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JP5971463B2 - 熱サイクル装置及び熱サイクル装置の制御方法 - Google Patents
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JP5971463B2 - 熱サイクル装置及び熱サイクル装置の制御方法 - Google Patents

熱サイクル装置及び熱サイクル装置の制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱サイクル装置及び熱サイクル装置の制御方法に関する。
近年、遺伝子の利用技術の発展によって、遺伝子診断や遺伝子治療など遺伝子を利用した医療が注目されている他、農畜産分野においても品種判別や品種改良に遺伝子を用いた手法が多く開発されている。遺伝子を利用するための技術として、PCR(Polymerase Chain Reaction;ポリメラーゼ連鎖反応)法などの技術が広く普及している。今日では、PCR法は生体物質の情報解明において必要不可欠な技術となっている。
PCR法は、増幅の対象とする核酸(標的核酸)及び試薬を含む溶液(反応液)に熱サイクルを施すことで、標的核酸を増幅させる手法である。熱サイクルは、2段階以上の温度を周期的に反応液に施す処理である。PCR法においては、2段階又は3段階の熱サイクルを施す手法が一般的である。
PCR法では一般に、チューブや生体試料反応用チップ(バイオチップ)と称する、生化学反応を行うための容器を使用する。しかしながら従来の手法においては、必要な試薬等の量が多く、また反応に必要な熱サイクルを実現するために装置が複雑化したり、反応に時間がかかったりするという問題があった。そのため微少量の試薬や検体を用いてPCRを精度よく短時間で行うためのバイオチップや反応装置が必要とされていた。
このような問題を解決するために、特許文献1には、反応液と、反応液と混和せず反応液よりも比重の小さい液体とが充填された生体試料反応用チップを、水平方向の回転軸の周りに回転させることで、反応液を移動させて熱サイクルを施す生体試料反応装置が開示されている。
また、RNA(ribonucleic acid)を鋳型に逆転写反応を行い、生成されたcDNA(complementary deoxyribonucleic acid)に対してPCRを行うRT−PCR(Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction;逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)法が知られている。
特開2009−136250号公報
RT−PCR法で用いられる逆転写酵素は、通常は耐熱性酵素ではないので、高温に曝されると失活する可能性がある。逆転写酵素が失活して十分な逆転写反応を行えなくなると、その後のPCRも正しく行うことができなくなるので、RT−PCRの反応精度が低下する可能性がある。ここで、熱サイクルに要する時間を短縮するためには、熱サイクル装置を予熱しておくことが好ましい。特許文献1には、熱サイクル装置の収容部が、1つのヒーターの側から生体試料反応用チップを挿入するスリットである例が示されている。当該スリットに生体試料反応用チップを装着する際に、温度が高すぎるヒーターがあると、反応液が高温に曝されて逆転写酵素が失活する可能性があった。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、逆転写酵素の失活によってRT−PCRの反応精度が低下することを抑制でき、かつ、反応に要する時間(反応時間)を短縮できる熱サイクル装置及び熱サイクル装置の制御方法を提供することができる。
(1)本形態に係る熱サイクル装置は、逆転写酵素を含む反応液と、前記反応液よりも比重が小さく、かつ、前記反応液とは混和しない液体とが充填され、対向する内壁に前記反応液が近接して移動する流路を含む反応容器が挿入される挿入口を有する装着部と、前記装着部に前記反応容器が装着された場合に、前記流路の第1領域を加熱する第1加熱部と、前記装着部に前記反応容器が装着された場合に、前記第1領域よりも前記挿入口に近い前記流路の第2領域を加熱する第2加熱部と、前記装着部、前記第1加熱部及び前記第2加熱部の配置を、第1の配置と、第2の配置との間で切換える駆動機構と、前記第1加熱部、前記第2加熱部を制御する制御部と、を含み、前記第1の配置は、前記装着部に前記反応容器が装着された場合に、前記第1領域が重力の作用する方向における前記流路の最下部に位置する配置であり、前記第2の配置は、前記装着部に前記反応容器が装着された場合に、前記第2領域が重力の作用する方向における前記流路の最下部に位置する配置であり、前記制御部は、前記第1加熱部の温度を、前記逆転写酵素が活性を有する温度に制御し、かつ、前記第2加熱部の温度を、前記逆転写酵素が失活しない温度に制御する第1処理を行う。
本形態によれば、装着部、第1加熱部及び第2加熱部の配置を切り換えることで、反応容器が第1の配置に保持された状態と、反応容器が第2の配置に保持された状態とを切り換えることができる。第1の配置は、反応容器を構成する流路の第1領域が、重力の作用する方向における流路の最下部に位置する配置である。第2の配置は、反応容器を構成する流路の第2領域が、重力の作用する方向における流路の最下部に位置する配置である。すなわち、重力の作用によって第1の配置においては反応液を第1領域に、第2の配置においては反応液を第2領域に保持できる。第1領域は第1加熱部によって加熱され、第2領域は第2加熱部によって加熱されるので、第1領域と第2領域とは異なる温度とすることができる。したがって、第1の配置又は第2の配置に反応容器を保持する間、反応液を所定の温度に保持できるので、加熱時間を容易に制御可能な熱サイクル装置を提供できる。また、第1処理では、挿入口から遠い第1領域を加熱する第1加熱部の温度は、逆転写酵素が活性を有する温度である第1温度であり、挿入口に近い第2領域を加熱する第2加熱部の温度は、逆転写酵素が失活しない温度である第2温度であるので、第1処理を行なっている間に反応容器を装着部に装着しても、逆転写酵素が失活するような高温に反応液が曝されることがない。したがって、逆転写酵素の失活を抑制できるので、反応精度を高めた熱サイクル装置を実現できる。また、第1温度が逆転写酵素によって逆転写反応が進行する温度であるので、反応容器を装着した後に加熱を開始する場合と比較して、速やかに逆転写反応を開始できる。したがって、反応容器を装着した後に加熱を開始する場合よりも反応時間を短縮できる。
(2)上述の熱サイクル装置において、前記制御部は、さらに、前記駆動機構を制御し、
前記第1処理の後に、前記装着部、前記第1加熱部及び前記第2加熱部の配置が前記第2の配置になるように前記駆動機構を制御し、かつ、前記第2加熱部の温度を、前記逆転写酵素が失活する温度に制御する第2処理を行なってもよい。
第2処理においては、装着部、第1加熱部及び第2加熱部の配置が第2の配置に制御されるので、反応液が第2領域に保持される。すなわち、反応液は逆転写酵素が失活する温度である第3温度になる。したがって、本形態によれば、反応液を反応容器の第2領域へ移動させることによって逆転写酵素を失活させることができる。したがって、第1加熱部の温度を逆転写酵素が失活する温度に変更する場合と比較して、逆転写反応からポリメラーゼ連鎖反応の熱サイクルに移行する場合に要する時間を短縮することができる。
(3)上述の熱サイクル装置において、前記制御部は、前記第1処理の後で前記第2処理の前に、前記装着部、前記第1加熱部及び前記第2加熱部の配置が前記第1の配置になるように前記駆動機構を制御し、かつ、前記第1加熱部の温度を、前記逆転写酵素が活性を有する温度に制御し、前記第2加熱部の温度を、前記逆転写酵素が失活する温度に制御する第3処理を行なってもよい。
第3処理においては、装着部、第1加熱部及び第2加熱部の配置が第1の配置に制御されるので、反応液が第1領域に保持される。第3処理における第1加熱部の温度は逆転写酵素が活性を有する温度であるので、逆転写反応が進行する。よって、本形態によれば、反応液が第1領域に保持されている時間を使って、第2領域を加熱する第2加熱部の温度を第2温度から第3温度に変更できる。したがって、第2処理において装着部、第1加熱部及び第2加熱部の配置が第2の配置に制御された場合に、速やかに逆転写酵素を失活させることができる。
(4)上述の熱サイクル装置において、前記制御部は、前記第2処理において、前記第1加熱部の温度を、ポリメラーゼ連鎖反応におけるアニーリング及び伸長温度に制御してもよい。
第2処理においては、装着部、第1加熱部及び第2加熱部の配置が第2の配置に制御されるので、反応液が第2領域に保持される。よって、本形態によれば、反応液が第2領域に保持されている時間を使って、第1領域を加熱する第1加熱部の温度を第1温度から第4温度に変更できる。したがって、第2処理の後に第1加熱部の温度をアニーリング及び伸長温度に制御する場合と比較して、逆転写反応からポリメラーゼ連鎖反応の熱サイクルに移行する場合に要する時間を短縮できる。
(5)上述の熱サイクル装置において、前記制御部は、前記第2処理の後に、前記装着部、前記第1加熱部及び前記第2加熱部の配置が前記第1の配置になるように前記駆動機構を制御してもよい。
本形態によれば、第2処理の後に、装着部、第1加熱部及び第2加熱部の配置を第1の配置に制御するので、第1の配置に切換えてから第1加熱部の温度をアニーリング及び伸長温度に制御する場合と比較して、反応液がアニーリング及び伸長温度に保持される時間を精度よく制御できる。
(6)上述の熱サイクル装置において、前記逆転写酵素が活性を有する温度は、ポリメラーゼ連鎖反応における熱変性温度であってもよい。
本形態によれば、装着部、第1加熱部及び第2加熱部の配置を第2の配置に制御した場合に、逆転写酵素が失活する温度でありかつポリメラーゼ連鎖反応におけるDNAの熱変性温度に制御された第2領域に反応液が保持される。これによって、逆転写酵素の失活と、ポリメラーゼ連鎖反応における熱変性とを同一の工程で行うことができる。したがって、逆転写酵素の失活と熱変性の温度とが異なる場合と比較して、逆転写反応からポリメラーゼ連鎖反応の熱サイクルに移行する場合に要する時間を短縮できる。
(7)本形態に係る熱サイクル装置の制御方法は、熱サイクル装置の制御方法であって、前記熱サイクル装置は、逆転写酵素を含む反応液と、前記反応液よりも比重が小さく、かつ、前記反応液とは混和しない液体とが充填され、対向する内壁に前記反応液が近接して移動する流路を含む反応容器が挿入される挿入口を有する装着部と、前記装着部に前記反応容器が装着された場合に、前記流路の第1領域を加熱する第1加熱部と、前記装着部に前記反応容器が装着された場合に、前記第1領域よりも前記挿入口に近い前記流路の第2領域を加熱する第2加熱部と、前記装着部、前記第1加熱部及び前記第2加熱部の配置を、第1の配置と、第2の配置との間で切換える駆動機構と、を含み、前記第1の配置は、前記装着部に前記反応容器が装着された場合に、前記第1領域が重力の作用する方向における前記流路の最下部に位置する配置であり、前記第2の配置は、前記装着部に前記反応容器が装着された場合に、前記第2領域が重力の作用する方向における前記流路の最下部に位置する配置であり、前記制御方法は、前記第1加熱部の温度を、前記逆転写酵素が活性を有する温度に制御することと、前記第2加熱部の温度を、前記逆転写酵素が失活しない温度に制御することと、を含む。
実施形態に係る熱サイクル装置1の斜視図。 実施形態に係る熱サイクル装置1の本体10の分解斜視図。 図1のA−A線における垂直断面図。 実施形態に係る熱サイクル装置1に装着される反応容器100の構成を表す断面図。 実施形態に係る熱サイクル装置1の機能ブロック図。 図6(A)は、第1の配置における、図1(A)のA−A線を通り回転軸Rに垂直な面における断面を模式的に示す断面図、図6(B)は、第2の配置における図1(A)のA−A線を通り回転軸Rに垂直な面における断面を模式的に示す断面図。 実施形態に係る熱サイクル装置1の制御方法の一例を説明するためのフローチャート。 図7に示される制御方法における第1加熱部21の温度T1及び第2加熱部22の温度T2の時間変化を示すグラフ。 熱サイクル処理の一例を説明するためのフローチャート。 実施例における反応液140の組成を示す表。 図10におけるフォワードプライマー(F primer)、リバースプライマー(R primer)、プローブ(Probe)の塩基配列を示す表。 熱サイクル処理のサイクル数と測定される輝度との関係を示すグラフ。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.本実施形態に係る熱サイクル装置の全体構成
図1は、本実施形態に係る熱サイクル装置1の斜視図である。図2は、本実施形態に係る熱サイクル装置1の本体10の分解斜視図である。図3は、図1のA−A線における垂直断面図である。図3において、矢印gは重力の作用する方向を表す。
本実施形態に係る熱サイクル装置1は、逆転写酵素を含む反応液140と、反応液140よりも比重が小さく、かつ、反応液140とは混和しない液体130とが充填され、対向する内壁に前記反応液が近接して移動する流路110を含む反応容器100(詳細は「2.本実施形態に係る熱サイクル装置に装着される反応容器の構成」の項で後述される)が挿入される挿入口151を有する装着部15と、装着部15に反応容器100が装着された場合に、流路110の第1領域111を加熱する第1加熱部21と、装着部15に反応容器100が装着された場合に、第1領域111よりも挿入口151に近い流路110の第2領域112を加熱する第2加熱部22と、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置を、第1の配置と、第2の配置との間で切換える駆動機構30と、第1加熱部21及び第2加熱部22を制御する制御部40と、を含む。第1の配置は、装着部15に反応容器100が装着された場合に、第1領域111が重力の作用する方向における流路110の最下部に位置する配置であり、第2の配置は、装着部15に反応容器100が装着された場合に、第2領域112が重力の作用する方向における流路110の最下部に位置する配置である。
図1に示される例では、熱サイクル装置1は、本体10と駆動機構30とを含んで構成されている。図2に示されるように、本体10は、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22を含んで構成されている。
装着部15は、反応容器100を装着する構造である。図1及び図2に示される例では、熱サイクル装置1の装着部15は、挿入口151を有し、挿入口151から反応容器100を差し込んで装着するスロット構造である。図2に示される例では、装着部15は、第1加熱部21の第1ヒートブロック21b及び第2加熱部22の第2ヒートブロック22bを貫通する穴に反応容器100を差し込む構造となっている。第1ヒートブロック21b及び第2ヒートブロック22bについては後述する。本体10に設けられる装着部15の数は複数であってもよく、図1及び図2に示される例では、10個の装着部15が本体10に設けられている。また、図2及び図3に示される例では、装着部15が第1加熱部21及び第2加熱部22の一部として構成されているが、駆動機構30を動作させた場合に両者の位置関係が変化しない限り、装着部15と第1加熱部21及び第2加熱部22とは別の部材として構成されていてもよい。
第1加熱部21は、装着部15に反応容器100を装着した場合に、反応容器100の流路110の第1領域111を加熱する。図3に示される例では、第1加熱部21は、本体10において、反応容器100の第1領域111を加熱する位置に配置されている。
第1加熱部21は、熱を発生させる機構と、発生した熱を反応容器100に伝える部材とを含んでもよい。図2に示される例では、第1加熱部21は、熱を発生させる機構としての第1ヒーター21aと、発生した熱を反応容器100に伝える部材としての第1ヒートブロック21bを含んで構成されている。
熱サイクル装置1においては、第1ヒーター21aはカートリッジヒーターであり、導線19によって図示しない外部電源に接続される。第1ヒーター21aとしてはこれに限らず、カーボンヒーター、シートヒーター、IHヒーター(電磁誘導加熱器)、ペルチェ素子、加熱液体、加熱気体などを使用できる。第1ヒーター21aは第1ヒートブロック21bに挿入されており、第1ヒーター21aが発熱することで第1ヒートブロック21bが加熱される。第1ヒートブロック21bは、第1ヒーター21aから発生した熱を反応容器100に伝える部材である。熱サイクル装置1においては、第1ヒートブロック21bは、アルミニウム製のブロックである。カートリッジヒーターは温度制御が容易であるので、第1ヒーター21aをカートリッジヒーターとすることで、第1加熱部21の温度を容易に安定させることができる。したがって、より正確な熱サイクルを実現できる。
ヒートブロックの材質は熱伝導率、保温性、加工しやすさ等の条件を考慮して適宜選択できる。例えば、アルミニウムは熱伝導率が高いので、第1ヒートブロック21bをアルミニウム製とすることで、反応容器100を効率よく加熱できる。また、ヒートブロックに加熱ムラが生じにくいので、精度の高い熱サイクルを実現できる。また、加工が容易なので第1ヒートブロック21bを精度よく成型でき、加熱の精度を高めることができる。したがって、より正確な熱サイクルを実現できる。なお、ヒートブロックの材質は、例えば銅合金を使用してもよく、複数の材質を組み合わせてもよい。
第1加熱部21は、装着部15に反応容器100を装着した場合に、反応容器100に接触していることが好ましい。これによって、第1加熱部21によって反応容器100を加熱した場合に、第1加熱部21と反応容器100とが接触しない構成よりも第1加熱部21の熱を反応容器100に安定して伝えることができるので、反応容器100の温度を安定させることができる。本実施形態のように、装着部15が第1加熱部21の一部として形成されている場合には、装着部15が反応容器100と接触することが好ましい。これによって、第1加熱部21の熱を反応容器100に安定して伝えることができるので反応容器100を効率よく加熱できる。
第2加熱部22は、装着部15に反応容器100を装着した場合に、第1領域111よりも挿入口151に近い反応容器100の流路110の第2領域112を、第1の温度とは異なる第2の温度に加熱する。図3に示される例では、第2加熱部22は、本体10において、反応容器100の第2領域112を加熱する位置に配置されている。第2加熱部22は、第2ヒーター22a及び第2ヒートブロック22bを含む。本実施形態における第2加熱部22の構成は、加熱される反応容器100の領域及び加熱する温度が第1加熱部21と異なる以外は、第1加熱部21と同様である。なお、第1加熱部21と第2加熱部22とで異なる加熱機構を採用してもよい。また、第1ヒートブロック21bと第2ヒートブロック22bとが異なる材質であってもよい。
第1加熱部21及び第2加熱部22は、装着部15に反応容器100を装着した場合に、流路110に対して、反応液140が移動する方向に温度勾配を形成する温度勾配形成部として機能する。ここで、「温度勾配を形成する」とは、所定の方向に沿って温度が変化する状態を形成することを意味する。したがって、「反応液140が移動する方向に温度勾配を形成する」とは、反応液140が移動する方向に沿って温度が変化する状態を形成することを意味する。「所定の方向に沿って温度が変化する状態」は、例えば、所定の方向に沿って温度が単調に高く又は低くなっていてもよいし、所定の方向に沿って、温度が高くなる変化から低くなる変化へ、又は、低くなる変化から高くなる変化へ、途中で変化していてもよい。熱サイクル装置1の本体10においては、第1加熱部21が装着部15の挿入口151から相対的に遠い側、第2加熱部22が装着部15の挿入口151から相対的に近い側に配置されている。
また、第1加熱部21と第2加熱部22とは、互いに離間して本体10に設けられている。これによって、互いに異なる温度に制御された第1加熱部21と第2加熱部22とが互いに影響を及ぼしにくくなるので、第1加熱部21及び第2加熱部22の温度が安定しやすくなる。第1加熱部21と第2加熱部22との間にスペーサーを設けてもよい。熱サイクル装置1の本体10においては、第1加熱部21及び第2加熱部22は、その周囲を固定部材16、フランジ17及びフランジ18で固定されている。フランジ18は軸受31で支持されている。なお、所望の反応精度が確保できる程度に温度勾配が形成される限り、加熱部の数は2以上の任意の数であってもよい。
第1加熱部21及び第2加熱部22の温度は、図示しない温度センサー及び後述される制御部40によって制御されてもよい。第1加熱部21及び第2加熱部22の温度は、反応容器100が所望の温度に加熱されるように設定されることが好ましい。第1加熱部21及び第2加熱部22の温度の制御の詳細については、「3.熱サイクル装置の制御例」の項で詳述される。なお、第1加熱部21及び第2加熱部22の温度は、反応容器100の第1領域111及び第2領域112が所望の温度に加熱されるように制御されていればよい。例えば、反応容器100の材質や大きさを考慮することで、第1領域111及び第2領域112の温度をより正確に所望の温度に加熱できる。本実施形態においては、温度センサーによって第1加熱部21及び第2加熱部22の温度を測定する。本実施形態の温度センサーは熱電対である。なお、温度センサーとしてはこれに限らず、例えば測温抵抗体やサーミスタを使用してもよい。
駆動機構30は、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置を、第1の配置と、第1の配置とは異なる第2の配置との間で切換える。本実施形態においては、駆動機構30は、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22を、重力の作用する方向に対して垂直な成分を有し、かつ、装着部15に反応容器100を装着した場合に流路110を反応液140が移動する方向に対して垂直な成分を有する回転軸Rの周りに回転させる機構である。
「重力の作用する方向に対して垂直な成分を有する」方向は、「重力の作用する方向に対して平行な成分」と「重力の作用する方向に対して垂直な成分」とのベクトル和で表した場合における、重力の作用する方向に対して垂直な成分を有する方向である。
「流路110を反応液140が移動する方向に対して垂直な成分を有する」方向は、「流路110を反応液140が移動する方向に対して平行な成分」と「流路110を反応液140が移動する方向に対して垂直な成分」とのベクトル和で表した場合における、流路110を反応液140が移動する方向に対して垂直な成分を有する方向である。
本実施形態に係る熱サイクル装置1においては、駆動機構30は、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22を、同一の回転軸Rの周りに回転させている。また、本実施形態においては、駆動機構30は図示しないモーター及び駆動軸を含み、駆動軸と本体10のフランジ17とが接続されて構成されている。駆動機構30のモーターを動作させると、駆動軸を回転軸Rとして本体10が回転される。本実施形態においては、回転軸Rの方向に沿って10個の装着部15が設けられている。なお、駆動機構30としては、モーターに限らず、例えばハンドル、ぜんまい等を採用できる。
熱サイクル装置1は、制御部40を含む。制御部40は、第1加熱部21及び第2加熱部22を制御する。制御部40は、さらに駆動機構30を制御してもよい。制御部40による制御例については、「3.熱サイクル装置の制御例」の項で詳述される。制御部40は、専用回路によって実現して後述される制御を行うように構成されていてもよい。また、制御部40は、例えばCPU(Central Processing Unit)がROM(Read Only Memory)やRAM(R andom Access Memory)等の記憶装置に記憶された制御プログラムを実行することによってコンピューターとして機能し、後述される制御を行うように構成されていてもよい。この場合、記憶装置は、制御に伴う中間データや制御結果などを一時的に記憶するワークエリアを有していてもよい。また、制御部40は、時間を計測するためのタイマーを有していてもよい。また、制御部40は、上述した図示しない温度センサーの出力に基づいて第1加熱部21及び第2加熱部22を所望の温度に制御してもよい。
熱サイクル装置1は、反応容器100を第1加熱部21及び第2加熱部22に対して所定の位置に保持する構造を含むことが好ましい。これによって、第1加熱部21及び第2加熱部22によって反応容器100の所定の領域を加熱できる。より具体的には、反応容器100を構成する流路110の、第1領域111を第1加熱部21によって、第2領域112を第2加熱部22によって、加熱できる。本実施形態においては、第1ヒートブロック21b及び第2ヒートブロック22bに設けられた貫通孔(装着部15の直径)の大きさを適切に設定することによって、第1加熱部21及び第2加熱部22に対して反応容器100を所定の位置に保持している。
第1ヒートブロック21bは、フィン210を有する構造であってもよい。これによって、第1加熱部21の表面積が大きくなるので、第1加熱部21の温度を高い温度から低い温度に変更する場合に要する時間が短くなる。
熱サイクル装置1は、第1加熱部21及び第2加熱部22に対して送風するファン500を含んでいてもよい。送風することによって、第1加熱部21と第2加熱部22との間での熱の移動を抑制できる。したがって、互いに異なる温度に制御された第1加熱部21と第2加熱部22とが互いに影響を及ぼしにくくなるので、第1加熱部21及び第2加熱部22の温度が安定しやすくなる。
図1に示されるように、熱サイクル装置1は測定部50を含んでもよい。本実施形態においては、測定部50は蛍光検出器を含んで構成されている。これによって、例えばリアルタイムPCRのような蛍光測定を伴う用途に熱サイクル装置1を使用できる。測定部50の数は測定が問題なく行える限り任意である。図1に示される例では、1個の測定部50をスライド52に沿って移動させて蛍光測定を行う。
測定部50の位置は、第2加熱部22に近い側よりも第1加熱部21に近い側が好ましい。これによって、反応容器100を装着部15に装着する際に作業の障害となりにくくなる。また、測定部50は、反応容器100の第1領域111からの光を測定するように設けられていてもよい。第1加熱部21の温度をPCRのアニーリング及び伸長温度(アニーリング及び伸長反応が進行する温度)にした場合に、リアルタイムPCRにおいて適切な蛍光測定ができる。また、後述される蓋(封止部120)付きの反応容器100を用いる場合には、蓋に近い側となる第2領域112よりも、蓋から遠い側となる第1領域111の方が、測定部50と反応液140との間に存在する部材が少ないので、より適切な蛍光測定ができる。
上述のように、熱サイクル装置1をリアルタイムPCRに用いる場合には、PCRに必要な熱サイクルを反応液140に施す期間中においては、測定部50を第1加熱部21に近い側に設け、第1加熱部21をPCRのアニーリング及び伸長温度(50℃〜75℃程度)にすることが好ましい。この場合、挿入口151に近い第2加熱部22をPCRのアニーリング及び伸長温度よりも高い熱変性温度(90℃〜100℃程度)にする。
2.本実施形態に係る熱サイクル装置に装着される反応容器の構成
図4は、本実施形態に係る熱サイクル装置1に装着される反応容器100の構成を表す断面図である。図4において、矢印gは重力の作用する方向を表す。
反応容器100は、逆転写酵素を含む反応液140と、反応液140とは比重が異なり、かつ、反応液140とは混和しない液体130(以下、「液体130」という)とが充填され、反応液140が対向する内壁に沿って移動する流路110を含む。本実施形態においては、液体130は、反応液140よりも比重が小さく、かつ、反応液140とは混和しない液体である。なお、液体130として、例えば、反応液140とは混和せず、かつ、反応液140よりも比重が大きい液体を採用してもよい。図4に示される例では、反応容器100は流路110及び封止部120を含む。流路110には、反応液140と、液体130とが充填され、封止部120によって封止されている。
流路110は、対向する内壁に沿って反応液140が移動するように形成されている。ここで、流路110の「対向する内壁」とは、流路110の壁面の、向かい合う位置関係にある2つの領域を意味する。「沿って」とは、反応液140と流路110の壁面との距離が近い状態を意味し、反応液140が流路110の壁面に接触する状態を含む。したがって、「対向する内壁に沿って反応液140が移動する」とは、「流路110の壁面の、向かい合う位置関係にある2つの領域の両方に対して距離が近い状態で、反応液140が移動する」ことを意味する。換言すれば、流路110の対向する2つ内壁間の距離は、反応液140が該内壁に沿って移動する程度の距離である。
反応容器100の流路110がこのような形状であると、流路110内を反応液140が移動する方向を規制できるので、流路110内を反応液140が移動する経路をある程度規定できる。これによって、流路110内を反応液140が移動する所要時間を、ある程度の範囲に制限できる。したがって、流路110の対向する2つ内壁間の距離は、流路110内を反応液140が移動する時間のバラツキによって生じる、反応液140に対して施される熱サイクル条件のバラツキが、所望の精度を満たせる程度、すなわち、反応の結果が所望の精度を満たせる程度であることが好ましい。より具体的には、流路110の対向する2つの内壁間の反応液140が移動する方向に対して垂直な方向における距離が、反応液140の液滴が2つ以上入らない程度であることが望ましい。
図4に示される例では、反応容器100の外形は円錐台状であり、中心軸に沿う方向(図4における上下方向)を長手方向とする流路110が形成されている。流路110の形状は、流路110の長手方向に対して垂直な方向の断面、すなわち流路110のある領域における反応液140が移動する方向に対して垂直な断面(これを流路110の「断面」とする)が円形となる円錐台状である。したがって、反応容器100においては、流路110の対向する内壁は、流路110の断面の中心を挟んで対向する流路110の壁面上の2点を含む領域である。また、「反応液140が移動する方向」は、流路110の長手方向となる。
なお、流路110の形状は錐台状に限られず、例えば、柱状であってもよい。また、流路110の断面の形状は円形に限らず、多角形や楕円形など、対向する内壁に沿って反応液140が移動できる限り任意である。例えば、反応容器100の流路110の断面が多角形の場合には、「対向する内壁」は、流路110に内接する断面が円形の流路を仮定した場合に、該流路の対向する内壁であるものとする。すなわち、流路110に内接する、断面が円形の仮想流路の対向する内壁に沿って反応液140が移動するように流路110が形成されていればよい。これによって、流路110の断面が多角形の場合にも、第1領域111と第2領域112との間を反応液140が移動する経路をある程度規定できる。したがって、反応液140が第1領域111と第2領域112との間を移動する所要時間を、ある程度の範囲に制限できる。
反応容器100の第1領域111は、第1加熱部21によって加熱される、流路110の一部の領域である。第2領域112は、第2加熱部22によって加熱される、第1領域111とは異なる流路110の一部の領域である。図4に示される例では、第1領域111は、流路110の長手方向における一方の端部を含む領域であり、第2領域112は、流路110の長手方向における他方の端部を含む領域である。図4に示される例では、流路110のうち封止部120に相対的に遠い側の端部を含む点線で囲まれた領域が第1領域111であり、流路110のうち封止部120に相対的に近い側の端部を含む点線で囲まれた領域が第2領域112である。本実施形態に係る熱サイクル装置1は、第1加熱部21が反応容器100の第1領域111を加熱し、第2加熱部22が反応容器100の第2領域112を加熱することによって、反応容器100の流路110に対して、反応液140が移動する方向に温度勾配を形成する。
流路110には、液体130と、反応液140とが充填されている。液体130は、反応液140とは混和しない、すなわち混ざり合わない性質であるため、図4に示されるように、反応液140は液体130の中に液滴の状態で保持されている。反応液140は、液体130よりも比重が大きいため、流路110の重力の作用する方向における最下部の領域に位置している。液体130としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル又はパラフィンオイルを使用できる。反応液140は、反応に必要な成分を含む液体である。反応がRT−PCRである場合には、反応液140には、逆転写酵素に加えて、逆転写の鋳型となるRNA、逆転写されたcDNAを増幅するために必要なDNAポリメラーゼ、並びにプライマー等が含まれる。例えば、液体130としてオイルを用いてPCRを行う場合には、反応液140は上述の成分を含む水溶液であることが好ましい。
3.熱サイクル装置の制御例
図5は、本実施形態に係る熱サイクル装置1の機能ブロック図である。制御部40は、第1加熱部21に対して制御信号S1を出力することによって第1加熱部21の温度を制御する。制御部40は、第2加熱部22に対して制御信号S2を出力することによって第2加熱部22の温度を制御する。制御部40は、駆動機構30に対して制御信号S3を出力することによって駆動機構30を制御する。制御部40は、測定部50に対して制御信号S4を出力することによって測定部50を制御する。
次に、本実施形態に係る熱サイクル装置1の制御例について説明する。以下では、装着部15に反応容器100を装着した場合に、駆動機構30が、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22を、第1の配置と、流路110内において重力の作用する方向における最下点の位置が第1の配置とは異なる第2の配置との間で回転させる制御を例にとり説明する。
図6(A)は、第1の配置における、図1(A)のA−A線を通り回転軸Rに垂直な面における断面を模式的に示す断面図、図6(B)は、第2の配置における図1(A)のA−A線を通り回転軸Rに垂直な面における断面を模式的に示す断面図である。図6(A)及び図6(B)において、白抜き矢印は本体10の回転方向、矢印gは重力の作用する方向を表す。
図6(A)に示されるように、第1の配置は、装着部15に反応容器100が装着された場合に、第1領域111が重力の作用する方向における流路110の最下部に位置する配置である。図6(A)に示される例では、第1の配置では、液体130よりも比重が大きい反応液140は第1領域111に存在する。また、図6(B)に示されるように、第2の配置は、装着部15に反応容器100が装着された場合に、第2領域112が重力の作用する方向における流路110の最下部に位置する配置である。図6(B)に示される例では、第2の配置では、液体130よりも比重が大きい反応液140は第2領域112に存在する。
このように、駆動機構30が、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22を、第1の配置と、第1の配置とは異なる第2の配置との間で回転させることによって、反応液140に対して熱サイクルを施すことができる。
本実施形態によれば、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置を切り換えることで、反応容器100が第1の配置に保持された状態と、反応容器100が第2の配置に保持された状態とを切り換えることができる。第1の配置は、反応容器100を構成する流路110の第1領域111が、重力の作用する方向における流路110の最下部に位置する配置である。第2の配置は、反応容器100を構成する流路110の第2領域112が、重力の作用する方向における流路110の最下部に位置する配置である。すなわち、重力の作用によって第1の配置においては反応液140を第1領域111に、第2の配置においては反応液140を第2領域112に保持できる。第1領域111は第1加熱部21によって加熱され、第2領域112は第2加熱部22によって加熱されるので、第1領域111と第2領域112とは異なる温度とすることができる。したがって、第1の配置又は第2の配置に反応容器100を保持する間、反応液140を所定の温度に保持できるので、加熱時間を容易に制御可能な熱サイクル装置1を提供できる。
駆動機構30は、第1の配置から第2の配置へと回転させる場合と、第2の配置から第1の配置へと回転させる場合とで、反対方向に装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22を回転させてもよい。これによって、回転によって生じる導線19などの配線の捩れを低減するための特別な機構が不要となる。したがって、小型化に適した熱サイクル装置1を実現できる。また、第1の配置から第2の配置へと回転させる場合の回転数、及び、第2の配置から第1の配置へと回転させる場合の回転数は、1回転未満(回転角度が360°未満)であることが好ましい。これによって、配線が捩れる程度を軽減できる。また、図1及び図2に示されるように、フランジ18が導線19を巻き取れる構成にしてもよい。
次に、熱サイクル装置1の制御方法の一例について、1step RT−PCRを例にとり説明する。図7は、本実施形態に係る熱サイクル装置1の制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。図8は、図7に示される制御方法における第1加熱部21の温度T1及び第2加熱部22の温度T2の時間変化を示すグラフである。図8の横軸は時間(分)、縦軸は温度(℃)を表す。
RT−PCRは、RNAの検出又は定量を行うための手法である。逆転写酵素を用いてRNAを鋳型としてDNAへの逆転写を行い、逆転写によって合成されたcDNAをPCRによって増幅する。一般的なRT−PCRでは、逆転写反応の工程とPCRの工程とは独立しており、逆転写の工程とPCRの工程との間で、容器を交換したり、試薬を追加したりする。これに対し1step RT−PCRは、専用の試薬を用いることで逆転写及びPCRの反応を連続して行う。1step RT−PCRの試薬は、公知のものを使用することができる。
図7において、まず、制御部40は、第1加熱部21の温度T1を、逆転写酵素が活性を有する温度(第1温度)に制御し、かつ、第2加熱部22の温度T2を、逆転写酵素が失活しない温度(第2温度)に制御する第1処理を行う(ステップS100)。また、図7に示される例では、ステップS100において、制御部40は、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置が第1の配置になるように駆動機構30を制御している。なお、各ステップにおいて「制御部が(制御対象を)制御する」とは、当該ステップにおいて、制御部が制御対象を前のステップとは異なる状態に制御する場合と、制御部が制御対象を前のステップと同様の状態に維持することのいずれをも意味する。
「逆転写酵素が活性を有する温度」とは、反応液に含まれる逆転写酵素の活性が0ユニットより大きい温度を意味する。逆転写酵素が活性を有する温度は、逆転写酵素が失活しない温度であることが好ましい。逆転写酵素が失活しない温度は、逆転写酵素の種類に依存する温度であるが、一般的には20℃以上70℃以下程度の範囲内である。第1加熱部21の温度T1は、逆転写反応が進行する温度(逆転写反応に好適な温度)に制御することが好ましい。逆転写反応が進行する温度は、一般的には40℃以上50℃以下程度の範囲内である。第1加熱部21の温度T1は、逆転写酵素の種類毎に規定される至適温度に制御することがより好ましい。図8に示される例では、第1温度として42℃を採用している。
70℃を超える温度では、逆転写酵素が失活したり劣化しやすくなったりする。図8に示される例では、第2温度として50℃を採用している。なお、「酵素が失活する」とは、酵素活性が低下又は消失し、実験条件を調節しても本来の活性を示さなくなることを意味する。本明細書においては、逆転写酵素の至適温度において測定される、反応液140に含まれる逆転写酵素の活性が、当該逆転写酵素が当該反応液の環境(pH等の条件)において期待される活性よりも低下した状態を意味する。「逆転写酵素が失活しない温度」は、期待される酵素活性に対して100%の活性を逆転写酵素が示す場合、及び、RT−RCRにおいて許容される程度に活性が低下する場合(含まれる逆転写酵素の一部が失活する場合)を含む。
ステップS100の後に、装着部15に反応容器100を装着する(ステップS102)。装着部15の挿入口151にから反応容器100を使用者が挿入することによって装着部15に反応容器100を装着する。
第1処理では、挿入口151から遠い第1領域111を加熱する第1加熱部21の温度T1は、逆転写酵素が活性を有する温度である第1温度であり、挿入口151に近い第2領域112を加熱する第2加熱部22の温度T2は、逆転写酵素が失活しない温度である第2温度であるので、第1処理を行なっている間に反応容器100を装着部に装着しても、逆転写酵素が失活するような高温に反応液140が曝されることがない。したがって、逆転写酵素の失活を抑制できるので、反応精度を高めた熱サイクル装置1を実現できる。また、第1温度が逆転写酵素によって逆転写反応が進行する温度であるので、反応容器100を装着した後に加熱を開始する場合と比較して、速やかに逆転写反応を開始できる。したがって、反応容器100を装着した後に加熱を開始する場合よりも反応時間を短縮できる。
図7において、ステップS102の後に、制御部40は、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置が第1の配置になるように駆動機構30を制御し、かつ、第1加熱部21の温度T1を、逆転写酵素が活性を有する温度(第1温度)に制御し、第2加熱部22の温度T2を、逆転写酵素が失活する温度(第3温度)に制御する第3処理を行なってもよい(ステップS104)。
「逆転写酵素が失活する温度」は、逆転写酵素の種類に依存する温度であるが、一般的には70℃を超える温度である。図8に示される例では、第3温度として95℃を採用している。
第3処理においては、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置が第1の配置に制御されるので、反応液140が第1領域111に保持される。第3処理における第1加熱部21の温度T1は逆転写酵素が活性を有する温度であるので、逆転写反応が進行する。よって、本実施形態によれば、反応液140が第1領域111に保持されている時間を使って、第2領域112を加熱する第2加熱部22の温度T2を第2温度から第3温度に変更できる。したがって、第2処理において装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置が第2の配置に制御された場合に、速やかに逆転写酵素を失活させることができる。
ステップS104の後に、制御部40は、第1時間を経過したか否かを判定する(ステップS106)。第1時間は、反応容器100が装着部15に装着されてから、反応容器100内で逆転写反応が十分に行われるまでに必要な時間である。図8に示される例では、第1時間として15分を採用している。第1時間の計測開始時刻は、例えば、使用者が装着部15に反応容器100を装着し終えた後に、図示しない操作受付手段(例えば、ボタンやレバーや、コンピューターからの通信信号を受け付ける信号受付部など)を介して使用者の操作を受け付けたタイミングとしてもよい。また例えば、第1時間の計測開始時刻は、装着部15に反応容器100が装着されたか否かを検出する図示しない検出手段(例えば、光学式センサー、接触式センサー、スイッチなど)の検出結果に基づいて判定したタイミングとしてもよい。制御部40が第1時間を経過していないと判定した場合(ステップS106でNOの場合)には、ステップS106を繰り返す。制御部40が第1時間を経過したと判定した場合(ステップS106でYESの場合)には、後述されるステップS108を行う。
なお、ステップS104及びステップS106においては、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置が第1の配置であるので、反応液140は第1領域111に保持される。よって、第2加熱部22の温度T2の影響は受けない。したがって、図7においては便宜上ステップS104の後にステップS106を行う例で説明したが、第1時間の計時開始時刻はステップS104行うよりも前でもよい。また、ステップS104とステップS106の順序が入れ替わってもよい。図8に示される例では、第1時間の計時開始時刻とステップS104の開始時刻とは、ともに時刻0であり同時刻である。なお、時刻0よりも前の期間(図8において時刻が負になる期間)は、装着部15に反応容器100を装着するための期間に対応する。
ステップS106の後に、制御部40は、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置が第2の配置になるように駆動機構30を制御し、かつ、第2加熱部22の温度を、逆転写酵素が失活する温度(第3温度)に制御する第2処理を行なってもよい。
第2処理においては、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置が第2の配置に制御されるので、反応液140が第2領域に保持される。すなわち、反応液140は逆転写酵素が失活する温度である第3温度になる。したがって、本実施形態によれば、反応液140を反応容器100の第2領域へ移動させることによって逆転写酵素を失活させることができる。したがって、第1加熱部21の温度T1を逆転写酵素が失活する温度に変更する場合と比較して、逆転写反応からポリメラーゼ連鎖反応の熱サイクルに移行する場合に要する時間を短縮することができる。
逆転写反応の後にPCRを行う場合(例えば、本項で説明している1step RT−PCRを行う場合)には、制御部40は、第2処理(ステップS108)において、第1加熱部21の温度T1を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)におけるアニーリング及び伸長温度(第4温度)に制御してもよい。
「ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)におけるアニーリング及び伸長温度」は、核酸を増幅するためのプライマーに依存する温度であるが、一般的には50℃以上70℃以下程度の範囲内である。図8に示される例では、第4温度として60℃を採用している。
第2処理においては、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置が第2の配置に制御されるので、反応液140が第2領域112に保持される。よって、本実施形態によれば、反応液140が第2領域112に保持されている時間を使って、第1領域111を加熱する第1加熱部21の温度T1を第1温度から第4温度に変更できる。したがって、第2処理の後に第1加熱部21の温度をアニーリング及び伸長温度に制御する場合と比較して、逆転写反応からポリメラーゼ連鎖反応の熱サイクルに移行する場合に要する時間を短縮できる。
図8に示される例では、第1加熱部21の温度T1が第4温度に制御されたタイミング(時刻t)で、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置を第1の配置から第2の配置へと切り換えている。したがって、図8に示される例では、時刻0から時刻tまでは逆転写反応が行われる期間、時刻t以降はPCRが行われる期間に対応する。
制御部40は、第2処理(ステップS108)の後に、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置が第1の配置になるように駆動機構30を制御してもよい。
本実施形態によれば、第2処理の後に、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置を第1の配置に制御するので、第1の配置に切換えてから第1加熱部21の温度T1をアニーリング及び伸長温度に制御する場合と比較して、反応液140がアニーリング及び伸長温度に保持される時間を精度よく制御できる。
逆転写酵素が失活する温度(第3温度)は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)における熱変性温度であってもよい。すなわち、第3温度は、逆転写酵素が失活する温度であり、かつ、PCRにおける熱変性温度となる温度であってもよい。
「ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)における熱変性温度」は、核酸を増幅するためのプライマーに依存する温度であるが、一般的には90℃以上100℃以下程度の範囲内である。図8に示される例では、第3温度として95℃を採用しているので、逆転写酵素が失活する温度であり、かつ、PCRにおける熱変性温度となる温度である。
本実施形態によれば、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置を第2の配置に制御した場合に、逆転写酵素が失活する温度でありかつポリメラーゼ連鎖反応におけるDNAの熱変性温度に制御された第2領域112に反応液140が保持される。これによって、逆転写酵素の失活と、ポリメラーゼ連鎖反応における熱変性とを同一の工程で行うことができる。したがって、逆転写酵素の失活と熱変性の温度とが異なる場合と比較して、逆転写反応からポリメラーゼ連鎖反応の熱サイクルに移行する場合に要する時間を短縮できる。また、1step RT−PCRにおいては、ホットスタートPCR酵素(所定の温度に曝されることで活性化するPCR酵素)を使うことが一般的である。ホットスタートPCR酵素が活性化する温度は、通常、熱変性の温度と共通の温度範囲である。したがって、第3温度を、逆転写酵素が失活する温度であり、かつ、DNAの熱変性温度とすることで、ホットスタートの工程も兼ねることができる。
図7において、ステップS108の後に、制御部40は、第2時間を経過したか否かを判定する(ステップS110)。第2時間は、逆転写酵素の失活とPCRのホットスタートに必要な時間である。本実施形態においては、第2時間として10秒を採用している。制御部40が第2時間を経過していないと判定した場合(ステップS110でNOの場合)には、ステップS110を繰り返す。
制御部40が第2時間を経過したと判定した場合(ステップS110でYESの場合)には、熱サイクル処理を行う(ステップS112)。本実施形態においては、制御部40が、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置を第1の配置と第2の配置との間で所望の時間で所望の回数まで切り換えることによって熱サイクル処理を行う。図7に示される例では、ステップS108において、第1加熱部21の温度T1はPCRにおけるアニーリング及び伸長温度である第4温度に制御され、第2加熱部22の温度T2はPCRにおける熱変性温度である第3温度に制御されている。したがって、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置が第1の配置である場合には反応液140は第4温度の第1領域111に保持され、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置が第2の配置である場合には反応液140は第3温度の第2領域112に保持される。これによって、反応液140に対してPCRに必要な所望の熱サイクルを施すことができる。
図9は、熱サイクル処理の一例を説明するためのフローチャートである。なお、図7のステップS108において、第1加熱部21の温度T1はPCRにおけるアニーリング及び伸長温度である第4温度に制御され、第2加熱部22の温度T2はPCRにおける熱変性温度である第3温度に制御されているものとする。また、熱サイクル処理のスタート時には、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置は第2の配置である。すなわち、第3温度の第2領域112に反応液140が保持されている。
図9において、まず、制御部40は、第3時間を経過したか否かを判定する(ステップS200)。第3時間は、PCRにおける熱変性に必要となる時間である。本実施形態においては、第3時間として5秒を採用している。制御部40が第3時間を経過していないと判定した場合(ステップS200でNOの場合)には、ステップS200を繰り返す。
制御部40が第3時間を経過したと判定した場合(ステップS200でYESの場合)には、制御部40は、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置を第2の配置から第1の配置へと切換えるように駆動機構30を制御する(ステップS202)。これによって、第4温度の第1領域111に反応液140が移動する。
ステップS202の後に、蛍光測定を開始する(ステップS204)。測定部50をスライド52上で移動させて、複数の反応容器100についての蛍光測定を行なってもよい。
ステップS204の後に、制御部40は、第4時間を経過し、かつ、蛍光測定を完了したか否かを判定する(ステップS206)。第4時間は、PCRにおけるアニーリング及び伸長に必要となる時間である。本実施形態においては、第4時間として30秒を採用している。制御部40が第4時間を経過していない又は蛍光測定を完了していないと判定した場合(ステップS206でNOの場合)には、ステップS206を繰り返す。
制御部40が第4時間を経過し、かつ、蛍光測定を完了したと判定した場合(ステップS206でYESの場合)には、制御部40は、所定のサイクル数に達したか否かを判定する(ステップS208)。本実施形態においては、所定のサイクル数として50回を採用している。
制御部40が所定のサイクル数に達していないと判定した場合(ステップS208でNOの場合)には、制御部40は、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置を第1の配置から第2の配置へと切換えるように駆動機構30を制御する(ステップS210)。ステップS210の後に、ステップS200からステップS208までを繰り返す。制御部40が所定のサイクル数に達したと判定した場合(ステップS208でYESの場合)には、熱サイクル処理を終了する。
4.実施例
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されない。
図10は、本実施例における反応液140の組成を示す表である。図10において、「SuperScript III Platinum」は「SuperScript III Platinum One-Step Quantitative RT-PCR System with ROX(「Platinum」は登録商標、ライフテクノロジーズ社製)」であり、PCR酵素と逆転写酵素が含まれている。RNAとしては、ヒト鼻腔拭い液(ヒトサンプル)から抽出したRNAを用いた。なお、当該ヒトサンプルについては、市販のキット(「エスプラインインフルエンザA&B−N(「エスプライン」は登録商標)」、富士レビオ株式会社製)を用いてイムノクロマトグラフィーを行った結果、インフルエンザA型が陽性であった。なお、イムノクロマトグラフィーにおける「A型陽性」は、下記インフルエンザA型(InfA)を特異的に判別するものではない。
図11は、インフルエンザA型(InfA)、豚インフルエンザA型(SW InfA)、豚インフルエンザH1型(SW H1)及びリボヌクレアーゼP(RNase P)に対応するフォワードプライマー(F primer)、リバースプライマー(R primer)及びプローブ(Probe)の塩基配列を示す表である。いずれも、「CDC protocol of realtime RTPCR for swine influenza A(H1N1)」(World Health Organization、2009年4月30日改訂1版)に記載されている塩基配列と同一である。図11に示される4種類のプローブ(Probe)は、いずれも核酸の増幅に伴い測定される蛍光輝度が増加する。
実験手順は、図7及び図9に示されるフローチャートの通りであり、第1温度は45℃、第2温度は58℃、第3温度は98℃、第1時間は60秒、第2時間は10秒、第3時間は5秒、第4時間は30秒、熱サイクル処理のサイクル数は50回とした。また、装着部15に装着される反応容器100は4個(サンプルA〜サンプルD)とした。
サンプルAは、インフルエンザA型(InfA)に対応するフォワードプライマー、リバースプライマー及び蛍光プローブを含む。サンプルBは、豚インフルエンザA型(SW InfA)に対応するフォワードプライマー、リバースプライマー及び蛍光プローブを含む。サンプルCは、豚インフルエンザH1型(SW H1)に対応するフォワードプライマー、リバースプライマー及び蛍光プローブを含む。サンプルDは、リボヌクレアーゼP(RNase P)に対応するフォワードプライマー、リバースプライマー及び蛍光プローブを含む。
図12は、本実施例における、熱サイクル処理のサイクル数と測定された輝度との関係を示すグラフである。図12の横軸は熱サイクル処理のサイクル数、縦軸は輝度の相対値を表す。
図12に示されるように、サンプルA〜サンプルDのいずれも、熱サイクル処理のサイクル数が20回〜30回程度となる辺りから輝度が大きく上昇していることが分かる。これによって、RNAを鋳型として逆転写されたcDNAが増幅されていることが分かる。サンプルDは内在性コントロールの実験であり、サンプルDで輝度が上昇していることから、ヒトサンプル由来のDNA(cDNA)が増幅されたことが確認できた。さらに、サンプルA〜サンプルDでcDNAが増幅されたことから、ヒトサンプルにはInfA、SW InfA、SW H1の全てのRNAが含まれていたことがわかった。この結果は、イムノクロマトグラフィーの結果とも合致している。したがって、本実施形態に係る熱サイクル装置1を用いて、1step RT−PCRを行うことができることが確認された。すなわち、本実施形態の熱サイクル装置1及び熱サイクル装置1の制御方法によって、逆転写酵素の失活を抑制でき、反応精度が良好であることが確認された。
なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、複数を適宜組み合わせることが可能である。
本発明は、上述した実施形態及び実施例に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…熱サイクル装置、15…装着部、16…固定部材、17…フランジ、18…フランジ、19…導線、21…第1加熱部、21a…第1ヒーター、21b…第1ヒートブロック、22…第2加熱部、22a…第2ヒーター、22b…第2ヒートブロック、30…駆動機構、31…軸受、40…制御部、50…測定部、52…スライド、100…反応容器、110…流路、111…第1領域、112…第2領域、130…液体、140…反応液、151…挿入口、210…フィン
配列番号1は、InfAのフォワードプライマーの配列である。
配列番号2は、InfAのリバースプライマーの配列である。
配列番号3は、InfAの蛍光プローブの配列である。
配列番号4は、SW InfAのフォワードプライマーの配列である。
配列番号5は、SW InfAのリバースプライマーの配列である。
配列番号6は、SW InfAの蛍光プローブの配列である。
配列番号7は、SW H1のフォワードプライマーの配列である。
配列番号8は、SW H1のリバースプライマーの配列である。
配列番号9は、SW H1の蛍光プローブの配列である。
配列番号10は、RNase Pのフォワードプライマーの配列である。
配列番号11は、RNase Pのリバースプライマーの配列である。
配列番号12は、RNase Pの蛍光プローブの配列である。

Claims (7)

  1. 逆転写酵素を含む反応液と、前記反応液とは比重が異なり、前記反応液とは混和しない液体とが充填され、前記反応液が移動する流路を含む反応容器が挿入される挿入口を有する装着部と、
    前記装着部に前記反応容器が装着された場合に、前記流路の第1領域を加熱する第1加熱部と、
    前記装着部に前記反応容器が装着された場合に、前記第1領域よりも前記挿入口に近い前記流路の第2領域を加熱する第2加熱部と、
    前記装着部、前記第1加熱部及び前記第2加熱部の配置を、第1の配置と、第2の配置との間で切換える駆動機構と、
    前記第1加熱部、前記第2加熱部、及び前記駆動機構を制御する制御部と、
    を含み、
    前記第1の配置は、前記装着部に前記反応容器が装着された場合に、前記第1領域が重力の作用する方向における前記流路の最下部に位置する配置であり、
    前記第2の配置は、前記装着部に前記反応容器が装着された場合に、前記第2領域が重力の作用する方向における前記流路の最下部に位置する配置であり、
    前記制御部は、
    前記装着部、前記第1加熱部及び前記第2加熱部の配置が前記第1の配置になるように前記駆動機構を制御し、前記第1加熱部の温度を、前記逆転写酵素が活性を有する温度に制御し、前記第2加熱部の温度を、前記逆転写酵素が失活しない温度に制御する第1処理と、
    前記第1処理の後に、前記装着部、前記第1加熱部及び前記第2加熱部の配置が前記第2の配置になるように前記駆動機構を制御し、前記第2加熱部の温度を、前記逆転写酵素が失活する温度に制御する第2処理と、を行う、熱サイクル装置。
  2. 請求項に記載の熱サイクル装置において、
    前記制御部は、
    前記第1処理の後で前記第2処理の前に、前記装着部、前記第1加熱部及び前記第2加熱部の配置が前記第1の配置になるように前記駆動機構を制御し、前記第1加熱部の温度
    を、前記逆転写酵素が活性を有する温度に制御し、前記第2加熱部の温度を、前記逆転写酵素が失活する温度に制御する第3処理を行う、熱サイクル装置。
  3. 請求項1又は2に記載の熱サイクル装置において、
    前記制御部は、
    前記第2処理において、前記第1加熱部の温度を、ポリメラーゼ連鎖反応におけるアニーリング及び伸長温度に制御する、熱サイクル装置。
  4. 請求項に記載の熱サイクル装置において、
    前記制御部は、
    前記第2処理の後に、前記装着部、前記第1加熱部及び前記第2加熱部の配置が前記第1の配置になるように前記駆動機構を制御する、熱サイクル装置。
  5. 請求項3又は4に記載の熱サイクル装置において、
    前記逆転写酵素が活性を有する温度は、ポリメラーゼ連鎖反応における熱変性温度である、熱サイクル装置。
  6. 熱サイクル装置の制御方法であって、
    前記熱サイクル装置は、
    逆転写酵素を含む反応液と、前記反応液よりも比重が小さく、前記反応液とは混和しない液体とが充填され、対向する内壁に前記反応液が近接して移動する流路を含む反応容器が挿入される挿入口を有する装着部と、
    前記装着部に前記反応容器が装着された場合に、前記流路の第1領域を加熱する第1加熱部と、
    前記装着部に前記反応容器が装着された場合に、前記第1領域よりも前記挿入口に近い前記流路の第2領域を加熱する第2加熱部と、
    前記装着部、前記第1加熱部及び前記第2加熱部の配置を、第1の配置と、第2の配置との間で切換える駆動機構と、
    を含み、
    前記第1の配置は、前記装着部に前記反応容器が装着された場合に、前記第1領域が重力の作用する方向における前記流路の最下部に位置する配置であり、
    前記第2の配置は、前記装着部に前記反応容器が装着された場合に、前記第2領域が重力の作用する方向における前記流路の最下部に位置する配置であり、
    前記制御方法は、
    前記装着部、前記第1加熱部及び前記第2加熱部の配置が前記第1の配置になるように前記駆動機構を制御し、前記第1加熱部の温度を、前記逆転写酵素が活性を有する温度に制御し、前記第2加熱部の温度を、前記逆転写酵素が失活しない温度に制御する第1処理を行うことと、
    前記第1処理の後に、前記装着部、前記第1加熱部及び前記第2加熱部の配置が前記第2の配置になるように前記駆動機構を制御し、前記第2加熱部の温度を、前記逆転写酵素が失活する温度に制御する第2処理を行うことと、
    を含む、熱サイクル装置の制御方法。
  7. 逆転写酵素を含む反応液と、前記反応液が移動する流路を含む反応容器が挿入可能な挿入口を有する装着部と、
    前記装着部に前記反応容器が装着された場合に、前記流路の第1領域を加熱する第1加熱部と、
    前記装着部に前記反応容器が装着された場合に、前記第1領域よりも前記挿入口に近い前記流路の第2領域を加熱する第2加熱部と、
    前記装着部、前記第1加熱部及び前記第2加熱部の配置を、第1の配置と、第2の配置
    との間で切換える駆動機構と、
    前記第1加熱部、前記第2加熱部、及び前記駆動機構を制御する制御部と、
    を含み、
    前記第1の配置は、前記装着部に前記反応容器が装着された場合に、前記第1領域が重力の作用する方向における前記流路の最下部に位置する配置であり、
    前記第2の配置は、前記装着部に前記反応容器が装着された場合に、前記第2領域が重力の作用する方向における前記流路の最下部に位置する配置であり、
    前記制御部は、
    前記装着部、前記第1加熱部及び前記第2加熱部の配置が前記第1の配置になるように前記駆動機構を制御し、前記第1加熱部の温度を、前記逆転写酵素が活性を有する温度に制御し、前記第2加熱部の温度を、前記逆転写酵素が失活しない温度に制御する第1処理と、
    前記第1処理の後に、前記装着部、前記第1加熱部及び前記第2加熱部の配置が前記第2の配置になるように前記駆動機構を制御し、前記第2加熱部の温度を、前記逆転写酵素が失活する温度に制御する第2処理と、を行う、熱サイクル装置。
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