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JP6243734B2 - 仮設風防ユニット - Google Patents
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Description

本発明は、仮設風防ユニットに関するものであり、より詳細には、橋梁等の架空構造物に対して仮設風防ユニットを設置する高所作業や、仮設風防ユニットの移設・点検等の高所作業における作業員の安全性及び作業性等を向上する仮設風防ユニットに関するものである。
鋼構造橋梁等の架空構造物を建設する建設工事においては、溶接作業等の作業が風雨等の気象の影響を受けるのを防止すべく、風防設備が架空構造物に設置される。風防設備として、地上において門形に組み立てた状態でクレーン等の揚重機によって吊上げられ、架空構造物上に設置される仮設風防ユニットが知られている(特許文献1:特開2002−227404号公報)。架空構造物上に設置した仮設風防ユニットは、揚重機によって吊上げられた状態で架空構造物に沿って移設され、或いは、架空構造物から地上に降下されて解体される。
特許文献1に記載された如く、従来の仮設風防ユニットは、鋼材を一体的に組付けて鋼製骨組を構築し、骨組の外面にシート又はパネル材を取付けて外面を全体的に覆うことにより形成される。地上で組み立てた門形の風防ユニットは、揚重機によって吊り上げられた状態で架空構造物の上方に位置決めされた後、架空構造物の上面及び側面を囲むように降下され、これにより、溶接作業や、ボルト連結等のための作業室又は作業空間を架空構造物の特定部位に形成する。
架空構造物の特定部位における溶接作業等が終了すると、風防ユニットは、揚重機等によって懸吊された状態で架空構造物に沿って移設され、溶接作業のための作業室又は作業空間を架空構造物の他の部位に形成する。
他方、建築物又は土木構造物の建設工事に使用される仮設足場として、枠組足場が知られている。枠組足場は、建枠を建込み、床付き布枠を作業用足場板として建枠の各層に架設することにより建造物の外壁面に構築され、建設工事の完了直前の適切な時期に解体される。
本出願人は、枠組足場の建枠及び布枠を用いて上記鋼製骨組を構築し、骨組の外面にパネル材を取付けて外面を全体的に覆うことにより仮設風防ユニットを構築し得ることを既に実証している。この種の仮設風防ユニットは、比較的短時間の作業により簡易且つ迅速に地上で組立てることができるので、極めて実用的である。
また、土木構造物又は建築構造物の建設工事に使用される枠組足場以外の形式の仮設足場として、単管足場及び楔緊結式足場が知られている。
単管足場は、建設工事の進捗に相応して単管(鋼管)を上層に順次建込む形式の仮設足場である。単管足場は、地盤面の敷板上に固定型ベース金具を所定間隔に配置し、鋼管製の建地を建込み、根がらみ、腕木、布、中桟、手摺及び筋交い等を構成する鋼管を緊結金具(クランプ金具)によって順次緊結し、足場板を腕木上に敷設することにより組立てられる。単管足場は、枠組足場と同じく、建設工事の完了直前の適切な時期に解体される。
楔緊結式足場は、鋼管製の支柱を建込み、単管足場と同様、腕木、布、中桟、手摺及び筋交い等を支柱に組み付けることにより構築される。但し、楔緊結式足場においては、楔係合部が支柱に設けられ、楔部材の楔作用によって腕木、布等の部材が楔係合部に緊結される(特許文献2:特開2013−189812号公報)。
単管足場又は楔緊結式足場を用いて風防ユニットを構築することは、過去に試みられていない。
特開2002−227404号公報 特開2013−189812号公報
仮設風防ユニットを地上から揚重し、或いは、仮設風防ユニットを架空構造物から降下させる際、揚重機のフック等を仮設風防ユニットの頂部に係留し又は係止する作業が必要とされる。この種の作業は、仮設風防ユニットを架空構造物上で移設し、或いは、使用後の仮設風防ユニットを架空構造物から地上に降下させる際においても必要とされる。
図8は、揚重機のフック等を従来構成の仮設風防ユニットに係止又は係留する作業を概略的に示す仮設風防ユニットの斜視図である。
仮設風防ユニット100(以下、ユニット100という。)は、架空構造物Sの側面を覆う左右の側部101と、左右の側部101を相互連結する連結部102とから全体的に構成される。側部101及び連結部102は、鋼製骨組(図示せず)の外面に壁面パネル103及び頂面パネル104を取付けた構成を有する。パネル103、104は、風雨等の外界環境から保護された状態で架空構造物Sの溶接等を行なうための作業空間をユニット100内に形成する。鋼製骨組は、前述のとおり、鋼材を組付けてなる鋼製骨組、或いは、枠組足場用の建枠及び布枠を組み立ててなる鋼製又は金属製の骨組である。
ユニット100の頂面には、揚重機(図示せず)のフック110等を係留又は係止可能な環状のフック係合部105が配設される。フック係合部105は、ユニット100の頂面角部に夫々配置され、ユニット100の鋼製骨組に一体的に連結される。ユニット100の上昇降下時には、揚重機は、複数のワイヤロープ111のフック110等を各フック係合部105に係止又は係留した状態でユニット100を懸吊する。ユニット100の頂面には、作業員がユニット頂面に上がるための開閉可能なハッチ106が配設される。揚重機の各フック110を各々のフック係合部105に係止又は係留する作業は、図8に示す如く、ユニット頂面に載った作業員によって実施される。
即ち、このようなフック係止又はフック係留作業においては、作業者が仮設風防ユニットの頂面に載り、揚重機のフック等を仮設風防ユニットの頂部に係止又は係留しなければならない。また、このように作業員が仮設風防ユニットの頂部に載る状況は、仮設風防ユニットの点検時や、安全確認時等においても生じる。このため、仮設風防ユニットは、この種の高所作業の安全性を確保するための安全手段を恒常的に備えることが望ましいが、従来の仮設風防ユニットは、そのような安全手段を備えていない。
また、鋼材を一体的に組付けた構成の鋼製骨組を用いた上記風防ユニットにおいては、仮設風防ユニットの構築に比較的多くの労力及び作業時間を要する。他方、枠組足場用の建枠及び布枠を用いた仮設風防ユニットにおいては、比較的短時間で簡易に風防ユニットを組立てることができるので、その点において有利である。しかしながら、枠組足場用の建枠及び布枠を用いた仮設風防ユニットでは、ブレース(筋交い)を桁方向又は奥行方向(架空構造物の軸線と平行な方向)に設置し得る反面、梁間方向又は間口方向(架空構造物の軸線と直交する方向)にブレースを設置することができず、このため、仮設風防ユニットの剛性を容易に向上し難いという課題がある。加えて、枠組足場用の建枠及び布枠を用いた仮設風防ユニットにおいては、上層の床材(布枠)又は頂板等を建枠に組付ける際、作業者の安全を確保する先行手摺を容易に形成し難いという問題も生じる。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、仮設風防ユニットの頂面に載った作業員の安全性及び作業性等を向上するとともに、鋼製又は金属製の骨組を簡易且つ迅速に構築することができ、しかも、ブレースを骨組の桁方向及び梁間方向の双方に設置することができる仮設風防ユニットを提供することにある。
上記目的を達成すべく、本発明は、架空構造物の両側に配置された左右の側部と、架空構造物の上側に配置され、左右の側部を連結する連結部とから構成され、前記側部及び連結部は、鋼製又は金属製の骨組と、該骨組の外面に取付けられたパネル材又はシート材とによって形成され、架空構造物の側面及び上面に作業室又は作業空間を画成する仮設風防ユニットにおいて、
仮設風防ユニットの頂面を形成する最上層の床面又は屋根面から前記骨組の支柱を上方に突出して該頂面に手摺支柱を形成し、揚重機の吊り具を係止又は係留可能な係止部又は係留部を前記手摺支柱に形成したことを特徴とする仮設風防ユニットを提供する。
好ましくは、上記骨組は、軸芯方向に間隔を隔てて楔係合部を配置した楔緊結式支柱と、楔部材の楔作用により前記楔係合部に端部を緊結した楔緊結式の布材及び腕木材とを有する。なお、本明細書においては、仮設風防ユニットの桁方向又は奥行方向(通常は、架空構造物の軸線方向に沿う方向である。)に延びる横架材を布材として記載し、仮設風防ユニットの梁間方向又は間口方向に延びる横架材を腕木材として記載するものとする。
本発明は又、架空構造物の両側に配置された左右の側部と、架空構造物の上側に配置され、左右の側部を連結する連結部とから構成され、前記側部及び連結部は、鋼製又は金属製の骨組と、該骨組の外面に取付けられたパネル材又はシート材とによって形成され、架空構造物の側面及び上面に作業室又は作業空間を画成する仮設風防ユニットにおいて、
前記骨組は、軸芯方向に間隔を隔てて楔係合部を配置した楔緊結式支柱と、楔部材の楔作用により前記楔係合部に端部を緊結した楔緊結式の布材及び腕木材とを有し、
揚重機の吊り具を係止又は係留可能な係止部又は係留部が、楔緊結式支柱に所定間隔を隔てて配置された前記楔係合部によって形成され、揚重機の吊り具は、楔部材を打ち込むために前記楔係合部に形成された開口部、或いは、前記楔係合部を構成するフランジ部に係合することにより、前記支柱に係止又は係留することを特徴とする仮設風防ユニットを提供する。
他の観点より、本発明は、架空構造物の両側に左右の側部を配置し、左右の側部を連結する連結部を架構構造物の上側に配置し、前記側部及び連結部を形成する鋼製又は金属製の骨組と、該骨組の外面に取付けられたパネル材又はシート材とによって、架空構造物の側面及び上面に作業室又は作業空間を画成する仮設風防ユニットの構築方法において、
軸芯方向に間隔を隔てて楔係合部を配置した楔緊結式支柱と、楔部材の楔作用により前記楔係合部に端部を緊結した楔緊結式の布材及び腕木材とによって前記骨組を構築し、
前記骨組の外面をパネル材又はシート材で覆うことにより、前記作業室又は作業空間を形成し、
前記楔緊結式支柱を最上層の床面又は屋根面から上方に突出させて仮設風防ユニットの頂面に手摺支柱を形成し、
揚重機の吊り具を前記手摺支柱に係止又は係留し、該揚重機によって仮設風防ユニットを昇降させて、前記架空構造物上に設置することを特徴とする仮設風防ユニットの構築方法を提供する。
本発明の上記構成によれば、揚重機の吊り具を支柱に係止又は係留して、仮設風防ユニットを上昇・降下させることができることから、上昇・降下時に仮設風防ユニットに作用する引張力を骨組の鉛直軸組部材の軸力として骨組に伝達することができるので、安定した仮設風防ユニットの昇降作業を実施することができる。
また、楔緊結式支柱と楔緊結式の布材及び腕木材とを楔部材によって組付ける上記構成によれば、上記骨組を簡易且つ迅速に組立てることができ、しかも、このように布材及び腕木材を楔緊結式支柱に緊結する一体的な軸組構造においては、ブレースを桁方向及び梁間方向の双方に設置して、骨組の剛性を向上することができる。
更に、支柱の上方突出部により形成される手摺支柱に手摺を取付けることにより、手摺によって囲まれた安全な作業域を仮設風防ユニットの頂面に形成することができるので、最上層の床材又は頂板等を組付ける作業の安全性、作業性等や、仮設風防ユニット上の作業員の安全性、作業性等を向上することができる。
好ましくは、上記楔係合部は、楔緊結式支柱に一体的に固定されたフランジ部又は鍔部等からなり、揚重機の吊り具は、楔部材を打ち込むためのフランジ部等に係合することにより、手摺支柱に係止又は係留する。好適には、楔緊結式支柱のフランジ部に連結された交差ブレースが、桁方向及び/又は梁間方向の各面に配置される。
更に好ましくは、上記布材及び腕木材が手摺支柱の楔係合部に緊結され、布材及び腕木材は、恒常的な手摺を仮設風防ユニットの頂面又は屋根面に形成する。好適には、揚重機の吊り具は、中桟レベルに位置する手摺支柱の楔係合部に係止又は係留される。
本発明の好適な実施形態によれば、仮設風防ユニットは、上記腕木材又は布材によって支持された床材を有し、床材は、複層階の作業室又は作業空間を上記側部に形成する。
仮設風防ユニットの頂面に手摺支柱を形成した本発明の仮設風防ユニット及びその構築方法によれば、仮設風防ユニットの頂面に載った作業員の安全性及び作業性等を向上することができる。
また、楔緊結式の支柱、布材及び腕木材によって鋼製又は金属製の骨組を構成した本発明の仮設風防ユニット及びその構築方法によれば、簡易且つ迅速に骨組を構築することができ、しかも、ブレースを骨組の桁方向及び梁間方向の双方に設置することができる。
図1は、本発明に係る仮設風防ユニットに対して揚重機のフック等を係止又は係留する作業を概略的に示す仮設風防ユニットの斜視図である。 図2は、楔緊結式足場の構成要素を用いて鋼製骨組を地上に構築した仮設風防ユニットの実施例を示す部分破断正面図である 図3は、図2に示す仮設風防ユニットの部分破断側面図である。 図4は、図2及び図3に示す仮設風防ユニットの部分破断平面図である。 図5は、楔緊結式足場の構造を示す鋼製骨組の部分立面図及び部分横断面図である。 図6は、揚重機のフックを鋼製骨組に係留又は係止した状態を示す手摺支柱の部分立面図及び部分横断面図である。 図7は、仮設風防ユニットを架空構造物上に載置した状態を示す仮設風防ユニットの部分破断正面図である。 図8は、揚重機のフック等を従来構成の仮設風防ユニットに係止又は係留する作業を概略的に示す仮設風防ユニットの斜視図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る仮設風防ユニットに対して揚重機のフック等を係止又は係留する作業を概略的に示す仮設風防ユニットの斜視図である。
橋梁等の架空構造物Sに設置された仮設風防ユニット1(以下、ユニット1という。)は、架空構造物Sの側面を覆う左右の側部2と、左右の側部2を相互連結する連結部3とから全体的に構成される。側部2及び連結部3は、鋼製骨組(図示せず)の外面に壁面パネル4及び頂面パネル5を取付けた構成を有する。パネル4、5は、風雨等の外界環境から保護された状態で架空構造物Sの溶接等を行なう作業空間をユニット1内に形成する。
手摺支柱6が所定間隔を隔ててユニット1の頂面外縁部から上方に突出し、手摺7及び中桟8が、隣り合う手摺支柱6の間に架設される。ユニット1の側面の一部には、中桟8に換えて交差ブレース9が架設される。手摺組立体10が、手摺支柱6、手摺7、中桟8及びブレース9によってユニット頂面の外周帯域に全周に亘って形成される。ユニット1の頂面には、作業員がユニット1内の空間から頂面上に上がるための開閉可能なハッチ又は扉20が配設される。所望により、作業員がユニット1内の空間から架空構造物S上に移動するためのハッチ、ドア又は扉21(破線で示す)が連結部3の壁面に配置される。また、ユニット1内の作業空間を換気するための換気扇22が壁面パネル4の適所に配設される。
手摺支柱6には、揚重機(図示せず)のフック110等を係留又は係止可能なフック係合部11が配設される。フック係合部11は、ユニット頂面の各角部に配置された手摺支柱6に設けられ、手摺支柱6の中桟レベルに配置される。揚重機は、複数のワイヤロープ111によって各フック係合部11を吊り上げる。
揚重機の各フック110を各々のフック係合部11に係止又は係留する作業は、図1に示す如く、ユニット頂面に載った作業員によって実施される。手摺組立体10がユニット頂面の全周に亘って延在するので、安全な作業域がユニット頂面に確保される。
本発明においては、このような手摺組立体10を備えたユニット1の鋼製骨組を簡易且つ迅速に構築すべく、楔緊結式足場の構造が鋼製骨組の構造として採用される。
図2、図3及び図4は、楔緊結式足場の構成要素を用いて鋼製骨組を構築したユニット1の実施例を示す部分破断正面図、部分破断側面図及び部分破断平面図である。図5は、楔緊結式足場の楔緊結構造を示す鋼製骨組の部分立面図及び部分横断面図である。
図2〜図4に示す如く、鋼製骨組30は、地上組立作業により地盤面GL上に組立てられ、支柱31、布材32、腕木材33、床付き布枠34、梯子35及びブレース(筋交い)36を組み付けた構成を有する。支柱31は、最上層の床付き布枠34から上方に鉛直に延出し、図1に示す手摺支柱6を形成する。また、最上層RFの床付き布枠34は、図1に示す頂面パネル5を構成する。なお、図4に示す如く、最上層床面の一部は、開閉可能なハッチ20により形成される。
鋼製骨組30の外側面には、壁面パネル4が取付けられる。壁面パネル4は、比較的高い遮音性能を有する防音パネル材からなり、連結具等(図示せず)によって支柱31、布材32及び腕木材33に一体的に取付けられる。所望により、壁面パネル4は、吸音材を備え、壁面パネル4同士の継目は、シール材等により気密処理される。このようなユニット1の防音構造又は防音処理は、高力ボルト又は超高力ボルトの締付け時に発生する打撃音等の騒音を遮断する上で有効な騒音対策である。
かくして、壁面パネル4によって外周面を囲まれ、最上層の床付き布枠34を最上層レベルRFに配設した鋼製骨組30は、外界の気象変動等から保護された内部空間、即ち、溶接作業等のための作業空間を形成する。
鋼製骨組30の内部空間は、第1〜3層F1:F2:F3からなる3層構成を有する。所望により、鋼製骨組30の内部空間を1層又は2層構成、或いは、4層以上の複層構成に設計しても良い。
最下層(第1層)F1には、開閉扉又はドア39が取付けられる。ユニット1を地上レベルにおいて組み付けた状態においては、作業者は、開閉扉39の開口部を介してユニット1内の作業空間に入室し、或いは、ユニット1内の作業空間から退室することができる。また、作業員は、上下移動用に各層F1〜F3に設けられた梯子35によって上下移動することができる。
支柱31は、90cm〜3.6mの全長(全高)、例えば、1.8mの全長(全高)を有する鋼製の支柱材31'(図5)を直列に連結した構造を有する。支柱材31'の接続部37の構造が図5(A)に示されている。下側の支柱材31'の上端縮径部31"が上側の支柱材31'の下端開口に挿入され、U形連結具38のピン部分が、支柱材31'の下端部及び上端縮径部31"に穿設されたピン挿入口(図示せず)に挿通され、これにより、上下の支柱材31'が相互連結される。このように構成された接続部37は、支柱31の軸方向に作用する圧縮応力及び引張応力を伝達する。即ち、接続部37は、地上におけるユニット1の組付け時に支柱31に作用する軸方向圧縮力P1に抗するとともに、揚重機による上昇後に支柱31に作用する軸方向引張力P2に抗する。
このようにして形成される接続部37の強度は、図5に示す水平荷重PH、鉛直引張荷重PT及び鉛直圧縮荷重PCに対し、以下の如く設定される。
・水平荷重PH≧2.65kN(平均2.94kN)、撓み量≦19mm以下(PH=1.47kN時)
(好ましくは、PH≧4.0kN(平均4.0kN)、撓み量≦15mm以下(PH=1.47kN時))
・鉛直引張荷重PT≧14.7kN(平均16.2kN)、伸び量≦0.9mm(PT=8.83kN時)
(好ましくは、PT≧20.0kN(平均20.0kN)、伸び量≦0.9mm(PT=8.83kN時))
・鉛直圧縮荷重PC≧37.3kN(平均41.2kN)
(好ましくは、PC≧45.0kN(平均45.0kN))
図2及び図3に示す如く、支柱31は、所定間隔(本例では45cm間隔)に配置されたフランジ部又は鍔部40(以下、フランジ部40という。)を有する。フランジ部40は、楔係合部を構成する。図5に示す如く、各フランジ部40は、支柱31に一体化した金属部材からなり、90度の角度間隔を隔てて配置された複数の開口部41を備える。開口部41は、布材32と同方向に延びる一対の開口部41a:41cと、腕木材33と同方向に配置された一対の開口部41b:41dとから構成される。
布材32又は腕木材33は、フランジ部40に連結可能な連結部32a、33aを両端部に備える。連結部32a、33aは、フランジ部40を挟むように上下に分割される。連結用楔部材50を挿入可能な開口部32b、33bが、上側部分32c、33c及び下側部分32d、33dに夫々形成される。開口部32b、33bは、フランジ部40の開口部41に整列する。楔部材50は、連結部32a、33aの上下の開口部32b、33bに挿入され、フランジ部40の開口部41を貫通する。楔部材50の頭部は、ハンマー等の工具によって打撃され、打撃力P3によってフランジ部40及び連結部32a、33aに打ち込まれる。フランジ部40及び連結部32a、33aは、楔部材50の楔作用により緊結され、一体的に連結される。なお、楔部材50は、連結部32a、33aから楔部材50が抜け出すのを阻止する抜け止め防止用突起51を有する。
このようにして緊結された楔緊結部の強度は、図5に示すように緊結部近傍に作用する下向き鉛直荷重PD及び上向き鉛直荷重PUに対し、以下の如く設定される。なお、楔緊結部の強度は、同じ荷重PD、PUが反対側の楔緊結部にも作用する条件で設定される。
・下向き鉛直荷重PD≧4.5kN(平均5kN)
(好ましくは、PD≧8kN(平均8kN)、更に好ましくは、PD≧10kN(平均10kN))
・上向き鉛直荷重PU≧4.5kN(平均5kN)
(好ましくは、PU≧8kN(平均8kN)、更に好ましくは、PU≧10kN(平均10kN))
・楔緊結部のすべり量≦5mm(鉛直荷重PU=3.5kN時)
(好ましくは、すべり量≦0.5mm(PU=3.5kN時))
前述した接続部37の強度を有するとともに、このような楔緊結部の強度を有するユニット1によれば、ユニット1の昇降時にユニット1の有害又は有意な変形が生じないばかりでなく、架空構造物S上に設置した状態でユニット1の強度、耐力等に格別の支障が生じず、構造的に安定した仮設風防ユニットとして使用し得ることが判明した。
また、フランジ部40には、ブレース材36の端部を連結することができる。図2及び図3に示す如く、本例のブレース材36は、交差した二本のブレース材36の各上端部を布材32又は腕木材33の端部に予め枢着した構成を有する。ブレース材36の上端部と、布材32又は腕木材33の端部とを連結する枢着部60は、フランジ部40の開口部41に挿入される係止ピン(図示せず)を有する。
枢着部60の反対側に位置する各ブレース材36の下端部は、布材32及び腕木材33の連結部32a、33aと同等の構造を有する(但し、ブレース材36の下端部の形態及び細部構成は、連結部32a、33aと相違する。)。各ブレース材36の下端部は、楔部材50の楔作用によりフランジ部40に緊結され、フランジ部40に一体的に連結される。ブレース材36は、横力又は水平荷重に対するユニット1の剛性を向上するための補強材を構成する。
図2〜図4に示すユニット1の鋼製骨組30は、地上において支柱材31'を接続具38によって上下に連結して支柱31を上方に延長しながら、布材32、腕木材33及びブレース材36等を下層側からフランジ部40に順次連結又は係止することにより形成される。また、床付き布枠34及び梯子35は、支柱31の間に架設された布材32及び腕木材33に対して順次敷設され又は取付けられる。
このような楔連結式の鋼製骨組30によれば、第1層F1の支柱31として建込まれる支柱材31'の上部は、第2層F2のレベルよりも上方に突出させることができる。従って、第1層F1の構築過程において、第2層F2の床面レベルの上方に位置するフランジ部40に第2層F2の布材32、腕木材33及びブレース材36を先行して取付け、これにより、第2層F2の先行手摺を形成することができる。同様に、第3層F3の先行手摺を第2層F2の構築過程において形成し、最上層RFの先行手摺を第3層F3の構築過程において形成することができる。
最上層RFの先行手摺として形成された支柱31の上方突出部分は、手摺支柱6を構成する。手摺支柱6のフランジ部40に緊結された布材32、腕木材33及びブレース材36は、図1に示す手摺組立体10の手摺7、中桟8及び交差ブレース9を構成する。
最上層RFの床付き布枠34が敷設され、ハッチ20が取付けられることにより、鋼製骨組30が構築され、しかる後、壁面パネル4等が鋼製骨組30の外面に取付けられる。なお、壁面パネル4の取付け工程を鋼製骨組30の構築工程と同時に実行することも可能である。
かくして完成した地上のユニット1は、揚重機(図示せず)によって上昇され、図1に示す如く、架空構造物S上に設置される。
図6は、ユニット1を上昇させるために揚重機のフック110を鋼製骨組30に係留又は係止した状態を示す手摺支柱6の部分立面図及び部分横断面図である。
揚重機の吊り具を構成するフック110の先端部は、手摺支柱6に位置するフランジ部40の開口部41に挿入され、フランジ部40に係合し、これにより、フック110は、フランジ部40に係止又は係留される。作業員は、図1に示す如く手摺組立体10によってユニット頂面に形成された安全な作業域において、この作業を実行することができる。
図6に矢印で示す如く、ワイヤーロープ111は、揚重機によって斜め上方に引っ張られ、フランジ部40は、揚重機によって吊り上げられ、上昇される。上昇時にユニット1に作用する引張力は、鉛直軸組部材の軸力として鋼製骨組30の支柱31に伝達するので、安定した状態でユニット1を上空に吊り上げることができる。
なお、フック110に換えて、揚重機の吊り具を構成するシャックル(図示せず)を用いても良い。シャックルは、手摺支柱6を囲むように配置され、シャックルのボルト部分112(図6に破線で示す)がフランジ部40の下側に配置される。シャックル本体に巻き掛けられたワイヤーロープ111は、揚重機によって斜め上方に引っ張られ、ボルト部分112は、フランジ部40及び手摺支柱6に係合し、図6に矢印で示す如く、手摺支柱6を斜め上方に押し上げる。
図7は、ユニット1を架空構造物S上に載置した状態を示すユニット1の部分破断正面図である。
ユニット1は、架空構造物Sの上方に上昇され、側部2によって架空構造物Sを跨ぐように降下される。ユニット1は、地上組立時に支柱31に固定された梁材80を備える。梁材80は、左右の側部2を架橋するように連結部3の下側に延在する。梁材80は、ユニット1の降下により架空構造物Sの上面に載置され、ユニット1の荷重は、梁材80を介して架構構造体Sに載荷される。
かくして架空構造物S上に設置されたユニット1に対し、ユニット1の横揺れ挙動等を防止又は抑制するための水平な補強部材81が、架空構造物Sの下側面に沿って配置される。補強部材81は、左右の側部2を架橋するように支柱31に連結され、係留具82によって架空構造物Sに係止又は係留される。
更に、布材又は腕木材等の横架材83が、左右の側部2を架橋するように補強部材81の下側に架設される。横架材83には、床付き布枠84が敷設される。
以上、本発明の好適な実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変形又は変更が可能である。
例えば、上記実施例の説明においては、地上組立後の仮設風防ユニットを架空構造物上に移動するための昇降作業について説明したが、架空構造物に沿って仮設風防ユニットを移動させる際、或いは、架空構造物上の仮設風防ユニットを地上に降下させて解体する際においても、揚重機を用いた同様のユニット昇降作業が実施される。
また、上記仮設風防ユニットの桁方向及び梁間方向のスパン数、寸法等は、架空構造物の断面に相応して適宜設計変更することができる。
更に、揚重機のワイヤロープの本数や、ワイヤロープを係止又は係留すべき手摺支柱の位置等については、状況に応じて適宜変更することが可能である。
また、上記実施例においては、パネル材により外壁面を形成しているが、可撓シート材料等のシート材によって外壁面を形成しても良く、また、上記実施例では、平板形態のフランジ部を楔係合部として備えた楔緊結式支柱を使用しているが、コの字形又は箱形形態等の他の形態の楔係合部を備えた楔緊結式支柱を用いて鋼製骨組を使用し、或いは、合金製の楔緊結式支柱を用いて骨組を形成しても良い。
本発明は、鋼構造橋梁等の架空構造物を建設する建設工事において使用される仮設風防ユニットに適用される。本発明の仮設風防ユニットは、最上層の床面又は屋根面から上方に突出する骨組支柱によってユニット頂面に手摺支柱を形成することにより、最上層の床材又は頂板等を組付ける作業の安全性・作業性や、架設風防ユニット上の作業員の安全性・作業性を向上することができ、また、楔緊結式の支柱、布材及び腕木材を用いることにより、ブレースを桁方向及び梁間方向の双方に設置した鋼製骨組を簡易且つ迅速に構築することができるので、その実用的効果は、顕著である。
1 仮設風防ユニット
2 側部
3 連結部
4 壁面パネル
5 頂面パネル
6 手摺支柱
7 手摺
8 中桟
9 交差ブレース
10 手摺組立体
11 フック係合部
20 ハッチ
30 鋼製骨組
31 支柱
31' 支柱材
32 布材
33 腕木材
34 布枠
35 梯子
36 ブレース材
37 接続部
38 接続具
40 フランジ部又は鍔部(楔係合部)
41 開口部
50 連結用楔部材
110 フック(揚重機の吊り具)
111 ワイヤロープ(揚重機のワイヤロープ)
S 架空構造物
F1〜F3 第1〜3層レベル
RF 最上層レベル
GL 地盤面

Claims (10)

  1. 架空構造物の両側に配置された左右の側部と、架空構造物の上側に配置され、左右の側部を連結する連結部とから構成され、前記側部及び連結部は、鋼製又は金属製の骨組と、該骨組の外面に取付けられたパネル材又はシート材とによって形成され、架空構造物の側面及び上面に作業室又は作業空間を画成する仮設風防ユニットにおいて、
    仮設風防ユニットの頂面を形成する最上層の床面又は屋根面から前記骨組の支柱を上方に突出して該頂面に手摺支柱を形成し、揚重機の吊り具を係止又は係留可能な係止部又は係留部を前記手摺支柱に形成したことを特徴とする仮設風防ユニット。
  2. 前記骨組は、軸芯方向に間隔を隔てて楔係合部を配置した楔緊結式支柱と、楔部材の楔作用により前記楔係合部に端部を緊結した楔緊結式の布材及び腕木材とを有し、
    前記係止部又は係留部は、楔緊結式支柱に配置された前記楔係合部によって形成され、揚重機の吊り具は、楔部材を打ち込むために前記楔係合部に形成された開口部、或いは、前記楔係合部を構成するフランジ部に係合することにより、手摺支柱に係止又は係留することを特徴とする請求項1に記載の仮設風防ユニット。
  3. 架空構造物の両側に配置された左右の側部と、架空構造物の上側に配置され、左右の側部を連結する連結部とから構成され、前記側部及び連結部は、鋼製又は金属製の骨組と、該骨組の外面に取付けられたパネル材又はシート材とによって形成され、架空構造物の側面及び上面に作業室又は作業空間を画成する仮設風防ユニットにおいて、
    前記骨組は、軸芯方向に間隔を隔てて楔係合部を配置した楔緊結式支柱と、楔部材の楔作用により前記楔係合部に端部を緊結した楔緊結式の布材及び腕木材とを有し、
    揚重機の吊り具を係止又は係留可能な係止部又は係留部が、楔緊結式支柱に所定間隔を隔てて配置された前記楔係合部によって形成され、揚重機の吊り具は、楔部材を打ち込むために前記楔係合部に形成された開口部、或いは、前記楔係合部を構成するフランジ部に係合することにより、前記支柱に係止又は係留することを特徴とする仮設風防ユニット。
  4. 前記布材及び腕木材の端部が前記手摺支柱の楔係合部に緊結され、該布材及び腕木材は、仮設風防ユニットの頂面又は屋根面に手摺を形成することを特徴とする請求項2又は3に記載の仮設風防ユニット。
  5. 前記布材又は腕木材によって支持された床材を有し、該床材は、複層階の前記作業室又は作業空間を前記側部に形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の仮設風防ユニット。
  6. 前記楔緊結式支柱の楔係合部によって支持された交差ブレースが、桁方向及び/又は梁間方向に配置されたことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の仮設風防ユニット。
  7. 架空構造物の両側に左右の側部を配置し、左右の側部を連結する連結部を架構構造物の上側に配置し、前記側部及び連結部を形成する鋼製又は金属製の骨組と、該骨組の外面に取付けられたパネル材又はシート材とによって、架空構造物の側面及び上面に作業室又は作業空間を画成する仮設風防ユニットの構築方法において、
    軸芯方向に間隔を隔てて楔係合部を配置した楔緊結式支柱と、楔部材の楔作用により前記楔係合部に端部を緊結した楔緊結式の布材及び腕木材とによって前記骨組を構築し、
    前記骨組の外面をパネル材又はシート材で覆うことにより、前記作業室又は作業空間を形成し、
    前記楔緊結式支柱を最上層の床面又は屋根面から上方に突出させて仮設風防ユニットの頂面に手摺支柱を形成し、
    揚重機の吊り具を前記手摺支柱に係止又は係留し、該揚重機によって仮設風防ユニットを昇降させて、前記架空構造物上に設置することを特徴とする仮設風防ユニットの構築方法。
  8. 楔緊結式支柱に配置された前記楔係合部によって前記吊り具の係止部又は係留部を形成し、楔部材を打ち込むために前記楔係合部に形成された開口部、或いは、前記楔係合部を構成するフランジ部に対して前記吊り具を係合させることにより、該吊り具を手摺支柱に係止又は係留することを特徴とする請求項7に記載の構築方法。
  9. 前記布材及び腕木材を前記手摺支柱の楔係合部に緊結し、該布材及び腕木材によって仮設風防ユニットの頂面又は屋根面に手摺を形成することを特徴とする請求項7又は8に記載の構築方法。
  10. 前記腕木材又は布材に床材を敷設して複層階の前記作業室又は作業空間を前記側部に形成し、前記楔緊結式支柱の楔係合部にブレース材を取付けて、交差ブレースを桁方向及び/又は梁間方向に配設することを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の構築方法。
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