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JP6286566B2 - 磁気ディスク用基板の製造方法 - Google Patents
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JP6286566B2 - 磁気ディスク用基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、研磨処理を有する磁気ディスク用基板の製造方法に関する。
今日、パーソナルコンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータ、DVD(Digital Versatile Disc)記録装置等には、データ記録のためにハードディスク装置が内蔵されている。特に、ノート型パーソナルコンピュータ等の可搬性を前提とした機器に用いられるハードディスク装置では、ガラス基板に磁性層が設けられた磁気ディスクが用いられ、磁気ディスクの面上を僅かに浮上させた磁気ヘッド(DFH(Dynamic Flying Height)ヘッド)で磁性層に磁気記録情報が記録され、あるいは読み取られる。この磁気ディスクの基板には、金属基板等に比べて塑性変形をしにくい性質を持つことから、ガラス基板が好適に用いられている。磁気ヘッドによる磁気記録情報の読み書きを安定して行うために、磁気ディスク用ガラス基板の表面凹凸は可能な限り小さくすることが求められる。
磁気ディスク用ガラス基板の表面凹凸を小さくするために、ガラス基板の研磨処理が行われる。ガラス基板を最終製品とするための精密な研磨に、シリカ(SiO2)等の微細な研磨砥粒を含む研磨剤が用いられる。このような研磨剤は、研磨処理後のガラス基板の表面品質を高めるために、フィルタリング処理や遠心分離を行なうことで所定のサイズに揃えて研磨剤として用いられる。また、研磨処理時、シリカ砥粒を含むスラリーを循環させながら研磨に用いる場合、研磨に使用したスラリーをフィルタリングしたのち、研磨に再使用する。
例えば、ガラス基板の主表面のシリカ砥粒を用いた研磨工程の最終研磨工程において、最小捕捉粒子径が1μm以下のフィルタを使用してフィルタリングした後の研磨用スラリー(シリカ砥粒を含む)を用いる磁気ディスク用ガラス基板の製造方法が知られている(特許文献1)。最終研磨処理後のガラス基板は、表面に付着した砥粒等の異物を除去するために、洗浄液で洗浄される(最終洗浄処理)。
特開2010−079948号公報
研磨処理後の最終洗浄処理において、磁気ディスク用ガラス基板の表面から砥粒等の異物を除去するために洗浄力の高い洗浄液を用いると、磁気ディスク用ガラス基板が洗浄液によりエッチングされ、主表面に僅かな凹凸が形成される。この僅かな凹凸は、従来の磁気ヘッドの浮上距離よりも充分に小さく、かつては無視できる範囲であった。
しかし、近年、磁気ディスクの記録密度の増加に伴い、微弱な磁界の読み取りおよび記録を確実に行うために、磁気ヘッドの磁気ディスク表面からの浮上距離を極めて小さくすることが行われている。このため、エッチングによる僅かな凹凸が無視できなくなってきた。そこで、従来よりも洗浄力の低い洗浄液を用いて、磁気ディスク用基板の最終洗浄処理を行うことが試みられている。
一方、最終洗浄処理後の磁気ディスク用基板の主表面には、研磨処理に用いるシリカ砥粒を含むスラリーに由来する異物が付着する場合がある。近年、表面検査装置の検査精度が向上したことにより、この異物の中に極めて平たい形をした板状の異物(以下、板状異物という)があることが判明した。板状異物が磁気ディスク用基板の主表面に残存した状態で主表面に磁性層を形成すると、磁気ディスクの面上に表面凹凸が形成される。この磁気ディスクの磁気記録情報の読み書きを、極めて浮上距離の短い磁気ヘッドで行うと、磁気ヘッドがこの表面凹凸に衝突するおそれがあり、安定した磁気記録情報の読み書きが難しくなる不都合がある。この板状異物は、磁気ディスク用基板との付着面積が大きいため、洗浄力の低い洗浄液では容易に除去することができない。一方、板状異物を除去するためにガラス基板に対して洗浄力の高い洗浄液を用いると、エッチングによる凹凸が主表面に形成されるため、好ましくない。
上記の板状異物は、概略球形状のシリカ砥粒の平均粒子径(d50)より大きな異形状の異物であるため、フィルタにより除去できるとも考えられる。ここで、平均粒子径とは、レーザー回折・散乱法を用いた体積分布に基づいて測定されるメディアン径を示す。しかし、スラリーをフィルタで濾過すると、シリカ砥粒によりフィルタが容易に目詰まりを起こすため、スラリーから効率よく異物を除去することができなかった。
そこで、本発明は、研磨液に含まれる異物を除去することで、磁気ディスク用基板の研磨処理後の歩留まりを向上させることができる磁気ディスク用基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、研磨処理前に、目詰まりがし易く、上述の板状異物を十分に除去することができないフィルタや、上述の板状異物を十分に除去することができない遠心分離に替えて、板状異物を除去できる新たな方法を検討した。その結果、シリカ粒子の表面は、負の表面電位を帯びており、サイズの大きい板状異物のシリカ砥粒の表面電位は、サイズの小さい概略球形状のシリカ砥粒の表面電位に比べて、その絶対値が大きいことに注目し、以下の方法を発明した。
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、一対の研磨パッドで円盤状の基板を挟み、前記研磨パッドと前記基板の間に研磨砥粒を含むスラリーを供給して、前記研磨パッドと前記基板を相対的に摺動させることにより、前記基板の主表面を研磨する研磨処理を含む磁気ディスク用基板の製造方法であって、
前記スラリー中に含まれる、前記研磨砥粒および前記研磨砥粒の平均粒子径よりも粒子径が大きな板状物質とが表面電荷の量に差を有し、
前記研磨処理を行う前に、少なくとも前記板状物質に吸着され、かつ、前記板状物質の表面電荷と符号が異なる表面電荷を有する固体の吸着材を前記スラリーに混合することで、前記スラリー中の前記板状物質に吸着材を吸着させる吸着処理を行うことを特徴とする。
本発明の第2の態様は、一対の研磨パッドで円盤状の基板を挟み、前記研磨パッドと前記基板の間に研磨砥粒を含むスラリーを供給して、前記研磨パッドと前記基板を相対的に摺動させることにより、前記基板の主表面を研磨する研磨処理を含む磁気ディスク用基板の製造方法であって、
スラリー原液中に含まれる研磨砥粒および前記研磨砥粒の平均粒子径よりも粒径が大きな板状物質とが表面電荷の量に差を有し、少なくとも前記板状物質に吸着され、かつ、前記板状物質の表面電荷と符号の異なる表面電荷を有する固体の吸着材を前記スラリー原液に混合して前記板状物質に吸着材を吸着させた後、前記吸着材を吸着した前記板状物質を前記スラリー原液中から除去したものを前記研磨処理に使用するスラリーとして用いることを特徴とする。
前記吸着材は、有機高分子であることが好ましい。
本発明の第3の態様は、一対の研磨パッドで円盤状の基板を挟み、前記研磨パッドと前記基板の間に研磨砥粒を含むスラリーを供給して、前記研磨パッドと前記基板を相対的に摺動させることにより、前記基板の主表面を研磨する研磨処理を含む磁気ディスク用基板の製造方法であって、
前記研磨処理を行う前に、前記スラリー中に含まれる研磨砥粒および前記研磨砥粒の平均粒子径よりも大きな粒子径の板状物質のうち少なくとも前記板状物質に吸着される有機高分子からなる吸着材を前記スラリー中で作成することで、前記吸着材を前記スラリー中の板状物質に吸着させる吸着処理を行うことを特徴とする。
本発明の第4の態様は、一対の研磨パッドで円盤状の基板を挟み、前記研磨パッドと前記基板の間に研磨砥粒を含むスラリーを供給して、前記研磨パッドと前記基板を相対的に摺動させることにより、前記基板の主表面を研磨する研磨処理を含む磁気ディスク用基板の製造方法であって、
前記スラリー中に含まれる研磨砥粒および前記研磨砥粒の平均粒子径よりも大きな粒子径の板状物質のうち少なくとも前記板状物質に吸着される有機高分子からなる吸着材を溶媒中で作成し、
研磨処理を行う前のスラリーに前記吸着材が作成された溶媒を投入することで、前記吸着材を前記スラリー中の板状物質に吸着させる吸着処理を行うことを特徴とする。
前記研磨砥粒は、平均粒子径が10nm以上60nm以下のシリカ粒子であることが好ましい。
前記吸着処理の後、前記スラリーから吸着材に吸着させた前記板状物質を分離する分離処理を行い、
前記分離処理によって前記板状物質が除去された前記スラリーを用いて前記研磨処理を行うことが好ましい。
前記砥粒は、水ガラスとイオン交換樹脂を用いて得られるシリカ砥粒である、ことが好ましい。
前記研磨処理後、基板の主表面を洗浄する洗浄処理を行い、前記洗浄処理では、前記洗浄処理前後の基板の表面の算術平均粗さRaの差を0.05nm以下にするアルカリ洗浄液を用いることが好ましい。
前記吸着材を前記板状物質に吸着させた後、前記研磨処理前のスラリーに、前記砥粒の表面電荷の絶対値を減少させる添加剤を添加することが好ましい。
前記吸着処理前の、前記スラリーのアルカリ土類金属イオンの含有率は、200ppm以下であることが好ましい。
前記吸着材を前記板状物質に吸着させるとき、最大長さが厚さの5倍以上の板状物質に前記吸着材を吸着させることが好ましい。
前記吸着材は有機高分子であり、前記研磨処理の後、前記磁気ディスク用基板の表面に残存している吸着材に対して(1)有機溶媒を接触させる、(2)酸化させる、の少なくとも一方を行うことにより除去することが好ましい。特に、酸化では吸着材を完全に分解できない場合に、吸着材を有機溶媒に溶解させることが有効である。
研磨処理後の、基板の表面の算術平均粗さRaは、0.15nm以下であることが好ましい。
本発明の第5の態様は、一対の研磨パッドで円盤状の基板を挟み、前記研磨パッドと前記基板の間に研磨砥粒を含むスラリーを供給して、前記研磨パッドと前記基板を相対的に摺動させることにより、前記基板の主表面を研磨する研磨処理を含む磁気ディスク用基板の製造方法であって、
前記研磨処理を行う前に、前記スラリー中に含まれる、前記研磨砥粒および前記研磨砥粒の平均粒子径よりも粒子径が大きな大径粒子とがそれぞれ有する表面電荷の量の差によって、前記研磨砥粒の平均粒子径を有する粒子と比べて大径粒子に吸着されやすく、かつ、前記大径粒子の表面電荷と符号が異なる表面電荷を有する固体の吸着材を前記スラリーに混合することで、前記スラリー中の大径粒子に吸着材を吸着させる吸着処理を行うことを特徴とする。
本発明の第6の態様は、一対の研磨パッドで円盤状の基板を挟み、前記研磨パッドと前記基板の間に研磨砥粒を含むスラリーを供給して、前記研磨パッドと前記基板を相対的に摺動させることにより、前記基板の主表面を研磨する研磨処理を含む磁気ディスク用基板の製造方法であって、
前記研磨処理を行う前に、前記スラリー中に含まれる研磨砥粒および前記研磨砥粒の平均粒子径よりも大きな粒子径の大径粒子がそれぞれ有する表面電荷量の差によって、前記研磨砥粒の平均粒子径を有する粒子と比較して前記大径粒子に吸着されやすい有機高分子からなる吸着材を前記スラリー中で作成することで、前記吸着材を前記スラリー中の大径粒子に吸着させる吸着処理を行うことを特徴とする。
上述の磁気ディスク用基板の製造方法によれば、研磨処理に用いるシリカ砥粒から板状異物のような異物を除去することができる。このため、磁気ディスク用基板の主表面に板状異物が付着せず、磁気ディスク用基板の研磨処理後の歩留まりを向上させることができる。
以下、本発明の実施形態に係る磁気ディスク用基板の製造方法について説明する。
(磁気ディスク用基板)
まず、磁気ディスク用基板について説明する。磁気ディスク用基板は、円板形状であって、外周と同心の円形の中心孔がくり抜かれたリング状である。磁気ディスク用基板の両面の円環状領域に磁性層(記録領域)が形成されることで、磁気ディスクが形成される。磁気ディスク用基板として、ガラス基板やアルミニウム基板等を用いることができる。
本実施形態においては、磁性層を形成する前に、最終研磨処理が行われる。最終研磨処理では、遊星歯車機構を備えた両面研磨装置を用いて、磁気ディスク用基板の主表面に対して研磨処理を行う。具体的には、磁気ディスク用基板の外周側端面を、両面研磨装置の保持部材に設けられた保持孔内に保持しながら磁気ディスク用基板の両側の主表面の研磨を行う。両面研磨装置は、上下一対の定盤(上定盤および下定盤)を有しており、下定盤の上面及び上定盤の底面には、全体として円環形状の平板の研磨パッド(例えば、樹脂ポリッシャ)が取り付けられている。磁気ディスク用基板の主表面と研磨パッドとの間に研磨液を供給しながら、上定盤または下定盤のいずれか一方、または、双方を移動させることで、磁気ディスク用基板と研磨パッドとが相対的に移動し、磁気ディスク用基板の両主表面が研磨される。
本実施形態においては、最終研磨処理に用いる研磨液として、コロイダルシリカ(シリカ砥粒)を遊離砥粒として含む研磨液が用いられる。
最終研磨処理に用いる研磨液に含まれるコロイダルシリカは、オルトケイ酸テトラメチル、オルトケイ酸テトラエチル等を原料とするゾルゲル法、水ガラスを原料とするイオン交換法により製造することができる。この中でも、コスト面からイオン交換法により製造することが好ましい。
具体的には、ケイ砂とアルカリ剤(例えばNaCO、NaHCO、NaOH、KCO、KHCO、KOH等)とを混合し、加熱して熔融することでケイ酸塩を生成する。次に、得られたケイ酸塩を、必要に応じて冷却した後、水に溶解させることでケイ酸塩水溶液(水ガラス)を生成する。この水ガラスにプロトン型陽イオン交換樹脂を混合してケイ酸塩水溶液のpHを下げる。その後、所定の時間、所定の温度の加熱処理を行うことで、ケイ酸塩水溶液中でシラノール基同士の縮重合が促進され、シリカの粒子が生成され、コロイダルシリカを含むスラリーが得られる。
このように生成されたコロイダルシリカを含むスラリーには、研磨砥粒として用いるのには不適切な、粒子径が大きい大径粒子(粗大粒子、板状物質等)が含まれる場合がある。具体的には、研磨砥粒として適したコロイダルシリカの平均粒子径が60nm以下、好ましくは10〜60nm、より好ましくは20〜50nmであるのに対し、砥粒として用いるのに不適切な大径粒子の粒子径は平均粒子径の2倍以上、より不適切なものは5倍以上である。例えば、大径粒子の粒子径は200nm〜1μmである。
また、このように生成されたコロイダルシリカを含むスラリーには、原料のケイ砂に由来する、板状物質が混在している場合がある。この板状物質はアルミニウムを含むケイ酸塩の結晶であり、この結晶は層状を成す層状ケイ酸塩(例えばモンモリロナイト、サポナイト、カオリナイトなどの層状粘土鉱物)である。この板状物質は、極めて平たい形をしている。このような板状物質は精密に研磨された表面に付着した場合、密着しやすいため、洗浄することが困難になるため、この板状物質はコロイダルシリカを含むスラリーに対する異物(以下、板状異物と称する)とみなされる。
この板状異物は、ケイ砂とアルカリ剤とを混合して熔融しても熔けることなく残存し、熔融物を水に溶解させて得られる水ガラス内、水ガラスから製造されるコロイダルシリカを含むスラリー内にも残存する。
ここで、板状異物の粒径である最大長さは、例えば板状異物の2次元画像が得られる場合、板状異物の輪郭線と外接する長方形枠の長辺の最大長さをいう。また、板状異物の3次元像と外接する直方体枠の最も長い辺の最大長さをいい、このときの直方体枠の最も短い辺の長さを厚さという。最大長さが厚さの5倍以上の粒子が板状異物である。例えば板状異物の最大長さは200nm〜1μm、厚みは10〜25nmである。
本実施形態では、あらかじめ以下に説明する吸着処理および分離処理を行う。
(吸着処理)
吸着処理は、スラリーに含まれる、研磨砥粒の平均粒子径を有する粒子とこの平均粒子径よりも粒子径が大きな大径粒子(粗大粒子や板状物質等)とがそれぞれ異なる値の表面電荷量を有し、研磨砥粒と比べて大径粒子、特に板状異物に吸着されやすく、かつ、大径粒子の表面電荷と符号が異なる表面電荷を有する吸着材をスラリーに混合することで、スラリー中で大径粒子、特に板状異物を吸着材に吸着させる処理である。
具体的には、コロイダルシリカを含むスラリーに対し、表面電荷が正である吸着材を投入することで、板状異物を吸着材に吸着させる。
スラリー中のコロイダルシリカ、大径粒子等のシリカ系粒子は、負の表面電荷を有している。そして、この表面電荷は、シリカ系粒子の表面積に依存しており、大きな粒子ほど負の表面電荷の絶対量が大きい。このため、スラリー中に吸着材を投入すると、吸着材はシリカ系粒子の表面電荷に比例する力でシリカ系粒子に引かれる。
ここで、シリカ系粒子は、負の表面電荷によって反発し合うことによりスラリー中に分散している。この反発力によってシリカ系粒子のスラリー中での移動距離が小さく抑制されている。一方、スラリーに投入される吸着材の量は少ないため、吸着材同士の反発は少ない。このため、スラリー中の吸着材は、表面電荷の絶対量がより大きいシリカ系粒子に向かって移動し、表面電荷の絶対量がより大きいシリカ系粒子に吸着される。
なお、大きな粒子径のシリカ系粒子ほど、特に板状異物は平板状で表面積が大きいため、吸着材が移動したときに板状異物が表面に接触する確率が高くなる。さらに、表面積が大きい大径粒子、特に板状のものほど、より多くの吸着材が吸着されることとなる。
また、大きな粒子径の板状物質ほど、質量が大きいため、移動速度が小さい。このため、大きな粒子径の板状物質ほど吸着材が接触する時間が長くなり、より多くの吸着材が吸着されることとなる。
したがって、スラリー中に存在する粒子のうち、多数の研磨砥粒に対して異物として含まれる小数の板状物質が確実に、吸着材に吸着される。なお、吸着材の粒子径は、研磨砥粒の平均粒子径よりも大きく、大径粒子の粒子径よりも小さい。
吸着材を吸着したシリカ系粒子は、研磨処理に用いても基板に付着しにくくなる。仮に吸着材を吸着したシリカ系粒子が基板に付着したとしても、吸着材を吸着したシリカ系粒子は洗浄処理により容易に基板から除去することができる。吸着材を吸着した大径粒子は、以下の分離処理によりスラリーから分離して除去することが好ましい。
(分離処理)
分離処理は、吸着処理の後、吸着材を吸着した大径粒子をスラリーから分離する処理である。吸着材とともに、吸着材を吸着した大径粒子を分離することで、スラリー中の大径粒子を減少させることができる。こうして、スラリーから大径粒子が除去される。
表面電荷が正である吸着材が付着したシリカ系粒子では負の表面電荷が中和される。このとき、シリカ系粒子は表面電荷により反発しあうことでスラリー中に安定に分散しているため、表面電荷が中和されたシリカ系粒子は反発力を失い、凝集して沈殿する場合もある。このため、表面電荷が正である吸着材をスラリーに適量投入することで、大径粒子を沈殿させ、沈殿を濾過等により分離することができる。なお、上澄みを使用してもよい。以上により、スラリーから板状異物や粗大粒子等の大径粒子を除去することができる。
スラリーに投入する吸着材の添加量は、吸着材を大径粒子に確実に吸着させるために、スラリー中に存在する大径粒子の数よりも吸着材の数が多いことが好ましい。このため、吸着材を添加後のスラリーの全体量に対する吸着材の濃度が0.01wt%以上となるように調整することが好ましい。また、吸着材の添加量が多すぎると、吸着材が研磨砥粒を吸着する量が増えて生産効率が低下するおそれがある。このため、吸着材が研磨砥粒を吸着しても充分に研磨が行えるように、吸着材の数が研磨砥粒の数よりも充分に少ないことが好ましい。このため、吸着材を添加後のスラリーの全体量に対する吸着材の濃度が5wt%以下となるように添加量を調整するとより好ましい。
表面電荷が正である吸着材として、例えば有機高分子からなる粒径が50nm〜100nmの微粒子(ポリマー微粒子)を用いることができる。有機高分子として、水に不溶または難溶のモノマーを重合させてなる高分子を用いることが好ましい。具体的には、ビニル系ポリマー、アクリル系ポリマー等を用いることができる。
ビニル系ポリマーとして、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート等を用いることができる。また、メタクリル酸、アクリル酸、酢酸ビニル等のカルボキシル基含有ビニル系モノマーあるいはその塩;スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸基含有ビニル系モノマーあるいはその塩;ヒドロキシエチルメタクリレート等の水酸基含有ビニル系モノマー等のモノマーを1種単独または2種以上使用してビニル系ポリマーからなる微粒子を生成してもよい。
アクリル系ポリマーとして、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等を用いることができる。この中でも、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)を用いることが好ましい。
得られるポリマー微粒子の表面電荷を正とするために、カチオン性の重合開始剤を用いることができる。カチオン性の重合開始剤として、例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド等を用いることができる。
重合法として、懸濁重合法、乳化重合法等の任意の重合法を用いることができる。この中でも、吸着材となるポリマー微粒子の粒子径を均一とするために、ソープフリー乳化重合法を用いることが好ましい。具体的には、モノマーが不溶または難溶の溶媒中にモノマーを乳化させるとともに、この溶媒に可溶の重合開始剤を添加する。このとき、溶媒中のモノマー液滴1つ当たりの重合開始剤が1分子以下となるように重合開始剤の添加量を調節することで、モノマー液滴内での重合反応の進行を反応時間で制御することができ、各液滴内で成長するポリマー微粒子の粒子径を均一にすることができる。
重合反応が進むほどポリマー微粒子の粒子径が大きくなるとともに、ポリマー微粒子が硬くなる。また、ポリマー微粒子の形状は、重合反応が進むにつれて、不定形から球状に変化する。ポリマー微粒子が不定形で柔らかいほどシリカ系粒子への付着面積が大きくなり、ポリマー微粒子が球状で硬いほどシリカ系粒子への付着面積が小さくなる傾向がある。ポリマー微粒子の平均粒子径を200nm以下、好ましくは50nm〜100nmとすることで、不定形かつ柔らかいポリマー微粒子が得られる。
上記の表面電荷が正である吸着材を、コロイダルシリカを含むスラリーに投入し、攪拌すると、吸着材がスラリー中の大径粒子に付着し、大径粒子の負の表面電荷を中和する。これにより大径粒子が沈殿するため、濾過、遠心分離等により異物を除去することができる。
なお、表面電荷が正である吸着材の粒子径を調節することにより、除去されるシリカ系粒子の粒子径を調節することができる。具体的には、吸着材の粒子径は、スラリー中に残すべき研磨砥粒を吸着しにくいように、研磨砥粒の平均粒子径以上であることが好ましい。一方、吸着材が除去されるべき大径粒子に吸着されやすいように、吸着材の粒子径は大径粒子の平均粒子径よりも小さいことが好ましく、大径粒子の平均粒子径の半分以下であることが好ましい。
上記観点から、吸着材の平均粒子径は50nm〜100nmとすることがより好ましい。
また、コロイダルシリカを含むスラリーのpHを調節することで、スラリー中のシリカ系粒子の表面電荷を変動させ、吸着材により除去されるシリカ系粒子の粒子径を調節することができる。
適切な溶媒中で重合反応によりポリマー微粒子を成長させ、好ましい粒子径および硬さのポリマー微粒子が生成された時点で重合反応を停止させ、コロイダルシリカを含むスラリー中にこの溶媒を投入することで、溶媒中のポリマー微粒子が吸着材としてスラリー中の大径粒子に付着し、大径粒子の負の表面電荷を中和する。これにより大径粒子が沈殿するため、濾過、遠心分離等により異物を除去することができる。
この場合、スラリーとの混合を容易にするため、親水性の溶媒中でポリマー微粒子を成長させることが好ましい。ポリマー微粒子を成長させる重合法として、懸濁重合法、乳化重合法等の任意の重合法を用いることができる。特に、上記のソープフリー乳化重合法を用いることが好ましい。
なお、大径粒子が有する表面電荷とは符号が異なる表面電荷を有する有機高分子からなる吸着材をスラリー中で作成してもよい。この場合、コロイダルシリカを含むスラリー中に、ポリマー微粒子となるモノマーを投入し、スラリー中で重合反応を行えばよい。
コロイダルシリカは親水コロイドであり、重合反応に影響しないため、スラリー中にモノマーを懸濁あるいは乳化させて重合反応を行うことができる。スラリー中で重合反応を行う場合、大径粒子の粒子径と比較して小さい粒子径を有し、かつ、完全に硬化する前のポリマー微粒子を作成して大径粒子に吸着させることができる。
スラリー中で重合反応を行う場合でも、上記と同様の組成のポリマー微粒子を作成することができる。
スラリー中での重合反応は、例えば、スラリーを冷却することによって停止させることができる。
スラリーへのモノマーの投入量は、モノマー投入後のスラリーの全体量に対するモノマーの濃度が0.01wt%以上となるように調整することが好ましい。また、モノマーの投入量が多すぎると、生成される有機高分子からなる吸着材が研磨砥粒に吸着される量が増えて生産効率が低下するおそれがあるため、モノマーを投入後のスラリーの全体量に対するモノマーの濃度が5wt%以下となるようにモノマーの投入量を調整するとより好ましい。
スラリー中で重合反応を行う場合、大きな粒子径のシリカ系粒子ほど、負の表面電荷の絶対量が大きいため、正の電荷を有するモノマーは大きな粒子径のシリカ系粒子の周囲により多く集まる。このため、大径粒子の周囲でポリマー微粒子が成長して吸着材が作成されやすい。作成された吸着材は大径粒子に吸着され、大径粒子の負の表面電荷が中和されることで大径粒子が沈殿する。このため、濾過、遠心分離等により異物を除去することができる。
吸着材のほとんどは大径粒子とともに沈殿し除去される。仮に吸着材が除去されずにスラリーに僅かに残ったとしても、研磨処理には影響しない。
なお、スラリーに吸着材が残存し、最終研磨処理後の基板に吸着材が付着していた場合に備えて、最終研磨処理後に基板を洗浄し基板から吸着材を除去する処理を行うことが好ましい。洗浄には、任意の方法を用いることができる。例えば、吸着材であるポリマー微粒子を灰化することにより除去することができる。ポリマー微粒子を灰化するには、例えば、空気中で最終研磨処理後の基板に紫外線を照射することによりポリマー微粒子を分解するとともに、空気中の酸素から生成されるオゾンによりポリマー微粒子を酸化させることでポリマー微粒子を灰化することができる。あるいは、最終研磨処理後の基板をオゾン雰囲気下におくことでポリマー微粒子を灰化させてもよい。
また、例えば、有機溶媒やアニオン界面活性剤を含む溶媒にポリマー微粒子を接触させることで溶媒にポリマー微粒子の少なくとも一部を溶解させ、ポリマー微粒子を除去することができる。ポリマー微粒子を灰化により充分に除去できない場合には、ポリマー微粒子を溶媒に溶解させることが特に有効である。この場合には、ポリマー微粒子を灰化させる処理を行った後、残ったポリマー微粒子を溶解させる処理を行うとより好ましい。
なお、最終研磨処理後の基板に吸着材が残存しない場合や、残存しても基板の使用に問題がない場合は、吸着材を除去する洗浄工程を省略することができる。
以下の説明では、吸着処理および吸着処理後に必要に応じて行う分離処理を、あわせて除去処理という。
上記の除去処理を行った後、コロイダルシリカを凝集させるために、コロイダルシリカの表面電荷を減少させる処理を行うことが好ましい。コロイダルシリカを凝集させることで、研磨レートを高めるとともに、研磨処理後のガラス基板の表面凹凸を小さくすることができる。
コロイダルシリカの表面電荷を減少させる方法として、具体的には、スラリー中のコロイダルシリカの表面電荷を減少させる添加剤(例えば、KSO,NaSO等の硫酸化合物、KPO,NaPO等の燐酸化合物、NaNO等の硝酸化合物)を添加することが好ましい。除去処理を行う前にコロイダルシリカの表面電荷を減少させると、表面電荷が正である吸着材が大径粒子に付着しにくくなり、大径粒子をスラリーから除去することが困難になる。
また、本実施形態における除去処理前の、スラリーのアルカリ土類金属イオン含有率は、200ppm以下であることが好ましい。アルカリ土類金属イオンの含有率が200ppmを超えると、シリカ砥粒の表面電荷が低減し、上述の除去処理では、十分な除去効果が得られ難い。スラリー中のアルカリ土類金属量は、例えば、スラリーを調合する際に原料を高純度のものにしたり、スラリー原液にイオン交換樹脂等を接触させること等によって減少させることができる。
上記の板状異物は、特にガラス基板の主表面に付着すると、その後の洗浄処理等で除去することは難しくなる。このため、あらかじめ板状異物を除去したコロイダルシリカを遊離砥粒に用いて行う最終研磨処理は、ガラス基板の最終研磨処理に好適である。磁気ディスク用ガラス基板に用いるガラスとして、具体的には、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラス等が挙げられる。特に、化学強化を施すことができ、また主表面の平面度及び基板の強度において優れた磁気ディスク用ガラス基板を作製することができるという点で、アルミノシリケートガラスを好適に用いることができる。
ここで、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法について説明する。
(磁気ディスク用ガラス基板の製造方法)
先ず、磁気ディスク用ガラスブランクをプレス成形により作製する。磁気ディスク用ガラスブランク(以降、単にガラスブランクという)は、一対の主表面を有する円板状の磁気ディスク用ガラス基板の素材であって、中心孔がくり抜かれる前の形態である。
次に、作製されたガラスブランクの中心部分に孔をあけ、リング形状(円環状)のガラス基板を作製する。次に、穴をあけたガラス基板に対して形状加工を行う。次に、形状加工されたガラス基板に対して端面研磨を行う。次に、端面研磨の行われたガラス基板に、固定砥粒による研削を行う。次に、ガラス基板の主表面に第1研磨を行う。次に、ガラス基板に対して必要に応じて化学強化を行う。その後、ガラス基板に対して第2研磨(最終研磨)を行う。第2研磨後、洗浄処理を経て、磁気ディスク用ガラス基板が得られる。
以下、各処理について、さらに説明する。
(a)プレス成形処理
溶融ガラス流の先端部を切断した溶融ガラスの塊を一対の金型のプレス成形面の間に挟みこみ、プレスしてガラスブランクを成形する。所定時間プレスを行った後、金型を開いてガラスブランクが取り出される。
(b)円孔形成処理
ガラスブランクに対してコアドリル等を用いて円孔を形成することにより円形状の中央孔があいたガラス基板を得ることができる。
(c)形状加工処理
形状加工処理では、円孔形成後のガラス基板の端部に対する面取り加工を行う。
(d)端面研磨処理
端面研磨処理では、ガラス基板の内側端面及び外周側端面に対して、ブラシ研磨により鏡面仕上げを行う。このとき、酸化セリウム等の粒子を遊離砥粒として含む砥粒スラリーが用いられる。
(e)研削処理
固定砥粒による研削処理では、遊星歯車機構を備えた両面研削装置を用いて、ガラス基板の主表面に対して研削加工を行う。具体的には、ガラスブランクから生成されたガラス基板の外周側端面を、両面研削装置の保持部材に設けられた保持孔内に保持しながらガラス基板の両側の主表面の研削を行う。両面研削装置は、上下一対の定盤(上定盤および下定盤)を有しており、上定盤および下定盤の間にガラス基板が狭持される。そして、上定盤または下定盤のいずれか一方、または、双方を移動操作させ、ガラス基板と各定盤とを相対的に移動させることにより、ガラス基板の両主表面を研削することができる。
(f)第1研磨処理
第1研磨は、例えば固定砥粒による研削を行った場合に主表面に残留したキズや歪みの除去、あるいは微小な表面凹凸(マイクロウェービネス、粗さ)の調整を目的とする。
第1研磨処理では、両面研削装置と同様の構成を備えた両面研磨装置を用い、遊離砥粒を含んだ研磨スラリーを両面研磨装置に与えながらガラス基板が研磨される。遊離砥粒として、例えば、酸化セリウム砥粒、あるいはジルコニア砥粒など(粒子サイズ:直径1〜2μm程度)が用いられる。両面研磨装置も、両面研削装置と同様に、上下一対の定盤の間にガラス基板が狭持される。下定盤の上面及び上定盤の底面には、全体として円環形状の平板の研磨パッド(例えば、樹脂ポリッシャ)が取り付けられている。ガラス基板の主表面と研磨パッドとの間に研磨液を供給しながら、上定盤または下定盤のいずれか一方、または、双方を移動させることで、ガラス基板と研磨パッドとが相対的に移動し、ガラス基板の両主表面が研磨される。
(g)化学強化処理
化学強化処理では、ガラス基板を化学強化液に浸漬することによって、ガラス基板を化学強化する。化学強化液として、例えば硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの混合熔融液等を用いることができる。
(h)第2研磨(最終研磨)処理
第2研磨処理は、主表面の鏡面研磨を目的とする。第2研磨においても、第1研磨に用いる両面研磨装置と同様の構成を有する両面研磨装置が用いられる。第2研磨による取り代は、例えば1μm程度である。第2研磨処理が第1研磨処理と異なる点は、遊離砥粒の種類及び粒子サイズが異なることと、樹脂ポリッシャの硬度が異なることである。
第2研磨処理では、上述した除去処理を行った、コロイダルシリカを遊離砥粒として含む研磨液が用いられる。
第2研磨処理を実施することで、主表面の粗さ(算術平均粗さRa)を0.15nm以下かつ主表面のマイクロウェービネスを0.1nm以下とすることができる。
(i)洗浄処理
第2研磨処理の後、ガラス基板は、アルカリ洗浄液を用いてガラス基板の表面が洗浄され、磁性層が形成される前の磁気ディスク用ガラス基板となる。
このとき、洗浄処理では、洗浄処理前後のガラス基板の表面の算術平均粗さRaの差が0.05nm以下にするアルカリ洗浄液を用いることが好ましい。ガラス基板に付着する板状異物は、除去し難いため、従来、洗浄力の高いアルカリ洗浄液を従来用いていた。このため、洗浄力の強いアルカリ洗浄液は、板状異物のないガラス基板の主表面に作用して主表面を荒らし易い。しかし、本実施形態では、上述した除去処理を施したシリカ砥粒を用いて研磨処理を行うので、ガラス基板には板状異物は付着しない。このため、本実施形態では、従来に比べて洗浄力の弱いアルカリ洗浄液、すなわち、洗浄処理前後のガラス基板の表面の算術平均粗さRaの差を0.05nm以下にするアルカリ洗浄液を用いることができる。なお、Raは、JIS B0601に規定される算術平均粗さである。この算術平均粗さは、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて1μm×1μmの範囲を512×256ピクセルの解像度で測定したデータに基づいて得られるものである。
また、洗浄処理は、ガラス基板を洗浄液に浸すあるいは接触させる非スクラブ洗浄であることが、ガラス基板に傷を作らない点で好ましい。従来の洗浄処理では、ガラス基板に強固に付着した板状異物を除去するために、ブラシや洗浄パッドでガラス基板を擦って、板状異物を除去するスクラブ洗浄を行なっていた。しかし、このスクラブ洗浄では、ガラス基板の主表面に傷を付け易い。本実施形態では、上述した除去処理を施したシリカ砥粒を含んだスラリーを用いて研磨するので、ガラス基板には板状異物が付着しない。このため、従来のようにスクラブ洗浄をしなくてもよい。このため、本実施形態では、ガラス基板を洗浄液に浸すあるいは接触させる非スクラブ洗浄をすることにより、不要な傷をガラス基板の主表面に付けることがなくなる。
なお、第2研磨処理後の洗浄処理において、最終研磨処理後のガラス基板に付着したポリマー微粒子を洗浄する処理を行う事が好ましい。具体的には、第2研磨処理後のガラス基板をオゾン雰囲気下におくことでポリマー微粒子を灰化させることができる。また、空気中で第2研磨処理後のガラス基板に紫外線を照射することにより発生するオゾンによりポリマー微粒子を灰化させてもよい。ポリマー微粒子が灰化では完全に除去されない場合は、ポリマー微粒子を溶解する有機溶媒やアニオン界面活性剤を含む洗浄剤を用いてガラス基板を洗浄することでポリマー微粒子を除去してもよい。
第2研磨処理後のガラス基板にポリマー微粒子が残存しない場合や、ポリマー微粒子が残存してもガラス基板の使用に問題がない場合は、ポリマー微粒子を除去する洗浄工程を省略することができる。
以下、本発明の実施例および比較例について説明する。
〔実施例1〕
(コロイダルシリカの作成)
ケイ砂と炭酸ナトリウムとを原料としてイオン交換法により平均粒子径が20nmのコロイダルシリカを含むスラリーを得た。
(吸着処理)
上記のコロイダルシリカを含むスラリーに対し、吸着材を添加し、混合した。吸着材として、粒子径50nmのポリスチレン微粒子を用いた。吸着材の添加量は、スラリーの全体量に対する吸着材の濃度が1wt%となるように調整した。
(分離処理)
吸着処理の後、スラリー中のシリカ系粒子を吸着して沈殿したポリスチレン微粒子をフィルタにより濾過し分離した。
(ガラス基板の研磨処理)
次に、分離処理でフィルタを通過した濾過液を研磨液として用いて、ガラス基板の最終研磨処理を行った。ガラス基板の主表面とポリウレタン製の研磨パッドとの間に、上記の研磨液を供給しながら、研磨パッドをガラス基板の主表面に対して相対移動させることでガラス基板の主表面を研磨した。
〔実施例2〕
(吸着処理)
実施例1と同様にして得られたコロイダルシリカを含むスラリーに対し、スチレンモノマーを投入し、撹拌することでスラリー中に懸濁させた後、得られた懸濁液に重合開始剤を添加し、70℃で20分間撹拌することで、粒子径50nmのポリスチレン微粒子を生成させた。スチレンモノマーの投入量は、懸濁液の全体量に対する濃度が1wt%となるように調整した。
(分離処理)
吸着処理の後、スラリー中でポリスチレン微粒子を吸着して沈殿したシリカ系粒子をフィルタにより濾過し分離した。
(ガラス基板の研磨処理)
次に、分離処理でフィルタを通過した濾過液を研磨液として用いて、ガラス基板の最終研磨処理を行った。ガラス基板の主表面とポリウレタン製の研磨パッドとの間に、上記の研磨液を供給しながら、研磨パッドをガラス基板の主表面に対して相対移動させることでガラス基板の主表面を研磨した。
〔比較例〕
実施例1と同様にして得られたコロイダルシリカを含むスラリーに対し、吸着処理および分離処理を行わずに研磨液として用いて、ガラス基板の最終研磨処理を実施例と同様に行った。
〔ガラス基板主表面の板状異物の検出〕
研磨処理後、洗浄、乾燥したガラス基板の主表面について、光学式の表面検査装置と走査型電子顕微鏡(SEM: Scanning Electron Microscope)を用いて異物の検出と同定を行った。
その結果、実施例1、2のガラス基板については板状異物が検出されなかったが、比較例のガラス基板については板状異物が検出された。実施例1、2では、吸着処理によってスラリー中の板状異物が吸着材に吸着されたため、ガラス基板に板状異物が付着しなかったものと考えられる。
以上、本発明の磁気ディスク用基板の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
上記実施形態においては、シリカ砥粒を用いて研磨処理を行う場合について説明したが、本発明はこれに限らず、他の砥粒を用いて研磨処理を行う場合に本発明を適用してもよい。

Claims (16)

  1. 一対の研磨パッドで円盤状の基板を挟み、前記研磨パッドと前記基板の間に研磨砥粒を含むスラリーを供給して、前記研磨パッドと前記基板を相対的に摺動させることにより、前記基板の主表面を研磨する研磨処理を含む磁気ディスク用基板の製造方法であって、
    前記スラリー中に含まれる、前記研磨砥粒および前記研磨砥粒の平均粒子径よりも粒子径が大きな板状物質とが表面電荷の量に差を有し、
    前記研磨処理を行う前に、少なくとも前記板状物質に吸着され、かつ、前記板状物質の表面電荷と符号が異なる表面電荷を有する固体の吸着材を前記スラリーに混合することで、前記スラリー中の板状物質に吸着材を吸着させる吸着処理を行うことを特徴とする磁気ディスク用基板の製造方法。
  2. 一対の研磨パッドで円盤状の基板を挟み、前記研磨パッドと前記基板の間に研磨砥粒を含むスラリーを供給して、前記研磨パッドと前記基板を相対的に摺動させることにより、前記基板の主表面を研磨する研磨処理を含む磁気ディスク用基板の製造方法であって、
    スラリー原液中に含まれる研磨砥粒および前記研磨砥粒の平均粒子径よりも粒径が大きな板状物質とが表面電荷の量に差を有し、少なくとも板状物質に吸着され、かつ、上記板状物質の表面電荷と符号の異なる表面電荷を有する固体の吸着材を前記スラリー原液に混合して板状物質に吸着材を吸着させた後、前記吸着材を吸着した前記板状物質を前記スラリー原液中から除去したものを前記研磨処理に使用するスラリーとして用いることを特徴とする磁気ディスク用基板の製造方法。
  3. 前記吸着材は、有機高分子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気ディスク用基板の製造方法。
  4. 一対の研磨パッドで円盤状の基板を挟み、前記研磨パッドと前記基板の間に研磨砥粒を含むスラリーを供給して、前記研磨パッドと前記基板を相対的に摺動させることにより、前記基板の主表面を研磨する研磨処理を含む磁気ディスク用基板の製造方法であって、
    前記研磨処理を行う前に、前記スラリー中に含まれる研磨砥粒および前記研磨砥粒の平均粒子径よりも大きな粒子径の板状物質のうち少なくとも板状物質に吸着される有機高分子からなる吸着材を前記スラリー中で作成することで、前記吸着材を前記スラリー中の板状物質に吸着させる吸着処理を行うことを特徴とする磁気ディスク用基板の製造方法。
  5. 一対の研磨パッドで円盤状の基板を挟み、前記研磨パッドと前記基板の間に研磨砥粒を含むスラリーを供給して、前記研磨パッドと前記基板を相対的に摺動させることにより、前記基板の主表面を研磨する研磨処理を含む磁気ディスク用基板の製造方法であって、
    前記スラリー中に含まれる研磨砥粒および前記研磨砥粒の平均粒子径よりも大きな粒子径の板状物質のうち少なくとも板状物質に吸着される有機高分子からなる吸着材を溶媒中で作成し、
    研磨処理を行う前のスラリーに前記吸着材が作成された溶媒を投入することで、前記吸着材を前記スラリー中の板状物質に吸着させる吸着処理を行うことを特徴とする磁気ディスク用基板の製造方法。
  6. 前記研磨砥粒は、平均粒子径が10nm以上60nm以下のシリカ粒子である請求項1〜5のいずれか一項に記載の磁気ディスク用基板の製造方法。
  7. 前記吸着処理の後、前記スラリーから吸着材を吸着した前記板状物質を分離する分離処理を行い、
    前記分離処理によって板状物質が除去された前記スラリーを用いて前記研磨処理を行うことを特徴とする請求項1、請求項4、及び請求項5の何れか項に記載の磁気ディスク用基板の製造方法。
  8. 前記研磨砥粒は、水ガラスとイオン交換樹脂を用いて得られるシリカ砥粒である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁気ディスク用基板の製造方法。
  9. 前記研磨処理後、基板の主表面を洗浄する洗浄処理を行い、前記洗浄処理では、前記洗浄処理前後の基板の表面の算術平均粗さRaの差を0.05nm以下にするアルカリ洗浄液を用いる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁気ディスク用基板の製造方法。
  10. 前記吸着材を前記板状物質に吸着させた後、前記研磨処理前のスラリーに、前記砥粒の表面電荷の絶対値を減少させる添加剤を添加する、請求項1〜9のいずれか項に記載の磁気ディスク用基板の製造方法。
  11. 前記吸着処理前の、前記スラリーのアルカリ土類金属イオンの含有率は、200ppm以下である、請求項1、請求項4、及び請求項5のいずれか1項に記載の磁気ディスク用基板の製造方法。
  12. 前記吸着材を前記板状物質に吸着させるとき、最大長さが厚さの5倍以上の板状物質に前記吸着材を吸着させる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の磁気ディスク用基板の製造方法。
  13. 前記吸着材は有機高分子であり、前記研磨処理の後、前記磁気ディスク用基板の表面に残存している吸着材に対して(1)有機溶媒を接触させる、(2)酸化させる、の少なくとも一方を行うことにより除去することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の磁気ディスク用基板の製造方法。
  14. 研磨処理後の、基板の表面の算術平均粗さRaは、0.15nm以下であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の磁気ディスク用基板の製造方法。
  15. 一対の研磨パッドで円盤状の基板を挟み、前記研磨パッドと前記基板の間に研磨砥粒を含むスラリーを供給して、前記研磨パッドと前記基板を相対的に摺動させることにより、前記基板の主表面を研磨する研磨処理を含む磁気ディスク用基板の製造方法であって、
    前記研磨処理を行う前に、前記スラリー中に含まれる、前記研磨砥粒および前記研磨砥粒の平均粒子径よりも粒子径が大きな大径粒子とがそれぞれ有する表面電荷の量の差によって、前記研磨砥粒の平均粒子径を有する粒子と比べて大径粒子に吸着されやすく、かつ、前記大径粒子の表面電荷と符号が異なる表面電荷を有する固体の吸着材を前記スラリーに混合することで、前記スラリー中の大径粒子に吸着材を吸着させる吸着処理を行うことを特徴とする磁気ディスク用基板の製造方法。
  16. 一対の研磨パッドで円盤状の基板を挟み、前記研磨パッドと前記基板の間に研磨砥粒を含むスラリーを供給して、前記研磨パッドと前記基板を相対的に摺動させることにより、前記基板の主表面を研磨する研磨処理を含む磁気ディスク用基板の製造方法であって、
    前記研磨処理を行う前に、前記スラリー中に含まれる研磨砥粒および前記研磨砥粒の平均粒子径よりも大きな粒子径の大径粒子がそれぞれ有する表面電荷量の差によって、前記研磨砥粒の平均粒子径を有する粒子と比較して前記大径粒子に吸着されやすい有機高分子からなる吸着材を前記スラリー中で作成することで、前記吸着材を前記スラリー中の大径粒子に吸着させる吸着処理を行うことを特徴とする磁気ディスク用基板の製造方法。
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