JP6318111B2 - 光重合開始剤、及びそれを用いた、インク組成物、インクセット及び画像形成方法 - Google Patents
光重合開始剤、及びそれを用いた、インク組成物、インクセット及び画像形成方法 Download PDFInfo
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Description
インクジェット方式は、印刷時に版を必要とせず、必要とされる画像部のみにインク組成物を吐出して記録媒体上に直接画像形成を行うため、インク組成物を効率良く使用でき、ランニングコストが安い。さらに、インクジェット方式は印刷装置も安価であり、騒音も少ない。このように、インクジェット方式は他の画像記録方式に比べて種々の利点を兼ね備えている。
インクジェット方式に用いるインク組成物として、放射線硬化性のインク組成物が知られている。この放射線硬化性インク組成物は、紫外線などの放射線の照射によりインク組成物中の重合性成分が重合して硬化するため、放射線非硬化性のインク組成物(溶剤系インク組成物)を用いた場合に比べて画像がにじみにくい等の利点がある。
また、特許文献2には、ケトン基に対してパラ位に水溶性基を有する、α−ヒドロキシアセトフェノン型光開始剤が開示されている。しかしながら、特許文献2に開示の2−ヒドロキシアセトフェノン型光重合開始剤は、十分な水溶性を有しない、また、極大吸収波長の点でUV−LED光源(365nm付近)によるエネルギー線に対しては十分な吸収を有さない、という難点があった。
また、本発明は、この化合物を光重合開始剤として配合した、硬化性に優れたインク組成物を提供することを課題とする。さらに、本発明は、このインク組成物を用いたインクセット、及び画像記録方法を提供することを課題とする。
[1]
下記一般式(1)で表される化合物。
[2]
R1〜R4の1つ又は2つが一般式(2)で表される基である、[1]に記載の化合物。
[3]
R8が下記一般式(4)で表される基である、[1]又は[2]に記載の化合物。
[4]
R3が上記一般式(2)で表される基である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の化合物。
[5]
上記R 1 、R 2 、及びR 4 が水素原子又はメチル基であり、R 6 及びR 7 がアルキル基であり、R 8 が酸素原子を1つ有する炭素数1〜6のアルキレン基であり、R 9 が水素原子、メチル基又はエチル基である、[4]に記載の化合物。
[6]
R 6 及びR 7 がメチル基である、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の化合物。
[7]
[1]〜[6]のいずれか1つに記載の化合物からなる光重合開始剤と重合性化合物と水系媒体とを含有するインク組成物。
[8]
記録媒体上に[7]に記載のインク組成物を付与するインク付与工程と、
記録媒体上に付与されたインク組成物に活性エネルギー線を照射する活性エネルギー線照射工程と
を有する画像形成方法。
[9]
活性エネルギー線のピーク波長が300〜450nmである[8]に記載の画像形成方法。
[10]
凝集成分を含有する処理剤を、記録媒体上に付与する処理剤付与工程を有し、処理剤付与工程が、インク付与工程よりも先に行われる[8]又は[9]に記載の画像形成方法。
[11]
インク付与工程が、インクジェット記録方式によりインクを付与する工程である[8]〜[10]のいずれか1つに記載の画像形成方法。
[12]
[7]に記載のインク組成物と、凝集成分を含有する処理剤とを含むインクセット。
本明細書において、各置換基の例として説明される各基の「基」は無置換の形態及び置換基を有する形態のいずれも包含する意味に用いる。例えば、「アルキル基」は置換基を有してもよいアルキル基を意味する。
本発明において、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの双方又はいずれかを表し、「(メタ)アクリルアミド」はアクリルアミド及びメタクリルアミドの双方又はいずれかを表す。
また、本発明において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
中でも、R1〜R4は、水素原子、メチル又はエチルが好ましく、より好ましくは水素原子又はメチルであり、さらに好ましくは水素原子である。
ここで、「ヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基」とは、2価の炭化水素基の炭素−炭素結合の一部がヘテロ原子により分断されていてもよいことを意味する。
R8として採りうる、上記のアルキレン基(ヘテロ原子を含まない場合)は、直鎖でも分岐を有してもよい。上記アルキレン基が直鎖の場合、その炭素数は好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3である。また、上記アルキレン基が分岐を有している場合、その炭素数は好ましくは3〜7、より好ましくは3〜6である。
R8として採りうる上記アリーレン基は、好ましくはフェニレン又はナフチレン、より好ましくはフェニレンである。このアリーレン基は置換基を有してもよく、アリーレン基上の置換基としては炭素数1〜3のアルキル基が挙げられる。
R8で表される基がヘテロ原子を含む炭化水素基である場合、炭化水素基中に含まれるヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子が挙げられる。なかでも炭化水素基の炭素−炭素結合中に−O−、−S−、を有する形態が好ましく、−O−を有する形態がより好ましい。
R8が採りうるヘテロ原子を含むアルキレン基は、好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜6、さらに好ましくは炭素数1〜4の、ヘテロ原子を少なくとも1つ含む、直鎖又は分岐のアルキレン基である。
R8は、アルキレン基又は酸素原子を含むアルキレン基であることが好ましい。
R9として採りうる炭素数6以下のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜4、より好ましくは炭素数1〜3の直鎖又は分岐を有するアルキル基である。炭素数6以下のアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、3−エチルペンチル、及びヘキシルなどが挙げられる。
中でも、R9は、水素原子、メチル、又はエチルが好ましく、より好ましくは水素原子又はメチルであり、さらに好ましくは水素原子である。
R6及びR7として採りうるアリール基は、好ましくは炭素数6〜18、より好ましくは炭素数6〜12のアリール基である。アリール基としては、例えば、フェニル、ナフチルが挙げられる。アリール基は置換基を有してもよく、アリール基上の置換基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、及びブチルが挙げられる。
R6及びR7が結合して形成する5もしくは6員環は、脂環式炭化水素環であることが好ましく、シクロヘキサンであることが好ましい。
R6及びR7としては、メチル又はフェニルが好ましく、またR6とR7が結合してシクロヘキシルとなる場合も好ましい。さらに、水への溶解性の観点からR6及びR7がメチルであることが特に好ましい。
一般式(1)中に、一般式(2)又は(3)で表される基が複数含まれる場合、複数のR8、R9、R10、及びR11はそれぞれ同一であっても異なってもよく、同一であることが好ましい。
下記において、Meはメチルを、Etはエチルを、Phはフェニルを表す。
また、本発明の化合物は、紫外領域の光、特に365nm付近の光に対して高い感度を示し、ラジカルを発生する。発生したラジカルは、ラジカル反応により、重合性化合物を重合させる。これらの特性により、本発明の化合物は水溶性の光重合開始剤として好適に用いることができる。本発明の化合物の光重合開始剤としての使用態様として、下記に説明する光硬化型の水性インク組成物が例示できる。
本発明の光重合開始剤は、各種の材料に使用することができる。
例えば、塗料、接着剤、粘着剤、インク、機能性コーティング剤、各種膜、各種フィルム、光学材料、印刷版材料、半導体材料、記録材料、組織培養皿、紙類添加剤、医療用材料、プラスチック、保水剤、吸水剤、親水性部材等が挙げられる。
より具体的には各種フィルムの反射防止層、各種フィルムの下塗り接着層、各種フィルムのコーティング層、レジスト、刷版、カラーフィルター、内視鏡コーティング剤、イオン交換膜、逆浸透膜、導電性塗膜、医療用接着剤、プロトン伝導性膜、微小孔膜等が挙げられる。
本発明のインク組成物は、光重合開始剤として少なくとも一般式(1)で表される本発明の化合物を含有し、さらに重合性化合物と水系媒体とを含有してなる。本発明の化合物からなる光重合開始剤と重合性化合物とを含むことにより、硬化性(硬化反応感度)に優れたインク組成物が得られ、このインク組成物を用いて記録媒体上に画像を形成した後、光等の活性エネルギー線を照射することで、耐擦性や耐ブロッキング性に優れた画像を形成することができる。また、本発明の化合物からなる光重合開始剤は水溶性であるため、水や水溶性有機溶剤を媒体として用いた水性インク組成物に適している。
本発明のインク組成物は、着色剤(色材)を含有しないクリアインク(無色インク)組成物とすることも、着色剤を含有するインク組成物とすることもできるが、着色剤を含有することが好ましい。
また、本発明のインク組成物は、特にインクジェット用のインクとして好適に用いることができる。
本発明のインク組成物を硬化させる際の活性エネルギー線の照射量は、紫外線を採用する場合、通常、照射強度(光出力)5〜100mW/cm2、照射量100〜3000mJ/cm2であり、これによって上記インク組成物は、通常1秒〜20秒で硬化する。
以下、本発明のインク組成物の各成分について説明する。
本発明のインク組成物に用いる光重合開始剤は、一般式(1)で表される本発明の化合物(以下、「本発明の光重合開始剤」ともいう)である。光重合開始剤は、本発明の化合物を1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
インク組成物中の光重合開始剤の含有量は、固形成分の総量に対して、0.1〜40質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることがさらに好ましい。
なお、本明細書において、「固形成分の総量」又は「全固形分」とは、組成物の全組成から水及び有機溶剤を除いた成分の総質量をいう。
また、重合性化合物100質量部に対して、光重合開始剤を0.1〜100質量部用いることが好ましく、1〜75質量部用いることがより好ましく、10〜50質量部用いることがさらに好ましい。
この光重合開始剤は、遮光することにより、重合反応開始まで、その分解を抑制する。
本発明のインク組成物に用いる重合性化合物は、本発明の光重合開始剤によって重合反応を開始しうる化合物であれば特に限定されず、分子内にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物等を利用できる。重合性化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマー等のいずれであってもよい。
重合性化合物は、インク組成物の吐出安定性の観点から、水溶性の化合物であることが好ましい。重合性化合物の溶解度は、特に限定されないが、25℃における水への溶解度が2質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましく、20質量%以上であることが特に好ましく、任意の割合で水と均一に混合するものが最も好ましい。
また、上記重合性化合物は、水溶性向上の観点から、分子内にポリ(エチレンオキシ)鎖、ポリ(プロピレンオキシ)鎖、イオン性基(例えばカルボキシル基、スルホ基など)、水酸基等を有していてもよい。
これらの(メタ)アクリルアミド化合物は、通常のアクリルアミド化合物の合成方法(例えば、参考文献としてJournal of the American Chemical Society, 1979, 101, 5383)を用いて合成することができる。
本発明のインク組成物は水系媒体を含有する。水系媒体は少なくとも水を含み、必要に応じて有機溶剤の少なくとも1種を含んでなる。
水系媒体に用いられる水は、イオン交換水、蒸留水などの、イオン性不純物を含まない水が好ましい。
また、インク組成物中の水の含有量は、目的に応じて適宜選択されうるが、通常、インク組成物の全質量に対して、10〜95質量%であることが好ましく、30〜90質量%であることがより好ましい。
水系媒体は、水溶性有機溶剤を含むことが好ましい。水溶性有機溶剤を含有することで、乾燥防止、湿潤あるいは浸透促進の効果を得ることができる。乾燥防止には、噴射ノズルのインク吐出口においてインクが付着乾燥して凝集体ができ、目詰まりするのを防止する乾燥防止剤として用いられ、乾燥防止や湿潤には、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。また、浸透促進には、紙へのインク浸透性を高める浸透促進剤として用いることができる。
水溶性有機溶剤は、1種単独で使用しても、2種以上混合して使用してもよい。
インク組成物中の水溶性有機溶剤の含有量は、インク組成物の全質量に対して、1〜60質量%が好ましく、より好ましくは5〜40質量%である。
本発明のインク組成物は着色剤を含有することが好ましい。
本発明のインク組成物(以下、単に「インク」ということがある)は、単色画像の形成のみならず、多色画像(例えばフルカラー画像)の形成にも用いることができ、所望の1色又は2色以上を選択して画像形成することができる。フルカラー画像を形成する場合、インク組成物は、例えば、マゼンタ色調インク、シアン色調インク、及びイエロー色調インクとして用いることができる。また、色調を整えるために、さらにブラック色調インクとして用いてもよい。
上記の各色調のインク組成物は、着色剤(例えば顔料)の色相を所望により変更することにより調製できる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、などが挙げられる。染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。
染料を保持した担体(着色剤)はそのまま、あるいは必要に応じて分散剤を併用して用いることができる。分散剤としては後述する分散剤を好適に用いることができる。
インク組成物中の着色剤(特に顔料)の含有量は、色濃度、粒状性、インク安定性、吐出信頼性の観点から、インク組成物の全質量に対して、0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。
本発明のインク組成物に用いる着色剤が顔料である場合、分散剤によって水系溶媒に分散された着色粒子(以下、単に「着色粒子」という)を構成していることが好ましい。
分散剤としては、ポリマー分散剤でも低分子の界面活性剤型分散剤でもよい。また、ポリマー分散剤としては水溶性ポリマー分散剤でも水不溶性ポリマー分散剤の何れでもよい。本発明においては、分散安定性とインクジェット方式に適用した場合の吐出性の観点から、水不溶性ポリマー分散剤であることが好ましい。
本発明における水不溶性ポリマー分散剤(以下、単に「分散剤」ということがある)としては、水不溶性のポリマーであって、顔料を分散可能であれば特に制限は無く、従来公知の水不溶性ポリマー分散剤を用いることができる。水不溶性ポリマー分散剤は、例えば、疎水性の構成単位と親水性の構成単位の両方を含んで構成することができる。
また親水性構成単位を構成するモノマーとしては、親水性基を含むモノマーであれば特に制限はない。親水性基としては、ノニオン性基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等を挙げることができる。尚、ノニオン性基としては、水酸基、(窒素原子が無置換の)アミド基、アルキレンオキシド重合体(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等)に由来する基、糖アルコールに由来する基等が挙げられる。
本発明における親水性構成単位は、分散安定性の観点から、少なくともカルボキシル基を含むことが好ましく、ノニオン性基とカルボキシル基を共に含む形態であることもまた好ましい。
ここで「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
着色粒子中の分散剤の含有量が、上記範囲であることにより、顔料が適量の分散剤で被覆され、粒径が小さく経時安定に優れた着色粒子を得やすい傾向となり好ましい。
工程(1):顔料、分散剤、及び分散剤を溶解又は分散する有機溶剤と共に、塩基性物質を含み、水を主成分とする溶液を含有する混合物を分散処理する工程
工程(2):分散処理後の混合物から、有機溶剤の少なくとも一部を除去する工程
また、必要に応じて、縦型もしくは横型のサンドグラインダー、ピンミル、スリットミル、超音波分散機等を用い、0.01〜1mmの粒径のガラス、ジルコニア等でできたビーズを用いた微分散処理を行うことにより得ることができる。
本発明のインク組成物において、上記着色粒子は、1種単独で、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、着色剤(又は着色粒子)の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布又は単分散性の粒径分布のいずれであってもよい。また、単分散性の粒径分布を持つ着色剤を、2種以上混合して使用してもよい。
尚、着色剤(又は着色粒子)の体積平均粒径及び粒径分布は、例えば、光散乱法を用いて測定することができる。
本発明のインク組成物は、本発明の化合物以外の重合開始剤(以下、「他の重合開始剤」という)を任意量、含有してもよい。
他の重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が好ましい。このラジカル重合開始剤として具体的には、(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィン化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、並びに(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。より具体的には、加藤清視著「紫外線硬化システム」(株式会社総合技術センター発行:平成元年)の第65〜148頁に記載されている重合開始剤などを挙げることができる。
他の重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のインク組成物は、インク組成物の記録媒体への定着性、画像の耐擦性、耐ブロッキング性の向上の観点から、特開2013−199433号公報の[0086]〜[0089]に記載の樹脂微粒子を含有することもできる。
本発明のインク組成物は、必要に応じて、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、表面張力調整剤として用いることができる。
表面張力調整剤として、分子内に親水部と疎水部を合わせ持つ構造を有する化合物等が有効に使用することができ、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、ベタイン系界面活性剤のいずれも使用することができる。さらに、上記の分散剤(高分子分散剤)を界面活性剤としても用いてもよい。
本発明においては、インクの打滴干渉抑制の観点から、ノニオン性界面活性剤が好ましく、中でもアセチレングリコール誘導体がより好ましい。
インク組成物中の界面活性剤の含有量は、上記の表面張力となる範囲が好ましいこと以外は特に制限はなく、インク組成物の全質量に対して、1質量%以上が好ましく、より好ましくは1〜10質量%であり、さらに好ましくは1〜3質量%である。
インク組成物は、上記の成分に加え、必要に応じてさらに慣用成分、例えば各種の添加剤を含むことができる。
各種の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防黴剤、pH調整剤、防錆剤、酸化防止剤、乳化安定剤、防腐剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、キレート剤、固体湿潤剤等の公知の添加剤が挙げられる。
インク組成物中の防黴剤の含有量は、インク組成物の全質量に対して、0.02〜1.00質量%の範囲とするのが好ましい。
本発明のインク組成物の表面張力(25℃)としては、20mN/m以上60mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、20mN以上45mN/m以下であり、さらに好ましくは、25mN/m以上40mN/m以下である。
表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学株式会社製)を用い、インク組成物を25℃の条件下で測定される。
粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用い、インク組成物を25℃の条件下で測定される。
本発明のインクセットは、上述した本発明のインク組成物と、このインク組成物と接触して凝集体を形成可能な凝集成分を含有する処理剤と、を含む。
重合性化合物及び本発明の光重合開始剤を含むインク組成物と、凝集成分を含有する処理剤とを用いて画像を形成することにより、良好な画像品質で、耐擦性が高く、耐ブロッキング性に優れた画像が形成できる。
以下、インクセットの処理剤について説明する。
本発明のインクセットを構成する処理剤は、本発明のインク組成物と接触することでインク組成物中の顔料を含む凝集体を形成可能な成分(凝集成分)を含有する。この凝集成分としては、酸性化合物、多価金属塩及びカチオン性ポリマーから選ばれる成分が挙げられ、凝集成分が酸性化合物であることが好ましい。処理剤は、凝集成分の他に、必要に応じて他の成分を含んでもよい。
本発明のインクセットを構成する処理剤は、通常は水溶液の形態である。
酸性化合物は、記録媒体上においてインク組成物と接触することにより、インク組成物を凝集(固定化)することができるものであり、固定化剤として機能する。例えば、酸性化合物を含む処理剤を記録媒体(好ましくは、塗工紙)に付与した状態で、この記録媒体にインク組成物を着滴すれば、インク組成物中の成分を凝集させることができ、インク組成物を記録媒体上に固定化することができる。
pKaはAdvanced Chemistry Development(ACD/Labs)Software V11.02(1994−2014 ACD/Labs)による計算値、あるいは文献値(例えばJ.Phys.Chem.A 2011,115,6641−6645等)に記載の値を用いることができる。
処理剤には、酸性化合物を1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の画像形成方法は、インク組成物を、記録媒体上に付与して画像を形成するインク付与工程と、記録媒体上に付与されたインク組成物に活性エネルギー線を照射する活性エネルギー線照射工程と、を少なくとも含み、必要に応じてその他の工程をさらに含んで構成される。
本発明の画像形成方法に用いる記録媒体には、特に制限はないが、一般のオフセット印刷などに用いられる、いわゆる上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする一般印刷用紙を用いることができる。セルロースを主体とする一般印刷用紙は、水性インクを用いた一般のインクジェット法による画像記録においては比較的インクの吸収、乾燥が遅く、打滴後に色材移動が起こりやすく、画像品質が低下しやすいが、本発明のインクジェット記録方法によると、色材移動を抑制して色濃度、色相に優れた高品位の画像の記録が可能である。
処理剤付与工程では、インクセットに含まれる凝集成分を含む処理剤が記録媒体上に付与される。処理剤の記録媒体への付与は、公知の液体付与方法を特に制限なく用いることができ、スプレー塗布、塗布ローラー等の塗布、インクジェット方式による付与、浸漬などの任意の方法を選択することができる。
インク付与工程では、インクセットに含まれるインク組成物が記録媒体上に付与される。インク組成物の付与方法としては、所望の画像様にインク組成物を付与可能な方法であれば、特に制限はなく公知のインク付与方法を用いることができる。例えば、インクジェット方式、謄写方式、捺転方式等の手段により、記録媒体上にインク組成物を付与する方法を挙げることができる。中でも、記録装置のコンパクト化と高速記録性の観点から、インク組成物をインクジェット方式によって付与する工程であることが好ましい。
インクジェット方式による画像形成では、エネルギーを供与することにより、記録媒体上にインク組成物を吐出し、着色画像を形成する。なお、本発明に好ましいインクジェット記録方法として、特開2003−306623号公報の段落番号0093〜0105に記載の方法が適用できる。
また、インクジェット方式で用いるインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。さらにインクジェット方式により記録を行う際に使用するインクノズル等についても特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
尚、インクジェット方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
本発明の画像形成方法は、記録媒体上に付与されたインク組成物に活性エネルギー線を照射する工程を含むことが好ましい。活性エネルギー線を照射することでインク組成物に含まれる重合性化合物が重合して、着色剤を含む硬化膜を形成する。これにより画像の耐擦性、耐ブロッキング性がより効果的に向上する。
処理剤中に酸性化合物が含まれる場合は、この活性エネルギー線照射の際、酸性化合物から供給される酸によりインク組成物がさらに凝集(固定化)し、画像品質(耐擦性・耐ブロッキング性等)が向上する。
活性エネルギー線の照射量としては、5000mJ/cm2以下であることが好ましく、10〜4000mJ/cm2であることがより好ましく、20〜3000mJ/cm2であることがさらに好ましく、100〜3000mJ/cm2であることが特に好ましい。
本発明においては、LED及びLDを活性エネルギー線源として用いることが可能である。特に、紫外線源として、UV−LED及びUV−LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。
本発明で特に好ましい活性エネルギー線源は、UV−LEDであり、特に好ましくは、350〜420nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
本発明の画像形成方法においては、必要に応じて、記録媒体上に付与されたインク組成物中の溶媒(例えば、水、前述の水系媒体など)を乾燥除去するインク乾燥工程を備えていてもよい。インク乾燥工程は、インク溶媒の少なくとも一部を除去できれば特に制限はなく、通常用いられる方法を適用することができる。
一般式(1)で表される化合物(光重合開始剤)の具体例として、上記化合物A−1、A−3、A−6、A−7、A−9、A−10、A−14、A−15、A−16、及びA−17を下記の方法で合成した。
下記のスキーム1に従って合成した。
m−ブロモベンゼンチオール10.0g(53.0mmol)と炭酸カリウム8.8g(63.0mmol)とをエタノール(EtOH)70ml中で攪拌した。得られた溶液に、エタノール40ml中に溶解したエチレングリコールモノ−2−クロロエチルエーテル7.9g(63.0mmol)を滴下し、滴下完了後に、内温50℃で2.5時間加熱した。得られた液を、室温まで放冷して炭酸水素ナトリウムで分液抽出を行い、濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行うことでチオエーテル体を10.7g(収率73%)得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):8.05(s,1H),7.82(d,1H),7.52(d,1H),7.36(m,1H),3.70(m,5H),3.56(m,2H),3.17(t,2H),2.04(s,1H),1.60(s,6H)
上記A−1の合成と同様の手法で化合物A−3、A−6、A−7、A−9、A−10、A−14、A−15、及びA−16を得た。
得られた化合物は1H NMRを用いて同定を行った。下記の結果から、化合物A−3、A−6、A−7、A−9、A−10、A−14、A−15、及びA−16であることを確認した。
1H NMR(400MHz,CDCl3):8.06(s,1H),7.78(d,1H),7.51(d,1H),7.39(m,1H),3.75(m,9H),3.51(m,2H),3.17(t,2H),2.05(s,1H),1.62(s,6H)
1H NMR(400MHz,CDCl3):8.07(s,1H),7.82(d,1H),7.29(d,1H),3.71(m,5H),3.56(m,2H),3.20(t,2H),2.29(s,3H),2.04(s,1H),1.61(s,6H)
1H NMR(400MHz,CDCl3):8.05(s,1H),7.75(d,1H),7.52(d,1H),7.36(m,1H),3.66(m,4H),3.39(t,2H),3.16(s,3H),3.07(t,2H),2.01(s,1H),1.60(s,6H)
1H NMR(400MHz,CDCl3):7.84(d,1H),7.59(m,2H),7.41(m,1H),3.75(m,5H),3.59(m,2H),3.14(t,2H),2.05(s,1H),1.64(s,6H)
1H NMR(400MHz,CDCl3):8.01(s,2H),7.57(s,1H),3.59(m,6H),3.32(m,4H),2.09(s,1H),1.67(s,6H)
1H NMR(400MHz,CDCl3):8.08(s,1H),7.84(d,1H),7.34(d,1H),7.22(m,1H),3.64(m,5H),3.15(m,2H),2.07(s,1H),1.55(s,6H),1.23(d,3H),1.10(d,3H)
1H NMR(400MHz,CDCl3):8.10(s,1H),7.85(d,1H),7.52(d,1H),7.40(m,1H),3.70(m,5H),3.61(m,2H),3.17(t,2H),2.04(s,1H),1.52(m,10H)
1H NMR(400MHz,CDCl3):8.10(s,1H),7.85(d,1H),7.51(m,11H),7.30(m,1H),3.68(m,5H),3.55(m,2H),3.17(t,2H),2.07(s,1H)
下記のスキーム2に従って合成した。
m−ブロモアニリン10.0g(58.1mmol)と炭酸カリウム9.3g(69.7mmol)とをエタノール(EtOH)70ml中で攪拌した。得られた溶液に、エタノール40ml中に溶解した2−クロロエタノール11.2g(139.4mmol)を滴下し、滴下完了後に、内温50℃で5時間加熱した。得られた液を、室温まで放冷して炭酸水素ナトリウムで分液抽出を行い、濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行うことで三置換体を10.3g(収率68%)得た。
三置換体を10.3g(39.5mmol)とイミダゾール6.7g(96.8mmol)とをテトラヒドロフラン39ml中で攪拌した。得られた溶液を氷浴により冷却した状態とした。冷却状態の液に、テトラヒドロフラン78mlに溶解したtert−ブチルジメチルクロロシラン(TBSCl)15.5g(102.7mmol)を滴下し、滴下完了後に、内温50℃で7時間加熱した。得られた液を、室温まで放冷して塩化アンモニウムで分液抽出を行い、濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行うことでTBS保護体を16.6g(収率86%)得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):7.86(s,1H),7.73(d,1H),7.43(d,1H),7.32(m,1H),3.81(t,4H),3.65(m,4H),2.31(s,2H),2.02(s,1H),1.63(s,6H)
比較化合物として、下記B−1〜B−5を準備した。
B−1として、IRGACURE 2959(商品名、BASF製)を準備した。
B−2〜B−5は、上記A−1の合成と同様の手法で合成した。
上記の各化合物について、極大吸収波長及び溶解度を測定した。
得られた各化合物をそれぞれ濃度が0.02g/Lとなるようにアセトニトリルに溶解した。紫外可視分光光度計UV2550(島津製作所製)を用いて、250〜450nmの範囲に検出された極大吸収波長(λmax)を測定した。結果を表1に示す。
得られた各化合物について、20℃における水への溶解度(質量%)を求めた。結果を表1に示す。
[重合性化合物M−1の合成]
攪拌機を備えた1L容の三口フラスコに4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミン40.0g(182mmol)と、炭酸水素ナトリウム37.8g(450mmol)と、水100gと、テトラヒドロフラン200gとを加えて、氷浴下、アクリル酸クロリド35.2g(389mmol)を20分かけて滴下した。滴下後、室温で5時間攪拌した後、得られた反応混合物から減圧下でテトラヒドロフランを留去した。次に水層を酢酸エチル200mlで4回抽出し、得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過を行い、減圧下溶媒留去することにより目的の重合性化合物M−1の固体を35.0g(107mmol、収率59%)得た。
攪拌機、冷却管を備えた1000ml容の三口フラスコにメチルエチルケトン88gを加えて窒素雰囲気下で72℃に加熱し、ここにメチルエチルケトン50gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.85g、ベンジルメタクリレート60g、メタクリル酸10g、及びメチルメタクリレート30gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後、メチルエチルケトン2gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.42gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温して4時間加熱した。得られた反応溶液は大過剰量のヘキサンに2回再沈殿し、析出した樹脂を乾燥し、ポリマー分散剤P−1を96g得た。
得られた樹脂の組成は、1H−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は44,600であった。さらに、JIS規格(JISK0070:1992)に記載の方法により酸価を求めたところ、65.2mgKOH/gであった。
−樹脂被覆シアン顔料分散物−
ピグメント・ブルー15:3(フタロシアニンブルーA220、大日精化(株)製)10部と、上記ポリマー分散剤P−1を5部と、メチルエチルケトン42部と、1mol/L NaOH水溶液5.5部と、イオン交換水87.2部とを混合し、ビーズミルにより0.1mmφジルコニアビーズを用いて4時間分散した。
得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、顔料濃度が10.2質量%の樹脂被覆シアン顔料の分散物(着色粒子)を得た。
上記樹脂被覆シアン顔料分散物の調製において、顔料として用いたフタロシアニンブルーA220の代わりに、Chromophthal Jet Magenta DMQ(ピグメント・レッド122、BASF・ジャパン社製)を用いた以外は上記と同様にして樹脂被覆マゼンタ顔料の分散物(着色粒子)を得た。
上記樹脂被覆シアン顔料分散物の調製において、顔料として用いたフタロシアニンブルーA220の代わりに、Irgalite Yellow GS(ピグメント・イエロー74、BASF・ジャパン社製)を用いた以外は上記と同様にして樹脂被覆イエロー顔料の分散物(着色粒子)を得た。
上記樹脂被覆シアン顔料分散物の調製において、顔料として用いたフタロシアニンブルーA220の代わりに、顔料分散物CAB−O−JETTM 200(カーボンブラック、CABOT社製)を用いた以外は上記と同様にして樹脂被覆ブラック顔料の分散物(着色粒子)を得た。
[インクセット1の調製]
以下のようにして、インク処方1のシアンインク組成物(C1)、マゼンタインク組成物(M1)、イエローインク組成物(Y1)、ブラックインク組成物(K1)、及び、処理剤1をそれぞれ調製し、これらのインク組成物と処理剤1とからなるインクセット1を得た。
(シアンインク組成物C1の調製)
上記の樹脂被覆シアン顔料の分散物を用い、下記インク処方1となるように、樹脂被覆シアン顔料分散物、イオン交換水、光重合開始剤、重合性化合物、及び界面活性剤を混合し、その後、5μmメンブランフィルタ(PVDF膜、孔径5μm、ミリポア社製)でろ過してインク処方1のシアンインク組成物C1を調製した。
−インク処方1−
・樹脂被覆シアン顔料分散物 ・・・ 6%
・化合物A−1(光重合開始剤) ・・・ 3%
・重合性化合物M−1 ・・・ 10%
・オルフィンE1010 ・・・ 1%
(日信化学(株)製;界面活性剤)
・イオン交換水 ・・・ 全体で100%となるように添加。
pHメーターWM−50EG(東亜DKK(株)製)を用いて、シアン顔料インクC1のpH(25℃)を測定したところ、pH値は8.5であった。
上記シアンインク組成物(C1)の調製において、樹脂被覆シアン顔料の分散物の代わりに、樹脂被覆マゼンタ顔料の分散物を用いた以外は上記と同様にして、インク処方1のマゼンタインク組成物(M1)を調製した。pH値は8.5であった。
上記シアンインク組成物(C1)の調製において、樹脂被覆シアン顔料の分散物の代わりに、樹脂被覆イエロー顔料の分散物を用いた以外は上記と同様にして、インク処方1のイエローインク組成物(Y1)を調製した。pH値は8.5であった。
上記シアンインク組成物(C1)の調製において、樹脂被覆シアン顔料の分散物の代わりに、樹脂被覆ブラック顔料分散物を用いた以外は上記と同様にして、インク処方1のブラックインク組成物(K1)を調製した。pH値は8.5であった。
以下の材料を混合して、処理剤1を作製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、処理剤1のpH(25℃)を測定したところ、1.0であった。
−処理剤組成−
・マロン酸 25.0%
・トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(水溶性有機溶剤)
5.0%
・イオン交換水 70.0%
インクセット1において、化合物A−1の代わりに化合物A−3、A−6、A−7、A−9、A−10、A−14、A−15、A−16又はA−17を同質量用いたこと以外はインクセット1と同様にして、シアンインク組成物C2〜C10、マゼンタインク組成物M2〜M10、イエローインク組成物Y2〜Y10、ブラックインク組成物K2〜K10をそれぞれ調製した。ここで、インク組成物C1、M1、Y1、K1からなるインクセットをインクセット1として、これと同様に、インク組成物C2〜C10、M2〜M10、Y2〜Y10、K2〜K10からなるインクセットをそれぞれインクセット2〜10とした。
インクセット1において、化合物A−1の代わりに化合物B−1〜B−5を同質量用いたこと以外はインクセット1と同様にして、それぞれインクセット11〜15を得た。
記録媒体(塗工紙)として、特菱アート両面N(三菱製紙製)(坪量104.7g/m2)を用意して、以下に示すようにして画像を形成し、形成された画像について以下の評価を行なった。
ベタ画像は、記録媒体をA5サイズにカットしたサンプルの全面にインク組成物を吐出することにより形成した。
なお、記録する際の諸条件は下記の通りである。
記録媒体の全面に、アニロックスローラー(線数100〜300/インチ)で塗布量が制御されたロールコーターにて付与量が、1.4g/m2となるように処理剤1を塗布した。
(2)処理剤乾燥・浸透処理工程
次いで、処理剤1が塗布された記録媒体について、下記条件にて乾燥処理及び浸透処理を施した。
・風速:10m/s
・温度:記録媒体の、上記処理剤が塗布された面(塗布面)側の表面温度が60℃となるように、記録媒体の塗布面の反対側(背面側)から接触型平面ヒーターで加熱した。
(3)インク付与工程
記録媒体の塗布面に、下記条件にてインク組成物をインクジェット方式で吐出し、ライン画像、ベタ画像をそれぞれ形成した。
・プリンターヘッド:1,200dpi/20inch幅のピエゾフルラインヘッドを4色分配置
・吐出液滴量:2.0pL
・駆動周波数:30kHz
(4)インク乾燥工程
次いで、インク組成物が付与された記録媒体を下記条件で乾燥した。
・乾燥方法:送風乾燥
・風速:15m/s
・温度:記録媒体の記録面側の表面温度が60℃となるように、記録媒体の記録面の反対側(背面側)から接触型平面ヒーターで加熱した。
(5)活性エネルギー線照射(固定化)工程
次に、日亜化学(株)製のUV−LED光源(商品名:NCSU275U365、ピーク波長:365nm、光出力:148mW/cm2)を用いて、記録画像に1000mJ/cm2の照射量となる条件で、活性エネルギー線としての紫外線を照射し、画像記録物(画像サンプル)を得た。
得られた画像サンプルについて、以下のようにして画像の耐擦性試験及び耐ブロッキング試験を行った。また、得られたインク組成物について吐出安定性試験を行った。結果を表1に示す。
未記録の記録媒体(特菱アート両面N、三菱製紙製)を文鎮(重量470g、サイズ15mm×30mm×120mm)に巻きつけ(未記録の記録媒体と評価用の画像サンプルが接触する面積は150mm2)、上記で得られたベタ画像サンプルを3往復擦った(荷重260kg/m2に相当)。擦った後の記録面を目視により観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
−評価基準−
A … 記録面に画像(色材)のはがれが視認できなかった。
B … 記録面に画像(色材)のはがれがわずかに認められた。
C … 記録面に画像(色材)のはがれが視認でき、実用上問題になるレベルであった。
上記ベタ画像サンプルの2cm四方のベタ部へ活性エネルギー線を照射した直後に、未記録の記録媒体(特菱アート両面N(三菱製紙製)を重ねて荷重350kg/m2をかけて、60℃、30%RHの環境条件下に、24時間放置した。未記録の記録媒体の白地部分へのインクの転写度合いを目視で観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
−評価基準−
A:インクの転写は全くなかった。
B:インクの転写はほとんど目立たなかった。
C:インクの転写が多少見られ、実用上の許容限界レベルであった。
D:インクの転写が顕著であった。
上記で得られたブラックインク組成物を−5℃の低温条件下でそれぞれ14日間保管し、上澄み部分を捕集した。プリンターヘッドに繋がる貯留タンクに、得られたインク組成物(上澄み部分)を充填し、吐出させた。充填したインク組成物が、吐出開始時にプリンターヘッドの96本の全ノズルから吐出していることを確認した後、そのままインク組成物を45分間連続で吐出させた。そして、45分間の連続吐出終了後に、最後まで吐出できたノズル数(45分連続吐出終了後の吐出ノズル数)を数えた。この吐出ノズル数を用い、下記式によりインク吐出率を算出し、下記の評価基準に従って、インク組成物の吐出安定性の評価を行なった。
なお、実用上許容できるものは、A及びBに分類されるものである。
インク吐出率(%)=(45分間連続吐出終了後の吐出ノズル数)/(全ノズル数)×100
A:45分間連続吐出終了後のインク吐出率が98%以上である。
B:45分間連続吐出終了後のインク吐出率が95%以上98%未満である。
C:45分間連続吐出終了後のインク吐出率が90%以上95%未満である。
D:45分間連続吐出終了後のインク吐出率が90%未満である。
また、本実施例で示した光重合開始剤を用いたインク組成物は、比較化合物を使用したインク組成物と比較して吐出安定性が良好であった。
さらに、本実施例で示した光重合開始剤を用いて形成された画像は、比較化合物B−1〜B−5を用いて形成された画像と比較して、耐擦性及び耐ブロッキング性が良好であった。UV−LED光源を使用しても耐擦性が良好であったことには、本発明の化合物の吸収が全体的に長波長側にシフトしていることが寄与している。
Claims (12)
- R1〜R4の1つ又は2つが一般式(2)で表される基である、請求項1に記載の化合物。
- R3が上記一般式(2)で表される基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
- 前記R 1 、R 2 、及びR 4 が水素原子又はメチル基であり、R 6 及びR 7 がアルキル基であり、R 8 が酸素原子を1つ有する炭素数1〜6のアルキレン基であり、R 9 が水素原子、メチル基又はエチル基である、請求項4に記載の化合物。
- R6及びR7がメチル基である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物からなる光重合開始剤と重合性化合物と水系媒体とを含有するインク組成物。
- 記録媒体上に請求項7に記載のインク組成物を付与するインク付与工程と、
前記記録媒体上に付与されたインク組成物に活性エネルギー線を照射する活性エネルギー線照射工程と
を有する画像形成方法。 - 前記活性エネルギー線の線源のピーク波長が300〜450nmである請求項8に記載の画像形成方法。
- 凝集成分を含有する処理剤を、前記記録媒体上に付与する処理剤付与工程を有し、前記処理剤付与工程が、前記インク付与工程よりも先に行われる請求項8又は9に記載の画像形成方法。
- 前記インク付与工程が、インクジェット記録方式によりインクを付与する工程である請求項8〜10のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 請求項7に記載のインク組成物と、凝集剤を含有する処理剤とを含むインクセット。
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