以下に添付図面を参照して、本実施形態にかかる13族窒化物結晶、13族窒化物結晶基板、及び13族窒化物結晶の製造方法について説明する。なお、以下の説明において、図には発明が理解できる程度に構成要素の形状、大きさ及び配置が概略的に示されているに過ぎず、これにより本発明が特に限定されるものではない。また、複数の図に示される同様の構成要素については同一の符号を付して示し、その重複する説明を省略する場合がある。
本実施形態の13族窒化物結晶は、B、Al、Ga、In、及びTlからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属原子と窒素原子とを少なくとも含む六方晶の結晶構造の13族窒化物結晶である。また、本実施形態の13族窒化物結晶は、c軸に対して平行な断面における基底面転位の転位密度が、104cm−2以上である。
基底面転位(BPD:Basal Plane Dislocationc)とは、c面(c軸に垂直な面)に対して平行な方向の転位である。本実施形態の13族窒化物結晶は、c軸に対して平行な断面における基底面転位の転位密度が、104cm−2以上である。このため、13族窒化物結晶の製造における、詳細を後述する結晶成長速度を従来技術に比べて高速とすることができる。
従って、本実施形態では、半導体デバイスの製造に適した13族窒化物結晶を提供することができる。また、本実施形態における13族窒化物結晶を用いて作製した13族窒化物結晶基板は、半導体デバイスの製造に適した13族窒化物結晶基板である。半導体デバイスの製造に適する、とは、具体的には、半導体デバイスの製造時に用いる種結晶(結晶成長の基とする基板)として適することを示す。
なお、半導体デバイスには、半導体レーザーや発光ダイオード等が挙げられるが、これらに限られない。
以下、詳細を説明する。
[1]13族窒化物結晶
上述したように、本実施形態にかかる13族窒化物結晶は、B、Al、Ga、In、及びTlからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属原子と窒素原子とを少なくとも含む六方晶の結晶構造の13族窒化物結晶である。なお、本実施形態にかかる13族窒化物結晶は、金属原子として、Ga、及びAlの少なくとも一方を少なくとも含むことが好ましく、Gaを少なくとも含むことが更に好ましい。
図1〜図3には、本実施形態の13族窒化物結晶19の一例を示した。詳細には、図1は、本実施形態の13族窒化物結晶19の構造の一例を示す概略斜視図である。図2は、13族窒化物結晶19におけるc軸とa軸に平行な断面の図を示している。図3は、13族窒化物結晶19のc面断面(c面に平行な断面)の断面図である。
図3に示すように、13族窒化物結晶19のc面断面の形状は、六角形である。なお、本実施形態において、六角形とは、正六角形、及び正六角形以外の六角形を含む。この六角形の辺に相当する13族窒化物結晶19の側面は、主に、六方晶の結晶構造の{10−10}m面で構成される。
なお、図1には、13族窒化物結晶19が、底面をc面(0001)とし、中心軸をc軸(すなわち<0001>方向)とした六角柱状の結晶上に、底面をc面(0001)とし中心軸をc軸とする六角錐が設けられた針状である場合を示した。すなわち、13族窒化物結晶19が、c軸方向に伸びた針状結晶である場合を示した。しかし、13族窒化物結晶19は、六方晶の結晶構造であればよく、針状に限られない。例えば、図1に示す13族窒化物結晶19の六角錐の頂点部分にc面の形成された形状であってもよい。
図4及び図5は、六角錐の頂点部分にc面の形成された形状の13族窒化物結晶19の一例を示す模式図である。図4及び図5に示すように、13族窒化物結晶19は、六方晶の結晶構造であり、図1に示す13族窒化物結晶19の六角錐の頂点部分にc面の形成された形状であってもよい。
図1に戻り、本実施形態における13族窒化物結晶19は、単結晶であるが、第1領域21と、第2領域27と、を有する。第1領域21は、13族窒化物結晶19におけるc面断面の内側に設けられた領域である。第1領域21は、種結晶であり、第2領域27は種結晶を元に結晶成長した領域である。これらの第1領域21及び第2領域27は、結晶性の異なる領域である。なお、これらの第1領域21及び第2領域27については詳細を後述する。なお、13族窒化物結晶19は、第2領域27を含む結晶であればよい。
本実施形態の13族窒化物結晶19は、上述したように、c軸に対して平行な断面における基底面転位の転位密度が、104cm−2以上である。なお、本実施形態の13族窒化物結晶19の、c軸に対して平行な断面における基底面転位の転位密度は、104cm−2以上であることが必須であるが、1010cm−2未満であると好ましい。
具体的には、13族窒化物結晶19の、c軸に対して平行な断面における基底面転位の転位密度は、105cm−2以上、106cm−2以上、109cm−2程度等が挙げられる。
c軸に対して平行な断面における基底面転位の転位密度が、104cm−2以上であると、13族窒化物結晶19の製造における結晶成長速度を高速とすることが出来る。
また、本実施形態の13族窒化物結晶19は、c軸に対して平行な断面における基底面転位の転位密度が、該断面におけるc面の貫通転位の転位密度より大きい事が好ましい。c面の貫通転位とは、c面(c軸に垂直な面)に対して垂直な方向の転位である。本実施形態の13族窒化物結晶19における、c軸に対して平行な断面における基底面転位の転位密度は、該断面におけるc面の貫通転位の転位密度の100倍以上であることが好ましく、1000倍以上であることが更に好ましい。
また、13族窒化物結晶19における、c軸に対して垂直な断面における貫通転位の転位密度は、103cm−2以下である事が好ましく、102cm−2以下であることが更に好ましい。
また、13族窒化物結晶19は、インクルージョンを含んでいてもよい。
インクルージョンは、後述する13族窒化物結晶19の製造時に用いる混合融液の固化物であり、フラックスと称される場合もある。インクルージョンは、13族窒化物結晶19の製造時における結晶成長工程において内包される(詳細後述)。
インクルージョンは、用いる混合融液の種類により異なるが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及びこれらの混合物の少なくとも1つを含む。アルカリ金属としては、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、及びカリウム(K)から選ばれる少なくとも1つが挙げられる。好ましくは、ナトリウム(Na)、またはカリウム(K)である。アルカリ土類金属としては、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、ストロンチウム(Sr)、及びバリウム(Ba)から選ばれる少なくとも1つが挙げられる。なお、以下では、インクルージョンを、単に、アルカリ金属と称して説明する場合があるが、アルカリ金属以外の他の上記金属を含んでいてもよいことはいうまでもない。
図3は、13族窒化物結晶19のc面(c面断面)の模式図である。
例えば、13族窒化物結晶19のc面断面についてエッチングを行った後に、電子顕微鏡、またはカソードルミネッセンスによる観察を行う。すると、図3に示すように、複数の転位が観察される。c面断面において観察されるこれらの転位の内、線状の転位が、基底面転位Pに相当する。また、c面断面において観察される転位の内、点状の転位が、貫通転位Qに相当する。なお、カソードルミネッセンスの場合には、転位は、暗点または暗線として観察される。また、13族窒化物結晶19のc面断面には、インクルージョンIが含まれる。
なお、図3に示すように、本実施形態の13族窒化物結晶19における基底面転位Pは、種結晶としての第1領域21から、結晶成長領域としての第2領域27へ向かう方向の転位を含む。すなわち、図3に示すように基底面転位Pは、c面に平行な面において、種結晶を元に結晶成長した領域である第2領域27内で且つ結晶成長方向(外側)に向かう方向の転位として存在する。
本実施形態の13族窒化物結晶19における、c軸に対して平行な断面における、基底面転位の転位密度及びc面の貫通転位の転位密度は、下記方法によって測定する。
例えば、測定対象面の最表面をエッチングする事等により、エッチピットを出現させる。そして、エッチング後の測定対象面の組織写真を、電子顕微鏡を用いて撮影し、得られた写真から、エッチピット密度を算出する方法が挙げられる。
また、転位密度の測定方法としては、測定対象面を、カソードルミネッセンス(CL:Cathodoluminescence(電子線蛍光観察))で測定する方法が挙げられる。
この測定対象面には、本実施形態では、c軸に対して平行な断面として、m面{10−10}を用いる。
図4は、六方晶の13族窒化物結晶19における側面(m面{10−10})を測定対象面として用いた場合を示す模式図である。
図4に示すように、13族窒化物結晶19のm面{10−10}について、上記エッチングを行った後の電子顕微鏡による観察、またはカソードルミネッセンスによって、複数の転位が観察される。m面{10−10}において観察されるこれらの転位の内、点状の転位を基底面転位Pとして数えることで、基底面転位Pの転位密度を算出する。なお、c軸に対して垂直方向の線状の転位も基底面転位Pとして数える。一方、m面{10−10}において観察される転位の内、c軸方向に伸びる線状の転位は貫通転位Qとして捉えることができる。
なお、点状の転位とは、本実施形態では、観察される点状の転位の短径に対する、該点状の転位の長径の比が、1以上1.5以下のものを「点状」の転位として数える。このため、真円に限られず、楕円形状のものについても点状の転位として数える。更に具体的には、本実施形態では、観察される断面形状において長径が1μm以下の転位を、点状の転位として数える。
一方、線状の転位とは、本実施形態では、観察される線状の転位の短径に対する、該観察される転位の長径の比が、4以上のものを「線状」の転位として数える。更に具体的には、本実施形態では、観察される断面形状において長径が4μmを超える長さの転位を、線状の転位として数える。
図5は、c軸に対して平行な断面として、c軸に対して平行であり且つ種結晶としての第1領域21を通る断面を、測定対象面として用いた場合の模式図である。
図5に示すように、13族窒化物結晶19のm面{10−10}について、上記エッチングを行った後の電子顕微鏡による観察、またはカソードルミネッセンスによって、複数の転位が観察される。図5のm面{10−10}において観察されるこれらの転位の内、a軸と平行方向に伸びる線状の転位は基底面転位Pとして捉えることができる。一方、c軸と平行方向に伸びる線状の転位は貫通転位Qとして捉えることができる(図5では図示省略)。なお、点状の転位及び線状の転位の定義は、上記と同様である。
次に、13族窒化物結晶19における、種結晶である第1領域21、及び種結晶から成長した成長領域である第2領域27について詳細に説明する。
第2領域27は、13族窒化物結晶19のc面断面における第1領域21の外周の少なくとも一部を覆うように設けられている。なお、第2領域27は、第1領域21の外周の少なくとも一部を覆うように設けられていればよく、第1領域21の外周の全ての領域を覆うように設けられていてもよい。なお、図3に示す13族窒化物結晶19は、第2領域27が第1領域21の外周の全てを覆うように設けられた形態を示す図である。
第2領域27は、c面断面における第2領域27の厚みが、第1領域21の最大径より大きい。第2領域27の厚みとは、c面断面における、第1領域21の中心から13族窒化物結晶19の外縁に向かう方向における、第2領域27の最大の長さ、すなわち最大の厚みを示す。図3に示す例では、第2領域27の厚みは、長さL2で示した。
第1領域21の最大径とは、第1領域21の径の最大値を示し、図3に示す例では、長さL1で示した。
なお、本実施形態の13族窒化物結晶19のc面断面における第2領域27の厚みと第1領域21の最大径との関係は、上記関係を満たせば特に限定されないが、第1領域21の最大径に対する第2領域27の厚みは、5倍以上であることが好ましく、10倍以上であることが更に好ましい。
また、第2領域27のキャリア濃度は、第1領域21のキャリア濃度より高い。なお、本実施形態の13族窒化物結晶19では、第1領域21と第2領域27のキャリア濃度の関係は、上記関係を満たせば特に限定されないが、好ましくは、第1領域21のキャリア濃度に対する第2領域27のキャリア濃度が、5倍以上であることが好ましく、10倍以上であることが更に好ましい。
また、第1領域21と第2領域27のキャリア濃度の関係は、上記関係を満たせば特に限定されないが、さらに具体的には、第1領域21のキャリア濃度は、2×1018/cm3以下、または8×1017/cm3以下であることが好ましい。また、第2領域27のキャリア濃度は、4×1018/cm3以上、または8×1018/cm3以上であることが好ましい。
なお、本実施形態において、キャリアとは電子を示し、キャリア濃度とは、電子キャリア濃度を示す。
第1領域21及び第2領域27のキャリア濃度は、下記測定方法によって測定する。
第1領域21及び第2領域27のキャリア濃度の測定は、ラマン分光法を用いてキャリア密度を換算する方法を用いる。キャリアの濃度の換算方法は「分光研究49(2000)GaNおよび関連窒化物のラマン散乱分光:播磨弘」を用いる。測定装置としては、レーザーラマン分光装置を用いて測定する。
なお、第1領域21及び第2領域27のキャリア濃度は、後述する13族窒化物結晶19の製造方法による製造条件を調整することによって、上記関係を満たすように調整する。また、第1領域21及び第2領域27の大きさ(厚み及び径)についても、後述する13族窒化物結晶19の製造方法による製造条件を調整することによって、上記関係を満たすように調整する。
<製造方法>
次に、13族窒化物結晶19の製造方法を説明する。
13族窒化物結晶19は、上記第1領域21としての種結晶を用いて、この種結晶から結晶成長させることで製造する。なお、第1領域21としての種結晶は、以下では、単に「種結晶」と称して説明する場合がある。
13族窒化物結晶19の製造に用いる種結晶は、六方晶の結晶構造を有し、c軸方向に伸びた針状結晶である。また、種結晶における、c軸と垂直な断面(c面断面)の形状は、六角形である。また、この六角形の辺に相当する種結晶の側面は、主に六方晶の結晶構造のm面で構成される。
[2]種結晶の結晶製造方法
<結晶製造装置>
図6は、種結晶を製造する結晶製造装置1の概略断面図である。以下では、13族窒化物結晶19の製造に用いる種結晶を、種結晶30と称して説明する場合がある。
図6に示すように、結晶製造装置1は、ステンレス製の外部耐圧容器28を備える。外部耐圧容器28内には内部容器11が設置され、内部容器11内にはさらに反応容器12が収容されている。すなわち、外部耐圧容器28は、二重構造を成している。内部容器11は外部耐圧容器28に対して着脱可能となっている。
反応容器12は、原料や添加物を融解させた混合融液24を保持して、種結晶30を得るための容器である。
外部耐圧容器28と内部容器11には、外部耐圧容器28の内部空間33と内部容器11の内部空間23に、13族窒化物結晶の原料である窒素(N2)ガスおよび全圧調整用の希釈ガスを供給する希釈ガス供給管20、及びガス供給管32が接続されている。ガス供給管14は窒素供給管17と希釈ガス供給管20に分岐しており、それぞれバルブ15、及びバルブ18で分離することが可能となっている。
希釈ガスとしては、不活性ガスのアルゴン(Ar)ガスを用いることが望ましいが、これに限定されず、その他のヘリウム(He)等の不活性ガスを希釈ガスとして用いてもよい。
窒素ガスは、窒素ガスのガスボンベ等と接続された窒素供給管17から供給されて、圧力制御装置16で圧力を調整された後、バルブ15を介してガス供給管14に供給される。一方、希釈ガス(例えば、アルゴンガス)は、希釈ガスのガスボンベ等と接続された希釈ガス供給管20から供給されて、圧力制御装置190で圧力を調整された後、バルブ18を介してガス供給管14に供給される。このようにして圧力を調整された窒素ガスと希釈ガスは、ガス供給管14にそれぞれ供給されて混合される。
そして、窒素および希釈ガスの混合ガスは、ガス供給管14からバルブ31、及びバルブ29を経て外部耐圧容器28および内部容器11に供給される。なお、内部容器11はバルブ29部分で結晶製造装置1から取り外すことが可能となっている。
ガス供給管14には、圧力計220が設けられており、圧力計220によって外部耐圧容器28および内部容器11内の全圧をモニターしながら外部耐圧容器28および内部容器11内の圧力を調整できるようになっている。
本実施形態の結晶製造装置1では、このように窒素ガスおよび希釈ガスの圧力を、バルブ15及びバルブ18と、圧力制御装置16及び圧力制御装置190と、によって調整することにより、窒素分圧を調整することができる。また、外部耐圧容器28および内部容器11の全圧を調整できるので、内部容器11内の全圧を高くして、反応容器12内のアルカリ金属(例えばナトリウム)の蒸発を抑制することができる。即ち、窒化ガリウムの結晶成長条件に影響を与える窒素原料となる窒素分圧と、ナトリウムの蒸発抑制に影響を与える全圧を、別々に制御する事が可能となっている。
また、図6に示すように、外部耐圧容器28内の内部容器11の外周にはヒーター13が配置されており、内部容器11および反応容器12を加熱して、混合融液24の温度を調整することができる。
本実施形態では、フラックス法により、種結晶30を製造する。
種結晶30の製造方法は、例えば、混合融液24中にホウ素が溶け込むホウ素溶解工程と、窒化ガリウム結晶25の成長時に結晶中にホウ素が取り込まれるホウ素取込工程と、混合融液24中のホウ素濃度を結晶成長過程とともに減少させるホウ素減少工程とを含む。なお、上記ホウ素減少工程は省略してもよい。
ホウ素溶解工程では、反応容器12内壁に含まれる窒化ホウ素(BN)または反応容器12内に設置された窒化ホウ素の部材から、混合融液24中にホウ素が溶解する。次に溶解したホウ素が、結晶成長する結晶内に取り込まれる(ホウ素取込工程)。そして、結晶成長に伴って結晶中に取り込まれるホウ素の量は次第に減少することとなる(ホウ素減少工程)。
ホウ素減少工程によれば、種結晶30がm面({10−10}面)を成長させながら結晶成長する場合に、c軸を横切る断面において外側の領域におけるホウ素の濃度を、内側の領域のホウ素濃度よりも低くすることができる。これにより、種結晶30のm面で構成される外周面(六角柱の6つの側面)において、不純物であるホウ素濃度と、不純物に起因する可能性のある結晶内の転位密度が低減され、種結晶30の外周面を、その内側の領域に比べて良質の結晶で構成することができる。
次に、ホウ素溶解工程、ホウ素取込工程、ホウ素減少工程についてより具体的に説明する。
(1)反応容器12が窒化ホウ素を含む方法
ホウ素溶解工程の例としては、反応容器12として窒化ホウ素の焼結体(BN焼結体)を材料とした反応容器12を用いることができる。反応容器12が結晶成長温度まで昇温される過程において、反応容器12からホウ素が溶解し、混合融液24中に溶け出す(ホウ素溶解工程)。そして、種結晶30の成長過程において混合融液24中のホウ素が種結晶30中に取り込まれる(ホウ素取込工程)。種結晶30の成長にしたがって、混合融液24中のホウ素は次第に減少する(ホウ素減少工程)。
なお、上記では、BN焼結体の反応容器12を用いるとしたが、反応容器12の構成はこれに限定されるものではない。好適な実施形態としては、反応容器12において、混合融液24と接する内壁の少なくとも一部において、窒化ホウ素を含む物質(例えば、BN焼結体)が用いられていればよく、反応容器12のその他の部分は、パイロリティックBN(P−BN)等の窒化物、アルミナ、YAG等の酸化物、SiC等の炭化物等を使用することができる。
(2)反応容器12内に窒化ホウ素を含む部材を載置する方法
さらに、ホウ素溶解工程のその他の例として、反応容器12内に窒化ホウ素を含む部材を設置するとしてもよい。一例として、反応容器12内にBN焼結体の部材を載置するとしてもよい。なお、反応容器12の材質は(1)と同様に特に限定されるものではない。
この方法においては、反応容器12が上述の結晶成長温度まで昇温される過程において、反応容器12内に設置された部材から、混合融液24中にホウ素が少しずつ溶け込む(ホウ素溶解工程)。
ここで、(1)、(2)の方法において、混合融液24と接する窒化ホウ素を含む部材の表面には窒化ガリウム結晶の結晶核が生成しやすい。従って、窒化ホウ素の表面上(即ち、上述した内壁面または部材表面)に窒化ガリウムの結晶核が生成してその表面が次第に被覆されてくると、被覆された窒化ホウ素から混合融液24中に溶け込むホウ素の量は次第に減少することとなる(ホウ素減少工程)。さらに、窒化ガリウム結晶の成長にしたがって当該結晶の表面積が大きくなり、窒化ガリウム結晶中にホウ素が取り込まれる密度が小さくなる(ホウ素減少工程)。
なお、上記(1)、(2)では、ホウ素を含む物質を用いて混合融液24中にホウ素を溶解させるとしたが、混合融液24中にホウ素を溶解させる方法は上記に限定されず、混合融液24中にホウ素を添加するなど、その他の方法を用いるとしてもよい。また、混合融液24中のホウ素濃度を減少させる方法についてもその他の方法を用いるとしてもよく、本実施形態の結晶製造方法としては、少なくとも上述のホウ素溶解工程と、ホウ素取込工程と、ホウ素減少工程とが含まれていればよい。
<原料等の調整および結晶成長条件>
反応容器12に原料等を投入する作業は、内部容器11を例えばアルゴンガスのような不活性ガス雰囲気とされたグローブボックスに入れて行う。
(1)の方法で種結晶30の結晶製造を行う場合には、(1)で上述した構成の反応容器12に、(1)で上述したホウ素を含む物質と、フラックスとして用いられる物質と、原料とを投入する。
(2)の方法で種結晶30の結晶製造を行う場合には、(2)で上述した構成の反応容器12に、(2)で上述した窒化ホウ素を含む部材と、フラックスとして用いられる物質と、原料とを投入する。
フラックスとして用いる物質としては、インクルージョンIとして上述したように、ナトリウム、あるいはナトリウム化合物(例えば、アジ化ナトリウム)が用いられるが、その他の例として、リチウムや、カリウム等のその他のアルカリ金属や、当該アルカリ金属の化合物を用いるとしてもよい。また、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属や、当該アルカリ土類金属の化合物を用いるとしてもよい。なお、複数種類のアルカリ金属またはアルカリ土類金属を用いるとしてもよい。
原料としてはガリウムが用いられるが、その他の原料の例として、ホウ素、アルミニウム、インジウム等のその他の13族元素や、これらの混合物を原料として反応容器12内に投入するとしてもよい。
また、本実施形態では、反応容器12は、ホウ素を含む構成である場合を説明したが、ホウ素を含む構成に限られず、B、Al、O、Ti、Cu、Zn、Siの内の少なくとも1種を含む構成であってもよい。
このように原料等をセッティングした後に、ヒーター13に通電して、内部容器11およびその内部の反応容器12を結晶成長温度まで加熱する。すると、反応容器12内においてフラックスとして用いられる物質と、原料等が溶融し、混合融液24が形成される。また、この混合融液24に上記分圧の窒素を接触させて混合融液24中に溶解させることにより、種結晶30の原料である窒素を混合融液24中に供給することができる。さらに、混合融液24中には上述したようにホウ素が溶解する(ホウ素溶解工程)(混合融液形成工程)。
そして、反応容器12の内壁において、混合融液24に融解している原料とホウ素とから種結晶30の結晶核が生成される。そして、この結晶核に混合融液24中の原料およびホウ素が供給されて結晶核が成長し、針状の種結晶30が成長する。そして、上述したように、種結晶30の結晶成長過程において結晶中には混合融液24中のホウ素が取り込まれて(ホウ素添加工程)、種結晶30の内側にはホウ素濃度の高い領域が生成されやすい状態となり、種結晶30はc軸方向に長尺化されやすい状態となる。また、混合融液24中のホウ素濃度の減少とともに結晶中に取り込まれるホウ素が減少する(ホウ素減少工程)と、該領域の外側にはホウ素濃度の低い領域が生成されやすい状態となり、種結晶30はc軸方向への伸長が鈍ってm軸方向へ成長しやすい状態となる。
なお、内部容器11内の窒素分圧は、5MPa〜10MPaの範囲内とすることが好ましい。
また、混合融液24の温度(結晶成長温度)は、800℃〜900℃の範囲内とすることが好ましい。
好適な実施形態としては、ガリウムとアルカリ金属(例えば、ナトリウム)との総モル数に対するアルカリ金属のモル数の比率を75%〜90%の範囲内とし、混合融液24の結晶成長温度を860℃〜900℃の範囲内とし、窒素分圧を5MPa〜8MPaの範囲内とすることが好ましい。
さらに好適な実施形態としては、ガリウムとアルカリ金属とのモル比を0.25:0.75とし、結晶成長温度を860℃〜870℃の範囲とし、窒素分圧を7MPa〜8MPaの範囲とすることがより好ましい。
上記工程を経ることによって、13族窒化物結晶19の製造に用いる種結晶30が得られる。
[3]13族窒化物結晶の製造方法
上記に説明した13族窒化物結晶19は、[2]で上述した種結晶30を用いて、フラックス法によりこれらの種結晶30のc面断面積を肥大化させることで製造する。
<結晶製造装置>
図7は、種結晶30から第2領域27を結晶成長させて、13族窒化物結晶19を製造するために用いられる結晶製造装置2の構成例を示す概略断面図である。結晶製造装置2において、ステンレス製の外部耐圧容器50内には内部容器51が設置され、内部容器51内にはさらに反応容器52が収容されており、二重構造を成している。内部容器51は外部耐圧容器50に対して着脱可能となっている。
反応容器52は、種結晶30と、アルカリ金属と少なくとも13族元素を含む物質との混合融液24とを保持して、種結晶30から第2領域27の結晶成長(なお、種結晶を元にバルク結晶を育成することをSG:Seed Growthと称する)を行うための容器である。
反応容器52の材質は特に限定するものではなく、BN焼結体、P−BN等の窒化物、アルミナ、YAG等の酸化物、SiC等の炭化物等を使用することができる。また、反応容器52の内壁面、すなわち、反応容器52が混合融液24と接する部位は、混合融液24と反応し難い材質で構成されていることが望ましい。第2領域27を窒化ガリウム結晶とする場合には、窒化ガリウムが結晶成長できる材質の例としては、窒化ホウ素(BN)や、パイロリティックBN(P−BN)や、窒化アルミニウム等の窒化物や、アルミナ、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)等の酸化物、ステンレス鋼(SUS)等が挙げられる。
また、外部耐圧容器50と内部容器51には、外部耐圧容器50の内部空間67と内部容器51の内部空間68に、13族窒化物結晶19の原料である窒素(N2)ガスおよび全圧調整用の希釈ガスを供給するガス供給管65、及びガス供給管66が接続されている。ガス供給管54は窒素供給管57とガス供給管60に分岐しており、それぞれバルブ55、及びバルブ58で分離することが可能となっている。
希釈ガスとしては、不活性ガスのアルゴン(Ar)ガスを用いることが望ましいが、これに限定されず、その他のヘリウム(He)等の不活性ガスを希釈ガスとして用いてもよい。
窒素ガスは、窒素ガスのガスボンベ等と接続された窒素供給管57から供給されて、圧力制御装置56で圧力を調整された後、バルブ55を介してガス供給管54に供給される。一方、全圧調整用のガス(例えば、アルゴンガス)は、全圧調整用のガスのガスボンベ等と接続された全圧調整用のガス供給管60から供給されて、圧力制御装置59で圧力を調整された後、バルブ58を介してガス供給管54に供給される。このようにして圧力を調整された窒素ガスと全圧調整用のガスは、ガス供給管54にそれぞれ供給されて混合される。
そして、窒素および希釈ガスの混合ガスは、ガス供給管54から、バルブ63、ガス供給管65、バルブ61、ガス供給管66を経て、外部耐圧容器50および内部容器51内に供給される。なお、内部容器51はバルブ61部分で結晶製造装置2から取り外すことが可能となっている。また、ガス供給管65は、バルブ62を介して外部につながっている。
また、ガス供給管54には、圧力計64が設けられており、圧力計64によって外部耐圧容器50と内部容器51内の全圧をモニターしながら外部耐圧容器50および内部容器51内の圧力を調整できるようになっている。
本実施形態では、このように窒素ガスおよび希釈ガスの圧力をバルブ55及びバルブ58と、圧力制御装置56及び圧力制御装置59と、によって調整することにより、窒素分圧を調整することができる。また、外部耐圧容器50と内部容器51の全圧を調整できるので、内部容器51内の全圧を高くして、反応容器52内のアルカリ金属(たとえばナトリウム)の蒸発を抑制することができる。即ち、窒化ガリウムの結晶成長条件に影響を与える窒素原料となる窒素分圧と、ナトリウムの蒸発抑制に影響を与える全圧を、別々に制御する事が可能となっている。
また、図7に示すように、外部耐圧容器50内の内部容器51の外周にはヒーター53が配置されており、内部容器51および反応容器52を加熱して、混合融液24の温度を調整することができる。
<原料等の調整および結晶成長条件>
反応容器52に種結晶30やGaやNaと、Cなどの添加剤やGeなどのドーパント等の原料などを投入する作業は、内部容器51を例えばアルゴンガスのような不活性ガス雰囲気のグローブボックスに入れて行う。この作業は内部容器51に反応容器52を入れた状態で行ってもよい。
反応容器52には、[2]で上述した種結晶30を設置する。また、反応容器52には、少なくとも13族元素を含む物質(例えば、ガリウム)と、上述したフラックスとして用いられる物質を投入する。本実施形態では、フラックスとして、アルカリ金属を用いる。
原料である13族元素を含む物質としては、例えば13族元素のガリウムが用いられるが、その他の例として、ホウ素、アルミニウム、インジウム等のその他の13族元素や、これらの混合物を用いてもよい。
13族元素を含む物質とアルカリ金属とのモル比は、特に限定されるものではないが、13族元素とアルカリ金属との総モル数に対するアルカリ金属のモル比を、40%〜95%とすることが好ましい。
このように原料等をセッティングした後に、ヒーター53に通電して、内部容器51およびその内部の反応容器52を結晶成長温度まで加熱する。すると、反応容器52内において原料の13族元素を含む物質、アルカリ金属、その他の添加物等が溶融し、混合融液24が形成される。また、この混合融液24に上記分圧の窒素を接触させて混合融液24中に溶解させることにより、13族窒化物結晶19の原料である窒素を混合融液24中に供給することができる(混合融液形成工程)。
そして、混合融液24中に融解している原料が種結晶30の外周表面に供給されて、当該原料によって種結晶30の外周表面から第2領域27が結晶成長する(結晶成長工程)。
このように、種結晶30の外周面から第2領域27が結晶成長することにより、種結晶30を含む13族窒化物結晶19を製造することができる。
ここで、本実施形態の13族窒化物結晶19の製造方法においては、種結晶30を結晶成長させるときの、種結晶30のa軸方向の結晶成長速度が15μm/時より大きい。
種結晶30のa軸方向の結晶成長速度が15μm/時より大きくなるように結晶成長条件を調整することで、c軸に対して平行な断面における基底面転位の転位密度が104cm−2以上である本実施形態の13族窒化物結晶19を製造することができる。
なお、種結晶30を結晶成長させるときの、種結晶30のa軸方向の結晶成長速度は、15μm/時より大きい事が必須であるが、18μm/時以上が好ましく、23μm/時以上であることが更に好ましく、28μm/時以上であることが特に好ましい。
種結晶30のa軸方向の結晶成長速度を18μm/時以上に調整することで、c軸に対して平行な断面における基底面転位の転位密度が104cm−2を超える13族窒化物結晶19を製造することができる。種結晶30のa軸方向の結晶成長速度を23μm/時以上に調整することで、c軸に対して平行な断面における基底面転位の転位密度が105cm−2以上の13族窒化物結晶19を調整することができる。
また、種結晶30のa軸方向の結晶成長速度を28μm/時以上に調整することで、c軸に対して平行な断面における基底面転位の転位密度が106cm−2以上の13族窒化物結晶19を調整することができる。
種結晶30を結晶成長させるときに成長速度は、窒素分圧、及び結晶成長温度を調整することで、調整する。
具体的には、種結晶30のa軸方向の結晶成長速度を15μm/時より大きくするためには、内部容器51の内部空間68および外部耐圧容器50の内部空間67における窒素ガス分圧を、少なくとも2.0MPa以上4.6MPa以下の範囲とし、混合融液24の温度(結晶成長温度)を840℃以上890℃以下の範囲で調整する。
また、種結晶30のa軸方向の結晶成長速度を18μm/時以上とするためには、内部容器51の内部空間68および外部耐圧容器50の内部空間67における窒素ガス分圧を、少なくとも2.0MPa以上3.8MPa以下の範囲とし、混合融液24の温度(結晶成長温度)を840℃以上880℃以下の範囲で調整する。
また、種結晶30のa軸方向の結晶成長速度を23μm/時以上とするためには、内部容器51の内部空間68および外部耐圧容器50の内部空間67における窒素ガス分圧を、少なくとも2.0MPa以上3.2MPa以下の範囲とし、混合融液24の温度(結晶成長温度)を840℃以上870℃以下の範囲で調整する。
また、種結晶30のa軸方向の結晶成長速度を28μm/時以上とするためには、内部容器51の内部空間68および外部耐圧容器50の内部空間67における窒素ガス分圧を、少なくとも2.0MPa以上2.8MPa以下の範囲とし、混合融液24の温度(結晶成長温度)を840℃以上860℃以下の範囲で調整する。
このように、本実施形態の13族窒化物結晶19では、13族窒化物結晶19の作製時における、種結晶30のa軸方向の結晶成長速度が15μm/時より大きい。このため、本実施形態の13族窒化物結晶19は、製造時間の短縮を図ることができる。
従って、本実施形態の13族窒化物結晶19では、半導体デバイスの製造に適した基板に用いられる13族窒化物結晶19を製造することができる。
また、本実施形態では、13族窒化物結晶19の製造に用いる種結晶30は、主に、c軸方向に成長することで製造された針状の結晶である。一方、種結晶30から第2領域27を結晶成長させることで製造される13族窒化物結晶19は、主にc軸に対して垂直方向に結晶成長することで製造される。このため、種結晶30としての第1領域21と、結晶成長領域である第2領域27と、は結晶成長方向が異なる。結晶成長方向が異なると、不純物の取り込まれ方が異なるため、第1領域21と第2領域27とは、不純物の取り込まれ方の異なる領域となる。このため、上記製造方法によってc軸に対して垂直方向に結晶成長させることで得られた第2領域27は、c軸方向への結晶成長によって得られた第1領域21に比べて、キャリア濃度の高い領域となると考えられる。
また、製造された13族窒化物結晶19においては、種結晶30としての第1領域21におけるc面断面における最大径に比べて、結晶成長領域としての第2領域27の厚みは大きい。このため、この第2領域27を用いることで、より低抵抗の半導体デバイス等に好適に適用可能な、13族窒化物結晶19を提供することができると考えられる。
なお、本実施形態において、上記製造方法によって作成された13族窒化物結晶19は、種結晶30の外周表面であるm面からm軸方向(即ち、六角形のc面断面が大型化する方向)に成長する。このため、種結晶30からの結晶成長時に第2領域27には結晶成長方向に沿った方向に転位が生じやすい。
このため、13族窒化物結晶19の基底面転位Pは、結晶成長方向に沿った方向に多く発生する。
また、結晶成長時には、フラックス(混合融液)として用いたアルカリ金属等も取り込まれた状態で成長が生じる。これは、種結晶30からの結晶成長中に点欠陥や線欠陥等の転位が発生し、これらの欠陥による隙間にアルカリ金属等のフラックスが入り込むためと考えられる。このため、13族窒化物結晶19の第2領域27には、図3を用いて説明したように、混合融液の固化物であるインクルージョンIが生じる。なお、結晶成長時に第2領域27に生じる欠陥は、上述のように、結晶成長方向に沿った方向に生じやすい。このため、インクルージョンIもまた、種結晶30である第1領域21から第2領域27に向かう方向に伸びた形状で13族窒化物結晶19に内包される。
図8は、13族窒化物結晶19において、c軸とa軸に平行な断面における転位を模式的に示す図である。なお、図8では、13族窒化物結晶19のc軸とa軸に平行な断面のうちの一部を拡大して示している。
一般的に、フラックス法、HVPE法等のいずれの方法で結晶成長させた場合であっても、13族窒化物結晶19内には転位が少なからず発生する。また、第1領域21の外周表面上に転位(線欠陥、点欠陥)が存在する場合には、これらの領域の種結晶30(第1領域21)の外周表面から第2領域27を結晶成長させるときに、これらの転位が第2領域27にも伝播する場合がある。なお、転位の発生原因としては、種結晶30(第1領域21)と種結晶30(第1領域21)から成長する第2領域27との熱膨張係数差および格子定数差や、該種結晶の表面における結晶のひずみやクラック等の欠陥が起因すると考えられている。
また、一般的に、結晶成長方向と平行に伸びる転位(線欠陥)は、結晶成長中に消滅することなく伸び続ける。一方、結晶成長方向と平行でない方向に伸びる線欠陥は、結晶成長中に消滅する場合が多い。即ち、種結晶30のm面で構成される外周表面であるm面からm軸方向(即ち、六角形のc面断面が大型化する方向(結晶成長方向))に成長する。従って、種結晶30(第1領域21)の成長界面から発生する転位は結晶成長方向と平行な<11−20>方向が多く、結晶成長方向と平行でない<11−23>方向には少ない。
このため、本実施形態の13族窒化物結晶19では、c面に平行な転位である基底面転位(基底面転位P)に比べて、c面を貫通する貫通転位(貫通転位Q)が少なくなる。基底面転位が貫通転位より多いということは、c面断面が大型化する方向に結晶成長することで13族窒化物結晶19が製造されたことを意味する。
また、図8に示すように、インクルージョンIは、種結晶30である第1領域21から第2領域27に向かう方向に伸びた形状で13族窒化物結晶19に内包される。このため、後述する熱処理等により、内包されたインクルージョンは、13族窒化物結晶19の内部から外部に、m軸方向に噴出しやすくなる。このため、更に好適に、半導体デバイスに適した13族窒化物結晶19を提供することができる。
なお、本実施形態にかかる結晶製造方法では、種結晶30と、種結晶30から成長する第2領域27とを同じ材料(例えば、窒化ガリウム)とすることも可能である。この場合、窒化アルミニウム(AlN)のような異種材料の種結晶を用いる場合と異なり、格子定数や熱膨張係数を一致させることができ、格子不整合や熱膨張係数の違いによる転位の発生を抑制することが可能となる。
さらに、種結晶30(第1領域21)と、第2領域27と、は同様の結晶成長方法(フラックス法)で製造されているため、種結晶30と第2領域27とを互いに異なる方法で製造した場合に比べて、格子定数と熱膨張係数の整合性を向上させることが可能となり、転位発生を抑制しやすくすることができる。
上記工程を経ることによって、半導体デバイスに適した13族窒化物結晶19を製造することができる。
なお、上述ではフラックス法による結晶製造方法について説明したが、結晶製造方法は特に限定されるものではなく、HVPE法のような気相成長法や、フラックス法以外の液相法によって結晶成長を行うとしてもよい。ただし、高品質な13族窒化物結晶19を製造する観点から、フラックス法を用いることが好ましい。
[3]で上述した製造方法で製造される13族窒化物結晶19における、種結晶30として用いた領域である第1領域21の位置は、13族窒化物結晶19の内部であればよく、13族窒化物結晶19のc面断面の中央をc軸方向に沿って貫通する位置であってもよいし、該中央をc軸方向に沿って貫通する位置からずれた位置であってもよい。
また、本実施形態では、13族窒化物結晶19は、六角柱状の結晶上にその六角柱の上底を底面とする六角錐の設けられた針状の結晶である場合を説明したが、このような形に限定されるものではなく、例えば、m面の形成されていない六角錐形状であってもよい。
ここで、本実施の形態の13族窒化物結晶19の製造方法においては、さらに、熱処理工程を含むことが好ましい。なお、この熱処理工程は、13族窒化物結晶19の製造後に行えばよく、後述する13族窒化物結晶基板への加工前や、基板化した後に行ってもよい。
本実施の形態における熱処理工程では、13族窒化物結晶19に熱を加えることで、13族窒化物結晶19に内包されたアルカリ金属等のインクルージョンIをc軸と垂直方向に排出させる。すなわち、上述したように、インクルージョンIは、種結晶30である第1領域21から第2領域27に向かう方向に伸びた形状で13族窒化物結晶19に内包される。このため、本実施の形態では、13族窒化物結晶19に内包されたインクルージョンIは、熱処理によってc軸と垂直方向に噴出(排出)されることとなる。
熱処理工程における、熱処理温度は、インクルージョンIの沸点以上であればよい。具体的には、熱処理温度は、883℃以上とする。なお、熱処理温度は、より高温で熱処理するほどインクルージョンIを効果的に排出させやすいことから、1000℃以上であることが好ましく、1100℃以上であることが更に好ましく、1200℃以上であることが特に好ましい。
また、熱処理工程は、13族窒化物結晶19の表面の13族窒化物の分解を抑制する観点から、窒素雰囲気中、または、窒素とアンモニアとの混合ガス雰囲気中で行うことが好ましい。
上述のように、本実施の形態の13族窒化物結晶19では、c軸に対して平行な断面における基底面転位Pの転位密度が、104cm−2以上発生している。なお、基底面転位Pは、上述のように、c面方向に平行な方向の転位である。また、上述のように、13族窒化物結晶19では、上記製造工程を得ることによって、種結晶30である第1領域21から第2領域27に向かう方向の転位が多く発生している。また、インクルージョンIは、これらの転位に沿って、種結晶30である第1領域21から第2領域27に向かう方向に伸びた形状で13族窒化物結晶19に内包される。
このため、13族窒化物結晶19は、インクルージョンI(混合融液の固化物(アルカリ金属等))の沸点を超える温度に加熱されると、13族窒化物結晶19内の欠陥の分布に沿って、13族窒化物結晶19のm面に向かって広がり、13族窒化物結晶19の外周面から主にc軸と垂直方向に排出されることとなる。
このため、本実施の形態の13族窒化物結晶19では、好適にインクルージョンを除去することができる。
[4]13族窒化物結晶基板
本実施形態にかかる13族窒化物結晶基板は、13族窒化物結晶19を加工することによって得られる。
図9は、上述した熱処理工程を行う前の13族窒化物結晶19から、13族窒化物結晶基板を製造する方法を示す工程図である。
図9に示すように、まず、種結晶30(第1領域21)から第2領域27を結晶成長させることで製造した13族窒化物結晶19を用意する(ステップS100)。次に、この13族窒化物結晶19に、熱処理を行う(熱処理工程)(ステップS102)。この熱処理工程は、上述と同様である。
次に、13族窒化物結晶19から排出されたアルカリ金属等のインクルージョンIを除去する(ステップS104)。ステップS104では、例えば、酸溶液で13族窒化物結晶19を洗浄することで、13族窒化物結晶19の表面のインクルージョンIを除去する。酸溶液としては、フッ酸溶液、バッファードフッ酸溶液、塩酸溶液、硫酸溶液、硝酸溶液、硫酸過水溶液、またはこれらの混合溶液などを用いることができる。
なお、ステップS104においては、具体的には、熱処理後の13族窒化物結晶19を純水希釈20%濃度塩酸溶液(塩酸溶液:純水=1:4)に60分間浸漬した後に、純水による超音波洗浄10分間を行う一連の処理を3回以上繰り返すことが好ましい。
次に、13族窒化物結晶19に内包されているインクルージョンIの位置(例えば、アルカリ金属の位置)を特定する(ステップS106)。
インクルージョンIの位置の特定は、例えば、下記方法により行う。インクルージョンIの特定対象の結晶形態がバルク状である場合には、X線CT装置や透過X線観察装置による測定で、インクルージョンIの位置を特定できる。特定対象の結晶形態が基板状の場合は、前述したX線を利用した観察の他、光学顕微鏡による観察でインクルージョンIの位置を特定できる。顕微鏡の中でも共焦点レーザー顕微鏡のような空間分解能が高い顕微鏡を用いると、インクルージョンIの位置を、より正確に捉えることができる。
次に、基板化加工を行う(ステップS108)。具体的には、表面から10μm以内にアルカリ金属(インクルージョンI)が含まれないように、13族窒化物結晶19を、c面を主面とした13族窒化物結晶基板となるように切断する(図11中、点線P1参照)。
c面を主面とした本実施の形態の13族窒化物結晶基板は、上述したように、c面表面を貫通する方向の貫通転位が少ないことから、半導体デバイスの製造に好適に用いられる。
このように、インクルージョンIの位置を特定した後に、インクルージョンIを含まないように切断位置を調整して切断することで、13族窒化物結晶基板を効率よく製造することができる。
13族窒化物結晶を切断(スライス)する方法としては、マルチワイヤーソー等を用いて、複数枚の13族窒化物結晶基板を一度に得る方法と、ブレードソー(外周刃や内周刃など)により一枚ずつ13族窒化物結晶基板を得る方法がある。マルチワイヤーソーで加工する場合は、ワイヤーによる切り代(カーフ幅)になるべく多くのインクルージョンIが配置されるように、保持する13族窒化物結晶19の位置をc軸方向に調整すればよい。
図10は、13族窒化物結晶19の基板化加工の一例を示す模式図である。図10に示すように、マルチワイヤーソーWに対する、13族窒化物結晶19のc軸方向の位置を、該c軸方向に沿った方向(矢印Y方向)に調整し、切断する。なお、13族窒化物結晶19には、円筒状加工、インデックスフラットF1加工、オリエンテーションフラット(Orientation Flat)F2加工等の加工済であるものを用いることが好ましい。なお、ワイヤーの巻きつけるピッチを調整できる場合には、ワイヤーのピッチを調整してもよい。
図9に戻り、次に、後加工(ステップS110)を行う。後加工では、例えば、基板化加工によって得られた13族窒化物結晶基板に、研磨処理を行う。研磨処理には、公知の方法を用いる。
例えば、研磨処理には、ダイヤモンドや炭化珪素(SiC)などの研磨砥粒を用いた機械的な研磨や機械的化学的研磨(CMP)などを行う。
本実施の形態では、ステップS110の後加工としての研磨工程では、上記基板化加工によって得られた13族窒化物結晶基板にインクルージョンが含まれている場合、表面から深さ方向のインクルージョン位置を特定し、特定した位置に対して研磨量を調節してインクルージョンを除去することが望ましい。また一度に複数の13族窒化物結晶基板を研磨する際には、13族窒化物結晶基板それぞれの荷重を調整して、同一の研磨工程において複数の13族窒化物結晶基板の研磨量を調整すると、製造効率を上げることができる。
なお、本実施形態における13族窒化物結晶基板では、c面の表面(表裏双方)から10μm以内には、インクルージョンIが含まれないように、研磨量を調整することが望ましい。
なお、図9では、熱処理(ステップS102)、アルカリ金属を除去(ステップS104)、及びアルカリ金属位置を特定(ステップS106)した後に、基板化加工(ステップS108)を行う場合を説明した。
しかし、基板化加工を行った後に、熱処理(ステップS102)、アルカリ金属を除去(ステップS104)、及びアルカリ金属位置を特定(ステップS106)する一連の工程を行ってもよい。また、熱処理(ステップS102)は、複数回行ってもよい。また、基板化加工の前後の双方に行ってもよい。
なお、本実施の形態の13族窒化物結晶19、すなわち、c軸に対して平行な断面における基底面転位の転位密度が104cm−2以上である13族窒化物結晶19について、上記基板化加工を行った後に上記熱処理を行うと、c面表面から10μmまでの領域のインクルージョンIは排出されるが、c面表面から10μm以上の領域のインクルージョンIは排出されないと考えられる。
なお、13族窒化物結晶19の加工方向(切断方向)によって、c面を主面とした13族窒化物結晶基板を得ることができる。
図11は、13族窒化物結晶19をスライスする方向を示す模式図である。また、図12は、スライス後に得られる13族窒化物結晶基板100の一例を示す模式図である。
一例としては、図11の1点鎖線P1に示すように第1領域21(種結晶30)のc軸に対して垂直にスライスすることで、図12に示すように、c面を主面とした13族窒化物結晶基板100を得ることができる。
本実施形態の製造方法によれば、上述のようにc軸方向に長尺化された13族窒化物結晶19から13族窒化物結晶基板100を切り出すので、c面およびc面以外の面を切り出す場合のどちらにおいても基板主面を大面積とすることができる。即ち、本実施形態によれば、c面、m面、a面、{10−11}面、{20−21}面、{11−22}面など、任意の結晶面を主面とする大面積の結晶基板100を製造することができる。従って、各種半導体デバイスに用いることができる実用的なサイズの13族窒化物結晶基板100を製造することができる。
また、本実施形態の製造方法によって得られた13族窒化粒結晶基板100は、各種半導体デバイス用の基板として好適である。
また、本実施形態の製造方法によって得られた13族窒化物結晶基板100は、表面から10μm以内の領域にアルカリ金属等のインクルージョンが含まれないように加工している。このため、本実施形態の製造方法によって得られた13族窒化粒結晶基板100は、各種半導体デバイス用の基板として好適である。
また、本実施形態の製造方法によれば、13族窒化物のバルク結晶(13族窒化物結晶19)をスライスして13族窒化物結晶基板100を製造する。従来技術のように熱膨張係数や格子定数の差が大きい異種基板上に結晶成長させた厚膜の結晶を基板から分離する工程が無いため、本実施形態の製造方法では13族窒化物結晶基板100にはクラックが発生しにくい。
[5]13族窒化物結晶(バルク結晶)の好適な形状
次に、13族窒化物結晶19の好適な形状について説明する。図13〜図15は、第1領域21(種結晶30)から、第2領域27を結晶成長させる過程を説明するための模式図である。なお、ここでの説明に関して、結晶成長方法は特に限定されるものではない。なお、図13〜図15は、13族窒化物結晶19のc軸とa軸に平行な面における断面を示す。
図13に示すように、13族窒化物結晶19は、主に、第1領域21(種結晶30)の外周表面であるm面からm軸方向(即ち、六角形のc面断面が肥大化する方向)に成長した領域27aと、主に、該第1領域21(種結晶30)の{10−11}面または領域27a上面の{10−11}面から成長した領域27bとを含んでいると考えられる。
領域27bでは、{10−11}面が形成される速度が律速となることが考えられ、これにより種結晶の上部周囲に成長する13族窒化物結晶(第2領域27)は六角錐形状となる場合が多いと考えられる。
図14は、種結晶のc軸方向の長さLが短い場合の結晶成長の様子を示す模式図である。種結晶の長さLが十分に長くない場合には、六角柱部分に対する六角錐部分の割合が大きいため、<10−11>方向に形成される領域27bは、m軸方向に形成される領域27aに比べその体積比が大きくなる。従って、13族窒化物結晶19は、図14に示すような形状となりやすく、この場合、全てのc面断面には領域27bが含まれることとなる。
また、図15は、図14の13族窒化物結晶(第2領域27)の結晶成長をさらに進行させた様子を示す模式図である。図15に示すように種結晶の外周が領域27bで包囲されてしまうと、さらに結晶成長を行ってもm面で構成される外周面は形成されず、{10−11}面が外周表面として保たれたまま13族窒化物結晶(第2領域27)が成長する場合が多く観察されている。
領域27aは、種結晶のm面の外周表面から結晶成長を開始した領域である。上述したように、主に種結晶のm面から成長した13族窒化物結晶(領域27a)は、c軸方向の貫通転位が比較的少ないと考えられる。従って、c面を主面とする13族窒化物結晶基板を製造する場合には、領域27aが多く含まれていることが好ましい。
[6]種結晶の好適なサイズ
次に、上述した好適な形状の13族窒化物結晶19を成長させるために好適な種結晶(種結晶30)の形状について説明する。種結晶30(第1領域21)は六方晶の結晶構造を有し、a+c軸(<11−23>方向)とc面とが為す角度は、例えば、58.4°である。また、種結晶30のc軸方向の長さLとc面断面における結晶径dとの比L/dが、例えば、0.813である場合に、種結晶30は六角錐形状となる。
上述したように、良質の13族窒化物結晶19を得るためには、主に種結晶のm面の外周表面から13族窒化物結晶(第2領域27)が成長することが好ましい。そこで、好適な実施形態としては、種結晶30はその外周面としてm面を含んでいることが好ましい。
図16は、種結晶30の形状とL/dとの関係を示す模式図である。Lは、c軸方向の最大長を示す。dは、c軸に垂直な方向の最大長を示す。図16に示すように、(a)L/d=0.813である場合には、種結晶30は六角錐状である。(b)L/d>0.813である場合には、上部が六角錐状、下部が六角柱状となり種結晶30の外周面(側面)にはm面が含まれる。(c)L/d<0.813である場合には、種結晶30はm面を含まない六角錐状か、或いは、六角錐部分の頂点を含む部分が含まれておらず結晶上面にc面が形成されており、m面を含む六角柱部分の高さが低い形状となる。
従って、好適な実施形態としては、種結晶30において、c軸方向の長さLとc面における結晶径dとの比であるL/dは、0.813より大きいことが好ましい。
また、13族窒化物結晶基板100の実用的なサイズとしては、ハーフインチ(12.7mm)或いは2インチ(5.08cm)であることが望まれている。そこで、以下では、c面を主面とする13族窒化物結晶基板100の最大径をハーフインチ(12.7mm)以上、または2インチ以上とする場合に必要とされる種結晶30のサイズについて説明する。
以下では、実用的な基板として必要とされる最低の厚みの一例として、13族窒化物結晶基板100の厚みが1mmである場合について試算するが、必要とされる最低の厚みはこれに限定されるものではなく、適宜試算されるものである。
まず、13族窒化物結晶基板100の直径が12.7mm、即ち、13族窒化物結晶基板100の直径dが12.7mmとなるためには、種結晶の結晶径をゼロとして無視すると、半径方向(m軸方向)に少なくとも6.35mm以上は、第2領域27が成長する必要がある。
ここで、一例として、m軸方向の結晶成長速度Vmがc軸方向の結晶成長速度Vcの2倍であると仮定すると、m軸方向に6.35mm成長する間に、c軸方向には約3.2mm成長する。上述のようにL/d>0.813であるから、結晶径d(六角錐部分の底面の直径)が12.7mmとなるためには、c軸方向の長さL(六角錐部分の高さ)は、11.9mmとなる。従って、種結晶30の長さとしては、11.9−3.2=8.7mm必要であると試算される。即ち、六角錐形状の13族窒化物結晶を得るために必要とされる種結晶の最低の長さは、8.7mmとなる。そして、この六角錐形状の下部に六角柱状の領域が形成されていることが望まれる。13族窒化物結晶基板100の厚さとして1mm以上必要であると仮定すると、種結晶30のc軸方向の長さLは、9.7mm必要であると試算される。
このように、好適な実施形態としては、種結晶30のc軸方向の長さLは、9.7mm以上であることが好ましい。
より好適な実施形態としては、種結晶30は、c軸方向の長さLとc面における結晶径dとの比であるL/dが0.813より大きく、c軸方向の長さLが9.7mm以上であることが好ましい。さらに好ましくは、L/dが7より大きいことが好ましく、L/dが20より大きいことがより好ましい。
また、直径が2インチ(5.08cm)の13族窒化物結晶基板100を得るためには、種結晶のc軸方向の長さLは37.4mm以上必要であると試算される。
従って、好適な実施形態として、種結晶30のc軸方向の長さLは37.4mm以上であることが好ましい。これにより、c面の直径が2インチ以上の13族窒化物結晶基板100を製造することができる。
以下に本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、符号は図6および図7を参照して説明した結晶製造装置1、結晶製造装置2の構成と対応している。
―種結晶の製造―
まず、下記の製造方法により、13族窒化物結晶の製造に用いる種結晶を製造した。
<種結晶の製造例>
図6に示した結晶製造装置1を使用して、種結晶を製造した。
BN焼結体からなる内径92mmの反応容器12に、公称純度99.99999%のガリウムと公称純度99.95%のナトリウムとをモル比0.25:0.75として投入した。
グローブボックス内で、高純度のArガス雰囲気下、反応容器12を内部容器11内に設置し、バルブ31を閉じて反応容器12内部を外部雰囲気と遮断して、Arガスが充填された状態で内部容器11を密封した。
その後、内部容器11をグローブボックスから出して、結晶製造装置1に組み込んだ。すなわち、内部容器11をヒーター13に対して所定の位置に設置して、バルブ31部分で窒素ガスとアルゴンガスとのガス供給管14に接続した。
次に、内部容器11からアルゴンガスをパージした後、窒素供給管17から窒素ガスを入れ、圧力制御装置16で圧力を調整してバルブ15を開け、内部容器11内の窒素圧力を3.2MPaとした。その後、バルブ15を閉じ、圧力制御装置16を8MPaに設定した。次いで、ヒーター13に通電し、反応容器12を結晶成長温度まで昇温した。本製造例1では、結晶成長温度は870℃とした。
結晶成長温度では反応容器12内のガリウムとナトリウムは融解し、混合融液24を形成する。なお、混合融液24の温度は反応容器12の温度と同温になる。また、この温度まで昇温すると本製造例1の結晶製造装置1では、内部容器11内の気体が熱せられ全圧は8MPaとなる。
次に、バルブ15を開け、窒素ガス圧力を8MPaとして、内部容器11内部と窒素供給管17内部とを圧力平衡状態とした。
この状態で反応容器12を500時間保持して窒化ガリウムの結晶成長を行った後、ヒーター13を制御して、内部容器11を室温(20℃程度)まで降温した。内部容器11内のガスの圧力を下げた後、内部容器11を開けたところ、反応容器12内には、窒化ガリウム結晶が多数、結晶成長していた。結晶成長した窒化ガリウム結晶である種結晶30は無色透明であり、結晶径dは100〜1500μm程度であり、長さLは10〜40mm程度であり、長さLと結晶径dとの比L/dは20〜300程度であった。結晶成長した窒化ガリウム結晶である種結晶30は、c軸に概ね平行に成長しており、側面にはm面が形成されていた。
―13族窒化物結晶の製造―
次に、13族窒化物結晶を製造した。
(実施例A1)
本実施例では、図7に示す結晶製造装置2により、種結晶30から第2領域27の結晶成長を行い、13族窒化物結晶19を製造した。
種結晶30としては、上記種結晶の製造例1で製造した種結晶30を用いた。この種結晶30の大きさは、幅1mm、長さ約40mmであった。
まず、内部容器51をバルブ61部分で結晶製造装置2から分離し、Ar雰囲気のグローブボックスに入れた。次いで、アルミナからなる内径140mm、深さ100mmの反応容器52に、種結晶30を設置した。なお、種結晶30は、反応容器52の底に深さ4mmの穴をあけて差し込んで保持した。
次に、ナトリウム(Na)を加熱して液体にして反応容器52内に入れた。ナトリウムが固化した後、ガリウムを入れた。本実施例では、ガリウムとナトリウムとのモル比を0.25:0.75とした。
その後、グローブボックス内で、高純度のArガス雰囲気下、反応容器52を内部容器51内に設置した。そして、バルブ61を閉じてArガスが充填された内部容器51を密閉し、反応容器52内部を外部雰囲気と遮断した。次に、内部容器51をグローブボックスから出して、結晶製造装置2に組み込んだ。すなわち、内部容器51をヒーター53に対して所定の位置に設置し、バルブ61部分でガス供給管54に接続した。
次に、内部容器51からアルゴンガスをパージした後、窒素供給管57から窒素ガスを入れ、圧力制御装置56で圧力を調整してバルブ55を開け、内部容器51内の全圧を1.2MPaにした。その後、バルブ55を閉じ、圧力制御装置56を3.0MPaに設定した。
次に、ヒーター53に通電し、反応容器52を結晶成長温度まで昇温した。結晶成長温度は870℃とした。そして、上記種結晶の製造例1における製造時と同様に、バルブ55を開け、窒素ガス圧力を3.0MPaとし、この状態で反応容器52を1500時間保持して窒化ガリウム結晶を成長させた。
その結果、反応容器52内には、種結晶30から結晶成長が生じ、c軸と垂直方向に結晶径が増大し、結晶径のより大きな13族窒化物結晶19(単結晶)が成長していた。結晶成長によって得られた13族窒化物結晶19は概ね無色透明であり、結晶径dは55mmであり、c軸方向の長さLは反応容器52に差し込んだ種結晶30の部分を含めて約54mmであった。なお、結晶成長時における、a軸方向<11−20>の結晶成長速度は約18.3μm/時間であった。また、得られた13族窒化物結晶19の形状は、上部が六角推形状であり下部が六角柱形状であった。
(実施例A2)
結晶成長温度を860℃、結晶成長時の窒素ガス圧力を2.7MPaとし、結晶成長時間(該条件で反応容器52を保持する時間)を1200時間とした以外は、実施例A1と同じ条件で図7に示す結晶製造装置2により種結晶30の結晶成長を行い、13族窒化物結晶19を製造した。
その結果、反応容器52内には、種結晶30から結晶成長が生じ、c軸と垂直方向に結晶径が増大し、結晶径のより大きな13族窒化物結晶19(単結晶)が成長していた。結晶成長によって得られた13族窒化物結晶19は概ね無色透明であり、結晶径dは56mmであり、c軸方向の長さLは反応容器52に差し込んだ種結晶30の部分を含めて約46mmであった。なお、結晶成長時における、a軸方向<11−20>の結晶成長速度は約23.3μm/時間であった。また、得られた13族窒化物結晶19の形状は、上部が六角推形状であり下部が六角柱形状であった。
(実施例A3)
結晶成長温度を850℃、結晶成長時の窒素ガス圧力を2.4MPaとし、結晶成長時間(該条件で反応容器52を保持する時間)を1000時間とした以外は、実施例A1と同じ条件で図7に示す結晶製造装置2により種結晶30の結晶成長を行い、13族窒化物結晶19を製造した。
その結果、反応容器52内には、種結晶30から結晶成長が生じ、c軸と垂直方向に結晶径が増大し、結晶径のより大きな13族窒化物結晶19(単結晶)が成長していた。結晶成長によって得られた13族窒化物結晶19は概ね無色透明であり、結晶径dは57mmであり、c軸方向の長さLは反応容器52に差し込んだ種結晶30の部分を含めて約45mmであった。なお、結晶成長時における、a軸方向<11−20>の結晶成長速度は約28.5μm/時間であった。また、得られた13族窒化物結晶19の形状は、上部が六角推形状であり下部が六角柱形状であった。
(実施例A4)
結晶成長温度を890℃、結晶成長時の窒素ガス圧力を4.2MPaとし、結晶成長時間(該条件で反応容器52を保持する時間)を2000時間とした以外は、実施例A1と同じ条件で図7に示す結晶製造装置2により種結晶30の結晶成長を行い、13族窒化物結晶19を製造した。
その結果、反応容器52内には、種結晶30から結晶成長が生じ、c軸と垂直方向に結晶径が増大し、結晶径のより大きな13族窒化物結晶19(単結晶)が成長していた。結晶成長によって得られた13族窒化物結晶19は概ね無色透明であり、結晶径dは62mmであり、c軸方向の長さLは反応容器52に差し込んだ種結晶30の部分を含めて約53mmであった。なお、結晶成長時における、a軸方向<11−20>の結晶成長速度は15.5μm/時間であった。また、得られた13族窒化物結晶19の形状は、上部が六角推形状であり下部が六角柱形状であった。
(実施例A5)
結晶成長温度を880℃、結晶成長時の窒素ガス圧力を3.5MPaとし、結晶成長時間(該条件で反応容器52を保持する時間)を1700時間とした以外は、実施例A1と同じ条件で図7に示す結晶製造装置2により種結晶30の結晶成長を行い、13族窒化物結晶19を製造した。
その結果、反応容器52内には、種結晶30から結晶成長が生じ、c軸と垂直方向に結晶径が増大し、結晶径のより大きな13族窒化物結晶19(単結晶)が成長していた。結晶成長によって得られた13族窒化物結晶19は概ね無色透明であり、結晶径dは58mmであり、c軸方向の長さLは反応容器52に差し込んだ種結晶30の部分を含めて約51mmであった。なお、結晶成長時における、a軸方向<11−20>の結晶成長速度は17.0μm/時間であった。また、得られた13族窒化物結晶19の形状は、上部が六角推形状であり下部が六角柱形状であった。
(比較例A1)
反応容器52をYAG製とし、ガリウムとナトリウムとのモル比を0.30:0.70、結晶成長温度を900℃、結晶成長時の窒素ガス圧力を8.0MPaとし、結晶成長時間(該条件で反応容器52を保持する時間)を2000時間とした以外は、実施例A1と同じ条件で図7に示す結晶製造装置2により種結晶30の結晶成長を行い、比較13族窒化物結晶を製造した。
その結果、反応容器52内には、種結晶30から結晶成長が生じ、c軸と垂直方向に結晶径が増大し、結晶径のより大きな比較13族窒化物結晶19(単結晶)が成長していた。結晶成長によって得られた比較13族窒化物結晶は概ね無色透明であり、結晶径dは60mmであり、c軸方向の長さLは反応容器52に差し込んだ種結晶30の部分を含めて約48mmであった。なお、結晶成長時における、a軸方向<11−20>の結晶成長速度は15.0μm/時間であった。また、得られた比較13族窒化物結晶の形状は、上部が六角推形状であり下部が六角柱形状であった。
(比較例A2)
結晶成長温度を900℃、結晶成長時の窒素ガス圧力を7.0MPaとし、結晶成長時間(該条件で反応容器52を保持する時間)を2200時間とした以外は、比較例A2と同じ条件で図7に示す結晶製造装置2により種結晶30の結晶成長を行い、比較13族窒化物結晶を製造した。
その結果、反応容器52内には、種結晶30から結晶成長が生じ、c軸と垂直方向に結晶径が増大し、結晶径のより大きな13族窒化物結晶19(単結晶)が成長していた。結晶成長によって得られた比較13族窒化物結晶は概ね無色透明であり、結晶径dは57mmであり、c軸方向の長さLは反応容器52に差し込んだ種結晶30の部分を含めて約47mmであった。なお、結晶成長時における、a軸方向<11−20>の結晶成長速度は13.0μm/時間であった。また、得られた比較13族窒化物結晶の形状は、上部が六角推形状であり下部が六角柱形状であった。
(比較例A3)
製造例2として、基板状の種結晶を用意した。まず、実施例A1で作成した13族窒化物結晶19を、マルチワイヤーソーでスライスし、c面を主面とする13族窒化物結晶基板を作製した。マルチワイヤーソーには、タカトリ社製MWS−34SNを用い、ワイヤーピッチ700μm、ワイヤー径160μmとした。作製した13族窒化物結晶基板の厚みは550μmであった。この13族窒化物結晶基板の表裏を研磨し、表面から10μm以内にインクルージョンを含まないように、表裏両側の研磨量を調整した。そして、研磨後の13族窒化物結晶基板を、基板状の種結晶とした。なお、この種結晶のc面直径は50.8mm、厚みは300μmであった。
この基板状の種結晶を用い、図7に示す結晶製造装置2により、種結晶から第2領域27の結晶成長を行い、比較13族窒化物結晶を製造した。
まず、内部容器51をバルブ61部分で結晶製造装置2から分離し、Ar雰囲気のグローブボックスに入れた。次いで、アルミナからなる内径140mm、深さ100mmの反応容器52に、上記基板状の種結晶を設置した。
次に、ナトリウム(Na)を加熱して液体にして反応容器52内に入れた。ナトリウムが固化した後、ガリウムを入れた。本実施例では、ガリウムとナトリウムとのモル比を0.25:0.75とした。
その後、グローブボックス内で、高純度のArガス雰囲気下、反応容器52を内部容器51内に設置した。そして、バルブ61を閉じてArガスが充填された内部容器51を密閉し、反応容器52内部を外部雰囲気と遮断した。次に、内部容器51をグローブボックスから出して、結晶製造装置2に組み込んだ。すなわち、内部容器51をヒーター53に対して所定の位置に設置し、バルブ61部分でガス供給管54に接続した。
次に、内部容器51からアルゴンガスをパージした後、窒素供給管57から窒素ガスを入れ、圧力制御装置56で圧力を調整してバルブ55を開け、内部容器51内の全圧を1.0MPaにした。その後、バルブ55を閉じ、圧力制御装置56を3MPaに設定した。
次に、ヒーター53に通電し、反応容器52を結晶成長温度まで昇温した。結晶成長温度は870℃とした。そして、実施例A1と同様にしてバルブ55を開け、窒素ガス圧力を2.5MPaとし、この状態で反応容器52を700時間保持して結晶成長させた。
その結果、反応容器52内には、c軸方向に基板の厚みが増大し、13族窒化ガリウム結晶(単結晶)が成長していた。結晶成長によって得た比較13族窒化物結晶は概ね無色透明であり、c軸方向の長さLは約8mmであった。
―熱処理―
次に、上記実施例A及び比較例Aで製造した13族窒化物結晶及び比較13族窒化物結晶に、下記熱処理条件で、熱処理を行った。
具体的には、上記実施例A及び比較例Aで製造した13族窒化物結晶及び比較13族窒化物結晶の各々に対して、窒素ガス5slm及びアンモニアガス1slmの混合ガスの雰囲気下で、850℃、860℃、1000℃、及び1100℃の各々の温度で1時間保持した。
この熱処理時における、インクルージョンの噴出又は広がりの有無と、インクルージョンの噴出方向、及び熱処理後の結晶の割れ、の各々について評価した。評価結果を、表1に示した。
なお、インクルージョンの噴出又は広がりの有無は、外観観察により行った。評価結果を、表1に示した。また、熱処理時のインクルージョンの噴出方向は、外観観察又はレーザー顕微鏡を用いて観察することによって行った。評価結果を、表1に示した。
また、熱処理後の結晶の割れは、外観観察や、レーザー顕微鏡を用いて観察することで行った。評価結果を、表1に示した。
−13族窒化物結晶基板−
次に、上記実施例A及び比較例Aで製造し、上記熱処理を行った13族窒化物結晶及び比較13族窒化物結晶に下記加工を行い、13族窒化物結晶基板を製造した。
<アルカリ金属の除去>
まず、上記実施例A及び比較例Aで製造し、上記熱処理を行った13族窒化物結晶及び比較13族窒化物結晶の各々について、純水希釈20%濃度塩酸溶液(塩酸溶液:純水=1:4)へ60分間浸漬した後に、純水による超音波洗浄10分間を行う一連の処理を3回繰り返した。これにより、上記実施例A及び比較例Aで製造し、上記熱処理を行った13族窒化物結晶及び比較13族窒化物結晶の各々の表面に噴出したインクルージョン(アルカリ金属)を除去した。
(実施例B1〜実施例B5)
実施例A(実施例A1〜実施例A5)で製造し、上記熱処理及びアルカリ金属の除去を行った13族窒化物結晶の各々について、基板化加工を行った。まず、実施例A1〜実施例A5で製造し、上記熱処理及びアルカリ金属の除去を行った13族窒化物結晶の各々におけるc軸方向両端部をc面表面となるように切断及び研削した。次に円筒加工し、更にc軸に対して平行な面にオリエンテーションフラットとインデックスフラット面を研削した。これにより、図17に示す外形に研磨した。なお、c軸方向の高さは25mm、c面の直径は50.8mmとした。
次に、これらの加工及び研磨を行った後の、実施例A1〜実施例A5で製造した13族窒化物結晶の各々について、島津製作所製のX線CT装置を用いて含まれるインクルージョン(アルカリ金属)位置を特定した。
含まれるインクルージョンの数を比較したところ、実施例A1で製造した13族窒化物結晶内に含まれるインクルージョンはわずかであった。一方、実施例A2で製造した13族窒化物結晶内に含まれるインクルージョンは、実施例A1で製造した13族窒化物結晶より多かった。また、実施例A3で製造した13族窒化物結晶内に含まれるインクルージョンは、実施例A2で製造した13族窒化物結晶より多かった。
次に、これらの加工、研磨、及びインクルージョンの位置特定を行った後の、実施例A1〜実施例A5で製造した13族窒化物結晶に基板化加工を行った。具体的には、これらの加工、研磨、及びインクルージョンの位置特定を行った後の、実施例A1〜実施例A5で製造した13族窒化物結晶を、m面に対して平行方向にスライスし、表面を研磨し、高さ40mm、横幅25mm、厚さ400μmのm面を主面とする13族窒化物結晶基板(図4中、13族窒化物結晶基板101参照)と、高さ40mm、横幅40mm、厚さ400μmのm面を主面とする13族窒化物結晶基板(図5中、13族窒化物結晶基板102参照)を作製した。
―評価―
実施例B1〜実施例B5で製造した13族窒化物結晶基板について、転位密度の測定を行った。
具体的には、上記実施例B1〜実施例B5で製造した13族窒化物結晶基板(図4中、13族窒化物結晶基板101参照)の各々のm面表面を、カソードルミネッセンスで観察した。カソードルミネッセンスの装置はCarl Zeiss製 MERLINを用い、加速電圧5.0kV、プローブ電流4.8nA、室温の条件で観察した。
実施例A1で製造した13族窒化物結晶から製造した13族窒化物結晶基板である、実施例B1の13族窒化物結晶基板の、c軸に対して平行な断面(m面)における基底面転位(c面方向の転位、すなわち、m面表面を貫通する転位)の転位密度は、104cm−2〜105cm−2台であった。評価結果を表1に示した。
実施例A2で製造した13族窒化物結晶から製造した13族窒化物結晶基板である、実施例B2の13族窒化物結晶基板の、c軸に対して平行な断面(m面)における基底面転位(c面方向の転位、すなわち、m面表面を貫通する転位)の転位密度は、105cm−2〜106cm−2台であった。評価結果を表1に示した。
実施例A3で製造した13族窒化物結晶から製造した13族窒化物結晶基板である、実施例B3の13族窒化物結晶基板の、c軸に対して平行な断面(m面)における基底面転位(c面方向の転位、すなわち、m面表面を貫通する転位)の転位密度は、106cm−2〜107cm−2台であった。評価結果を表1に示した。
また、実施例A4及び実施例A5で製造した13族窒化物結晶から製造した13族窒化物結晶基板である、実施例B4及び実施例B5の13族窒化物結晶基板の、c軸に対して平行な断面(m面)における基底面転位(c面方向の転位、すなわち、m面表面を貫通する転位)の転位密度についても同様にして測定した。測定結果は表1に示した。
なお、具体的には、上記実施例B1〜実施例B5で製造した13族窒化物結晶基板の各々のm面表面を観察した結果、転位が集中する領域も有り、カソードルミネッセンス観察像のコントラストから結晶粒界の存在が認められた。実施例B1〜実施例B5で製造した13族窒化物結晶基板の各々のm面表面を観察した結果、結晶粒界密度は10cm−2〜100cm−2台であった。
次に、上記実施例B1〜実施例B5で製造した13族窒化物結晶基板(図5中、13族窒化物結晶基板102参照)のm面表面をカソードルミネッセンスで観察した。その結果、転位がc面と平行方向に延びる暗線として多数観察された。更にc面と平行方向の転位が積層状に集合している領域も存在し、c面と平行方向には結晶粒界の存在が認められた。なお、種結晶である領域(第1領域21)と、種結晶から成長した領域(第2領域27)との界面付近に転位が集中している領域もあった。種結晶である領域(第1領域21)と、種結晶から成長した領域(第2領域27)との界面付近に転位が集中している領域では、<11−23>のようなc面と平行でない転位も存在した。また、転位の方向は、種結晶である領域(第1領域21)から、種結晶から成長した領域(第2領域27)へ向かう方向に複数発生していることも確認できた。
(比較例B1〜比較例B2)
比較例A1〜比較例A2で製造し、上記熱処理及びアルカリ金属の除去を行った比較13族窒化物結晶の各々について、実施例B1と同様にして基板化加工を行い、比較13族窒化物結晶基板を製造した。
製造した比較13族窒化物結晶基板について、実施例B1と同様にして、転位の評価を行った。
比較例B1の比較13族窒化物結晶基板(比較例A1の比較13族窒化物結晶から製造した基板)の基底面転位の転位密度は、103cm−2台程度であった。また、c面のカソードルミネッセンスの観察において、例えば<11−23>方向のようなc軸やc面に対してと平行ではない転位がc面表面に存在する場合は短い暗線などとして観察されるが、比較例B1の比較13族窒化物結晶基板には、このような短い暗線は観察されなかった。また、比較例B1の比較13族窒化物結晶基板のm面における貫通転位の転位密度は、103cm−2台程度であった。評価結果を表1に示した。
比較例B2の比較13族窒化物結晶基板(比較例A2の比較13族窒化物結晶から製造した基板)の基底面転位の転位密度は、103cm−2台程度であった。また、m面における貫通転位の転位密度は、103cm−2台程度であった。評価結果を表1に示した。
(比較例B3)
比較例A3で製造した比較13族窒化物結晶のc軸方向の両端をc面表面となるように研削した。次に円筒加工をし、更にc軸と平行方向の面にオリエンテーションフラットとインデックスフラットを研削した。なお、c軸方向の高さは7mm、c面の直径は15mmとした。
上記研削の後に、該比較13族窒化物結晶をm面に平行にスライスし、表面を研磨し、高さ7mm、横幅15mm、厚さ400μmのm面を主面とする比較13族窒化物結晶基板を製造した。この比較13族窒化物結晶基板について、上記と同様にして、基底面転位の転位密度及び貫通転位の転位密度を測定したが転位はほとんど見当たらず102cm−2以下であった。c軸方向に結晶成長させる場合は、転位はほとんど無いと推察される。測定結果は、表1に示した。
表1に示すように、実施例で作製した13族窒化物結晶は、比較例で作製した比較13族窒化物結晶に比べて、結晶成長速度が早く、c軸に対して平行な断面(m面等)における基底面転位の転位密度が104cm−2以上であった。このため、本実施例で作製した13族窒化物結晶は、半導体デバイスに好適な結晶であるといえる。
また、実施例で作製した13族窒化物結晶は、熱処理によりm軸方向にインクルージョン(アルカリ金属)が噴出し、また、比較例に比べて、効果的にアルカリ金属の減少が図れている。また、実施例で作製した13族窒化物結晶は、比較例で作製した13族窒化物結晶に比べて、アルカリ金属の噴出による凹凸が抑制された。また、実施例で作製した13族窒化物結晶は、比較例で作製した13族窒化物結晶に比べて、c軸方向へのアルカリ金属の噴出により基板がc軸方向に凸状に膨むことが抑制され、また、インクルージョンの噴出とともに表面が剥離して凹み状となることが抑制されていた。
従って、実施例で作製した13族窒化物結晶、及び13族窒化物結晶基板は、比較例で作製した13族窒化物結晶及び13族窒化物結晶基板に比べて、半導体デバイスに好適な結晶及び基板であるといえる。
−13族窒化物結晶基板、及び比較13族窒化物結晶基板への熱処理−
(実施例C1)
実施例B1で作製した13族窒化物結晶基板のうち、表面から深さ10μmまでの領域にはインクルージョンを内包しておらず、且つ、深さ11μm〜20μmの位置にインクルージョンを内包している13族窒化物基板を選別した。同様に、実施例B2及び実施例B2の各々で作製した13族窒化物結晶基板についても、表面から深さ10μmまでの領域にはインクルージョンを内包しておらず、且つ、深さ11μm〜20μmの位置にインクルージョンを内包している13族窒化物基板を選別した。
そして、窒素ガス5slm、アンモニアガス1slmの混合ガスの雰囲気下で、1200℃で1時間熱処理を行った。その結果、13族窒化物結晶基板の何れについても、表面に荒れはみられたが、c面表面へのインクルージョンの噴出は観察されなかった。
(実施例C2)
実施例B1で作製した13族窒化物結晶基板のうち、表面から深さ10μmまでの領域にインクルージョンを内包している13族窒化物基板を選別した。同様に、実施例B2及び実施例B3の各々で作製した13族窒化物結晶基板についても、表面から深さ10μmまでの領域にインクルージョンを内包している13族窒化物基板を選別した。
そして、選別した13族窒化物結晶基板について、窒素ガス5slm、アンモニアガス1slmの混合ガスの雰囲気下で、1200℃で1時間熱処理を行った。その結果、インクルージョンはc面表面に噴出するものと噴出しないものがあった。
実施例C1及び実施例C2に示すように、実施例で作製した13族窒化物結晶基板の内、表面から10μm以内にインクルージョンを含まない基板は、高温環境下に曝されてもインクルージョンがc面表面に噴出しないことが確認できた。一方、表面から10μm以内にインクルージョンを含む基板は、高温環境下に曝されるとインクルージョンがc面表面に噴出する場合がある。このため、実施例で作製した13族窒化物結晶基板の内、表面から10μm以内にインクルージョンを含まない基板の方が、表面から10μm以内にインクルージョンを含む基板に比べて、より半導体デバイスに好適であるといえる。
(比較例C1)
比較例B1で作成した比較13族窒化物結晶基板において、表面から深さ10μmまでの領域にはインクルージョンを内包しておらず、且つ、深さ11μm〜20μmの位置にインクルージョンを内包している比較13族窒化物基板を選別した。
そして、選別した比較13族窒化物結晶基板について、窒素ガス5slm、アンモニアガス1slmの混合ガスの雰囲気下で、1000℃で1時間熱処理を行った。その結果、基板表面へのインクルージョンの噴出は無いが、c軸方向に比較13族窒化物基板が凸状に膨らむ現象や、インクルージョンの噴出と共に基板表面が剥離する基板が確認できた。
この凸状の膨らみは熱処理前の比較13族窒化物基板と比較すると10μmから40μmの膨らみであった。熱処理により基板が凸状に膨らんでしまったり、基板表面が剥離してしまうのは、基底面転位の転位密度が104cm−2未満であったためと推測される。
なお、上記基板表面の評価や後述する基板表面の効果は、XRD装置のXRC測定により行った。
このように、比較例B1で製造した比較13族窒化物結晶基板は、結晶の歪みや表面の凹凸が実施例で製造した13族窒化物結晶基板に比べて大きい。また、加工や研磨により歪みや凹凸を調整することは、製造工程が増えることにつながる。このため、比較例B1で製造した比較13族窒化物結晶基板は、実施例で作製した13族窒化物結晶基板に比べて、半導体デバイスに適さないといえる。
(比較例C2)
比較例B2で作製した比較13族窒化物結晶基板において、基板内にインクルージョンを含むものを選別し、比較例C1と同様にして熱処理を行った。
その結果、比較13族窒化ガリウム結晶基板表面へのインクルージョンの噴出は無かったが、c軸方向に基板が凸状に膨らむ現象が見られた。この凸状の膨らみは熱処理前の比較13族窒化物基板と比較すると10μmから30μm程度の膨らみであった。熱処理により基板が凸状に膨らんでしまったり、基板表面が剥離してしまうのは、基底面転位の転位密度が104cm−2未満であったためと推測される。
このように、比較例B2で製造した比較13族窒化物結晶基板は、結晶の歪みや表面の凹凸が実施例で製造した13族窒化物結晶基板に比べて大きい。また、加工や研磨により歪みや凹凸を調整することは、製造工程が増えることにつながる。このため、比較例B2で製造した比較13族窒化物結晶基板は、実施例で作製した13族窒化物結晶基板に比べて、半導体デバイスに適さないといえる。