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JP6022277B2 - インク組成物の光硬化方法、インク組成物からなるインクセット、画像形成方法およびインク組成物 - Google Patents
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JP6022277B2 - インク組成物の光硬化方法、インク組成物からなるインクセット、画像形成方法およびインク組成物 - Google Patents

インク組成物の光硬化方法、インク組成物からなるインクセット、画像形成方法およびインク組成物 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェット法でインクを吐出して画像を記録するのに好適な、インク組成物の光硬化方法、インク組成物からなるインクセット、画像形成方法およびインク組成物に関する。
画像データ信号に基づき、紙などの記録媒体に画像を形成する画像記録方法として、電子写真方式、昇華型及び溶融型熱転写方式、インクジェット方式などがある。
インクジェット方式は、印刷装置が安価であり、かつ、印刷時に版を必要とせず、必要とされる画像部のみにインク組成物を吐出し記録媒体上に直接画像形成を行うため、インク組成物を効率良く使用でき、特に小ロット生産の場合にランニングコストが安い。更に、騒音が少なく、画像記録方式として優れており、近年注目を浴びている。
中でも、紫外線などの放射線の照射により硬化可能なインクジェット記録用インク組成物(放射線硬化型インクジェット記録用インク組成物)は、紫外線などの放射線の照射によりインク組成物の成分の大部分が硬化するため、溶剤系インク組成物と比べて乾燥性に優れ、また、画像がにじみにくいことから、種々の記録媒体に印字できる点で優れた方式である。
また、近年、省エネ、省スペースの観点から、UV光源のLED化が望まれているが、α−ヒドロキシアセトフェノン系光重合開始剤は吸収波長が短波長(280nm付近)であり、UV−LED光源(365nm付近)では、殆ど重合を開始することができなかった。また、チオクロマノン又はチオキサントン系光重合開始剤は、アミン系やチオール系、ジスルフィド系等の重合促進剤又は連鎖移動剤との組み合わせによる感度向上は報告されているものの(非特許文献1、2参照)、光酸発生剤によりカチオン重合させて硬化させるもの(特許文献1参照)では感度が十分ではなかった。
特開2010−70693号公報
Macromol.Chem.,1981,182,2821 Macromolecules,2006,39,3777
本発明は、酸性条件下で高い光硬化性を示すインク組成物の光硬化方法、インク組成物からなるインクセット、画像形成方法およびインク組成物を提供することを課題とする。
光照射、特にUV−LED光源(発光波長365nm付近)で、高い感度を示し、高い生産性を有する光硬化方法、インク組成物からなるインクセット、画像形成方法、特にインクジェット方式の画像形成方法、およびインク組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、チオクロマノン又はチオキサントン系光重合開始剤、特定の重合促進剤もしくは連鎖移動剤と、特定の酸との組み合せで、紫外領域の光に対する優れた感光性を示すこと、および、これらの組合せの化合物を含有するインク組成物は紫外線光源、特にUV−LED光源に対し良好な硬化性を示すことを見出した。本発明はこれらの知見に基づき完成されたものである。
すなわち、上記課題は下記の手段により解決された。
<1>(A)エチレン性不飽和基を有する重合性化合物、(B)下記一般式(1)または(2)で表される光重合開始剤および(C)窒素原子が芳香環に直結した構造であって、該芳香環に電子吸引性置換基を有するかまたは該窒素原子がヘテロ環を構成する原子である水素供与体をそれぞれ少なくとも1種含有するインク組成物を、酸性条件下で光硬化させる光硬化方法であり、
前記(C)の水素供与体が、下記一般式(4)で表される光硬化方法
Figure 0006022277
(一般式(1)、(2)中、R〜R 16 はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を表す。)
Figure 0006022277
(一般式(4)中、R39〜R42は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、フルオロアルキル基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基またはスルファモイル基を表す。Xは、酸素原子または硫黄原子を表す。
<2>前記(B)の光重合開始剤が、前記一般式(1)で表される<1>に記載の光硬化方法。
>前記(A)の前記エチレン性不飽和基を有する重合性化合物が、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物または(メタ)アクリルアミド化合物である<1>または2>に記載の光硬化方法。
>前記インク組成物が、少なくとも1種の着色剤を含有する<1>〜<>のいずれか1項に記載の光硬化方法。
>前記インク組成物が、インクジェット用インク組成物である<1>〜<>のいずれか1項に記載の光硬化方法。
>前記インク組成物により、画像を形成した後に光硬化する<1>〜<>のいずれか1項に記載の光硬化方法。
>(A)エチレン性不飽和基を有する重合性化合物、(B)下記一般式(1)または(2)で表される光重合開始剤および(C)窒素原子が芳香環に直結した構造であって、該芳香環に電子吸引性置換基を有するかまたは該窒素原子がヘテロ環を構成する原子である水素供与体をそれぞれ少なくとも1種含有するインク組成物Aと、分子量50以上200以下で、かつpKa(in HO)1以上5以下の酸を含有するインク組成物Bとからなるインクセットであり、
前記(C)の水素供与体が、下記一般式(4)で表されるインクセット。
Figure 0006022277
(一般式(1)、(2)中、R〜R 16 はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を表す。)
Figure 0006022277
(一般式(4)中、R39〜R42は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、フルオロアルキル基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基またはスルファモイル基を表す。Xは、酸素原子または硫黄原子を表す。)
>前記(B)の光重合開始剤が、前記一般式(1)で表される<>に記載のインクセット。
>前記(A)の前記エチレン性不飽和基を有する重合性化合物が、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物または(メタ)アクリルアミド化合物である<>または<>に記載のインクセット。
10>前記インク組成物Aが、少なくとも1種の着色剤を含有する<>〜<>のいずれか1項に記載のインクセット。
11>前記インクセットが、インクジェット用インクセットである<>〜<10>のいずれか1項に記載のインクセット。
12>前記<1>〜<>のいずれか1項に記載の光硬化方法を含む画像形成方法。
13>前記<>〜<11>のいずれか1項に記載のインクセットを使用する画像形成方法。
14>記録媒体上に、前記インク組成物Bを付与する酸処理工程、該記録媒体上に前記インク組成物Aを付与して画像を形成するインク付与工程と、光照射により、形成された画像のインクを硬化させる光硬化工程を含む<13>に記載の画像形成方法。
15>(A)エチレン性不飽和基を有する重合性化合物、(B)下記一般式(1)または(2)で表される光重合開始剤および(C)下記一般式(4)で表される水素供与体をそれぞれ少なくとも1種含有するインク組成物。
Figure 0006022277
(一般式(1)、(2)中、R〜R 16 はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を表す。)
Figure 0006022277
(一般式(4)中、R39〜R42は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、フルオロアルキル基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基またはスルファモイル基を表す。Xは、酸素原子または硫黄原子を表す。)
16>前記(B)の光重合開始剤が、前記一般式(1)で表される<15>に記載のインク組成物。
本発明において、「(メタ)アクリレート」はアクリレートおよびメタクリレートの双方またはいずれかを表し、「(メタ)アクリルアミド」はアクリルアミドおよびメタクリルアミドの双方またはいずれかを表す。
本発明により、酸性条件下で高い光硬化性を示すインク組成物を提供することができる。さらに、インク組成物の光硬化方法、インク組成物からなるインクセットおよび画像形成方法を提供することができる。
特に、本発明のインク組成物は、酸性条件下で優れた重合率を示し、広範囲なpH条件での適用が可能となる。
光重合開始剤との組合せの特異性、これに基づく、上記のような優れた効果の発現は、従来知られておらず、本発明で初めて達成できたものである。
<酸性条件下>
酸性条件下とは、少なくとも1種の酸が混合した酸性状態の反応系を表す。酸の混合量としては、インク組成物を凝集させるに足る量であれば特に制限はないが、インク組成物を固定化し易いとの観点から、インク組成物固形成分の総量に対して、0.1〜1000質量%が好ましく、1〜500質量%がより好ましく、10〜300質量%がさらに好ましい。水溶液の場合、酸性条件下としては、pH1以上7未満が好ましく、pH2以上7未満がより好ましく、pH3以上7未満がさらに好ましい。
<<インク組成物>>
本発明のインク組成物は、(A)エチレン性不飽和基を有する重合性化合物、(B)後述の一般式(1)で表される光重合開始剤および(C)窒素原子が芳香環に直結した構造であって、該芳香環に電子吸引性置換基を有するかまたは該窒素原子がヘテロ環を構成する原子である水素供与体をそれぞれ少なくとも1種含有する。
本発明のインク組成物は、特にインクジェット用のインク組成物に適している。
本発明では、これら上記の化合物の組合せにより、酸性条件下、硬化感度に優れたインク組成物が得られ、このインク組成物を用いて記録媒体上に画像を形成した後、光等の活性エネルギー線を照射することで、耐ブロッキング性に優れた画像を形成することができる。
<(A)エチレン性不飽和基を有する重合性化合物>
エチレン性不飽和基を有する重合性化合物は、分子内にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であり、光重合開始剤によって重合反応を開始しうる化合物であれば特に限定されず、等を利用できる。重合性化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマー等のいずれであってもよい。
本発明においては、重合性化合物は、膜質向上と溶解性の両立の観点から、分子量は50〜2000が好ましく、80〜1500がより好ましく、100〜800がさらに好ましい。
なお、エチレン性不飽和基とは、炭素−炭素二重結合を有する基であり、この炭素−炭素二重結合は他の飽和結合と共役していてもよいが、ベンゼン環のようは、安定な芳香環における二重結合は含まない。
エチレン性不飽和基としては、例えば、ビニル基(−CH=CH)、(メタ)アクリロイル基〔−C(=O)CH=CH、−C(=O)C(CH)=CH〕、ビニルスルホニル基(−SOCH=CH)、マレイミドのような−C(=O)CH=CHC(=O)−の部分構造を有する基が挙げられる。
ここで、ビニル基は、−O−CH=CH、>N−CH=CH、−S−CH=CH、−O−CHCH=CH、スチレンの−CH=CHなどが挙げられ、(メタ)アクリロイル基は、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミド基などが挙げられる。
エチレン性不飽和基を有する重合性化合物は、分子中の末端に炭素−炭素二重結合を有する化合物もしくは、分子中にマレイミド環基を有するものが好ましい。
エチレン性不飽和基を有する重合性化合物は、インク組成物の吐出安定性の観点から、水溶性の化合物であることが好ましい。エチレン性不飽和基を有する重合性化合物の溶解度は、特に限定されないが、25℃における水への溶解度が2質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましく、20質量%以上であることが特に好ましく、任意の割合で水と均一に混合するものが最も好ましい。
このような重合性化合物として、具体的には、(メタ)アクリルアミド化合物、(メタ)アクリレート化合物、ビニル化合物、マレイミド化合物、ビニルスルホン化合物、N−ビニルアミド化合物等が例示できる。これらの化合物は2官能以上であることがより好ましい。さらに好ましくは、(メタ)アクリルアミド化合物、(メタ)アクリレート化合物、ビニル化合物であり、特に好ましくは、2官能以上の(メタ)アクリルアミド化合物である。また、本発明のインク組成物には、これらの重合性化合物を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合は、(メタ)アクリルアミド化合物、(メタ)アクリレート化合物、ビニル化合物、マレイミド化合物、ビニルスルホン化合物、及びN−ビニルアミド化合物から選択される2種以上を混合して用いることが好ましく、その内、少なくとも1種が(メタ)アクリルアミド化合物であることがより好ましい。
また、上記重合性化合物は、水溶性向上の観点から、分子内にポリ(エチレンオキシ)鎖、ポリ(プロピレンオキシ)鎖、イオン性基(例えばカルボキシル基、スルホ基など)、水酸基等を有していてもよい。
(メタ)アクリルアミド化合物としては、単官能(メタ)アクリルアミド化合物及び多官能(メタ)アクリルアミド化合物のいずれも用いることができ、好ましくは多官能(メタ)アクリルアミド化合物である。以下に単官能(メタ)アクリルアミド化合物及び多官能(メタ)アクリルアミド化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006022277
Figure 0006022277
Figure 0006022277
硬化性、溶解性の観点から、monomer21、27、28、42、44、51が好ましい。
これらの(メタ)アクリルアミド化合物は、通常のアクリルアミド化合物の合成方法(例えば、Journal of the American Chemical Society,1979,101,5383)で合成することができる。
(メタ)アクリレート化合物としては、単官能(メタ)アクリレート化合物((メタ)アクリレート基を1つ有する化合物)および多官能(メタ)アクリレート化合物のいずれも用いることができるが、好ましくは多官能(メタ)アクリレート化合物である。
具体的には、単官能(メタ)アクリレート化合物は、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソアミルスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、シクロペンテニルアクリレート、シクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレート化合物は、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化(2)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート(ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド2モル付加物をジアクリレート化した化合物)、プロポキシ化(2)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート(ネオペンチルグリコールプロピレンオキサイド2モル付加物をジアクリレート化した化合物)、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキシド(PO)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド(EO)付加物ジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
インク組成物中のエチレン性不飽和基を有する重合性化合物の含有量は、固形成分の総量に対して、1〜50質量%が好ましく、1〜40質量%がより好ましく、1〜30質量%がさらに好ましい。
<光重合開始剤>
本発明では、光重合開始剤として、(B)の下記一般式(1)または(2)で表される光重合開始剤を使用する。
Figure 0006022277
一般式(1)、(2)中、R〜R16はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を表す。
〜R16におけるハロゲン原子は、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
〜R16におけるアルキル基の炭素数は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、t−オクチルが挙げられる。
〜R16におけるアルコキシ基の炭素数は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、n−プロピルオキシ、n−ブチルオキシ、n−オクチルオキシが挙げられる。
これらのアルキル基、アルコキシ基は置換基を有してもよく、このような置換基としては、水酸基、カルボキシ基もしくはその塩、スルホ基もしくはその塩、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基(環員数は5または6員環が好ましく、芳香環でも飽和もしくは不飽和環でもよく、環構成原子のヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子が好ましい)、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基(アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含む)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルアミド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、シアノ基などが挙げられる。
これらの基のうち、水酸基、カルボキシ基もしくはその塩、スルホ基もしくはその塩、アルコキシ基が好ましい。ここで、アルコキシ基は、アルキル部位が酸素原子で分断された、2〜10のオキシアルキレンの繰り返し単位を含むものも包含される。
〜Rの少なくとも一つがハロゲン原子であることが好ましく、ハロゲン原子が塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であることがより好ましい。R〜R16の少なくとも一つがハロゲン原子、アルキル基(炭素数は好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜3)、アルコキシ基(炭素数は好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜3)であることが好ましい
本発明において、一般式(1)で表される光重合開始剤は、揮発抑止と溶解性の観点から、分子量は100〜2000が好ましく、200〜1800がより好ましく、300〜1500がさらに好ましい。
以下に、一般式(1)または(2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない
Figure 0006022277
Figure 0006022277
本発明の一般式(1)または(2)で表される化合物は、例えば、特開2004−189695公報、Tetrahedron,第49巻,p939(1993年)、Journal of Organic Chemistry,p893(1945年)およびJournal of Organic Chemistry,p4939(1965年)などに記載の方法、またはこれらに準じた方法によって容易に合成することができる。
本発明において、光重合開始剤は、上記一般式(1)または(2)で表される光重合開始剤を使用するが、これを1種で用いても、上記一般式(1)または(2)に含まれる2種以上の光重合開始剤を併用してもよい。インク組成物中の光重合開始剤の含有量は、固形成分の総量に対して、0.1〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、5〜20質量%がさらに好ましい。
なお、本明細書において、「固形成分の総量」又は「全固形分」とは、組成物の全組成から溶剤成分を除いた成分の総質量をいう。
また、エチレン性不飽和基を有する重合性化合物100質量部に対して、光重合開始剤を0.1〜30質量部用いることが好ましく、1〜20質量部用いることがより好ましく、5〜15質量部用いることがさらに好ましい。
<水素供与体>
本発明では、(C)窒素原子が芳香環に直結した構造であって、該芳香環に電子吸引性置換基を有するかまたは該窒素原子がヘテロ環を構成する原子である水素供与体を使用する。
この水素供与体は、光重合開始剤により生じたラジカル種が水素原子を引き抜いて、活性なラジカル種となり、エチレン性不飽和基を有する重合性化合物に対して、重合促進剤もしくは連鎖移動剤として作用する。
本発明の水素供与体は、窒素原子が芳香環に直結した構造であるが、ここで、芳香環は、炭素環系芳香環であってもヘテロ環系芳香環であっても構わないが、炭素環系芳香環が好ましい。炭素環系芳香環の環としては、ベンゼン環、多ベンゼン縮環(例えば、ナフタレン環、フェナントレン環)やこれらの環に芳香環でない炭素環、例えば、3〜7員のシクロアルカン、5〜7員のシクロアルケン、が縮環していてもよい。ヘテロ環系芳香環としては、環構成ヘテロ原子が、少なくとも窒素原子、酸素原子、硫黄原子であるものが好ましく、5〜7員環(好ましくは5または6員環)が好ましく、これらの環に、炭素環系芳香環、芳香環以外の炭素環(例えば、シクロアルカン、シクロアルケン)、ヘテロ環系芳香環を含むヘテロ環(環員数、環構成ヘテロ原子は、上記ヘテロ環系芳香環と同じものが好ましい)が縮環していてもよい。
ここで、芳香環に直結する窒素原子は、芳香環と単結合で結合していても二重結合で結合していても構わない。また、芳香環と結合する窒素原子の残りの結合手が連結基を介して、この芳香環と連結して、結果として、芳香環に含窒素ヘテロ環が縮環した構造を取ってもよい。
芳香環に直結した窒素原子の数は、1〜3が好ましく、1または2が好ましく、特に1が好ましい。
本発明で使用する水素供与体は、水中での室温下(25℃)でのpKaが、−5.0〜8.0が好ましい。
また、窒素原子が直結する芳香環は置換基を有してもよい。
本発明においては、このような置換基のうち、電子吸引性置換基を少なくとも1つ有するものが好ましい。電子吸引性置換基は、ハメットのσ値(窒素原子に対してoもしくはp位の場合σp値、m位の場合σm値)が正のものである。また芳香環が複数の置換基を有する場合、これらの置換基のハメットのσ値(存在する基のσp値およびσm値)の総和が、0以上が好ましい。
置換基の、ハメットの上記σ値または全ての置換基のハメットの上記のσ値の総和は0.1〜1.5が好ましく、0.2〜1.0がより好ましく、0.3〜0.8が特に好ましい。
ハメットのσp値またはσm値が正の電子吸引性置換基は、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボキシル基、スルホ基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、ニトロ基、ハロゲン原子、フルオロアルキル基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基およびスルファモイル基が挙げられ、ハロゲン原子、フルオロアルキル基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基およびスルファモイル基から選択される基が好ましく、なかでも加水分解して、電子吸引性効果が減少するアルコキシカルボニル基またはアリールオキシカルボニル基以外の基、すなわち、ハロゲン原子、フルオロアルキル基、シアノ基、アシル基、カルバモイル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基およびスルファモイル基から選択される基がより好ましい。
芳香環が置換してもよい置換基は、上記の電子吸引性置換基以外の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヒドロキシル基、アミノ基(アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)が挙げられる。
これらの中でも、アルキル基、アルコキシ基が好ましく、R〜R30におけるアルキル基、アルコキシ基と好ましい範囲は同じである。また、これらのアルキル基、アルコキシ基はさらに置換基を有してもよい。
窒素原子が芳香環に直結した構造の水素供与体は少なくとも1つの電子吸引性置換基を有する炭素環系芳香族もしくはヘテロ環系芳香族アミン化合物、または含窒素ヘテロ環化合物が好ましく、上記炭素環系芳香族もしくはヘテロ環系芳香族アミン化合物がより好ましく、上記炭素環系芳香族アミン化合物がさらに好ましい。
なお、上記炭素環系芳香族もしくはヘテロ環系芳香族アミン化合物においては、アミンの窒素原子に置換する置換基のα位の水素原子が、一方、含窒素ヘテロ環化合物においては、該ヘテロ環に置換するメルカプト基の水素原子が水素供与できる構造のものが好ましい。
メルカプト基を有する含窒素ヘテロ環化合物のヘテロ環としては、5または6員環のヘテロ環が好ましく、芳香族ヘテロ環がより好ましく、該ヘテロ環にベンゼン環が縮環した環がさらに好ましい。ここで、芳香族含窒素ヘテロ環としては、チアゾール環、オキサゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環およびこれらの環にベンゼン環が縮環した環が挙げられ、メルカプト基が環構成窒素原子に結合する環構成炭素原子に有するものが好ましい。
本発明においては、芳香族含窒素ヘテロ環は5員環が好ましく、チアゾール環、オキサゾール環もしくはこれらにベンゼン環が縮環した環が特に好ましい。
これらの中でも本発明では、下記一般式(3)または(4)で表される化合物が好ましい。なかでも下記一般式(2)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006022277
一般式(3)において、R31〜R35は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。ただし、R31〜R35の少なくとも1つは、電子吸引性置換基である。R36は、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。R37およびR38は、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基を表す。
Figure 0006022277
一般式(4)において、R39〜R42は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。Xは、酸素原子または硫黄原子を表す。
31〜R35における置換基としては、R〜R16におけるアルキル基、アルコキシ基が有してもよい置換基が挙げられる。
これらの中でも、アルキル基、アルコキシ基、電子吸引性置換基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基は、R〜R16におけるアルキル基、アルコキシ基と好ましい範囲は同じである。また、電子吸引性置換基は前述のような置換基が好ましい。
36〜R38におけるアルキル基は、R〜R16におけるアルキル基と好ましい範囲は同じである。
36におけるアリール基は、炭素数6〜12が好ましく、置換基を有してもよいフェニル基がより好ましい。有してもよい置換基としては、R〜R16におけるアルキル基、アルコキシ基が有してもよい置換基が挙げられる。
31〜R35のうち、3または4個が水素原子であるものが好ましく、4個が水素原子であるものがより好ましい。
36は、アルキル基が好ましく、α位に水素結合を有するアルキル基がより好ましい。
37、R38は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
一般式(3)で表される化合物は、中でも、R33がハロゲン原子(好ましくはフッ素原子、塩素原子)、フルオロアルキル基(好ましくはトリフルオロメチル)、アルコキシカルボニル基(好ましくはメトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくはカルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル)、シアノ基であることが特に好ましい。R36は、水素原子、アルキル基(好ましくはメチル、エチル、2−ヒドロキシエチル)またはアリール基(好ましくは置換基を有してもよいフェニル)である。
本発明において、一般式(3)で表される水素供与体は、揮発抑止と溶解性の観点から、分子量は50〜1500が好ましく、80〜1000がより好ましく、100〜500がさらに好ましい。
以下に、前記一般式(3)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006022277
一般式()において、R39〜R42は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表すが、該置換基としては、R〜R16におけるアルキル基、アルコキシ基が有してもよい置換基が挙げられる。
39〜R42は水素原子または前述の電子吸引性置換基が好ましい。また、R39〜R42のうち、1つが電子吸引性置換基で残りが、全て水素原子がより好ましい。
Xは、酸素原子または硫黄原子を表すが、硫黄原子が好ましい。
本発明において、一般式(4)で表される水素供与体は、揮発抑止と溶解性の観点から、分子量は50〜1500が好ましく、80〜1000がより好ましく、100〜500がさらに好ましい。
以下に、前記一般式(4)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006022277
インク組成物中の水素供与体の含有量は、固形成分の総量に対して、0.1〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、1〜20質量%がさらに好ましい。
インク組成物中の水素供与体の含有量は、光重合開始剤量に対して、5〜1500質量%が好ましく、10〜1000質量%がより好ましく、20〜500質量%がさらに好ましい。
<その他の化合物>
本発明のインク組成物には、エチレン性不飽和基を有する重合性化合物、光重合開始剤、水素供与体以外に、必要に応じて他の化合物、例えば媒体、着色剤、分散剤を含有してもよい。
また、本発明のインク組成物は、着色剤(色材)を含有しないクリアインク(無色インク)組成物とすることも、着色剤を含有するインク組成物とすることもできるが、着色剤を含有することが好ましい。
[媒体]
本発明のインク組成物は媒体を含有してもよく、有機系、水系媒体どちらも含有することができる。水系媒体は少なくとも水を含み、必要に応じて水溶性有機溶剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。
水系媒体に用いられる水は、イオン交換水、蒸留水などのイオン性不純物を含まない水が好ましい。
水溶性有機溶剤としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、アミド系溶媒、二トリル系溶媒、スルホン系溶媒が挙げられる。これらのうちアルコール系溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコール等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。アミド系溶媒としては、ジメチルホルムアルデヒド、ジエチルホルムアルデヒドが挙げられる。二トリル系溶媒としてはアセト二トリルが挙げられる。ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホランが挙げられる。
インク組成物中の媒体の含有量は、目的に応じて適宜選択されうるが、通常、インク組成物の全質量に対して、10〜95質量%が好ましく、30〜90質量%がより好ましい。
[着色剤]
本発明のインク組成物は着色剤を含有することが好ましい。
本発明のインク組成物(以下、単に「インク」ということがある)は、単色画像の形成のみならず、多色画像(例えばフルカラー画像)の形成にも用いることができ、所望の1色または2色以上を選択して画像形成することができる。フルカラー画像を形成する場合、インク組成物は、例えば、マゼンタ色調インク、シアン色調インクおよびイエロー色調インクとして用いることができる。また、ブラック色調インクとして用いてもよい。
また本発明のインク組成物は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(Black)の色調以外のレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)、白色(W)の色調のインク組成物や、いわゆる印刷分野における特色のインク組成物等として用いることができる。
上記の各色調のインク組成物は、着色材(例えば顔料)の色相を所望により変更することにより調製できる。
本発明のインク組成物は、着色剤として、公知の染料、顔料等を特に制限なく用いることができる。インク着色性の観点からは、水に殆ど不溶であるかまたは難溶である着色剤が好ましい。具体的には、各種顔料、分散染料、油溶性染料、J会合体を形成する色素等を挙げることができ、さらに耐光性を考慮すると、顔料であることがより好ましい。
本発明のインク組成物に用いられる顔料の種類に特に制限はなく、通常の有機もしくは無機顔料を用いることができる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などが挙げられる。多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料などが挙げられる。染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなどが挙げられる。
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラックなどが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックが特に好ましい。なお、カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものが挙げられる。
本発明に用いることができる顔料の具体例は、特開2007−100071号公報の段落番号0142〜0145に記載の顔料などが挙げられる。
また、本発明において着色成分として染料を用いる場合には、染料を水不溶性の担体に保持したものを着色剤として用いることができる。染料としては公知の染料を特に制限なく用いることができ、例えば、特開2001−115066号公報、特開2001−335714号公報、特開2002−249677号公報等に記載の染料を本発明においても好適に用いることができる。また、担体としては、水に不溶または水に難溶であれば特に制限なく、無機材料、有機材料およびこれらの複合材料を用いることができる。具体的には、特開2001−181549号公報、特開2007−169418号公報等に記載の担体を本発明においても好適に用いることができる。
染料を保持した担体(着色剤)はそのまま、あるいは必要に応じて分散剤を併用して用いることができる。分散剤としては後述する分散剤を好適に用いることができる。
上記の着色剤は、1種単独でも、複数種を選択して組み合わせて使用してもよい。
インク組成物中の着色剤(特に顔料)の含有量は、色濃度、粒状性、インク安定性、吐出信頼性の観点から、インク組成物の全質量に対して、1〜25質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
[分散剤]
本発明のインク組成物が水系であり、着色剤が顔料である場合、分散剤によって水系溶媒に分散された着色粒子(以下、単に「着色粒子」という)を構成していることが好ましい。
分散剤としては、ポリマー分散剤でも低分子の界面活性剤型分散剤でもよい。また、ポリマー分散剤としては水溶性ポリマー分散剤でも水不溶性ポリマー分散剤の何れでもよい。本発明においては、分散安定性とインクジェット方式に適用した場合の吐出性の観点から、水不溶性ポリマー分散剤であることが好ましい。
−水不溶性ポリマー分散剤−
水不溶性ポリマー分散剤(以下、単に「分散剤」ということがある)は、水不溶性のポリマーであって、顔料を分散可能であれば特に制限はなく、従来公知の水不溶性ポリマー分散剤を用いることができる。水不溶性ポリマー分散剤は、例えば、疎水性の構成単位と親水性の構成単位の両方を含んで構成することができる。
ここで、疎水性の構成単位を構成するモノマーとしては、スチレン系モノマー、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
また、親水性構成単位を構成するモノマーとしては、親水性基を含むモノマーであれば特に制限はない。この親水性基としては、ノニオン性基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等を挙げることができる。なお、ノニオン性基は、水酸基、(窒素原子が無置換の)アミド基、アルキレンオキシド重合体(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等)に由来する基、糖アルコールに由来する基等が挙げられる。
本発明における親水性構成単位は、分散安定性の観点から、少なくともカルボキシル基を含むことが好ましく、ノニオン性基とカルボキシル基を共に含む形態であることもまた好ましい。
水不溶性ポリマー分散剤として、具体的には、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体等が挙げられる。
ここで「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。
水不溶性ポリマー分散剤は、顔料の分散安定性の観点から、カルボキシル基を含むビニルポリマーであることが好ましく、疎水性の構成単位として少なくとも芳香族基含有モノマーに由来する構成単位を有し、親水性の構成単位としてカルボキシル基を含む構成単位を有するビニルポリマーであることがより好ましい。
また、水不溶性ポリマー分散剤の質量平均分子量は、顔料の分散安定性の観点から、3,000〜200,000が好ましく、より好ましくは5,000〜100,000、さらに好ましくは5,000〜80,000、特に好ましくは10,000〜60,000である。
本発明における着色粒子における分散剤の含有量は、顔料の分散性、インク着色性、分散安定性の観点から、顔料に対し、分散剤が10〜90質量%であることが好ましく、20〜70質量%がより好ましく、30〜50質量%が特に好ましい。
着色粒子中の分散剤の含有量が、上記範囲であることにより、顔料が適量の分散剤で被覆され、粒径が小さく経時安定に優れた着色粒子を得やすい傾向となり好ましい。
ここで、着色粒子は、上記水不溶性ポリマー分散剤に加えて、その他の分散剤を含んでいてもよい。例えば、従来公知の水溶性低分子分散剤や、水溶性ポリマー等を用いることができる。水不溶性ポリマー分散剤以外の分散剤の含有量は、上記分散剤の含有量の範囲内で用いることができる。
着色粒子は、分散安定性と吐出性の観点から、前記顔料および前記水不溶性ポリマー分散剤を含んで構成されていることが好ましく、顔料の表面の少なくとも一部が水不溶性ポリマー分散剤で被覆されて構成されていることが好ましい。かかる着色粒子は、例えば、顔料、分散剤、必要に応じて溶媒(好ましくは有機溶剤)等を含む混合物を、分散機により分散することで着色粒子分散物として得ることができる。
着色粒子分散物は、例えば、前記顔料と前記水不溶性ポリマー分散剤と該分散剤を溶解または分散する有機溶剤との混合物に、塩基性物質を含む水溶液を加える工程(混合・水和工程)の後、有機溶剤を除く工程(溶剤除去工程)を設けて分散物として製造することができる。これにより、着色剤が微細に分散され、保存安定性に優れた着色粒子の分散物を作製することができる。
有機溶剤は、分散剤を溶解または分散できることが必要であるが、これに加えて水に対してある程度の親和性を有することが好ましい。具体的には、20℃下で水に対する溶解度が10〜50質量%以下であるものが好ましい。
前記着色粒子の分散物は、更に詳細には、下記の工程(1)および工程(2)を含む製造方法で製造することができるが、これに限定されるものではない。
工程(1):顔料、分散剤、および該分散剤を溶解または分散する有機溶剤と共に、塩基性物質を含み、水を主成分とする溶液を含有する混合物を分散処理する工程
工程(2):分散処理後の混合物から、有機溶剤の少なくとも一部を除去する工程
工程(1)では、まず、分散剤を有機溶剤に溶解または分散させて混合物を得る(混合工程)。次に、着色剤、塩基性物質を含み、水を主成分とする溶液、水、および必要に応じて界面活性剤等を、この混合物に加えて混合、分散処理し、水中油型の分散物を得る。
上記塩基性物質は、ポリマーが有することがあるアニオン性基(好ましくは、カルボキシル基)の中和に用いられる。アニオン性基の中和度には、特に限定がない。通常、最終的に得られる着色剤粒子の分散物の液性が、例えばpHが4.5〜10であるものが好ましい。前記ポリマーの望まれる中和度により、pHを決めることもできる。
有機溶剤の好ましい例としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、アミド系溶媒、二トリル系溶媒、スルホン系溶媒が挙げられる。が挙げられる。これらのうちアルコール系溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。アミド系溶媒としては、ジメチルホルムアルデヒド、ジエチルホルムアルデヒドが挙げられる。二トリル系溶媒としてはアセト二トリルが挙げられる。ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホランが挙げられる。
これらの溶媒の中では、イソプロパノール、アセトンおよびメチルエチルケトンが好ましく、特に、メチルエチルケトンが好ましい。有機溶剤は、1種単独で用いても複数併用してもよい。
前記着色粒子の分散物の製造においては、二本ロール、三本ロール、ボールミル、トロンミル、ディスパー、ニーダー、コニーダー、ホモジナイザー、ブレンダー、単軸もしくは2軸の押出機等を用いて、強い剪断力を与えながら混練分散処理を行なうことができる。なお、混練、分散についての詳細は、T.C.Patton著「Paint Flow and Pigment Dispersion」,John Wiley and Sons社刊(1964年)等に記載されている。
また、必要に応じて、縦型もしくは横型のサンドグラインダー、ピンミル、スリットミル、超音波分散機等を用い、0.01〜1mmの粒径のガラス、ジルコニア等でできたビーズを用いた微分散処理を行うことにより得ることができる。
着色粒子分散物の製造工程での有機溶剤の除去は、特に方法が限定されるものではなく、減圧蒸留等の公知に方法により除去できる。
このようにして得られた着色粒子分散物における着色粒子は良好な分散状態を保ち、かつ、得られた着色粒子分散物は経時安定性に優れたものとなる。
本発明のインク組成物において、上記着色粒子は、1種単独または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明において着色剤(または着色粒子)の体積平均粒径は、10〜200nmが好ましく、10〜150nmがより好ましく、10〜100nmがさらに好ましい。体積平均粒径が200nm以下であることで色再現性が良好になり、インクジェット方式の場合には打滴特性が良好になる。また、体積平均粒径が10nm以上であることで、耐光性が良好になる。
また、着色剤(または着色粒子)の粒径分布に関しては、特に制限はなく、広い粒径分布または単分散性の粒径分布のいずれであってもよい。また、単分散性の粒径分布を持つ着色剤を、2種以上混合して使用してもよい。
なお、着色剤(または着色粒子)の体積平均粒径および粒径分布は、例えば、光散乱法を用いて測定することができる。
[他の重合開始剤]
本発明のインク組成物は、必要に応じて、本発明の一般式(1)で表される化合物以外の重合開始剤(以下、「他の重合開始剤」という)を任意量、含有してもよい。
他の重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が好ましい。このラジカル重合開始剤として具体的には、(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィン化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機化酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、並びに(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。より具体的には、加藤清視著「紫外線硬化システム」,第65〜148頁,株式会社総合技術センター発行(1989年)に記載されている重合開始剤などを挙げることができる。他の重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ただし、酸性条件下での重合のみに使用する場合は、本発明の一般式(1)で表される化合物のみで十分機能する。
[インク組成物の物性]
本発明のインク組成物の表面張力(25℃)は、20mN/m以上60mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、20mN以上45mN/m以下であり、さらに好ましくは、25mN/m以上40mN/m以下である。
表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学株式会社製)を用い、インク組成物を25℃の条件下で測定される。
また、本発明のインク組成物の25℃での粘度は、1.2mPa・s以上15.0mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは2mPa・s以上13mPa・s未満であり、更に好ましくは2.5mPa・s以上10mPa・s未満である。
粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用い、インク組成物を25℃の条件下で測定される。
インク組成物のpHは、インク組成物の安定性の観点から、pH6〜11が好ましい。後述のインクセットとする場合は、処理液との接触によってインク組成物が高速で凝集することが好ましいため、pH7〜10がより好ましく、pH7〜9がさらに好ましい。
<<インクセット>>
本発明のインクセットは、少なくとも、上述した本発明のインク組成物(以下インク組成物Aと称す)のパーツと、このインク組成物Aと接触して凝集体を形成可能な凝集剤を含有する処理液であるインク組成物Bのパーツからなる。
インク組成物Aと、凝集剤を含む処理液とを用いて画像を形成することにより、良好な画像品質で、硬化感度が高く、耐ブロッキング性に優れた画像が形成できる。
以下、インクセットの処理液について説明する。
<処理液(インク組成物B)>
インクセットの処理液であるインク組成物B(以下、単に処理液と称す)は、インク組成物中の成分を凝集させる酸を少なくとも含み、必要に応じてその他の成分を含んで構成される。
[酸]
処理液に用いる酸は、記録媒体上においてインク組成物と接触することにより、インク組成物を凝集(固定化)することができるものであり、固定化剤として機能する。例えば、処理液を記録媒体(好ましくは、塗工紙)に付与することにより記録媒体上に凝集剤が存在している状態で、インク組成物がさらに着滴して凝集剤に接触することにより、インク組成物中の成分を凝集させて、インク組成物を記録媒体上に固定化することができる。
酸は、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、シュウ酸、酢酸、安息香酸が好適に挙げられる。本発明では、揮発抑制かつ溶媒への溶解性の両立という観点から、分子量35以上1000以下の酸が好ましく、分子量50以上500以下の酸がさらに好ましく、分子量50以上200以下の酸が特に好ましく、本発明のインクセットでは分子量50以上200以下のものを使用する。また、pKa(in HO、25℃)としては、インクにじみ防止と光硬化性の両立という観点から、−10以上7以下の酸が好ましく、1以上7以下の酸がより好ましく、1以上5以下の酸が特に好ましく、本発明のインクセットでは1以上5以下の酸を使用する。
これらの中でも、水溶性の高い酸が好ましい。また、インク組成物と反応してインク全体を固定化させる観点から、3価以下の酸が好ましく、2価以上3価以下の酸が特に好ましい。
本発明において、酸は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
処理液が酸を含む場合、処理液のpH(25℃)は、0.1〜6.8であることが好ましく、0.5〜6.0であることがより好ましく、0.8〜5.0であることがさらに好ましい。
酸の含有量は、前記処理液の全質量に対し、40質量%以下が好ましく、15〜40質量%がより好ましく、15質量%〜35質量%がさらに好ましく、20質量%〜30質量%が特に好ましい。酸の含有量を15〜40質量%とすることでインク組成物中の成分をより効率的に固定化することができる。
酸の記録媒体への付与量としては、インク組成物を凝集させるに足る量であれば特に制限はないが、インク組成物を固定化し易いとの観点から、0.5g/m〜4.0g/mであることが好ましく、0.9g/m〜3.75g/mであることがより好ましい。
[カチオン性ポリマー]
カチオン性ポリマーは、ポリ(ビニルピリジン)塩、ポリアルキルアミノエチルアクリレート、ポリアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリエチレンイミン、ポリビグアニドおよびポリグアニドから選ばれる少なくとも1種のカチオン性ポリマーが好ましい。
カチオン性ポリマーの中でも、凝集速度の観点で有利な、ポリグアニド(好ましくは、ポリ(ヘキサメチレングアニジン)アセテート、ポリモノグアニド、ポリメリックビグアニド)、ポリエチレンイミン、ポリ(ビニルピリジン)が好ましい。
カチオン性ポリマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カチオン性ポリマーの質量平均分子量としては、処理液の粘度の観点では分子量が小さい方が好ましい。処理液をインクジェット方式で記録媒体に付与する場合には、500〜500,000の範囲が好ましく、700〜200,000の範囲がより好ましく、さらに好ましくは1,000〜100,000の範囲である。質量平均分子量は、500以上であると凝集速度の観点で有利であり、500,000以下であると吐出信頼性の点で有利である。ただし、処理液をインクジェット以外の方法で記録媒体に付与する場合には、この限りではない。
前記処理液はカチオン性ポリマーを含むが、処理液のpH(25℃)は、1.0〜10.0であることが好ましく、2.0〜9.0であることがより好ましく、3.0〜7.0であることがさらに好ましい。
カチオン性ポリマーの含有量は、前記処理液の全質量に対して、1〜35質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましい。
カチオン性ポリマーの塗工紙への付与量としては、インク組成物を安定化させるに足る量であれば特に制限はないが、インク組成物を固定化し易いとの観点から、0.5g/m〜4.0g/mが好ましく、0.9g/m〜3.75g/mがより好ましい。
<<光硬化方法>>
本発明の光硬化方法は、前述の(A)成分のエチレン性不飽和基を有する重合性化合物、(B)成分の前記一般式(1)または(2)で表される光重合開始剤および(C)窒素原子が芳香環に直結した構造であって、該芳香環に電子吸引性置換基を有するかまたは該窒素原子がヘテロ環を構成する原子である水素供与体をそれぞれ少なくとも1種含有するインク組成物を、酸性条件下で光硬化させる方法である。
酸性条件下とは、インク組成物を硬化する際に、インク組成物もしくはインク組成物を硬化する際の環境が酸性条件であることであり、上記のようなインクセットのように、別のインク組成物Bと組み合わせても構わない。
また、記録媒体のインク受容面をインク組成物Bで酸性状態にしてもよく、予め酸性状態のインク受容面の記録媒体を使用しても構わない。
また、光硬化に際しては、後述の活性エネルギー線照射工程が好ましく適用される。
<<画像形成方法>>
本発明の画像形成方法は、前記インク組成物(インク組成物A)もしくは上記の光硬化方法を画像形成段階で使用するものであり、着色剤をインク組成物に組み込んで、色画像形成インク組成物として使用しても構わない。
本発明の画像形成方法は、好ましくは、前記インクセットのパーツである処理液のインク組成物Bを、記録媒体上に付与する酸処理工程(処理液付与工程)、該記録媒体上に前記インク組成物Aを付与して画像を形成するインク付与工程と、光照射により、形成された画像のインクを硬化させる光硬化工程(活性エネルギー線照射工程)を少なくとも含む。また、必要に応じてその他の工程をさらに含んで構成される。
[記録媒体]
本発明の画像形成方法に用いる記録媒体には、特に制限はないが、一般のオフセット印刷などに用いられる、いわゆる上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする一般印刷用紙を用いることができる。セルロースを主体とする一般印刷用紙は、水性インクを用いた一般のインクジェット法による画像記録においては比較的インクの吸収、乾燥が遅く、打滴後に色材移動が起こりやすく、画像品質が低下しやすいが、本発明のインクジェット記録方法によると、色材移動を抑制して色濃度、色相に優れた高品位の画像の記録が可能である。
記録媒体としては、一般に市販されているものを使用することができ、例えば、王子製紙(株)製の「OKプリンス上質」、日本製紙(株)製の「しおらい」、及び日本製紙(株)製の「ニューNPI上質」等の上質紙(A)、日本製紙(株)製の「シルバーダイヤ」等の上質コート紙、王子製紙(株)製の「OKエバーライトコート」及び日本製紙(株)製の「オーロラS」等の微塗工紙、王子製紙(株)製の「OKコートL」及び日本製紙(株)製の「オーロラL」等の軽量コート紙(A3)、王子製紙(株)製の「OKトップコート+」及び日本製紙(株)製の「オーロラコート」等のコート紙(A2、B2)、王子製紙(株)製の「OK金藤+」及び三菱製紙(株)製の「特菱アート」等のアート紙(A1)等が挙げられる。また、インクジェット記録用の各種写真専用紙を用いることも可能である。
上記の中でも、色材移動の抑制効果が大きく、従来以上に色濃度及び色相の良好な高品位な画像を得る観点から、記録媒体の水の吸収係数Kaは、0.05〜0.5でmL/m・ms1/2が好ましく、0.1〜0.4mL/m・ms1/2がより好ましく、0.2〜0.3mL/m・ms1/2がさらに好ましい。
水の吸収係数Kaは、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No51:2000(発行:紙パルプ技術協会)に記載されているものと同義であり、具体的には、吸収係数Kaは、自動走査吸液計KM500Win(熊谷理機(株)製)を用いて接触時間100msと接触時間900msにおける水の転移量の差から算出されるものである。
記録媒体の中でも、一般のオフセット印刷などに用いられるいわゆる塗工紙が好ましい。塗工紙は、セルロースを主体とした一般に表面処理されていない上質紙や中性紙等の表面にコート材を塗布してコート層を設けたものである。塗工紙は、通常の水性インクジェットによる画像形成においては、画像の光沢や擦過耐性など、品質上の問題を生じやすいが、本発明のインクジェット記録方法では、光沢ムラが抑制されて光沢性、耐擦性の良好な画像を得ることができる。特に、原紙とカオリンおよび/または重炭酸カルシウムを含むコート層とを有する塗工紙を用いるのが好ましい。より具体的には、アート紙、コート紙、軽量コート紙または微塗工紙がより好ましい。
[酸処理工程(処理液付与工程)]
処理液付与工程では、前記インクセットに含まれる凝集剤を含む処理液が記録媒体上に付与される。処理液の記録媒体への付与は、公知の液体付与方法を特に制限なく用いることができ、スプレー塗布、塗布ローラー等の塗布、インクジェット方式による付与、浸漬などの任意の方法を選択することができる。
具体的には、例えば、ホリゾンタルサイズプレス法、ロールコーター法、カレンダーサイズプレス法などに代表されるサイズプレス法;エアーナイフコーター法などに代表されるサイズプレス法;エアーナイフコーター法などに代表されるナイフコーター法;ゲートロールコーター法などのトランスファーロールコーター法、ダイレクトロールコーター法、リバースロールコーター法、スクイズロールコーター法などに代表されるロールコーター法;ビルブレードコーター法、ショートデュエルコーター法;ツーストリームコーター法などに代表されるブレードコーター法;ロッドバーコーター法などに代表されるバーコーター法;ロッドバーコーター法などに代表されるバーコーター法;キャストコーター法;グラビアコーター法;カーテンコーター法;ダイコーター法;ブラシコーター法;転写法などが挙げられる。
また、特開平10−230201号公報に記載の塗布装置のように、液量制限部材を備えた塗布装置を用いることで塗布量を制御して塗布する方法であってもよい。
処理液を付与する領域は、記録媒体全体に付与する全面付与であっても、インク付与工程でインクが付与される領域に部分的に付与する部分付与であってもよい。本発明においては、処理液の付与量を均一に調整し、細線や微細な画像部分等を均質に記録し、画像ムラ等の濃度ムラを抑える観点から、塗布ローラー等を用いた塗布によって塗工紙全体に付与する全面付与が好ましい。
処理液の付与量を前記範囲に制御して塗布する方法としては、例えば、アニロックスローラーを用いた方法が挙げられる。アニロックスローラーとは、セラミックが溶射されたローラー表面をレーザーで加工しピラミッド型や斜線、亀甲型などの形状を付したローラーである。このローラー表面に付けられた凹みの部分に処理液が入り込み、紙面と接触すると転写されて、アニロックスローラーの凹みで制御された塗布量にて塗布される。
[インク付与工程]
インク付与工程では、前記インクセットに含まれるインク組成物が記録媒体上に付与される。インク組成物の付与方法としては、所望の画像様にインク組成物を付与可能な方法であれば、特に制限はなく公知のインク付与方法を用いることができる。例えば、インクジェット方式、謄写方式、捺転方式等の手段により、記録媒体上にインク組成物を付与する方法を挙げることができる。中でも、記録装置のコンパクト化と高速記録性の観点から、インク組成物をインクジェット方式によって付与する工程であることが好ましい。
[インクジェット方式]
インクジェット方式による画像形成では、エネルギーを供与することにより、記録媒体上にインク組成物を吐出し、着色画像を形成する。なお、本発明に好ましいインクジェット記録方法として、特開2003−306623号公報の段落番号0093〜0105に記載の方法が適用できる。
インクジェット方式には、特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式等のいずれであってもよい。
また、インクジェット方式で用いるインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。さらに前記インクジェット方式により記録を行う際に使用するインクノズル等についても特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
なお、インクジェット方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
またインクジェット方式として、短尺のシリアルヘッドを用い、ヘッドを記録媒体の幅方向に走査させながら記録を行うシャトル方式と、記録媒体の1辺の全域に対応して記録素子が配列されているラインヘッドを用いたライン方式とがある。ライン方式では、記録素子の配列方向と直交する方向に記録媒体を走査させることで記録媒体の全面に画像記録を行うことができ、短尺ヘッドを走査するキャリッジ等の搬送系が不要となる。また、キャリッジの移動と記録媒体との複雑な走査制御が不要になり、記録媒体だけが移動するので、シャトル方式に比べて記録速度の高速化が実現できる。
本発明において、前記処理液付与工程とインク付与工程の実施順は特に制限はないが、画像品質の観点から、処理液付与工程後にインク付与工程が行われる態様であることが好ましい。すなわちインク付与工程は、処理液が付与された記録媒体上にインク組成物を付与する工程であることが好ましい。
[活性エネルギー線照射工程]
本発明の画像形成方法は、記録媒体上に付与されたインク組成物に活性エネルギー線を照射する工程を含むことが好ましい。活性エネルギー線を照射することでインク組成物に含まれる重合性化合物が重合して、着色剤を含む硬化膜を形成する。これにより画像の耐擦性、耐ブロッキング性がより効果的に向上する。
記録媒体上に付与されたインク組成物は、活性エネルギー線を照射することで硬化する。これは、インク組成物に含まれる本発明の重合開始剤が活性エネルギー線の照射により分解して、ラジカルを発生し、それにより重合性化合物の重合反応が開始・促進されてインク組成物が硬化するためである。
処理液中に酸が含まれる場合は、この活性エネルギー線照射の際、当該化合物から供給される酸によりインク組成物がさらに凝集(固定化)し、画像部品質(耐擦性・耐ブロッキング性等)が向上する。
本発明においては、活性エネルギー線として、α線、γ線、電子線、X線、紫外線、可視光、赤外光などが使用できる。前述のように、本発明の光重合開始剤は特に紫外領域の光に対して高い吸収を有しており、この観点から、活性エネルギー線の波長は、200〜600nmが好ましく、300〜450nmがより好ましく、350〜420nmがさらに好ましい。
活性エネルギー線の出力は、5000mJ/cm以下が好ましく、10〜4000mJ/cmがより好ましく、20〜3000mJ/cmがさらに好ましい。
活性エネルギー線源は、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線光硬化型インクジェット記録用インクの硬化に使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。しかしながら、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。また、LED、LDは小型、高寿命、高効率、低コストであり、光硬化型インクジェット用光源として期待されている。
本発明においては、発光ダイオード(LED)およびレーザーダイオード(LD)を活性エネルギー線源として用いることが可能である。特に、紫外線源として、紫外LED(UV−LED)および紫外LD(UV−LD)を使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。
本発明で特に好ましい活性エネルギー線源は、UV−LEDであり、なかでも350〜420nmにピーク波長を有するUV−LEDが好ましい。
[インク乾燥工程]
本発明の画像形成方法においては、必要に応じて、記録媒体上に付与されたインク組成物中の溶媒(例えば、水、前述の水系媒体など)を乾燥除去するインク乾燥工程を備えていてもよい。インク乾燥工程は、インク溶媒の少なくとも一部を除去できれば特に制限はなく、通常用いられる方法を適用することができる。
以下、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[重合性化合物の調製]
Figure 0006022277
[重合性化合物M−1の合成]
攪拌機を備えた1L容の三口フラスコに4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミン40.0g(182mmol)、炭酸水素ナトリウム37.8g(450mmol)、水100g、テトラヒドロフラン200gを加えて、氷浴下、アクリル酸クロリド35.2g(389mmol)を20分かけて滴下した。滴下後、室温で5時間攪拌した後、得られた反応混合物から減圧下でテトラヒドロフランを留去した。次に水層を酢酸エチル200mlで4回抽出し、得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過を行い、減圧下溶媒留去することにより目的の重合性化合物M−1の固体を35.0g(107mmol、収率59%)得た。
[重合性化合物M−2の合成]
下記スキームに従って、重合性化合物M−2を合成した。
Figure 0006022277
(1)中間体M−2(B)の合成
スターラーバーを備えた1L容の三口フラスコに、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンM−2(A)(東京化成工業社製)121g(1当量)、50%水酸化カリウム水溶液84ml、トルエン423mlを加えて攪拌し、水浴下、反応系中を20〜25℃で維持し、アクリロニトリル397.5g(7.5当量)を2時間かけて滴下した。滴下後、1.5時間攪拌した後、トルエン540mlを反応系中に追加し、その反応混合物を分液漏斗へ移し水層を除いた。残った有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、セライトろ過を行い、減圧下溶媒留去することにより中間体M−2(B):アクリロニトリル付加体を得た。得られた物質のH−NMR、MSによる分析結果は既知物と良い一致を示したため、さらに精製することなく次の還元反応に用いた。
(2)中間体M−2(C)の合成
1L容オートクレーブに先に得られた中間体M−2(B)を24g、Ni触媒48g(ラネーニッケル2400、W.R.Grace&Co.社製)、25%アンモニア水:メタノール=1:1溶液600mlを入れ懸濁させ反応容器を密閉した。反応容器に10Mpaの水素を導入し、反応温度を25℃で16時間反応させた。
原料の消失をH−NMRにて確認し、反応混合物をセライト濾過し、セライトをメタノールで数回洗浄した。濾液を減圧下溶媒留去することにより中間体M−2(C):アミン体を得た。得られた物質はさらに精製することなく次の還元反応に用いた。
(3)重合性化合物M−2の合成
攪拌機を備えた2L容の三口フラスコに先に得られた中間体M−2(C)30g、NaHCO 120g(14当量)、ジクロロメタン1L、水50mlを加えて、氷浴下、アクリル酸クロリド92.8g(10当量)を3時間かけて滴下し、その後、室温で3時間攪拌した。原料の消失をH−NMRにて確認した後、反応混合物を減圧下溶媒留去し、硫酸マグネシウムで反応混合物を乾燥させ、セライトろ過を行い、減圧下溶媒留去した。最後に、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール=4:1)にて精製することで、常温で黄色の液体(収率40%)を得た。
[重合性化合物M−3]
重合性化合物M−3は東京化成工業(株)製のものを使用した。
[光重合開始剤の調製]
光重合開始剤I−1、I−6は、和光純薬工業(株)製のものを使用した。
光重合開始剤I−2は、Bioorg.Med.Chem.,7,1321(1999)、光重合開始剤I−3は、Tetrahedron,49,939(1993)、光重合開始剤I−4は、特開2009−084220号公報、光重合開始剤I−5は、Synlett,16,2453(2005)に記載の方法もしくはこれに準じてた方法で合
Figure 0006022277
[水素供与体]
水素供与体A−1〜A−4、A−6、B−1〜B−3は、いずれも東京化成工業(株)製のものを使用した。A−5は公知の方法(J.Org.Chem.,2006,71,5117)に従って合成した。
Figure 0006022277
実施例1
以下のようにして、各モノマー溶液を調整した。
[モノマー溶液の調整]
(モノマー溶液1)
重合性化合物M−1(500mg)、光重合開始剤I−1(25mg)、水素供与体A−1(25mg)、マロン酸(50mg)をメタノール(2ml)に溶解させ、モノマー溶液1を調整した。
(モノマー溶液2〜9)
モノマー溶液1における水素供与体A−1を、A−2〜A−6、B−1〜B−3に、それぞれ等質量変更した以外はモノマー溶液1と同様にして、モノマー溶液2〜9を調整した。
(モノマー溶液10〜14)
モノマー溶液2におけるマロン酸を、安息香酸、リンゴ酸、マレイン酸、シュウ酸、酢酸に、それぞれ等質量変更した以外はモノマー溶液1と同様にして、モノマー溶液10〜14を調整した。
(モノマー溶液15〜20)
モノマー溶液4におけるマロン酸を、安息香酸、リンゴ酸、リン酸、マレイン酸、シュウ酸、酢酸に、それぞれ等質量変更した以外はモノマー溶液4と同様にして、モノマー溶液15〜20を調整した。
(モノマー溶液21、22)
モノマー溶液5におけるマロン酸を、リンゴ酸、リン酸に、それぞれ等質量変更した以外はモノマー溶液5と同様にして、モノマー溶液21、22を調整した。
(モノマー溶液23〜27)
モノマー溶液2における光重合開始剤I−1を、光重合開始剤I−2〜I−6に、それぞれ等質量変更した以外はモノマー溶液2と同様にして、モノマー溶液23〜27を調整した。
(モノマー溶液28、29)
モノマー溶液4における光重合開始剤I−1を、光重合開始剤I−2に、また、重合性化合物M−1を、重合性化合物M−2、M−3に、それぞれ等質量変更した以外はモノマー溶液4と同様にして、モノマー溶液28、29を調整した。
[比較の水素供与体]
下記の比較の水素供与体R−1〜R−5は、和光純薬工業(株)製のものを使用した。
Figure 0006022277
(モノマー溶液c1〜c5)
モノマー溶液1における水素供与体A−1を、上記の比較の水素供与体R−1〜R−5に、それぞれ等質量変更した以外はモノマー溶液1と同様にして、モノマー溶液c1〜c5を調整した。
(モノマー溶液c6)
モノマー溶液1における水素供与体A−1を、添加しないこと以外はモノマー溶液1と同様にして、モノマー溶液c6を調整した。
(モノマー溶液c7、c8)
モノマー溶液4における光重合開始剤I−1を、J−1、J−2にそれぞれ等質量変更した以外は、モノマー溶液4と同様にして、モノマー溶液c7、c8を調整した。
(モノマー溶液c9〜c11)
モノマー溶液2における光重合開始剤I−1を、J−3〜J−5にそれぞれ等質量変更した以外は、モノマー溶液2と同様にして、モノマー溶液c9〜c11を調整した。
Figure 0006022277
ここで、これらの酸のpKa in HO(25℃)は以下の通りである。
マロン酸が2.8(pKa1)、リンゴ酸が3.4(pKa1)、酢酸が4.8、安息香酸が4.2、シュウ酸が1.2、マレイン酸が1.9(pKa1)、リン酸が2.12(pKa1)である。
[光硬化実験]
(実験1)
モノマー溶液1(10μL)をそれぞれマイクロシリンジで銅薄膜上へ滴下し、日亜化学(株)製の紫外線発光ダイオード照射装置(365nm、110mW/cm)を用いて5秒間露光した。露光前後で、不飽和結合由来のピークがどの程度減少するかをFT−IR(VARIAN社製、Varian 3100 FT−IR)を用いて観測し、重合率を求めた。また、酸を添加しなかった対応する各モノマー溶液を作製し、酸を添加したモノマー溶液と同様にして重合率を測定し、[(酸を添加していないモノマー溶液での重合率)−(酸添加モノマー溶液での重合率)]/(酸を添加していないモノマー溶液での重合率)×100=Δ重合低下率を求め、酸存在下での重合率の減少の程度を調べた。
(実験2〜29、c1〜c11)
モノマー溶液1をモノマー溶液2〜29、c1〜c11に変更した以外は、実験1と同様にして実験2〜29、c1〜c11を行った。
得られた結果を下記表1に示す。
Figure 0006022277
表1の結果から明らかなように、チオクロマノンまたはチオキサントン系光重合開始剤と本発明の水素供与体との組み合わせは、比較の水素供与体との組み合わせと比較し、酸添加後のUV−LED光(365nm)での重合率が、著しく優れていることがわかる。
また、酸が存在しない条件と比較し、酸存在下で重合率の低下(Δ重合率がマイナスの値は重合率が向上)が比較的少なく、逆に向上するものも存在する。
これに対して、比較の水素供与体または比較の光重合開始剤を使用した場合、酸存在下での重合率は低く、しかも酸の存在によって、モノマー溶液c1〜c6、c10、c11では重合率が大きく低下している。なお、モノマー溶液c7〜c9では、Δ重合低下率は比較的少ないが、酸存在下での重合率自体が、12〜38%であり、本発明のモノマー溶液と比較して、著しく低い。
本発明の光重合開始剤と水素供与体の組合せで、重合率が優れる理由として、水素供与体由来のラジカル種が、酸によってプロトン化されることで、重合開始過程における反応性が低下すると考えられ、本発明のように電子求引性置換基の導入あるいは複素環化により、水素供与体の窒素上の塩基性が低下し、プロトン化が抑制され、反応性が維持されたと考えられる。
実施例2
以下のように、インクセットを作製し、インクジェット方式により画像を形成し、硬化性試験を行った。
[ポリマー分散剤P−1の合成]
攪拌機、冷却管を備えた1000ml容の三口フラスコにメチルエチルケトン88gを加えて窒素雰囲気下で72℃に加熱し、ここにメチルエチルケトン50gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.85g、ベンジルメタクリレート60g、メタクリル酸10g、及びメチルメタクリレート30gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後、メチルエチルケトン2gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.42gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温して4時間加熱した。得られた反応溶液は大過剰量のヘキサンに2回再沈殿し、析出した樹脂を乾燥し、ポリマー分散剤P−1を96g得た。
得られた樹脂の組成は、H−NMRで確認し、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めた質量平均分子量(Mw)は44,600であった。さらに、JIS規格(JISK0070:1992)に記載の方法により酸価を求めたところ、65.2mgKOH/gであった。
[樹脂被覆顔料の分散物の調製]
−樹脂被覆マゼンタ顔料分散物−
Chromophthal Jet Magenta DMQ(ピグメント・レッド122、BASF・ジャパン社製)10質量部、上記ポリマー分散剤P−1を5質量部、メチルエチルケトン42質量部、1mol/L NaOH水溶液5.5質量部およびイオン交換水87.2質量部を混合し、ビーズミルにより0.1mmφジルコニアビーズを用いて2〜6時間分散した。
得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去することにより、顔料濃度が10.2質量%の樹脂被覆マゼンタ顔料の分散物(着色粒子)を得た。
[インクセット1〜7の調製]
以下のようにして、下記インク処方1〜7により、マゼンタインク1〜7および処理液1をそれぞれ調製し、これらのマゼンタインクと処理液1との組合せからなるインクセット1〜7を得た。
(マゼンタインク1〜7の調製)
上記の樹脂被覆マゼンタ顔料の分散物を用い、下記インク処方1〜7となるように、樹脂被覆マゼンタ顔料分散物、イオン交換水、重合開始剤、重合性化合物および界面活性剤を混合し、その後、5μmメンブレンフィルタでろ過してマゼンタインク1〜7を調製した。
[インク処方]
−インク処方1−
・樹脂被覆マゼンタ顔料分散物 ・・・ 6質量%
・光重合開始剤I−2 ・・・ 1.5質量%
・水素供与体A−3 ・・・ 1.5質量%
・重合性化合物M−1 ・・・ 15質量%
・オルフィンE1010 ・・・ 1質量%
(日信化学(株)製;界面活性剤)
・アセトニトリル ・・・60質量%
・イオン交換水 ・・・ 全体で100質量%となるように添加。
−インク処方2−
・樹脂被覆マゼンタ顔料分散物 ・・・ 6質量%
・光重合開始剤I−2 ・・・ 1.5質量%
・水素供与体A−4 ・・・ 1.5質量%
・重合性化合物M−1 ・・・ 15質量%
・オルフィンE1010 ・・・ 1質量%
(日信化学(株)製;界面活性剤)
・アセトニトリル ・・・60質量%
・イオン交換水 ・・・ 全体で100質量%となるように添加。
−インク処方3−
・樹脂被覆マゼンタ顔料分散物 ・・・ 6質量%
・光重合開始剤I−3 ・・・ 1.5質量%
・水素供与体A−4 ・・・ 1.5質量%
・重合性化合物M−1 ・・・ 15質量%
・オルフィンE1010 ・・・ 1質量%
(日信化学(株)製;界面活性剤)
・アセトニトリル ・・・60質量%
・イオン交換水 ・・・ 全体で100質量%となるように添加。
−インク処方4−
・樹脂被覆マゼンタ顔料分散物 ・・・ 6質量%
・光重合開始剤I−2 ・・・ 1.5質量%
・水素供与体A−4 ・・・ 1.5質量%
・重合性化合物M−2 ・・・ 15質量%
・オルフィンE1010 ・・・ 1質量%
(日信化学(株)製;界面活性剤)
・アセトニトリル ・・・60質量%
・イオン交換水 ・・・ 全体で100質量%となるように添加。
−インク処方5−
・樹脂被覆マゼンタ顔料分散物 ・・・ 6質量%
・光重合開始剤I−2 ・・・ 1.5質量%
・水素供与体B−1 ・・・ 1.5質量%
・重合性化合物M−1 ・・・ 15質量%
・オルフィンE1010 ・・・ 1質量%
(日信化学(株)製;界面活性剤)
・アセトニトリル ・・・60質量%
・イオン交換水 ・・・ 全体で100質量%となるように添加。
−インク処方6(比較インク処方)−
・樹脂被覆マゼンタ顔料分散物 ・・・ 6質量%
・光重合開始剤I−2 ・・・ 3質量%
・重合性化合物M−1 ・・・ 15質量%
・オルフィンE1010 ・・・ 1質量%
(日信化学(株)製;界面活性剤)
・アセトニトリル ・・・60質量%
・イオン交換水 ・・・ 全体で100質量%となるように添加。
−インク処方7(比較インク処方)−
・樹脂被覆マゼンタ顔料分散物 ・・・ 6質量%
・光重合開始剤I−2 ・・・ 1.5質量%
・水素供与体R−1 ・・・ 1.5質量%
・重合性化合物M−1 ・・・ 15質量%
・オルフィンE1010 ・・・ 1質量%
(日信化学(株)製;界面活性剤)
・アセトニトリル ・・・60質量%
・イオン交換水 ・・・ 全体で100質量%となるように添加。
pHメータ WM−50EG(東亜DKK(株)製)を用いて、マゼンタインク1〜7のpH(25℃)を測定したところ、pH値はいずれも8.8であった。
[インクジェット記録]
記録媒体(塗工紙)として、特菱アート両面N(三菱製紙製)(坪量104.7g/m)を用意して、以下に示すようにして画像を形成し、形成された画像について以下の評価を行なった。
上記で調製したインクセット1〜7を用い、4色シングルパス記録によりライン画像とベタ画像を形成した。
このとき、ライン画像は、1200dpiの1ドット幅のライン、2ドット幅のライン、4ドット幅のラインをシングルパスで主走査方向に吐出することによりライン画像を形成した。
またベタ画像は、記録媒体をA5サイズにカットしたサンプルの全面にインク組成物を吐出することによりベタ画像を形成した。なお、記録する際の諸条件は下記の通りである。
(1)処理液付与工程
記録媒体の全面に、アニロックスローラー(線数100〜300/インチ)で塗布量が制御されたロールコーターにて付与量が、1.4g/mとなるように処理液(処理液1)を塗布した。
(2)処理工程
次いで、下記条件にて処理液が塗布された記録媒体について乾燥処理および浸透処理を施した。
・風速:10m/s
・温度:記録媒体の記録面側の表面温度が60℃となるように、記録媒体の記録面の反対側(背面側)から接触型平面ヒーターで加熱した。
(3)インク付与工程
処理液が塗布された記録媒体の塗布面に、下記条件にてインクをインクジェット方式で吐出し、ライン画像、ベタ画像をそれぞれ形成した。
・ヘッド:1,200dpi/20inch幅のピエゾフルラインヘッドを4色分配置
・吐出液滴量:2.0pL
・駆動周波数:30kHz
(4)インク乾燥工程
インクが付与された記録媒体を下記条件で乾燥した。
・乾燥方法:送風乾燥
・風速:15m/s
・温度:記録媒体の記録面側の表面温度が60℃となるように、記録媒体の記録面の反対側(背面側)から接触型平面ヒーターで加熱した。
(5)固定化工程
次に、メタルハライドランプを用いて、記録画像に2000mJ/cmのエネルギー条件で、活性エネルギー線として紫外線を照射し、画像記録物を得た。
[評価]
得られた各画像サンプルを、以下のようにしてインクの硬化性試験を行った。
[硬化感度]
未印字の特菱アート両面N(三菱製紙製)を文鎮(質量470g、サイズ15mm×30mm×120mm)に巻きつけ(未印字の特菱アートと評価サンプルが接触する面積は150mm)、上記印画サンプルを3往復擦った(荷重260kg/mに相当)。擦った後の印画面を目視により観察し、下記の評価基準に従って評価した。
(評価基準)
A … 印字面に画像(色材)のはがれが視認できなかった。
B … 印字面に画像(色材)のはがれが僅かに認められた。
C … 印字面に画像(色材)のはがれが視認でき、実用上問題になるレベルであった。
得られた結果を下記表2に示す。
Figure 0006022277
表2から明らかなように、本発明のインクセットは、いずれも硬化感度に優れ、インクジェット方式の画像形成に適していることがわかる。

Claims (16)

  1. (A)エチレン性不飽和基を有する重合性化合物、(B)下記一般式(1)または(2)で表される光重合開始剤および(C)窒素原子が芳香環に直結した構造であって、該芳香環に電子吸引性置換基を有するかまたは該窒素原子がヘテロ環を構成する原子である水素供与体をそれぞれ少なくとも1種含有するインク組成物を、酸性条件下で光硬化させる光硬化方法であり、
    前記(C)の水素供与体が、下記一般式(4)で表される光硬化方法。
    Figure 0006022277
    (一般式(1)、(2)中、R〜R16はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を表す。)
    Figure 0006022277
    (一般式(4)中、R39〜R42は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、フルオロアルキル基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基またはスルファモイル基を表す。Xは、酸素原子または硫黄原子を表す。)
  2. 前記(B)の光重合開始剤が、前記一般式(1)で表される請求項に記載の光硬化方法。
  3. 前記(A)の前記エチレン性不飽和基を有する重合性化合物が、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物または(メタ)アクリルアミド化合物である請求項1または2に記載の光硬化方法。
  4. 前記インク組成物が、少なくとも1種の着色剤を含有する請求項1〜のいずれか1項に記載の光硬化方法。
  5. 前記インク組成物が、インクジェット用インク組成物である請求項1〜のいずれか1項に記載の光硬化方法。
  6. 前記インク組成物により、画像を形成した後に光硬化する請求項1〜のいずれか1項に記載の光硬化方法。
  7. (A)エチレン性不飽和基を有する重合性化合物、(B)下記一般式(1)または(2)で表される光重合開始剤および(C)窒素原子が芳香環に直結した構造であって、該芳香環に電子吸引性置換基を有するかまたは該窒素原子がヘテロ環を構成する原子である水素供与体をそれぞれ少なくとも1種含有するインク組成物Aと、分子量50以上200以下で、かつpKa(in HO)1以上5以下の酸を含有するインク組成物Bとからなるインクセットであり、
    前記(C)の水素供与体が、下記一般式(4)で表されるインクセット。
    Figure 0006022277
    (一般式(1)、(2)中、R〜R16はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を表す。)
    Figure 0006022277
    (一般式(4)中、R39〜R42は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、フルオロアルキル基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基またはスルファモイル基を表す。Xは、酸素原子または硫黄原子を表す。)
  8. 前記(B)の光重合開始剤が、前記一般式(1)で表される請求項に記載のインクセット。
  9. 前記(A)の前記エチレン性不飽和基を有する重合性化合物が、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物または(メタ)アクリルアミド化合物である請求項またはに記載のインクセット。
  10. 前記インク組成物Aが、少なくとも1種の着色剤を含有する請求項のいずれか1項に記載のインクセット。
  11. 前記インクセットが、インクジェット用インクセットである請求項10のいずれか1項に記載のインクセット。
  12. 請求項1〜のいずれか1項に記載の光硬化方法を含む画像形成方法。
  13. 請求項11のいずれか1項に記載のインクセットを使用する画像形成方法。
  14. 記録媒体上に、前記インク組成物Bを付与する酸処理工程、該記録媒体上に前記インク組成物Aを付与して画像を形成するインク付与工程と、光照射により、形成された画像のインクを硬化させる光硬化工程を含む請求項13に記載の画像形成方法。
  15. (A)エチレン性不飽和基を有する重合性化合物、(B)下記一般式(1)または(2)で表される光重合開始剤および(C)下記一般式(4)で表される水素供与体をそれぞれ少なくとも1種含有するインク組成物。
    Figure 0006022277
    (一般式(1)、(2)中、R〜R16はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を表す。)
    Figure 0006022277
    (一般式(4)中、R39〜R42は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、フルオロアルキル基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基またはスルファモイル基を表す。Xは、酸素原子または硫黄原子を表す。)
  16. 前記(B)の光重合開始剤が、前記一般式(1)で表される請求項15に記載のインク組成物。
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