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Description

本発明は、被取付板に取り付けられるクリップのうち、特に被取付板が曲面部を形成し、その曲面部に取り付けられるクリップに関する。
図8(a)と(b)は特許文献1に開示された排水プラグ(本発明のクリップに対応)を示している。このプラグAは、フランジ状の頭部1と、頭部1に突設された脚部2と、脚部2の上側周囲に突設された鍔部4とを有し、ドアパネルBを構成しているインナーパネルB”の下部に設けられた水抜き穴(本発明の取付孔に対応)5に脚部2を挿入した状態で取り付けられる。その取付構造は、水抜き穴5に対する脚部2の挿入状態で脚部2の側面に設けられた係止片3と鍔部4との間で水抜き穴の穴縁5aを挟持することでパネルBに固定される。
実公平7−32353号公報
特許文献1の取付構造では、鍔部4の挟持面及び係止片3の挟持面である段部3aが共に平坦面であり、水抜き穴の穴縁5aをそれら平坦面同士の間に挟持する。このため、この取付構造では、例えば、水抜き穴ないしは取付孔が本発明を適用した図1に例示されるような被取付板7の曲面部7aに設けられていると、取付不能となるか安定した取付状態が得られない。従来は、そのような水抜き穴ないしは取付孔が曲面部に設けられている場合、その曲面に合わせた1点一様つまり専用クリップとして作製しており、曲面が異なると対応できなかった。
本発明の目的は、以上のような課題を解消して、取付孔(水抜き穴を含む)が被取付板の曲面部に設けられていても、該曲面部の曲率が異なっていても安定した取付状態を得られるようにすることにある。他の目的は以下の内容説明の中で明らかにする。
上記目的を達成するため本発明は、フランジ状の頭部及び該頭部に突設された断面矩形で筒状の係止脚を有し、被取付板の曲面部に設けられた取付孔に前記係止脚を挿入した状態で取り付けられるクリップであって、前記頭部の裏面に設けられて前記被取付板の表面側に当接する突部と、前記係止脚の両側壁にコ形スリットにより区画された係止片の自由端に設けられて前記被取付板の裏面側に当接する突起とにより前記被取付板を挟持する共に、前記頭部が裏面に設けられて前記係止脚と間隔を保ち、かつ前記取付孔に前記係止脚より先に挿入されて前記被取付板の裏面に当接する挿入片部と、前記挿入片部と対向する側に形成された弾性部とを有し、前記被取付板を前記挿入片部と前記弾性部とにより挟持することを特徴としている。
以上の本発明において、『被取付板』には、例えば自動車のパネル、水槽や機器のハウジングやケーシングを構成している壁部材などが含まれる。『曲面部に設けられた取付孔』としては、図1に例示されるごとく取付孔の孔全体が曲面部に設けられる構成に限られず、取付孔の一部が曲面部に亘って設けられている構成を含む。
以上の本発明は次の請求項2から4のように具体化されることがより好ましい。
(1)前記頭部の突起又は/及び前記係止脚の突起は、先端面が前記被取付板の曲面部の曲率より小さな(曲率の)断面略円弧状に形成されている構成である(請求項2)。
(2)前記係止脚の突起と前記頭部の突起とは互いに対向していると共に、両突起のうち一方の突起が2以上形成されている構成である(請求項3)。
これに対し、請求項4は、以上のクリップが車両用構成板材に設けられた排水孔に取り付ける遮音材ないしはシール材として用いられる点を特定したものである。但し、本発明のクリップの用途は、取付孔を曲面部に設けている仕様であれば、遮音材やシール材以外でも好適なことは勿論である。
請求項1の発明では、頭部の裏面に設けられて被取付板の表面側に当接する突部と、前記係止脚の両側壁にコ形スリットにより区画された係止片の自由端に設けられて被取付板の裏面側に当接する突起とにより被取付板を挟持する。この取付構造では、取付孔が被取付板の曲面部に設けられていても、面的に小さな突起同士の間に被取付板つまり取付孔の孔縁を挟持するため、従来よりも数段安定した挟持態様となり、それに伴って設計通りの固定力も付与できる。
また、この発明では、係止脚と間隔を保って設けられて、取付孔に挿入されて被取付板の裏面に当接する挿入片部を有しているため、取付孔に対して係止脚を挿入するときに挿入片部を先に挿入して挿入操作を容易に行えるようにしたり、被取付板に対する挿入片部の当接状態によりクリップ全体の動きを規制してより安定した固定力を維持可能にする。
また、この発明では、被取付板を突起同士での挟持に加え、被取付板を挿入片部と弾性部とによっても挟持するため、例えば頭部が形態例のごとく比較的大きくなる場合でもより安定した固定力を付与できる。
請求項2の発明では、頭部の突起先端面又は/及び係止脚の突起先端面が被取付板の曲面部の曲率半径より小さな断面略円弧状に形成されているため、従来のごとく平坦面同士の間に挟持する構造に比べ曲面部の曲率に馴染み易くなり、それに伴って固定力も大きくできる。
請求項3の発明は、係止脚の突起と頭部の突起とは互いに対向していると共に、図3(b)に例示されるごとく両突起の一方の突起が2以上形成されているため、例えばクリップ及び取付孔が大きくなるような仕様において安定した挟持態様を維持し易くなる。
請求項4の発明は、以上の用途を特定したものであり、クリップとして上記した各利点を具備でき、信頼性も得られる。
本発明形態に係るクリップの使用例を示し、(a)は被取付板の表面側から見た図、(b)は被取付板の取付孔周りを示す図、(c)はその縦断面図である。 (a)は図1(a)のA−A線拡大断面図、(b)は図1(a)のB−B線拡大断面図である。 (a)は上記クリップの外観を示す概略斜視図、(b)はその変形例を示す概略斜視図である。 (a)は上記クリップの上面図、(b)はその正面図である。 (a)は上記クリップの側面図、(b)は(a)のD方向から見た図である。 (a)は図4(b)のC−C線断面図、(b)と(c)は図5(a)のE−E線断面図とF−F線断面図である。 上記被取付板の曲面部の曲率を変更した変形例として上記クリップの取付態様を図2に対応して示す図である。 (a)と(b)は特許文献1の構造を示す説明図である。
本発明の形態例を図面を参照しながら説明する。この説明では、クリップの構造、その使用例、変形例の順に詳述する。なお、各図では発明の試作品よりかなり拡大して示している。
(構造)形態例のクリップ1は、図1から図7に示されるごとく樹脂の射出形成品であり、フランジ状の頭部2と、頭部2に突設された係止脚3と、係止脚3の両側面に設けられた弾性係止片4とを有し、被取付板7の曲面部7aに設けられた略矩形状の取付孔8に係止脚3を挿入した状態で取り付けられるタイプである。
主な要部は、頭部2の裏面に設けられて被取付板7の表面側に当接する突部15と、取付孔8に挿入されて被取付板7の裏面側に当接するよう係止脚3の係止片4に設けられた突起14aとにより被取付板7を挟持する点、頭部2が係止脚3と間隔を保って設けられて取付孔8に挿入されて被取付板7の裏面に当接する挿入片部5を有している点、頭部2が挿入片部5と対向する側を弾性部11に形成している点、被取付板7を挿入片部5と弾性部11とにより挟持する点などにある。以下、これらの細部を明らかにする。
頭部2は、図2から分かるごとく被取付板7の曲面部7aと同じ向きに湾曲形成されており、比較的厚く形成されて係止脚3及び挿入片部5を突出している本体10と、本体10の上下部のうち挿入片部5と対向する側を延長形成した薄肉状の弾性部11とからなる。弾性部10は、取付孔8に対するクリップ1の取付状態で被取付板7の表面に圧接される。
本体10は、取付孔8を余裕を持って覆う寸法であり、外面10に設けられた複数の横リブ13と、裏面10bの板幅中間に設けられて挿入片部5の基部5aと対向している縦リブ10cと、取付孔8に係止脚3を挿入して取り付けた状態で弾性部11と反対側の端部に設けられて一段低くなった段差部6と、段差部6の板幅中間に設けられて係止脚3内に通じている開口19と、係止脚3の基部両側に位置して被取付板7の表面側に当接する突起15とを有している。また、例えば、図5(b)と図6(c)において、符号20は本体の裏面10bにあって係止脚3の内底面に突設された縦リブ、符号21は本体の裏面10bあって係止脚3と挿入片部5との間に突設された縦リブである。
このうち、横リブ13は、クリップ取付操作時に持ち易くする滑り止めである。縦リブ10cは、図1(b)の横方向にパネル等の被取付板7が湾曲した際にセンターで線当てすることで許容するためのものである。要は、面当てだとクリップ1が浮いてしまうためそれを避けるリブ10cである。段差部6は、図1(a)のごとく取付孔8に係止脚3を挿入して取り付けた状態で、取付孔8の対応端側との間に水抜き用の隙間を形成する。開口19は係止脚3内に侵入した液を排出し易くする。
両側の突起15は同軸線上に設けられている。また、各突起15は、少なくとも先端面が被取付板7の曲面部7aや7bの曲率より小さな曲率の断面略円弧状に形成されている。この例では全体が蒲鉾状となっている。このような形状は、本体10が各突起15の円弧面を介して被取付板7の表面側に当接、つまり線接触することで曲面部7aや7bの曲率が異なっても安定した当接状態を保つ。各縦リブ20、21は補強用である。
係止脚3は、取付孔8に対応した断面矩形の有底筒形である。係止脚3の両側壁には、弾性係止片4がコ形スリットつまり2つの縦スリット16及びスリット16同士を接続している下側スリット16aにより区画形成されている。各係止片4は、上から見ると、下に行くほど外側へ張り出しており、取付孔8に挿入する過程で上側連結部を支点として係止脚3の内側への弾性変位を伴って取付孔8を通過し、通過と同時に元の状態に復元される。なお、符号17は係止脚3の下側壁部の上端側に設けられた段差部、符号18は係止脚3の下側壁部外面に設けられた滑り止め用である。
また、各係止片4の自由端には、図2及び図5の各(a)の拡大図に示されているごとく被取付板7の裏面側に当接する突起14aと、突起14aに対し一段奥側に突出されている一対の小突起14bとが設けられている。
突起14aは、突起15と若干の隙間を保って対向しており、先端面が被取付板7の曲面部7aや7bの曲率半径より小さなR形ないしは断面略円弧状に形成されている。このような形状は、係止脚3が取付孔8に挿入された状態で、両側の突起14aの円弧面を介して被取付板7の裏面側に当接、つまり点接触又は線接触することで曲面部7aや7bの曲率が異なっても安定した当接状態を保つ。この点は突起15と同様である。
これに対し、各小突起14bは、突起14aに比べ一段奥側つまり係止脚3内に近い側に位置しており、係止脚3が取付孔8に挿入された状態で取付孔8内に差し込まれる箇所である。
挿入片部5は、図3と図6の各(a)に示されるごとく本体の裏面10bにあって係止脚3と所定の隙間を保って連結された基部5aと、基部5aに連結されて弾性部11よりも延びている先端部5bとからなる。基部5aは、円弧状からなり、円弧の一端が裏面10bに連結され、円弧の他端が本体10との間に所定の隙間を保っている。先端部5bは、成形状態で弾性部11とほぼ平行で、弾性部11よりも長く延びている。
(使用例)以上のクリップ1は、図1及び図2に例示したごとく被取付板7が曲面部7aを有し、その曲面部7aに設けられる取付孔8に固定される。また、図7に例示した曲面部7bに設けられる取付孔8にも固定される。つまり、図7は曲面部7bが曲面部7aの曲率と異なる変形例であり、それ以外は上記形態例と同じ。取付孔8は特許文献1と同様な水抜き穴を兼ねる。従って、クリップ1は、取付孔8に装着された状態で音の侵入を抑える遮音材、或いは液体の侵入を抑えるシール材として作用する例であるが、取付構造を除いてはそれ以外の用途にも展開可能である。次に、取付操作の要領について述べる。
(ア)クリップ1の取付操作では、まず、取付孔8に対して挿入片部5の先端を差し込む。その際は、挿入片部5を取付孔8に少し挿入すると、弾性部11が被取付板7の表面側に当たるので、被取付板7を挿入片部5と弾性部11とで挟み込んだ状態となる。その状態から、頭部2を弾性部11に沿う前方向へ押してクリップ1の全体を少し移動すると、係止脚3も取付孔8に自動的に挿入される。
(イ)最後は、頭部2のうち、係止脚3の真上当たりを取付孔8の方向に押すと、両側の係止片4が弾性縮径しながら取付孔8を通過し、通過と同時に元の状態に復元される。これにより、クリップ1は、本体裏面10b側の突起15と係止片4側の突起14aとの間に被取付板7つまり取付孔8の孔縁を挟持すると共に、被取付板7を挿入片部5と弾性部11とで挟持する。前者の挟持力は頭部2のうち係止脚3周りを特に規制し、後者の挟持力は頭部2のうち長手方向である係止脚3から離れる側を特に規制する。技術的には、係止脚3(つまり、突起15と突起14aにより挟持力)で抜去力を出しており、それと、挿入片部5と弾性部11による挟持との位置関係で被取付板7のRつまり曲面部7aや7bに対するクリップ1の回転を抑えている。
(ウ)付言すると、前者の挟持力は、突起15及び突起14aが曲面部7aや7bの曲率に馴染み易いことから、取付孔8が曲面部7aや7bに設けられていても、比較的小さな突起14a,15同士の間に被取付板7を挟持するため、従来よりも数段安定した挟持態様となり、それに伴って設計通りの固定力を確実に付与できる。また、この構造では、頭部2側の突起5の先端面又は/及び係止脚3に設けられる係止片4側の突起14aの先端面ないしは当接面が曲面部7aや7bの曲率半径より小さな断面略円弧状に形成されているため、従来のごとく平坦面同士の間に挟持する構造に比べ曲面部の曲率に馴染み易くなり、それに伴って固定力も向上できる。
(エ)後者の挟持力は、挿入片部5が係止脚2と間隔を保って設けられて、取付孔8に挿入されて被取付板7の裏面に当接するため、取付孔8に係止脚3を挿入するときに挿入片部5を挿入ガイド用として活用でき、それにより挿入操作を容易に行えるようにする。また、被取付板7に対する挿入片部5の当接状態を形成することでクリップ全体の動きを規制してより安定した固定力を維持可能にする。加えて、被取付板7を前者の突起15,14a同士での挟持に加え、被取付板7を挿入片部5と弾性部11とによっても挟持するため、例えば頭部2が形態例のごとく比較的大きくなる場合でもより安定した固定力を付与できる。
(変形例)以上のクリップ1は必要に応じて次のように変形可能である。
第1に、突起15としては、図3(b)に例示されるごとく係止脚3の突起14bと互いに対向していると共に、2以上形成することである。この場合、突起15に代えて突起14aを2以上形成したり、突起15及び突起14aの両方を共に2以上形成するようにしてもよい。これらは、例えば、クリップ1及び取付孔8が大きくなるような仕様において安定した挟持態様を維持し易くなる。また、2以上の突起15や突起14aを形成する場合は、曲面部7aや7bの曲率を考慮して各突起の大きさを必要に応じ変えるようにしてもよい。
第2に、突起15及び突起14aの形状は、原理的には上記した断面略円弧状でなくとも、三角等の形状でもよい。
第3に、頭部2には、段差部6と取付孔8の対応端側との間に形成される水抜き用の隙間を真上で水抜き可能に覆う不図示の遮蔽部や覆い等を必要に応じ追加することである。
第4に、クリップ1の用途は、形態以外の例として、例えば、頭部2に線材等を保持する保持部を形成して保持具用として構成したり、小さな物品を引っ掛けるフック等の掛止部を形成して掛止具用として構成するようにしてもよい。
以上のように、本発明のクリップは、各請求項で特定される構成を備えておればよく、細部はこの形態及び変形例を参考にして変更したり展開可能なものである。
1・・・・・・・クリップ
2・・・・・・・頭部(10は本体、11は弾性部)
3・・・・・・・係止脚
4・・・・・・・係止片
5・・・・・・・挿入片部(5aは基部、5bは先端部)
6・・・・・・・段差部
7・・・・・・・被取付板(7aと7bは曲面部)
8・・・・・・・取付孔
14a・・・・・突起
15・・・・・・突起

Claims (4)

  1. フランジ状の頭部及び該頭部に突設された断面矩形で筒状の係止脚を有し、被取付板の曲面部に設けられた取付孔に前記係止脚を挿入した状態で取り付けられるクリップであって、
    前記頭部の裏面に設けられて前記被取付板の表面側に当接する突部と、前記係止脚の両側壁にコ形スリットにより区画された係止片の自由端に設けられて前記被取付板の裏面側に当接する突起とにより前記被取付板を挟持する共に、
    前記頭部が裏面に設けられて前記係止脚と間隔を保ち、かつ前記取付孔に前記係止脚より先に挿入されて前記被取付板の裏面に当接する挿入片部と、前記挿入片部と対向する側に形成された弾性部とを有し、前記被取付板を前記挿入片部と前記弾性部とにより挟持することを特徴とするリップ。
  2. 前記頭部の突起又は/及び前記係止脚の突起は、先端面が前記被取付板の曲面部の曲率より小さな断面略円弧状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のクリップ。
  3. 前記係止脚の突起と前記頭部の突起とは互いに対向していると共に、両突起のうち一方の突起が2以上形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のクリップ。
  4. 車両用構成板材に設けられた排水孔に取り付ける遮音材ないしはシール材として用いられることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のクリップ。
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