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JP6032211B2 - 位置測定装置 - Google Patents
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JP6032211B2 - 位置測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、超音波を利用して物体の位置を測定する位置測定装置に関する。
従来から、超音波を利用して物体の位置を測定する位置測定装置が知られている。下記非特許文献1には、超音波によって物体との距離を測定し、測定した距離に基づいて物体の3次元座標を計算する位置測定装置が記載されている。下記非特許文献1に記載された位置測定装置は、地上から上方に向けて超音波を送信し、上方を飛行中の模型飛行機に反射された反射波を3台の受信器で受信する。次に、この位置測定装置は、各受信器の受信波に基づいて、各受信器において反射波が受信されたタイミングを特定する。続いて、特定したタイミングに基づいて、送信された超音波が模型飛行機に反射して各受信器に受信されるまでの伝搬距離を算出する。そして、この位置測定装置は、各受信器によって得られた3つの伝搬距離に基づいて、模型飛行機の3次元座標を計算する。
今井、他4名、「超音波センサを用いた高速移動体の3次元位置測定装置の構築」、研究報告、関東学院大学工学会、2007年3月、第50巻、第2号、p.67−73
ところで、受信波には、様々なノイズが含まれている。また、測定対象の物体以外に反射した超音波もノイズとして受信波に含まれる場合もある。このため、受信波のレベルが閾値を超えたときに反射波が受信されたと特定すると、反射波が受信されたタイミングを誤って特定する可能性がある。よって、超音波が送信されてから物体に反射して受信器に到達するまでの到達時間を特定する際に誤差が生じ、到達時間を用いて算出される伝搬距離に誤差が含まれる。更に、3つの受信器それぞれについての伝搬距離を用いて3次元座標を算出するので、算出結果には3つの伝搬距離の誤差が重畳される。従って、算出結果として得られる3次元座標の精度が低くなる。
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、超音波を利用して物体の3次元座標を測定する位置測定装置において、ノイズの影響を低減して測定精度を高めることが可能な位置測定装置を提供することを目的とする。
本発明に係る位置測定装置は、超音波を利用して物体の位置を測定する位置測定装置において、超音波を送信する送信器と、超音波を受信する少なくとも3つの受信器と、受信器それぞれによって受信された受信波に基づいて、超音波が送信されてから物体に反射して受信器に到達するまでの到達時間候補を受信器毎に特定する時間特定部であって、少なくとも1つの受信器について到達時間候補を複数特定する時間特定部と、時間特定部によって特定された到達時間候補、及び、送信器並びに受信器の相対的な位置に基づいて、物体の位置を示す複数の3次元座標候補を算出する座標算出部と、座標算出部によって算出された複数の3次元座標候補に基づいて、物体の3次元座標を特定する座標特定部とを備えることを特徴とする。
本発明に係る位置測定装置によれば、超音波が送信されてから物体に反射して受信器に到達するまでの到達時間候補が、受信波に基づいて複数特定される。一般的には受信波にノイズが含まれているので、受信波から1つの到達時間を特定しようとすると、ノイズの影響により誤った到達時間を特定してしまう可能性が高い。すなわち、精度の高い到達時間を特定できない可能性が高い。これに対して、本発明では、複数の到達時間候補を特定するので、精度の高い到達時間が特定される可能性を高めることができる。そして、本発明では、特定した複数の到達時間候補に基づいて、複数の3次元座標候補が算出されるので、精度の高い3次元座標候補を得る確率が高まる。また、この複数の3次元座標候補に基づいて、物体の3次元座標が特定されるので、高い精度の3次元座標が得られる可能性を向上させることができる。従って、超音波を利用して物体の3次元座標を測定する位置測定装置において、ノイズの影響を低減して測定精度を高めることが可能となる。
本発明に係る位置測定装置では、送信器から送信され、物体に反射せず受信器に直接到達して該受信器によって受信された直達波を予め記憶する記憶部と、受信器によって受信された受信波から記憶部に記憶された直達波を減算することにより、物体に反射して受信器に到達した反射波を取得する反射波取得部とを備え、時間特定部は、反射波取得部によって取得された反射波に基づいて、複数の到達時間候補を特定することが好ましい。
この場合、受信波から直達波が除かれるので、物体に反射して戻ってきた反射波を得ることができる。よって、物体に反射せずに受信器に到達した超音波の伝搬時間を到達時間候補として誤って特定することを防止できる。従って、測定結果の誤りを防止することが可能となる。
本発明に係る位置測定装置では、時間特定部が、反射波取得部によって取得された反射波の包絡線におけるピークが発生したタイミングに基づいて、到達時間候補を特定することが好ましい。
この場合、反射波の包絡線のピークを特定するので、反射波の全てのピークについて逐一処理することなく、到達時間候補を特定することができる。従って、処理負荷を低減することが可能となる。
本発明に係る位置測定装置では、時間特定部が、反射波のピークのうち、反射波の包絡線におけるピークの直前及び/又は直後に発生した所定数の反射波のピークのタイミングに基づいて、到達時間候補を特定することが好ましい。
この場合、反射波のピークのうち、包絡線のピークの直前及び/又は直後に発生した所定数の反射波のピークについて到達時間候補が特定される。発明者の研究によれば、反射波のピークのうち包絡線のピークが発生した周辺のピークが、実際に超音波が受信器に到達したタイミングを示している場合があるという実験結果が得られている。従って、包絡線のピークの直前及び/又は直後に発生した所定数の反射波のピークについて到達時間候補が特定されることにより、ノイズの影響を低減して、より精度の高い到達時間候補を特定することができる。これにより、測定精度をより高めることが可能となる。
本発明に係る位置測定装置では、送信器が、変調された超音波を送信し、時間特定部は、反射波取得部によって取得された反射波と記憶部によって記憶されている直達波との相互相関関数を計算し、該相互相関関数に基づいて到達時間候補を特定することが好ましい。
反射波と直達波との相互相関関数によって示される波形は反射波より急峻なピークを有するので、上記の場合、到達時間候補を特定するに当たり、時間分解能を向上させることができる。また、ノイズの影響を低減することができる。従って、より精度の高い到達時間候補を特定し、測定精度をより高めることが可能となる。
本発明に係る位置測定装置では、送信器が、変調された駆動信号に応じて超音波を送信し、時間特定部は、反射波取得部によって取得された反射波と駆動信号との相互相関関数を計算し、該相互相関関数に基づいて到達時間候補を特定することが好ましい。
反射波と駆動信号との相互相関関数によって示される波形は反射波より急峻なピークを有するので、上記の場合、到達時間候補を特定するに当たり、時間分解能を向上させることができる。また、ノイズの影響を低減することができる。従って、より精度の高い到達時間候補を特定し、測定精度をより高めることが可能となる。
本発明に係る位置測定装置では、時間特定部が、特定した複数の到達時間候補についてそれぞれ算出された伝搬距離、及び、前回の処理時に座標特定部によって特定された3次元座標の計算に用いられた伝搬距離に基づいて、複数の到達時間候補についてそれぞれ除外するか否かを判定することが好ましい。
この場合、複数の到達時間候補を挙げた上で、前回の処理時に得られた伝搬距離に基づいて、各到達時間候補の選別が行われる。例えば、前回の処理時に得られた伝搬距離と今回特定した各到達時間候補の伝搬距離との差が閾値以上である場合、該到達時間候補が除外される。これにより、前回の伝搬距離とはかけ離れた伝搬距離については、除外することができる。従って、測定精度を更に高めることが可能となる。
本発明に係る位置測定装置では、座標算出部は、時間特定部によって特定された複数の到達時間候補の中から受信器毎に1つずつ選択される到達時間候補の全ての組み合わせについて3次元座標候補を算出することが好ましい。
この場合、複数の到達時間候補の中から受信器毎に到達時間候補を1つずつ選択して3次元座標候補を算出するに当たり、受信器毎に1つずつ選択される到達時間候補の全ての組み合わせについて3次元座標候補が算出される。その結果、組み合わせの数だけ3次元座標候補が算出される。そして、算出された3次元座標候補に基づいて、物体の3次元座標が特定される。このように、到達時間候補の全ての組み合わせにより得られる3次元座標候補を挙げた上で物体の座標が特定されるので、測定精度をより高めることが可能となる。
本発明に係る位置測定装置では、座標特定部が、座標算出部によって算出された複数の3次元座標候補のうち、前回の処理時に特定した3次元座標との距離が最も近い座標を物体の3次元座標として特定することが好ましい。
この場合、複数の3次元座標候補のうち上記距離が最も近い座標が物体の3次元座標として特定される。ここで、複数の3次元座標候補のうち、前回の3次元座標と距離が離れている座標より距離が近い座標の方が、実際の座標に近い確率が高いと考えられる。従って、前回の処理時に得られた3次元座標に基づいて、最も確からしい座標を特定することが可能となる。すなわち、測定精度をより高めることが可能となる。
本発明に係る位置測定装置では、座標特定部が、前回の処理時に特定した3次元座標と今回の処理によって特定した3次元座標との距離に基づいて、今回の処理によって特定した3次元座標を許容するか否かを判定することが好ましい。
この場合、前回の処理時に特定した3次元座標と今回の処理によって特定した3次元座標との距離とに基づいて、今回の処理によって特定した3次元座標を許容できるか否かが判定される。これにより、前回の処理時に得られた3次元座標の位置とはかけ離れた位置を示す3次元座標が特定された場合には、除外することができる。このように得られた座標の妥当性を判定するので、測定結果の誤りを防止することができる。
本発明に係る位置測定装置では、測定対象の物体が測定範囲内に存在するか否かを判定する判定部を備え、記憶部は、測定対象の物体が測定範囲内に存在しないと判定部によって判定された場合に受信器によって受信された受信波を直達波として記憶することが好ましい。
この場合、自動的に直達波を取得し、記憶することが可能となる。なお、音速が気温、媒体の流速等の外部環境により変化するので、直達波が受信器に到達するタイミングは外部環境により変化する。ここで、上記の好ましい形態によれば、実際に位置を測定する環境において得られた直達波を記憶することができる。従って、実際の測定環境を反映した直達波から反射波を得ることができるので、外部環境による影響を低減して、測定精度をより向上させることが可能となる。
本発明に係る位置測定装置では、送信器及び3つの受信器が、同一の平面上に配置され、長方形の各頂点の位置にそれぞれ配置されていることが好ましい。
この場合、送信器及び3つの受信器が同一の平面上に配置されているので、3つの受信器における到達時間候補が得られれば、3次元座標を特定することができる。すなわち、4つ以上の受信器を必要とせず、3つの受信器により、3次元座標を特定することができる。また、送信器及び3つの受信器が長方形の各頂点の位置にそれぞれ配置されているので、長方形に囲まれた領域の正面及びその周囲を含む領域に位置する物体の3次元座標を特定することができる。例えば、長方形に囲まれた領域にディスプレイが配置された機器に本発明の位置測定装置を搭載すれば、そのディスプレイの表示に従ってユーザが動かした指の3次元座標を非接触で計測できる。この場合、本発明の位置測定装置を入力装置として機能させることができる。
本発明によれば、超音波を利用して物体の3次元座標を測定する位置測定装置において、ノイズの影響を低減して測定精度を高めることが可能となる。
第1実施形態に係る位置測定装置の構成を示すブロック図である。 第1実施形態に係る位置測定装置の使用形態の一例を示す図である。 第1実施形態に係る位置測定装置を入力装置として他の機器に搭載した場合の一例を示す図である。 第1実施形態に係る位置測定装置において得られる直達波、受信波、及び反射波の波形を示す図である。 第1実施形態に係る位置測定装置による反射波に基づく到達時間候補の特定方法について説明するための図である。 第1実施形態に係る位置測定装置による反射波に基づく到達時間候補の特定処理の処理手順を示すフローチャートである。 第1実施形態に係る位置測定装置による3次元座標の特定処理の処理手順を示すフローチャートである。 第2実施形態に係る位置測定装置の構成を示すブロック図である。 第2実施形態に係る位置測定装置による到達時間候補の特定方法について説明するための図である。 第2実施形態に係る位置測定装置による相互相関関数に基づく到達時間候補の特定処理の処理手順を示すフローチャートである。 第3実施形態に係る位置測定装置の構成を示すブロック図である。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
まず、図1を参照して、第1実施形態に係る位置測定装置1の構成について説明する。図1は、位置測定装置1の構成を示すブロック図である。位置測定装置1は、超音波を利用して物体の3次元座標を測定する装置である。より具体的には、位置測定装置1は、超音波を送信する送信器10と、超音波を受信する3つの受信器11〜13を備え、超音波を送信してから物体に反射して各受信器11〜13に到達するまでの到達時間を求める。ここで、位置測定装置1は、受信波のノイズの影響を考慮して、到達時間の候補を複数求める。そして、位置測定装置1は、3つの受信器11〜13の複数の到達時間候補に基づいて物体の3次元座標候補を複数算出した上で、1つの座標を物体の3次元座標として特定する。
図2は、位置測定装置1の使用形態の一例を示す図である。図2のように、例えば、位置測定装置1は、指先の3次元座標を非接触で測定する。位置測定装置1が指先の3次元座標を連続的に測定することにより、指の動きを測定することができる。送信器10及び3つの受信器11〜13は同一平面上に配置され、その平面の正面を含むエリアが測定範囲となる。図2の例では、送信器10及び3つの受信器11〜13が、正方形の各頂点の位置にそれぞれ配置されている。例えば、送信器10及び3つの受信器11〜13が、一辺の長さが6cm程度の正方形の各頂点の位置に配置された場合、平面からの距離10cm程度以内、一辺が12cm程度の正方形内のエリアが測定範囲となる。
また、図3に示すように、長方形のディスプレイ101を有する機器100に位置測定装置1を搭載し、位置測定装置1を入力装置として機能させることができる。図3では、機器100の例としてスマートフォンを示している。ここで、スマートフォンとは、文字だけでなく画像等の各種の情報を表示するディスプレイを有する携帯型の電話機である。送信器10及び3つの受信器11〜13は、長方形のディスプレイ101の4つの角の外側にそれぞれ配置されている。位置測定装置1は、ディスプレイ101正面の測定範囲内に位置する人差し指の指先の3次元座標を連続的に非接触で計測することができる。これにより、ユーザがディスプレイ101の表示に従ってディスプレイ101正面の空間で指を動かせば、位置測定装置1によって指の動きが検出され、機器100に情報を入力することができる。すなわち、位置測定装置1が非接触の入力装置として機能する。
引き続き、図1を参照して、位置測定装置1が備える信号処理部20について説明する。信号処理部20は、送信機10を駆動するために、送信信号生成部21及び駆動回路22を備えている。送信信号生成部21は、超音波周波数の駆動信号を生成し、駆動回路22へ出力する。駆動回路22は、入力された駆動信号を増幅して送信器10へ供給する。送信器10は、例えば、圧電セラミックスを用いて構成された共振子を有し、入力された駆動信号により共振子が共振する。これにより、超音波が送信される。
送信信号生成部21は、バースト的に駆動信号を出力し、超音波は、送信器10によってバースト的に送信される。例えば、バーストサイクルは10ms程度であり、超音波が0.3ms間程度送信された後、次の周期までの間に、物体に反射して戻って来る超音波が受信器11〜13によって受信される。図2には、送信器10から送信された送信波Sが模式的に描かれているが、実際に送信器10から送信される送信波Sの波形は、開始部分及び終了部分の振幅が小さい。開始部分については、送信器10の駆動が開始された直後は、共振子の振動が小さいためである。終了部分については、駆動信号の出力が終了した後に残る共振子の残響によるものである。
信号処理部20は、受信器11〜13によって受信された受信信号(受信波)の入力インターフェースとしてそれぞれ機能するアンプ/フィルタ31〜33及びA/D変換器34〜36を備え、更にA/D値取得部37〜39を備えている。アンプ/フィルタ31〜33は、増幅回路及びフィルタ回路等によって構成されている。このアンプ/フィルタ31〜33は、各受信器11〜13により受信された受信信号を増幅して、所望の周波数以外の信号を除去し、A/D変換器34〜36へ出力する。
A/D変換器34〜36は、入力されたアナログ信号をディジタルデータに変換する。A/D値取得部37〜39は、A/D変換器34〜36の動作をそれぞれ制御し、A/D変換器34〜36によりディジタルデータに変換された受信信号を取得する。すなわち、各受信器11〜13によって受信された受信波を示す受信信号が、各A/D値取得部37〜39によって取得される。
信号処理部20は、得られた受信波(受信信号)を処理して物体の3次元座標を演算する演算処理部40を備えている。なお、演算処理部40、上述した送信信号生成部21及びA/D値取得部37〜39は、CPU、ROM、及びRAM等により構成されている。ROMに記憶されているプログラムが、CPUによって実行されることにより、演算処理部40、送信信号生成部21及びA/D値取得部37〜39の各機能が実現される。なお、CPUに代えて、例えばASICや、FPGA、DSPなどを用いてもよい。
演算処理部40は、機能的には、記憶部41、反射波取得部42、時間特定部43、座標算出部44、及び座標特定部45を備えている。記憶部41には、直達波の波形が記憶されている。直達波は、物体に反射せず、送信器10から各受信器11〜13に直接到達して各受信器11〜13によって受信されたものである。記憶部41は、直達波をそれぞれの受信器11〜13と関連付けて記憶している。これらの3つの直達波は、実際の3次元測定に先立って、予め記憶部41に記憶されている。
測定が開始され、送信された超音波が受信されると、反射波取得部42は、各A/D値取得部37〜39によって取得された受信信号(受信波)を入力する。この受信波には、直達波と反射波とが重畳されている。反射波は、送信器10によって送信され、物体に反射して受信器11〜13に到達して受信された超音波である。反射波取得部42は、反射波を取得するために、各受信波の波形から記憶部41に記憶された直達波の波形を減算する。
図4は、位置測定装置1において得られる直達波、受信波、及び反射波の波形を示す図である。(a)の波形は直達波を示しており、測定範囲内に反射物体が無いときに受信器11によって受信された波形である。(b)の波形は、測定範囲内に測定対象である反射物体が有るときに受信器11によって受信された波形である。(c)の波形は受信器11の反射波を示しており、(b)の波形から(a)の波形を減算して得られた波形である。受信器12,13の反射波も同様にして取得される。このように、受信波から直達波を減算して反射波を得るので、物体に反射せずに受信器11〜13に到達した超音波の伝搬時間を到達時間候補として誤って特定することを防止できる。
時間特定部43は、反射波取得部42によって得られた各反射波に基づいて、受信器11〜13毎に到達時間候補を特定する。到達時間候補は、超音波が送信器10によって送信されてから物体に反射して受信器11〜13に到達するまでの伝搬時間の候補である。時間特定部43は、3つの受信器11〜13についてそれぞれ複数の到達時間候補を特定する。到達時間候補には、反射波の包絡線におけるピークが発生したタイミングに基づいて特定された候補と、反射波のピークのうち包絡線のピークの直前及び直後に発生した所定数の反射波のピークのタイミングに基づいて特定された候補とが含まれる。
図5を参照して、時間特定部43による特定方法について説明する。図5の(a)〜(c)は、3つの受信器11〜13によってそれぞれ得られた反射波を示している。(a)の波形を参照して、受信器11についての到達時間候補を特定する方法について具体的に説明する。まず、時間特定部43は、反射波の包絡線のピークのうち、予め定められた閾値以上のピーク(peak1[i])を先頭から順にi個特定する。図5に示す例では、パラメータi=2である。すなわち、peak1[0]及びpeak1[1]が特定される。このように、反射波の包絡線のピークを特定し、反射波の全てのピークについて逐一処理を行わないので、処理負荷を低減することができる。
次に、時間特定部43は、包絡線のピーク(peak1[i])の直前に発生したj個の反射波のピーク(peak1m[i][j])と、包絡線のピーク(peak1[i])の直後に発生したj個の反射波のピーク(peak1p[i][j])を特定する。図5(a)に示す例では、パラメータj=1である。すなわち、peak1m[0][0]、peak1p[0][0]、peak1m[1][0]、及びpeak1p[1][0]が特定される。これは、反射波のピークのうち包絡線のピーク周囲のピークが、実際に超音波が受信器11〜13に到達したタイミングを示している場合があるためである。
次に、時間特定部43は、超音波が送信されてから、特定した各ピークが発生したタイミングまでの時間を算出する。この時間が受信器11についての到達時間候補tである。図5(a)に示す例では、受信器11について合計で6つのピークが特定されているので、6つの到達時間候補tが特定される。同様にして、受信器12,13についても図5の(b)及び(c)の反射波に基づいてそれぞれ6つの到達時間候補t,tが特定される。なお、パラメータi及びjは、任意に設定することができる。
以上の処理により特定された到達時間候補t〜tには、ノイズの影響によるものが含まれている。そこで、時間特定部43は、1バースト前の処理時、すなわち、前回の処理時に特定された3次元座標の計算に用いられた伝搬距離に基づいて、受信器11〜13毎に複数の到達時間候補についてそれぞれ除外するか否かを判定する。受信器11について具体的に説明すると、時間特定部43は、前回の処理時に特定された3次元座標の計算に用いられた受信器11の伝搬距離と、6つの到達時間候補tにそれぞれ音速vを乗算して得られた伝搬距離v・tとの差を求める。そして、時間特定部43は、その差が閾値d以上である到達時間候補tを候補から除外する。
閾値dは、位置測定装置1において許容される物体の最大移動速度に依存して設定される。測定対象の物体が、スマートフォンの操作を行う指であり、バーストサイクルが10msである場合、例えば、許容される最大移動速度が1m/s程度、閾値dが10mm程度に設定される。時間特定部43は、受信器12,13のそれぞれ6つの到達時間候補t、tについても除外するか否かの判定を行う。このように、前回の処理時に得られた伝搬距離に基づいて各到達時間候補の選別を行うので、比較的精度の高い到達時間のみに候補を絞ることができる。また、この段階で到達時間候補の選別を行うので、後の座標計算量を少なくすることができる。
座標算出部44は、前回の処理時の伝搬距離との差が閾値d未満である到達時間候補t〜t、すなわち、選別された到達時間候補t〜tに基づいて、物体の位置を示す複数の3次元座標候補を算出する。ここで、送信器10の3次元座標を(0,0,0)、受信器11を(x,y,0)、受信器12を(x,y,0)、受信器13を(x,y,0)、音速vとすると、次の連立方程式(1)が成り立つ。
Figure 0006032211
座標算出部44は、複数の到達時間候補t〜tの中から受信器11〜13毎に1つずつ選択された到達時間候補の全ての組み合わせについて、上記の連立方程式(1)を解いて3次元座標候補を算出する。これにより、複数の3次元座標候補が算出される。全ての組み合わせの数、すなわち、算出される3次元座標候補の数は、上記の選別処理で1つも除外されなかった場合に最大の数となる。この場合、((2j+1)i)個の3次元座標候補が算出される。
座標特定部45は、座標算出部44によって算出された複数の3次元座標候補に基づいて物体の3次元座標を特定する。本実施形態では、座標特定部45は、複数の3次元座標候補のうち、前回(1バースト前)の処理時に特定した3次元座標との距離が最も近い座標を物体の3次元座標として特定する。複数の3次元座標候補のうち、前回の3次元座標と距離が離れている座標より距離が近い座標の方が、実際の座標に近い確率が高いと考えられる。従って、物体の3次元座標を連続的に測定するに当たって上記の基準を採用することにより、精度の高い3次元座標を得ることができる。
更に、座標特定部45は、前回の処理時に特定した3次元座標と今回の処理によって特定した3次元座標との距離に基づいて、今回の処理によって特定した3次元座標を許容するか否かを判定する。具体的には、座標特定部45は、前回の処理時に特定した3次元座標と今回の処理によって特定した3次元座標との距離が、閾値D以上である場合には、測定結果として許容せず、出力を行わない。閾値Dとしては、上述した閾値dと同じ値を用いることができる。これにより、前回の処理時に得られた3次元座標の位置とはかけ離れた位置を示す3次元座標が特定された場合には、除外することができる。従って、測定結果の誤りを防止することができる。
引き続いて、位置測定装置1の動作について説明する。まず、図6を参照して、到達時間候補の特定を行う動作について説明する。図6は、到達時間候補の特定処理の処理手順を示すフローチャートである。図6の処理は、超音波が送信されるバーストサイクル毎に繰り返し実行される。
まず、駆動信号が送信信号生成部21によって駆動回路22へ出力され、超音波が送信器10によって送信される。送信された超音波は、受信器11〜13によってそれぞれ受信される。続いて、ステップS101では、受信波から記憶部41に記憶された直達波が減算されることにより、反射波が反射波取得部42によって取得される。ステップS102では、各受信器11〜13について、反射波の包絡線のピークがi個ずつ特定され、該ピークに基づいて到達時間候補が特定される。
そして、ステップS103では、反射波のピークのうち、包絡線のピーク前後のピークも特定され、該ピークに基づいて特定された到達時間が候補に加えられる。以上の処理により、上述した図5の例では、受信器11〜13毎に6個の到達時間候補が得られる。続いて、ステップS104では、各到達時間候補に音速を乗算することにより、伝搬距離が算出される。次に、ステップS105では、1バースト前の処理で最終的に特定された3次元座標の計算に用いられた伝搬距離を保持しているか否かが判定される。
1バースト前の伝搬距離を保持している場合は、処理がステップS106へ移行する。ステップS106では、ステップS104で算出した各伝搬距離のうち、1バースト前の伝搬距離との差が閾値d以上のものが、除外される。このステップS106の処理により、ステップS102及びステップS103で得られた到達時間候補の選別が行われる。この場合、次の3次元座標の特定処理は、選別された到達時間候補を用いて行われる。なお、3つの受信器11〜13のうち少なくとも1つの受信器について到達時間候補が全て除外されてしまった場合、物体が測定範囲内に存在しない旨の信号が出力される。
一方、ステップS105において、1バースト前の伝搬距離を保持していない場合は、到達時間候補の特定処理が終了する。この場合、次の3次元座標の特定処理は、ステップS102及びステップS103で得られた全ての到達時間候補を用いて行われる。
次に、図7を参照して、3次元座標の特定を行う動作について説明する。図7は、3次元座標の特定処理の処理手順を示すフローチャートである。図7の処理は、到達時間候補が特定されるバーストサイクル毎に座標算出部44及び座標特定部45によって繰り返し実行される。
まず、ステップS111において、複数の到達時間候補t〜tの中から受信器11〜13毎に1つずつ選択される到達時間候補t〜tの全ての組み合わせについて、3次元座標候補が算出される。次に、ステップS112では、1バースト前の処理で最終的に特定された3次元座標が保持されているか否かが判定される。保持されていない場合は、処理がステップS113へ移行する。ステップS113では、ステップS111で算出された複数の3次元座標候補に測定範囲内の座標があるか否かが判定される。
ステップS113で測定範囲内の座標がない場合、ステップS114へ処理が移行する。ステップS114では、ステップS111で算出した3次元座標のデータが破棄される。この場合、物体が測定範囲内に存在しない旨の信号が出力される。一方、ステップS113において、ステップS111で算出された複数の3次元座標候補に測定範囲内の座標があると判定された場合、処理がステップS115へ移行する。ステップS115では、測定範囲内の3次元座標候補を物体の3次元座標として特定する。測定範囲内の3次元座標候補が複数あった場合、予め定められた基準に基づいて、1つの座標が物体の3次元座標として特定される。例えば、測定範囲の中央の座標に最も近い座標が、物体の3次元座標として特定される。
一方、ステップS112において、1バースト前の処理で最終的に特定された3次元座標が保持されている場合、処理がステップS116へ移行する。ステップS116では、ステップS111において算出された複数の3次元座標候補のうち、1バースト前の座標と最も近い座標が、物体の3次元座標として特定される。続いて、ステップS117では、1バースト前の座標とS116で特定した座標との距離が閾値d以下か否かが判定される。上記の距離が閾値dより大きい場合、処理がステップS114へ移行する。ステップS114では、ステップS111で算出した3次元座標のデータが破棄され、物体が測定範囲内に存在しない旨の信号が出力される。
一方、ステップS117において、1バースト前の座標とS116で特定した座標との距離が閾値d以下である場合、処理がステップS118へ移行する。ステップS118では、S116で特定した座標が物体の3次元座標として最終的に特定され、出力される。以上の処理をバーストサイクル毎に行うことにより、物体の動きを検出することができる。例えば、10ms程度のバーストサイクルで測定することにより、物体の動きをなめらかに測定することができる。
以上説明した本実施形態の位置測定装置1によれば、複数の到達時間候補を特定するので、精度の高い到達時間が候補に含まれる可能性を高めることができる。そして、特定した複数の到達時間候補に基づいて、複数の3次元座標候補が算出されるので、精度の高い3次元座標候補を得る確率が高まる。この複数の3次元座標候補に基づいて、物体の3次元座標が特定されるので、高い精度の3次元座標が得られる可能性を向上させることができる。従って、超音波を利用して物体の3次元座標を測定する位置測定装置において、ノイズの影響を低減して測定精度を高めることが可能となる。
また、本実施形態では、反射波のピークのうち、包絡線のピークの直前及び直後に発生した所定数の反射波のピークについても到達時間候補が特定される。従って、ノイズの影響を低減して、より精度の高い到達時間候補を特定することができる。これにより、測定精度をより高めることが可能となる。
また、本実施形態では、前回の処理時に得られた伝搬距離と今回特定した各到達時間候補の伝搬距離との差が閾値以上である場合、該到達時間候補が除外される。このように、複数の到達時間候補を挙げた上で、前回の処理時に得られた伝搬距離に基づいて、各到達時間候補の選別が行われる。よって、誤っている確率の高い到達時間候補を除外することができる。従って、測定精度を更に高めることが可能となる。
また、本実施形態では、複数の到達時間候補t〜tの中から受信器11〜13毎に1つずつ選択された到達時間候補の全ての組み合わせについて、3次元座標候補が算出される。その結果、組み合わせの数だけ3次元座標候補が算出される。そして、算出された3次元座標候補に基づいて物体の3次元座標が特定される。このように、到達時間候補の全ての組み合わせにより得られる3次元座標候補を挙げた上で物体の座標が特定されるので、測定精度をより高めることが可能となる。
また、本実施形態では、座標算出部44によって算出された複数の3次元座標候補のうち、前回の処理時に特定した3次元座標との距離が最も近い座標が、物体の3次元座標として特定される。ここで、指先の位置を連続的に測定して指先の動きを検出する場合、複数の3次元座標候補のうち、前回の3次元座標と距離が離れている座標より距離が近い座標の方が、実際の座標に近い確率が高いと考えられる。よって、複数の3次元座標候補の中から最も確からしい座標を特定することが可能となり、測定精度をより高めることが可能となる。
また、本実施形態では、前回の処理時に特定した3次元座標と今回の処理によって特定した3次元座標との距離とに基づいて、今回の処理によって特定した3次元座標を許容できるか否かが判定される。これにより、前回の処理時に得られた3次元座標の位置とはかけ離れた位置を示す3次元座標が特定された場合には、除外することができる。このように得られた座標の妥当性を判定するので、測定結果の誤りを防止することができる。
本実施形態では測定対象として人差し指の指先を例に挙げたが、測定対象の周囲に超音波を反射する他の物体(例えば、親指、手の一部等)が有る場合、測定対象以外の物体から反射した超音波がノイズとして受信波(反射波)に含まれている可能性がある。また、本実施形態をスマートフォンに適用した例では、送信器10と受信器11〜13との間の距離に対する反射波の伝搬距離が比較的近いので、受信波には直達波と反射波とが重なっている。このため、受信波から反射波を減算した場合であっても、完全には受信波から直達波を除くことはできないので、反射波には直達波の一部がノイズとして残っている可能性がある。このように、本実施形態の適用例では、ノイズの影響が比較的大きいが、図5に示す反射波を用いてパラメータi=2,j=1で上記の測定処理を行ったところ、物体の3次元座標(x、y、z)として(0cm、0.5cm、3cm)が得られた。これは、測定誤差が2,3mm以内であり、良好な測定精度が得られた。
[第2実施形態]
図8を参照して、第2実施形態に係る位置測定装置2の構成について説明する。図8は、位置測定装置2の構成を示すブロック図である。上述した第1実施形態に係る位置測定装置1は、反射波のピークから複数の到達時間候補を特定した。これに対して、第2実施形態に係る位置測定装置2は、駆動信号を変調することにより変調された超音波を送信し、反射波と駆動信号との相互相関関数に基づいて複数の到達時間候補を特定する。以下、位置測定装置2について上述した位置測定装置1と同様な点は説明を省略し、異なる点を主に説明する。
位置測定装置2は、駆動信号を変調する周波数変調部51を備える。周波数変調部51は、例えば、1バーストに含まれる駆動信号が徐々に高周波となるように変調する。送信信号生成部21は、変調された駆動信号を駆動回路22へ出力する。その結果、送信器10は、駆動信号に応じて、1バーストに含まれる超音波の周波数が変調された超音波を送信する。
位置測定装置2が備える演算処理部40は、上述した第1実施形態の位置測定装置1が備える時間特定部43に替えて、相互相関関数に基づいて到達時間候補を特定する時間特定部52を有する。時間特定部52は、反射波と駆動信号との相互相関関数を計算し、該相互相関関数に基づいて複数の到達時間候補を特定する。相互相関関数Rxy(τ)は、次の式(2)によって記述される。
Figure 0006032211
ここで、関数x(t)は駆動信号の波形を示し、関数y(t)は各受信器11〜13の反射波の波形を示している。
図9は、到達時間候補の特定方法について説明するための図であり、波形は受信器11の反射波と駆動信号との相互相関関数Rxy(τ)、すなわち相関結果を示している。まず、時間特定部52は、相互相関関数Rxy(τ)の包絡線のピークのうち、予め定められた閾値以上のピーク(peak1[i])を先頭から順にi個特定する。図9に示す例では、パラメータi=1である。すなわち、peak1[0]が特定される。
次に、時間特定部52は、包絡線のピーク(peak1[i])の直前に発生したj個の相互相関関数Rxy(τ)のピーク(peak1m[i][j])と、包絡線のピーク(peak1[i])の直後に発生したj個の相互相関関数Rxy(τ)のピーク(peak1p[i][j])を特定する。図9に示す例では、パラメータj=1である。すなわち、peak1m[0][0]及びpeak1p[0][0]が特定される。
次に、時間特定部52は、特定された相互相関関数Rxy(τ)のピークに基づいて、到達時間候補tを特定する。図9に示す例では、相互相関関数Rxy(τ)のピークが3つ特定されているので、受信器11について3つの到達時間候補tが特定される。同様にして、受信器12,13についてもそれぞれ3つの到達時間候補t,tが特定される。
引き続いて、位置測定装置2の動作について説明する。図10を参照して、到達時間候補の特定を行う動作について説明する。図10は、到達時間候補の特定処理の処理手順を示すフローチャートである。図10の処理は、超音波が送信されるバーストサイクル毎に繰り返し実行される。
ステップS201で反射波が取得された後、ステップS202では、各受信器11〜13について反射波と駆動信号との相互相関関数Rxy(τ)が計算される。次に、ステップS203では、各受信器11〜13について、相互相関関数Rxy(τ)の包絡線のピークがi個ずつ特定され、該ピークに基づいて到達時間候補が特定される。そして、ステップS204では、相互相関関数Rxy(τ)のピークのうち、包絡線のピーク前後のピークも特定され、該ピークに基づいて特定された到達時間が候補に加えられる。以上の処理により、上述した図9の例では、受信器11〜13毎に3個の到達時間候補が得られる。
ステップS205〜S207では、上記のステップS203,S204において特定された到達時間候補t,t,tについて、第1実施形態の図6のステップS104〜S106と同様な処理が行われることにより、到達時間候補が選別される。以上の処理により、複数の到達時間候補が特定される。その後、第1実施形態と同様に、各受信器11〜13について特定された複数の到達時間候補t,t,tを用いて複数の3次元座標候補が算出され、1つの座標が物体の3次元座標として特定される。
以上説明した本実施形態の位置測定装置2によれば、反射波と駆動信号との相互相関関数によって示される波形は反射波より急峻なピークを有するので、到達時間候補を特定するに当たり、時間分解能を向上させることができる。また、ノイズの影響を低減することができる。従って、より精度の高い到達時間候補を特定し、測定精度をより高めることが可能となる。
なお、上記では、反射波と駆動信号との相互相関関数を用いることとしたが、駆動信号に替えて直達波を採用してもよい。すなわち、時間特定部52は、反射波と記憶部41に記憶されている直達波との相互相関関数Rxy(τ)を算出し、該相互相関関数Rxy(τ)に基づいて、到達時間候補を特定してもよい。この場合、関数x(t)は、直達波の波形を示す関数となる。このように、受信器11〜13において実際に受信された直達波の波形を用いるので、更に急峻なピークを持つ波形(相互相関関数)を得ることができ、時間分解能をより向上させることができる。また、ノイズの影響をより低減することができる。従って、更に精度の高い到達時間候補を特定し、測定精度を更に高めることが可能となる。
[第3実施形態]
図11を参照して、第3実施形態に係る位置測定装置3の構成について説明する。図11は、位置測定装置3の構成を示すブロック図である。位置測定装置3が備える演算処理部40は、上述した位置測定装置1が備える構成要素に加えて判定部61を有する。以下、位置測定装置3について上述した位置測定装置1と同様な点は説明を省略し、異なる点を主に説明する。
上述したように反射波は、受信波から直達波を減算することにより得られる。ただし、音速が気温、媒体の流速等の外部環境により変化することに起因して、直達波が受信器に到達するタイミングは外部環境により変化する。そこで、測定する環境において直達波を得るために、位置測定装置3は、測定対象の物体が測定範囲内に存在しない状態で受信された受信波を直達波として記憶する。このために、まず、判定部61が、測定対象の物体が測定範囲内に存在するか否かを判定する。
判定部61は、超音波を送信器10によって複数回バースト的に送信させる。測定対象の物体が動いた場合、受信波が変化するので、測定範囲内に測定対象の物体が存在すると判定することができる。一方、受信波が変化しない場合は、動く物体が測定範囲内に存在しないことが分かる。測定対象が機器を操作する指である場合、ユーザが位置測定装置3に対して指を静止することは考え難い。よって、動く物体が測定範囲内に存在しない場合、測定対象の物体が測定範囲内に存在しないと判定することができる。従って、判定部61は、A/D値取得部37〜39によって取得された複数回分の受信波を解析し、受信波の波形が所定以上変化していない場合、測定範囲内に測定対象の物体が存在しないと判定する。
物体の存在の有無を判定する際には、送信される超音波の波形が位置測定時に使用される送信波と同様な波形となるように、測定時と同じ駆動信号が用いられる。そして、測定対象の物体が測定範囲内に存在しないと判定部61によって判定された場合、判定に用いられた受信波には、測定対象の物体によって反射された反射波が含まれていない。よって、判定に用いられた受信波は、直達波として利用することができる。そこで、本実施形態の記憶部41は、測定対象の物体が測定範囲内に存在しないと判定部61によって判定された場合に受信器11〜13によって受信された受信波を直達波として記憶する。なお、記憶部41は、測定対象の物体が測定範囲内に存在すると判定された場合、新たに直達波を記憶せず、既に記憶している直達波を保持する。
例えば、位置測定装置3がスマートフォン100に搭載されている場合、ディスプレイ101の電源がONになったタイミングで、判定部61が、測定対象の物体が存在するか否かを判定する。そして、存在しないと判定された場合に、直達波が記憶部41に記憶される。その後、物体の位置を測定する処理が開始される。測定処理については、上述した処理と同様に、A/D値取得部37〜39によって取得された受信波が反射波取得部42に入力される。そして、記憶部41に記憶されている直達波を受信波から減算して反射波が特定される。
以上説明した本実施形態の位置測定装置3によれば、自動的に直達波を取得し、記憶することが可能となる。よって、手動で直達波を記憶する処理(キャリブレーション)を行う必要がなくなる。また、直達波の波形は外部環境により変化するが、実際に位置を測定する環境において得られた直達波を記憶することができる。従って、実際の測定環境を反映した直達波から反射波を得ることができるので、外部環境による影響を低減して、測定精度をより向上させることが可能となる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、ピークを特定する際に反射波又は相互相関関数のピークのうち、包絡線のピークの直前及び直後のピークについても特定したが、これに限られない。包絡線のピークの直前だけであってもよいし、直後だけであってもよい。また、包絡線のピークの直前及び直後のピークは特定せずに、包絡線のピークを複数特定するだけであってもよい。なお、上記第2実施形態では、超音波の周波数を変調したが、変調方法はこれに限られない。振幅を変調してもよいし、デジタル変調をおこなってもよい。
また、上記実施形態では、3つの受信器11〜13の全てについて複数の到達時間候補を特定することとしたが、1つ又は2つの受信器について複数の到達時間候補を特定してもよい。少なくとも1つの受信器について複数の到達時間候補を特定すれば、複数の3次元座標候補を得ることができ、測定精度を高めることができる。
また、上記実施形態では、受信波に基づいて到達時間候補を特定するに当たって、受信波から反射波を取得してから、反射波に基づいて到達時間候補を特定したが、これに限られない。受信波から直達波を減算する等の処理をせずに、受信波から到達時間候補を特定してもよい。ただし、反射波と直達波とが重なる場合は、送信器10から送信された超音波が、物体に反射せずに直接受信器11〜13へ到達することを防止するための構成を設けることが好ましい。例えば、各受信器11〜13が送信器10側から超音波を受信しないように、各受信器11〜13に送信器10側を遮る部材を設けてもよい。
また、上記実施形態では、受信器を3つとしたが、4つ以上あってもよい。4つ以上ある場合、全ての受信器及び送信器が同一平面上に配置されていなくてもよい。また、受信器が3つの場合であっても、他の情報により物体の3次元座標を特定できる場合には、同一平面上に配置されていなくてもよい。また、上記実施形態では、送信器10及び受信器11〜13が、長方形の頂点に配置されていることとしたが、これに限られない。用途によっては、例えば、受信器11〜13を正三角形の各頂点に配置し、送信器10を正三角形の重心の位置に配置することとしてもよい。この場合、各受信器11〜13と送信器10との間の距離が等しくなるので、より精度を高めることができる。
なお、音速が気温、媒体の流速等の外部環境により変化するので、到達時間候補に音速を乗じて算出される伝搬距離は、音速として一定値を用いていると、音速が変化した場合に誤差が生じる。一方、受信波に現れる最初のピークは、直達波が到達したタイミングを表しており、この直達波の伝搬距離は一定である。よって、受信波に現れる最初のピークが発生したタイミングに基づいて、音速の値を補正することも好ましい。
また、上記実施形態では、算出した複数の3次元座標候補に基づいて物体の3次元座標を特定する際に、前回特定された3次元座標と最も近い3次元座標候補を物体の3次元座標としたが、これに限られない。測定対象の物体に応じた任意の基準に基づいて、複数の3次元座標候補の中から1つの3次元座標を選択してもよい。また、選択した1つの3次元座標に対して、更に補正をしてもよい。
また、上記の例では、測定対象の物体を指先としたが、超音波を反射する任意の物体を測定対象とすることができる。また、上記の例では、スマートフォン100の入力装置として本発明に係る位置測定装置1〜3を用いることとしたが、これに限られない。例えば、テレビ、パーソナルコンピュータ、ゲーム機等の家電製品や、切符等の自動販売機等の非接触入力装置として位置測定装置1〜3を用いることができる。
1,2,3 位置測定装置
10 送信器
11,12,13 受信器
41 記憶部
42 反射波取得部
43,52 時間特定部
44 座標算出部
45 座標特定部
51 周波数変調部
61 判定部

Claims (8)

  1. 超音波を利用して物体の位置を測定する位置測定装置において、
    超音波を送信する送信器と、
    超音波を受信する少なくとも3つの受信器と、
    前記受信器それぞれによって受信された受信波に基づいて、前記送信器から超音波が送信されてから物体に反射して前記受信器に到達するまでの到達時間候補を前記受信器毎に特定する時間特定部であって、少なくとも1つの前記受信器については、該受信器によって受信された受信波から、前記到達時間候補を複数特定する時間特定部と、
    前記時間特定部によって前記受信器毎に複数又は1つ特定された前記到達時間候補、及び、前記送信器並びに前記受信器の相対的な位置に基づいて、前記物体の位置を示す複数の3次元座標候補を算出する座標算出部と、
    前記座標算出部によって算出された複数の3次元座標候補に基づいて、物体の3次元座標を特定する座標特定部と、
    前記送信器から送信され、物体に反射せず前記受信器に直接到達して該受信器によって受信された直達波を予め記憶する記憶部と、
    前記受信器によって受信された受信波から前記記憶部に記憶された直達波を減算することにより、物体に反射して前記受信器に到達した反射波を取得する反射波取得部と、
    を備え、
    前記時間特定部は、前記反射波取得部によって取得された反射波のピークのうち、前記反射波の包絡線におけるピークの直前及び/又は直後に発生した所定数の前記反射波のピークのタイミングに基づいて、複数の前記到達時間候補を特定することを特徴とする位置測定装置。
  2. 超音波を利用して物体の位置を測定する位置測定装置において、
    超音波を送信する送信器と、
    超音波を受信する少なくとも3つの受信器と、
    前記受信器それぞれによって受信された受信波に基づいて、前記送信器から超音波が送信されてから物体に反射して前記受信器に到達するまでの到達時間候補を前記受信器毎に特定する時間特定部であって、少なくとも1つの前記受信器については、該受信器によって受信された受信波から、前記到達時間候補を複数特定する時間特定部と、
    前記時間特定部によって前記受信器毎に複数又は1つ特定された前記到達時間候補、及び、前記送信器並びに前記受信器の相対的な位置に基づいて、前記物体の位置を示す複数の3次元座標候補を算出する座標算出部と、
    前記座標算出部によって算出された複数の3次元座標候補に基づいて、物体の3次元座標を特定する座標特定部と、
    前記送信器から送信され、物体に反射せず前記受信器に直接到達して該受信器によって受信された直達波を予め記憶する記憶部と、
    前記受信器によって受信された受信波から前記記憶部に記憶された直達波を減算することにより、物体に反射して前記受信器に到達した反射波を取得する反射波取得部と、
    を備え、
    前記送信器は、変調された超音波を送信し、
    前記時間特定部は、前記反射波取得部によって取得された反射波と前記記憶部によって記憶されている直達波との相互相関関数を計算し、該相互相関関数に基づいて複数の前記到達時間候補を特定することを特徴とする位置測定装置。
  3. 前記時間特定部は、特定した前記複数の到達時間候補についてそれぞれ算出された伝搬距離、及び、前回の処理時に前記座標特定部によって特定された3次元座標の計算に用いられた伝搬距離に基づいて、前記複数の到達時間候補についてそれぞれ除外するか否かを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の位置測定装置。
  4. 前記座標算出部は、前記時間特定部によって特定された複数の到達時間候補の中から前記受信器毎に1つずつ選択される到達時間候補の全ての組み合わせについて前記3次元座標候補を算出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の位置測定装置。
  5. 前記座標特定部は、前記座標算出部によって算出された複数の3次元座標候補のうち、前回の処理時に特定した3次元座標との距離が最も近い座標を物体の3次元座標として特定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の位置測定装置。
  6. 前記座標特定部は、前回の処理時に特定した3次元座標と今回の処理によって特定した3次元座標との距離に基づいて、今回の処理によって特定した3次元座標を許容するか否かを判定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の位置測定装置。
  7. 測定対象の物体が測定範囲内に存在するか否かを判定する判定部を備え、
    前記記憶部は、前記測定対象の物体が測定範囲内に存在しないと前記判定部によって判定された場合に前記受信器によって受信された受信波を前記直達波として記憶することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の位置測定装置。
  8. 前記送信器及び前記3つの受信器は、同一の平面上に配置され、長方形の各頂点の位置にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の位置測定装置。
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