図1(a)は、第一の実施例の認証システムの構成図である。図1(b)は第一の実施例における認証システム内の記憶部であるメモリ12と記憶装置14の内部を示す図である。本認証システムは、指静脈データ取得装置2、画像入力部18、認証処理部10、記憶装置14、表示部17、情報入力部19、音声出力部6及び電源部15を含む。
指静脈データ取得装置2は、一つの筐体であり、光源3、撮像装置4、中央指置き台26、左指置き台27、右指置き台28を備える。光源3は、例えば、赤外線発行ダイオード(Light Emitting Diode:LED)であり、中央指置き台26上に提示された指200に赤外光を照射する。撮像装置4は、提示された指200を撮像する。
画像入力部18は、撮像装置4で撮像された画像を、処理部として機能する認証処理部10へ入力する。
認証処理部10は、中央処理部(Central Processing Unit:CPU)11、メモリ12、種々のインタフェース(Interface:IF)13を含む。CPU11は、メモリ12に記憶されている認証プログラム100を実行することによって各種処理を行う。メモリ12は、CPU11が実行する認証プログラム100を一時的に記憶する。また、メモリ12は、画像入力部18から入力された画像を記憶する。インタフェース13は、認証処理部10の外部の装置と接続されている。具体的には、インタフェース13は、指静脈データ取得装置2、記憶装置14、表示部17、情報入力部19、音声出力部6、画像入力部18等と接続する。
記憶装置14は、利用者の登録データ220と認証プログラム100を予め記憶する。図1(b)の登録データ120は、利用者を照合するための情報であり、例えば、指静脈パターンの画像等である。指静脈パターンの画像は、指の掌側の皮下に分布する血管(指静脈)を暗い影のパターンとして撮像した画像である。
表示部17は、例えば、液晶ディスプレイ等であり、認証処理部10から受信した情報を表示する。情報入力部19は、例えば、キーボード等であり、利用者から入力された情報を認証処理部10に送信する。音声出力部6はスピーカ等であり、認証処理部10から受信した情報を、音声で発信する。電源部15は、乾電池や外部電源であり、指静脈データ取得装置2や認証処理部10を駆動するための電力を供給する。
本認証システムでは、利用者が指静脈データ取得装置2に指200を提示すると、光源3から指200に対して赤外光が照射される。光は指200の内部で散乱し、指200を透過した光が撮像部4に入射する。入射した光は撮像部4により電気信号に変換され、画像として認証処理部10に取り込まれる。取り込まれた画像はメモリ12に記憶される。また、記憶装置14に保存されている登録データ220と認証プログラム100が記憶装置14よりメモリ12に格納される(図1(b))。CPU11はメモリ12に格納された認証プログラム100に従って、入力画像から認証データ240を作成し、登録データ220との照合を行う。照合処理では比較する2つのデータ間の相関を算出し、その値に応じて登録されているデータと一致するかを判定する。この判定結果を利用して個人を認証する。認証結果は表示部17に表示を行う、または音声出力部6から音声で知らせる。
図2は第一の実施例における、指静脈データ取得装置2の外観を示す図である。図2(a)は装置2の上面図、図2(b)は装置2に指を提示したときの上面図、図2(c)は図2(b)のA−A断面図、図2(d)は図2(b)のB−B断面図である。
装置2の上面には、利用者が認証対象の指を提示するための中央指置き台26が設けられている。中央指置き台26には開口部20が設けられている。開口部20には、開口部20を覆うように赤外透過フィルタ24が設置されている。赤外透過フィルタ24は赤外光以外の不要な光が装置内に進入するのを防ぐ。また、ほこりやごみなどの異物が装置内に入るのを防ぐ。フィルタ24は中央指置き台26よりも数ミリ程度低い位置に設置し、指200とフィルタが接触しないようにする。これにより、指の押し付けによって血管パターンが消えたり、変形したりするのを防ぐことができる。またフィルタ24に汚れが付着するのを防ぐことができる。開口部20の直下には、撮像部4が設置されている。
指200が置かれると、複数の光源素子からなら光源3が指200に赤外光を照射する。その光は指内部に到達するとあらゆる方向に散乱する。指内部で散乱した光の一部は開口部20の上方付近に到達し、さらにその一部は指の外部に向け進行する。この光は開口部20、フィルタ24を通り抜け、撮像部4によって撮影される。この光は指200の内部から指200の掌側の表面を透過しているため、静脈部分を通り抜けたために減衰された弱い光と、静脈のない部分から抜け出た減衰していない強い光とのコントラスト差を持っている。従って、この光を撮像すると、その映像には開口部20の真上に位置する部分領域の指静脈パターン画像が映し出される。これにより指200の部分領域における指静脈パターンが獲得される。
開口部20の上方に位置する指200の部分領域、すなわち被撮像部分の指静脈パターンを鮮明に撮影するためには、以下の光学的な条件を満たす必要がある。まず、指外部から被撮像部分の皮膚表面に照射された光の反射光が撮影されないようにすること、指静脈の存在する深さまで到達していない散乱光が撮影されないようにすることである。この条件が満たされない場合、指静脈パターンの情報を持たない光が指静脈部分とそれ以外の生体組織とのコントラストを低下させる。さらに、指表面のしわなどの不要な映像が映り込むため指静脈パターンが見えにくくなる。そこで、本実施例では開口部20の大きさは指200の幅、長さより小さくし、利用者が指200を提示した際に、開口部20が指200で完全に覆われるようにする。これにより指を透過しない光が、直接装置内に進入するのを防ぐことができる。
特許文献1で開示されているような開口部サイズが指サイズより大きい装置の場合は、開口部を指で覆うことができない。そのため、開口部と指の隙間から外光が入り込み、静脈画像の画質が低下する。従って、指200の周囲に外光よけのための高い遮光壁を設ける必要があった。また、遮光壁によって外光を完全に防げた場合でも、光源3の設置位置が低いと、光源3から出力された光が指と開口部の隙間に入り込んでしまう。隙間に入り込んだ光は指表面で反射するため撮像画像の画質を低下させる。よって、開口部サイズの大きい装置で画質を高めるためには光源3の設置位置を高くする必要があった。本実施例の認証装置では開口部サイズを小さくしているため、高い遮光壁を設置していなくても、外光下で鮮明な静脈画像を撮影できる。さらに、光源3の設置位置を低くすることも可能になる。従って、装置を薄型化することが可能となる。また、開口部20を小さくすることは装置の設置面積を小さくする効果もある。
また、従来の開口部サイズが大きい装置では、指先側と根元側の2点で指を支えていた。そのため、利用者が力を入れて指提示した場合に指が反り返り、撮影される血管パターンが大きく歪む場合があった。一方、開口部サイズが指より小さい場合、指先、根元側に加え、指の掌側の左右端も指置き台26と接触する。つまり、穴があいている状態の開口部20の真上以外の、指の部位は全て指置き台26と接触することになる。その結果、指と指置き台の接触面積が増えるため指の提示が安定し、反り返りを防止できる。本実施例の装置は指置き台26が平面上になっているため指の反り返りの防止効果が高い。
装置2には指200の位置決めのための突起21が設けられている。利用者は指先を突起21に合わせて指を提示する(図2(d))。突起21により、指1が規定位置よりずれた位置に置かれてしまうことを防ぐことができる。
開口部20の位置は、利用者が突起21に合わせて指を置いたときに、指の第一関節周辺を撮影できる位置とする。これは、指の関節部分はそれ以外の部分より皮膚が薄く静脈が撮影しやすいためである。同様の効果を得るために第二関節付近を撮影する装置としても良いが、本装置のように指先を基点に位置合わせを行う装置において第二関節付近を撮
影すると、装置が大きくなってしまう。よって、本実施例で撮影する領域、すなわち開口部20位置と大きさは、指200の第一関節付近とする。
指置き台26の指先側、根元側にはそれぞれタッチセンサ23を設ける。これによって利用者の指が提示されたことを検知することができる。
装置2には静脈撮影用の照明である赤外光源3が設置されている。赤外光源3は複数のLEDなどの光源素子で構成される。光源の設置位置は、指200の左右側である。また、設置する高さは、指の高さの半分よりも低い位置とする。さらに、光源の設置角度αは0度<α<90度の範囲とし、斜め上に向けて光を照射する。以上のように、光源の設置位置を低くすることで装置を薄型にすることができる。また、指の左右側に斜め上に傾けて設置することで、指の高い位置に光を照射できるため、鮮明な静脈画像が撮影できる。尚、光源の設置位置は、指200の指幅より外側に設置することが望ましい。これにより、指200の上半面、すなわち指の甲側に光を照射できる。もし、光源を指幅より内側に設置してしまうと、指200の指の下反面、すなわち指の掌側に光が照射されるため、撮像画像の鮮明度が低下する。
上述の通り、本装置で画質を高めるためには、指静脈の存在する深さまで到達していない散乱光が撮影されないようにすることが重要となる。これを実現するためには、指200のできるだけ高い位置に光を照射することが有効である。よって、光源3の設置角度αは大きい値にする。ただし、角度αを極端に大きくしすぎると、光源3から出力された光が指200の上方を通過し、指200に対し全く光が当たらなくなる。よって角度αは指の細い利用者に対しても十分な光量を照射できる範囲でできるだけ大きい値とする。これにより、様々な大きさの指の利用者に対応でき、かつ、鮮明な画像を撮影できる認証装置を実現できる。
光源3としてLEDを利用する場合、指200と光源3の間には遮光部材で作成した壁22を設置する。LEDから放出された光は広がりを持って進むためLED自体を斜め上に向けて設置していても、LEDから放出される光は低い方向にも進んでしまう。そこで、遮光壁22によりLEDの下側を隠すことで、指の低い方向に向かう光を遮断し、上側に向かう光のみを通過させる。これにより指の高い位置のみに光が照射されるため、静脈画像の鮮明度をさらに高めることができる。
上述の通り、本装置では、指の第一関節周辺の狭い領域の指静脈データを用いて認証を行なう。よって登録時と認証時で指の提示位置が大きくずれると、登録者が認証した場合でも、正しい認証結果を算出することができなくなる。より高精度な認証を行なうためには指の提示を安定させる必要がある。以下ではこの課題を解決するための本実施例の構成について説明する。
本実施例では、中央の指置き台26の両側に、認証対象外の指を置くため左右の指置き台27、28が設置されている。左右の指置き台27、28の位置は、中央の指置き台26の外側上方である。左右の指置き台27、28の上面は平面状のような指の置きやすい形状になっている。認証対象の指の左右側にも指置き台を設けることで、認証対象の指とその左右の3指によって固定されるため、認証対象の指の回転を防ぐことができる。また、左右方向の位置ずれも規制できる。よって指の提示の再現性が高まり、高精度な認証装置を実現できる。また、左右の指置き台は、中央の指置き台よりやや高くなっている。これにより、利用者が認証対象の指200を強く押し付けてしまうのを防ぐことができる。
なお、左右の指置き台27、28の幅は、左右の指201、202を載せることができ、上記の目的を達成できれば指幅より狭くしてもよい。これにより、より小さい装置を実現できる。また、図2では認証対象指200が中指、左右の指201、202が薬指と人差し指のときの例を示しているが、本装置では他の指でも認証可能である。たとえば、中央の指置き台26に人差し指を提示し、片方の指置き台に中指を提示、もう片方の指置き台は指を置かない、という使い方も可能である。少なくとも2指以上によって固定されるため、認証対象の指の回転を防ぐことができる。
上述の左右指置き台27、28は、左右の指201、202に起因する画質劣化を防ぐための遮光壁も兼ねている。以下では、図3を用いて、下方照射方式の課題である左右の指による認証精度低下の問題と、それを解決する装置構成を説明する。
本実施例の指静脈データ取得装置2は、図3(a)のように、指の左右側の低い位置に光源3を設置し、斜め上に向けて光を照射する下方照射方式により、装置の薄型化と高画質化を両立する。しかし、単純な下方左右照射方式の装置では、認証対象外の指201、202が中央の指200に近づいた場合、指201や指202によって、光源3が塞がれてしまう(図3(b))。光源3が塞がれると認証対象の指200に光が照射されなくなるため
、認証を行なうことができない。また、光源3が完全に塞がれなかった場合でも、図3(c)のように、光源3から出力された光31が左右の指201、202の表面で反射し、光の進行方向が変わってしまうことがある。光路が本来の照射方向から大きくずれるため、鮮明な静脈画像を撮影できない。よって認証精度が低下する。左右下方照射方式において画質を高めるためには、左右の指の悪影響を防ぐ構造が必要になる。これを防ぐためには中央指200と左右指201、202との間に側壁を設置し、左右指201、202を中央指200の近くに置けないようにする方法が考えられる。しかし、左右指が中央に寄
るのを完全に防止するためには側壁の高さを同程度またはそれ以上高くする必要があり、装置が大きくなってしまう。
そこで、本実施例では、以下のような装置構成(図3(d))によって、上記の課題を解決する。まず、左右の指置き台27と28は、遮光部材で作られている。さらに、指置き台27と28は光源3と認証対象外指との間に設置される。これにより、光31は左右の指201、202に照射されない。つまり、左右の指置き台27と28は、指置き台であると同時に遮光壁の役割も果たしている。これによって、光源3から出力された光のうち光源の真上方向に進む光は指置き台27,28によって遮断される。そのため、左右の指の表面で光が反射することがなく、画質劣化を防ぐことができる。
また、左右の指置き台27、28は、中央の指置き台26に対してやや高い位置に設置されており、中央指置き台26と左右指置き台27、28の間には、隙間32がある。光源から照射された光のうち中央指方向に進む光は、隙間32を通り認証対象指200に照射される。中央の指置き台には、認証対象である中央の指200のみを置くことができるため、隙間32は左右の指201、202によって塞がれることがない。そのため、左右の指により光31が遮断されることなく、中央の指のみに確実に光が照射される。
なお左右指置き台27、28の隙間32は、図16(a)に示すように、アクリル板98等の赤外を透過する素材で覆ってもよい。これにより装置内へ異物が進入するのを防ぐ。また、図16(b)のように遮光壁22を内側、すなわち、左右指置き台27、28と開口部との間の中央指置き台26に遮光壁22を設置し、逆ハの字の形のアクリル板99
を設置してもよい。これにより、指200の丸みをおびた形状と、遮光壁22と逆ハの字の形のアクリル板99の点線で示された斜面から成る指置き台27、28の形状とが一致しやくすなり、指を安定して提示できるようになる。アクリル板99が逆ハの字になっているため、太い指でも提示できる程度のスペースを確保しながらも、光源3の設置位置を内側に近づけることができる。これにより装置の設置面積を小さくできる。また、光源を指に近づけることで、効率よく光を当てることができるため消費電力を抑えられる。
ここで、図4を用いて本実施例の左右指置き台27、28の高さについて説明する。図4(b)は図4(a)の指静脈データ取得装置2の右指置き台28と光源3部分を拡大したものである。 図4(b)のh1は中央指置き台26を基準にしたときの右指置き台28の下面の高さを示す。また、点aは、光源3の照射軸42と指置き台28の左端、すなわち中央指置き台26側の端面から下ろした垂線43との交点、h2は中央指置き台26を基準としたときの点aの高さを示す。
左右指置き台27,28の高さは、図4(b)で示すように、中央の指200に向かう光を遮断しない程度に高くする必要がある。つまり、指置き台27,28の高さはh1>h2を満たす値とする。これにより、前記左右の指に向かう光は遮断でき、中央の指200に向かう光は十分な光量を確保できる。ただし、左右指置き台27、28の高さh1を高くしすぎると、装置が大きくなる、中央指置き台との差が大きすぎて指を置きにくくなる、また左右の指につられて中央の指が浮いてしまう、などの弊害がでるため、中央指への光量を確保できる範囲でできるだけh1を小さくする。具体的には中央指置き台26と左右指置き台の27,28の段差は10mm以下程度に抑えることが望ましい。
以下では図5(a)を用いて、CPU11が実行する認証プログラム100で実施される処理手順の一実施例について説明する。はじめに、装置に指が乗せられたか否かを判定する指提示検知処理(S101)を実施し、指が提示された場合には適切な光量を光源から照射するための光量調整処理(S103)を実施する。言い換えるなら、CPU11は特徴抽出手段、特徴照合手段のみならず、光量制御手段としても機能する処理部である。この光量の調整完了後、パターン抽出処理(S108)、特徴データ作成処理(S109)を行う。事前に登録されている特徴データとの照合処理(S112)を実施し、登録されているか否かを判定する。以下、本フローの詳細について記す。
まず、認証を開始するタイミングを知るために、指が装置上に置かれたかどうかを判定する(S101)。この判定方法には、指置き台26に設置されたタッチセンサ23を用いる方法や、画像処理による方法、タッチセンサと画像処理を組み合わせる方法などを用いることができる。ここでは画像処理による方法の一例について述べる。画像処理による方法は指検知用センサが不要で部品点数を減らしコスト削減ができる利点がある。まず、指静脈パターン撮影の照明として用いられる前述の光源3を一定周期で点滅させる。装置に何も置かれていない場合、光源3が点灯しても消灯しても、光を散乱する物体がないため光源3から発せられた光は撮像部4に映り込むことはない。従って、光源3が点灯している状態と消灯している状態における撮像部4の画像の比較を行った場合、その輝度値には大きな変化はない。一方、指200が装置上に置かれた場合、光源3から照射された光は指200により散乱し撮像部4に映り込む。従って、光源3が点灯している状態と消灯している状態との画像の輝度値に大きな変化が生じる。この変化量を画像入力部18を介して認証処理部10に送り、CPU11で計算し、保持することで、指の提示を検知する。
指の提示が検知されると、光源3から照明用の光量が出力される。置かれた指の太さや皮膚の厚みなどによって,静脈撮影に必要な光量は異なる。そこで、最も鮮明な画像が得られるように光源3の光量を調整する(S103)。指静脈の撮影では、撮像画像の平均輝度値が輝度諧調の中心付近の値になっている場合に、鮮明な静脈の画像を得ることができる。例えば、画像の平均輝度が低すぎるときは、血管とそれ以外のコントラストが悪いため、鮮明ではない。逆に平均輝度が高すぎるときは、飽和している部分が発生し血管を抽出できない。つまり、光量調整S103では、輝度諧調の中央値を目標輝度値とし、撮像画像の平均輝度値が目標値に近づくように光量を調整する。この光量調整手法として、本実施例では、画像の平均輝度値を常に監視し、その値に応じて光量をフィードバック制御しながら目標輝度値に近づける手法を用いる。
図5(b)にそのフローチャートを示す。この手法では、指の提示検知直後に、あらかじめ設定しておいた初期光量値L0で光源3を点灯させる(S1031)。初期光量L0は,標準的な指を置いたときに目標輝度値の画像が撮影可能になる光量値を予め測定し、その値を設定しておく。次に、撮像部4で画像を撮影する(S1032)。この画像の平均輝度値V0を算出する(S1033)。算出した平均輝度値V0が、目標輝度値であるか判別する(S1034)。目標輝度値に達していない場合は、次の光量値を再設定する(S1035)。次の光量値の算出は、光量値と撮像画像の平均輝度値とが比例関係にあるという特徴を利用して行なう。光量値再設定後、画像撮影(S1032)、平均輝度値算出(S1033)、平均輝度値の判定(S1034)を再度実施する。このフローを繰り返し、目標の輝度値に近づけていく。S1034の平均輝度値の判定で目標輝度値に達した場合は、光量調整を完了する。
次に、血管パターンの抽出処理を実施する(S108)。この手法として、線分を強調するエッジ強調フィルタやマッチドフィルタを用いる方法、線成分を追跡することで線パターンを抽出する方法、画像の断面プロファイルにおける輝度値の局所的な窪み位置を抽出する方法などを用いることができる。
その後、抽出した結果から特徴データを作成する(S109)。特徴データとして、特徴抽出処理結果の画像そのものを特徴量とする方法、分岐点や端点を検出する方法などを用いることができる。画像そのものを特徴量とする場合は、データサイズを小さくするために、特徴抽出後の画像に縮小処理を適用してもよい。
最後に、生成した特徴データと事前に同じ方法で作成、登録されている特徴データとを比較照合する。(S112)。画像そのものを特徴データとしている場合では、画像同士を重ね合わせ、画素値同士の比較を実施して一致率を計算する。分岐点や端点を特徴データとしている場合はそれらの位置、個数、分岐線の角度、相対的な距離などの情報を比較することで一致率を算出する。ここで得られた一致率によって、同一パターンであるか別パターンであるかを判定する。判定するための閾値は事前に統計的に算出しておくことが可能である。閾値よりも高い一致率となった場合は登録者と判定し、低い場合は登録されていない指が提示されたとみなし認証を拒否する。
登録者であると判定された場合は、認証後の処理として例えばロックの解除等を行う(S114)。
図10は輝度むらの少ない画像を撮影するための複数の光源素子からなる光源3の配置例を示すものである。図10(a)〜(c)は指静脈データ取得装置2を上面から見た図である。
指静脈認証のパターン抽出処理(S108)では、画像中の各画素の輝度値を調べ、周囲の画素よりも輝度が低い画素を静脈であると判定し、抽出する。そのため、高精度な認証を行なうためには、指全体に均一な光量を照射し、輝度むらの少ない画像を撮影することが重要である。もし、光の照射に偏りがあり、一部の領域のみが暗く撮影されると、画像処理を行なった際に、その領域を誤って血管として抽出してしまう。
そこで、光源配置の工夫により輝度むらを低減する。光源3は、十分な明るさで指を照射することができれば左右に1個ずつの設置でも良いが、輝度むらを抑えるためには図10(a)や図10(b)に示すように複数個の光源素子を指の長手方向に沿って配置することが望ましい。この場合、左右それぞれの側に配列された光源素子の間隔が均等になるように配置する。これにより、指先側から指根元側までを均一な明るさで照射することができる。また、指の左右側の光源だけでは、指先と指根元側に十分な光が届かない場合があるため、図10(c)のように、指先と指根元側にも光源3を設け、補助的に照射を行なってもよい。図10(e)は図10(c)の直線Aにそった側面図である。指先側と根元側の光源3は図10(e)のように上側に向けて設置する。このとき開口部から離れる方向にやや傾けて設置すると開口部内に直接光が回り込むのを防ぐことができる。
なお、前記の光量調整処理(S103)ではこれらの光源の光量を独立で制御することが有効である。上述の通り、最適な光量値は利用者の指の太さや皮膚の厚みにより異なる。同様に、同一指でも、指先側と指根元側では幅と厚みが異なるため、適切な光量値が異なる。よって、指先側と指根元側の光量値はそれぞれ独立に制御する、または、指幅は指先が細く指根元ほど太くなるという特徴を利用し、指先側の光量が強くなるように予め光量を調整し、指先側、指根元側の光量を同時に制御してもよい。あるいは、同じ光量を照射せざるを得ないような場合には、光源の位置を指先ほど近く、根元側ほど遠くに配置してもよい。さらに、指の形状の左右非対称性、指を提示した際の左右の位置ずれも考慮し、左右の光量値も独立に制御することが望ましい。
光源3を複数配置する場合は全ての光源3を完全な等間隔に設置するのではなく、図10(d)のように中央付近の間隔を指先及び根元側の間隔より、やや広くしてもよい。本実施例では、上述の通り、開口部20の中央の位置に第一関節を置いて撮影を行なう。第一関節は皮膚が薄いため他の部位より少ない光量でも静脈を撮影することができる。そこで、光源3の設置場所は、第一関節の位置を避け、図10(d)のように指先側、根元側に寄せて設置する。これにより、第一関節以外の部位に強い光が当たり、第一関節にはやや弱い光が当たる。従って、画像全体の光量が均一になる。
図10(b)のように左右に3個ずつ、合計6個の光源を設置する場合、6個のLEDをそれぞれ独立して制御する。本装置では皮膚の薄い第一関節を中心としてその周辺の静脈を撮影する。第一関節より指先側は皮膚が厚くなるため、鮮明に静脈を撮影するためには第一関節付近よりやや強い光量が必要になる。また、第一関節部と根元側を比較した場合も、根元側の方が強い光が必要になる。よって図10(b)のように左右に3個ずつ光源を設置した場合、指先側、根元側、第一関節部分を別々に制御するとそれぞれの部位に対して最も適切な光量を照射でき、撮影範囲全体の静脈を鮮明に撮影できる。
図11は、以上で説明してきた小型指静脈認証装置をロッカーに組み込んで利用する場合の第四の実施例である。
ロッカー90に認証装置を組み込む方法としては、1つの認証装置で複数の扉を制御する中央管理型と、各扉にそれぞれ認証装置を組み込む個別管理型がある。このうち、個別管理型は、ロッカーの施錠と開錠の手続きを各扉の前で行なえるため、使用する扉から離れた位置で施錠、開錠を行なう中央管理型よりも利便性が高い。また、扉毎に認証装置がついているため、複数の利用者がロッカーを利用する際に、待ち時間が発生しないという利点もある。本発明の認証装置はロッカーの扉に対し十分小さいため個別管理型向けとしても利用可能である。実施例4では個別管理型として利用する場合について説明する。
本実施例において装置2は図11のようにロッカーの扉92の表面に設置する。高い位置の扉92-(a)に設置する場合は、装置2の指先が上に向くように装置を設置し、低い位置の扉92-(b)に認証装置を設置する際は指先が下を向くように装置を設置する。これにより、どの高さのロッカーに指を提示する場合でも、指を自然に提示できる。もし、低い扉に対しても指先を上側に向けて設置してしまうと、利用者は体勢を低くして認証することになるため利便性が低下する。このように、上側の扉と下側の扉で、指の提示向きを変えることは、利用者がどの段の扉に荷物を入れたかを忘れにくくする効果もある。また、上の段の扉は扉の下側に装置を組み込み、下の段の扉は扉の上側に装置を組み込むと、さらに利便性が高まる。
なお、ロッカーへ組み込む際は図15に示すようにほぼ水平になるような向きで設置してもよい。図15(a)は個別管理型のロッカーを示す。図15(b)、図15(c)、図15(d)は、図15(a)のAの方向から高い位置の扉92-(a)、中段の扉92-(b)、低い位置の扉92-(c)を見た図である。利用者の肩の高さと同程度の高さの扉に設置する場合は、図15(c)のように装置2を水平に設置する。高い扉に設置する場合は図15(b)のように指先を提示する位置をやや高くなるように傾けて向けて設置する。逆に、低い位置の扉に設置する場合は指先を下に向けて設置する。これにより、利用者が指を提示しやすくなる。また、上記では装置2をロッカーの扉に組み込む例を示したが、ロッカーの組込場所は、扉のみに限らず、例えばロッカーのボックスとボックスの間のスペース94等に搭載しても良い。
利用者がロッカー90に荷物を入れて扉を閉めると、認証装置が起動し、登録処理が開始される。利用者は実施例1の手順の通り指を提示し、登録処理を実施する。登録が完了するとロッカーが施錠される。ロッカーを開ける際は、認証処理を行い、登録時のパターンと同一指と判定された場合、ロッカーが開錠される。
登録及び認証の処理を行う際は、ロッカーの扉90に設置された表示部17やスピーカ等で利用者へガイドを行なう。ガイド方法として液晶モニタ等の表示部17を利用する際は、認証装置と表示部17をできるだけ接近して設置する。もし、表示部17と装置2が離れた位置に設置されていると、利用者は認証の際に、表示部17と装置2を交互に見る必要があり、利便性が低下してしまう。また、利用者によっては、表示部17のみを注視し、装置2の突起21の位置を目視で確認することなく、触覚だけに頼って指を提示してしまう場合もある。触覚のみで指の提示位置を決めてしまうと、指の提示位置の再現性が低下する。よって、表示部17と装置2は、利用者が同時に見ることができる程度に接近して設置する。
特許文献2で開示されているように、撮影範囲の狭い指静脈データ取得装置2を利用する場合、登録時に複数回静脈画像を撮影し、複数の登録パターンを保持することで認証精度を高めることができる。本実施例でも同様に複数の登録パターンを保持することで認証精度を高める手法を用いる。しかし、登録時に複数回撮影することは利用者にとって負担になってしまう。
そこで、本実施例では、2つの手法を用いて、複数の登録パターンを撮影しながら、利用者の負担を軽減する。
まず、利用者へのガイダンスを工夫し、利用者の精神的な負担を軽減する手法について説明する。具体的には、N回の登録画像撮影のうち、最後の登録画像撮影以外では「登録します」という表示を行い、登録画像の撮影及び保存を実施する。次に、最後の登録データ撮影時は、「正しく認証できることを確認します」というガイドを表示する。その後、画像の撮影と特徴データの作成を行ない、正しく認証できるかの確認として照合処理を行なう。このとき、照合のテスト用として作成した特徴データも登録用の特徴データとして利用する。これにより、利用者は、登録作業は撮影枚数より1回少ない回数で完了できていると感じる。よって利用者の登録時の体感時間を減らし、精神的負担を軽減することができる。特に、2枚の登録パターンを撮影する場合は、利用者は1回の登録で、登録が完了できていると感じるので、特に効果的に利用者の精神的負担を軽減することができる。
次に、登録パターンを再利用することで利用者の負担を減らす手法について説明する。
通常のロッカーは、不特定多数の人が利用するものであるため、全ての利用者の登録データを蓄えておくことはできない。また、1つの扉90を同時に利用する利用者は1名のみである。よって、認証システムで行なわれる処理フローとしては、ロッカーを施錠する際に登録を行い、ロッカーが開錠されると登録パターンを破棄するという処理を繰り返すという方法が考えられる。
しかし、この方法では、同一人物が連続して同じロッカーを利用する場合でも、ロッカー施錠の際はその都度、登録手続きが必要になる。特に、上記のN回登録手法を用いる際は、ロッカー使用の度にN回の登録画像の撮影必要になる。これでは利用者の負担が大きい。そこで、同一人物が連続して利用している間は、登録データ220を再利用し、利用者の負担を軽減する。
登録データ220を再利用する際の処理手順を説明する。この手法では、認証成功後も登録データを破棄せず、引き続き登録データを保持したまま、次の利用者の登録待ち状態に遷移する。次の利用者が登録手続きを行う際、この利用者が前回の登録者と同一人物か否かを判定する。具体的には、まず、利用者が1枚目の登録画像を撮影する。次に、前記記憶装置14に保存されている前回登録者の登録データ220と現在の利用者の1枚目の撮像画像から作成した登録パターンとを照合する。この結果により、現在の利用者が、前回の利用者かどうか判別する。照合の結果、同一利用者の連続利用と判定された場合は、前回の登録データを現在の登録データとして再利用することとし、登録処理を終了する。別の利用者だった場合は、前回の登録データを前記記憶領域14から削除する。その後は、2枚目、3枚目と必要枚数に達するまでの登録画像の撮影を行い、N回の撮影完了後、登録データを作成し、保存し、登録処理完了となる。
このように、登録画像を再利用することで、1回目の登録画像撮影のみで、複数枚の登録画像を獲得できる。そのため、同一人物が2回以上連続利用したとき、2回目以降の登録処理では、登録画像を1枚撮影した段階で登録処理を完了することができる。
登録パターンを、利用者が利用後にも前記記憶装置14に長時間保存しておくことは、セキュリティ上問題となる可能性がある。そのため、最後の利用者の利用後一定時間が過ぎた場合には、ロッカーが連続利用されることがないと判断し、前記記憶領域14から登録データ220を削除する。これにより、本装置の安全性を確保することができる。
本実施例では、前記登録パターンを再利用することで利用者の負担を減らす手法において、過去1人分の登録データを保持しておき、該当者の登録処理を短縮した。しかしながら、例えば過去3人分の登録データを保存しておき、その該当3人の登録処理を短縮するなど、前期記憶領域14に制約を受けない限り登録データを保持することで、登録処理の利用者への負担を軽減できる人数や機会を増やすことができる。