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JP6301880B2 - 酸化チタンナノチューブの合成方法及びこの方法で合成した酸化チタンナノチューブ - Google Patents
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JP6301880B2 - 酸化チタンナノチューブの合成方法及びこの方法で合成した酸化チタンナノチューブ - Google Patents

酸化チタンナノチューブの合成方法及びこの方法で合成した酸化チタンナノチューブ Download PDF

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Description

本発明は、酸化チタンナノチューブの合成方法及びこの方法で合成した酸化チタンナノチューブに関する。
従来、水熱反応を用いて酸化チタンナノチューブを合成する方法は広く知られている。例えば、特許文献1では、水熱反応を用いて酸化チタンから酸化チタンナノチューブを合成する方法が開示されている。
特開2014−24732号公報
特許文献1に記載の水熱合成方法では、水酸化ナトリウム水溶液に酸化チタン粉末を投入した状態で水熱反応を行うことで、酸化チタンから酸化チタンナノチューブを合成している。
しかしながら、このような方法では、水酸化チタンナトリウム水溶液が水熱反応で用いる加熱加圧容器内に飛散する可能性があるため、加熱加圧容器は、強アルカリに腐食されないよう、テフロン(テフロンはデュポン社の登録商標、以下同じ。)等でコーティングする必要がある。言い換えると、加熱加圧容器は、高温高圧に耐えうるだけでなく、アルカリといった薬品に耐えうる材質である必要がある。
一般的に、酸化チタンナノチューブ等の酸化物ナノ材料の合成では、強アルカリ水溶液中で水熱合成を行うため、完全にテフロンで密閉された反応容器の中で、高温・高圧状態を12時間程度維持する必要がある。このため、高温高圧条件に耐えられる素材を更にテフロンコーティングやテフロンライニングを施す必要があり、耐温度と耐圧性に加えて、耐薬品性も求められることになり、選択できる素材が著しく制限されることに加え、耐熱・耐圧・耐薬品性の全てを備えた加熱加圧装置の製造には多大な労力とコストがかかるという課題がある。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、金属製加熱加圧容器の全体に耐薬品性を備えることなく、強アルカリ水溶液などの浸食性の高い液体を用いた水熱反応が可能な加熱加圧容器を提供することを主目的とする。また、この加熱加圧容器を用いた水熱反応方法、この水熱反応方法を用いた酸化チタンナノチューブの合成方法及びこの酸化チタンナノチューブの合成方法を用いて合成した酸化チタンナノチューブを提供することを目的の一つとし、種々の酸化物ナノ材料の合成に使用可能な加熱加圧容器の提供を目指すことを目的の一つとする。
本発明は、上述した主目的の少なくとも1つを達成するために以下の手段を採った。
本発明の酸化チタンナノチューブの合成方法は、
少なくとも一部が開放され、表面がアルカリ耐性を有する収納容器を内部に収納する加熱加圧容器を用いて酸化チタンナノチューブを合成する合成方法であって、
前記収納容器に酸化チタンと水酸化ナトリウム水溶液の混合液を入れる第一工程と、
前記加熱加圧容器に水を入れる第二工程と、
前記第一工程及び前記第二工程の後に、前記加熱加圧容器を密閉した状態で加熱加圧する第三工程と、
を含むことを特徴とする、
ものである。
この酸化チタンナノチューブの合成方法において、酸化チタンと水酸化ナトリウム水溶液の混合液を入れる収納容器は、表面がアルカリ耐性を有するため、強アルカリを含む混合液を収納容器内に入れた場合であっても、収納容器が薬品によって浸食される可能性を低減することができる。加えて、収納容器の少なくとも一部が開放されており、加熱加圧容器に水を入れた状態で密閉し、加熱加圧用記が加熱及び加圧されると、加熱加圧容器内で発生した水蒸気が収納容器内の混合液を加圧し、その蒸気圧によって混合溶液を液相のまま保持させることができる。こうすることにより、収納容器の表面のみアルカリ耐性を有すれば、加熱加圧容器の表面に薬品耐性を付与することなく、強アルカリを含む混合液の水熱反応を行うことができる。付言すると、アルカリ耐性を有する収納容器と耐圧・耐熱性能を有する加熱加圧容器とを組み合わせることにより、耐薬品性と耐圧・耐熱性能のいずれか一方を有する素材で足りるため、加熱加圧容器を製造する際の材料の選択肢を向上させることができる。なお、ここで、加熱加圧容器を加熱する方法については、加熱加圧対象物を直接加熱せず、内部の水を加熱する方法であれば、電気的でも、熱媒体を用いてもよい。また、ここで「アルカリ耐性」とは、アルカリによる浸食を防ぐ性質のことを言い、アルカリに浸食されない性質又はアルカリに浸食されにくい性質を有することを意味する。
また、酸化チタンと水酸化ナトリウム水溶液との混合液の沸点は、水の沸点より高いため、加熱加圧容器を加熱加圧した際、混合液よりも先に水が気化することになるため、加熱加圧容器の内部は、水の気化雰囲気下になることになる。こうすることにより、少なくとも一部が開放された収納容器内部に進入した水蒸気が収納容器内の混合液を加圧し、その蒸気圧によって混合液を液相のまま保持させることができる。
本発明の酸化チタンナノチューブの合成方法において、前記水の容量は、前記加熱加圧容器の内容量の30パーセント以上80パーセント以下の容量であることを特徴としてもよい。こうすることにより、混合液の突沸を未然に防止し、混合液が加熱拡散容器に飛散する可能性を未然に低減することができる。このため、例えば、混合液が強アルカリ等の浸食性の高い溶液を含む場合であっても、加熱加圧容器の表面に耐薬品性を必要とすることなく、水熱反応を行うことが可能な加熱加圧容器を提供することができる。例えば、所定量が反応容器の容量の30パーセント未満の場合には、水の効果が小さく、水蒸気圧によって混合液を液相のまま保持できない可能性が高くなるため好ましくなく、所定量が反応容器の容量の80パーセントより大きい場合には、水の膨張により反応容器内の圧力が急激に高まる可能性があるため、好ましくない。
本発明の酸化チタンナノチューブの合成方法において、前記第三工程における前記加熱加圧容器及び前記収納容器の内部の温度及び圧力は、前記水の飽和温度及び飽和蒸気圧であることを特徴としてもよい。こうすることにより、水が飽和蒸気の状態に保たれるため、水の飽和蒸気によって混合液の液面が覆われ、混合液が飛散する可能性を低減することができる。付言すると、収納容器の表面のみ耐薬品性を有すれば、加熱加圧容器の表面に耐薬品性を付与することなく、浸食性を有する成分を含む混合液の水熱反応を行うことができる。
本発明の酸化チタンナノチューブの合成方法において、前記水酸化ナトリウム水溶液は、7mol/L以上の濃度であり、前記混合液のpHが13以上に保たれていることを特徴としてもよい。このとき、7mol/L(以下、「7M」と言う。)以上の水酸化ナトリウムによりpH13以上とすることが好ましく、10M以上の水酸化ナトリウムによりpH13以上とすることがより好ましく、15M以上の水酸化ナトリウムによりpH13以上とすることがより好ましい。また、水酸化ナトリウム水溶液に限らず、例えば、水酸化カリウム水溶液であってもよいし、水酸化リチウム水溶液であってもよいし、水酸化ルビジウム水溶液や水酸化セシウム水溶液であってもよい。このような条件で酸化チタンナノチューブを合成する場合には、従来の方法では、浸食性の強い高濃度の強アルカリ水溶液が飛散する可能性があるため、加熱加圧容器の内側面に耐アルカリ処理を行う必要があるが、本発明の酸化チタンナノチューブの合成方法を用いることにより、加熱加圧容器の内側面に耐アルカリ処理を行うことなく、酸化チタンナノチューブを合成することができる。こうすることにより、既存の加熱加圧容器の一部を利用して本発明の酸化チタンナノチューブの合成方法を行うことができる。
本発明の酸化チタンナノチューブの合成方法において、前記混合液を加熱及び加圧する際には、0.2メガパスカル以上0.6メガパスカル以下の圧力で加圧することを特徴としてもよい。このとき、圧力は0.1メガパスカル以上0.6メガパスカル以下が好ましく、0.2メガパスカル以上0.6メガパスカル以下が好ましく、0.17メガパスカル以上0.48メガパスカル以下が好ましく、0.25メガパスカル以上0.35メガパスカル以下がより好ましい。このような条件で酸化チタンナノチューブを合成する場合には、従来の方法では、浸食性の強い高濃度の水酸化ナトリウム水溶液が飛散する可能性があるため、加熱加圧容器の内側面に耐アルカリ処理を行う必要があるが、本発明の酸化チタンナノチューブの合成方法を用いることにより、加熱加圧容器の内側面に耐アルカリ処理を行うことなく、酸化チタンナノチューブを合成することができる。こうすることにより、既存の加熱加圧容器の一部を利用して本発明の酸化チタンナノチューブの合成方法を行うことができる。
本発明の酸化チタンナノチューブは、上述したいずれかの酸化チタンナノチューブの合成方法を用いて合成した酸化チタンナノチューブである。この酸化チタンナノチューブは、上述した酸化チタンナノチューブの合成方法を用いて合成されるため、加熱加圧容器の内側面に耐アルカリ処理を行うことなく、酸化チタンナノチューブを合成することができる。このため、酸化チタンナノチューブを合成するために加熱加圧容器の内側に耐薬品性を付与する必要が無く、反応容器の材質の選択の自由度を上げることができる。加えて、既存の加熱加圧容器の一部を利用して酸化チタンナノチューブの合成を行うことができるため、酸化チタンナノチューブの大量合成が可能になる。
図1は、加熱加圧容器20の構成の概略を示す概略図である。 図2は、それぞれ透過型電子顕微鏡で撮影した写真図である。 図3は、実施例1から実施例3の条件で合成した酸化チタンナノチューブの写真図である。 図4は、実施例4から実施例6の条件で合成した酸化チタンナノチューブの写真図である。
本発明の酸化チタンナノチューブの合成方法の一例を説明するにあたり、本発明の酸化チタンナノチューブの合成方法で用いる水熱反応装置の一例である加熱加圧容器20の構成の概略について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態の一例である加熱加圧容器20の構成の概略を示す概略図である。図1に示すように、この加熱加圧容器20は、密閉可能な反応容器30の中に、酸化チタンと水酸化ナトリウム水溶液とを含む混合液が収納される収納容器32が収納される。水熱反応を行う際には、反応容器30の中に混合液よりも沸点の低い液体である水34を加え、反応容器30を図示しない加熱・加圧装置を用いて加熱及び加圧することで水熱反応を行うことが可能となる。なお、反応容器30の中に収納する収納容器32は、複数であってもよい。このとき、複数の収納容器32の中に収納される混合溶液は、全て同一のものであってもよいし、異なっていてもよい。このように、一つの反応容器内に複数の収納容器を収納できるため、多量の試料の水熱反応を行う場合であっても、試料を小分けにした複数の収納容器で水熱反応を行うことができ、多量の試料を入れることが可能な大きな収納容器で水熱反応を行う場合と比較して、より均一な条件で水熱反応を行うことができる。
反応容器30は、ステンレス製の密閉可能な容器であり、1又は2以上の収納容器32を収納可能である。この反応容器30は、収納容器32を収納した状態で反応容器30内であって収納容器32の外側に水34を入れることが可能であり、この水34と収納容器32とが入れられた状態で、密閉することができる。この状態で、図示しない加熱・加圧装置を用いて反応容器30を加熱・加圧することにより、反応容器30内を高温高圧状態に保つことができる。また、この反応容器30には、温度計等の各種計測機を備え付けていてもよい。こうすれば、反応容器30内の温度条件等を外部から計測することができる。なお、内部に収納容器32及び水を入れた状態で密閉できる形状であれば、反応容器30の形状は特に限定されるものではない。また、材質もステンレス製に限定されるものではなく、高温・高圧条件に耐えられるものであれば、種々の素材を使用することができる。なお、反応容器30に備え付ける各種計測器については、耐熱耐圧性を有していればよく、アルカリ耐性は必要とされない。
収納容器32は、表面にテフロンコーティング又はテフロンライニングが施された樹脂製の容器であり、上部が開放されている。このため、反応容器30の中に静置され、反応容器30が密閉された後は、反応容器30内と収納容器32内とは、収納容器32の上部が開放されているため、同じ圧力雰囲気下となる。また、表面にテフロンコーティング又はテフロンライディングが施されているため、強酸や強アルカリ等を含む溶液を収納した場合であっても、薬品により浸食される可能性を低減することができる。なお、収納容器32として、テフロン製やテフロンライナー製のものを用いてもよい。
次に、本発明の水熱反応方法及び酸化チタンナノチューブの合成方法の一例について、加熱加圧容器20を用いた水熱反応方法を一例として説明する。
まず、収納容器32としてテフロン製反応容器に酸化チタン粉末(堺化学工業製、品番:SA−120)と10Mの水酸化ナトリウム水溶液を1:10の重量比で充填した。次に、反応容器30として既知のステンレス製のオートクレーブ内に収納容器32を静置し、収納容器32の内容積に対して30パーセントの容量の水を収納容器32内に入れ、収納容器32を密閉した。続いて、収納容器32を加熱オイルで加熱し、145℃から150℃で20時間この状態を保持した。このとき、収納容器32の上部は開放されているため、収納容器32内は、液面まで反応容器30内に入れた水が蒸発した水蒸気で満たされている状態である。
続いて、収納容器32内の生成物を採取し、透過型電子顕微鏡で観察した。この結果を、図2に示す。この図より、直径10ナノメートル、長さ500ナノメートル程度のチューブ状のナノサイズ生成物が確認できた。このナノサイズ生成物をXRD及びXRF分析や非表面積計測を行った結果、このチューブ状のナノサイズ生成物は、酸化チタンのアナターゼ構造を有するチタン酸化物(NaTiとHTiの中間体)であることが分かった。また、比表面積は100〜400m/gと反応前の酸化チタン粉末の比表面積である10m/gの10倍以上となっていることが分かった。
この結果は、従来の酸化チタンナノチューブの生成方法で報告されている生成物と同様の特徴を有しており、反応容器30の内部を詳細に観察したところ、反応容器30内に水酸化ナトリウム水溶液が飛散していないことも確認した。この結果から、上部が開放された収納容器32を反応容器30内に静置し、水を入れた状態で加熱・加圧することで従来の酸化チタンナノチューブと同様の酸化チタンナノチューブを合成することは明らかである。
本発明の水熱反応によって従来の方法と同様の酸化チタンナノチューブが合成できた理由は明らかではないが、発明者らは、以下のように考えている。
本実施の形態の水熱反応方法において、反応容器30内の水を加熱することにより、水を飽和水蒸気の状態とした。このとき、酸化チタン粉末は水酸化ナトリウム水溶液に沈殿した状態であり、水の飽和蒸気圧の条件下では、水酸化ナトリウムの水溶液は、蒸気圧降下によって液相に保持される。
つまり、アルカリ水溶液状態の酸化チタンは、飽和水蒸気圧で加圧されることによって、飽和状態に至らず、液相状態で保持され、収納容器内に、いわば、密閉された状態となった。付言すると、本発明では、飽和水蒸気圧を加熱・加圧目的ではなく、収納容器を密閉する用途にも用いることができたため、従来の方法と同様の酸化チタンナノチューブが合成できたと考えられる。このように水蒸気によって収納容器が、いわば、密閉された状態となることにより、収納容器に水酸化ナトリウム水溶液が封入されることとなるため、反応容器は、水に対する温度・圧力耐性を有していれば良い。
更に、収納容器が開放状態の場合には、水酸化ナトリウム水溶液が入った収納容器の圧力と反応容器の圧力差が生じない。このため、収納容器に耐圧製は不要で、単に、水と水酸化ナトリウム水溶液を分離できれば足りる。このため、収納容器は、従来のような耐薬品性・温度耐圧・圧力耐圧性を兼ね備えた、頑丈なテフロン製オートクレーブ容器は必要なく、薄肉の簡単な樹脂製容器で十分である。
次に、実際の物性値を当てはめて、水の飽和水蒸気圧によって水酸化ナトリウム水溶液が液相で保持されることを示す。一般に、水溶液の蒸気圧降下は溶質の重量モル濃度に比例し、蒸気圧降下に伴い、純溶媒の沸点と比較した水溶液の沸点の上昇度Tは、次式(1)で表される。次式(1)中、Kbは所定の定数であり、mbは溶質の重量モル濃度である。
Figure 0006301880
式(1)中に水及び水酸化ナトリウムの物性値を当てはめ、導出した水及び各濃度(5,10,15M)の水酸化ナトリウム水溶液の蒸気圧曲線を以下の表1及び表2に示す。表1は、水及び各濃度の水酸化ナトリウム水溶液の蒸気圧曲線であり、縦軸を温度、横軸を蒸気圧としたものである。また、それぞれのグラフは、上から順に、15Mの水酸化ナトリウム水溶液(D)、10Mの水酸化ナトリウム水溶液(C)、5Mの水酸化ナトリウム水溶液(B)、水(A)のそれぞれを示している。
Figure 0006301880
以下の表2は、水及び各濃度の水酸化ナトリウム水溶液の蒸気圧曲線であり、縦軸を蒸気圧、横軸を温度としたものである。また、それぞれのグラフは、上から順に、水(A)、5Mの水酸化ナトリウム水溶液(B)、10Mの水酸化ナトリウム水溶液(C)、15Mの水酸化ナトリウム水溶液(D)、をそれぞれ示している。
Figure 0006301880
表1に示すように、例えば、0.2メガパスカルの条件では、10Mの水酸化ナトリウム水溶液の沸点は5.8℃、0.3メガパスカルであれば6.3℃、それぞれ水と比較して上昇していることが分かる。逆に、同じ温度で比較すると、表2に示すように、120℃の条件において、純溶媒と10Mの水酸化ナトリウム水溶液の蒸気圧は、それぞれ0.2メガパスカルと0.15メガパスカルであり、ある温度において、水は飽和状態だが、水酸化ナトリウム水溶液は液相状態を保持しており、水の飽和蒸気圧によって水酸化ナトリウム水溶液は常に加圧状態にあり、液相状態で閉じ込められることが分かる。以上より、水の飽和蒸気圧と水酸化ナトリウム水溶液の蒸気圧の差が、酸化チタンナノチューブ生成容器である収納容器の上蓋として機能することが、計算上からも明らかである。
ここで、水酸化ナトリウム水溶液の各濃度における加熱・加圧前後の水酸化ナトリウム水溶液のpH変化を次の表3に示す。表3は、0.2M、0.4M、0.6M、0.8M、1.0Mの各濃度における水酸化ナトリウム水溶液を145℃から150℃で20時間、加熱加圧した際の加熱加圧前後のpHの変化を示した表である。この表から明らかなように、前後のpH最大でも0.04しか変化しておらず、水酸化ナトリウム水溶液に外部の水がほとんど混入しておらず、かつ、水酸化ナトリウム水溶液が外部にも飛散していない状態であることは明らかである。言い換えると、水蒸気によって、水酸化ナトリウム水溶液が液相状態で閉じ込められていることが明らかであると言える。
Figure 0006301880
本発明の酸化チタンナノチューブの合成方法を用いて酸化チタンナノチューブを合成した合成方法の例を以下に示す。
(実施例1)
テフロン製反応容器に酸化チタン粉末(堺化学工業製、品番:SA−120)と10Mの水酸化ナトリウム水溶液を1:10の重量比で入れ、既知のステンレス製のオートクレーブ内に収納容器32を静置し、収納容器32の内容積に対して30パーセントの容量の水を収納容器32内に入れ、収納容器32を密閉した。続いて、収納容器32を加熱オイルで加熱し、145℃から150℃で20時間この状態を保持した。このとき、収納容器32の上部は開放されているため、収納容器32内は、液面まで反応容器30内に入れた水が蒸発した水蒸気で満たされている状態である。
続いて、収納容器32内の生成物を採種し、透過型電子顕微鏡で観察した。この結果を、図3(A)に示す。この図より、平均粒子径(酸化チタンナノチューブの軸方向の長さ)が180.6ナノメートル、比表面積が156.62平方メートル/グラムの酸化チタンナノチューブが合成されていることが確認できた。
(実施例2)
テフロン製反応容器に入れた酸化チタン粉末と水酸化ナトリウム水溶液の重量比を1.5:10としたこと以外は、実施例1と同様の条件で酸化チタンナノチューブの合成を行い、透過型電子顕微鏡で生成物を観察した。この結果を、図3(b)に示す。この図より、平均粒子径(酸化チタンナノチューブの軸方向の長さ)が199.16ナノメートル、比表面積が152.83平方メートル/グラムの酸化チタンナノチューブが合成されていることが確認できた。
(実施例3)
テフロン製反応容器に入れた酸化チタン粉末と水酸化ナトリウム水溶液の重量比を1:5としたこと以外は、実施例1と同様の条件で酸化チタンナノチューブの合成を行い、透過型電子顕微鏡で生成物を観察した。この結果を、図3(c)に示す。この図より、平均粒子径(酸化チタンナノチューブの軸方向の長さ)が197.52ナノメートル、比表面積が98.687平方メートル/グラムの酸化チタンナノチューブが合成されていることが確認できた。
(実施例4)
テフロン製反応容器に酸化チタン粉末(堺化学工業製、品番:SA−120)と10Mの水酸化ナトリウム水溶液を1:10の重量比で入れ、既知のステンレス製のオートクレーブ内に収納容器32を静置し、収納容器32の内容積に対して30パーセントの容量の水を収納容器32内に入れ、収納容器32を密閉した。続いて、収納容器32を加熱オイルで加熱し、158℃で20時間この状態を保持した。このとき、収納容器32の上部は開放されているため、収納容器32内は、液面まで反応容器30内に入れた水が蒸発した水蒸気で満たされている状態であり、圧力は0.48メガパスカルであった。
続いて、収納容器32内の生成物を採種し、透過型電子顕微鏡で観察した。この結果を、図4(A)に示す。この図より、平均粒子径(酸化チタンナノチューブの軸方向の長さ)が50〜200ナノメートル、直径が10〜20ナノメートルの酸化チタンナノチューブが合成されていることが確認できた。
(実施例5)
加熱オイルで加熱する温度を129℃としたこと以外は、実施例4と同様の条件で酸化チタンナノチューブの合成を行い、透過型電子顕微鏡で生成物を観察した。この結果を図4(b)に示す。この図より、平均粒子径(酸化チタンナノチューブの軸方向の長さ)が500〜1000ナノメートル、直径が10〜20ナノメートルの酸化チタンナノチューブが合成されていることが確認できた。なお、加熱は密閉系で行っているため、温度を129℃としたことで、圧力は0.25メガパスカルとなっている。
(実施例6)
加熱オイルで加熱する温度を120℃としたこと以外は、実施例4と同様の条件で酸化チタンナノチューブの合成を行い、透過型電子顕微鏡で生成物を観察した。この結果を図4(b)に示す。この図より、平均粒子径(酸化チタンナノチューブの軸方向の長さ)が500〜1000ナノメートル、直径が10〜20ナノメートルの酸化チタンナノチューブが合成されていることが確認できた。なお、加熱は密閉系で行っているため、温度を129℃としたことで、圧力は0.17メガパスカルとなっている。
以上の結果より、いずれの条件でも酸化チタンナノチューブを合成することができることが確認できた。
本発明は、強アルカリ水溶液を用いた水熱反応によって生成できる、酸化チタンナノチューブなどの酸化物ナノ材料の大量合成を、初期設備投資をできるだけ低コストに抑えて実現することができる。
20…加熱加圧容器、30…反応容器、32…収納容器、34…水。

Claims (6)

  1. 少なくとも一部が開放され、表面がアルカリ耐性を有する収納容器を内部に収納する加熱加圧容器を用いて酸化チタンナノチューブを合成する合成方法であって、
    前記収納容器に酸化チタンと水酸化ナトリウム水溶液の混合液を入れる第一工程と、
    前記加熱加圧容器に水を入れる第二工程と、
    前記第一工程及び前記第二工程の後に、前記加熱加圧容器を密閉した状態で加熱加圧する第三工程と、
    を含むことを特徴とする、
    酸化チタンナノチューブの合成方法。
  2. 前記水の容量は、前記加熱加圧容器の内容量の30パーセント以上80パーセント以下の容量であることを特徴とする、
    請求項1に記載の酸化チタンナノチューブの合成方法。
  3. 前記第三工程における前記加熱加圧容器及び前記収納容器の内部の温度及び圧力は、前記水の飽和温度及び飽和蒸気圧であることを特徴とする、
    請求項1又は2に記載の酸化チタンナノチューブの合成方法。
  4. 前記第三工程における前記混合液の温度は、前記水の飽和蒸気圧条件における飽和温度以下であることを特徴とする、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の酸化チタンナノチューブの合成方法。
  5. 前記水酸化ナトリウム水溶液は、7mol/L以上の濃度であり、
    前記混合液のpHが13以上に保たれていることを特徴とする、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の酸化チタンナノチューブの合成方法。
  6. 前記第三工程における前記混合液への加圧は、0.2メガパスカル以上0.6メガパスカル以下の圧力であることを特徴とする、
    請求項1から5のいずれか1項に記載の酸化チタンナノチューブの合成方法。
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