JP6099247B2 - 硫黄系活物質とその製造方法及びリチウムイオン二次電池用電極 - Google Patents
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化合物(イ)と化合物(ロ)からそれぞれ選ばれる少なくとも二種の化合物の混合物、
又は化合物(イ)と化合物(ロ)から選ばれる少なくとも一種の化合物と化合物(ハ)との混合物、
又は化合物(ハ)単体、
と、
硫黄粉末と、を含む原料を混合して混合原料とする混合工程と、混合原料をアミノ基とカルボキシル基とが縮合反応する温度以上に加熱する熱処理工程と、を行うことにある。
本発明の硫黄系活物質の製造方法(以下、本発明の製造方法と略する)においては、一分子中に少なくとも二つのアミノ基をもつ化合物(イ)と、一分子中に少なくとも二つのカルボキシル基をもつ化合物(ロ)と、一分子中にアミノ基とカルボキシル基とをもつ化合物(ハ)と、を硫黄系活物質の出発原料としている。
本発明の硫黄系活物質は、本発明の製造方法で製造できる。本発明の硫黄系活物質は、正極、負極および電解質を持つリチウムイオン二次電池用の正極又は負極に用いることができる。正極と負極の両方に本発明の硫黄系活物質を用いてもよい。
本発明のリチウムイオン二次電池用電極は、上述した本発明の硫黄系活物質を含む。リチウムイオン二次電池用の正極又は負極は、本発明の硫黄系活物質、導電助剤、バインダ、および溶媒を混合した電極材料を、集電体に塗布することによって製作できる。
以下、本発明の硫黄系活物質を用いたリチウムイオン二次電池の構成について説明する。
負極活物質としては、公知の金属リチウム、黒鉛などの炭素系材料、シリコン薄膜などのシリコン系材料、銅−錫やコバルト−錫などの合金系材料を使用できる。また本発明の硫黄系活物質を用いてもよい。負極材料として、リチウムを含まない材料、例えば、上記した負極材料の内で、炭素系材料、シリコン系材料、合金系材料等を用いる場合には、デンドライトの発生による正負極間の短絡を生じ難い点で有利である。ただし、これらのリチウムを含まない負極材料を用いる場合には、正極および負極が何れもリチウムを含まない。このため、負極および正極の何れか一方、または両方にあらかじめリチウムを挿入するリチウムプリドープ処理が必要となる。
正極活物質としては、金属リチウム、LiCoO2、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2、Li2MnO3、LiNi0.5Mn1.5O4などが挙げられる。負極にはリチウムを含まないので、上記と同様にリチウムをプリドープすることが望ましい。また負極活物質は、本発明の硫黄系活物質にさらにSiOxなどを混合することもできる。
リチウムイオン二次電池に用いる電解質としては、有機溶媒に電解質であるアルカリ金属塩を溶解させたものを用いることができる。有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルエーテル、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル等の非水系溶媒から選ばれる少なくとも一種を用いるのが好ましい。電解質としては、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiI、LiClO4等を用いることができる。電解質の濃度は、0.5mol/l〜1.7mol/l程度であれば良い。なお、電解質は液状に限定されない。例えば、リチウムイオン二次電池がリチウムポリマー二次電池である場合、電解質は固体状(例えば、高分子ゲル状)をなす。
リチウムイオン二次電池は、上述した負極、正極、電解質以外にも、セパレータ等の部材を備えても良い。セパレータは、正極と負極との間に介在し、正極と負極との間のイオンの移動を許容するとともに、正極と負極との内部短絡を防止する。リチウムイオン二次電池が密閉型であれば、セパレータには電解液を保持する機能も求められる。セパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、アラミド、ポリイミド、セルロース、ガラス等を材料とする薄肉かつ微多孔性または不織布状の膜を用いるのが好ましい。リチウムイオン二次電池の形状は特に限定されず、円筒型、積層型、コイン型等、種々の形状にできる。
〈硫黄系活物質の製造〉
〔1〕混合工程
[化1]式に示す4-アミノ安息香酸(キシダ化学製、99%)粉末に平均粒径50μmの硫黄粉末(キシダ化学製、99%)を混合し、混合原料を調製した。混合原料中における4-アミノ安息香酸と硫黄との配合比率は、重量比で硫黄が5質量部に対して4-アミノ安息香酸が1質量部となるようにした。
図1に示すように、反応装置1は、反応容器2、蓋3、熱電対4、アルミナ保護管40、2つのアルミナ管(ガス導入管5、ガス排出管6)、アルゴンガス配管50、アルゴンガスを収容したガスタンク51、トラップ配管60、水酸化ナトリウム水溶液61を収容したトラップ槽62、電気炉7、電気炉に接続されている温度コントローラ70を有する。
混合原料9を収容した反応容器2を、電気炉7(ルツボ炉、開口幅φ80mm、加熱高さ100mm)に収容した。このとき、ガス導入管5を介して反応容器2の内部にアルゴンを導入した。このときのアルゴンガスの流速は100ml/分であった。アルゴンガスの導入開始10分後に、アルゴンガスの導入を継続しつつ反応容器2中の混合原料9の加熱を開始した。このときの昇温速度は5℃/分であった。混合原料9が100℃になった時点で、混合原料9の加熱を継続しつつアルゴンガスの導入を停止した。混合原料9が約200℃になるとガスが発生した。混合原料9が360℃になった時点で加熱を停止した。加熱停止後、混合原料9の温度は400℃にまで上昇し、その後低下した。したがって、この熱処理工程において、混合原料9は400℃にまで加熱された。その後、混合原料9を自然冷却し、混合原料9が室温(約25℃)にまで冷却された時点で反応容器2から生成物(すなわち、熱処理工程後の被処理体)を取り出した。なお、このときの加熱時間は400℃で約5分であり、硫黄は還流された。
熱処理工程後の被処理体に残存する単体硫黄(遊離の硫黄)を除去するために、以下の工程をおこなった。
〔1〕正極
実施例1の硫黄系活物質3mgとアセチレンブラック2.7mgとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)0.3mgとの混合物を、ヘキサンを適量加えつつ、メノウ製乳鉢でフィルム状になるまで混練し、フィルム状の正極材料を得た。この正極材料全量を、φ14mmの円形に打ち抜いたアルミニウムメッシュ(#100メッシュ)の上に置き、卓上プレス機で圧着し、100℃で3時間乾燥した。この工程で、実施例1のリチウムイオン二次電池用正極を得た。
負極としては、厚さ0.5mmの金属リチウム箔(本城金属社製)をφ14mmに打ち抜いたものを用いた。
電解液としては、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを混合した混合溶媒に、LiPF6を溶解した非水電解質を用いた。エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとは体積比1:1で混合した。電解液中のLiPF6の濃度は、1.0mol/lであった。
〔1〕、〔2〕で得られた正極および負極を用いて、コイン電池を製作した。詳しくは、ドライルーム内で、厚さ25μmのポリプロピレン微孔質膜からなるセパレータ(「Celgard2400」Celgard社製)と、厚さ500μmのガラス不織布フィルタと、を正極と負極との間に挟装して、電極体電池とした。この電極体電池を、ステンレス容器からなる電池ケース(CR2032型コイン電池用部材、宝泉株式会社製)に収容した。電池ケースには〔3〕で得られた電解液を注入した。電池ケースをカシメ機で密閉して、実施例1のリチウムイオン二次電池を得た。
4-アミノ安息香酸に代えて、[化2]に示す3,4-ジアミノ安息香酸(東京化成製)を用いたこと以外は実施例1と同様の混合原料を調製した。この混合原料を用い、実施例1と同様の装置を用いて実施例1と同様に熱処理工程を行い、その後、実施例1と同様に単体硫黄除去工程を行って、実施例2の硫黄系活物質を得た。
4-アミノ安息香酸に代えて、[化3]に示す3,5-ジアミノ安息香酸(東京化成製)を用いたこと以外は実施例1と同様の混合原料を調製した。この混合原料を用い、実施例1と同様の装置を用いて実施例1と同様に熱処理工程を行い、その後、実施例1と同様に単体硫黄除去工程を行って、実施例3の硫黄系活物質を得た。
4-アミノ安息香酸に代えて、[化4]に示すテレフタル酸(キシダ化学製、99%)と[化5]に示す1,6-ヘキサンジアミン(キシダ化学製、99%)とを同モル量となるように混合した粉末を用いたこと以外は実施例1と同様の混合原料を調製した。この混合原料を用い、実施例1と同様の装置を用いて実施例1と同様に熱処理工程を行い、その後、実施例1と同様に単体硫黄除去工程を行って、実施例4の硫黄系活物質を得た。
4-アミノ安息香酸に代えて、テレフタル酸と[化6]に示すp-フェニレンジアミン(メルク製、99%)とを同モル量となるように混合した粉末を用いたこと以外は実施例1と同様の混合原料を調製した。この混合原料を用い、実施例1と同様の装置を用いて実施例1と同様に熱処理工程を行い、その後、実施例1と同様に単体硫黄除去工程を行って、実施例5の硫黄系活物質を得た。
3,4-ジアミノ安息香酸に加えて、テレフタル酸とp-フェニレンジアミンとをそれぞれ同モル量となるように混合した粉末を用いたこと以外は実施例1と同様の混合原料を調製した。この混合原料を用い、実施例1と同様の装置を用いて実施例1と同様に熱処理工程を行い、その後、実施例1と同様に単体硫黄除去工程を行って、実施例6の硫黄系活物質を得た。
実施例1と同様の平均粒径50μmの硫黄粉末を25.008gと、平均粒径1μmのポリアクリロニトリル粉末(ポリサイエンス社製)を5.061gと、を乳鉢で混合し、混合原料を調製した。
実施例1,2,5及び比較例1の各硫黄系活物質について元素分析を行った。結果を表1に示す。
実施例2、実施例5、比較例1の各硫黄系活物質についてラマンスペクトル分析を行った。分析装置には日本分光株式会社製の「RMP-320」(励起波長λ=532nm、グレーチング:1800gr/mm、分解能:3cm-1)を用いた。得られたラマンスペクトルを図2に示す。図2における横軸はラマンシフト(cm-1)であり、縦軸は相対強度である。
実施例2、実施例5、比較例1の各硫黄系活物質についてFT−IRスペクトル分析を行った。分析装置には島津社製の「IRAffinity-1」を用い、測定条件は、拡散反射法を用いて、分解能:4cm-1、積算回数:100回、測定範囲:400cm-1〜4000cm-1とした。得られたスペクトルを図3にそれぞれ示す。
実施例1〜6の各リチウムイオン二次電池の充放電容量とサイクル特性を測定した。正極活物質の1gあたり50mAに相当する電流値で充放電を行った。このときの放電終止電圧は1.0V、充電終止電圧は3.0Vとした。充放電を複数回繰り返したときの充放電曲線を図4,6,8,10,12,14にそれぞれ示す。また0.1Cで1.0VまでCC放電(低電流放電)を行い、それ以降のサイクルは0.1Cで3.0VまでCC充電を行った後に0.1Cで1.0VまでCC放電を行う充放電を30℃で繰り返すサイクル試験を行った。結果を図5,7,9,11,13,15にそれぞれ示す。
〈リチウムイオン二次電池の製作〉
〔1〕正極
LiNi0.5Mn1.5O4を90質量部と、ケッチェンブラック5質量部と、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)5質量部との混合物と、NMPとを混合したスラリーを調製した。このスラリーをAl箔集電体に塗布し、大気中80℃で20分間乾燥した後、減圧下150℃で3時間乾燥させた。これをφ11mmの電極サイズに打ち抜いて、試作電池に適用した。この電極の容量は、140mAh/g換算で1.66mAhであった。
実施例2の硫黄系活物質75質量部と、ケッチェンブラック5質量部と、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)5質量部との混合物と、NMPとを混合したスラリーを調製した。このスラリーをAl箔集電体に塗布し、大気中80℃で20分間乾燥した後、減圧下150℃で3時間乾燥させた。これをφ11mmの電極サイズに打ち抜いて、試作電池に適用した。この電極の容量は、500mAh/g換算で2.50mAhであった。
この状態で半電池を解体し、プリドーピング用対極に代えて上記のLiNi0.5Mn1.5O4を含む正極を用い、上記半電池と同様にしてコイン電池を作製した。
実施例7のリチウムイオン二次電池を、上限電圧3.8V、下限電圧1.5Vの間で充放電させた。電流値は0.2C率定電流(28mA/g、0.332mA)とした。7サイクル目までの充放電曲線を図16に示す。
5:ガス導入管 6:ガス排出管 7:電気炉
Claims (5)
- 一分子中に少なくとも二つのアミノ基をもつ化合物(イ)、一分子中に少なくとも二つのカルボキシル基をもつ化合物(ロ)及び一分子中にアミノ基とカルボキシル基とをもつ化合物(ハ)のうち、
該化合物(イ)と該化合物(ロ)からそれぞれ選ばれる少なくとも二種の化合物の混合物、
又は該化合物(イ)と該化合物(ロ)から選ばれる少なくとも一種の化合物と該化合物(ハ)との混合物、
又は該化合物(ハ)単体、
と、
硫黄粉末と、を含む原料を混合して混合原料とする混合工程と、該混合原料をアミノ基とカルボキシル基とが縮合反応する温度以上に加熱する熱処理工程と、を行い、
該縮合反応で生成したアミド基をもつポリマーと硫黄との質量比が1:0.5〜1:10であることを特徴とする硫黄系活物質の製造方法。 - 一分子中に少なくとも二つのアミノ基をもつ化合物(イ)、一分子中に少なくとも二つのカルボキシル基をもつ化合物(ロ)及び一分子中にアミノ基とカルボキシル基とをもつ化合物(ハ)のうち、
該化合物(イ)と該化合物(ロ)からそれぞれ選ばれる少なくとも二種の化合物の混合物、
又は該化合物(イ)と該化合物(ロ)から選ばれる少なくとも一種の化合物と該化合物(ハ)との混合物、
又は該化合物(ハ)単体、
と、
硫黄粉末と、を含む原料を混合して混合原料とする混合工程と、該混合原料をアミノ基とカルボキシル基とが縮合反応する温度以上に加熱する熱処理工程と、を行い、
該混合原料中の該少なくとも二種の化合物の混合物又は該化合物(ハ)と該硫黄との配合比は、質量比で1:1〜1:5であることを特徴とする硫黄系活物質の製造方法。 - 一分子中に少なくとも二つのアミノ基をもつ化合物(イ)、一分子中に少なくとも二つのカルボキシル基をもつ化合物(ロ)及び一分子中にアミノ基とカルボキシル基とをもつ化合物(ハ)のうち、
該化合物(イ)と該化合物(ロ)からそれぞれ選ばれる少なくとも二種の化合物の混合物、
又は該化合物(イ)と該化合物(ロ)から選ばれる少なくとも一種の化合物と該化合物(ハ)との混合物、
又は該化合物(ハ)単体、
と、
硫黄粉末と、を含む原料を混合して混合原料とする混合工程と、該混合原料をアミノ基とカルボキシル基とが縮合反応する温度以上に加熱する熱処理工程と、を行い、
該混合原料中の該少なくとも二種の化合物の混合物又は該化合物(ハ)と該硫黄との配合比は、質量比で1:2〜1:10であり、
該熱処理工程後の該混合原料を、減圧しつつ200℃〜250℃で加熱する単体硫黄除去工程を含むことを特徴とする硫黄系活物質の製造方法。 - 前記熱処理工程における加熱温度は250℃〜500℃である請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の硫黄系活物質の製造方法。
- 前記熱処理工程において、前記硫黄を還流する請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の硫黄系活物質の製造方法。
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