JP6078466B2 - セロトニントランスポーター分析キット及び血中ユビキチン化セロトニントランスポーター分析キット - Google Patents
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Description
また、セロトニントランスポーター分析キットを提供することを本発明が解決すべき課題とする。
上記課題を解決するための本願第1発明の構成は、
被験者から採取した血液検体におけるユビキチン化されたセロトニントランスポーターの比率を分析する工程を含むうつ病決定方法である。
上記課題を解決するための本願第2発明の構成は、
前記うつ病決定方法が、更に被験者から採取した血液検体から得たユビキチン化されたセロトニントランスポーターの比率と、少なくとも1人の健常者から得た対照たるユビキチン化されたセロトニントランスポーターの比率を比較する工程を含む第1発明に記載のうつ病決定方法である。
上記課題を解決するための本願第3発明の構成は、
前記比較の結果、被験者から採取した血液検体から得たユビキチン化されたセロトニントランスポーターの比率が対照より低レベルである場合に当該被験者がうつ病であると決定する第2発明に記載のうつ病決定方法である。
上記課題を解決するための本願第4発明の構成は、
ユビキチン化蛋白質回収材と、抗セロトニントランスポーター抗体を含み、採取した血液検体におけるユビキチン化されたセロトニントランスポーターの比率の分析に使用する血中ユビキチン化セロトニントランスポーター分析キットである。
上記課題を解決するための本願第5発明の構成は、
うつ病の診断に用いる第4発明に記載の血中ユビキチン化セロトニントランスポーター分析キットである。
上記課題を解決するための本願第6発明の構成は、
被験者から採取した血液検体において、下記未処理セロトニントランスポーター量、及び、下記阻害剤処理セロトニントランスポーター量を分析する工程を含むうつ病決定方法である。
(1)未処理セロトニントランスポーター量:血液検体におけるセロトニントランスポーター量。
(2)阻害剤処理セロトニントランスポーター量:プロテアソーム阻害剤を作用させた血液検体におけるセロトニントランスポーター量。
上記課題を解決するための本願第7発明の構成は、
更に、少なくとも一人の健常者から採取した血液検体において、前記未処理セロトニントランスポーター量及び前記阻害剤処理セロトニントランスポーター量を分析する工程を含み、
更に、以下の(3)〜(5)のいずれか1以上の比較工程を含む第6発明に記載のうつ病決定方法である。
(3)前記被験者から採取した血液検体から得た未処理セロトニントランスポーター量と阻害剤処理セロトニントランスポーター量との量差(未処理・阻害剤処理量差)と、前記健常者から採取した血液検体から得た未処理・阻害剤処理量差とを比較する工程。
(4)前記被験者から採取した血液検体から得た未処理セロトニントランスポーター量と、前記健常者から採取した血液検体から得た未処理セロトニントランスポーター量とを比較する工程。
(5)前記被験者から採取した血液検体から得た阻害剤処理セロトニントランスポーター量と、前記健常者から採取した血液検体から得た阻害剤処理セロトニントランスポーター量とを比較する工程。
上記課題を解決するための本願第8発明の構成は、
以下の(6)〜(8)のいずれか1以上に該当する場合に被験者がうつ病であると決定する第7発明に記載のうつ病決定方法である。
(6)前記被験者から採取した血液検体から得た未処理・阻害剤処理量差が、前記健常者から採取した血液検体から得た未処理・阻害剤処理量差より小さい場合。
(7)前記被験者から採取した血液検体から得た未処理セロトニントランスポーター量が、前記健常者から採取した血液検体から得た未処理セロトニントランスポーター量より多い場合。
(8)前記被験者から採取した血液検体から得た阻害剤処理セロトニントランスポーター量が、前記健常者から採取した血液検体から得た阻害剤処理セロトニントランスポーター量より少ない場合。
上記課題を解決するための本願第9発明の構成は、
前記被験者から採取した血液検体から得た阻害剤処理セロトニントランスポーター量が、未処理セロトニントランスポーター量の1.7倍以下となる場合に被験者がうつ病であると決定する第6発明に記載のうつ病決定方法である。
上記課題を解決するための本願第10発明の構成は、
プロテアソーム阻害剤と、抗セロトニントランスポーター抗体を含み、採取した血液検体における未処理セロトニントランスポーター量及び阻害剤処理セロトニントランスポーター量の分析に使用するセロトニントランスポーター分析キットである。
上記課題を解決するための本願第11発明の構成は、
うつ病の診断に用いる第10発明に記載のセロトニントランスポーター分析キットである。
上述の通り、セロトニントランスポーターはユビキチンが付加されることにより高分子量化しプロテアソームにより分解される、とヒトにおいても合理的に推測される。
上記第4発明及び第5発明により、血中ユビキチン化セロトニントランスポーター分析キットが提供される。当該キットの構成は「セロトニントランスポーターはユビキチンが付加されることにより高分子量化しプロテアソームにより分解される」という本願発明者の知見に基づくものである。特に、うつ病の診断に用いることで有利な効果を奏する。また、上記第1発明〜第3発明の実施に使用することも有用である。
本願発明者の発見事実に基づけば、セロトニントランスポーター量の組合せをマーカーとして有用なうつ病決定方法とすることも可能である。本方法は、セロトニントランスポーターはユビキチンが付加されることにより高分子量化しプロテアソームにより分解されるという発見事実を踏まえつつ、セロトニントランスポーター量の挙動に着目する。よって、比率を利用する利点を除いて上述の効果を得つつ、ユビキチン化されたセロトニントランスポーターの検出、測定を不要とし、簡便に実行できる。
上記第10発明及び第11発明により、セロトニントランスポーター分析キットが提供される。当該キットの構成は、「健常者におけるセロトニントランスポーターの発現はプロテアソーム阻害剤の添加により増加した。一方、抗うつ薬に応答性ならびに非応答性のうつ病患者におけるセロトニントランスポーターの発現の増加幅は健常者と比較して少なかった。」という本願発明者の知見に基づくものである。特に、うつ病の診断に用いることで有利な効果を奏する。また、上記第6発明〜第9発明の実施に使用することも有用である。
本方法の発明は新規マーカーとしてユビキチン化されたセロトニントランスポーターの比率を用いる。
プロテアソーム阻害剤による処理時間は特に限定されないが、30分〜48時間であることが好ましい。より好ましくは2〜12時間である。更に好ましくは4時間である。
プロテアソーム阻害剤による処理温度は特に限定されない。例えば、36〜38℃が好ましい。37℃がより好ましい。
プロテアソーム阻害剤の濃度は、検体の形態に合わせて適宜決定すればよい。例示として、1〜200μMが好ましい。より好ましくは10〜100μMである。更に好ましくは20μMである。
本願発明者の発見事実に基づけば、ユビキチン化されたセロトニントランスポーターの分解はうつ病と密接な関連があると考えられる。よって、プロテアソーム阻害剤は、うつ病検査薬として使用できる。
本発明のユビキチン化セロトニントランスポーター分析キットは、少なくともユビキチン化蛋白質の回収材及び抗セロトニントランスポーター抗体を含む。これらの使用順序は限定されず、これらを用いてセロトニントランスポーターとユビキチン化されたセロトニントランスポーターの判別を行うことができる。また、他の物と組み合わせてこれらを使用しても良い。本発明のユビキチン化セロトニントランスポーター分析キットは、更に、プロテアソーム阻害剤を含むことが好ましい。
その他、オートファジー阻害剤として3−メチルアデニン、プロテアーゼ阻害剤としてE−64d等を例示できる。
新規マーカーを利用する第二の方法の発明は、セロトニントランスポーター量の組合せをマーカーとして用いる。よって、ユビキチン化されたセロトニントランスポーターの検出、測定は必須ではない。上述した用語については、以下の説明においても基本的に同様の意義で用いる。但し、技術的観点から本方法の発明において適した意義で理解され、更に用語の説明が必要な場合は、適宜説明を加える。
以下、上述の新規マーカーを利用する第二の方法において、健常者との対比を行う方法について述べる。上記した第7発明及び第8発明は健常者との対比を行う方法に該当する。
以下、上述の新規マーカーを利用する第二の方法において、被験者の血液検体のみを利用する方法について述べる。上記した第9発明は被験者の血液検体のみを利用する方法に該当する。「健常者との対比を行う方法」において上述した用語は、以下の説明においても基本的に同様の意義で用いる。
また、対比の演算手法を変更すれば、「1.7倍以下」等の基準は変わりうる。よって、本方法の発明は、未処理セロトニントランスポーター量と阻害剤処理セロトニントランスポーター量とを求め、これらからうつ病を診断又は決定しようとする方法であって、上記本方法の発明の演算に整合できる実施形態をも含む。
上記した新規マーカーを利用する方法、及び新規マーカーを利用する第二の方法は、うつ病の診断の補助として利用してもよい。
セロトニントランスポーター分析キットは少なくともプロテアソーム阻害剤及び抗セロトニントランスポーター抗体を含む。他の物と組み合わせてこれらを使用しても良い。
〔(1)MAGE−D1(Melanoma antigen gene−D1)遺伝子欠損マウスの作製〕
MAGE−D1遺伝子(Gene bank:NM_019791.2)エキソンを薬物(G418)耐性遺伝子(GenBank:U00004.1)に相同組換えするターゲティングベクター(Stratagene:pBlueScript)を129Svjマウス由来の胚性幹(ES)細胞(独立行政法人 国立長寿医療研究センター研究所より入手)にエレクトロポレーションし,薬物耐性コロニーを選択した。当該選択した耐性コロニーからサザンブロッティングにより相同組換え体の同定を行った。当該同定した目的の相同組換えES細胞クローンをC57BL/6Jマウスの胚盤胞期胚に注入し,キメラマウスを作製した。当該キメラマウスを野生型C57BL/6Jマウスと交配し、F1世代のヘテロ型MAGE−D1遺伝子欠損マウスを作製した。野生型C57BL/6Jとヘテロ型MAGE−D1遺伝子欠損マウスをF10世代まで交配させ、99.9パーセント(一度のC57BL/6Jマウスとの交配により、生まれてくるマウスの約半分の遺伝子が交配に使用したC57BL/6Jマウス由来となる。つまり、C57BL/6Jマウスとn回交配することで、約[1−(1/2)n+1]x100%がC57BL/6Jマウス由来の遺伝子になると考えられる。)のC57BL/6Jの遺伝的背景をもつマウスを用いた。当該遺伝的背景をもつマウスをMAGE−D1遺伝子欠損マウス(以下、モデルマウスとも称する。)として以下の試験に用いた。
マウスcDNAライブラリーからクローニングしたMAGE−D1遺伝子(Gene bank:NM_019791.2)の全長はA型インフルエンザウイルスのヘマグルチニン(HA)配列(当該配列を下記配列番号8に示す。)タグ遺伝子(当該遺伝子の配列を下記配列番号1に示す。)と結合し、pcDNA3ベクター(Invitrogen,Carlsbad,CA)に組込んだ。
配列番号1:5’‐TACCCCTACGACGTGCCCGACTACGCC‐3’
配列番号8:チロシン‐プロリン‐チロシン‐アスパラギン酸‐バリン‐プロリン‐アスパラギン酸‐チロシン‐アラニン
実験装置・手順:水槽(直径15cm x 高さ20cm)に水(水温約22℃x深さ13cm)を入れたものを実験装置とした。水槽に対照である野生型C57BL/6Jマウス又はモデルマウスを入れ、その直後から1分間隔で10分間、無動時間をScanet MV−10 AQ (Brainscience・idea,Osaka,Japan)によって測定した。
ペントバルビタールナトリウム(50mg/kg, i.p.)麻酔下のマウスを脳固定器に固定し、脳地図(Franklin and Paxinos,1997)を参考に、ガイドカニューレ(AG−6,EICOM Corp., Kyoto, Japan)を前頭皮質(頭蓋の十字縫合から吻側:1.7mm 右側:+1.0mm 深さ:−1.5mm)に15°の角度をつけて挿入した。ガイドカニューレを歯科用セメント(SHOFU Inc., Kyoto, Japan)により頭蓋骨に固定した。
マウス脳サンプル、細胞および株化リンパ球は溶解バッファー[lysis buffer;20mM Tris−HCl,150mM NaCl,50mM NaF,1mM EDTA,1mM EGTA,1%(w/v)TritonX−100,1mM sodium orthovanadate,0.1%(w/v)SDS,1%(w/v)sodium deoxycholate,0.5mM dithiothreitol,10mM sodium pyrophosphate decahydrate,1mM phenylmethylsulfonyl fluoride,10μg/mL aprotinin,10μg/mL leupeptin,and 10μg/mL pepstatin(pH7.4)]中4℃でソニケーターにより超音波破砕し,これらの操作によりホモジネートを得た。ホモジネートを4℃、13000 x gで20分間遠心分離し,得られた上清を使用した。蛋白質量を調整した各上清サンプルにサンプルバッファー[sample buffer;0.125M Tris−HCl(pH6.8),2%(w/v)SDS,5%(w/v)glycerol,0.002%(w/v)bromphenol blue,and 5%(w/v)2−mercaptoethanol]を加えた後,95℃で5分間煮沸した。その後蛋白質(20μg)は10%ポリアクリルアミドゲルを用いて電気泳動を行い,ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)膜(Millipore Corporation,Billerica,MA,USA)へ蛋白質を転写し,Detector Block Kit(Kirkegaard and Perry Laboratories,Gaithersburg,MD,USA)を加えてブロッキングした。PVDF膜にセロトニントランスポーター蛋白質に対する1次抗体(anti−SERT)(Millipore,Billerica,MA)を加え,冷蔵庫内(4℃)にて一晩静置した後,2次抗体(HRP−conjugated anti−rabbit IgG)(Kirkegaard and Perry Laboratories)を加え,室温にて3時間静置した。ウエスタンブロッティング検出試薬のECL(GE Healthcare Biosciences,Piscataway,NJ,USA)を用いて免疫複合体による発光を検出し,その発現量を発光による強度の画像解析により算出した。
上記A(5)に記載の手法に従い、溶解バッファー[lysis buffer]でホモジナイズしたホモジネートからUbiQapture−Q kit(Enzo Life Sciences International,Inc,Plymouth Meeting,PA)を用いてユビキチン化蛋白質を単離し、上記A(5)と同様の条件のウエスタンブロット法によりユビキチン化セロトニントランスポーター蛋白質を検出した。
上記A(5)と同様の条件で調製した脳もしくは培養細胞のホモジネートにHAタグ蛋白質に対する抗体anti−HA−tag(Medical & Biological Laboratories,Nagoya,Japan)もしくはセロトニントランスポーター蛋白質に対する抗体anti−SERTとともにdynabeads protein A(Invitrogen)を加えて、回転下でインキュベートすることでdynabeadsと抗体、さらに抗体が認識するサンプル中の抗原(HAタグのついたMAGE−D1蛋白質もしくはセロトニントランスポーター蛋白質)による複合体であるdynabeads−抗原抗体複合体を形成させた。当該Dynabeads−抗原抗体複合体を上記A(5)と同様の条件でサンプルバッファー中で加熱し、複合体をdynabeadsから溶出させた。当該溶出サンプルに対して上記A(5)と同様の条件で抗体anti−SERTもしくは抗体anti−MAGE−D1(Millipore)を用いた上記のウエスタンブロット法を行った。
対照である野生型C57BL/6Jマウス及びモデルマウスの前頭皮質からtotalRNAを抽出し、逆転写酵素により合成したcDNAをリアルタイムRT−PCRのテンプレートとして用いた。mRNA発現量はTaqmanプローブ法により定量した。SERT遺伝子については以下の配列番号2及び3に示すプライマー、並びに以下の配列番号4に示すTaqmanプローブを用いた。
配列番号2:5’−GGATTTCCTCCTGTCTGTCATTGG−3’
配列番号3:5’−CCACCATTCTGGTAGCATATGTAGG−3’
配列番号4:5’−CCGTGGACCTGGGCAACATCTGGC−3’
配列番号5:5’−GGGCTATGCTCTCCCTCACG−3’
配列番号6:5’−GTCACGCACGATTTCCCTCTC−3’
配列番号7:5’−CCTGCGTCTGGACCTGGCTGGC−3’
なお、万が一本実施例に記載の配列と配列表に記載の配列に齟齬がある場合、本実施例に記載の配列が優先する。
24ウエルプレートにセロトニントランスポーター遺伝子恒常発現細胞株を播種し、MAGE−D1遺伝子を遺伝子導入した。遺伝子導入処理後48時間後に放射標識した[3H]セロトニンを終濃度20nMになるようにKrebs−Ringer HEPESバッファー〔130mM NaCl,1.3mM KCl,2.2mM CaCl2,1.2mM MgSO4,1.2mM KH2PO4,1.8g/L glucose,10mM HEPES(pH7.4)〕中の細胞に添加し、37℃で10分間インキュベートした。バッファー中の余剰[3H]セロトニンを除去し、細胞を1N NaOHにて溶解した。液体シンチレーションカウンターにより、細胞内に取り込まれた[3H]セロトニンをカウントすることで取り込み活性を評価した。[3H]セロトニンと共に様々な濃度の未標識セロトニンを加え、反応速度分析により結合親和性(Km)・最大結合量(Vmax)値を求めた。
健常者、並びに、選択的セロトニン再取込阻害薬である抗うつ薬フルボキサミンの効果があったうつ病患者及びその効果が無かったうつ病患者を対象とした。ハミルトンうつ病評価尺度(Hamilton Depression Scale:HAM−D)を判断基準として、当該うつ病患者は医師によりうつ病であると診断された者である。当該健常者は、医師により健常者であると判断された者である。
〔MAGE−D1遺伝子欠損マウス〕
本実施例においては、モデル動物としてMAGE−D1遺伝子欠損マウスを使用した。うつ病様の行動評価として強制水泳試験を用いた。水を入れた狭いシリンダーに入れたマウスが逃避不可能であることを認知し、水に浮き無動状態になっている時間を意欲の低下として評価するものである。当該モデルマウスは強制水泳試験においては無動時間の延長から意欲の低下が認められ、その無動時間の延長は選択的セロトニン再取り込み阻害薬であるサートラリンおよび三環系抗うつ薬であるイミプラミンによって、ともに有意に用量依存的に緩解された(図1)。各試験は3連行い、図1は平均値にて作成した。無働時間割合の平均は、セルトラリン投与試験では、対照マウスは0mg/kgで45.7%、5mg/kgで37.4%、10mg/kgで37.7%であった。モデルマウスは0mg/kgで64.5%、5mg/kgで56.3%、10mg/kgで45.7%であった。イミプラミン投与試験では、対照マウスは0mg/kgで41.7%、10mg/kgで47.7%、20mg/kgで39.0%であった。モデルマウスは0mg/kgで67.0%、10mg/kgで60.2%、20mg/kgで40.6%であった。
上記A(2)に記載の手順でセロトニントランスポーター遺伝子恒常発現細胞株にHAタグ付きのMAGE−D1遺伝子を遺伝子導入により強制発現させ、MAGE−D1遺伝子過剰発現系として使用した。コントロールとしてHAタグ遺伝子のみ(MAGE−D1遺伝子を持たない。)を強制発現するpcDNA3ベクターを遺伝子導入した。anti−MAGE−D1抗体を使用したウエスタンブロット法(上記A(5)と同様の条件)によりMAGE−D1遺伝子過剰発現系ではMAGE−D1蛋白質(96kD)の過剰発現が認められ、MAGE−D1遺伝子過剰発現の影響を検討するのに十分な系であることを確認できた(図3)。MAGE−D1遺伝子過剰発現による細胞生存への顕著な影響は認められなかった。
モデルマウス及び対照である野生型C57BL/6Jを用い、モデルマウスにおけるセロトニン作動性神経系の機能低下が何によるかについて、前頭皮質のセロトニントランスポーター蛋白質の発現変化について上記A(5)に記載のウエスタンブロッティングおよび上記A(7)に記載の免疫染色で検討したところ、モデルマウスの前頭皮質においてセロトニントランスポーター蛋白質(76kD)量の増加が認められた(図4a:対照マウスに対して127.4%)。このようなセロトニントランスポーター蛋白質量の増加における転写調節の関与について検討するため、上記A(8)に記載のリアルタイムPCR法にてセロトニントランスポーターmRNAを定量した。セロトニントランスポーターmRNA量はモデルマウスと対照マウスとで差が認められなかった(図4b:対照マウスに対して77.5%)。一方、上記A(6)に記載の手法にて、セロトニントランスポーター蛋白質のタンパク分解の関与についてそのユビキチン化を検討したところ、モデルマウスにおいて有意なユビキチン化セロトニントランスポーター蛋白質の低下が認められた(図4c:対照マウスに対して57.6%)。MAGE−D1遺伝子欠損によりユビキチン化を介したセロトニントランスポーター蛋白質の代謝が低下し、モデルマウスにおいてセロトニントランスポーター蛋白質量が増加することが示唆された。
MAGE−D1蛋白質とセロトニントランスポーター蛋白質の相互作用として、それらの結合について、免疫沈降法により解析を行った。モデルマウス脳のホモジネートを上記A(5)に記載の手法に従って調製し、dynabeads protein Aとanti−SERT抗体を使用して免疫沈降を行った。セロトニントランスポーター蛋白質と共沈したMAGE−D1蛋白質をanti−MAGE−D1抗体を使用したウエスタンブロット法により検出した(図5中央レーン)。
MAGE−D1蛋白質は特有のN末端ドメイン、トリプトファン−グルタミン−x−プロリン−x−x(WQxPxx)反復ドメイン、C末端側にネクジンホモロジー(NHD)ドメインを含む(図7a「MAGE−D1」に概念図を示す。)。そこで、セロトニントランスポーター蛋白質との結合に重要なMAGE−D1蛋白質のドメインの特定を行った。上記A(2)と同様の手法により、それぞれのHAタグ付きのMAGE−D1部分コンストラクト遺伝子を発現するベクター(MAGE−D1−N、MAGE−D1−NHD、MAGE−D1−W:以上の部分コンストラクト遺伝子の概念図を図7aに示す。)を遺伝子導入したセロトニントランスポーター遺伝子恒常発現細胞株のホモジネートを上記A(5)と同様の手法により調製し、dynabeads protein Aとanti−HA抗体を使用して免疫沈降を行った。MAGE−D1−NHD蛋白質と共沈したセロトニントランスポーター蛋白質をanti−SERT抗体を使用したウエスタンブロット法により検出した(図7b)。MAGE−D1蛋白質はNHDドメインを介して、セロトニントランスポーター蛋白質と結合・相互作用していることが示唆された。
上記A(2)に記載の手順でセロトニントランスポーター遺伝子恒常発現細胞株にMAGE−D1遺伝子を遺伝子導入により強制発現させ、MAGE−D1蛋白質によるセロトニントランスポーター蛋白質発現量およびセロトニン再取り込み活性への影響について検討を行った。コントロール(MAGE−D1−)は、セロトニントランスポーター遺伝子恒常発現細胞株とした。
各試験は3連行い、結果は平均値にて記載した。
SERT蛋白質の代謝におけるプロテアソームの関与を検討するために、SERT遺伝子恒常発現細胞株に対するプロテアソーム阻害剤(MG132)の影響を検討した。
ユビキチン化セロトニントランスポーター蛋白質はUbiQapture−Q kitを用いた免疫沈降によりユビキチン化蛋白質を単離した中から、セロトニントランスポーター蛋白質に対する抗体を用いたウエスタンブロットにより検出したバンド(76kD)として判断した。健常者由来の株化リンパ球におけるユビキチン化セロトニントランスポーター発現量(当該発現量をユビキチン化セロトニントランスポーター蛋白質量のコントロールとする。)と比較し、抗うつ薬フルボキサミンの効果があったうつ病患者由来のそれは84.7%であり有意差が認められなかったが、抗うつ薬の効果がなかったうつ病患者由来のそれは58.7%であり有意に低かった(図10a)。
これら実験における有意差検定には一元配置分散分析及びポストホック解析であるFisher‘s PLSD法を用いた。
プロテアソーム阻害剤であるMG−132を添加することにより、セロトニントランスポーターの分解を抑制した場合の影響を検討した。健常者におけるセロトニントランスポーターの発現はMG−132の添加により増加した(図10b)。一方、抗うつ薬に応答性ならびに非応答性のうつ病患者におけるセロトニントランスポーターの発現はMG−132の添加による変化は認められなかった(図10b)。
Claims (4)
- プロテアソーム阻害剤と、抗セロトニントランスポーター抗体を含み、採取した血液検体における未処理セロトニントランスポーター量及び阻害剤処理セロトニントランスポーター量の分析に使用することを特徴とするセロトニントランスポーター分析キット。
- うつ病の診断に用いることを特徴とする請求項1に記載のセロトニントランスポーター分析キット。
- ユビキチン化蛋白質回収材と、抗セロトニントランスポーター抗体を含み、採取した血液検体におけるユビキチン化されたセロトニントランスポーターの比率の分析に使用することを特徴とする血中ユビキチン化セロトニントランスポーター分析キット。
- うつ病の診断に用いることを特徴とする請求項3に記載の血中ユビキチン化セロトニントランスポーター分析キット。
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