JP6297828B2 - コンクリート部材およびコンクリート部材の製造方法 - Google Patents
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また、断面の大きさや鉄筋の配設本数が、所定の強度を有するための最低限の量で済むので、従来の同程度の強度を有するコンクリート部材に比べて小型化することができる。このため、空間を確保し易くなるので、コンクリート構造物をより自由に設計することができる。
型枠内に鉄筋を配置して前記型枠にコンクリートを充填する際に、前記鉄筋よりも当該コンクリート部材の表面側の部位であって、所定以上の引張応力が作用する部位となる箇所のみに、骨材とモルタルとによって、健全なコンクリートよりも空隙の多い多空隙部を形成し、前記コンクリートの硬化後、該多空隙部の空隙に樹脂を充填して硬化させることにより、前記表層部に改良部を形成することを特徴とする。
モルタルは、その粘性により、多空隙体の中心部まで入り込みにくいので、このようにすれば、容易に多空隙部を形成することができる。
また、多空隙体の表層部にモルタルが入り込むことで、多空隙体とコンクリートが一体化するので、改良部がコンクリートに強力に付着し、剥離しにくくなる。
このようにすれば、流し込んだコンクリートからモルタルのみが分離・流出するので、型枠にコンクリートを流し込むだけで多空隙部が形成され、改良部の形成が容易になる。
以下、図1〜5を参照して、本発明の第1実施形態について詳細に説明する。
本実施形態のコンクリート部材である梁1は、例えば、図1に示すように、柱2の中間部から他の柱2の中間部にかけて設けられることで、高架橋等のコンクリート構造物10の一部を構成している。梁1は、コンクリート部3と、コンクリート部3の内部に配設された鉄筋部4と、下かぶり(表層部)の所定範囲に広がる改良部5とで構成されている。コンクリート部3は、骨材とモルタルペースト(以下モルタル)からなる従来通りのものとなっている。鉄筋部4も、主鉄筋41とせん断補強鉄筋(以下帯鉄筋)42からなる従来通りのものとなっている。
上記梁1を製造するには、まず、図2(a)に示したように、骨材と少量のモルタルで板状の多空隙体51aを作成する。多空隙体51aの幅および奥行きは、形成しようとする改良部5よりも一回り大きくし、厚さはかぶりの厚さ以下とする。多空隙体51aを作成した後は、図2(b)に示すように、多空隙体51aを型枠6内の、改良部5が形成されることになる箇所(ここでは、下面中央)に、型枠6の内面と接するように配置し、更に、図2(c)に示すように、主鉄筋41および帯鉄筋42を配設する。各部材を配設した後は、図2(d)に示すように、型枠6に所定量のコンクリートCを流し込む。このとき、多空隙体51aは流し込まれたコンクリートCに埋没するが、コンクリートCのモルタルはある程度の粘性を有するので、多空隙体51aの上部および側部の空隙にモルタルが入り込んでも、それ以外の空隙は充填されずに残る。この状態でコンクリートCが硬化すると、多空隙体51aとコンクリート部3とが一体化し、多空隙部51が形成される。コンクリートCが硬化したら、図2(e)に示すように、型枠6を撤去し、コンクリート部3の下面に露出した多空隙部51の空隙に樹脂52を充填し硬化させる。こうして、梁1が製造される。
上記梁1を発明するに際し、梁1のひび割れの生じにくさを調べる実験を行った。具体的には、まず、本実施形態の梁1と、改良部5を有しない従来の梁1Aを、共に同じ寸法(長さ5000mm、幅300mm、高さ500mm、上面と上主鉄筋の中心との距離82mm、下面と下主鉄筋の中心との距離97mm、梁1のみ改良部5の幅1000mm)でそれぞれ製作した。そして、それぞれの梁を、図示しない実験装置に、下面の中心から長手方向に1250mm離れた箇所を下から支えるように配置し、上面の中心から長手方向に600mm離れた箇所に鉛直下方向の荷重を3段階の大きさ(0〜100kN、100〜200kN、200〜300kN)で作用させ、それぞれの梁にどのようなひび割れが生じたかを調べた。
また、断面の大きさや鉄筋の配設本数が、所定の強度を有するための最低限の量で済むので、従来の同程度の強度を有する梁に比べて小型化することができる。このため、空間を確保し易くなるので、コンクリート構造物10をより自由に設計することができる。
型枠6にコンクリートCを充填する際に、梁1の下かぶりであって、所定以上の引張応力が作用する部位となる箇所に、骨材とモルタルとによって、健全なコンクリートよりも空隙の多い多空隙部51を形成し、コンクリートCの硬化後、該多空隙部51の空隙に樹脂52を充填して硬化させることにより、下かぶりに改良部5を形成するようにした。
モルタルMは、その粘性により、多空隙体51aの中心部まで入り込みにくいので、こうすることで、容易に多空隙部51を形成することができる。また、多空隙体51aの表層部にモルタルが入り込むことで、多空隙体51aとコンクリート部3が一体化するので、改良部5がコンクリート部3に強力に付着し、剥離しにくくなる。
次に、図6を参照して、本発明の第2実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の梁1の構成は、第1実施形態とほぼ同様であり、製造方法のみが異なるため、ここでは、製造方法についてのみ説明する。
本実施形態の方法で梁1を製造するには、まず、図6(a)に示すように、底壁または側壁の、改良部5が形成されることになる箇所と接する箇所(ここでは底壁中央)に孔6Aaが空いた型枠6Aを用意する。孔6Aaは、骨材が通り抜けることのできない程度の大きさとし、形成しようとする改良部5の幅および奥行きに合わせて1つまたは間隔を空けて複数形成する。そして、この型枠6Aに主鉄筋41および帯鉄筋42を配設する。鉄筋41,42を配設した後は、図6(b)に示すように、型枠6に所定量のコンクリートCを流し込む。このとき、孔6Aaの近傍に充填されたコンクリートのモルタルMが孔6Aaから流出し、骨材Aのみが残る。この状態でコンクリートCが硬化すると、孔6Aaの近傍に第1実施形態の多空隙部51と同様のものが形成される。コンクリートCが硬化したら、図6(c)に示すように、型枠6を撤去し、コンクリート部3の下面に露出した多空隙部51の空隙に樹脂52を充填し硬化させる。こうして、第1実施形態と同様の梁1が製造される。
こうすることで、流し込んだコンクリートCからモルタルMのみが分離・流出するので、型枠6AにコンクリートCを流し込むだけで多空隙部51が形成され、改良部5の形成が容易になる。
例えば、上記実施形態では、梁を例に説明したが、柱等の他のコンクリート部材でもよい。その場合、引張応力が作用する面、或いはひび割れを生じさせない面に合わせて改良部を設ける位置を変更すればよい。
また、上記実施形態では、下表層部の一部を改良部としたが、下表層部全体を改良部としてもよい。
また、上記実施形態では、改良部の厚さを、帯鉄筋の下端に届かない程度としたが、改良部が軸方向鉄筋や帯鉄筋と接しても問題は無いので、かぶり全体を改良部の形成可能範囲とすることができる。
また、上記実施形態では、コンクリートを現場打ちする場合について説明したため、多空隙部を下部に形成する必要があったが、プレキャスト部材として製造する場合には、上面に多空隙部を設けて樹脂を充填するようにしてもよい。
1 梁(コンクリート部材)
3 コンクリート部
5 改良部
51 多空隙部
51a 多空隙体
52 樹脂
6,6A 型枠
Claims (4)
- コンクリート構造物を構成するコンクリート部材であって、
内部に配設された鉄筋と、
前記鉄筋よりも当該コンクリート部材の表面側の部位であって、少なくとも所定以上の引張応力が作用する部位のみに、骨材、モルタルおよび樹脂とで形成された改良部と、を有することを特徴とするコンクリート部材。 - コンクリート構造物を構成するコンクリート部材の製造方法において、
型枠内に鉄筋を配置して前記型枠にコンクリートを充填する際に、前記鉄筋よりも当該コンクリート部材の表面側の部位であって、所定以上の引張応力が作用する部位となる箇所のみに、骨材とモルタルとによって、健全なコンクリートよりも空隙の多い多空隙部を形成し、
前記コンクリートの硬化後、該多空隙部の空隙に樹脂を充填して硬化させることにより、前記表層部に改良部を形成することを特徴とするコンクリート部材の製造方法。 - 骨材とモルタルとによって、健全なコンクリートよりも空隙の多い多空隙体を形成し、
前記多空隙体を、型枠内の所定箇所に、前記型枠の内面と接するように配置し、
前記型枠に前記コンクリートを流し込み、前記多空隙体の一部に前記コンクリートのモルタルが充填されていない状態で前記コンクリートを硬化させることにより、前記多空隙部を形成し、
前記多空隙部に樹脂を充填して前記改良部を形成することを特徴とする請求項2に記載のコンクリート部材の製造方法。 - 底壁または側壁の所定箇所に孔が形成された型枠に、前記コンクリートを流し込み、
前記孔から前記コンクリートのモルタルの一部を流出させ、前記孔の近傍に前記コンクリートの骨材のみが残された状態で前記コンクリートを硬化させることにより、前記多空隙部を形成し、
前記多空隙部に樹脂を充填して前記改良部を形成することを特徴とする請求項2に記載のコンクリート部材の製造方法。
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