JP6186901B2 - 1,4−ブタンジオールの製造方法 - Google Patents
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Description
従来、1,4BGを石油などの化石燃料を原料として工業的に製造する方法は種々知られている。例えば、ブタジエンを原料として、酢酸及び酸素を用いたアセトキシ化反応により中間体としてジアセトキシブテンを得、そのジアセトキシブテンを水添、加水分解することで1,4BGを製造する方法;マレイン酸、コハク酸、無水マレイン酸及び/又はフマル酸を原料として、それらを水素化して1,4BGを含む粗水素化生成物を得る方法;アセチレンを原料としてホルムアルデヒド水溶液と接触させて得られるブチンジオールを水素化して1,4BGを製造する方法;などが挙げられる。
また、バイオマス資源由来の1,4BGを精製する方法として一般的な精製方法は特許文献4に記載されている。
工程(a) 前記精製原料1,4−ブタンジオール含有液を蒸留塔で蒸留し、前記精製原料1,4−ブタンジオール含有液中に含まれる1,4−ブタンジオールよりも高沸点の成分を除去する工程
工程(b) 前記精製原料1,4−ブタンジオール含有液を蒸留塔で蒸留し、前記精製原料1,4−ブタンジオール含有液中に含まれる1,4−ブタンジオールよりも軽沸点の成分を除去する工程
工程(c) 前記精製原料1,4−ブタンジオール含有液中に含まれる不飽和化合物の少なくとも一部を水素化物に変換する水素化工程
工程(d) 前記粗1,4−ブタンジオール含有液を蒸留塔で蒸留し、側留より精製1,4−ブタンジオールを抜き出す工程
工程(f) 前記精製原料1,4−ブタンジオール含有液と塩基とを接触させる工程
工程(e) 前記工程(a)で分離された1,4−ブタンジオールよりも高沸点の成分を蒸留塔で蒸留し、1,4−ブタンジオールを分離して回収する工程
尚、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。また、本明細書における、下限値又は上限値は、その下限値又は上限値の値を含む範囲を意味する。
また、“重量%”、“重量ppm”及び“重量比”と、“質量%”及び“質量ppm”及び“質量比”とはそれぞれ同義である。単に“ppm”と記載した場合には、“重量ppm”のことを示す。
こうして微細化されたバイオマス資源は、通常、更に前処理・糖化の工程を経て炭素源へと誘導される。その具体的な方法としては、硫酸、硝酸、塩酸、リン酸などの強酸による酸処理、アルカリ処理、アンモニア凍結蒸煮爆砕法、溶媒抽出、超臨界流体処理、酸化剤処理などの化学的方法;微粉砕、蒸煮爆砕法、マイクロ波処理、電子線照射等の物理的方法;微生物や酵素処理による加水分解等の生物学的処理などが挙げられる。
また、このようにして、1,4BGを生産することができる有機体の発酵培地から生物学的に生産された1,4BG含有組成物は、例えば米国特許出願公開第2011/0003355号明細書の記載を元に、発酵培地から、濾過、遠心分離及びイオン交換樹脂のいずれか1又は2以上の分離手段により、菌体と塩分の各々の全量又は少なくとも一部を分離除去することにより得ることができ、更にこの1,4BG含有組成物から組成物中の少なくとも一部の水を除去して精製原料1,4BG含有液を得ることができる。
本発明において、「1,4BG含有組成物」とは、1,4BGを生産した発酵培地から菌体と塩分を除去した後のものをさし、また、この1,4BG含有組成物から水を除去したものを「精製原料1,4BG含有液」と称す。
還流比は任意であるが、0.01以上、100以下が好ましく、この還流比はより好ましくは0.1以上、50以下であり、特に0.2以上、20以下の還流比が好ましい。
この蒸留塔の塔頂圧力は好ましくは絶対圧として1kPa以上、200kPa以下であり、より好ましくは2kPa以上、100kPa以下であり、特に好ましくは5kPa以上、50kPa以下である。塔頂圧力が低いほど、塔内温度を低減してアミノ酸や糖などのバイオマス資源由来の成分から新たな不純物が生成することを回避できるが、低すぎると冷却が非効率となる。また、塔頂圧力が高いほど、塔自体の容量を低減することができるが、高すぎると塔底温度が上昇して不純物が生成しやすくなる。
また、塔頂の温度は40℃以上、100℃以下であることが好ましく、より好ましくは40℃以上、80℃以下であり、特に好ましくは40℃以上、60℃以下である。塔頂温度を上記下限よりも高くすることにより冷却コストを抑えることができ、上記上限よりも低くすることで塔内の副反応を抑制することができる。
精製原料1,4BG含有液中に含まれる1,4BG以外の成分は、ガンマブチロラクトン、1−アセトキシ−4−ヒドロキシブタン、テトラヒドロフラン、酢酸、ブタノール、ブチルアルデヒド、酪酸、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−ヒドロキシテトラヒドロフラン、2−(4−ヒドロキシブチルオキシ)テトラヒドロフラン、水、アミノ酸及び蛋白由来の窒素含有成分、糖及びその分解物などである。
精製原料1,4BG含有液のカルボニル価の値は、2.5mgKOH/g以下であることが好ましく、更に好ましくは、2.0mgKOH/g以下、特に好ましくは1.5mgKOH/g以下である。カルボニル価の値が低いほど、本発明の精製コストを低減することができ、経済的に望ましい。
ここでの精製原料1,4BG含有液とは、後述する工程(a)〜(c)を経由する直前の精製原料1,4BG含有液を示し、後述する工程(f)を経由する場合、工程(f)を経由する直前の精製原料1,4BG含有液を示す。
なお、カルボニル価の測定方法は、後掲の実施例の項に記載される通りである。
ここでの精製原料1,4BG含有液とは、後述の工程(a)〜(c)を経由する直前の精製原料1,4BG含有液を示し、後述する工程(f)を経由する場合、工程(f)を経由する直前/も工程(a)〜(c)を経由する直前の精製原料1,4BG含有液を示す。
なお、後述する工程(a)に導入される精製原料1,4BG含有液の水分濃度は、1.5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましく、0.2質量%以下であることが特に好ましい。このため、1,4BG含有組成物から水分を除去した後の水分濃度が上記上限よりも高い場合には、更に上記と同様の蒸留を繰り返し行って水分濃度を低減することが好ましい。
また、本発明においては、更に、以下の工程(e)を行ってもよく、前記工程(c)に先立ち、以下の工程(f)を行ってもよい。
工程(a) 前記精製原料1,4BG含有液を蒸留塔で蒸留し、前記精製原料1,4BG含有液中に含まれる1,4BGよりも高沸点の成分を除去する工程
工程(b) 前記精製原料1,4BG含有液を蒸留塔で蒸留し、前記精製原料1,4BG含有液中に含まれる1,4BGよりも軽沸点の成分を除去する工程
工程(c) 前記精製原料1,4BG含有液中に含まれる不飽和化合物の少なくとも一部を水素化物に変換する水素化工程
工程(d) 前記粗1,4BG含有液を蒸留塔で蒸留し、側留より精製1,4BGを抜き出す工程
工程(e) 前記工程(a)で分離された1,4BGよりも高沸点の成分を蒸留塔で蒸留し、1,4BGを分離して回収する工程
工程(f) 前記精製原料1,4BG含有液と塩基とを接触させる工程
工程(d)で得られる精製1,4BGを原料としてPBTを製造する際に得られるPBTの着色を抑制できる観点から、精製原料1,4BG含有液を工程(a)〜(c)の全ての工程を経由させた後に、工程(d)に導入することが好ましい。なお、その際、各工程の順序は入れ替わってもよいが、工程(a)→工程(c)→工程(b)→工程(d)の順序が好ましい。
以下、この系統図に沿って各工程の操作について説明するが、本発明は何ら図1に示す実施形態に限定されるものではなく、工程(a)〜(c)のうち1又は2の工程、工程(e)及び工程(f)のうちのいずれか1以上の工程が省略されていてもよく、更に他の工程が付加されていてもよい。
工程(a)では、精製原料1,4BG含有液から、1,4BGよりも沸点が高い成分(高沸成分)を蒸留塔(以下、「蒸留塔(a)」と称す場合がある。)で除去して高沸成分が除去された粗1,4BG含有液を蒸留塔(a)の塔頂留出液として得る。
前述の如く、蒸留塔(a)に導入される精製原料1,4BG含有液の水分濃度は、1.5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましく、0.2質量%以下であることが特に好ましい。蒸留塔(a)に導入される精製原料1,4BG含有液の水分濃度を上記上限以下にすることにより、蒸留塔の塔頂温度が低下しすぎて冷却コンデンサーから蒸気が回収できなくなることを防ぐことができるため、好ましい。従って、精製原料1,4BG含有液の水分濃度が上記上限よりも多い場合には、更に蒸留を繰り返すことなどにより水分を除去した後、精製原料1,4BG含有液を蒸留塔(a)に導入することが好ましい。
アミノ酸などの窒素含有成分は加熱によりアミド類などに軽沸化し、特に2−ピロリドンなどの炭素原子数4のアミド類が含まれることがある。これらのアミド類も、PBT製造時の着色要因となるため、本蒸留操作で同時に分離することが好ましい。
2−ピロリドン等の窒素原子含有化合物濃度は、窒素原子濃度で管理することが可能であり、留出液の窒素原子濃度としては、特に限定されないが、好ましくは50質量ppm以下、更に好ましくは30質量ppm以下、特に好ましくは20質量ppm以下である。
還流比は任意であるが、0.01以上、100以下が好ましく、更に好ましくは0.1以上、50以下である。特に0.2以上、20以下の還流比が好ましい。
また、塔頂の温度は140℃以上、190℃以下であることが好ましく、より好ましくは150℃以上、185℃以下であり、特に好ましくは155℃以上、180℃以下である。塔頂温度を上記下限以上とすることで塔頂部位からの蒸気回収が不適となることを防ぎ、上記上限以下とすることで副生成物の生成量が増加することを防ぐことができる。
尚、蒸留塔(a)での塔頂分配率(=(塔頂留出液流量/フィード流量)×100)は好ましくは50〜98%であり、更に好ましくは60〜95%、特に好ましくは70〜90%である。
工程(e)では、工程(a)で分離された1,4BGよりも高沸点の成分、即ち、蒸留塔(a)の缶出液を、蒸留塔(以下、「蒸留塔(e)」と称す場合がある。)で蒸留して1,4BGを分離して回収する。
還流比は任意であるが、0.01以上、100以下が好ましく、更に好ましくは0.1以上、50以下である。特に0.2以上、20以下の還流比が好ましい。この蒸留塔(e)の塔頂の冷却コンデンサーからは蒸気を回収することも可能である。
また、塔頂の温度は140℃以上、190℃以下であることが好ましく、より好ましくは150℃以上、185℃以下であり、特に好ましくは155℃以上、180℃以下である。塔頂温度を上記下限以上とすることで、温度が低すぎて塔頂部位から蒸気回収をする場合に不適となることを防ぎ、上記上限以下とすることで副生成物の生成量が増加することを防ぐことができる。
本蒸留操作により、ほとんどの高沸点成分を排出可能であるが、蒸留塔(e)の理論段を上記範囲内で行うことにより、2−ピロリドンを含むより多くの高沸点成分を更に廃棄することが可能である。また、高沸点の成分中の窒素分や硫黄分を多く排出することが可能である。
工程(c)では、精製1,4BGの着色原因となる成分、及び/又は精製1,4BGを原料として使用してPBTを製造する際に着色原因となる成分を消失させる。具体的には、ケトン、アルデヒド、エステルなどのカルボニル化合物や、オレフィン部位を有する不飽和化合物などを水素化反応させて水素化物に変換し、これらの着色原因成分の化合物群の構造中に含まれるカルボニル結合とオレフィン部位を消失させる。得られた水素化物は、アルコールなどとして蒸留により除去することが可能である。
これらの着色原因成分のうち、特に炭素原子数5又は6のケトン及び/又はアルデヒドなどの環状カルボニル化合物は、PBT製造の際に、甚大な色調悪化への影響があることから、工程(c)では水素化物に変換することにより炭素原子数5又は6の環状カルボニル化合物濃度を低減することが好ましく、これにより、PBT製造時の色調改善に顕著な効果が得られる。なお、ここで、「炭素原子数5又は6の環状カルボニル化合物」とは、炭素原子数5の環状カルボニル化合物と炭素原子数6の環状カルボニル化合物の両方をさす。
また、これらカルボニル化合物の総量はカルボニル価として管理することもでき、工程(c)においてカルボニル価を低減することができる。
触媒中の担体の含有量は、5質量%以上、95質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは7質量%以上、80質量%以下、特に好ましくは10質量%以上、60質量%以下である。
これらの金属も金属そのもの、酸化物、水酸化物、など各種塩の状態で含有していても差し支えない。例えば、触媒中の酸化マグネシウムの含有量は0.1質量%以上、20質量%以下が好ましく、更に好ましくは0.5質量%以上、15質量%以下、特に好ましくは1質量%以上、10質量%以下である。これらの触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
水素化における水素圧力は特に限定されないが、ゲージ圧力で0.1〜100MPaの範囲で問題なく、好ましくは0.5〜10MPa、更に好ましくは1〜6MPaの範囲である。この圧力が低すぎると、反応速度が遅く生産性が低下する。圧力が高すぎた場合には反応器材質の多量使用、コンプレッサー負荷が増大し、建設費が大幅に増加してしまう。
水添触媒粉や溶出金属が多量に後工程に持ち込まれた場合には、加熱部位などで1,4BGの脱水素反応が進行し、2−ヒドロキシテトラヒドロフランや2−(4−ヒドロキシブチルオキシ)テトラヒドロフランが生成する場合がある。
本発明では着色原因成分である炭素原子数5又は6の環状カルボニル化合物を除去するために上記の水素化工程(c)を設けることが好ましいが、上記の水添触媒は塩酸、硫酸などの強酸により触媒劣化が加速してしまう。一方で発酵法で製造した粗1,4BG含有組成物は、塩酸などの塩素分や、硫酸などの硫黄分を含むことがある。そのため、上記の工程(c)を経由する前の段階で固体塩基又はアミンなどの溶解性塩基を精製原料1,4BG含有液と接触させて、これらを除去する工程(f)を設けることが好ましい。
工程(b)では、精製原料1,4BG含有液(図1では工程(c)の処理液)を蒸留塔(以下、「蒸留塔(b)」と称す場合がある。)で蒸留することで、1,4BGよりも軽沸点の成分を除去する。蒸留塔(b)で除去される1,4BGよりも軽沸点の成分には着色原因成分が含まれる。
本工程(b)の目的は、高純度の1,4BGを得るために軽沸点の成分を十分に除去することと、微量の着色原因成分の除去を行うことの両方にある。この操作では、特に着色原因成分そのもの及び着色原因成分の水素化体、更には酢酸、酪酸、水、テトラヒドロフラン、2−ヒドロキシテトラヒドロフラン、ガンマブチロラクトン、1−アセトキシ−4−ヒドロキシブタン、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−(4−ヒドロキシブチルオキシ)テトラヒドロフランなどの1,4BGよりも軽沸点の成分の除去あるいは低減が行われる。
また、これらカルボニル化合物の総量はカルボニル価として管理することもでき、工程(b)においてカルボニル価を低減することができる。
還流比は任意であるが、0.01以上、100以下が好ましく、更に好ましくは0.1以上、50以下である。特に0.2以上、20以下の還流比が好ましい。
また、最も低温となる塔頂部の温度は40℃以上であり、更に好ましくは50℃以上であり、特に好ましくは60℃以上である。塔頂部位の温度が低すぎると冷却コストが甚大となってしまう。更に、塔頂部及び塔上部でも温度が高い場合には、着色原因成分である炭素原子数5又は6の環状カルボニル化合物が1,4BGと反応して高沸化され、高沸化したアセタールなどの成分は次工程に高沸の形で持ち込まれることになる。また、温度が高い場合には、塔底液でも軽沸点成分が増加する傾向にある。そのため、塔頂部の温度も160℃以下、更に140℃以下、特に130℃以下が好ましい。
工程(d)では、工程(a)〜(c)のうち少なくとも1の工程を経由して得られた粗1,4BG含有液を蒸留塔(以下、「蒸留塔(d)」と称す場合がある。)で蒸留して、側留から精製1,4−ブタンジオールを製品として抜き出す。前記粗1,4BG含有液は、場合によっては、工程(a)〜(c)に加えて、さらに工程(e)及び(f)の少なくともいずれか一方の工程を経由している場合もある。
この蒸留塔(d)の塔頂留出液中のガンマブチロラクトン濃度は、側留から抜き出される精製1,4BG中のガンマブチロラクトン濃度よりも高いことが、着色原因成分低減の点で重要である。塔頂留出液中のガンマブチロラクトン濃度は、側留の精製1,4BG中のガンマブチロラクトン濃度の1.1〜500倍程度であることが好ましい。また、カルボニル化合物の総量はカルボニル価として管理することもでき、工程(d)においてカルボニル価を低減することができる。
また、水分濃度や1,4BG純度も管理する必要があり、好ましくは側留として抜き出される精製1,4BG中の水分濃度は500質量ppm以下であり、1,4BG純度は99.5質量%以上である。
特に原料液フィード段と側留抜出位置の間隔は理論段として2段以上、好ましくは3段以上、例えば3〜20段であることが望ましい。尚、塔頂部分から側留抜出位置までの理論段数は1段以上、50段以下が好ましく、更に好ましくは2段以上、20段以下であり、特に好ましくは3段以上、10段以下である。
蒸留塔(d)の還流比は任意であるが、0.01以上、100以下が好ましく、更に好ましくは0.1以上、50以下である。特に0.2以上、20以下の還流比が好ましい。
また、最も低温となる塔頂部は40℃以上であり、更に好ましくは50℃以上であり、特に好ましくは60℃以上である。塔底温度が高過ぎると塔底で1,4BG並びに微量の不純物が反応してしまい、精製1,4BGの品質が低下することがある。塔底温度が低過ぎる場合には、高度の真空を必要として経済的に好ましくない。
1,4BG、THF、GBL、14HAB、BGTF、2P、OTFの濃度は有効炭素係数より算出した修正面積百分率法により、カールフィッシャー法(三菱化学社製「CA−03」で測定)にて水分量で補正することにより算出した。
炭素原子数5又は6の環状のケトン及び/又はアルデヒドは、GC−MS及び/又はGC−IRにて検出が可能であり、精製1,4BG中の他成分と区別することができる。これらは2−アセチルテトラヒドロフラン、2−メチルジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−オンと推定される。
GC−MS(EI):86、71、43、29
GC−IR:2980、2885、1734、1454、1360、1176、1080、925cm−1
・2−メチルジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−オン(以下「MHPO」と記す。)
GC−MS(EI):114、71、42、29
GC−IR:2956、2851、1742、1240、1115cm−1
カルボニル価(mgKOH/g)=(A−B)×f×5.6/S
但し、Aは本試験に於ける0.1mol/L水酸化カリウムの滴定量(mL)、Bは空試験に於ける0.1mol/L水酸化カリウムの滴定量(mL)、fは0.1mol/L水酸化カリウムのファクター、Sは試料量(g)である。
[製造例1]
特表2010−521182号公報の記載を元に有機体の発酵培地からの生物学的に1,4BG含有組成物を生産した。この1,4BG含有組成物を米国特許出願公開第2011/0003355号明細書に記載の方法で、濾過、遠心分離及びイオン交換樹脂により菌体と塩分の全量又は各々の少なくとも一部を除去した後、蒸留により水を除去した。このときの1,4BG含有組成物の組成を表−1に示す。この1,4BG含有組成物のpHは6.3であった。
[実施例1]
<工程(a):高沸点成分の蒸留分離>
上記製造例1の脱水蒸留後に連続的に得られた精製原料1,4BG含有液に対し、精製原料1,4BG含有液中に含まれる1,4BGよりも高沸点の成分を蒸留塔で除去した。
工程(a)の蒸留塔として、理論段30段のオルダーショウ蒸留塔を使用した。このオルダーショウ蒸留塔は、加熱源が実質的に塔底液のみと接触し、気相部への接触を伴わない蒸留塔であるが、実質的に塔底液のみと接触するとは、塔底の気液界面よりも下の領域で熱媒が接触するという状態を表す。
塔頂圧力は15.7kPa、還流比を1.0、塔頂温度は176℃、塔底温度は184℃で一定となるように制御し、塔底から10段の位置に精製原料1,4BG含有液を86mL/時の流量で連続導入し、塔頂部から74mL/時で連続留出を行い、塔底から12mL/時で連続抜き出しを行なった。210時間の連続運転を固形物の生成無く、安定して実施することができた。塔頂から1,4BGよりも高沸点の成分を除去した粗1,4BG含有液を得た(塔頂留出液)。表−2に蒸留塔(a)の塔底缶出液、塔頂留出液(粗1,4BG含有液)のぞれぞれの組成を示す。
以下に単蒸留での例を示すが、より効率のよい1,4BG回収及び高沸点成分分離のためには、連続蒸留が好ましく、更に多段蒸留を行うことが好ましく、還流を適宜実施することも好ましい。
留出のためのガラス製の冷却管を設置したガラス製の500mLフラスコに、上記工程(a)の塔底から抜き出された塔底缶出液(液組成は表−2の「塔底缶出液」の欄)を252.4g仕込み、圧力を4.9kPa、フラスコ内温度153〜169℃にて回分式の単蒸留を実施した。その結果、235.2gの1,4BGを含む留出液を分離して回収した。フラスコの中には、15.5gの高沸点成分濃縮液を釜残液として得た。分離回収した留出液と釜残液の組成を表−3に示す。
容積100mLのステンレス製反応器に、弱塩基性陰イオン交換樹脂(登録商標:ダイヤイオン、型式WA20、4級アンモニウム塩を官能基に持つスチレン系樹脂)(以降、単に「WA20」と略記する場合がある。)を85mL充填し、この反応器下部より、上述の工程(a)で得られた留出液(液組成:表−2の「塔頂留出液」の欄)を170mL/時の上向流で連続的に流通させて接触処理を実施した。なお、陰イオン交換樹脂と留出液の接触温度は40℃、圧力は常圧とした。
陰イオン交換樹脂と接触前の留出液中の塩化物イオン濃度(全塩素濃度)及び硫化物イオン濃度(全硫黄濃度)と、反応器出口から得られる陰イオン交換樹脂と接触させた後の留出液の塩化物イオン濃度(全塩素濃度)及び硫化物イオン濃度(全硫黄濃度)をイオンクロマトグラフによって測定した結果を表−4に示す。なお、表中「WA20」とは、上述した弱塩基性陰イオン交換樹脂のことを示す。
工程(c−1)水素化反応触媒:珪藻土担持ニッケル−クロム触媒(連続流通反応器)のケース
反応容量120mLのステンレス製流通反応器にペレット状に成型した珪藻土担持ニッケル−クロム触媒(担持量はニッケル12質量%、クロム1.5質量%)を60mL充填し、反応器下部より上記工程(f)の反応器出口から得られた陰イオン交換樹脂と接触後の粗1,4BG含有液を30mL/時で流通させて粗1,4BG含有液中の不飽和化合物の水素化反応を行った。
なお、珪藻土担持ニッケル−クロム触媒は反応器に、流通反応器の入口から出口方向に、ステンレス製フィルター、ガラスビーズ層、触媒層、ガラスビーズ層、ステンレス製フィルターの順で設けることにより充填した。水素化反応の反応条件は、反応温度80℃、水素圧2.0MPa(ゲージ圧)とした。
水素化反応後の粗1,4BG含有液を反応器出口から経時サンプリングして、ガスクロマトグラフィー及び吸光度により分析した。結果を表−5に示す。
反応容量100mLのステンレス製オートクレーブにペレット状に成型したシリカ担持ニッケル触媒(担持量はニッケル及び酸化ニッケルの合計で52質量%)を2g充填し、上記工程(f)の反応器出口から得られた陰イオン交換樹脂と接触後の粗1,4BG含有液を40g入れた後、水素圧を0.99MPa(ゲージ圧)封入し、110℃のオイルバス中で4時間振盪させた。反応終了後、フラスコ内の水素化反応後の粗1,4BG含有液を採取し、ガスクロマトグラフィー及び吸光度により分析した。結果を表−6に示す。
上記工程(c−1)のケースで水素化反応させた粗1,4BG含有液から軽沸点成分を分離するにあたり、理論段30段のオルダーショウ蒸留塔を使用した。そして、以下の3つの蒸留条件のケースで軽沸点成分の蒸留分離を実施した。
塔頂圧力を4.0kPa、還流比を50.0として、塔頂温度を139℃、塔底温度を163℃の一定の温度に制御し、110mL/時の流量で塔底から20段の位置に上記工程(c−1)のケースで水素化反応させた粗1,4BG含有液(カルボニル価1.8mgKOH/g)を連続導入した。塔頂部から1.3mL/時で連続留出を行い、塔底から108.7mL/時で連続抜き出しを行い、粗1,4BG含有液中の軽沸点成分の除去を行った。塔頂から留出した液(塔頂留出液)及び塔底部からの缶出液(塔底缶出液)の組成を表−7に示す。
塔頂圧力を4.0kPa、還流比を50.0として、塔頂温度を143℃、塔底温度を164℃の一定の温度に制御し、110mL/時の流量で塔底から20段の位置に上記工程(c−1)のケースで水素化反応させた粗1,4BG含有液(カルボニル価1.8mgKOH/g)を連続導入し、塔頂部から5.4mL/時で連続留出を行い、塔底から104.6mL/時で連続抜き出しを行い、粗1,4BG含有液中の軽沸点成分の除去を行った。塔頂から留出した液(塔頂留出液)及び塔底部からの缶出液(塔底缶出液)の組成を表−7に示す。
塔頂圧力を4.0kPa、還流比を50.0として、塔頂温度を145℃、塔底温度を165℃の一定の温度に制御し、110mL/時の流量で塔底から20段の位置に上記工程(c−1)のケースで水素化反応させた粗1,4BG含有液(カルボニル価1.8mgKOH/g)を連続導入し、塔頂部から10.1mL/時で連続留出を行い、塔底から100.2mL/時で連続抜き出しを行い、粗1,4BG含有液中の軽沸点成分の除去を行った。塔頂から留出した液(塔頂留出液)及び塔底部からの缶出液(塔底缶出液)の組成を表−7に示す。
塔頂圧力を18.1kPa、還流比を50.0として、塔頂温度を178℃、塔底温度を186℃の一定の温度に制御し、105mL/時の流量で塔底から20段の位置に上記工程(c−1)のケースで水素化反応させた粗1,4BG含有液(カルボニル価1.8mgKOH/g)を連続導入し、塔頂部から10mL/時で連続留出を行い、塔底から95mL/時で連続抜き出しを行ない、粗1,4BG含有液中の軽沸点成分の除去を行った。塔頂から留出した液(塔頂留出液)及び塔底部からの缶出液(塔底缶出液)の組成を表−7に示す。
そのため、軽沸点成分及び高沸点成分を工程(d)に持ち込まないことが求められる。表−7から工程(b−2)、工程(b−3)で軽沸点成分の留去量を増加させることで、塔底缶出液中の軽沸点成分を十分に除去できることが分かる。また、高沸点成分は、高温条件下の場合に、塔上部及び塔頂部にて大きく増加するものと思われ、工程(b−4)の高温度条件での蒸留で、より高濃度の高沸点成分が塔底缶出液に残存する。これら高沸点成分は該炭素原子数5又は6の環状カルボニル化合物のアセタール、ケタール、ヘミアセタール類と考えられる。そのようなことから、より低温度での軽沸成分の蒸留分離が好ましいと言える。
上述の工程(b)の工程(b−1)で得られた粗1,4BG含有液(液組成は、上記表−7の工程(b−1)の塔底缶出液)を蒸留して高純度の精製1,4BGを得るにあたり、蒸留塔として、理論段25段のオルダーショウ蒸留塔を使用した。塔頂圧力を2.5kPa、還流比を10.0として、塔頂温度を137℃、塔底温度を157℃の一定温度に制御し、76mL/時の流量で塔底から10段の位置に粗1,4BG含有液を連続導入した。この際、塔頂部から1mL/時で連続留出を行い、塔底から20段目の側留から73mL/時、塔底から2mL/時で連続抜き出しを行い、55時間の連続運転を実施した。塔頂留出液、側留(精製1,4BG)及び塔底缶出液の組成と吸光度を表−8に示す。
実施例1において、工程(d)における側留の抜き出しを行わず、塔頂から精製1,4BGを抜き出した以外は、全て同様に実施した。この塔頂留出液の流量は73mL/時であった。結果を表−8に示す。
工程(d)において塔頂温度を137℃、塔底温度を158℃の一定温度に制御し、78mL/時の流量で塔底から10段の位置に粗1,4BG含有液を連続導入し、塔頂部から12mL/時で連続留出を行い、塔底から20段目の側留から64mL/時、塔底から2mL/時で連続抜き出しを行った以外は実施例1と同様にした。頂留出液、側留(精製1,4BG)及び塔底缶出液の組成と吸光度を表−9に示す。
工程(d)の原料に上述の工程(b)の工程(b−2)の塔底缶出液(液組成は、上記表−7の工程(b−2)の塔底缶出液)を用いて蒸留し、高純度の精製1,4BGを得た以外は実施例1と同様に実施した。塔頂留出液、側留(精製1,4BG)及び塔底缶出液の組成と吸光度を表−10に示す。
工程(d)の原料に上述の工程(b)の工程(b−3)の塔底缶出液(液組成は、上記表−7の工程(b−3)の塔底缶出液)を用いて蒸留し、高純度の精製1,4BGを得た以外は実施例1と同様に実施した。塔頂留出液、側留(精製1,4BG)及び塔底缶出液の組成を表−11に示す。
工程(d)の原料に上述の工程(b)の工程(b−3)の塔底缶出液(液組成は、上記表−7の工程(b−3)の塔底缶出液)を650g用い、塔頂圧0〜0.9kPaの条件で回分蒸留により複数のフラクションに分離し、精製1,4−ブタンジオールを3ロット得た。この内、初めに得られたロット(Fr.1、147g)の組成を表−12に示す。
以下のPBTの製造においては、以下の方法により各種分析を実施した。
エステル化反応における留出液について、カールフィッシャー法(三菱化学(株)製「CA−03」で測定)にて水分量を求め、水分以外は有機成分とした。有機成分中のTHF量を、前記のガスクロマトグラフィー法により求め、THF生成量とした。THF生成量をテレフタル酸に対するモル%で表し、転化率とした。
ウベローデ型粘度計を使用して以下の手順で求めた。すなわち、フェノール/テトラクロロエタン(質量比1/1)の混合溶媒を使用し、30℃において、濃度1.0g/dLのPBT溶液及び溶媒のみの落下秒数を測定し、以下の式より求めた。
IV=((1+4KHηsp)0.5−1)/(2KHC)
但し、ηsp=(η/η0)−1であり、ηはPBT溶液落下秒数、η0は溶媒の落下秒数、CはPBT溶液のPBT濃度(g/dL)、KHはハギンズの定数である。KHは0.33を採用した。
ベンジルアルコール25mLにPBT0.5gを溶解し、水酸化ナトリウムの0.01モル/Lベンジルアルコール溶液を使用して滴定し、下記式で算出した。
末端カルボキシル基濃度=(A−B)×0.1×f/W(当量/トン)
ここで、Aは、滴定に要した0.01Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μL)、Bはブランクでの滴定に要した0.01モル/Lの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μL)、WはPBT試料の量(g)、fは0.01モル/Lの水酸化ナトリウムの力価である。
ペレット状のPBTを内径30mm、深さ12mmの円柱状の粉体測定用セルに充填し、測色色差計Color Meter ZE2000(日本電色工業(株))を使用して、反射法により測定セルを90度ずつ回転させて4箇所測定した値の単純平均値として求めた。色調は、L、a、b表色系におけるb値で評価した。値が低いほど黄ばみが少なく色調が良好であることを示す。
1,4BGとして、上記の実施例1で得られた精製1,4BG(液組成は表−8の実施例1の側留)を用い、以下の方法でPBTを製造した。
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計、留出管、及び減圧用排気口を備えた反応容器に、テレフタル酸113g、1,4BGを183g及び触媒としてテトラブチルチタネートを予め6質量%溶解させた1,4BG溶液0.7gを仕込み、窒素−減圧置換によって系内を窒素雰囲気にした。
次に、系内を攪拌しながら150℃まで加温後、大気圧下、220℃に1時間で昇温させて、さらに2時間生成する水を留出させつつエステル化反応を行った。
次に、酢酸マグネシウム4水塩を水に溶解し、さらに1,4BGに溶解させた酢酸マグネシウム4水塩1質量%の1,4BG溶液(酢酸マグネシウム4水塩、水、1,4BGの質量比1:2:97)1.3gを添加した。
次に、220℃で0.25時間保持後、0.75時間かけて245℃まで保持した。一方、圧力は重合開始から1.5時間かけて0.07kPaになるように減圧し、同減圧下で0.8時間重縮合反応を行い、反応系を常圧に戻し重縮合を終了した。得られたPBTを反応槽の底部からストランドとして抜き出し、10℃の水中を潜らせた後、カッターでストランドをカットすることによりペレット状のPBTを得た。
酢酸マグネシウム添加後の減圧開始から重縮合終了までを重縮合時間として、固有粘度/重縮合時間を重縮合速度とした。重縮合速度は0.37dL/g/時であった。THF転化率は、エステル化反応中の留出液をドライアイストラップで冷却採取したものについてTHF量を分析し、仕込みテレフタル酸あたりのモル%で表したところ、57.0モル%であった。PBTの色調b値は2.7であった。
上記製造例2において、実施例1で得られた精製1,4BGの代わりに、実施例2で得られた精製1,4BG(組成は、表−9の側留)を用いた以外は全て同様の方法でPBTを製造した。得られたPBTの色調b値は2.2であった。
上記製造例2において、実施例1で得られた精製1,4BGの代わりに、実施例3で得られた精製1,4BG(組成は表−10の側留)を用いた以外は全て同様の方法でPBTを製造した。得られたPBTの色調b値は1.7であった。
上記製造例2において、実施例1で得られた精製1,4BGの代わりに、実施例4で得られた精製1,4BG(組成は表−11の側留)を用いた以外は全て同様の方法でPBTを製造した。得られたPBTの色調b値は1.6であった。
上記製造例2において、実施例1で得られた精製1,4BGの代わりに、比較例1で得られた精製1,4BG(組成は表−8の比較例1の塔頂留出液)を用いた以外は全て同様の方法でPBTを製造した。得られたPBTの色調b値は3.0であった。
上記製造例2において、実施例1で得られた精製1,4BGの代わりに、参考例1で得られた精製1,4BG(組成は表−12の参考例1のFr.1留出液)を用いた以外は全て同様の方法でPBTを製造した。得られたPBTの色調b値は4.9であった。
図3から、原料1,4BG中の全C5,C6環状カルボニル濃度(炭素原子数5又は6の環状カルボニル化合物の合計濃度)が低いほど重縮合速度(dL/g/時)も改善していることがわかる。
前記製造例1と同様の実験を3回行い、それぞれ脱水蒸留を行って、精製原料1,4BG含有液を3ロット製造した(表−14において、「粗1,4BG」と記載する。)。この3ロットを原料とした他はそれぞれ実施例1と同様に精製を行った。各工程でのカルボニル価と吸光度の推移、及び精製1,4BGを原料として、前記製造例2と同様にして製造したPBTの色調を表−14に示す。
[参考例2]
実施例1の工程(a)のオルダーショウ蒸留塔の塔底部位では固形物の析出による汚れが進行することがある。この回避には145℃程度の比較的低温度での蒸留を行うか、加熱部位である塔底において、気相部を加熱しないことが望ましい。具体的には、この蒸留塔の熱源として使用したオイルバスの液面を蒸留塔の塔底部に溜まる塔底液の液面よりも低い位置に保つようにすればよい。一方、固形物析出を促進する気相部の加熱の仕方としては、例えば、オイルバスの液面を蒸留塔の塔底部に溜まる塔底液よりも高く保持して、塔底液に加えて、塔底部の気相部の壁温度を熱源に近い温度に保持すればよい。
以下、実施例1の工程(a)の蒸留塔の塔底部の熱源であるオイルバスの液面の位置を変えて、気相部を高温度(245℃)で加熱したケース、145℃の低温度条件で加熱したケース、高温度(245℃)で加熱するが、気相部は加熱しないケースの3つのケースで蒸留実験を行った。結果を表−15に示す。なお、導入した液は表−1に示す組成の精製原料1,4BG含有液である。
なお、工業的規模のプロセスの工程(a)の蒸留塔としては、気相部を加熱しないようにするには、好ましくは、強制循環型のリボイラーや薄膜流下形式のリボイラーを熱源として使用することである。特に強制循環型のリボイラーの場合には、熱交換器出口に背圧弁を用いることで、熱交換器内部の圧力を上昇させ、より完全に液相を保持することが可能であるので、更に好ましい。
[参考例3]
三菱化学(株)製1,4BG中にTCI製の試薬1,4−ジヒドロキシ−2−ブテンを10質量%溶解した。本液中の全塩素濃度は79質量ppmであり、全硫黄濃度は0.1質量ppmであった。本液を用いて反応温度100℃、水素圧3.5MPa(ゲージ圧)とした以外は実施例1の工程(c−1)と同様の反応条件で水素化実験を行った結果、以下の表−16(WA20処理無)に示すように非常に速い触媒劣化の進行を確認した。
一方、この全塩素濃度79質量ppm、全硫黄濃度0.1質量ppmの液に対して、工程(f)に相当する陰イオン交換樹脂処理(WA20)を、使用イオン交換樹脂量300mL、処理流量215g/時、接触温度55℃で行った液では、全塩素濃度0.1質量ppm、全硫黄濃度<0.1質量ppm(検出限界以下)となり、この処理液について、上記と同じ水素化条件で水素化実験を行ったところ、表−16(WA20処理有)に示すように、触媒劣化は確認されなかった。
流通評価途中での液中のNi濃度をICP−OESにより分析比較した結果、WA20処理を行った液では反応後も液中のNi濃度は検出下限以下であったのに対して、WA20処理を実施していない液では、5質量ppmのNi濃度を検出した。
表−5の水素化反応前溶液では塩素濃度は0.4質量ppm程度ではあるが、長期運転を考えた場合には、WA20などの陰イオン交換樹脂や固体塩基、あるいは各種アミンなどの溶解性塩基類を加えて、酸による触媒成分の溶出を回避することが好ましいことが分かる。
[参考例4]
<反応工程>
シリカにパラジウム及びテルルを担持させた触媒の存在下に、ブタンジエン、酢酸及び酸素含有ガスを圧力6MPa、温度60〜99℃で連続的に反応させた。酸素含有ガスとしては窒素で希釈した空気(酸素濃度21体積%)を用いた。反応液を蒸留して酢酸及び高沸点物を除去して、主としてジアセトキシブテンから成る反応物を得た。
この反応物を水素と共に、活性炭にパラジウムを担持した触媒が充填されている前段水添反応器、及びシリカにルテニウムを担持した触媒が充填されている後段水添反応器に連続的に供給して、水素添加した。炭素−炭素二重結合を飽和させる前段水素添加反応は圧力2MPa、温度40〜70℃で行い、アルデヒド基の水素添加やアセタール化合物の水素化分解を行わせる後段水素添加反応は圧力2MPa、温度90〜110℃で行った。
ダイヤイオンSK1B(三菱化学社製品、スルホン酸型陽イオン交換樹脂、ダイヤイオンは同社の登録商標)が充填されている加水分解反応器に、上記で得た水素添加された反応物を水との混合液として40〜60℃で通液し、加水分解反応を行わせた。得られた加水分解反応液を、塔底温度158℃、塔頂圧力15kPaの蒸留塔で連続的に蒸留して塔頂から水及び酢酸を留出させ、塔底から塔底液を取得した。この塔底液を理論段数100段の蒸留塔を用いて、塔底温度191℃、塔頂圧力21kPa、還流比30の条件で連続的に蒸留して、塔頂液、側留液、塔底液の3つの留分に分割した。
活性炭にパラジウムを担持した触媒が充填されている反応器に、上記の第1蒸留工程で得られた塔底液を、水素と共に、圧力0.9MPa、温度100℃で連続的に供給して、アセタール化合物などの水素化分解を行った。この反応液を、理論段数10段の充填塔を用いて、塔底温度181℃、塔頂圧力20kPa、還流比0.62で連続的に蒸留した。
上記の第2蒸留工程の塔底液を、次いで理論段数20段の充填塔を用いて、塔底温度160℃、塔頂圧力5.7kPa、還流比0.65で連続的に蒸留した。
上記の第2蒸留工程の塔底液は塔頂から12段目に供給し、塔頂から1,4BGを留出させ、塔底から高沸点物を1,4BGとの混合物として流出させた。塔頂留出液と塔底留出液の重量比率は98:2であった。
理論段数20段の充填塔を用い、該蒸留塔の塔頂から9段目に、上記の第3蒸留工程の蒸留塔の塔頂から得た1,4BGを連続的に供給し、塔底温度160℃、塔頂圧力5.7kPa、還流比63で蒸留して、塔頂から1,4−ブタンジオールモノアセテートを含む1,4BGを留出させ、側留から高純度の精製1,4BGを製品として取得し、塔底から高沸点成分を含む1,4BGを抜き出した。塔頂留出液と側留液の重量比率は1:99であった。
上記製造例2において、実施例1で得られた精製1,4BGの代わりに、参考例4で得られた精製1,4BG(側留液)を用いた以外は全て同様の方法でPBTを製造した。得られたPBTの色調b値は1.4であった。
上記製造例2において、実施例1で得られた精製1,4BGの代わりに、参考例4で得られた精製1,4BG(側留液)に第4蒸留工程の塔頂液を1%添加した1,4BGを用いた以外は全て同様の方法でPBTを製造した。得られたPBTの色調b値は2.0であった。
Claims (14)
- 1,4−ブタンジオールを生産することができる有機体の発酵培地で生物学的に1,4−ブタンジオールを生産し、前記発酵培地から、菌体、塩分及び水の各々少なくとも一部を除去して得られた精製原料1,4−ブタンジオール含有液から、下記工程(a)〜(c)のいずれか1つ以上の工程を経由して粗1,4−ブタンジオール含有液を得、前記粗1,4−ブタンジオール含有液を下記工程(d)を経由して精製することにより精製1,4−ブタンジオールを得る1,4−ブタンジオールの製造方法であって、該工程(a)〜(c)のうち少なくとも工程(c)を経由し、下記工程(f)を経由した後の精製原料1,4−ブタンジオール含有液を該工程(c)に導入する、1,4−ブタンジオールの製造方法。
工程(a) 前記精製原料1,4−ブタンジオール含有液を蒸留塔で蒸留し、前記精製原料1,4−ブタンジオール含有液中に含まれる1,4−ブタンジオールよりも高沸点の成分を除去する工程
工程(b) 前記精製原料1,4−ブタンジオール含有液を蒸留塔で蒸留し、前記精製原料1,4−ブタンジオール含有液中に含まれる1,4−ブタンジオールよりも軽沸点の成分を除去する工程
工程(c) 前記精製原料1,4−ブタンジオール含有液中に含まれる不飽和化合物の少なくとも一部を水素化物に変換する水素化工程
工程(d) 前記粗1,4−ブタンジオール含有液を蒸留塔で蒸留し、側留より精製1,4−ブタンジオールを抜き出す工程
工程(f) 前記精製原料1,4−ブタンジオール含有液と塩基とを接触させる工程 - 前記工程(d)で得られる精製1,4−ブタンジオール中の炭素原子数5又は6の環状カルボニル化合物の濃度が0.1〜12質量ppmである、請求項1に記載の1,4−ブタンジオールの製造方法。
- 前記工程(a)〜(c)のうち少なくとも工程(a)と前記工程(c)を経由する1,4−ブタンジオールの製造方法であって、下記工程(e)を更に経由する、請求項1又は2に記載の1,4−ブタンジオールの製造方法。
工程(e) 前記工程(a)で分離された1,4−ブタンジオールよりも高沸点の成分を蒸留塔で蒸留し、1,4−ブタンジオールを分離して回収する工程 - 前記精製原料1,4−ブタンジオール含有液の水分濃度が0.01〜20質量%であり、且つpHが5以上である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の1,4−ブタンジオールの製造方法。
- 前記工程(c)の水素化工程において、ニッケルを含む金属を珪藻土及びシリカの少なくともいずれか一方に担持した固体触媒を用いて水素化する、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の1,4−ブタンジオールの製造方法。
- 前記工程(f)における塩基が固体塩基である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の1,4−ブタンジオールの製造方法。
- 前記工程(b)における1,4−ブタンジオールよりも軽沸点の成分が、1−アセトキシ−4−ヒドロキシブタンを含み、且つ、前記1,4−ブタンジオールよりも軽沸点の成分が除去された粗1,4−ブタンジオール含有液中の1−アセトキシ−4−ヒドロキシブタン濃度が0.1〜50質量ppmである、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の1,4−ブタンジオールの製造方法。
- 前記工程(b)における蒸留塔の塔底温度が120〜200℃である、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の1,4−ブタンジオールの製造方法。
- 前記工程(a)における蒸留塔の塔底温度が150〜200℃である、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の1,4−ブタンジオールの製造方法。
- 前記工程(a)における1,4−ブタンジオールよりも高沸点の成分が2−ピロリドンを含み、且つ、前記1,4−ブタンジオールよりも高沸点の成分が除去された粗1,4−ブタンジオール含有液中の2−ピロリドンの濃度が20質量ppm以下である、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の1,4−ブタンジオールの製造方法。
- 前記工程(a)における蒸留塔の加熱源が実質的に塔底液のみと接触し、気相部への接触を伴わない、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の1,4−ブタンジオールの製造方法。
- 前記工程(d)における蒸留塔の塔頂留出液中のガンマブチロラクトンの濃度が、側留から抜き出される精製1,4−ブタンジオール中のガンマブチロラクトンの濃度よりも高い、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の1,4−ブタンジオールの製造方法。
- 前記精製原料1,4−ブタンジオール含有液中のカルボニル価を2.5mgKOH/g以下に制御する工程を含む、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の1,4−ブタンジオールの製造方法。
- 前記工程(b)〜(d)の少なくとも一つの工程において、前記精製原料1,4−ブタンジオール含有液中のカルボニル価を低減する、請求項1ないし13のいずれか1項に記載の1,4−ブタンジオールの製造方法。
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