本発明の請求項1の換気装置は、同一建屋内に少なくとも2つの換気装置を備え、それぞれを1系統の情報伝達網で接続し、建屋内の換気風量を一定に保つ換気システムを構成する換気装置であって、
それぞれの換気装置は、前記情報伝達網を介して他の換気装置へ情報を送信する情報送信部と、前記情報伝達網を介して他の換気装置から情報を受信する情報受信部と、自己の動作を決定する制御部とを備え、前記制御部は、前記建屋に必要な総換気風量を判断する総換気風量判断手段と、前記情報受信部で受信した前記他の換気装置の情報から、前記総換気風量を保つよう自己の目標風量を決定する第1風量決定手段と、自己の換気装置が実際に出力している出力風量を検出し、この出力風量と前記目標風量が異なる場合に、得られた出力風量を優先風量として前記他の換気装置に対して前記情報送信部を介して知らせる風量検出手段を備えた構成とするものである。
これにより、情報送信部と情報受信部を介して双方向通信して各々の換気装置の第1風量決定手段が、総換気風量判断手段にて決定した建屋に必要な総換気風量情報と、同一建屋内に接続されている他の換気装置の優先風量情報とから前記総換気風量を保つよう自己の風量を決定することとなり、個々の換気装置が他の換気装置の風量情報を取得して建屋全体の風量が総換気風量になるように個々に風量を増減し調整することができるので換気風量過多によるエネルギーロスを低減し、効率よく換気を行えるという効果を奏する。
また、本発明の他の換気装置は、前記制御部は、運転風量を指令する外部風量設定部をさらに備え、この外部風量設定部に運転風量が設定された場合には、この設定された運転風量で運転するように指令するとともに、この設定された運転風量を優先風量として前記他の換気装置に対して前記情報送信部を介して知らせる第2風量決定手段を備えたものである。
これにより、換気装置に備えている外部風量設定部が設定された場合に、第1風量決定手段にて決定した風量に優先させて第2風量決定手段にて決定した風量を新たな風量とし、優先風量情報を情報送信部と情報受信部を介して双方向通信して他の換気装置へ伝達することで、互いに他の換気装置の最新の状態を把握することとなり、一つの換気装置の外部風量設定部が設定されて風量を増加させた場合においても、他の換気装置が建屋に必要な総換気風量を保つように、風量を決定し増加分を減少させることができるので換気風量過多によるエネルギーロスを低減できる。
また、本発明の他の換気装置は、前記第1風量決定手段は、前記総換気風量を同一の前記情報伝達網内に接続された前記換気装置の台数で除した値を自己の目標風量とするものであり、同一の情報伝達網に繋がれた換気装置の台数を判断するだけで自己の目標風量を算出できるものである。
また、本発明の他の換気装置は、前記情報送信部および前記情報受信部は、自己の換気装置の最大風量の情報を送受信し、前記第1風量決定手段は、前記総換気風量にそれぞれの換気装置の最大風量の比率を乗じた風量を目標風量とするものである。
これにより、最大風量の異なる換気装置が設置された場合においても、最大風量の情報を情報送信部と情報受信部を介して双方向通信して他の換気装置へ伝達することで、建屋全体の風量が総換気風量になるように、換気装置の最大風量に応じた設定風量となるように個々に風量を増減し調整することができるので、最大風量の異なる換気装置が設置された場合においても、換気風量過多によるエネルギーロスを低減し、効率よく換気を行えるという効果を奏する。
また、本発明の他の換気装置は、前記建屋の仮総換気風量を設定する仮総換気風量設定部を有し、前記情報送信部は、前記仮総換気風量を送信情報として前記他の換気装置へ送信し、前記総換気風量判断部は、前記情報受信部を介して得られた前記仮総換気風量のうち最大のものを前記建屋に必要な前記総換気風量と判断するものである。
これにより、それぞれの換気装置が同一の構成であって、それぞれに総換気風量を設定する仮総換気風量設定部を有した状態で建屋全体の総換気風量を決定することができる。
以下、本発明の一実施形態を、添付の図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1の換気システムの設置構成例を示す図で、ここでは、総床面積200〔m2〕の建屋に、最大風量能力150〔m3/h〕の同スペックの換気装置を2台設置した場合を想定したものであり、各々の換気装置を第一の換気装置1と第二の換気装置2とし、第一の換気装置1はLDKに設置されており、第二の換気装置2はトイレ/浴室に設置されているとして、本発明の実施の形態1について以下説明する。
図2において、換気装置の本体ケース3は、下面に室内空気取入開口部4、側面(または上面)に室内空気排出開口部5を有する箱形の本体ケースで、内部には送風機6が設けられている。
この換気装置の本体ケース3は図3のごとく、天井板7の上面に設置されるもので、この天井板7には、室内空気取入開口部4と略同じ大きさの開口部(図示せず)が設けられている。
また、換気装置の本体ケース3の室内空気排出開口部5にはダクト8の一端が接続され、さらにダクト8の他端は室外へと延長されている。
前記本体ケース3は、天井板7の下面から、前記室内空気取入開口部4を覆うごとく、スリット状の通気孔9を備えた化粧板10が着脱自在に取り付けられている。
この化粧板10の前記本体ケース3への取り付けについては、よく知られた構造であるので、簡単に説明すると、図2に示すように、化粧板10の取付バネ11を、本体ケース3の取付部12に装着することで、この作業は簡単に行える。前記化粧板10は、本体ケース3の室内空気取入開口部4よりも大きなものであるので、天井板7の開口部(図示せず)や、前記室内空気取入開口部4を、天井板7の下面側から覆い、美的感覚を高めるものである。
また、この化粧板10を着脱し、使用者が容易に確認でき操作可能な位置には、建屋で確保すべき風量を設定するための仮総換気風量設定部13が取り付けられている。この仮総換気風量設定部13は、図4(a)に示すように、建屋で確保すべき総換気風量を設定する構成としているが、これに限定するものではなく、総換気風量が一意に決定できる設定値であればよいものとする。ここで、「仮」としているのは、後述するように、複数の換気装置に設けられた仮総換気風量設定部13でそれぞれ設定されるので、最終的に建屋内で1つの総換気風量Qを決定する処理が必要となるからである。
ところで、仮総換気風量設定部13の入力方法としては、たとえば建屋の総床面積が挙げられる。建築業界においては、建物の床面積によって確保しなければならない風量が決まっているのが一般的であり、図4(b)に示すように、間取りに応じて、建屋に必要な総換気風量が定義されている。あるいは、仮総換気風量設定部13の入力方法としては、仮総換気風量Qnを直接入力する方法でもよい。
また、仮総換気風量設定部13は図4(a)に示すように、設定値を多段階に設定可能なダイヤル式のスイッチを設けてあるが、これに限定するものではなく、切り替え設定ができればよいものとする。
次に、換気装置の換気風量を制御する制御回路のブロック図について図5を用いて説明する。
制御回路のブロックは、商用電源14に接続した電源回路15と、電源回路15の出力電圧からFETなどのスイッチング素子の集合体であるドライブIC16などを介して接続される三相(U、V、W相)の固定子巻き線を有するDCモータなどの送風機6と、前記送風機6の回転数を調整する制御部17を備えている。
また、前記制御回路のブロックは、建屋で確保すべき風量を設定するための仮総換気風量設定部13と、他の換気装置へ情報を伝達する情報送信部18と、他の換気装置から情報を取得する情報受信部19を備えている。
制御部17には、電源回路15と、ドライブIC16と、仮総換気風量設定部13と、情報送信部18と、情報受信部19と、が接続されている。
また、制御部17は、電源回路15の出力電圧であるDC5VやDC3Vで駆動するものであり、CPU(Central Processing Unit)で構成される。後述する制御部17の動作については、制御部17内部のカウンターやRAM、ROMが共同するプログラムの形態で実施される。
また、制御部17は、建屋で確保すべき総換気風量を決定する総換気風量判断手段20と、自己の風量を決定する第1風量決定手段21と、送風機6が実際に出力している風量を検出する風量検出手段22と、自己の換気装置の情報を計算用に蓄えるための計算用バッファ23から構成されている。
なお、情報送信部18および情報受信部19は、通信相手に送信元を識別させるための通信IDと、換気装置の風量に関する情報を、換気装置間で送受信するものであり、各々の換気装置の情報送信部18および情報受信部19の接続、すなわち、各換気装置間の情報伝達網については、有線式や無線式のどちらでもよく、様々な情報伝達網の種類が適用可能である。
総換気風量判断手段20は、自己の換気装置の仮総換気風量設定部13にて設定された仮総換気風量Qn(nは換気装置1、2、・・・に対応する添え字。以下同じ)と、情報受信部19で受信した他の換気装置の仮総換気風量Qnとを比較して、最も大きい仮総換気風量Qnを建屋で確保すべき総換気風量Qとするものであり、第1風量決定手段21と接続している。なお、仮総換気風量Qnの中で最大のものを総換気風量Qとするので、複数の換気装置のうち、どれかひとつだけでも仮総換気風量Qnが設定されていればよい。
第1風量決定手段21は、総換気風量判断手段20にて決定した総換気風量Qと、他の換気装置の情報とを元に自己の目標風量qnを決定し、ドライブIC16を介して送風機6の風量を調整するものである。
風量検出手段22は、図3に示すダクト8内部に風量を検出するセンサ(図示せず)を備え付け検出する方法や、送風機6の電流や回転数の情報を元に検出する方法を用いて、送風機6が実際に出力している風量(出力風量qRn)を検出する。そして、この出力風量qRnと送風機6に設定された自己の目標風量qnと比較する。比較の結果、実際の出力風量qRnと目標風量qnが異なる場合は、送風機6に設定された目標風量qnよりも、優先した風量で送風機6が動いていることを他の換気装置に知らせるために、送風機6が実際に出力している出力風量qRnを自己の換気装置の優先風量Pnとして設定する。
一方、実際の出力風量qRnと目標風量qnが等しい場合は、優先風量Pn=0とする。この「等しい場合」とは、ある程度の範囲で合致していればよく、出力風量qRnが目標風量qnに対して例えば±5%の範囲内に入っている場合に、「等しい」と判断する。逆に言えば、この場合の「異なる場合」とは、出力風量qRnが目標風量qnに対して±5%の範囲から外れている状態である。
そして、風量検出手段22は計算用バッファ23に接続しており、優先風量Pnを、計算用バッファ23に蓄積する。
計算用バッファ23は、仮総換気風量設定部13で設定された仮総換気風量Qnの情報と、第1風量決定手段21で決定した目標風量qnに優先して自己の換気装置に設定する風量である優先風量Pnの情報とを計算用に蓄えるものであり、情報送信部18に接続している。
また、計算用バッファ23には、他の換気装置と情報を送受信する際に通信相手を識別できるような通信IDの情報が予め記憶されている。
上記構成において、換気装置の風量制御動作について図6に示すフローチャートを用いて説明する。
換気装置の風量制御動作フローは、以下の5つのステップによって説明できる。
すなわち、計算用バッファ23に、自己の換気装置で設定された仮総換気風量Qnの情報と、初期の優先風量Pnの情報(=0〔m3/h〕)を蓄積するフロー(STEP1)と、
計算バッファに蓄積された情報を、情報送信部18を介して他の換気装置に送信し、情報受信部19を介して、他の換気装置から情報を受信するフロー(STEP2)と、
総換気風量判断手段20を示すフロー(STEP3)と、
第1風量決定手段21を示すフロー(STEP4)と、
風量検出手段22を示すフロー(STEP5)とから構成される。
以下詳細について説明する。
第一の換気装置1および第二の換気装置2へ電源が供給されると、STEP1に示すように、それぞれの換気装置内では、仮総換気風量設定部13で設定された仮総換気風量Q1、Q2を計算用バッファ23に蓄積する。また、初期の優先風量P1、P2の情報(=0〔m3/h〕)を蓄積する。
本実施の形態においては、仮総換気風量設定部13は、図4(a)に示すように、直接仮総換気風量Qnを設定する構成である。例えば、第一の換気装置1の仮総換気風量設定部13には、仮総換気風量Q1=150〔m3/h〕が設定され、第二の換気装置2の仮総換気風量設定部13では、仮総換気風量Q2=170〔m3/h〕が設定されているとする。そして、これらの情報を計算用バッファ23に蓄積する。
また、第一の換気装置1の通信IDはI1=101、第二の換気装置2の通信IDはI2=102であり、各換気装置の計算用バッファ23に記憶されているものとする。
また、前述したように、第一の換気装置1の初期の優先風量として、P1=0〔m3/h〕、第二の換気装置2の初期の優先風量として、P2=0〔m3/h〕を計算用バッファ23に蓄積する。
次に、各換気装置の情報送信部18は、STEP2に示すように、計算用バッファ23に蓄積された、仮総換気風量Qnの情報と、優先風量Pnの情報と、通信IDの情報を他の換気装置に送信する。すなわち、第一の換気装置1の情報送信部18は、自己の換気装置に設定された仮総換気風量Q1と、優先風量P1と、通信IDの情報I1とを第二の換気装置2へ送信する。
同様に、第二の換気装置2の情報送信部18は、自己の換気装置に設定された仮総換気風量Q2と、優先風量P2と、通信IDの情報I2とを第一の換気装置1へ送信することで、双方向通信が完了し、互いの情報および同一建屋内に2台の換気装置が接続されていることを認識できる。
次に、総換気風量判断手段20では、STEP3に示すように、各換気装置で設定された仮総換気風量Q1、Q2との情報を比較し、最も大きい値を建屋で確保すべき総換気風量Qと認識する。すなわち、Q=Q2=170〔m3/h〕となる。
次に第1風量決定手段21では、STEP2にて認識した同一建屋内に2台の換気装置が接続されている情報と、建屋に必要な総換気風量Q=170〔m3/h〕の情報と、情報受信部19で受信した他の換気装置の優先風量Pnの情報をもとに、換気装置1台あたりの目標風量qnを決定する。
本実施の形態では、第一の換気装置1と第二の換気装置2の最大風量能力は互いに150〔m3/h〕であるので、2台同時に最大能力で運転した場合は、最大風量=150×2=300〔m3/h〕となり、必要な総換気風量Q=170〔m3/h〕に対して、130〔m3/h〕の風量過多状態となってしまう。
そこで、単純には、各換気装置の風量は、必要な総換気風量Qを設置されている換気装置の台数Nで均等割りしたものとすることで、総換気風量Qを満たすことができる。すなわち、第一の換気装置1の目標風量q1および第二の換気装置2の目標風量q2は、
q1=q2=Q/N=170/2=85〔m3/h〕
となる。
次に、優先風量Pnを確認する。第1風量決定手段21は、STEP4に示すように、設定されている優先風量Pnを総換気風量Qから除いた残りの風量を、優先風量Pnが設定されていない換気装置にて均等に配分するように新しい風量を決定する。
この場合、第一の換気装置1と第二の換気装置2の優先風量Pnはともに0〔m3/h〕なので、優先風量Pnで動作する換気装置はないこととなる。
したがって、優先風量Pnが設定されている換気装置の風量を除いた残りの風量QEは、
QE=Q=170〔m3/h〕
優先風量Pnが設定されていない換気装置の台数NEは、
NE=N=2〔台〕
となる。各換気装置の目標風量qnはQE〔m3/h〕をNE〔台〕で均等に配分することとなるので、第一の換気装置1では、
q1=QE/NE=170/2=85〔m3/h〕
第二の換気装置2では、
q2=QE/NE=170/2=85〔m3/h〕
となる。
すなわち、上記目標風量q1、q2で運転した場合の実際の出力風量qR1、qR2は、ともに約85〔m3/h〕となるので、出力される総換気風量は、
qR1+qR2=85+85=170〔m3/h〕
となり、総換気風量Q=170〔m3/h〕を満たすことができる。
次に、実際の出力風量qRnが目標風量qnと異なるようになる場合について説明する。
例えば、換気装置の本体ケース3の室内空気排出開口部5にはダクト8の一端が接続されており、さらにダクト8の他端は室外へと延長されているのが一般的な施工状態であり、ダクト8の長さによって圧力損失が増減し、当初定めた所定の風量(目標風量qn)を確保できない場合がある。
第一の換気装置1および第二の換気装置2のダクト8が設計許容値以内の長さで施工されており、各換気装置に設定された目標風量q1、q2と同等の能力を発揮できれば問題ない。
しかし、例えば第二の換気装置2のダクト8が設計許容値以上の長さで施工され、q2=50〔m3/h〕の能力しか発揮できない場合もある。
風量検出手段22は、STEP5に示すように、送風機6が実際に出力している出力風量qRnを検出する。そして、自己の目標風量qnと比較して実際の出力風量qRnが異なる場合は、目標風量qnが実現できないとして、他の換気装置に知らせるために、実際に出力している出力風量qRnを自己の換気装置の優先風量Pnとして設定する。
上記の場合、すなわち、第二の換気装置2がqR2=50〔m3/h〕の能力しか発揮できない場合、第一の換気装置1の風量検出手段22は、第一の換気装置1の実際の出力風量qR1=85〔m3/h〕を検出し、優先風量はP1=0〔m3/h〕を設定して計算用バッファに蓄積する。一方、第二の換気装置2の風量検出手段22は、第二の換気装置2の実際の出力風量qR2=50〔m3/h〕を検出し、優先風量P2=qR2=50〔m3/h〕を設定して計算用バッファに蓄積する。
しかし、このままでは、
qR1+qR2=85+50=135〔m3/h〕
となり、総換気風量Q=170〔m3/h〕を満たさない。
この状態において、再度STEP2に戻り、第一の換気装置1の情報送信部18は、自己の通信IDと優先風量P1=0、仮総換気風量Q1=150を送信する。第二の換気装置2の情報送信部は、自己の通信IDと優先風量P2=50、仮総換気風量Q2=170を送信する。各換気装置の情報受信部19はこの情報を受信する。
次にSTEP3に示すように総換気風量判断手段20にて、総換気風量Qを決定する。Q1、Q2の情報は変化していないので、総換気風量Q=170〔m3/h〕のままとなる。
次にSTEP4に示すように、第1風量決定手段21にて換気装置1台あたりの風量を決定する。ここで、第二の換気装置2には、優先風量P2=50〔m3/h〕が設定されている。第1風量決定手段21は、自己の優先風量Pnが設定されていない場合、総換気風量Qから他の換気装置の優先風量Pnの和を減じた値と優先風量が設定されていない(Pn=0)換気装置の台数とから目標風量qnを算出する。
すなわち、第一の換気装置1の第1風量決定手段21では、第二の換気装置2の優先風量P2を総換気風量Qから減算して、優先風量Pnが設定されていない換気装置で賄うべき風量QE
QE=170−50=120〔m3/h〕
優先風量が設定されていない換気装置の台数NE
NE=2−1=1〔台〕
を得る。従って、第一の換気装置1の目標風量q1は、
q1=QE/NE=120/1=120〔m3/h〕
と決定する。
第二の換気装置2の第1風量決定手段21では、自己の優先風量P2が設定されているので、目標風量q2を優先風量P2として運転することになる。
すなわち、優先風量Pnが設定されていない(=0)の場合には、換気装置の台数N、総換気風量Qから求められる目標風量qn
qn=Q/N
で運転する。一方、優先風量Pnが設定されている場合(≠0)には、最初に求めた目標風量qnで運転するのである。(この場合、第二の換気装置2は、目標風量q2=85〔m3/h〕で運転しているが、実際にはqR2=50〔m3/h〕しか出力されないことになる。)。
次に、新しい目標風量q1、q2で送風機6を駆動し、STEP5に示すように、風量検出手段22にて実際の風量を検出する。第一の換気装置1は能力を発揮できているとすると、第一の換気装置1の風量検出手段22は第一の換気装置1の実際の出力風量qR1=120〔m3/h〕を検出し、優先風量はP1=0〔m3/h〕を設定して計算用バッファに蓄積する。一方、第二の換気装置2の風量検出手段22は第二の換気装置2の実際の出力風量qR2=50〔m3/h〕を検出し、優先風量P2=qR2=50〔m3/h〕を設定して計算用バッファに蓄積する。
したがって、qR1+qR2=120+50=170〔m3/h〕となり、総換気風量Q=170〔m3/h〕を維持することができる。
また、本実施の形態では、換気装置を2台用いて説明をしたが、台数が増加した場合も本実施の形態が適用でき、同様の効果が得られる。
以上のように、本発明の実施の形態1においては、互いの換気装置同士が互いに情報を取得し合うことで、総換気風量判断手段20で決定した総換気風量情報および設置されている換気装置の設定風量に優先する優先風量情報とから自己の換気風量を判断し運転する構成とした。従って、建屋全体の必要な総換気風量に対して、換気装置それぞれの換気能力が過多あるいは過少の状況においても、換気装置同士が主従関係なく自己の風量を増減できるように調整できることで、建屋全体の風量を最適に保つことが可能となる。
なお、本実施の形態においては、各換気装置1,2に仮総換気風量設定部13を設ける構成としたが、同一の情報伝達網内に総換気風量Qを設定する総換気風量設定器を設けてもよい。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2の換気装置の構成について、図7〜11を参照しながら説明する。
なお、実施の形態1と同一機能を有するものは、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施の形態の換気装置は、実施の形態1の換気装置の構成に加え、第1風量決定手段21で決定する風量よりも優先した風量(以降、外部設定風量En)を設定できる外部風量設定部24を具備している。
外部風量設定部24は、入力値に対して一意に外部設定風量Enを決定できる構成であればよい。たとえば、図7に示すように、化粧板10の通気孔9に設けられた外部風量設定部取付孔25に、外部風量設定部24が取り付けられ、人感センサ、温度センサ、湿度センサ、一酸化炭素センサ、二酸化炭素センサ、照度センサの少なくとも一つを搭載し、センサの検知状態に応じて外部設定風量Enを決定するような構成であってもよい。
また、図8に示すように、化粧板10を着脱し、使用者が容易に確認でき操作可能な位置に、外部風量設定部24が取り付けられ、図9(a)に示すように、外部設定風量Enが多段階に設定可能であるような構成としてもよい。また、図9(b)に示すように、外部設定風量Enが一意に決定できるような設定値を多段階に設定可能であるような構成であったりしてもよい。
以降の説明においては、外部風量設定部24は図7に示すような構成で、人の有無を検知する人感センサ27を備え、人感センサ27が検知すると、換気装置の最大風量を外部設定風量Enとして設定するような構成であるとする。
また、図10の換気装置の制御回路のブロック図に示すように、外部風量設定部24は制御部17へ接続され、制御部17は外部風量設定部24で設定された外部設定風量Enを認識する。
制御部17は内部に第2風量決定手段26を備え、第2風量決定手段26はプログラムの形態で実施され、第1風量決定手段21を内包する。第2風量決定手段26は、外部風量設定部24にて外部風量が設定されている場合は、自己の換気装置の目標風量qnを外部設定風量Enとする。また、外部風量設定部24にて外部設定風量Enが設定されていない場合は、実施の形態1で説明したように、第1風量決定手段21は、総換気風量判断手段20にて決定した総換気風量Qの情報と、情報受信部19にて受信した他の換気装置の優先風量Pnとから自己の目標風量qnを決定し、送風機6の風量を調整する。
以下、総床面積200〔m2〕の建屋に、最大風量能力150〔m3/h〕の同スペックの換気装置を2台設置した場合を想定し、第一の換気装置1および第二の換気装置2のダクト8は設計許容値以内の長さで施工されており、総換気風量Qと同等の能力を発揮できるものとして説明する。
上記構成において、実施の形態2の換気装置の風量制御動作について、図11に示すフローチャートを用いて説明する。
第2風量決定手段26は、図11のフローチャートに示すように、外部風量設定部24で外部設定風量Enが設定されていない場合では、第1風量決定手段21と同等の動作を行うため、この状態では実施の形態1のSTEP1〜5と同等のフローとなる。従って、外部風量設定部24で外部設定風量Enが設定されていない場合の説明は省略する。
そして、第2風量決定手段26の特徴的な動作について、第一の換気装置1の外部風量設定部24の人感センサ27が検知状態であり、第二の換気装置2の外部風量設定部24の人感センサ27が非検知状態である場合について説明する。
STEP6に示すように、外部風量設定部24の人感センサ27が検知状態になると、強制的に汚れた空気を屋外へ排出するために、換気装置の最大風量を外部設定風量Enとして設定する。第2風量決定手段26は、外部風量設定部24から外部設定風量Enを受け取り、自己の換気装置の目標風量qnとして外部設定風量Enの値を設定するとともに、この外部設定風量Enを、優先風量Pnとして設定する。
すなわち、第一の換気装置1の外部風量設定部24は、外部設定風量E1として最大風量能力である150〔m3/h〕を設定する。これを受けて、第2風量決定手段26は、自己の換気装置の目標風量q1=E1=150〔m3/h〕を設定し、優先風量P1=E1=150〔m3/h〕とする。一方で、第二の換気装置2の外部風量設定部24は、外部設定風量E2が設定されていない(E2=0〔m3/h〕)ので、第2風量決定手段26は、STEP4にて自己の換気装置の目標風量q2を決定する。すなわち、第二の換気装置2の風量はq2=85〔m3/h〕のまま、優先風量P2=0〔m3/h〕のままとなる。
STEP5において、第一の換気装置1は最大風量で運転し、第一の換気装置1の風量検出手段22で検出する実風量はqR1=150〔m3/h〕、第二の換気装置2の風量検出手段22で検出する実風量はqR2=85〔m3/h〕となる。このままでは、第一の換気装置1の風量と第二の換気装置2の合計の風量は、
qR1+qR2=150+85=235〔m3/h〕
となり、建屋に必要な総換気風量Q=170〔m3/h〕に対して、65〔m3/h〕の風量過多状態となる。
しかし、実施の形態1のSTEP4で示したように、第二の換気装置2において情報受信部19で受信した第一の換気装置1の優先風量P1=150〔m3/h〕が設定されているため、第二の換気装置2の自己の目標風量q2は、
q2=QE/NE
=(170−150)/(2−1)
=20/1=20〔m3/h〕
に修正される。
したがって、第一の換気装置1の風量と第二の換気装置2の合計の風量は、
qR1+qR2=150+20=170〔m3/h〕
となり、建屋に必要な総換気風量Q=170〔m3/h〕を維持することができる。
また、人が退出し、第一の換気装置1の外部風量設定部24の人感センサ27が非検知となった場合は、第一の換気装置1の外部設定風量E1が0〔m3/h〕となり、外部設定風量Enが設定されている換気装置がなくなるため、STEP4にて、q1=q2=85〔m3/h〕で運転することとなる。
また、第一の換気装置1および第二の換気装置2のそれぞれの人感センサ27が検知し、外部設定風量がともに最大換気風量(E1=E2=150〔m3/h〕)となっている場合は、各空間の汚れた空気を強制的に屋外へ排出するために、それぞれが換気風量を確保することを優先としてq1=q2=150〔m3/h〕で運転する。この場合、一定時間は換気風量過多状態となるが、人感センサ27が非検知となり、汚れた空気が排出された後は、q1=q2=85〔m3/h〕で運転することとなり、総換気風量Q=170〔m3/h〕が保持された状態となる。
本実施の形態では、換気装置を2台用いて説明をしたが、台数が増加した場合も同様の
効果が得られる。
また、本実施の形態では、外部風量設定部24の人感センサ27が検知状態になった場合に、外部設定風量Enとして換気装置の最大風量を決定する構成として説明したが、これに限定するものではなく、たとえば、センサが検知した際に、外部設定風量Enとして最大風量よりも小さい風量を決定したり、ファンを停止したりする構成としてもよいものとする。
以上のように、本発明の実施の形態2においては、互いの換気装置同士が互いに情報を取得し合い、自己の目標風量qnを判断する。すなわち、第2風量決定手段26は、総換気風量判断手段20で決定した総換気風量Q、設置されている換気装置の優先風量Pn、および外部風量設定部24で決定した外部設定風量Enから自己の目標風量qnを判断し運転する構成とした。従って、外部設定風量Enが設定されることで一定時間風量を増加させなければならない場合に、建屋全体の必要な総換気風量Qに対して、換気装置は主従関係なく自己の目標風量qnを増減し調整できるので、建屋全体の風量を最適に保つことが可能となる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3の換気装置の構成について、図12〜13を参照しながら説明する。
なお、実施の形態1と同一機能を有するものは、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施の形態の換気装置は、実施の形態1の換気装置の構成において、計算用バッファ23は、予め自己の換気装置の最大風量Sn(場合によっては、定格風量)を記憶している。また、情報送信部18および情報受信部19は、通信相手を識別するための通信IDと、優先風量Pnの情報に加え、自己の換気装置の最大風量Snを換気装置間で送受信する構成としたものである。
また、実施の形態1の第1風量決定手段21では、優先風量が設定されていない換気装置の風量は、総換気風量から優先風量が設定されている換気装置の風量を除いた風量を、優先風量が設定されていない換気装置の台数で均等に分配していた。本実施の形態では、図12に示すように、実施の形態1の第1風量決定手段21に替えて、換気装置の最大風量に応じた風量を設定する第3風量決定手段28が設けられている。この第3風量決定手段28にて以下の方法によって自己の風量を決定する。
以下、総床面積200〔m2〕の建屋に、最大風量能力180〔m3/h〕の第一の換気装置1と、最大風量能力75〔m3/h〕の第二の換気装置2を設置した場合を想定して説明する。
上記構成において、換気装置の風量制御動作について図13に示すフローチャートを用いて説明する。
換気装置の風量制御動作フローは、以下の5つのステップによって説明できる。
すなわち、計算用バッファ23に、自己の換気装置で設定された仮総換気風量Qnの情報と、初期の優先風量Pnの情報(=0〔m3/h〕)と自己の換気装置の最大風量Snを蓄積するフロー(STEP7)と、
計算バッファに蓄積された情報を、情報送信部18を介して他の換気装置に送信し、情報受信部19を介して、他の換気装置から情報を受信するフロー(STEP8)と、
総換気風量判断手段20を示すフロー(STEP3)と、
第3風量決定手段28を示すフロー(STEP9)と、
風量検出手段22を示すフロー(STEP5)とから構成される。
以下詳細について説明する。
第一の換気装置1および第二の換気装置2へ電源が供給されると、STEP7に示すように、それぞれの換気装置内では、仮総換気風量設定部13で設定された仮総換気風量Qnを計算用バッファ23に蓄積する。また、初期の優先風量Pnの情報(=0〔m3/h〕)を蓄積する。また、予め計算用バッファ23に記憶されている換気装置の最大風量Snを認識する。
ここで例えば、仮総換気風量設定部13は、実施の形態1と同様、図4(a)に示すように、直接仮総換気風量Qnを設定する構成である。本実施の形態では、第一の換気装置1の仮総換気風量設定部13では、仮総換気風量Q1=150〔m3/h〕が設定されており、第二の換気装置2の仮総換気風量設定部13では、仮総換気風量Q2=170〔m3/h〕が設定されており、これらの情報を計算用バッファ23に蓄積する。
また、第一の換気装置1の通信IDはI1=101、第二の換気装置2の通信IDはI2=102であり、各換気装置の計算用バッファ23に記憶されているものとする。
また、第一の換気装置1の初期の優先風量Pnとして、P1=0〔m3/h〕、第二の換気装置2の初期の優先風量として、P2=0〔m3/h〕を計算用バッファ23に蓄積する。
また、予め計算用バッファ23に記憶されている換気装置の最大風量Snとして、第一の換気装置1は最大風量S1=180〔m3/h〕、第二の換気装置2は最大風量S2=75〔m3/h〕を認識する。
次に、各換気装置の情報送信部18は、STEP8に示すように、計算用バッファ23に蓄積された、仮総換気風量Qnと、優先風量Pnと、換気装置の最大風量Snと、通信IDの情報を他の換気装置に送信する。
すなわち、第一の換気装置1の情報送信部18は、自己の換気装置に設定された仮総換気風量Q1と、優先風量P1と、換気装置の最大風量S1と、通信IDの情報I1とを第二の換気装置2へ送信する。
同様に、第二の換気装置2の情報送信部18は、自己の換気装置に設定された仮総換気風量Q2と、優先風量P2と、換気装置の最大風量S2と、通信IDの情報I2とを第一の換気装置1へ送信することで、双方向通信が完了し、互いの情報および同一建屋内に2台の換気装置が接続されていることを認識できる。
次に、総換気風量判断手段20では、STEP3に示すように、仮総換気風量Q1、Q2との情報を比較し、大きい方の値を建屋で確保すべき総換気風量Qと認識する。すなわち、Q=Q2=170〔m3/h〕とする。
次に第3風量決定手段28では、STEP8にて認識した同一建屋内に2台の換気装置が接続されている情報と、建屋に必要な総換気風量Q=170〔m3/h〕の情報と、情報受信部19で受信した他の換気装置の優先風量Pnと、各換気装置の最大風量Snをもとに、換気装置1台あたりの風量を決定する。
第3風量決定手段28は、STEP9に示すように、優先風量Pnが設定されている他の換気装置の風量を総換気風量Qから除く。次に、各換気装置の最大風量Snの和に占める自己の換気装置の最大風量Snの比率を残りの風量に乗じたものを新しい目標風量qnとして決定する。
また、自己の換気装置は、自己の優先風量は設定されず、0〔m3/h〕とする。
この場合、第一の換気装置1と第二の換気装置2の優先風量はともに0〔m3/h〕なので、優先風量で動作する換気装置はないこととなる。
したがって、優先風量が設定されている換気装置の風量を除いた残りの風量QE=Q=170〔m3/h〕に対して、各換気装置の最大風量Snの和に占める自己の換気装置の最大風量Snの比率を乗じたものを、各換気装置の目標風量qnとする。すなわち、第一の換気装置1の目標風量q1は、
q1=S1/(S1+S2)×Q
=180/(180+75)×170
=120〔m3/h〕
第二の換気装置2の目標風量q2は、
q2=S2/(S1+S2)×Q
=75/(180+75)×170
=50〔m3/h〕
となる。
また、第一の換気装置1と第二の換気装置2はともに、第3風量決定手段28と同じ動作を行うため、優先風量Pnは設定されない。したがって、第一の換気装置1と第二の換気装置2の優先風量としてP1=P2=0〔m3/h〕として、計算用バッファ23に蓄積する。
したがって、qR1+qR2=120+50=170〔m3/h〕となり、総換気風量Q=170〔m3/h〕を満たすことができる。
なお、風量検出手段22において、送風機6が実際に出力している風量が、送風機6に設定された自己の風量よりも小さく、優先風量が設定された場合は、STEP9において風量を調整するが、この動作については、実施の形態1のSTEP4と同様であるので、説明を省く。
本実施の形態では、実施の形態1の換気装置の構成に対して、換気装置の最大風量に応じた風量が設定できるような構成としたが、実施の形態2の換気装置の構成に対しても同様に、換気装置の最大風量に応じた風量が設定できる構成とすることができる。
以上のように、本発明の実施の形態3においては、互いの換気装置同士が互いに情報を取得し合うことで、総換気風量判断手段20で決定した総換気風量情報および設置されている換気装置の設定風量に優先する優先風量情報および換気装置の最大風量とから自己の換気風量を判断し運転する構成とした。従って、建屋全体の必要な総換気風量に対して、最大風量の異なる換気装置が設置された場合において、換気装置それぞれの換気能力が過多あるいは過少の状況においても、換気装置同士が主従関係なく自己の風量を換気装置の最大風量に応じて増減できるように調整できることで、建屋全体の風量を最適に保つことが可能となる。