以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
本実施の形態に係るインクジェットプリンタ1は、記録用紙Pに対する印刷のほか、画像の読み取りなども行うことが可能な、いわゆる複合機である。インクジェットプリンタ1は、印刷部2(図2参照)、給紙部3、排紙部4、読取部5、操作部6、表示部7などを備えている。また、インクジェットプリンタ1の動作は、制御装置50(図5参照)によって制御されている。
印刷部2は、インクジェットプリンタ1の内部に設けられており、記録用紙Pに対する印刷を行う。なお、印刷部2の詳細な構成については、後程説明する。給紙部3は、印刷部2により印刷が行われる記録用紙Pを供給するための部分である。排紙部4は、印刷部2により印刷が行われた記録用紙Pが排出される部分である。読取部5は、スキャナなどであって、画像の読み取りを行う部分である。操作部6は、ボタンなどを備えており、ユーザは、操作部6のボタンなどを操作することによって、インクジェットプリンタ1に対して必要な操作を行う。表示部7は液晶ディスプレイなどであって、インクジェットプリンタ1の使用時に必要な情報を表示する。
次に、印刷部2について説明する。印刷部2は、図2〜図4に示すように、キャリッジ11(ヘッド走査手段)、インクジェットヘッド12、給紙ローラ13、プラテン14、複数のコルゲートプレート15、複数のリブ16、排紙ローラ17、複数のコルゲート拍車18、19などを備えている。ただし、図2では、図面を見やすくするために、キャリッジ11を二点鎖線で図示し、キャリッジ11の下方に位置する部分を実線で図示している。
キャリッジ11は、図示しないガイドレールなどに案内されて走査方向に往復移動する。インクジェットヘッド12は、キャリッジ11に搭載されており、その下面であるインク吐出面12aに形成された複数のノズル10からインクを吐出する。
給紙ローラ13は、一対のローラであって、給紙部3から供給された記録用紙Pを挟んで、走査方向と直交する紙送り方向に搬送する。プラテン14は、インク吐出面12aと対向するように配置されており、給紙ローラ13により搬送される記録用紙Pは、プラテン14の上面に沿って搬送される。
複数のコルゲートプレート15は、プラテン14の紙送り方向上流側の端部の上面と対向するように配置されており、走査方向にほぼ等間隔に配列されている。給紙ローラ13に搬送される記録用紙Pは、プラテン14とコルゲートプレート15との間を通過し、複数のコルゲートプレート15は、その下面である押さえ面15aにより記録用紙Pを上から押さえる。
複数のリブ16は、プラテン14の上面の、走査方向に関するコルゲートプレート15の間の部分に配置されており、走査方向にほぼ等間隔に配列されている。リブ16は、それぞれ、プラテン14の上面からコルゲートプレート15の押さえ面15aよりも上方まで突出しているとともに、プラテン14の紙送り方向に関する上流側の端部から紙送り方向下流側に向かって延びている。これにより、プラテン14上の記録用紙Pは、複数のリブ16によって下方から支持されている。
排紙ローラ17は、一対のローラであって、記録用紙Pの走査方向に関して複数のリブ16と同じ位置にある部分を挟んで、記録用紙Pを排紙部4に向けて紙送り方向に搬送する。なお一対のローラである排紙ローラ17のうち上側の排紙ローラは、記録用紙Pに着弾したインクが付着しにくいように拍車となっている。
複数のコルゲート拍車18は、排紙ローラ17の紙送り方向下流側の、走査方向に関してコルゲートプレート15とほぼ同じ位置に配置されている。複数のコルゲート拍車19は、複数のコルゲート拍車18の紙送り方向下流側の、走査方向に関してコルゲートプレート15とほぼ同じ位置に配置されている。また、複数のコルゲート拍車18、19は、上下方向に関して、排紙ローラ17が記録用紙Pを挟む位置よりも下方に位置しており、この位置で、記録用紙Pを上方から押さえている。なお、コルゲート拍車18、19は外周面が平坦なローラではなく拍車であるので、記録用紙Pに着弾したインクが付着しにくい。
そして、プラテン14上の記録用紙Pは、複数のコルゲートプレート15及び複数のコルゲート拍車18、19により上から押さえられるとともに、複数のリブ16により下方から支持されることによって曲げられ、図3に示すように、上側(インク吐出面12a側)に突出した山部分Pmと、下側(インク吐出面12aと反対側)に窪んだ谷部分Pvとが交互に並ぶ波形状となっている。また、山部分Pmは、走査方向に関して、リブ16の中央部とほぼ同じ位置にある部分が、上側に最も大きく突出した山頂部分Ptとなっている。また、谷部分Pvは、走査方向に関して、コルゲートプレート15及びコルゲート拍車18、19とほぼ同じ位置にある部分が、最も下側に窪んだ谷底部分Pbとなっている。なお、本実施の形態では、このように、記録用紙Pを波形状にするコルゲートプレート15、リブ16及びコルゲート拍車18、19を合わせたものが、本発明に係る波形状生成機構に相当する。
エンコーダセンサ20は、キャリッジ11に搭載されている。エンコーダセンサ20は、走査方向に延びた図示しないエンコーダベルトとともにリニアエンコーダを形成しており、エンコーダベルトに形成されたスリットを検出することによって、キャリッジ11によって走査方向に移動されるインクジェットヘッド12の位置を検出する。
そして、以上のような構成の印刷部2では、給紙ローラ13及び排紙ローラ17によって記録用紙Pを紙送り方向に搬送させつつ、キャリッジ11とともに走査方向に往復移動するインクジェットヘッド12からインクを吐出させることにより、記録用紙Pに印刷を行う。
次に、インクジェットプリンタ1の動作を制御するための制御装置50について説明する。制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory
)、RAM(Random Access Memory)、制御回路等からなり、これらが、図5に示すように、記録制御部51、読取制御部52、ズレ量記憶部53(離散的ギャップ情報保持手段)、補間関数決定部54、ヘッド位置検出部55、ズレ量算出部56、吐出タイミング決定部57などとして機能する。なお、本実施の形態では、補間関数決定部54とズレ量算出部56とをあわせたものが、本発明に係る補間ギャップ情報算出部に相当する。
記録制御部51は、インクジェットプリンタ1において印刷を行うときのキャリッジ11、インクジェットヘッド12、給紙ローラ13、排紙ローラ17などの動作を制御する。読取制御部52は、画像の読み取りを行う際の読取部5の動作を制御する。
ズレ量記憶部53は、後述するように、着弾ズレ検出パターンから取得される、記録用紙Pの複数の山頂部分Pt及び谷底部分Pbにおける交点の紙送り方向へのズレ量(以下、交点ズレ量とすることがある)(離散的ギャップ情報)を記憶する(保持する)。補間関数決定部54は、ズレ量記憶部53に記憶された交点ズレ量から、記録用紙Pの波形状となった領域の走査方向全域における交点ズレ量を補間するための補間関数を決定する。
ヘッド位置検出部55は、エンコーダセンサ20の検出結果から、印刷時に、キャリッジ11により走査方向に往復移動されたインクジェットヘッド12の位置を検出する。ズレ量算出部56は、後述するように、ヘッド位置検出部55によって検出されたインクジェットヘッド12の位置、補間関数決定部54において算出された補間関数などから、記録用紙Pの各部分における交点ズレ量を算出する。
吐出タイミング決定部57は、ズレ量算出部56が算出した交点ズレ量に基づいて、ノズル10からのインクの吐出タイミングを決定する。
次に、インクジェットプリンタ1において、ノズル10からインクの吐出タイミングを決定し、印刷を行う手順について説明する。ノズル10からのインクの吐出タイミングを決定し、印刷を行うためには、以下に説明するように、インクジェットプリンタ1の製造段階等、ユーザがインクジェットプリンタ1を使用して印刷を行う前に、予め、図6に示すように、ステップS101〜S103(以下、単にS101、S102、S103などとする)の処理を実行させておく。そして、ユーザがインクジェットプリンタ1を使用して印刷を行うときに、図9に示すように、S201〜S205の処理を実行させる。
S101では、インクジェットプリンタ1において、記録用紙Pに、図7に示すような、複数の着弾ズレ検出パターンQからなるパッチTを印刷する(パターン印刷ステップ)。より詳細に説明すると、例えば、キャリッジ11を走査方向の一方向に移動させつつ、ノズル10からインクを吐出させることにより、それぞれが紙送り方向に平行に延び、走査方向に配列された複数の直線L1を印刷させる。その後、キャリッジ11を走査方向の他方向に移動させつつ、ノズル10からインクを吐出させることにより、それぞれが紙送り方向に対して傾いており、複数の直線L1とそれぞれ重なる複数の直線L2を印刷させる。これにより、図7に示すように、互いに交差する直線L1と直線L2の組によってそれぞれ形成された着弾ズレ検出パターンQが、走査方向に沿って複数配列されたパッチTが印刷される。なお、このときには、記録用紙Pが波形状となっておらず平坦であるとした場合の設計上の吐出タイミングでノズル10からインクを吐出させる。
S102では、S101で印刷した複数の着弾ズレ検出パターンQを、インクジェットプリンタ1とは別に設けられた専用のスキャナ61(読み取り手段)に読み取らせ、スキャナ61に接続されたPC62において、読み取られた着弾ズレ検出パターンQから、複数の山頂部分Pt及び谷底部分Pbにおける交点ズレ量を取得する。
より詳細に説明すると、例えば、図7に示すような着弾ズレ検出パターンQを印刷した場合、直線L1、L2は、キャリッジ11を走査方向の右側に移動させるときと左側に移動させるときの着弾位置にズレがあると、走査方向に互いにずれて印刷される。そのため、直線L1と直線L2とは、走査方向に関する着弾位置ズレ量に応じて、直線L1と直線L2との交点(以下、パターン交点とする)が、紙送り方向にずれる。また、読取部5において着弾ズレ検出パターンQを読み取った場合、パターン交点において記録用紙Pの地の部分(白色)に対する直線L1及びL2(黒色)の占める面積の割合が小さくなるので、他の部分よりも検出される輝度が高くなる。したがって、着弾ズレ検出パターンQを読み取り、最も輝度が高くなる部分の紙送り方向の位置を取得することにより、直線L1と直線L2とが重なっている紙送り方向の位置を検出することができる。
ここで、直線L1と直線L2との紙送り方向での重なる位置の変動は走査方向での重なる位置の変動と比例する。具体的には、直線L1と直線L2の相対的な傾きが、紙送り方向:走査方向で10:1であれば、直線L1と直線L2の紙送り方向での重なる位置の変動は走査方向での重なる位置の変動を10倍に増幅した情報となっている。一般に、直線L1と直線L2のなす角度がθであるとき、パターン交点の紙送り方向へのズレ量は、走査方向へのズレ量を1/tanθ倍に増幅した情報となる。すなわち、パターン交点の紙送り方向へのズレ量を検出することで、双方向印刷における主走査方向への着弾位置ズレ量の情報を取得することができる。
そこで、本実施の形態では、複数の着弾ズレ検出パターンQのうち、記録用紙Pの山頂部分Pt及び谷底部分Pb(図7(a)の一点鎖線で囲んだ部分、以下、これらをまとめて検査部分Peとすることがある)に印刷された着弾ズレ検出パターンQを読み取ることにより、各山頂部分Pt及び各谷底部分Pbにおける交点ズレ量を取得する。なお、本実施の形態では、上述のS101とS102とを合わせたものが、本発明に係る離散的ギャップ情報取得ステップに相当し、スキャナ61とPC62とをあわせたものが、本発明に係る着弾位置ズレ量取得手段に相当する。
また、S102では、上述のとおり、記録用紙Pの山頂部分Pt及び谷底部分Pbに印刷された着弾ズレ検出パターンQのみを読み取るため、S101では、少なくとも山頂部分Pt及び谷底部分Pbに着弾ズレ検出パターンQを印刷すればよい。
S103では、図5に破線で示すように、PC62とズレ量記憶部53とを通信可能に接続し、S102において取得された、各山頂部分Pt及び谷底部分Pbにおける交点ズレ量を、ズレ量記憶部53に書き込んで記憶させる。なお、PC62とズレ量記憶部53との接続は、S103よりも前であれば、どのタイミングで行ってもよい。
ここで、着弾位置ズレ量は、記録用紙Pが波形状となっていることにより、記録用紙Pの走査方向の位置によって変わってくる一方で、記録用紙Pが波形状になっているか否かに関わらず、記録用紙P全体の高さ、キャリッジ11の移動速度、インク滴の飛翔速度などが変われば、変わってくる。
すなわち、S102で取得された交点ズレ量は、記録用紙Pが波形状となっていることによって生じる部分と、記録用紙Pが波形状となっていることとは関係なく、記録用紙P全体の高さやキャリッジ11の移動速度に応じて生じる部分とからなる。したがって、交点ズレ量は、複数の検査部分Peにおける交点ズレ量の平均値と、当該平均値からの偏差とによって表すことができる。そこで、S103では、交点ズレ量を、上記平均値と偏差とに分けて、ズレ量記憶部53に記憶させる。
S104では、補間関数決定部54において、S103でズレ量記憶部53に記憶された各山頂部分Pt及び谷底部分Pbにおける交点ズレ量から、記録用紙Pの波形状にされた領域の走査方向全域にわたる交点ズレ量を算出するための補間関数G(X)を決定する。
より詳細に説明すると、上述したように記録用紙Pが走査方向に沿って波形状となっている場合、この波形状を横軸に走査方向の位置X、縦軸に用紙の上下方向での高さZを用いて図示すると、図8(a)に示すようになる。ここで、N番目の検査部分の走査方向に沿った位置をXNとして表す。SNはX=XNからX=XN+1までの区間を表す。また、ここでは区間の幅L=XN+1−XNはNによらず一定とする。このとき、区間SNにおける記録用紙Pの高さZは、Xについてのある関数HN(X)を用いてZ=HN(X)と表せる。各Nについてのこれらの関数HN(X)をすべての区間について連結したものをZ=H(X)と表現している。
図8(b)は、同じく横軸に走査方向の位置X、縦軸には走査方向の着弾位置ズレW=F(X)を用いて図示したものである。Z=Z0のときの走査方向の着弾位置ズレをW0とすると、(インク滴移動距離)=(インク滴速度)×(インク飛翔時間)であって、同じインク飛翔時間の間に上下方向と走査方向にそれぞれインク滴が移動するから(上下方向インク滴移動距離)/(上下方向インク滴速度)=(走査方向インク滴移動距離)/(走査方向インク滴速度)、すなわち(Z−Z0)/U=(W−W0)/Vとなる。ただし、Vは走査方向のキャリッジ速度、Uは上下方向のインクの飛翔速度とする。Z0、W0、U、Vは、Xの値によって変化しない定数であるから、Z=H(X)とW=F(X)は本質的に相似なグラフである。また、図8の(c)は、同じく横軸に走査方向の位置X、縦軸には紙送り方向のパターン交点位置ズレY=G(X)をとって図示したものである。前述のように、Y=W/tanθであるから、Y=G(X)もZ=H(X)、W=F(X)と相似なグラフとなる。
したがって、図8(b)、(c)に示すように、走査方向への着弾位置ズレ量Wの変化、及び、走査方向の位置Xに応じた交点ズレ量Yの変化も、記録用紙Pの高さZの変化と、縦軸の伸縮と平行移動のみで重ね合わせることができるようなグラフで表すことができる。すなわち、交点ズレ量Yの補間関数G(X)のグラフは、縦軸の伸縮と平行移動により、高さZの補間関数H(X)、及び、着弾位置ズレ量Wの補間関数F(X)のグラフとなる。
後述する図8(d)のグラフ(吐出タイミング補正量のグラフ)も同様であり、これら4つの情報は関連する定数が既知の場合には本質的に等価であり、ズレ量記憶部53に4つの情報のいずれを記憶していても、また4つの情報のいずれを使って補間計算を行っても適切な変換により着弾補正を行うことが可能である。ここでは交点ズレ量Yを記憶しているものとして説明している。
補間関数G(X)は、検査部分Peによって区切られる区間毎に個別に算出する。これらの補間関数のうち、走査方向の左側からN番目とN+1番目(N=1、2、3、・・・)の検査部分Peを両端とする区間SNにおけるパターン交点の紙送り方向へのズレ量Yの補間関数を補間関数GN(X)とすると、補間関数GN(X)は、左からN番目及びN+1番目の検査部分Peの走査方向の位置を、それぞれ、XN、XN+1とすると、S103においてズレ量記憶部53に記憶された紙送り方向へのパターン交点のズレ量Yとの関係から、次の2つの条件式を満たす必要がある。ここで、YNはX=XNの位置の検査部分Peにおける交点ズレ量であり、YN+1はX=XN+1の位置の検査部分Peにおける交点ズレ量である。
さらに、補間関数GN(X)を、隣接する区間SN−1、SN+1における補間関数GN−1(X)、GN+1(X)と連続かつ滑らかにつながる関数とするためには、補間関数GN(X)は、山頂部分Pt及び谷底部分Pbにおいて、それぞれ、隣接する区間における補間関数GN−1(X)、GN+1(X)と、Xに関する一次導関数が連続である必要がある。ところで、ここで、それぞれの区間Sの両端は波打ち形状が山頂(極大値)、又は、谷底(極小値)をとる位置であるから、その位置での一次導関数は0である。したがって、補間関数GN(X)のXに関する一階微分G’N(X)は以下の2つの条件式を満たせばよい。
そして、補間関数GN(X)を記録用紙Pの走査方向に関する座標Xの多項式で表現しようとした場合、上記4つの条件式を境界条件として多項式を決定することができるから、補間関数GN(X)は、3次関数で表すことができる。具体的には、上記4つの条件式を満たす3次関数は、以下のようになる。
なお、補間関数GN(X)は交点ズレ量Yの補間関数であるが、上記関係式は、YN+1、YN、GN(X)をそれぞれ、YN+1−Y0、YN−Y0、GN(X)−Y0と置き換えても、恒等的に(Y0の値がいくつであっても)成り立つ。すなわち、以下の関係が成り立つ。
この関数は交点ズレ量の絶対値を代入して任意の位置での交点ズレ量の絶対値を算出する関数としても使用できるし、交点ズレ量のある値(Y0)からの偏差を代入して任意の位置での交点ズレ量のある値からの偏差を算出する関数としても使用できる。したがって、ズレ量記憶部53に記憶する極大、極小となる交点ズレ量はどのような値Y0を基準とした値で表現されていてもよいが、本実施形態では全区間のYの平均値をY0とおくことにする。
S201では、キャリッジ11の移動中に、ヘッド位置検出部55により、キャリッジ11とともに走査方向に往復移動するインクジェットヘッド12の走査方向の位置を検出する。
S202では、記録用紙Pの各部分における交点ズレ量を算出する。具体的には、キャリッジ11によるインクジェットヘッド12の移動中に、S201において検出されたインクジェットヘッド12の位置(補間関数GN(X)のXに対応する)と、検出された位置に対応する補間関数GN(X)とから交点ズレ量Y=G(X)を逐次算出する。なお、本実施の形態では、S104とS202とを合わせたものが、本発明に係る補間ギャップ情報算出ステップに相当する。
S203では、S202において算出された交点ズレ量に基づいて、ノズル10からのインクの吐出タイミングを決定する。具体的に説明すると、[H(X)−Z0]:[F(X)−W0]=U:Vとなる。また、着弾ズレ検出パターンQにおける直線L1と直線L2とが為す角をθとすると、[F(X)−W0]:[G(X)−Y0]=sinθ:cosθとなる。そして、における吐出タイミングの本来の吐出タイミングからのディレイ時間Dの関数をE(X)とすると、吐出タイミングの変化量と着弾位置ズレからF(X)−W0=V・(E(X)−D0)が成り立つ。これらの関係から、E(X)は以下のようになる。
図8(d)は、D=E(X)の関係を示すグラフである。そして、このグラフも、縦軸の伸縮と平行移動により、図8(a)〜(c)のグラフと重ねることができる。
S204では、S203において決定された吐出タイミングでノズル10からインクを吐出させる。そして、印刷が完了するまで(S205:NO)、上記S201〜S204の動作を繰り返し、印刷が完了したときに(S205:YES)、動作を終了する。なお、本実施の形態では、インクジェットヘッド12が所定の位置に達したときにエンコーダセンサ20からの信号を受けてノズル10からインクを吐出するため、本来の吐出タイミングより早いタイミングでインクを吐出する吐出は困難である。したがって、D0の値はつねにD≧0となるような値が選択される。
以上に説明した実施の形態によると、記録用紙Pを複数の山部分Pmと複数の谷部分Pvとが走査方向に交互に並ぶ波形状とした場合、インク吐出面12aと記録用紙Pとのギャップが記録用紙Pの部分毎に変動する。一方、インク吐出面12aと記録用紙Pとのギャップが異なっている場合に、記録用紙Pが平坦であるとした場合と同じ吐出タイミングでノズル10からインクを吐出させると、キャリッジ11を走査方向の右側に移動させつつノズル10から吐出させたインクの着弾位置と、キャリッジ11を走査方向の左側に移動させつつノズル10から吐出させたインクの着弾位置とのズレ量が、インク吐出面12aと記録用紙Pとのギャップに応じて変わってくる。そのため、記録用紙Pをこのように波形状とした場合に、適切な位置にインクを着弾させるためには、ノズル10からのインクの吐出タイミングを、記録用紙Pの部分毎に上記ギャップに応じて決定する必要がある。
これに対して、本実施の形態では、波形状となった記録用紙Pに、着弾ズレ検出パターンQを印刷し、印刷された着弾ズレ検出パターンQを読み取ることで、山頂部分Pt及び谷底部分Pbにおける交点ズレ量を取得し、取得した交点ズレ量を、その平均値Y0と、平均値Y0からの偏差Y−Y0とに分けてズレ量記憶部53に記憶させている。そして、記憶された交点ズレ量の偏差Y−Y0から補間関数GN(X)を算出している。これにより、平均値Y0と交点ズレ量の偏差Y−Y0と補間関数GN(X)とから、記録用紙Pの各部分の交点ズレ量を、波形状にされた領域の走査方向全域(全ての検査部分Peを含む領域の走査方向全域)にわたって取得することができる。
そして、印刷時に、インクジェットヘッド12の位置と補間関数GN(X)などから算出される吐出タイミングディレイ量Dとに基づいて、ノズル10からのインクの吐出タイミングを決定することにより、波形状となった記録用紙Pの適切な位置にインクを着弾させることができる。
このとき、着弾ズレ検出パターンQから、記録用紙Pの波形状にされた領域の走査方向全域にわたる全ての部分における交点ズレ量を取得するのではなく、山頂部分Pt及び谷底部分Pbにおける交点ズレ量のみを取得し、取得した交点ズレ量から補間関数GN(X)を算出し、交点ズレ量の平均値Y0と補間関数GN(X)とから、記録用紙Pの各部分の交点ズレ量を、波形状にされた領域の走査方向全域にわたって取得する。そのため、ズレ量記憶部53に記憶させる交点ズレ量の数を少なくして制御装置50のRAMなどの容量を低く抑えつつ、記録用紙Pの各部分の交点ズレ量を、波形状にされた領域の走査方向全域にわたって取得することができる。
また、このとき、上述したように、補間関数GN(X)を3次関数とすることができる。ここで、S102において、記録用紙Pの山頂部分Ptと谷底部分Pbとの間の部分における交点ズレ量を、検査部分における交点ズレ量としてさらに取得すれば、条件式の数が増え、補間関数GN(X)を4次関数以上の多項式として算出することも可能である。
ただし、この場合には、ズレ量記憶部53に記憶させる交点ズレ量の数が多くなり、制御装置50のRAMの容量を増やす必要が生じてしまう。また、条件式の数が増えることで、S104で補間関数GN(X)を算出する際の演算量が多くなってしまう。また、補間関数GN(X)が高次関数となることで、S202において交点ズレ量を算出する際の演算量も多くなってしまう。
したがって、交点ズレ量を多項式で補間する場合、取得する交点ズレ量の数を少なくし、且つ、補間関数GN(X)を簡単に精度よく算出するという観点から、3次関数として算出するのが最適である。
また、補間関数GN(X)の第1項の分母は(XN+1−XN)3となっているが、上述したようにコルゲートプレート15、リブ16、及び、コルゲート拍車18、19が、それぞれ、走査方向に等間隔に配列されている場合には、隣接する山頂部分Ptと谷底部分Pbの走査方向に関する距離に相当する(XN+1−XN)の値が一定となり、上記分母の値も一定となる。ここで、計算機では、一般に、乗算よりも除算に時間を要するが、(XN+1−XN)の値が一定の場合には、予め、1/(XN+1−XN)3の値を算出しておき、補間関数GN(X)から偏差Dを算出する際に、(XN+1−XN)3で除する演算を行う代わりに、予め算出した定数である1/(XN+1−XN)3を乗ずる演算を行うことで、補間関数GN(X)の算出に要する時間を短縮することができる。
また、本実施の形態では、S202において、印刷時のキャリッジ11の移動中に、インクジェットヘッド12の位置を取得し、取得したインクジェットヘッド12の位置と、その位置に対応する補間関数GN(X)とにより取得された交点ズレ量の偏差Y−Y0及び交点ズレ量の平均値Y0とから、交点ズレ量を逐次算出し、算出した交点ズレ量に基づいて、ノズル10からのインクの吐出タイミングを逐次決定している。
したがって、印刷を行う前に、予め、交点ズレ量を全域分算出しておき、算出結果を制御装置50のRAMに記憶させておく必要がない。したがって、制御装置50のRAMの容量を小さくすることができる。また、全域分の交点ズレ量を制御装置50のRAMに記憶させるようにしてしまうと、後でコルゲートプレート15の位置を調整するなどして、一部の領域における交点ズレ量が変わった場合に、RAMなどに記憶された当該領域の交点ズレ量を個別に変更する必要がある。これに対して、本実施の形態では、交点ズレ量を逐次算出するため、このような場合でも、ズレ量記憶部53に記憶された当該領域に対応する山頂部分Pt及び谷底部分Pbにおける交点ズレ量を変更し、変更後の交点ズレ量から補間関数GN(X)を算出するだけで、当該領域全体の交点ズレ量を容易に調整後の交点ズレ量に変更することができる。
また、本実施の形態では、S103において、検査部分Peにおける交点ズレ量Yを、その平均値Y0と、平均値Y0からの偏差Y−Y0とに分けてズレ量記憶部53に記憶させ、S104において偏差Dの補間関数GN(X)を算出しているため、後の調整などにより、波形状の振幅(山頂部分Ptと谷底部分Pbの高さの差)が変わったときには、偏差Y−Y0を調整し、記録用紙P全体の高さやキャリッジ11の移動速度が変わったときには平均値Y0を調整するなど、平均値Y0と、偏差Y−Y0とを個別に調整することができる。
次に、本実施の形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。ただし、本実施の形態と同様の構成については、適宜その説明を省略する。
上述の実施の形態では、ズレ量記憶部53に、検査部分Peにおける交点ズレ量Yを、その平均値Y0と、平均値Y0からの偏差に分けて記憶させていたが、これには限られない。ズレ量記憶部53に、検査部分Peにおける交点ズレ量Yの値(図8(a)のYNの値など)そのものを記憶させていてもよい。
また、検査部分Peにおける主走査方向の着弾位置ズレ量Wや、検査部分Peにおいて適用すべき吐出タイミングディレイ量D、あるいはそれらから一定の値を増減したものなどを記憶させていてもよい。
また、上述の実施の形態では、S203において、印刷時におけるインクジェットヘッド12の移動中に、記録用紙Pのインクジェットヘッド12の位置に対応した部分における交点ズレ量を逐次算出し、算出された交点ズレ量に基づいてインクの吐出タイミングを決定したが、これには限られない。例えば、印刷前に、予め、補間関数GN(X)から取得される交点ズレ量Yから、交点ズレ量を波形状にされた領域の全域分算出し、算出した交点ズレ量を全て制御装置50のRAMなどに記憶させておき、印刷時に、この記憶された交点ズレ量に基づいて、インクの吐出タイミングを決定してもよい。
また、上述の実施の形態では、コルゲートプレート15、リブ16及びコルゲート拍車18、19を、それぞれ、走査方向に等間隔に配置していたが、これらの間隔は等間隔でなくてもよい。
また、上述の実施の形態では、補間関数GN(X)を3次関数として算出したが、上述したように、補間関数GN(X)を4次以上の多項式の関数として算出してもよい。あるいは、区間SNでの補間関数GN(X)が隣接する区間SN+1での補間関数GN+1(X)と接続する位置での関数のXに関する変化率を別途求めて、これを境界条件として3次の多元連立方程式として補間関数G(X)を決定してもよい。あるいは、補間関数GN(X)が隣接する区間SN−1、SN+1の補間関数GN−1(X)、GN+1(X)と滑らかにつながらなくてもよいのであれば、補間関数GN(X)を2次以下の多項式の関数としてもよい。あるいは、補間関数GN(X)を正弦関数など多項式以外の関数としてもよい。
また、上述の実施の形態では、インクジェットプリンタ1の製造段階などに、印刷した着弾ズレ検出パターンQを、インクジェットプリンタ1とは別のスキャナ61で読み取ることで、山頂部分Pt及び谷底部分Pbにおける交点ズレ量を取得したが、これには限られない。一変形例では、図10に示すように、制御装置50に、ズレ量取得部58がさらに設けられている。そして、着弾ズレ検出パターンQを読取部5(着弾位置ズレ量取得装置)で読み取らせ、ズレ量取得部58において、読み取られた着弾ズレ検出パターンQから、山頂部分Pt及び谷底部分Pbにおける交点ズレ量を取得する。そして、取得した交点ズレ量をズレ量記憶部53に記憶させる。
また、この場合には、インクジェットプリンタ1は、着弾ズレ検出パターンQを読み取るために読取部5を備えている必要があるが、上述の実施の形態では、インクジェットプリンタ1とは別のスキャナ61で着弾ズレ検出パターンQを読み取るため、インクジェットプリンタ1は、読取部5を備えていない、印刷のみを行うことが可能なものであってもよい。
また、上述の実施の形態では、キャリッジ11を走査方向の一方向に移動させつつ、ノズル10からインクを吐出させることによって直線L1を印刷させ、キャリッジ11を走査方向の他方向に移動させつつ、ノズル10からインクを吐出させることによって直線L2を印刷させ、これにより、直線L1と直線L2とが重なる、着弾ズレ検出パターンQを印刷させたが、これには限られない。
例えば、予め複数の直線L1と同様の直線が印刷された記録用紙Pに、キャリッジ11を走査方向の一方向及び他方向のいずれかに移動させつつ、ノズル10からインクを吐出させて、複数の直線L2を印刷させることにより、予め印刷された直線と、印刷した直線L2とが重なる着弾ズレ検出パターンを印刷してもよい。この場合でも、着弾ズレ検出パターンを読み取ることにより、山頂部分Pt及び谷底部分Pbにおける、所定の基準位置に対する着弾位置ズレ量を取得することができる。
また、着弾ズレ検出パターンは、交差する2本の直線によって形成されるものであることにも限られず、着弾位置ズレ量に応じて印刷結果の変わる他の着弾ズレ検出パターンであってもよい。
また、上述の実施の形態では、各区間Sについて補間関数GN(X)を全て算出することで、記録用紙Pの波形状とされた領域の走査方向全域にわたって、交点ズレ量を算出したが、これには限られない。例えば、波形状とされた記録用紙Pが、一部の山部分Pm及び谷部分Pvにおいては大きく湾曲しており、それ以外の山部分Pm及び谷部分Pvでは、それほど大きく湾曲していないような場合には、湾曲の大きい山部分Pm及び谷部分Pvに対応する区間Sについてのみ補間関数GN(X)を算出し、その後の、交点ズレ量の算出や、インク吐出タイミングの決定を行ってもよい。
なお、補間関数GN(X)の算出を行わなかった区間Sについては、山部分Pm及び谷部分Pvの湾曲が小さいため、着弾位置ズレが画質にそれほど大きな影響を与えないとして、記録用紙Pが波形状とされていないとした場合と同じタイミングでインクを吐出させる。
また、上述の実施の形態では、着弾ズレ検出パターンQを印刷し、印刷した着弾ズレ検出パターンQを読み取ることによって、インク吐出面12aと記録用紙Pの各部分とのギャップに関連した情報として、山頂部分Pt及び谷底部分Pbにおける交点ズレ量を取得したが、これには限られない。すなわち、交点ズレ量以外のインク吐出面12aと山頂部分Pt及び谷底部分Pbとのギャップに関連した別の情報を取得してもよい。さらには、インク吐出面12aと各山頂部分Pt及び谷底部分Pbとのギャップを直接測定するなどして、ギャップそのものの情報を取得してもよい。