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JP6127353B2 - 断熱材及びその製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、断熱材及びその製造方法に関する。
近年の省エネ需要の高まりから、工業炉や焼却炉、工場等の断熱が非常に重要な課題となり、断熱材のさらなる性能向上が求められている。固体酸化物燃料電池電極や半導体ウエハーの加熱炉等では、最高加熱温度が1200℃を超え、蛍光体素子、ガラス、製鉄用加熱炉等では、最高加熱温度が1400℃を超える。しかしながら、1200℃を超える用途に使用でき、なおかつ低熱伝導率を兼ね備えた断熱材は未だ開発されていない。
特許文献1は、多孔性の断熱材を開示している。この断熱材はスピネル質セラミックスからなる。
特開2012−229139号公報
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであって、熱伝導率が低い断熱材及びその製造方法を提供することをその目的の一つとする。
本発明によれば、以下の断熱材及びその製造方法が提供される。
1.1400℃で24時間加熱した後、全ての気孔の容積の合計に対する、径400nm以下の気孔の容積の合計の割合が、5%以上であり、周期加熱法で測定した1000℃における熱伝導率が0.15W/(m・K)未満である断熱材。
2.1次粒子である金属酸化物粒子が凝集した2次粒子で構成される断熱材であって、
前記2次粒子内と前記2次粒子間に細孔があり、
前記金属酸化物粒子が、アルミナ成分を60重量%以上含み、前記1次粒子の平均粒径が10nm〜1000nmである1記載の断熱材。
3.焼成前、全ての気孔の容積の合計に対する300nm以下の気孔の容積の合計の割合が5%以上であり、かつ
300nm以下の細孔容積に占める50nm以上300nm以下の細孔容積の割合が、50%〜95%である1又は2記載の断熱材。
4.前記金属酸化物粒子が、アルミナ粒子又はムライト粒子である1又は2記載の断熱材。
5.前記2次粒子の平均粒径が100nm〜1000nmである2〜4のいずれか記載の断熱材。
6.1400℃で24時間加熱した後、全ての気孔の容積の合計に対する、径300nm以下の気孔の容積の合計の割合が、15%以上であり、周期加熱法で測定した1000℃における熱伝導率が0.10W/(m・K)以下である1〜5のいずれか記載の断熱材。
7.平均粒径が10nm〜1000nmの1次粒子である金属酸化物粒子が分散した第1の分散液を作製し、
前記第1の分散液のpHを調整して、前記1次粒子が凝集した2次粒子が分散した第2の分散液を作製し、
前記第2の分散液を凍結乾燥して凝集体を作製し、
前記凝集体を、プレス成形する、断熱材の製造方法。
8.平均粒径が100nmを超える、アルミナ成分を60重量%以上含む金属酸化物粒子と、
焼結抑制材を含む1記載の断熱材。
9.前記焼結抑制材が、ジルコニア、ランタン、イットリア、サマリウム及びユウロピウムから選択される1以上である8記載の断熱材。
10.前記金属酸化物粒子が、シリカ成分を含む8又は9記載の断熱材。
11.平均粒径が100nm以上である、アルミナ成分を60〜80重量%とシリカ成分を40〜20重量%含む金属酸化物粒子を含む1記載の断熱材。
12.前記金属酸化物粒子が、ムライト粒子である11記載の断熱材。
13.さらに、焼結抑制材を含む11又は12記載の断熱材。
14.前記金属酸化物粒子の平均粒径が100nmを超えて1000nm以下である8〜13のいずれか記載の断熱材。
15.粒径100nmを超えて1000nm以下の金属酸化物粒子が、前記金属酸化物粒子の全ての50容積%以上である14記載の断熱材。
16.さらに、繊維及び/又は輻射散乱材を含む1〜6及び8〜15のいずれか記載の断熱材。
本発明によれば、熱伝導率が低い断熱材及びその製造方法を提供することができる。
実験例1で測定した熱伝導率と300nm以下の細孔容積割合の関係を示す図である。 実施例5と比較例4の断熱材の製造方法を示す模式図である。 実施例5で得られた断熱材の30000倍走査性電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例5で得られた断熱材の焼成前の細孔分布を示す図である。 実施例5で得られた断熱材の焼成後の細孔分布を示す図である。 比較例4で得られた断熱材の30000倍SEM写真である。 比較例4で得られた断熱材の焼成前の細孔分布を示す図である。 比較例4で得られた断熱材の焼成後の細孔分布を示す図である。
本発明者らは、耐熱温度が1200℃を超える、1300℃、さらには1400℃に達する断熱材の開発を鋭意研究した。
多孔性断熱材の伝熱(熱伝導率)は、気体分子の伝熱、固体同士の接触、輻射による伝導等により決まる。多孔性断熱材は固体量が少なく、気体分子の伝熱が大きな影響を及ぼす。気体分子の伝熱は気孔(細孔)径が平均自由行程以下の場合に抑制できる。高温域では、平均自由行程は大きくなる。従って、多孔性断熱材の場合、径が平均自由行程以下の気孔を多く含み、かつその気孔を高温で維持することが重要である。
本発明者らは、従来の多孔性断熱材では1200℃を超える高温では、気孔がつぶれ断熱性が損なわれることを見い出した。
本発明者らは、平均粒径がサブミクロンのアルミナを主成分とする金属酸化物粒子を用いた多孔性断熱材は、微細な気孔を多く含みかつ高温に曝された後でも十分な量の気孔が残ることを見い出した。更には、本発明者らは、アルミナ成分以外の成分又は粒子を添加することにより、アルミナ同士の焼結を抑制して、気孔が残ることを見い出した。
また、本発明者らは、1次粒子間で形成される細孔と、1次粒子が凝集した2次粒子間で形成される細孔を含む多孔性断熱材は、微細な気孔を多く含みかつ高温に曝された後でも焼結を抑制して十分な量の気孔が残ることを見い出した。
本発明はこれら知見により完成した。
本発明の断熱材は、1400℃で24時間加熱した後、全ての気孔の容積の合計に対する、径400nm以下の気孔の容積の合計の割合は、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上である。上限は限定されないが、通常80%以下である。
本発明において、気孔の容積は実施例に記載の方法で測定できる。
本発明の断熱材の加熱前の全ての気孔の容積の総計は、通常、60容積%以上であり、好ましくは75容積%以上である。上限は限定されないが、通常98容積%以下である。
また、断熱材の1400℃で24時間加熱した後の気孔容積の総計は、通常、60容積%以上であり、好ましくは75容積%以上である。上限は限定されないが、通常90容積%以下である。全ての気孔の容積は、焼成前後で変わらない(収縮しない)ことが好ましい。
本発明の断熱材の加熱前の全ての気孔の容積の合計に対する、径400nm以下の気孔の容積の合計の割合は、好ましくは10%以上、より好ましくは25%以上、さらに好ましくは30%以上である。上限は限定されないが、通常90%以下又は80%以下である。
このような断熱材を具体的に以下に示す。
尚、本願明細書において、数値範囲のA〜Bは、A以上B以下を意味する。
[第1の発明]
第1の発明の第1の態様による断熱材は、アルミナ成分を60重量%以上含む金属酸化物粒子と焼結抑制剤から形成できる。この金属酸化物粒子の平均粒径は例えば100nmを超える。好ましくは100nmを超えて1000nm以下である。平均粒径は好ましくは150nm〜1000nmであり、より好ましくは200nm〜500nmである。フュームドアルミナは平均粒径は通常数十nmであるので、適さない。
本明細書において、平均粒径は、ランダムに約100個の粒子について、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM)又は電界放出形走査電子顕微鏡(Field Emission Scanning Electron Microscope;FE−SEM)で粒子径(直径又は長径)を観察して求める。
好ましくは、100nmを超える(好ましくは1000nm以下)粒径の金属酸化物粒子の容積の合計が、金属酸化物粒子の全ての合計の容積の50%以上である。より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。
金属酸化物粒子は、アルミナ成分を、例えば、80重量%以上、90重量%以上、又は99重量%以上含むことができる。
金属酸化物粒子は、アルミナ成分以外の成分を含むことができる。例えば、アルミナ成分とシリカ成分を含む粒子を用いることができる。アルミナ成分を60〜80重量%とシリカ成分を40〜20重量%含む金属酸化物粒子又はアルミナ成分を65〜75重量%とシリカ成分を35〜25重量%含む金属酸化物粒子を用いることができる。例えばムライト粒子を用いることができる。
金属酸化物粒子は2種以上混合して用いてもよい。
焼結抑制材として、ジルコニア、ランタン、イットリウム、サマリウム、ユウロピウム等の粒子を含むことができる。焼結抑制材を含むと、粒子同士の焼結を阻害することができ好ましい。
これら粒子の粒径は、限定されないが、0.01μm〜2μmである。
第1の発明の第2の態様による断熱材は、アルミナ成分を60〜80重量%とシリカ成分を40〜20重量%含む金属酸化物粒子から形成できる。好ましくはアルミナ成分を65〜75重量%とシリカ成分を35〜25重量%含む金属酸化物粒子から形成する。金属酸化物粒子は2種以上混合して用いてもよい。例えばムライト粒子を用いることができる。
この金属酸化物粒子の平均粒径は例えば100nm以上又は100nmを超える。好ましくは100nmを超えて1000nm以下である。平均粒径は好ましくは150nm〜1000nmであり、より好ましくは200nm〜500nmである。
好ましくは、100nm以上又は100nmを超える(好ましくは1000nm以下)粒径の金属酸化物粒子の容積の合計が、金属酸化物粒子の全ての合計の容積の50%以上である。より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。
さらに、金属酸化物粒子の他に、焼結抑制材を含むことができる。
第1の発明の断熱材は、さらに、繊維を含んでもよい。好ましくは無機繊維を含む。繊維は、成形体を補強できるものであれば特に限られない。
無機繊維は、例えば、シリカ−アルミナ繊維、シリカ−アルミナ−マグネシア繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、生体溶解性無機繊維からなる群より選択される1種以上である。好ましくはアルミナ繊維である。
生体溶解性繊維として、SiO、AlとZrOとの合計が50〜82重量%、CaOとMgOとの合計が18〜50重量%の組成の無機繊維を例示できる。また、SiOが50〜82重量%、CaOとMgOとの合計が10〜43重量%の組成の無機繊維も例示できる。本発明の使用に好適な生体溶解性繊維は、1300℃において、収縮率が5%以下の繊維である。例えば、特許公報5634637号に記載の繊維を挙げられる。
繊維の平均繊維長は、例えば、0.5mm以上、20mm以下でよく、1mm以上、10mm以下である。繊維の平均繊維径は、例えば、1μm以上、20μm以下でよく、2μm以上、15μm以下である。
また、第1の発明の断熱材は、輻射散乱材を含むことができる。輻射散乱材は、輻射による伝熱を低減するものであれば特に限られない。輻射散乱材は、例えば、炭化珪素、ジルコニア、珪酸ジルコニウム(ジルコン)、チタニア、酸化鉄、酸化クロム、硫化亜鉛、チタン酸バリウムからなる群より選択される1種以上である。
輻射散乱材の平均粒径は、例えば、1μm超、50μm以下でよく、1μm超、20μm以下である。輻射散乱材は、遠赤外線反射性のものが好ましく、例えば、1μm以上の波長の光に対する比屈折率が1.25以上であるものが好ましい。
断熱材の原料に含まれる金属酸化物粒子の量は、所望の特性を実現する範囲であれば特に限られない。断熱材は、例えば、50〜100重量%、60〜98重量%、70〜95重量%、又は80〜90重量%の金属酸化物粒子を含む。
焼結抑制材の量は、例えば、0〜30重量%、1〜20重量%、又は2〜10重量%である。
繊維の量は、例えば、0〜20重量%、1〜10重量%、又は2〜9重量%である。
輻射散乱材の量は、例えば、0〜40重量%、3〜35重量%、又は10〜30重量%である。
断熱材の原料は、金属酸化物粒子を、焼結抑制材、繊維及び/又は輻射散乱材を含むときはこれらとの合計を95重量%以上、98重量%以上、又は99重量%以上とすることができる。また、不可避不純物を含んでもよく、100重量%としてもよい。
第1の発明の断熱材は、金属酸化物粒子を、焼結抑制材、繊維及び/又は輻射散乱材を含むときはこれらとの混合物(原料)を成形することにより得られる。より具体的には、例えば、上記の成分を含んで調製された原料を所定の成形型に充填し、乾式プレス成形することにより、当該成形型に対応する形状の乾式加圧成形体を製造する。
[第2の発明]
第2の発明の断熱材は、以下の構造を有する。1次粒子である金属酸化物粒子が凝集して、2次粒子を形成し、その内部に1次粒子間でつくる細孔を含む。この2次粒子同士が2次粒子間に細孔を含むように凝集する。金属酸化物粒子は、アルミナ成分を60重量%以上含む。1次粒子の平均粒径は、10nm〜1000nmである。
金属酸化物粒子は、アルミナ成分を、例えば、80重量%以上、90重量%以上、又は99重量%以上含むことができる。
金属酸化物粒子は、アルミナ成分以外の成分を含むことができる。例えば、アルミナ成分とシリカ成分を含む粒子を用いることができる。例えばアルミナ成分を60〜80重量%とシリカ成分を40〜20重量%含む金属酸化物粒子を用いることができる。好ましくはアルミナ成分を65〜75重量%とシリカ成分を35〜25重量%含む金属酸化物粒子を用いることができる。金属酸化物粒子は2種以上混合して用いてもよい。具体的には、例えばアルミナ粒子又はムライト粒子を用いることができる。
金属酸化物粒子の1次粒子の平均粒径は、好ましくは30nm〜650nmであり、より好ましくは50nm〜500nmであり、さらに好ましくは70nm〜200nm、特に好ましくは80nm〜150nmである。
焼成しない状態において、300nm以下細孔容積は、好ましくは5%以上である。さらに、300nm以下の細孔容積に占める、50nm以上300nm以下の細孔容積の割合は、好ましくは50%〜95%、より好ましくは55%〜90%、さらに好ましくは55%〜88%、特に好ましくは60%〜85%である。
2次粒子の平均粒径は、例えば、100nm〜1000nmであり、好ましくは100nm〜700nmより好ましくは100nm〜500nmである。尚、2次粒子の粒径とは、レーザー式粒度分布計で測定した値である。
第2の発明の断熱材は、1400℃で24時間加熱した後、全ての気孔の容積の合計に対する、径300nm以下の気孔の容積の合計の割合は、好ましくは15%以上、より好ましくは18%以上、さらに好ましくは20%以上である。上限は限定されないが、通常50%以下又は30%以下である。
第2の発明の断熱材の加熱前の全ての気孔の容積の合計に対する、径300nm以下の気孔の容積の合計の割合は、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上である。上限は限定されないが、通常70%以下又は60%以下である。
第2の断熱材も、第1の断熱材と同様に、繊維、輻射散乱材、焼結抑制材を含むことができる。その種類や量は、第1の断熱材で説明した通りである。
第2の発明の断熱材は、以下の製法により製造できる。
平均粒径が10nm〜1000nmの1次粒子である金属酸化物粒子の第1の分散液を作製し、この第1の分散液のpHを調整して、1次粒子が凝集した2次粒子の第2の分散液を作製する。第2の分散液を凍結乾燥して2次粒子の凝集体を作製する。得られた凝集体を、プレス成型する。1次粒子、2次粒子の説明は上記と同じである。
第1及び第2の断熱材(以下、単に本発明の断熱材ともいう)が取り得る成形体の形状は、特に限られないが、例えば、ボード状、板状又は円筒状である。乾式プレス成形を行う温度は、特に限られないが、例えば、0℃以上、100℃以下の温度で行うこととしてもよく、0℃以上、50℃以下の温度で行うこととしてもよい。
また、成形体を加熱して強度を出しても構わない。加熱温度は、好ましくは900℃超1500℃以下、より好ましくは1000〜1400℃である。即ち、成形体は、焼成した後に、断熱材として使用してもよいし、焼成前に断熱材として使用してもよい。
本発明の断熱材は、優れた断熱性を有する。好ましくは、断熱材の1000℃における熱伝導率は、実施例で測定の方法で、0.15W/(m・K)未満、0.13W/(m・K)以下、又は0.10W/(m・K)以下である。下限は限定されないが、通常0.05W/(m・K)以上である。
また、密度は、好ましくは0.20g/cm〜1.0g/cmであり、より好ましくは0.25g/cm〜0.50g/cmである。
本発明の断熱材は、特許文献1のような多孔性であるが、特許文献1の断熱材とは構成が異なる。例えば、特許文献1の断熱材はMgAl等のスピネル成分が必須であるが、本発明の断熱材は主成分(最も重量%の高い成分)としてスピネル成分を含まない。また、本発明の断熱材は発泡体ではない。
本発明の断熱体は、エアロゲル、又はエアロゲルと繊維構造体の複合体とは異なる。エアロゲルは通常シリカ同士のシラノール結合を含んだ構造体である。エアロゲルは通常超臨界乾燥で製造する。
本発明の断熱材は、その優れた耐熱性を利用して、高温での耐熱性が要求される環境で使用できる。すなわち、本発明の断熱材は、例えば、1200℃超又は1400℃の高温に曝される環境でも使用できる断熱材(例えば、最高使用温度が1200℃超(例えば、1400℃)の断熱材)として使用できる。
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明は、これら実施例に限られるものではない。
<第1の発明の実施例>
実施例1
[断熱材の製造]
平均粒径0.2μmのアルミナ粒子(アルミナ成分99.99重量%)と、平均粒径100nmのジルコニア粒子を、体積比9:1で混合した粒子を、脱気機構が付属した成形型に充填し、乾式プレス成形を行い、その後、成形された板状の乾式加圧成形体を型から取り出し、断熱材を得た。0.5g/cmの気孔率は、87%であった。
[断熱材の評価]
以下の方法で断熱材を評価した。結果を表1に示す。
(1)細孔容積割合の測定
得られた断熱材を1400℃で24時間で加熱する前と後の細孔容積を、以下の方法で測定した。
Micromeritics社製の商品名「AutoPore IV 9500」を用いた。
測定条件:
気孔径範囲:5.5nm〜360μm
測定圧力:0.0036〜226.96MPa
計算条件:
水銀と試料との接触角:130度
水銀の表面張力:485dyn/cm
試料に圧力をかけると、試料の気孔に水銀が圧入されていく。圧力と気孔径の関係式から、試料に存在する気孔径とその容量が求まる。断熱材の全気孔体積をVとする。1400℃での平均自由行程400nmに対応した測定圧力以上の細孔量総和をV1とし、以下の式で細孔容積割合を算出した。
細孔容積割合(%)=V1/V×100
1400℃で24時間加熱した後、全ての気孔の容積の合計に対する、径400nm以下の気孔の容積の合計の割合を求めた。
(2)熱伝導率の測定
得られた断熱材について、以下の方法で熱伝導率を測定した。結果を表1に示す。
周期加熱法の概要は以下の文献に示されている。
熱物性21〔2〕(2007)86/96、「異なる測定方法による断熱材の熱伝導率比較」、大村高弘
周期加熱法により測定した熱拡散率と、投下法による測定した比熱、および試験体の密度の3者を掛け合わせて、熱伝導率を求めた。周期加熱法を簡単に説明すると、試験体の温度の波(周期約1時間、振幅約4K)を伝播させ、試験体内部における波の時間的遅れ、すなわち位相差から熱拡散率を測定する方法である。具体的には、矩形上の試験体の片面に温度波をかけ、その波が試験体内部を伝播し、試験体の厚さ方向(温度波進行方向)における中央付近で測定された温度波との位相差から、熱拡散率を求めた。また投下法は、高温に加熱した試料を銅(比熱が既知)の容器に落とし、銅容器の温度上昇から比熱を求める方法である。測定温度は1000℃とした。
実施例2〜4
表1に示す平均粒径を有するムライト粒子(アルミナ成分67重量%、シリカ成分33重量%)を用いた他は、実施例1と同様にして、断熱材を製造し、評価した。結果を表1に示す。
比較例1〜3
表1に示す平均粒径を有するアルミナ粒子を用いた他は、実施例1と同様にして、断熱材を製造し、評価した。結果を表1に示す。
<第2の発明の実施例>
実験例1
1000℃で熱伝導率が0.10W/(m・K)未満となるためには、300nm以下の細孔がどのくらいあればよいかを調べるために以下の実験をした。
様々な粒径のアルミナ微粒子を用いて、300nm以下の細孔容積割合が異なる、密度0.5g/cmの成形体を製造し、熱伝導率を測定した。結果を図1に示す。この図から、300nm以下の細孔容積割合が約15%以上あれば、熱伝導率が0.10W/(m・K)未満となることが分かる。
実施例5
(1)断熱材の製造
平均粒子径0.08μmのムライト粒子(1次粒子)がpH3〜4の酸性水溶液に分散する分散液を準備した。この分散液のpHをアルカリ水を添加してpH7として、1次粒子を凝集させて平均粒子径0.4μmの2次粒子の分散液を得た。
2次粒子の分散液を、液体窒素の中に入れて凍結乾燥して凝集体を得た。密度は0.05g/cmであった。
上記の製造の工程の模式図を図2に示す。得られた凝集体の写真も併せて示す。得られた凝集体が嵩高いことが分かる。
上記で得られた凝集体を、脱気機構が付属した成形型に充填し、乾式プレス成形を行い、その後、成形された板状の断熱材(密度0.5g/cm)を型から取り出した。
(2)断熱材の評価1
(1)で得られた乾式加圧成形体を、加熱しないで、SEMで観察した。30000倍のSEM写真を図3に示す。2次粒子内にある細孔(1次粒子間の細孔)と、2次粒子間にある細孔が見られる。
さらに、水銀圧入法により細孔容積割合及び細孔分布を求めた。結果を表2及び図4に示す。図4に示すように、1次粒子由来(2次粒子内)の小さなピークと2次粒子由来(2次粒子間)の大きなピークがあった。
次に(1)で得られた乾式加圧成形体を、1400℃で24時間加熱した。この断熱材について、上記と同様にして細孔容積割合及び細孔分布を測定した。結果を表2及び図5に実線で示す。この図から分かるように、加熱後も、300nm以下の細孔が残り、細孔容積割合は17.6%であった。従って、実験例1からこの断熱材の1000℃の熱伝導率は0.10W/(m・K)未満といえる。また、全ての細孔(気孔)の容積の合計に対する、径400nm以下の気孔の容積の合計の割合は20%であった。従って、表1からこの断熱材の1000℃の熱伝導率は0.10W/(m・K)未満といえる。
(3)断熱材の評価2
(1)で得られた乾式加圧成形体について、1300℃で24時間、及び1400℃で24時間加熱して、300nm以下の細孔の割合を測定した。その結果、1300℃24時間加熱後の細孔容積割合は40%、1400℃24時間加熱後の細孔容積割合は17.6%であった。
実施例6〜8
表2に示す平均粒子径(一次粒子径)のムライト粒子を用いた以外は、実施例5と同様にして乾式加圧成形体を製造して、評価した。結果を表2に示す。
比較例4
(1)断熱材の製造
図2に示すように、実施例5において、2次粒子の分散液を、通常乾燥した他は実施例5と同じようにして、凝集体を得た。
実施例5と同様にして断熱材(密度0.5g/cm)を製造した。
(2)断熱材の評価1
(1)で得られた乾式加圧成形体を、加熱しないでSEMで観察した。その結果、1次粒子間の細孔しか見られず、得られた凝集体は、1次粒子がそのまま集合したものであった。30000倍のSEM写真を図6に示す。
実施例5と同様に細孔容積割合及び細孔分布を測定し結果を表2及び図7に示す。この図に示すように、1次粒子由来(1次粒子間)のピークしかなかった。
(1)で得られた乾式加圧成形体を1400℃で24時間焼結した断熱材の細孔容積割合及び細孔分布を表2及び図8に実線で示す。この図から分かるように、焼成後は、300nm以下の細孔はほとんどなく、細孔容積割合は1.8%であった。従って、実験例1からこの断熱材の熱伝導率は0.10W/(m・K)を超えるといえる。また、全ての細孔(気孔)の容積の合計に対する、径400nm以下の気孔の容積の合計の割合は2%であった。
(3)断熱材の評価2
(1)で得られた乾式加圧成形体について、1300℃で24時間、及び1400℃で24時間加熱して、300nm以下の細孔の割合を測定した。その結果、1300℃24時間加熱後の細孔容積割合は13%、1400℃24時間加熱後の細孔容積割合は1.8%であった。
比較例5
表2に示す平均粒子径のムライト粒子を用いた以外は、比較例4と同様にして乾式加圧成形体を製造して、評価した。結果を表2に示す。

Claims (15)

  1. 1次粒子である金属酸化物粒子が凝集した2次粒子で構成される断熱材であって、
    前記2次粒子内と前記2次粒子間に細孔があり、
    前記金属酸化物粒子が、アルミナ成分を60重量%以上含み、前記1次粒子の平均粒径が10nm〜1000nmであり、
    1400℃で24時間加熱した後、全ての気孔の容積の合計に対する、径400nm以下の気孔の容積の合計の割合が、5%以上であり、周期加熱法で測定した1000℃における熱伝導率が0.15W/(m・K)未満である断熱材。
  2. 焼成前、全ての気孔の容積の合計に対する300nm以下の気孔の容積の合計の割合が5%以上であり、かつ
    300nm以下の細孔容積に占める50nm以上300nm以下の細孔容積の割合が、50%〜95%である請求項記載の断熱材。
  3. 前記金属酸化物粒子が、アルミナ粒子又はムライト粒子である請求項1又は2記載の断熱材。
  4. 前記2次粒子の平均粒径が100nm〜1000nmである請求項1〜3のいずれか記載の断熱材。
  5. 1400℃で24時間加熱した後、全ての気孔の容積の合計に対する、径300nm以下の気孔の容積の合計の割合が、15%以上であり、周期加熱法で測定した1000℃における熱伝導率が0.10W/(m・K)以下である請求項1〜のいずれか記載の断熱材。
  6. 平均粒径が10nm〜1000nmの1次粒子である金属酸化物粒子が分散した第1の分散液を作製し、
    前記第1の分散液のpHを調整して、前記1次粒子が凝集した2次粒子が分散した第2の分散液を作製し、
    前記第2の分散液を凍結乾燥して凝集体を作製し、
    前記凝集体を、プレス成形する、断熱材の製造方法。
  7. 平均粒径が100nmを超える、アルミナ成分を60重量%以上含む金属酸化物粒子と、
    焼結抑制材を含み、
    1400℃で24時間加熱した後、全ての気孔の容積の合計に対する、径400nm以下の気孔の容積の合計の割合が、5%以上であり、周期加熱法で測定した1000℃における熱伝導率が0.15W/(m・K)未満である断熱材。
  8. 前記焼結抑制材が、ジルコニア、ランタン、イットリア、サマリウム及びユウロピウムから選択される1以上である請求項記載の断熱材。
  9. 前記金属酸化物粒子が、シリカ成分を含む請求項7又は8記載の断熱材。
  10. 平均粒径が100nm以上である、アルミナ成分を60〜80重量%とシリカ成分を40〜20重量%含む金属酸化物粒子を含む請求項1記載の断熱材。
  11. 前記金属酸化物粒子が、ムライト粒子である請求項10記載の断熱材。
  12. さらに、焼結抑制材を含む請求項10又は11記載の断熱材。
  13. 前記金属酸化物粒子の平均粒径が100nmを超えて1000nm以下である請求項7〜12のいずれか記載の断熱材。
  14. 粒径100nmを超えて1000nm以下の金属酸化物粒子が、前記金属酸化物粒子の全ての50容積%以上である請求項13記載の断熱材。
  15. さらに、繊維及び/又は輻射散乱材を含む請求項1〜及び7〜14のいずれか記載の断熱材。
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