(表6を参照のこと)。PCR増幅反応は、dsDNAインターカレーティング色素サイバーグリーンを使用し、94℃2分の反応物の予備加熱、それに続く、95℃5秒の変性、55℃20秒のアニーリング、および72℃30秒の伸長を含む70反応サイクルを含むサイクリング条件を使用した。表6に示されるように、蛍光(カウント)の変化は、リアルタイムで測定された、dsアンプリコンへのサイバーグリーンのインターカレーションによるものであり、標的DNA増幅の指標として機能した。アンプリコン同定の確認も、上記と同様に実施した。
2個の連続するイソG塩基を各々有するフォワードIAPプライマーおよびリバースIAPプライマーの存在下で、FluA DNA標的の増幅を行った。IAPプライマーは、50℃、55℃、および60℃の5'セグメントTmを有し、3'末端に4〜7個の変動する数の塩基を有していた(それぞれ表7〜9を参照のこと)。PCR増幅反応は、dsDNAインターカレーティング色素サイバーグリーンを使用し、94℃2分の反応物の予備加熱、それに続く、95℃5秒の変性、55℃20秒のアニーリング、および72℃30秒の伸長を含む70反応サイクルを含むサイクリング条件を使用した。表7〜9に示されるように、蛍光(カウント)の変化は、リアルタイムで測定された、dsアンプリコンへのサイバーグリーンのインターカレーションによるものであり、標的DNA増幅の指標として機能した。アンプリコン同定の確認も、上記と同様に実施した。
2個の連続するイソG塩基を各々含むフォワードIAPプライマーおよびリバースIAPプライマーの存在下で、FluA DNA標的の増幅を実施し、標準プライマーを使用した対照反応と比較した。IAPプライマーは、50℃の5'セグメントTmを有し、3'末端に5個の塩基を有していた。PCR増幅反応は、dsDNAインターカレーティング色素サイバーグリーンを使用し、94℃2分の反応物の予備加熱、それに続く、95℃5秒の変性、55℃20秒のアニーリング、および72℃30秒の伸長を含む50反応サイクルを含むサイクリング条件を使用した。表10に示されるように、蛍光(カウント)の変化は、リアルタイムで測定された、dsアンプリコンへのサイバーグリーンのインターカレーションによるものであり、標的DNA増幅の指標として機能した。アンプリコン同定の確認も、上記と同様に実施した。IAPプライマー(表10を参照のこと)の存在下で実施された増幅は、フォワードおよびリバースの標準FluAプライマー(表10を参照のこと)を使用した対照反応と比較して、より少ない非特異的相互作用を有していたことが注目される。
Claims (13)
- 核酸試料を、増幅条件下で、
(a)鋳型配列に相補的な4〜10ヌクレオチドの3'セグメント;
(b)K、X、H、J、M、N、イソCおよびイソGからなる群より独立に選択される少なくとも2個の連続する非標準塩基を含み、かつ少なくとも一つのプライマーの3'セグメントについてのアニーリングを制限する、3'セグメントの5'末端にあるイソ領域;
(c)鋳型配列に相補的な6〜60ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む、イソ領域の5'末端にある5'セグメントであって、少なくとも一つのプライマーが3'セグメントのみを有するプライマーと比較して増加した鋳型配列に対するアニーリング特異性を有する、5'セグメント
を含む少なくとも一つのプライマーと接触させる工程
を含む、増幅反応のアニーリング特異性を増加させるための方法。 - 前記少なくとも一つのプライマーが35〜50ヌクレオチド長である、請求項1記載の方法。
- 前記イソ領域が少なくとも3個の非標準塩基を含む、請求項1記載の方法。
- 増幅反応が、
PCR;逆転写酵素PCR;リアルタイムPCR;ディファレンシャルディスプレイPCR;PCRに基づくゲノム分析;AP(Arbitrary Primed)-PCR;多重PCR;ロングレンジ(long-range)PCR;直線的(linear)PCR;逆PCR;定量的PCR;タッチダウンPCR;インサイチューPCR;ベクトレット(vectorette)PCR;TAIL(thermal asymmetric interlaced)PCR;MOPAC(mixed oligonucleotide-primed amplification of cDNA);3'-RACE;5'-RACE、高分解能融解分析、およびプライマー伸長反応
からなる群より選択される、請求項1記載の方法。 - アニーリング工程が、3'セグメントのみを有するプライマーと比較して、前記少なくとも一つのプライマーのアニーリング特異性を増加させるために十分な温度で実施される、請求項1記載の方法。
- (a)鋳型配列の変性、少なくとも一つのプライマーのアニーリング、および少なくとも一つのプライマーの伸長を少なくとも2サイクル含む、第一増幅産物を形成させるために第一のアニーリング温度で鋳型配列の第一段階増幅を実施する工程であって、少なくとも一つのプライマーが、
(i)鋳型配列に相補的な4〜10ヌクレオチドの3'セグメント;
(ii)K、X、H、J、M、N、イソCおよびイソGからなる群より独立に選択される少なくとも2個の連続する非標準塩基を含み、かつ少なくとも一つのプライマーの3'セグメントについてのアニーリングを制限する、3'セグメントの5'末端にあるイソ領域;ならびに
(iii)鋳型配列に相補的な6〜60ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む、イソ領域の5'末端にある5'セグメント
を含む、工程と、
(b)第二のアニーリング温度で、
(i)工程(a)から生成された増幅産物の変性、少なくとも一つのプライマーのアニーリング、および少なくとも一つのプライマーの伸長;または
(ii)工程(a)から生成された増幅産物の変性、ならびに少なくとも一つのプライマーの5'セグメントに対応する配列を含むプライマーのアニーリングおよび伸長
を少なくとも1サイクル含む、第一増幅産物の第二段階増幅を実施する工程と
を含む、二段階反応において標的核酸を増幅するための方法。 - 標的核酸が、
(a)オリゴヌクレオチドdTプライマーもしくはアンカード(anchored)オリゴヌクレオチドdTプライマーを標的mRNAのポリAテール領域にハイブリダイズさせるか、または六量体、七量体、および/もしくは八量体のランダムオリゴヌクレオチドを標的mRNAにハイブリダイズさせること;ならびに(b)cDNAを作製するために標的mRNAを逆転写すること
により形成されたcDNAである、請求項6記載の方法。 - 二段階増幅手順が、
PCR;多重DNA増幅;差次的に発現された遺伝子の同定;3'-RACE;プライマー伸長反応;5'-RACE;全長cDNAの増幅;5'濃縮(enriched)cDNAの増幅;DNAフィンガープリント;RNAフィンガープリント;多重遺伝子ファミリーにおける保存されたホモロジーセグメントの同定;ヌクレオチド配列変動の同定;プレmiRNA増幅;rRNA増幅;PCR後の高分解能融解分析;および変異誘発
の群を含む方法に適用される、請求項6記載の方法。 - (a)3'セグメントが4〜10ヌクレオチドでありかつ鋳型配列に相補的である少なくとも一つのプライマーを合成する工程;
(b)K、X、H、J、M、N、イソCおよびイソGからなる群より独立に選択される少なくとも2個の連続する非標準塩基を含むイソ領域を、3'セグメントの5'末端に組み入れる工程であって、該イソ領域が、少なくとも一つのプライマーの3'セグメントについてのアニーリングを制限し、それにより、3'セグメントのみを有するプライマーと比較して、3'セグメントのアニーリング特異性を増加させる、工程;
(c)鋳型配列を含有している鋳型の任意の領域に相補的な6〜60ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む5'セグメントを、イソ領域の5'末端に組み入れる工程であって、それによって少なくとも一つのプライマーが、3'セグメントのみを有するプライマーと比較して増加した鋳型配列に対するアニーリング特異性を有する、工程
を含む、少なくとも一つのプライマーのアニーリング特異性を増加させるための方法。 - 前記合成する工程が、固相合成;DNA複製;逆転写;制限消化;ランオフ(run-off)転写;PCR;PCRに基づく方法;プライマー伸長反応;およびライゲーションからなる群より選択される方法を含む、請求項9記載の方法。
- 前記少なくとも一つのプライマー配列が35〜50デオキシリボヌクレオチド長または35〜50リボヌクレオチド長である、請求項9記載の方法。
- 前記イソ領域が少なくとも3個の非標準塩基を含む、請求項11記載の方法。
- 前記少なくとも一つのプライマーが増幅反応または二段階増幅反応において使用される、請求項9記載の方法。
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