次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
又、以下に示す第1〜第11の実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
[第1の実施の形態]
(素子構造)
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザの模式的鳥瞰構造は、図1に示すように表される。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、図1に示すように、定在波形成用フォトニック結晶層12と、定在波形成用フォトニック結晶層12内に配置され、定在波形成用フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるM点バンド端における光波を、定在波形成用フォトニック結晶層12の面内で回折させる共振器用格子点12Aと、定在波形成用フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるM点バンド端における光波を、定在波形成用フォトニック結晶層12の面垂直方向に回折させるカップラー用格子点12Cとを備える。
ここで、カップラー用格子点12Cは、定在波形成用フォトニック結晶層12内に配置されている。
また、第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、図1に示すように、基板24と、基板24上に配置された第1クラッド層10と、第1クラッド層10上に配置された第2クラッド層16と、第1クラッド層10と第2クラッド層16に挟まれた活性層14とを備える。ここで、第1クラッド層10はp型半導体層、第2クラッド層16はn型半導体層で形成されていても良く、あるいは導電性を反対にしても良い。
更に、第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、図1に示すように、第2クラッド層16上に配置されたコンタクト層18と、コンタクト層18上の面発光領域に配置され、レーザ光を取り出すためのウィンドウ層20と、ウィンドウ層20上に配置された窓状の上部電極22と、基板24の裏面に配置された下部電極26とを備える。
定在波形成用フォトニック結晶層12は、図1に示すように、第1クラッド層10と第2クラッド層16との間に、活性層14の面垂直方向に活性層14に隣接して配置されていても良い。ここで、活性層14は、例えば、多重量子井戸(MQW:Multi-Quantum Well)層で形成されていても良い。
更に、活性層14と定在波形成用フォトニック結晶層12との間には、図1に示すように、キャリアブロック層13を備え、MQW層からなる活性層14内にキャリアを有効に取り込みかつ活性層14から定在波形成用フォトニック結晶層12へのキャリアの流入をブロックしても良い。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザの材料系としては、例えば、以下のものを適用可能である。すなわち、例えば、波長1.3μm〜1.5μmでは、GaInAsP/InP系、波長900nmの赤外光では、InGaAs/GaAs系、波長800nm〜900の赤外光/近赤外光では、GaAlAs/GaAs系若しくはGaInNAs/GaAs系、波長1.3μm〜1.67μmでは、GaAlInAs/InP系、波長0.65μmでは、AlGaInP/GaAs系、青色光では、GaInN/GaN系などを適用可能である。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザに適用される2次元フォトニック結晶のバンド構造であって、規格化周波数[単位:c/a]と波数ベクトルの関係は、図2に示すように表される。
フォトニックバンド構造において、傾きが0となる部分をバンド端と呼ぶ。バンド端においては、光の群速度が0となり、定在波が形成されるため、フォトニック結晶が光の共振器として機能する。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、定在波形成用フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるM点バンド端(図2のQ領域近傍)における発振を利用している。
定在波形成用フォトニック結晶層12において、共振器用格子点12Aは、定在波形成用フォトニック結晶層12の面内での回折に適用される。一方、カップラー用格子点12Cは、定在波形成用フォトニック結晶層12の面垂直方向への回折に適用される。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12の面内共振モードの模式的説明図は、図3(a)に示すように表される。図3(a)には、2次元フォトニック結晶層12内の共振器用格子点12Aをキャビティーとする多重化された面内共振モードによって、2次元の大面積共振器が形成される様子が示されている。
比較例に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、Γ点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器用格子点12Aの模式的平面構成は、図4に示すように、正方格子に配置される。
Γ点バンド端(図2のP領域近傍)を用いる発振バンド端では、定在波形成用フォトニック結晶層12において、共振器用格子点12Aは共振器とカップラーの両方の機能を有するため、図3(a)の構成のまま、定在波形成用フォトニック結晶層12の面垂直方向へ面発光レーザ光hνLを取り出すことができる。
一方、M点発振バンド端、X点発振バンド端では、共振器の機能しかもたないため、カップラー機能をもったフォトニック結晶構造を重ねて導入することにより光を取り出すことが可能となる。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、フォトニックバンド構造のM点バンド端における発振を用いる。これらの発振では、フォトニック結晶の周期構造は、発振のための定在波形成の機能しか持っていないが、この周期構造と同一面内に、光を回折させるための周期構造(カップラー)を設けることにより、光を取り出すことができる。
しかも、第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、大面積で安定な単一モードで動作可能である。すなわち、第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、定在波形成用フォトニック結晶層12に形成された共振器用格子点12A・カップラー用格子点12Cからなる2次元周期構造によって電磁界分布が規定されているため、大面積でも単一モードを維持可能である。このため、例えば、W級の出力光をレンズを介して小さい1点に集光するなどの加工が容易である。
例えば、図1において、定在波形成用フォトニック結晶層12のサイズは、例えば、約700μm×約700μmである。
また、近視野像(NFP:Near Field Pattern)の例では、約100μm角程度の大面積発振から約数100μm角程度の超大面積発振も実現可能である。発振スペクトルは、例えば、波長約950nmの常温連続発振を半値全幅(FWHM:Full Width at Half Maximum)が約0.16nm程度で得られている。また、単一モードで、2.7Wの光出力を1kHz−50nsのパルス駆動で得られている。
図3(a)中には、カップラー用格子点12Cは、図示を省略しているが、フォトニック結晶層12に対して、垂直方向に面発光レーザ光hνLが出射される。
出射される面発光レーザ光hνLと共振器内レーザ光hνRは、図3(b)に示すように表される。フォトニック結晶層12面内の共振器内レーザ光hνRの4波の結合として、面発光レーザ光hνLが、フォトニック結晶層12に対して垂直方向に出射される。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、M点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cの模式的平面構成は、図5(a)に示すように、正方格子に配置される。また、図5(a)に対応する2次元フォトニック結晶のバンド構造であって、規格化周波数と波数ベクトルの関係は、図5(b)に示すように表される。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、図5(a)および図5(b)に示すように、定在波形成用フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるM点バンド端における光波を回折する共振器用格子点12Aは、正方格子に配置され、カップラー用格子点12Cは、正方格子の格子定数の2倍の格子定数を有する面心正方格子に配置され、かつカップラー用格子点12Cの対角線方向のピッチは、フォトニック結晶層12の媒質内波長λに等しい。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、M点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cの拡大された模式的平面構成(正方格子配置例)は、図6に示すように表され、図6のII−II線に沿う模式的断面構造は、図7(a)に示すように表され、図6のIII−III線に沿う模式的断面構造は、図7(b)に示すように表される。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、M点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cは、図7(a)および図7(b)に示すように空孔として形成可能である。
共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cは、例えば、光の周期程度のピッチで配置可能である。例えば、空孔が、空気で満たされるとすると、空気/半導体のピッチは、光通信帯で、約400nm程度の周期に配置可能であり、青色光では、約230nm程度の周期に配置可能である。
また、試作されている共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cの直径・深さは、例えば、約120nm・115nm程度であり、ピッチは、例えば、約286nm程度である。尚、これらの数値例は、基板10および活性層14を構成する材料系、2次元フォトニック結晶層12の材料系および媒質内波長などによって適宜変更可能である。
例えば、GaAs/AlGaAs系材料を適用した第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、2次元フォトニック結晶層12の媒質内波長λとしては、約200nm〜約300nm程度であり、出力光波長は、約900nm〜約915nm程度である。
尚、共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cは、例えば、空気孔として形成する代わりに、屈折率の異なる半導体層で充填しても良い。例えば、GaAs層に対してAlGaAs層を充填して形成しても良い。例えば、2次元フォトニック結晶層12を融着する製造工程において、共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cの空孔形状が変形する場合には、屈折率の異なる半導体層で充填することがこのような変形を回避する上で有効である。
図5のI−I線に沿う第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザの模式的断面構造は、図8に示すように表される。
すなわち、第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、基板(24:図1)と、基板(24)上に配置された第1クラッド層10と、第1クラッド層10上に配置された第2クラッド層16と、第1クラッド層10と第2クラッド層16に挟まれた活性層14とを備え、定在波形成用フォトニック結晶層12は、第1クラッド層10と活性層14との間に、活性層14の面垂直方向に隣接して配置されていても良い。また、図8に示すように、定在波形成用フォトニック結晶層12と活性層14との間には、キャリアブロック層13を備えている。
(変形例1)
図5のI−I線に沿う第1の実施の形態の変形例1に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザの模式的断面構造は、図9(a)に示すように表される。
すなわち、第1の実施の形態の変形例1に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、図9(a)に示すように、定在波形成用フォトニック結晶層12は、第2クラッド層16と活性層14との間に、活性層14の面垂直方向に隣接して配置されていても良い。また、図10(a)では図示を省略しているが、定在波形成用フォトニック結晶層12と活性層14との間には、図8と同様に、キャリアブロック層13を配置しても良い。
(変形例2)
図5のI−I線に沿う第1の実施の形態の変形例2に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザの模式的断面構造は、図9(b)に示すように表される。
すなわち、第1の実施の形態の変形例2に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、図9(b)に示すように、定在波形成用フォトニック結晶層121と積層化される光出射用フォトニック結晶層122を更に備え、カップラー用格子点12Cは、光出射用フォトニック結晶層122内に配置されていても良い。
第1の実施の形態の変形例2に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、図9(b)に示すように、基板(24:図1)と、基板(24)上に配置された第1クラッド層10と、第1クラッド層10上に配置された第2クラッド層16と、第1クラッド層10と第2クラッド層16に挟まれた活性層14とを備え、定在波形成用フォトニック結晶層121および光出射用フォトニック結晶層122は、第1クラッド層10と第2クラッド層16との間に、活性層14の面垂直方向に、活性層14を挟んで配置される。
また、図9(b)では図示を省略しているが、定在波形成用フォトニック結晶層121と活性層14との間および光出射用フォトニック結晶層122と活性層14との間には、図8と同様に、キャリアブロック層13をそれぞれ配置しても良い。
また、図9(b)において、定在波形成用フォトニック結晶層121および光出射用フォトニック結晶層122の積層順序を逆にして、活性層14と第2クラッド層16との間に光出射用フォトニック結晶層122を配置し、活性層14と第1クラッド層10との間に定在波形成用フォトニック結晶層121を配置してもよい。カップラー用格子点12Cが配置される光出射用フォトニック結晶層122を光の取り出し方向に近い位置に配置可能であるため、光の取り出し効率も増大可能である。
(変形例3)
図5のI−I線に沿う第1の実施の形態の変形例3に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザの模式的断面構造は、図10(a)に示すように表される。
すなわち、第1の実施の形態の変形例3に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、定在波形成用フォトニック結晶層121および光出射用フォトニック結晶層122は、第2クラッド層16と活性層14との間に、活性層14の面垂直方向に隣接して配置されていても良い。また、図10(a)では図示を省略しているが、光出射用フォトニック結晶層122と活性層14との間には、図8と同様に、キャリアブロック層13を配置しても良い。
また、図10(a)において、定在波形成用フォトニック結晶層121および光出射用フォトニック結晶層122の積層順序を逆にして、活性層14上に定在波形成用フォトニック結晶層121を配置し、定在波形成用フォトニック結晶層121上に光出射用フォトニック結晶層122を配置してもよい。活性層14に近い位置に定在波形成用フォトニック結晶層121を配置した方が、定在波形成作用をより効果的に実施することができる。また、カップラー用格子点12Cが配置される光出射用フォトニック結晶層122を光の取り出し方向に近い位置に配置可能であるため、光の取り出し効率も増大可能である。
(変形例4)
図5のI−I線に沿う第1の実施の形態の変形例4に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザの模式的断面構造は、図10(b)に示すように表される。
すなわち、第1の実施の形態の変形例4に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、定在波形成用フォトニック結晶層121および光出射用フォトニック結晶層122は、第1クラッド層10と活性層14との間に、活性層14の面垂直方向に隣接して配置されていても良い。また、図10(b)では図示を省略しているが、定在波形成用フォトニック結晶層121と活性層14との間には、図8と同様に、キャリアブロック層13を配置しても良い。
また、図10(a)において、定在波形成用フォトニック結晶層121および光出射用フォトニック結晶層122の積層順序を逆にして、活性層14に近接して光出射用フォトニック結晶層122を配置してもよい。カップラー用格子点12Cが配置される光出射用フォトニック結晶層122を光の取り出し方向に近い位置に配置可能であるため、光の取り出し効率も増大可能である。
(ビーム拡がり角度の制御:共振器領域RPとカップラー領域CP)
共振器領域RPとは、定在波形成用フォトニック結晶層12・121において共振器用格子点12Aが配置される領域であり、カップラー領域CPとは、定在波形成用フォトニック結晶層12若しくは、光出射用フォトニック結晶層122においてカップラー用格子点12Cが配置される領域である。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、カップラー領域CPの幅A、ビーム拡がり角度、およびビーム拡がり領域の関係は、模式的に図11(a)、図11(b)および図11(c)に示すように表される。すなわち、カップラー領域CP1の幅A1、ビーム拡がり角度θ1、およびビーム拡がり領域301の例は図11(a)に示すように表され、カップラー領域CP2の幅A2、ビーム拡がり角度θ2、およびビーム拡がり領域302の例は図11(b)に示すように表され、カップラー領域CP3の幅A3、ビーム拡がり角度θ3、およびビーム拡がり領域303の例は図11(c)に示すように表される。ここで、カップラー領域の幅の大小関係は、A1<A2<A3であり、カップラー領域CP1の大きさは相対的に小さく、カップラー領域CP3の大きさは相対的に大きい。また、ビーム拡がり領域301・302・303を規定するビーム拡がり角度の大小関係は、θ1>θ2>θ3が成立している。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、図11(a)・図11(b)・図11(c)に対応する共振器領域RPの大小関係は、図12(a)に示すように表され、ビーム拡がり角度の大小関係は、図12(b)に示すように表される。すなわち、共振器領域RPの大きさが大きい程、ビーム拡がり角度θ0は小さくなる。
比較例に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、Γ点発振に適用される2次元フォトニック結晶層の共振器領域RPの大きさの関係を示す図であって、RP1の例は図13(a)に示すように表され、RP2の例は図13(b)に示すように表され、RP3の例は図13(c)に示すように表される。
一方、第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、M点発振に適用される2次元フォトニック結晶層の共振器領域RPおよびカップラー領域CP大きさの関係を示す図であって、RP1、CP1の例は図14(a)に示すように表され、RP2、CP2の例は図14(b)に示すように表され、RP3、CP3の例は図14(c)に示すように表される。
2次元フォトニック結晶面発光レーザの発振には、ある一定以上の共振器の領域が必要である。そのため比較例に係るΓ点発振の場合、ビーム拡がり角度θを大きくしようとすると、発振に必要な共振器領域RPAが確保できない。すなわち、比較例に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、Γ点発振を利用するため、共振器領域RPのサイズがそのままカップラー領域CPのサイズに等しいため、ビーム拡がり角度θを大きくしようとして、共振器領域RPのサイズを縮小化すると、図12(a)に示すように、共振器領域RPの大小関係において、RP<RPAの範囲では、発振に必要な共振器領域RPAが確保できないため、発振することができなくなる。
(カップラーと共振器の配置関係)
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、M点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器領域RPおよびカップラー領域CP内における共振器用格子点12A・カップラー用格子点12Cの配置例は、図15に示すように表される。
また、第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、光出射用フォトニック結晶層122にカップラー用格子点12Cを配置した例は、図16(a)に示すように表され、定在波形成用フォトニック結晶層121に共振器用格子点12Aを配置した例は、図16(b)に示すように表される。また、同一のフォトニック結晶層12に共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cを配置した例は、図16(c)に示すように表され、同一のフォトニック結晶層12に共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cを配置した別の例は、図16(d)に示すように表され、同一のフォトニック結晶層12に共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cを配置した更に別の例は、図16(e)に示すように表される。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、カップラー用格子点12Cと共振器用格子点12Aの配置関係は、図16(c)〜図16(e)に示すように自由に設定可能である。なお、カップラー用格子点12Cと共振器用格子点12Aの配置関係によっては、LD特性(出力、閾値など)が変化する。
(カップラー配置によるビーム形状制御)
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、M点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器領域RPとカップラー領域CPの大きさがほぼ等しい場合のNFPは、図17(a)に示すように表され、カップラー領域CPからのビーム拡がり領域30は、図17(b)に示すように表され、図17(a)に対応する共振器領域RPおよびカップラー領域CP内の共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cを配置例は、図17(c)に示すように表される。
また、第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、M点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器領域RPとカップラー領域CPの大きさが異なる場合のNFPは、図18(a)に示すように表され、カップラー領域CPからのビーム拡がり領域30は、図18(b)に示すように表され、図18(a)に対応する共振器領域RPおよびカップラー領域CP内の共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cを配置例は、図18(c)に示すように表される。
すなわち、第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、共振器とカップラーを別々に設計が可能であり、カップラーの配列のみを変更することで、安定な発振を維持しつつ、面発光レーザ光のビーム形状を様々に変更可能である。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、共振器用格子点12Aの配置される共振器領域RPの大きさを維持したまま、カップラー用格子点12Cの配置されるカップラー領域CPを変化させることにより、安定した発振を維持しつつレーザビームの発光面の大きさおよび形状を調整することができる。
(その他様々なビームの生成の例)
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、M点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器領域RP内に相対的に大きな円形のカップラー領域CPを有する場合のNFPは、図19(a)に示すように表され、図19(a)に対応するFFPは、図19(b)に示すように表される。
また、共振器領域RP内に相対的に小さな円形のカップラー領域CPを有する場合のNFPは、図20(a)に示すように表され、図20(a)に対応するFFPは、図20(b)に示すように表される。
また、共振器領域RP内に相対的に微小な円形のカップラー領域CPを有する場合のNFPは、図21(a)に示すように表され、図21(a)に対応するFFPは、図21(b)に示すように表される。
また、共振器領域RP内に相対的に大きな長円形のカップラー領域CPを有する場合のNFPは、図22(a)に示すように表され、図22(a)に対応するFFPは、図22(b)に示すように表される。
また、共振器領域RP内に相対的に小さな円形のカップラー領域CPを複数配置した場合のNFPは、図23(a)に示すように表され、図23(a)に対応するFFPは、図23(b)に示すように表される。
また、共振器領域RP内に互いに直交する2個の長円形のカップラー領域CPを有する場合のNFPは、図24(a)に示すように表され、図24(a)に対応するFFPは、図24(b)に示すように表される。
また、共振器領域RP内に互いに60度で交差する3個の長円形のカップラー領域CPを有する場合のNFPは、図25(a)に示すように表され、図25(a)に対応するFFPは、図25(b)に示すように表される。
また、共振器領域RP内に互いに120度で交差する2個の長円形のカップラー領域CPを有する場合のNFPは、図26(a)に示すように表され、図26(a)に対応するFFPは、図26(b)に示すように表される。
また、共振器領域RP内に互いに72度で交差する5個の長円形のカップラー領域CPを有する場合のNFPは、図27(a)に示すように表され、図27(a)に対応するFFPは、図27(b)に示すように表される。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、図19〜図27に示すように、フォトニックバンド構造におけるM点バンド端における発振において、発振領域の大きさを維持したまま、カップラー領域CPの大きさを相対的に変化させることにより、レーザビームの発光面の大きさや形状を調整可能である。NFPのサイズ例としては、数10μm角、数100μm角、1mm角とさまざまなサイズの形成可能であり、対応するFFPについても同様である。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、レーザビームの発光面の大きさや形状により、レーザビームのビーム拡がり角度θや形状が決定されるため、レーザビームのビーム拡がり角度および形状の制御が可能となる。光増幅のための周期構造を維持してさえいれば、このカップラー領域CPの大きさや形状を変化させても発振は可能である。
レーザビームのビーム拡がり角度θや形状は、発光面の大きさや形状によって決定されるため、例えば、レーザビームのビーム拡がり角度θを大きくしたい場合には、光増幅の共振器領域RPの大きさはそのままで、カップラー領域CPの大きさを相対的に小さくすれば良い。また、レーザビームの形状を長方形にしたい場合には、カップラー領域CPも長方形にすれば良い。
特に、第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、レーザビームのビーム拡がり角度θおよび形状の制御が可能であることから、図19〜図27に示すような各種形状は、レンズフリーのマーカーなどに利用することができる。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザを用いることにより、レーザビームの拡がり角度や形状を変化させることが可能となるため、アプリケーションの幅を広げることができる。例えば、レーザビームプリンタ用光源、距離センサ用光源、オートフォーカス用光源、次世代光ディスクのピックアップ用光源、レーザポインタ、レーザスキャンディスプレイ、バーコードスキャナ、携帯機器内蔵スキャンディスプレイ、カプセル内蔵レーザメス、その他DVD、BD、チップ間通信機器など幅広い応用分野に適用可能である。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、M点発振に必要な共振器の共振器領域RPのサイズはそのままで、カップラー領域CPのサイズを相対的に小さくすることによりビーム拡がり角度θを大きくすることができる。
第1の実施の形態によれば、カップラー配置によるレーザビームのビーム拡がり角度および形状の制御が可能な2次元フォトニック結晶面発光レーザを提供することができる。
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、フォトニックバンド構造のX点のバンド端における発振を用いる。これらの発振では、フォトニック結晶の周期構造は、発振のための光増幅の機能しか持っていないが、この周期構造と同一面内に、光を回折させるための周期構造(カップラー)を設けることにより、光を取り出すことができる。
第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cの模式的平面構成は、図28(a)に示すように、正方格子に配置される。また、図28(a)に対応する2次元フォトニック結晶のバンド構造であって、規格化周波数c/aと波数ベクトルの関係は、図28(b)に示すように表される。
第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、正方格子(X点発振)の実施例に対応しており、定在波形成用フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端(図28(b)のR領域近傍)における発振を利用している。
第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、図28(a)に示すように、定在波形成用フォトニック結晶層12と、定在波形成用フォトニック結晶層12内に配置され、定在波形成用フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端における光波を、定在波形成用フォトニック結晶層12の面内で回折させる共振器用格子点12Aと、定在波形成用フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端における光波を、定在波形成用フォトニック結晶層12の面垂直方向に回折させるカップラー用格子点12Cとを備える。
第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、共振器用格子点12Aは、図28(a)に示すように、第1正方格子に配置され、カップラー用格子点12Cは、第1正方格子の格子定数の2倍の格子定数を有する第2正方格子に配置され、かつカップラー用格子点12Cの格子定数は、フォトニック結晶層の媒質内波長λに等しい。
その他の構成は、第1の実施の形態およびその変形例1〜4と同様である。
第2の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、X点発振に必要な共振器の共振器領域RPのサイズはそのままで、カップラー領域CPのサイズを相対的に小さくすることによりビーム拡がり角度θを大きくすることができる。
第2の実施の形態によれば、安定した発振を維持しつつ、カップラー配置によるレーザビームのビーム拡がり角度および形状の制御が可能な2次元フォトニック結晶面発光レーザを提供することができる。
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、フォトニックバンド構造のX点のバンド端における発振を用いる。これらの発振では、フォトニック結晶の周期構造は、発振のための光増幅の機能しか持っていないが、この周期構造と同一面内に、光を回折させるための周期構造(カップラー)を設けることにより、光を取り出すことができる。
第3の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cの模式的平面構成は、図29(a)に示すように、三角格子に配置される。また、図29(a)に対応する2次元フォトニック結晶のバンド構造であって、規格化周波数c/aと波数ベクトルの関係は、図29(b)に示すように表される。
第3の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、三角格子(X点発振)の実施例に対応しており、定在波形成用フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端(図29(b)のR領域近傍)における発振を利用している。
第3の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、図29(a)に示すように、定在波形成用フォトニック結晶層12と、定在波形成用フォトニック結晶層12内に配置され、定在波形成用フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端における光波を、定在波形成用フォトニック結晶層12の面内で回折させる共振器用格子点12Aと、定在波形成用フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端における光波を、定在波形成用フォトニック結晶層12の面垂直方向に回折させるカップラー用格子点12Cとを備える。
第3の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、共振器用格子点12Aは、図29(a)に示すように、第1三角格子に配置され、カップラー用格子点12Cは、第1三角格子のピッチの2倍のピッチの第2三角格子に配置され、かつ第2三角格子の平面視の高さは、フォトニック結晶層12の媒質内波長λに等しい。
その他の構成は、第1の実施の形態およびその変形例1〜4と同様である。
第3の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、X点発振に必要な共振器の共振器領域RPのサイズはそのままで、カップラー領域CPのサイズを相対的に小さくすることによりビーム拡がり角度θを大きくすることができる。
第3の実施の形態によれば、安定した発振を維持しつつ、カップラー配置によるレーザビームのビーム拡がり角度および形状の制御が可能な2次元フォトニック結晶面発光レーザを提供することができる。
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、フォトニックバンド構造のJ点のバンド端における発振を用いる。これらの発振では、フォトニック結晶の周期構造は、発振のための光増幅の機能しか持っていないが、この周期構造と同一面内に、光を回折させるための周期構造(カップラー)を設けることにより、光を取り出すことができる。
第4の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、J点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cの模式的平面構成は、図30(a)に示すように、三角格子に配置される。また、図30(a)に対応する2次元フォトニック結晶のバンド構造であって、規格化周波数c/aと波数ベクトルの関係は、図30(b)に示すように表される。
第4の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、三角格子(J点発振)の実施例に対応しており、定在波形成用フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるJ点バンド端(図30(b)のS領域近傍)における発振を利用している。
第4の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、図30(a)および図30(b)に示すように、定在波形成用フォトニック結晶層12と、定在波形成用フォトニック結晶層12内に配置され、定在波形成用フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるJ点バンド端における光波を、定在波形成用フォトニック結晶層12の面内で回折させる共振器用格子点12Aと、定在波形成用フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるJ点バンド端における光波を、定在波形成用フォトニック結晶層12の面垂直方向に回折させるカップラー用格子点12Cとを備える。
第4の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、共振器用格子点12Aは、図30(a)に示すように、第1三角格子に配置され、カップラー用格子点12Cは、第1三角格子のピッチの3倍のピッチの面心三角格子に配置され、かつ面心三角格子の一辺は、フォトニック結晶層12の媒質内波長λの2倍に等しい。
その他の構成は、第1の実施の形態およびその変形例1〜4と同様である。
第4の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、J点発振に必要な共振器の共振器領域RPのサイズはそのままで、カップラー領域CPのサイズを相対的に小さくすることによりビーム拡がり角度θを大きくすることができる。
第4の実施の形態によれば、安定した発振を維持しつつ、カップラー配置によるレーザビームのビーム拡がり角度および形状の制御が可能な2次元フォトニック結晶面発光レーザを提供することができる。
[第5の実施の形態]
第5の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層の共振器用格子点およびカップラー用格子点の模式的平面構成は、図31(a)に示すように、長方格子に配置される。また、図31(a)に対応する2次元フォトニック結晶のバンド構造であって、規格化周波数c/aと波数ベクトルの関係は、図31(b)に示すよう表される。
第5の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、長方格子(X点発振)の実施例に対応しており、定在波形成用フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端(図31(b)のR領域近傍)における発振を利用している。
第5の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、図31(a)および図31(b)に示すように、定在波形成用フォトニック結晶層12と、定在波形成用フォトニック結晶層12内に配置され、定在波形成用フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端における光波を、定在波形成用フォトニック結晶層12の面内で回折させる共振器用格子点12Aと、定在波形成用フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端における光波を、定在波形成用フォトニック結晶層12の面垂直方向に回折させるカップラー用格子点12Cとを備える。
第5の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、共振器用格子点12Aは、図31(a)に示すように、格子定数a1およびa2を有する第1の長方格子に配置され、カップラー用格子点12Cは、第1の長方格子とは別の第2の長方格子に配置される。ここで、第2の長方格子の格子定数は、第1の長方格子の格子定数a1およびa2により定義されるアスペクト比r=a1/a2(r≠1)に対して、媒質内波長λのr倍および媒質内波長λに等しい。
その他の構成は、第1の実施の形態およびその変形例1〜4と同様である。
第5の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、X点発振に必要な共振器の共振器領域RPのサイズはそのままで、カップラー領域CPのサイズを相対的に小さくすることによりビーム拡がり角度θ0を大きくすることができる。
第5の実施の形態によれば、安定した発振を維持しつつ、カップラー配置によるレーザビームのビーム拡がり角度および形状の制御が可能な2次元フォトニック結晶面発光レーザを提供することができる。
[第6の実施の形態]
第6の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cの模式的平面構成は、図32(a)に示すように、菱形格子に配置される。また、図32(a)に対応する2次元フォトニック結晶のバンド構造であって、規格化周波数c/aと波数ベクトルの関係は、図32(b)に示すように表される。
第6の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、菱形格子(X点発振)の実施例に対応しており、定在波形成用フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端(図32(b)のR領域近傍)における発振を利用している。
第6の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、図32(a)および図32(b)に示すように、定在波形成用フォトニック結晶層12と、定在波形成用フォトニック結晶層12内に配置され、定在波形成用フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端における光波を、定在波形成用フォトニック結晶層12の面内で回折させる共振器用格子点12Aと、定在波形成用フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端における光波を、定在波形成用フォトニック結晶層12の面垂直方向に回折させるカップラー用格子点12Cとを備える。
第6の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、共振器用格子点12Aは、図32(a)に示すように、格子定数a1およびa2を有する面心長方格子に配置され、カップラー用格子点12Cは、長方格子に配置される。ここで、長方格子の格子定数は、面心長方格子の格子定数a1およびa2により定義されるアスペクト比r=a1/a2(r≠1)に対して、媒質内波長λのr倍および媒質内波長λに等しい。
その他の構成は、第1の実施の形態およびその変形例1〜4と同様である。
第6の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、X点発振に必要な共振器の共振器領域RPのサイズはそのままで、カップラー領域CPのサイズを相対的に小さくすることによりビーム拡がり角度θ0を大きくすることができる。
第6の実施の形態によれば、安定した発振を維持しつつ、ビーム拡がり角度および形状の制御が可能な2次元フォトニック結晶面発光レーザを提供することができる。
(共振器用格子点12Aの直径Drとカップラー用格子点12Cの直径Dcの関係)
共振器用格子点12Aの直径Drとカップラー用格子点12Cの直径Dcが異なる場合の配置例であって、Dc<=Drで同一点に配置された例は、図33(a)に示すように表され、Dc>Drで同一点に配置された例は、図33(b)に示すように表される。
共振器用格子点12Aの直径Drとカップラー用格子点12Cの直径Dcの関係はどのような場合でも発振は可能である。ただし、図33(a)に示すように、Dc<=Drの場合でカップラー用格子点12Cの孔と共振器用格子点12Aの孔が完全に重なる場合は、レーザ内部で共振は起こっているが光を取り出せないためにレーザダイオードとして機能しない。
また、共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cは、図33(b)に示すように、円形形状を備え、カップラー用格子点12Cの直径Dcは、共振器用格子点12Aの直径Drよりも大きく形成されていても良い。
一方、カップラー用格子点12Cと共振器用格子点12Aを、それぞれ別の2次元フォトニック結晶層に形成する場合は上記制限はない。
第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cは任意の形状を備え、カップラー用格子点12Cは、共振器用格子点12Aよりも大きく形成されていても良い。
図33(a)および図33(b)は、M点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の例であって、第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザに対応しているが、共振器用格子点12Aの直径Drとカップラー用格子点12Cの直径Dcの関係は、他の第2〜第6の実施の形態においても同様の関係が成立する。
(格子点(孔)の形状)
共振器用格子点12Aの形状とカップラー用格子点12Cの形状が異なる場合の配置例であって、共振器用格子点12Aの形状が円形、カップラー用格子点12Cが三角形の例は、図34(a)に示すように表され、共振器用格子点12Aの形状が菱形、カップラー用格子点12Cが楕円形の例は、図34(b)に示すように表される。
共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cは、多角形、円形、楕円形若しくは長円形のいずれかの形状を備えていても良い。ここで、多角形には、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形などが含まれる。
また、以下のようにカップラー用格子点12Cと共振器用格子点12Aで格子点の形状は異なっていても良い。また、格子点の形状の向きが傾いていても良い。格子点の形状の向きが傾いている場合には、レーザビームが、例えば、ビーム形状が変化するなど、レーザ特性に影響を与える。
図34(a)および図34(b)は、M点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の例であって、第1の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザに対応しているが、共振器用格子点12Aとカップラー用格子点12Cの(孔)の形状の関係は、他の第2〜第6の実施の形態においても同様の関係が成立する。
以上説明したように、本発明によれば、カップラー配置によるレーザビームのビーム拡がり角度および形状の制御が可能な2次元フォトニック結晶面発光レーザを提供することができる。
[第7の実施の形態]
(素子構造)
第7の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザの模式的鳥瞰構造は、図35に示すように表される。
第7の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、図35に示すように、定在波形成用フォトニック結晶層12と、定在波形成用フォトニック結晶層12内に配置され、定在波形成用フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるΓ点バンド端における光波を、定在波形成用フォトニック結晶層12の面内で回折させると共に面垂直方向に回折させる長方格子の共振器用格子点12Aを備える。ここで、長方格子の格子定数をa1およびa2とすると、長方格子の一辺a1が媒質内波長に等しい。
また、格子定数a1およびa2により定義されるアスペクト比r=a1/a2は、0.5<r<1.5(r≠1)に設定されていても良い。
また、第7の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、図35に示すように、基板24と、基板24上に配置された第1クラッド層10と、第1クラッド層10上に配置された第2クラッド層16と、第1クラッド層10と第2クラッド層16に挟まれた活性層14とを備える。ここで、第1クラッド層10はp型半導体層、第2クラッド層16はn型半導体層で形成されていても良く、あるいは導電性を反対にしても良い。
更に、第7の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、図35に示すように、第2クラッド層16上に配置されたコンタクト層18と、コンタクト層18上の面発光領域に配置され、レーザ光を取り出すためのウィンドウ層20と、ウィンドウ層20上に配置された窓状の上部電極22と、基板24の裏面に配置された下部電極26とを備える。
定在波形成用フォトニック結晶層12は、図35に示すように、第1クラッド層10と第2クラッド層16との間に、活性層14の面垂直方向に活性層14に隣接して配置されていても良い。ここで、活性層14は、例えば、多重量子井戸(MQW)層で形成されていても良い。
更に、活性層14と定在波形成用フォトニック結晶層12との間には、図35に示すように、キャリアブロック層13を備え、MQW層からなる活性層14内にキャリアを有効に取り込みかつ活性層14から定在波形成用フォトニック結晶層12へのキャリアの流入をブロックしても良い。
第7の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザの材料系としては、例えば、以下のものを適用可能である。すなわち、例えば、波長1.3μm〜1.5μmでは、GaInAsP/InP系、波長900nmの赤外光では、InGaAs/GaAs系、波長800nm〜900の赤外光/近赤外光では、GaAlAs/GaAs系若しくはGaInNAs/GaAs系、波長1.3μm〜1.67μmでは、GaAlInAs/InP系、波長0.65μmでは、AlGaInP/GaAs系、青色光では、GaInN/GaN系などを適用可能である。
第7の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザから出射される縦長ビーム構造のファーフィールドパターン(FFP)例は、図36に示すように表される。
第7の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、ラインビーム出射するビーム拡がり角度θ0を制御可能なフォトニック結晶の格子構造として、一辺が媒質内波長に等しい長方格子(a1=λ)を導入した。長方格子を導入することにより、2次元的な発振を維持したまま、ビーム拡がり角度θ0を大きくすることが可能となった。ビーム拡がり角度θ0を制御できれば、アプリケーションの範囲が広がり、ビームスキャニングレーザとしての価値の向上につながる。
第7の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザに適用される2次元フォトニック結晶のバンド構造であって、規格化周波数(単位:c/a)と波数の関係は、図2と同様に表される。
フォトニックバンド構造において、傾きが0となる部分をバンド端と呼ぶ。バンド端においては、光の群速度が0となり、定在波が形成されるため、フォトニック結晶が光の共振器として機能する。
第7の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、定在波形成用フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるΓ点バンド端(図2のP領域近傍)における発振を利用している。
定在波形成用フォトニック結晶層12において、Γ点バンド端発振では、共振器用格子点12Aは、定在波形成用フォトニック結晶層12の面内での回折に適用されると共に面垂直方向への回折に適用される。
第7の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12のΓ点発振における面内共振モードの模式的説明図は、図37(a)に示すように表される。図37(a)には、2次元フォトニック結晶層12内の共振器用格子点12Aをキャビティーとする多重化された面内共振モードによって、2次元の大面積共振器が形成される様子が示されている。
Γ点バンド端(図3のP領域近傍)を用いる発振バンド端では、定在波形成用フォトニック結晶層12において、共振器用格子点12Aは共振器とカップラーの両方の機能を有するため、図37(a)の構成のまま、定在波形成用フォトニック結晶層12の面垂直方向へ面発光レーザ光hνLを取り出すことができる。
しかも、第7の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、大面積で安定な単一モードで動作可能である。すなわち、第7の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、定在波形成用フォトニック結晶層12に形成された共振器用格子点12Aからなる2次元周期構造によって電磁界分布が規定されているため、大面積でも単一モードを維持可能である。このため、例えば、W級の出力光をレンズを介して小さい1点に集光するなどの加工が容易である。
例えば、図35において、定在波形成用フォトニック結晶層12のサイズは、例えば、約700μm×約700μmである。
出射される面発光レーザ光hνLと共振器内レーザ光hνRは、図37(b)に示すように表される。フォトニック結晶層12面内の共振器内レーザ光hνRの複数の波が結合して共振し、面発光レーザ光hνLが、フォトニック結晶層12に対して垂直方向に出射される。
第7の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、Γ点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器用格子点12Aは、図38に示すように、格子定数をa1およびa2とする長方格子に配置される。ここで、長方格子の一辺a1が媒質内波長λに等しい。
また、図38のIV−IV線に沿う模式的断面構造は、図39(a)に示すように表され、図38のV−V線に沿う模式的断面構造は、図39(b)に示すように表される。
第7の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、Γ点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器用格子点12Aは、図39(a)および図39(b)に示すように空孔として形成可能である。
また、試作されている共振器用格子点12Aの直径・深さは、例えば、約120nm・115nm程度であり、ピッチは、例えば、約280nm程度である。尚、これらの数値例は、基板10および活性層14を構成する材料系、2次元フォトニック結晶層12の材料系および媒質内波長などによって適宜変更可能である。
例えば、GaAs/AlGaAs系材料を適用した第7の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、2次元フォトニック結晶層12の媒質内波長λとしては、約200nm〜約300nm程度であり、出力光波長は、約900nm〜約915nm程度である。
尚、共振器用格子点12Aは、例えば、空気孔として形成する代わりに、屈折率の異なる半導体層で充填しても良い。例えば、GaAs層に対してAlGaAs層を充填して形成しても良い。
例えば、2次元フォトニック結晶層12を融着する製造工程において、共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cの空孔形状が変形する場合には、屈折率の異なる半導体層で充填することがこのような変形を回避する上で有効である。
第7の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、長方格子Γ点発振におけるアスペクト比r=1.015の場合のバンド構造であって、規格化周波数(c/a)と波数との関係は、図40に示すように表される。
また、長方格子Γ点発振におけるアスペクト比r=1.03の場合のバンド構造は、図41に示すように表され、長方格子Γ点発振におけるアスペクト比r=1.045の場合のバンド構造は、図42に示すように表される。
第7の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、図40〜図42中の矢印に示すように、長方格子のΓ点発振では、波数kの拡がりを持ち、アスペクト比r(=a1/a2)(r≠1)の値により、波数kの拡がりを制御することができる。すなわち、波数kは、放射角度に対応するため、ビーム拡がり角度θ0を制御することができる。
第7の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、長方格子の共振器用格子点12Aの実空間は、図43に示すように表され、長方格子の波数空間は、図44に示すように表される。
図43において、格子定数a1は、2次元フォトニック結晶層12の媒質内波長λに等しく、アスペクト比rは、a1/a2(r≠1)である。また、図44において、b1=2π/a1、b2=2π/a2であり、kfは、基本波の波数ベクトルを表す。
第7の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12の長方格子の共振器用格子点12AをΓ点発振させるためには、活性層14のゲインピークに、その共振モードの波長が重なる必要がある。すなわち、Γ点では、基本波の波数kfが、活性層ゲインの媒質内での中心波長(λPC)となることから、次式の関係が得られる。
kf=|b1|=|(2π/a1,0)|=2π/a1=2π/λPC (1)
従って、格子定数aと中心波長λPCの関係は、
a1=λPC=λair/neff (2)
で与えられる。第7の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、活性層の中心波長は、空気中でλair=940nm、有効屈折率neff=3.4である。
(実験結果)
第7の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、長方格子Γ点発振におけるアスペクト比r=1.015の場合のFFPの測定実験結果は、図45に示すように表され、長方格子Γ点発振におけるアスペクト比r=1.03の場合のFFPの測定実験結果は、図46に示すように表され、長方格子Γ点発振におけるアスペクト比r=1.045の場合のFFPの測定実験結果は、図47に示すように表される。
第7の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、図45〜図47中の矢印に示すように、ビーム拡がり角度θ0は、それぞれ8°、15°、21°が得られている。
第7の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、図45〜図47に示すように、アスペクト比r(=a1/a2)(r≠1)の値により、長方格子のΓ点発振のビーム拡がり角度θ0を制御可能である。特に、長方格子のアスペクト比r(=a1/a2)(r≠1)の値により、縦ビーム拡がり角度を制御可能である。
図38のIV−IV線に沿う第7の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザの模式的断面構造は、図48(a)に示すように表され、図38のV−V線に沿う第7の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザの模式的断面構造は、図48(b)に示すように表される。
すなわち、第7の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、図48(a)および図48(b)に示すように、基板(24:図1)と、基板(24)上に配置された第1クラッド層10と、第1クラッド層10上に配置された第2クラッド層16と、第1クラッド層10と第2クラッド層16に挟まれた活性層14とを備え、定在波形成用フォトニック結晶層12は、第1クラッド層10と活性層14との間に、活性層14の面垂直方向に隣接して配置されていても良い。また、図48(a)および図48(b)に示すように、定在波形成用フォトニック結晶層12と活性層14との間には、キャリアブロック層13を備えていても良い。
(変形例)
図38のIV−IV線に沿う第7の実施の形態の変形例に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザの模式的断面構造は、図49(a)に示すように表され、図38のV−V線に沿う模式的断面構造は、図49(b)に示すように表される。
すなわち、第7の実施の形態の変形例に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、定在波形成用フォトニック結晶層12は、図49(a)および図49(b)に示すように、第2クラッド層16と活性層14との間に、活性層14の面垂直方向に隣接して配置されていても良い。
第7の実施の形態およびその変形例によれば、ラインビーム出射する2次元フォトニック結晶面発光レーザを提供することができる。
第7の実施の形態およびその変形例によれば、長方格子のアスペクト比により、Γ点発振のビーム拡がり角度が制御可能な2次元フォトニック結晶面発光レーザを提供することができる。
[第8の実施の形態]
第8の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、図35と同様に、基板24と、基板24上に配置された第1クラッド層10と、第1クラッド層10上に配置された第2クラッド層16と、第1クラッド層10と第2クラッド層16に挟まれた活性層14とを備える。
更に、第8の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、図35と同様に、第2クラッド層16上に配置されたコンタクト層18と、コンタクト層18上の面発光領域に配置され、レーザ光を取り出すためのウィンドウ層20と、ウィンドウ層20上に配置された窓状の上部電極22と、基板24の裏面に配置された下部電極26とを備える。
定在波形成用フォトニック結晶層12は、図35と同様に、第1クラッド層10と第2クラッド層16との間に、活性層14の面垂直方向に活性層14に隣接して配置されていても良い。ここで、活性層14は、例えば、MQW層で形成されていても良い。
更に、活性層14と定在波形成用フォトニック結晶層12との間には、図35と同様に、キャリアブロック層13を備え、MQW層からなる活性層14内にキャリアを有効に取り込みかつ活性層14から定在波形成用フォトニック結晶層12へのキャリアの流入をブロックしても良い。
第8の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザの材料系としては、例えば、以下のものを適用可能である。すなわち、例えば、波長1.3μm〜1.5μmでは、GaInAsP/InP系、波長900nmの赤外光では、InGaAs/GaAs系、波長800nm〜900の赤外光/近赤外光では、GaAlAs/GaAs系若しくはGaInNAs/GaAs系、波長1.3μm〜1.67μmでは、GaAlInAs/InP系、波長0.65μmでは、AlGaInP/GaAs系、青色光では、GaInN/GaN系などを適用可能である。
第8の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいても出射される縦長ビーム構造のFFP例は、図36と同様である。
第8の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、ラインビーム出射するビーム拡がり角度θ0を制御可能なフォトニック結晶の格子構造として、一辺が媒質内波長の1/2に等しい長方格子(a1=λ/2)を導入した。
第8の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、フォトニックバンド構造のX点のバンド端における光波を用いる。
X点のバンド端における光波では、フォトニック結晶の周期構造は、発振のための定在波形成の機能しか持っていないが、この周期構造と同一面内に、光を回折させるための周期構造(カップラー)を設けることにより、光を取り出すことができる。長方格子を導入することにより、2次元的な発振を維持したまま、ビーム拡がり角度θ0を大きくすることが可能となった。ビーム拡がり角度θ0を制御できれば、アプリケーションの範囲が広がり、ビームスキャニングレーザとしての価値の向上につながる。
第8の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、長方格子X点発振におけるバンド構造であって、規格化周波数(c/a)と波数との関係は、図50に示すように表される。
第8の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、共振器用長方格子の格子点の実空間は、図51に示すように表され、共振器用長方格子の波数空間は、図52に示すように表される。
図51において、格子定数a1は、2次元フォトニック結晶層12の媒質内波長λの1/2に等しく、アスペクト比rは、=a1/a2(r≠1)である。また、図52において、b1=2π/a1、b2=2π/a2であり、kfは、基本波の波数ベクトルを表す。
第8の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12の長方格子の共振器用格子点12AをX点発振させるためには、活性層14のゲインピークに、その共振モードの波長が重なる必要がある。すなわち、長方格子X点では、基本波の波数kfが、活性層ゲインの媒質内での中心波長(λPC)となることから、次式の関係が得られる。
kf=|1/2・b1|=|1/2・(2π/a1,0)|=π/a1=2π/λPC
(3)
従って、格子定数a1と中心波長λPCの関係は、
a1=1/2・λPC=1/2・λair/neff (4)
で与えられる。
一方、光出射用フォトニック結晶構造は、逆格子ベクトルk空間において、定在波形成用フォトニック結晶構造により増幅される光の波数ベクトルk↑と、光出射用フォトニック結晶構造における逆格子ベクトルkG↑の和である波数ベクトルΔk↑=k↑+kG↑の大きさ|k↑+kG↑|が|k↑|/neffより小さくなる逆格子ベクトルkG↑が存在するように、2次元の格子構造を形成する。
ここで、波数ベクトルΔk↑は、波数ベクトルk↑を有する光が光出射用フォトニック結晶構造において回折された(すなわち、波数ベクトルの向きが変化した)後の波数ベクトルを表す。
これにより、定在波形成用フォトニック結晶構造において増幅された光が、光出射用フォトニック結晶構造において回折され、その回折光の波数ベクトルΔk↑がライトコーン内に存在することとなる。
そのため、2次元フォトニック結晶層内の光は、2次元フォトニック結晶層と外部との界面において全反射を生じることなく外部に出射し、レーザビームが得られる。その際、2次元フォトニック結晶層に平行な方向の波数成分が、上記界面において維持されるため、散乱光の波数ベクトルの大きさ|Δk↑|が0である場合には、レーザビームは、2次元フォトニック結晶層に垂直に出射し、|Δk↑|が0以外を有する場合には、その散乱光の波数ベクトルΔk↑の大きさおよび向きに対応した傾斜角を有する傾斜ビームが得られる。
第8の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器用格子点12Aは、図53に示すように、長方格子に配置される。
また、第8の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cの模式的平面構成は、図54に示すように表される。
また、図54のVI−VI線に沿う模式的断面構造は、図55(a)に示すように表され、図54のVII−VII線に沿う模式的断面構造は、図55(b)に示すように表される。
第8の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、図55(a)に示すように、定在波形成用フォトニック結晶層12と、定在波形成用フォトニック結晶層12内に配置され、定在波形成用フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端における光波を、定在波形成用フォトニック結晶層12の面内で回折させる長方格子の共振器用格子点12Aと、定在波形成用フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端における光波を、定在波形成用フォトニック結晶層12の面垂直方向に回折させるカップラー用格子点12Cとを備える。ここで、長方格子の格子定数をa1およびa2とすると、長方格子の一辺a1が媒質内波長λの1/2に等しい。
第8の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、カップラー用格子点12Cには、あらゆる格子系が考えられ、周期が一致している必要もない。カップラー用格子点12Cの格子系や周期が変わると、出射する方向と角度も変わる。
第8の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、共振器用格子点12Aの長方格子において、格子定数a1は、媒質内波長λの1/2に等しいが、a2の範囲は特に限定されない。但し、現実的な構造を想定すると、
0.5×a1<a2<3×a1 (5)
であることが望ましい。
また、第8の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、カップラー用格子点12Cは、定在波形成用フォトニック結晶層12内に配置される。
第8の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cは、図55(a)および図55(b)に示すように空孔として形成可能である。
また、試作されている共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cの直径・深さは、例えば、約120nm・115nm程度であり、ピッチは、例えば、約280nm程度である。尚、これらの数値例は、基板10および活性層14を構成する材料系、2次元フォトニック結晶層12の材料系および媒質内波長などによって適宜変更可能である。
例えば、GaAs/AlGaAs系材料を適用した第8の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、2次元フォトニック結晶層12の媒質内波長λとしては、約200nm〜約300nm程度であり、出力光波長は、約900nm〜約915nm程度である。
尚、共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cは、例えば、空気孔として形成する代わりに、屈折率の異なる半導体層で充填しても良い。例えば、GaAs層に対してAlGaAs層を充填して形成しても良い。例えば、2次元フォトニック結晶層12を融着する製造工程において、共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cの空孔形状が変形する場合には、屈折率の異なる半導体層で充填することがこのような変形を回避する上で有効である。
図54のVI−VI線に沿う第8の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザの模式的断面構造は、図56(a)に示すように表され、図54のVII−VII線に沿う第8の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザの模式的断面構造は、図56(b)に示すように表される。
すなわち、第8の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、基板(24:図35)と、基板(24)上に配置された第1クラッド層10と、第1クラッド層10上に配置された第2クラッド層16と、第1クラッド層10と第2クラッド層16に挟まれた活性層14とを備え、定在波形成用フォトニック結晶層12は、第1クラッド層10と活性層14との間に、活性層14の面垂直方向に隣接して配置されていても良い。また、図41に示すように、定在波形成用フォトニック結晶層12と活性層14との間には、キャリアブロック層13を備えている。
(変形例1)
図54のVI−VI線に沿う第8の実施の形態の変形例1に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザの模式的断面構造は、図57(a)に示すように表され、図54のVII−VII線に沿う第8の実施の形態の変形例1に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザの模式的断面構造は、図57(b)に示すように表される。
すなわち、第7の実施の形態の変形例1に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、定在波形成用フォトニック結晶層12は、図57(a)および図57(b)に示すように、第2クラッド層16と活性層14との間に、活性層14の面垂直方向に隣接して配置されていても良い。また、図57(a)および図57(b)では図示を省略しているが、定在波形成用フォトニック結晶層12と活性層14との間には、図56と同様に、キャリアブロック層13を配置しても良い。
(変形例2)
図54のVI−VI線に沿う第8の実施の形態の変形例2に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザの模式的断面構造は、図58(a)に示すように表される。
すなわち、第8の実施の形態の変形例2に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、図58(a)に示すように、定在波形成用フォトニック結晶層121と積層化される光出射用フォトニック結晶層122を更に備え、カップラー用格子点12Cは、光出射用フォトニック結晶層122内に配置されていても良い。
第8の実施の形態の変形例2に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、図58(a)に示すように、基板(24:図35)と、基板(24)上に配置された第1クラッド層10と、第1クラッド層10上に配置された第2クラッド層16と、第1クラッド層10と第2クラッド層16に挟まれた活性層14とを備え、定在波形成用フォトニック結晶層121および光出射用フォトニック結晶層122は、第1クラッド層10と第2クラッド層16との間に、活性層14の面垂直方向に、活性層14を挟んで配置される。
また、図58(a)では図示を省略しているが、定在波形成用フォトニック結晶層121と活性層14との間および光出射用フォトニック結晶層122と活性層14との間には、図56と同様に、キャリアブロック層13をそれぞれ配置しても良い。
また、図58(a)において、定在波形成用フォトニック結晶層121および光出射用フォトニック結晶層122の積層順序を逆にして、活性層14と第2クラッド層16との間に光出射用フォトニック結晶層122を配置し、活性層14と第1クラッド層10との間に定在波形成用フォトニック結晶層121を配置してもよい。カップラー用格子点12Cが配置される光出射用フォトニック結晶層122を光の取り出し方向に近い位置に配置可能であるため、光の取り出し効率も増大可能である。
(変形例3)
図54のVI−VI線に沿う第8の実施の形態の変形例3に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザの模式的断面構造は、図58(b)に示すように表される。
すなわち、第8の実施の形態の変形例3に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、定在波形成用フォトニック結晶層121および光出射用フォトニック結晶層122は、第2クラッド層16と活性層14との間に、活性層14の面垂直方向に隣接して配置されていても良い。また、図58(b)では図示を省略しているが、光出射用フォトニック結晶層122と活性層14との間には、図56と同様に、キャリアブロック層13を配置しても良い。
また、図58(b)において、定在波形成用フォトニック結晶層121および光出射用フォトニック結晶層122の積層順序を逆にして、活性層14上に定在波形成用フォトニック結晶層121を配置し、定在波形成用フォトニック結晶層121上に光出射用フォトニック結晶層122を配置してもよい。活性層14に近い位置に定在波形成用フォトニック結晶層121を配置した方が、活性層14のゲインピーク近傍に、共振モードの波長を重ねることが可能となるため、定在波形成作用をより効果的に実施することができる。また、カップラー用格子点12Cが配置される光出射用フォトニック結晶層122を光の取り出し方向に近い位置に配置可能であるため、光の取り出し効率も増大可能である。
(変形例4)
図54のVI−VI線に沿う第8の実施の形態の変形例4に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザの模式的断面構造は、図58(c)に示すように表される。
すなわち、第8の実施の形態の変形例4に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、定在波形成用フォトニック結晶層121および光出射用フォトニック結晶層122は、第1クラッド層10と活性層14との間に、活性層14の面垂直方向に隣接して配置されていても良い。また、図58(c)では図示を省略しているが、定在波形成用フォトニック結晶層121と活性層14との間には、図56と同様に、キャリアブロック層13を配置しても良い。
また、図58(c)において、定在波形成用フォトニック結晶層121および光出射用フォトニック結晶層122の積層順序を逆にして、活性層14に近接して光出射用フォトニック結晶層122を配置してもよい。カップラー用格子点12Cが配置される光出射用フォトニック結晶層122を光の取り出し方向に近い位置に配置可能であるため、光の取り出し効率も増大可能である。
(変形例5)
第8の実施の形態の変形例5に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層の共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cの模式的平面構成は、図59(a)に示すように表され、図59(a)に対応する2次元フォトニック結晶のバンド構造であって、規格化周波数(c/a)と波数との関係は、図59(b)に示すように表される。
第8の実施の形態の変形例5に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、長方格子(X点発振)の実施例に対応しており、定在波形成用フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端(図59(b)のR領域近傍)における発振を利用している。
第8の実施の形態の変形例5に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、図59(a)および図59(b)に示すように、定在波形成用フォトニック結晶層12と、定在波形成用フォトニック結晶層12内に配置され、定在波形成用フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端における光波を、定在波形成用フォトニック結晶層12の面内で回折させる共振器用格子点12Aと、定在波形成用フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端における光波を、定在波形成用フォトニック結晶層12の面垂直方向に回折させるカップラー用格子点12Cとを備える。
第8の実施の形態の変形例5に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、共振器用格子点12Aは、図59(a)に示すように、格子定数a1およびa2を有する第1の長方格子に配置され、カップラー用格子点12Cは、第1の長方格子とは別の第2の長方格子に配置される。ここで、第2の長方格子のx方向およびy方向の格子定数は、第1の長方格子のx方向およびy方向の格子定数a1およびa2に対して、媒質内波長2a1およびa2に等しい。
その他の構成は、第8の実施の形態およびその変形例1〜4と同様である。
(変形例6)
第8の実施の形態の変形例6に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器用格子点12Aの模式的平面構成は、図60(a)に示すように、菱形格子に配置される。また、図60(a)に対応する2次元フォトニック結晶のバンド構造であって、規格化周波数(c/a)と波数の関係は、図60(b)に示すように表される。
第8の実施の形態の変形例6に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、菱形格子(X点発振)の実施例に対応しており、定在波形成用フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端(図60(b)のR領域近傍)における発振を利用している。
第8の実施の形態の変形例6に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、図60(a)および図60(b)に示すように、定在波形成用フォトニック結晶層12と、定在波形成用フォトニック結晶層12内に配置され、定在波形成用フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端における光波を、定在波形成用フォトニック結晶層12の面内で回折させる共振器用格子点12Aと、定在波形成用フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端における光波を、定在波形成用フォトニック結晶層12の面垂直方向に回折させるカップラー用格子点12Cとを備える。
第8の実施の形態の変形例6に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、共振器用格子点12Aは、図60(a)に示すように、格子定数a1およびa2を有する菱形格子に配置され、カップラー用格子点12Cは、長方格子に配置される。ここで、長方格子の格子定数は、菱形格子の格子定数a1およびa2に対して、媒質内波長λおよびa2に等しい。
その他の構成は、第8の実施の形態およびその変形例1〜4と同様である。
第8の実施の形態およびその変形例1〜6によれば、ラインビーム出射する2次元フォトニック結晶面発光レーザを提供することができる。
第8の実施の形態およびその変形例1〜6によれば、長方格子のアスペクト比r(=a1/a2)(r≠1)により、ビーム拡がり角度が制御可能な2次元フォトニック結晶面発光レーザを提供することができる。
第8の実施の形態およびその変形例1〜6によれば、ビーム拡がり角度を制御可能な2次元フォトニック結晶面発光レーザを提供することができる。
(ビーム拡がり角度の制御:共振器領域RPとカップラー領域CP)
共振器領域RPとは、定在波形成用フォトニック結晶層12・121において共振器用格子点12Aが配置される領域であり、カップラー領域CPとは、定在波形成用フォトニック結晶層12若しくは、光出射用フォトニック結晶層122においてカップラー用格子点12Cが配置される領域である。
第8の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、カップラー領域CPの幅、ビーム拡がり角度、およびビーム拡がり領域の関係は、模式的に図11(a)、図11(b)および図11(c)と同様に表される。すなわち、カップラー領域CP1の幅A1、ビーム拡がり角度θ1、およびビーム拡がり領域301の例は図11(a)と同様に表され、カップラー領域CP2の幅A2、ビーム拡がり角度θ2、およびビーム拡がり領域302の例は図11(b)と同様に表され、カップラー領域CP3の幅A3、ビーム拡がり角度θ3、およびビーム拡がり領域303の例は図11(c)と同様に表される。ここで、カップラー領域の幅の大小関係は、A1<A2<A3であり、カップラー領域CP1の大きさは相対的に小さく、カップラー領域CP3の大きさは相対的に大きい。また、ビーム拡がり領域301・302・303を規定するビーム拡がり角度の大小関係は、θ1>θ2>θ3が成立している。
第8の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、図11(a)・図11(b)・図11(c)に対応する共振器領域RPの大小関係は、図12(a)と同様に表され、ビーム拡がり角度の大小関係は、図12(b)と同様に表される。すなわち、共振器領域RPの大きさが大きい程、ビーム拡がり角度θ0は小さくなる。
比較例に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、正方格子Γ点発振に適用される2次元フォトニック結晶層の共振器領域RPの大きさの関係を示す図であって、RP1の例は図13(a)と同様に表され、RP2の例は図13(b)と同様に表され、RP3の例は図13(c)と同様に表される。
一方、第8の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層の共振器領域RPおよびカップラー領域CP大きさの関係を示す図であって、RP1、CP1の例は図14(a)と同様に表され、RP2、CP2の例は図14(b)と同様に表され、RP3、CP3の例は図14(c)と同様に表される。
2次元フォトニック結晶面発光レーザの発振には、ある一定以上の共振器の領域が必要である。そのため比較例に係る正方格子Γ点発振の場合、ビーム拡がり角度θ0を大きくしようとすると、発振に必要な共振器領域RPAが確保できない。すなわち、比較例に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、正方格子Γ点発振を利用するため、共振器領域RPのサイズがそのままカップラー領域CPのサイズに等しいため、ビーム拡がり角度θ0を大きくしようとして、共振器領域RPのサイズを縮小化すると、図12(a)に示すように、共振器領域RPの大小関係において、RP<RPAの範囲では、発振に必要な共振器領域RPAが確保できないため、発振することができなくなる。
(カップラーと共振器の配置関係)
第8の実施の形態の変形例5に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器領域RPおよびカップラー領域CP内における共振器用格子点12A・カップラー用格子点12Cの配置例は、図61に示すように表される。
また、第8の実施の形態の変形例5に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、光出射用フォトニック結晶層122にカップラー用格子点12Cを配置した例は、図62(a)に示すように表される。ここで、カップラー用格子点12Cのピッチは、横方向2a1、縦方向a2である。定在波形成用フォトニック結晶層121に共振器用格子点12Aを配置した例は、図62(b)に示すように表される。ここで、媒質内波長λは、2a1に等しい。また、同一のフォトニック結晶層12に共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cを配置した例は、図62(c)に示すように表され、同一のフォトニック結晶層12に共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cを配置した別の例は、図62(d)に示すように表され、同一のフォトニック結晶層12に共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cを配置した更に別の例は、図62(e)に示すように表される。また、同一のフォトニック結晶層12に共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cを配置した更に別の例は、図62(f)に示すように表される。図62(f)は、一般化した例であって、ここで、カップラー用格子点12Cは任意に配置可能であり、カップラー用格子点12Cのピッチは、例えば、横方向a3=r1a1、縦方向a4=r2a2で表される(r1≠1、r2≠1)。
第8の実施の形態の変形例5に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、カップラー用格子点12Cと共振器用格子点12Aの配置関係は、図62(c)〜図62(f)に示すように自由に設定可能である。なお、カップラー用格子点12Cと共振器用格子点12Aの配置関係によっては、LD特性(出力、閾値など)が変化する。
図61および図62の例は、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の例であって、第8の実施の形態の変形例5に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザに対応しているが、他の第8の実施の形態においても同様に適用可能である。
(カップラー配置によるビーム拡がり角度制御)
第8の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器領域RPとカップラー領域CPの大きさがほぼ等しい場合のNFPは、図63(a)に示すように表され、カップラー領域CPからのビーム拡がり領域30は、図63(b)に示すように表され、図63(a)に対応する共振器領域RPおよびカップラー領域CP内の共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cを配置例は、図63(c)に示すように表される。
また、第8の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器領域RPとカップラー領域CPの大きさが異なる場合のNFPは、図64(a)に示すように表され、カップラー領域CPからのビーム拡がり領域30は、図64(b)に示すように表され、図64(a)に対応する共振器領域RPおよびカップラー領域CP内の共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cの配置例は、図64(c)に示すように表される。
すなわち、第8の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、共振器とカップラーを別々に設計が可能であり、カップラーの配列のみを変更することで、安定な発振を維持しつつ、面発光レーザ光のビーム拡がり角度θ0を様々に変更可能である。
第8の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、共振器用格子点12Aの配置される共振器領域RPの大きさを維持したまま、カップラー用格子点12Cの配置されるカップラー領域CPを変化させることにより、安定した発振を維持しつつレーザビームのビーム拡がり角度θ0を調整することができる。
(共振器用格子点12Aの直径Drとカップラー用格子点12Cの直径Dcの関係)
共振器用格子点12Aの直径Drとカップラー用格子点12Cの直径Dcが異なる場合の配置例であって、Dc<=Drで同一点に配置された例は、図65(a)に示すように表され、Dc>Drで同一点に配置された例は、図65(b)に示すように表される。
共振器用格子点12Aの直径Drとカップラー用格子点12Cの直径Dcの関係はどのような場合でも発振は可能である。ただし、図65(a)に示すように、Dc<=Drの場合でカップラー用格子点12Cの孔と共振器用格子点12Aの孔が完全に重なる場合は、レーザ内部で共振は起こっているが光を取り出せないためにレーザダイオードとして機能しない。
また、共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cは、図65(b)に示すように、円形形状を備え、カップラー用格子点12Cの直径Dcは、共振器用格子点12Aの直径Drよりも大きく形成されていても良い。
一方、カップラー用格子点12Cと共振器用格子点12Aを、それぞれ別の2次元フォトニック結晶層に形成する場合は上記制限はない。
第7〜第8の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cは任意の形状を備え、カップラー用格子点12Cは、共振器用格子点12Aよりも大きく形成されていても良い。
図65(a)および図65(b)は、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の例であって、第8の実施の形態の変形例5に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザに対応しているが、共振器用格子点12Aの直径Drとカップラー用格子点12Cの直径Dcの関係は、他の第8の実施の形態においても同様の関係が成立する。
(格子点(孔)の形状)
共振器用格子点12Aの形状とカップラー用格子点12Cの形状が異なる場合の配置例であって、共振器用格子点12Aの形状が円形、カップラー用格子点12Cが三角形の例は、図66(a)に示すように表され、共振器用格子点12Aの形状が菱形、カップラー用格子点12Cが楕円形の例は、図66(b)に示すように表される。
共振器用格子点12Aおよびカップラー用格子点12Cは、多角形、円形、楕円形若しくは長円形のいずれかの形状を備えていても良い。ここで、多角形には、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形などが含まれる。
また、以下のようにカップラー用格子点12Cと共振器用格子点12Aで格子点の形状は異なっていても良い。また、格子点の形状の向きが傾いていても良い。格子点の形状の向きが傾いている場合には、レーザビームが、例えば、斜め方向に出力されるなど、レーザ出力特性に影響を与える。
図66(a)および図66(b)は、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の例であって、第8の実施の形態の変形例5に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザに対応しているが、共振器用格子点12Aとカップラー用格子点12Cの(孔)の形状の関係は、他の第8の実施の形態においても同様の関係が成立する。
以上説明したように、本発明によれば、レーザビームのビーム拡がり角度の制御が可能な2次元フォトニック結晶面発光レーザを提供することができる。
[第9の実施の形態]
(素子構造)
第9の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザの模式的鳥瞰構造は、図67に示すように、フォトニック結晶層12と、フォトニック結晶層12内に配置され、フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるバンド端における光波を、フォトニック結晶層12の面内で回折させると共にフォトニック結晶層12の面垂直方向に回折させる共振状態形成用格子点12Aとを備える。
ここで、共振状態形成用格子点12Aには、光波を、フォトニック結晶層12の面垂直方向に回折させるための摂動が加えられている。摂動が加えられた共振状態形成用格子点12Aは、摂動状態形成用格子点12Pで表される。摂動状態形成用格子点12Pは、フォトニック結晶層12内に配置されている。
ここで、「摂動」とは、フォトニック結晶層12に周期構造を形成する共振状態形成用格子点12Aに対して、周期的に変調を加えることを云う。また、周期的変調は、例えば、屈折率変調であっても良い。また、周期的変調は、例えば、孔の大きさ変調であっても良い。また、周期的変調は、例えば、孔の深さ変調であっても良い。また、周期的変調は、例えば、孔の深さ変調および孔の深さ変調の両方であっても良い。
理論的には、フォトニック結晶層12に形成される共振状態形成用格子点12Aの「屈折率」に摂動を加えるのが望ましい。また、「孔の大きさ」、「孔の深さ」、或いはその両方に摂動を加えることで、同様の効果が得られる。
図67に示された例では、格子定数(a1,a2)を有する長方格子のy軸方向に周期的に配置される摂動状態形成用格子点12P1・12P2・12P3…に対して、屈折率変調の摂動を加えている。
第9の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、共振状態形成用格子点12Aの格子型としては、正方格子、長方格子、面心長方格子、三角格子などを適用可能である。
第9の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、フォトニック結晶層12に周期構造を形成する共振状態形成用格子点12Aに対して摂動を加えることによって、様々なバンド端発振を実現可能である。例えば、正方格子および長方格子では、Γ点・X点・M点発振、面心長方格子および三角格子では、Γ点・X点・J点発振を実現可能である。
第9の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、図67に示すように、基板24と、基板24上に配置された第1クラッド層10と、第1クラッド層10上に配置された第2クラッド層16と、第1クラッド層10と第2クラッド層16に挟まれた活性層14とを備える。ここで、第1クラッド層10はp型半導体層、第2クラッド層16はn型半導体層で形成されていても良く、あるいは導電性を反対にしても良い。
更に、実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、図67に示すように、第2クラッド層16上に配置されたコンタクト層18と、コンタクト層18上の面発光領域に配置され、レーザ光を取り出すためのウィンドウ層20と、ウィンドウ層20上に配置された窓状の上部電極22と、基板24の裏面に配置された下部電極26とを備える。
フォトニック結晶層12は、図67に示すように、第1クラッド層10と第2クラッド層16との間に、活性層14の面垂直方向に活性層14に隣接して配置されていても良い。ここで、活性層14は、例えば、多重量子井戸(MQW)層で形成されていても良い。
また、フォトニック結晶層12は、図67に示すように、第1クラッド層10と活性層14との間に配置されていても良い。
更に、活性層14とフォトニック結晶層12との間には、図67に示すように、キャリアブロック層13を備え、MQW層からなる活性層14内にキャリアを有効に取り込みかつ活性層14からフォトニック結晶層12へのキャリアの流入をブロックしても良い。
また、フォトニック結晶層12は、第2クラッド層16と活性層14との間に配置されていても良い。
第9の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザの材料系としては、例えば、以下のものを適用可能である。すなわち、例えば、波長1.3μm〜1.5μmでは、GaInAsP/InP系、波長900nmの赤外光では、InGaAs/GaAs系、波長800nm〜900の赤外光/近赤外光では、GaAlAs/GaAs系若しくはGaInNAs/GaAs系、波長1.3μm〜1.67μmでは、GaAlInAs/InP系、波長0.65μmでは、AlGaInP/GaAs系、青色光では、GaInN/GaN系などを適用可能である。
第9の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザに適用される2次元フォトニック結晶層12の長方格子の実空間は、図68(a)に示すように表され、図68(a)の実空間のフーリエ変換に対応する波数空間は、図68(b)に示すように表される。長方格子の格子定数は、図68(a)に示すように、(a1,a2)で表され、逆格子定数は、図68(b)に示すように、(b1,b2)で表される。逆格子点における回折ベクトルkdは、図68(b)に示すように表される。
(面発光の原理)
2次元フォトニック結晶層12が長方格子の格子点を有する場合を例として、2次元フォトニック結晶面発光レーザの面発光の原理を説明する。
2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12の長方格子の面内共振状態の実空間における説明図は、図69(a)に示すように表され、図69(a)に対応する波数空間における説明図は、図69(b)に示すように表される。ここで、図69(a)に示す例では、長方格子の一辺a2が媒質内波長λの1/2に等しい。図69(a)に示された面内共振状態においては、波数ベクトルkf↑は、図69(b)に示すように表される。
図69に対応した面内共振状態において、上方向(z軸方向)への回折動作の波数空間kx−kyにおける説明図は、図70(a)に示すように表され、図70(a)に対応する波数空間kz−kyにおける説明図は、図70(b)に示すように表される。波数ベクトルkf↑と回折ベクトルkd↑は、波数空間kx−kyでは、図70(a)に示すように、差分|kf−kd|を有し、この差分に対応して、波数空間ky−kz面上、z軸からビーム出射角度θだけ傾いたベクトルku↑方向に面発光レーザ光を出射することができる。
(比較例)
比較例に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12A(正方格子)の実空間配置例は、図71(a)に示すように表され、2次元フォトニック結晶層12の光取り出し用格子点12Cの実空間配置例は、図71(b)に示すように表される。さらに、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aと光取り出し用格子点12Cを結合した実空間配置例は、図71(c)に示すように表される。
また、図71(a)に対応する波数空間は、図71(d)に示すように表され、図71(c)に対応する波数空間は、図71(e)に示すように表される。
光取り出し用格子点12Cは、共振状態形成用格子点12Aと同一面内に配置され、共振状態形成用格子点12Aの基本構造と異なる周期の構造を有する。
2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aの誘電率をε0.a(r↑)、光取り出し用格子点12Cの誘電率をε1.a’(r↑)とすると、共振状態形成用格子点12Aと光取り出し用格子点12Cを結合した誘電率ε(r↑)は、
ε(r↑)=ε0.a(r↑)+ε1.a’(r↑) (6)
で表される。また、誘電率ε(r↑)は、周期構造を有するため、
εa(r↑)=εa(r↑+a↑) (7)
で表される。ここで、|a↑|は、格子定数に関係した周期を表す。
比較例では、X点共振器など、共振状態形成用格子点12Aと、光取り出し用格子点12Cが別々の格子として用いられ、光取り出し用格子点12Cが、共振状態形成に大きく影響する。たとえば、光取り出し用格子点12Cが導入されることによって、不要な散乱や、意図しない共振モードなどが発生する。
(摂動の導入)
そこで、第9の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、光取り出し用格子を用いずに、光を取り出す手法として、共振状態形成用格子点12Aに摂動を加えている。摂動の導入は、新たに別の格子を重ねる構造に比べると、明らかに、共振状態形成に対する影響は少ない。
第9の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点(長方格子)12Aの実空間配置例は、図72(a)に示すように表され、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点(長方格子)12Aにy軸方向に正弦波関数の摂動を加える様子を説明する概念図は、図72(b)に示すように表される。また、共振状態形成用格子点(長方格子)にy軸方向に正弦波関数の孔形状(孔径)変調の摂動を加える様子を説明する概念図は、図72(c)に示すように表される。
また、図72(a)の実空間のフーリエ変換に対応する波数空間は、図73(a)に示すように表され、図72(b)の実空間のフーリエ変換に対応する波数空間は、図73(b)に示すように表される。波数ベクトルkf↑、回折ベクトルkd↑は、図73(a)および図73(b)に示す通りである。
2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aの誘電率ε0.a(r↑)に対して、共振状態形成用格子点12Aに正弦波関数の摂動を加えた摂動項の誘電率は、ε1(r↑)sin(kd↑・r↑)で表すことができる。
したがって、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aの基本構造に正弦波関数の摂動を加えた摂動状態形成用格子点12Pの誘電率ε’(r↑)は、
ε’(r↑)=ε0,a(r↑)+ε1,a(r↑)sin(kd↑・r↑) (8)
で表される。さらに一般化すると、
ε’(r↑)=ε0,a(r↑)+Σiεi,a(r↑)sin(kd,i↑・r↑) (8a)
で表される。(8a)式からも明らかなように、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aの基本構造に任意の方向に正弦波関数の複数の摂動を加えた場合には、重ね合わせが成立する。
比較例では、X点共振器など、共振状態形成用格子点12Aと、光取り出し用格子点12Cが別々の格子として用いられたが、第9の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aに摂動を導入することによって、簡単な構造で面発光レーザを実現することができる。2種類の格子点を用いる比較例に対して、1種類の共振状態形成用格子点12Aのみであるため、作製も簡便になる。
第9の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、2次元フォトニック結晶層12の結晶格子として、周期構造を形成する共振状態形成用格子点12Aの屈折率、大きさ、或いは深さに、摂動が加わった構造を備えるため、より簡便に作製可能であるとともに、安定な共振状態が形成できる。
(屈折率変調)
第9の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点(長方格子)12Aに正弦波関数の屈折率変調の摂動を加える様子を説明する実空間配置例は、図74に示すように表される。図74においては、配列ラインPL1・PL2・PL3…に対して垂直方向に正弦波関数の周期的な屈折率変調の摂動が加えられている。例えば、配列ラインPL1上には屈折率n1の摂動が加えられた摂動状態形成用格子点12P1が配置される。同様に、配列ラインPL2上には屈折率n2の摂動が加えられた摂動状態形成用格子点12P2が配置され、配列ラインPL3上には屈折率n3の摂動が加えられた摂動状態形成用格子点12P3が配置されている。
屈折率nの2乗が誘電率εに対応するため、図74に示された例では、配列ラインPL1・PL2・PL3…に対して垂直方向の繰り返し方向に周期的な誘電率変調の摂動が加えられていることになる。
2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aの誘電率ε0.a(r↑)に対して、共振状態形成用格子点12Aに正弦波関数の摂動を加えた摂動項の誘電率は、ε1,a(r↑)sin(kd↑・r↑)で表すことができる。
したがって、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aの基本構造に正弦波関数の周期的な屈折率変調の摂動を加えた摂動状態形成用格子点12Pの誘電率εa ’(r↑)は、
εa ’(r↑)=ε0,a(r↑)+ε1,a(r↑)sin(kd↑・r↑) (9)
で表される。(9)式におけるベクトルr↑は、図74の例では、配列ラインPL1・PL2・PL3…に対して垂直方向のベクトルに対応する。
(孔形状(孔径)変調)
第9の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点(長方格子)12Aに正弦波関数の孔形状(孔径)変調の摂動を加える様子を説明する実空間配置例は、図75に示すように表される。図75においては、配列ラインPL1・PL2・PL3…に対して垂直方向に正弦波関数の周期的な孔形状(孔径)変調の摂動が加えられている。例えば、配列ラインPL1上には孔径D1の摂動が加えられた摂動状態形成用格子点12P1が配置される。同様に、配列ラインPL2上には孔径D2の摂動が加えられた摂動状態形成用格子点12P2が配置され、配列ラインPL3上には孔径D3の摂動が加えられた摂動状態形成用格子点12P3が配置されている。
2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aの孔径d0.a(r↑)に対して、共振状態形成用格子点12Aに正弦波関数の摂動を加えた摂動項の孔径は、d1,a(r↑)sin(kd↑・r↑)で表すことができる。
したがって、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aの基本構造に正弦波関数の周期的な孔形状(孔径)変調の摂動を加えた摂動状態形成用格子点12Pの孔径da(r↑)は、
da(r↑)=d0,a(r↑)+d1,a(r↑)sin(kd↑・r↑) (10)
で表される。(10)式におけるベクトルr↑は、図75の例では、配列ラインPL1・PL2・PL3…に対して垂直方向のベクトルに対応する。
(孔の深さ変調)
第9の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点(長方格子)12Aに孔の深さ変調の摂動を加える様子を説明する実空間配置例は、図76に示すように表される。図76においては、配列ラインPL1・PL2・PL3…に対して垂直方向に正弦波関数の周期的な孔の深さ変調の摂動が加えられている。例えば、配列ラインPL1上には深さH1の摂動が加えられた摂動状態形成用格子点12P1が配置される。同様に、配列ラインPL2上には深さH2の摂動が加えられた摂動状態形成用格子点12P2が配置され、配列ラインPL3上には深さH3の摂動が加えられた摂動状態形成用格子点12P3が配置されている。
2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aの深さh0.a(r↑)に対して、共振状態形成用格子点12Aに正弦波関数の摂動を加えた摂動項の深さは、h1,a(r↑)sin(kd↑・r↑)で表すことができる。
したがって、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aの基本構造に正弦波関数の周期的な深さ変調の摂動を加えた摂動状態形成用格子点12Pの深さha(r↑)は、
ha(r↑)=h0,a(r↑)+h1,a(r↑)sin(kd↑・r↑) (11)
で表される。
(孔径dの摂動:長方格子X点)
第9の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点(長方格子X点)12Aにy軸方向に孔形状(孔径)変調の摂動を加えた実空間配置例は、図77に示すように表され、図77のフーリエ変換に対応する波数空間は、図78に示すように表される。
(10)式を参照して、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aの孔径d0に対して、共振状態形成用格子点12Aに正弦波関数の摂動を加えた摂動項は、d1sin(kd ’↑・r↑)で表すことができる。
すなわち、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aの基本構造にy軸方向に正弦波関数の周期的な孔形状(孔径)変調の摂動を加えた摂動状態形成用格子点12Pの孔径dは、(10)式を参照して、
d=d0+d1sin(kd ’↑・r↑) (12)
で表される。また、kd ’↑・r↑は、
kd ’↑・r↑=(kd x ’,kd y ’)(max,may)
=(0,by/2・s)(max,may)=πns (13)
で表される。ここで、axbx=ayby=2πであり、次式が成立する。すなわち、
d=d0+d1sin(πns) (14)
したがって、媒質内のビーム出射角度をθdとして摂動項の正弦波関数sinθdは、
sinθd=Δk/k=(ayc -1−ay -1)/ay -1=ay/ayc−1=s−1 (15)
ここで、ここで、sを摂動係数と呼ぶことにする。
摂動係数sは、y軸方向の格子定数ayとy軸方向の変調分(by/2・s)に対応する格子定数aycとの比(ay/ayc)で表される。
媒質内の屈折率をnd、大気中のビーム出射角度をθairとすると、媒質内の屈折率ndと摂動項の正弦波関数sinθdとの積は、大気中の正弦波関数をsinθairに等しい。すなわち、次式が成立する。
nd sinθd=sinθair (16)
θair=sin-1(nd sinθd)=sin-1(nd (s−1)) (17)
また、第9の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点(長方格子X点)12Aにy軸方向に孔形状(孔径)変調の摂動を加えた場合の格子定数(ax、ay)、孔径d1、摂動係数s(=ay/ayc)、およびビーム出射角度θの数値計算結果は、図79に示すように表される。格子定数(ax,ay)は、(270nm,280nm)であり、基本格子の孔径d0は70nm、変調振幅d1は4nmとしている。サンプル1は、摂動係数s=0.96の例であり、ビーム出射角度θ・2θは、7.6°・15.2°である。サンプル2は、摂動係数s=0.98の例であり、ビーム出射角度θ・2θは、3.8°・7.6°である。サンプル3は、摂動係数s=0.96および0.98の例であり、ビーム出射角度θ・2θは、7.6°・15.2°および3.8°・7.6°である。ここで、ビーム出射角度θは、図70(b)に示されたように、y−z平面上でz軸から測ったビーム出射角度で定義される。第9の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12から実際に放射される面発光レーザビームは、y−z平面上でz軸から測ったビーム出射角度θのプラス/マイナス方向の2θの範囲になる。
第9の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層の共振状態形成用格子点(長方格子X点)にy軸方向に孔形状(孔径)変調の摂動を加えた場合の実験結果であって、摂動係数s=0.96の時のFFPとビーム出射角度2θは、図80(a)に示すように表され、摂動係数s=0.98の時のFFPとビーム出射角度2θは、図80(b)に示すように表され、摂動係数s=0.98および0.96の時のFFPとビーム出射角度2θは、図80(c)に示すように表される。図80(a)・図80(b)・図80(c)の結果は、それぞれ図79のサンプル1・サンプル2・サンプル3に対応している。
図80(a)に示すように、図79のサンプル1に対応したFFPは、ビーム出射角度2θ=15.8°に2本現れている。
図80(b)に示すように、図79のサンプル2に対応したFFPは、ビーム出射角度2θ=7.7°に2本現れている。
図80(c)に示すように、図79のサンプル3に対応したFFPは、ビーム出射角度2θ=7.6°および15.4°に合計4本現れている。
すなわち、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aの基本構造にy軸方向に正弦波関数の周期的な孔形状(孔径)変調の摂動項d1sin(πns1)およびd2sin(πns2)を加えた摂動状態形成用格子点12Pの孔径dは、(14)式を参照して、
d=d0+d1sin(πns1)+d2sin(πns2) (18)
で表される。ここで、s1およびs2は、図79のサンプル3に対応した2つの摂動係数である。第9の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aの基本構造にy軸方向に複数の摂動を加えた摂動状態形成用格子点12Pの孔径dは、重ね合わせが成立する。
同様に、第9の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aの基本構造に任意の複数の摂動を加えた摂動状態形成用格子点12Pに対しても、その任意の複数の摂動項の重ね合わせが成立する。
第9の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点(長方格子)12Aにy軸方向に孔形状(孔径)変調の摂動を加えた摂動状態形成用格子点12Pの実空間配置例は、図81に示すように表される。図81においては、配列ラインPL1・PL2・PL3…に対して垂直なy軸方向に正弦波関数の周期的な孔形状(孔径)変調の摂動が加えられている。
例えば、配列ラインPL1上に配置される摂動状態形成用格子点12P1の孔径dは、
d=100+10sin(0.96π×0)=100 (19)
で表される。同様に、配列ラインPL2上に配置される摂動状態形成用格子点12P2の孔径dは、
d=100+10sin(0.96π×1)=101.25 (20)
で表される。同様に、配列ラインPL3上に配置される摂動状態形成用格子点12P3の孔径dは、
d=100+10sin(0.96π×2)=97.51 (21)
で表される。
また、大気中のビーム出射角度θairは、
θair=sin-1(nd sinθd)=sin-1(nd (s−1))
=sin-1(3.3 (0.96−1))=7.6° (22)
が得られる。
第9の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点(面心長方格子)12Aにy軸方向に孔形状(孔径)変調の摂動を加えた場合の実空間配置例は、図82に示すように表される。図82においては、配列ラインPL1・PL2・PL3…に対して垂直なy軸方向に正弦波関数の周期的な孔形状(孔径)変調の摂動が加えられている。
例えば、配列ラインPL1上に配置される摂動状態形成用格子点12P1の孔径dは、(19)式と同様に表され、配列ラインPL2上に配置される摂動状態形成用格子点12P2の孔径dは、(20)式と同様に表され、配列ラインPL3上に配置される摂動状態形成用格子点12P3の孔径dは、(21)式と同様に表される。
第9の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層の共振状態形成用格子点(正方格子)12Aにy軸方向に孔形状(孔径)変調の摂動を加えた場合の実空間配置例は、図83に示すように表される。図83においては、配列ラインPL1・PL2・PL3…に対して垂直なy軸方向に正弦波関数の周期的な孔形状(孔径)変調の摂動が加えられている。
例えば、配列ラインPL1上に配置される摂動状態形成用格子点12P1の孔径dは、(19)式と同様に表され、配列ラインPL2上に配置される摂動状態形成用格子点12P2の孔径dは、(20)式と同様に表され、配列ラインPL3上に配置される摂動状態形成用格子点12P3の孔径dは、(21)式と同様に表される。
(出射方向とFFP)
比較例に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、例えば、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点(正方格子Γ点)のFFPは、模式的に図84に示すように表される。すなわち、x−y−z三次元空間において、基板10上に配置された2次元フォトニック結晶層12の面垂直なz軸方向からビーム拡がり角度θ0のFFPが得られる。ここで、FFPは、ビーム拡がり角度θ0が約1°程度の2次元的に小さい形状である。これは、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点(正方格子Γ点)の2次元大面積発振からの面垂直方向取り出しにより原理的に生じる結果である。
比較例に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層の共振状態形成用格子点(長方格子Γ点)のFFPは、模式的に図85に示すように表される。すなわち、x−y−z三次元空間において、基板10上に配置された2次元フォトニック結晶層12の面垂直なz軸方向からビーム拡がり角度θ0のFFPが得られる。ここで、FFPは、ビーム拡がり角度θ0が約5°〜約20°程度のy軸方向のストライプ若しくは長円形状である。
比較例に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点(正方格子M点)12Aに光取り出し用格子点12Cを重ねた場合(図71に示された例)のFFPは、模式的に図86に示すように表される。すなわち、x−y−z三次元空間において、基板10上に配置された2次元フォトニック結晶層12の面垂直なz軸方向からビーム出射角度θ11のFFPが得られる。ここで、ビーム出射角度θ11は、0°〜90°まで自由自在である。また、出射ビームは、拡がり角度2θ0の拡がり幅を有するが、角度θ0が約1°程度であるため、x−y平面に平行な面Pz上において示されるように、拡がり幅は2次元的に小さい。
第9の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点(長方格子X点)にy軸方向に摂動を加えた場合のFFPは、模式的に図87に示すように表される。すなわち、x−y−z三次元空間において、基板10上に配置された2次元フォトニック結晶層12の面垂直なz軸方向からビーム出射角度θ22のFFPが得られる。ビーム出射角度θ22は、0°〜90°まで自由自在である。また、出射ビームは、拡がり角度2θ3の拡がり幅を有するが、角度θ3が約5°〜約20°程度であるため、x−y平面に平行な面Pz上において示されるように、拡がり幅は、図86に示された比較例に比べ、相対的に大きい。
(孔の深さ変調の構造例)
第9の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層の共振状態形成用格子点(長方格子)にy軸方向に孔の深さ変調の摂動を加えた摂動状態形成用格子点12Pの模式的平面パターン構成は、図88(a)に示すように表される。
また、図88(a)のVIII−VIII線に沿う模式的断面構造は、図89(a)に示すように表され、図88のIX−IX線に沿う模式的断面構造は、図89(b)に示すように表され、図88のX−X線に沿う模式的断面構造は、図89(c)に示すように表される。
図88および図89に示すように、共振状態形成用格子点の孔の深さh0に対して、摂動状態形成用格子点12P1の孔の深さはH1で表され、摂動状態形成用格子点12P2の孔の深さはH2表され、摂動状態形成用格子点12P3の孔の深さはH3で表される。
(屈折率変調の構造例)
第9の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層の共振状態形成用格子点(長方格子)にy軸方向に屈折率変調の摂動を加えた摂動状態形成用格子点12Pの模式的平面パターン構成は、図90(a)に示すように表される。
また、図90のXI−XI線に沿うx軸方向の屈折率分布例は、図91(a)に示すように表され、図90のXII−XII線に沿うx軸方向の屈折率分布例は、図91(b)に示すように表され、図90のXIII−XIII線に沿うx軸方向の屈折率分布例は、図91(c)に示すように表される。
図90および図91に示すように、2次元フォトニック結晶層12の媒質内の屈折率n0に対して、摂動状態形成用格子点12P1の屈折率はn1で表され、摂動状態形成用格子点12P2の屈折率はn2で表され、摂動状態形成用格子点12P3の屈折率はn3で表される。
(孔形状(孔径)変調の構造例)
第9の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点(長方格子)にy軸方向に孔形状(孔径)変調の摂動を加えた摂動状態形成用格子点12Pの模式的平面パターン構成は、図92に示すように表される。
また、図92のXIV−XIV線に沿う模式的断面構造は、図93(a)に示すように表され、図92のXV−XV線に沿う模式的断面構造は、図93(b)に示すように表され、図92のXVI−XVI線に沿う模式的断面構造は、図93(c)に示すように表される。
図92および図93に示すように、2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点(長方格子)12Aの孔形状(孔径)d0に対して、摂動状態形成用格子点12P1の孔径はD1で表され、摂動状態形成用格子点12P2の孔径はD2で表され、摂動状態形成用格子点12P3の孔径はD3で表される。
第9の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、Γ点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aの模式的平面構成(正方格子配置例)は、図94(a)に示すように表され、2次元フォトニック結晶のバンド構造であって、規格化周波数[単位:c/a]と波数ベクトルの関係は、図94(b)に示すように表される。
フォトニックバンド構造において、傾きが0となる部分をバンド端と呼ぶ。バンド端においては、光の群速度が0となり、定在波が形成されるため、フォトニック結晶が光の共振器として機能する。
フォトニック結晶層12において、共振状態形成用格子点12Aに摂動を加えた摂動状態形成用格子点12Pによって、フォトニック結晶層12の面垂直方向への回折に適用される。
第9の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、フォトニックバンド構造のM点バンド端における発振を用いる場合、フォトニック結晶の周期構造は、発振のための共振状態形成の機能しか持っていないが、共振状態形成用格子点12Aに摂動を加えた摂動状態形成用格子点12Pを設けることにより、光を取り出すことができる。
しかも、第9の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、大面積で安定な単一モードで動作可能である。すなわち、第9の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、フォトニック結晶層12に形成された共振状態形成用格子点12A・摂動状態形成用格子点12Pによって電磁界分布が規定されているため、大面積でも単一モードを維持可能である。このため、例えば、W級の出力光をレンズを介して小さい1点に集光するなどの加工が容易である。
例えば、図67において、フォトニック結晶層12のサイズは、例えば、約700μm×約700μmである。
また、近視野像(NFP:Near Field Pattern)の例では、約100μm角程度の大面積発振から約数100μm角程度の超大面積発振も実現可能である。発振スペクトルは、例えば、波長約950nmの常温連続発振を半値全幅(FWHM)が約0.16nm程度で得られている。また、単一モードで、2.7Wの光出力を1kHz−50nsのパルス駆動で得られている。
共振状態形成用格子点12Aは、例えば、光の周期程度のピッチで配置可能である。例えば、空孔が、空気で満たされるとすると、空気/半導体のピッチは、光通信帯で、約400nm程度の周期に配置可能であり、青色光では、約230nm程度の周期に配置可能である。
また、試作されている共振状態形成用格子点12Aの直径・深さは、例えば、約120nm・115nm程度であり、ピッチは、例えば、約286nm程度である。尚、これらの数値例は、基板10および活性層14を構成する材料系、2次元フォトニック結晶層12の材料系および媒質内波長などによって適宜変更可能である。
例えば、GaAs/AlGaAs系材料を適用した第9の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、2次元フォトニック結晶層12の媒質内波長λとしては、約200nm〜約300nm程度であり、出力光波長は、約900nm〜約915nm程度である。
尚、摂動状態形成用格子点12Pを屈折率変調する場合、例えば、屈折率の異なる半導体層で充填しても良い。例えば、GaAs層に対して組成比xを変調したAlxGa1-xAs層を充填して形成しても良い。例えば、2次元フォトニック結晶層12を融着する製造工程において、摂動状態形成用格子点12Pの空孔形状が変形する場合には、屈折率の異なる半導体層で充填することがこのような変形を回避する上で有効である。
第9の実施の形態によれば、簡易な構造で安定した発振を維持しつつ、レーザビームのビーム出射角度、ビーム拡がり角度および形状の制御が可能な2次元フォトニック結晶面発光レーザを提供することができる。
[第10の実施の形態]
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザの模式的鳥瞰構造は、図67と同様に表される。
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、フォトニック結晶層12と、フォトニック結晶層12内に周期的に配置され、フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造のバンド端における光波を、フォトニック結晶層12の面内で回折させる共振状態形成用格子点12Aと、フォトニック結晶層12内に周期的に配置され、フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造のバンド端における光波を、フォトニック結晶層12の面内で回折させると共にフォトニック結晶層12の面垂直方向に回折させる摂動状態形成用格子点12Pとを備える。
ここで、共振状態形成用格子点12Aの一部には、光波を、フォトニック結晶層12の面垂直方向に回折させるための摂動が加えられている。すなわち、摂動状態形成用格子点12Pは、光波を、フォトニック結晶層12の面垂直方向に回折させるための摂動が共振状態形成用格子点12Aの一部に加えられて形成されている。
摂動が加えられた共振状態形成用格子点12Aは、摂動状態形成用格子点12Pで表される。摂動状態形成用格子点12Pは、フォトニック結晶層12内に配置されている。
また、摂動状態形成用格子点に加えられている摂動は、周期的変調である。周期的変調は、屈折率変調であっても良く、孔の大きさ変調であっても良く、孔の深さ変調であっても良い。さらに、周期的変調は、孔の深さ変調および孔の深さ変調であっても良い。
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、共振状態形成用格子点12Aの格子型としては、正方格子、長方格子、面心長方格子、三角格子などを適用可能である。
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、フォトニック結晶層12に周期構造を形成する共振状態形成用格子点12Aに対して摂動を加えることによって、様々なバンド端発振を実現可能である。例えば、正方格子および長方格子では、Γ点・X点・M点発振、面心長方格子および三角格子では、Γ点・X点・J点発振を実現可能である。
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、図67と同様に、基板24と、基板24上に配置された第1クラッド層10と、第1クラッド層10上に配置された第2クラッド層16と、第1クラッド層10と第2クラッド層16に挟まれた活性層14とを備える。ここで、第1クラッド層10はp型半導体層、第2クラッド層16はn型半導体層で形成されていても良く、あるいは導電性を反対にしても良い。
更に、第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、図67と同様に、第2クラッド層16上に配置されたコンタクト層18と、コンタクト層18上の面発光領域に配置され、レーザ光を取り出すためのウィンドウ層20と、ウィンドウ層20上に配置された窓状の上部電極22と、基板24の裏面に配置された下部電極26とを備える。
フォトニック結晶層12は、図67と同様に、第1クラッド層10と第2クラッド層16との間に、活性層14の面垂直方向に活性層14に隣接して配置されていても良い。ここで、活性層14は、例えば、MQW層で形成されていても良い。
また、フォトニック結晶層12は、図67と同様に、第1クラッド層10と活性層14との間に配置されていても良い。
更に、活性層14とフォトニック結晶層12との間には、図67に示すように、キャリアブロック層13を備え、MQW層からなる活性層14内にキャリアを有効に取り込みかつ活性層14からフォトニック結晶層12へのキャリアの流入をブロックしても良い。
また、フォトニック結晶層12は、第2クラッド層16と活性層14との間に配置されていても良い。
(M点発振:正方格子)
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、M点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aおよび摂動状態形成用格子点12Pの模式的平面構成は、図95(a)に示すように表される。また、図95(a)に対応する2次元フォトニック結晶のバンド構造であって、規格化周波数と波数ベクトルの関係は、図95(b)に示すように表される。
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるM点バンド端(図95(b)のQ領域近傍)における光波を回折する共振状態形成用格子点12Aは、図95(a)に示すように、正方格子に配置され、摂動状態形成用格子点12Pは、正方格子の格子定数の2倍の格子定数を有する面心正方格子に配置され、かつ摂動状態形成用格子点12Pの対角線方向のピッチは、フォトニック結晶層12の媒質内波長λに等しい。
(X点発振:正方格子)
フォトニックバンド構造のX点のバンド端における発振では、フォトニック結晶の周期構造は、発振のための光増幅の機能しか持っていないが、この周期構造と同一面内に、光を回折させるための周期構造(摂動状態形成)を設けることにより、光を取り出すことができる。
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aおよび摂動状態形成用格子点12Pの模式的平面構成は、図96(a)に示すように、正方格子に配置される。また、図96(a)に対応する2次元フォトニック結晶のバンド構造であって、規格化周波数と波数ベクトルの関係は、図96(b)に示すように表される。
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端(図96(b)のR領域近傍)における光波を回折する共振状態形成用格子点12Aは、図96(a)に示すように、第1正方格子に配置され、摂動状態形成用格子点12Pは、第1正方格子の格子定数の2倍の格子定数を有する第2正方格子に配置され、かつ摂動状態形成用格子点12Pの格子定数は、フォトニック結晶層の媒質内波長λに等しい。
(X点発振:三角格子)
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aおよび摂動状態形成用格子点12Pの模式的平面構成は、図97(a)に示すように、三角格子に配置される。また、図97(a)に対応する2次元フォトニック結晶のバンド構造であって、規格化周波数と波数ベクトルの関係は、図97(b)に示すように表される。
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端(図97(b)のR領域近傍)における光波を回折する共振状態形成用格子点12Aは、図97(a)に示すように、第1三角格子に配置され、摂動状態形成用格子点12Pは、第1三角格子のピッチの2倍のピッチの第2三角格子に配置され、かつ第2三角格子の平面視の高さは、フォトニック結晶層12の媒質内波長λに等しい。
(J点発振:三角格子)
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、フォトニックバンド構造のJ点のバンド端における発振では、フォトニック結晶の周期構造は、発振のための光増幅の機能しか持っていないが、この周期構造と同一面内に、光を回折させるための周期構造(摂動状態形成)を設けることにより、光を取り出すことができる。
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、J点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aおよび摂動状態形成用格子点12Pは、図98(a)に示すように、三角格子に配置される。また、図98(a)に対応する2次元フォトニック結晶のバンド構造であって、規格化周波数と波数ベクトルの関係は、図98(b)に示すように表される。
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるJ点バンド端(図98(b)のS領域近傍)における光波を回折する共振状態形成用格子点12Aは、図98(a)に示すように、第1三角格子に配置され、摂動状態形成用格子点12Pは、第1三角格子のピッチの3倍のピッチの面心三角格子に配置され、かつ面心三角格子の一辺は、フォトニック結晶層12の媒質内波長λの2倍に等しい。
(X点発振:長方格子)
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層の共振状態形成用格子点および摂動状態形成用格子点の模式的平面構成は、図99(a)に示すように、長方格子(a1>a2の例)に配置される。また、図99(a)に対応する2次元フォトニック結晶のバンド構造であって、規格化周波数と波数ベクトルの関係は、図99(b)に示すよう表される。
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端(図99(b)のR領域近傍)における光波を回折する共振状態形成用格子点12Aは、図99(a)に示すように、格子定数a1およびa2を有する第1の長方格子に配置され、摂動状態形成用格子点12Pは、第1の長方格子とは別の第2の長方格子に配置される。ここで、第2の長方格子の格子定数は、第1の長方格子の格子定数a1およびa2により定義されるアスペクト比r=a1/a2(r≠1)に対して、媒質内波長λのr倍および媒質内波長λに等しい。
(X点発振:菱形格子)
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aおよび摂動状態形成用格子点12Pの模式的平面構成は、図100(a)に示すように、菱形格子に配置される。また、図100(a)に対応する2次元フォトニック結晶のバンド構造であって、規格化周波数と波数ベクトルの関係は、図100(b)に示すように表される。
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端(図100(b)のR領域近傍)における光波を回折する共振状態形成用格子点12Aは、図100(a)に示すように、格子定数a1およびa2を有する面心長方格子に配置され、摂動状態形成用格子点12Pは、長方格子に配置される。ここで、長方格子の格子定数は、面心長方格子の格子定数a1およびa2により定義されるアスペクト比r=a1/a2(r≠1)に対して、媒質内波長λのr倍および媒質内波長λに等しい。
(X点発振:長方格子)
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層の共振状態形成用格子点12Aおよび摂動状態形成用格子点12Pの模式的平面構成は、図101(a)に示すように、長方格子(a1<a2の例)に配置される。また、図101(a)に対応する2次元フォトニック結晶のバンド構造であって、規格化周波数と波数との関係は、図101(b)に示すように表される。
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端(図101(b)のR領域近傍)における光波を回折する共振状態形成用格子点12Aは、図101(a)に示すように、格子定数a1およびa2を有する第1の長方格子に配置され、摂動状態形成用格子点12Pは、第1の長方格子とは別の第2の長方格子に配置される。ここで、第2の長方格子のx方向およびy方向の格子定数は、第1の長方格子のx方向およびy方向の格子定数a1およびa2に対して、a1および媒質内波長λ(=2a2)に等しい。
(X点発振:菱形格子)
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aの模式的平面構成は、図102(a)に示すように、菱形格子に配置される。また、図102(a)に対応する2次元フォトニック結晶のバンド構造であって、規格化周波数と波数の関係は、図102(b)に示すように表される。
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、フォトニック結晶層12のフォトニックバンド構造におけるX点バンド端(図102(b)のR領域近傍)における光波を回折する共振状態形成用格子点12Aは、図102(a)に示すように、格子定数a1およびa2を有する菱形格子に配置され、摂動状態形成用格子点12Pは、長方格子に配置される。ここで、長方格子の格子定数は、菱形格子の格子定数a1およびa2に対して、媒質内波長λa1および媒質内波長λに等しい。
その他の構成は、第9の実施の形態と同様である。
第10の実施の形態によれば、簡易な構造で安定した発振を維持しつつ、レーザビームのビーム出射角度、ビーム拡がり角度および形状の制御が可能な2次元フォトニック結晶面発光レーザを提供することができる。
(ビーム拡がり角度の制御:共振器領域RPと摂動状態形成領域PP)
共振器領域RPとは、フォトニック結晶層12において共振状態形成用格子点12Aが配置される領域であり、摂動状態形成領域PPとは、フォトニック結晶層12において摂動状態形成用格子点12Pが配置される領域である。
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、摂動状態形成領域PPの幅A、ビーム拡がり角度θ0、およびビーム拡がり領域30の関係は、模式的に図11(a)、図11(b)および図11(c)と同様に表される。すなわち、摂動状態形成領域PP1の幅A1、ビーム拡がり角度θa、およびビーム拡がり領域301の例は図11(a)と同様に表され、摂動状態形成領域PP2の幅A2、ビーム拡がり角度θb、およびビーム拡がり領域302の例は図11(b)と同様に表され、摂動状態形成領域PP3の幅A3、ビーム拡がり角度θc、およびビーム拡がり領域303の例は図11(c)と同様に表される。ここで、図11(a)、図11(b)および図11(c)におけるビーム拡がり角度θ1、θ2、θ3をθa、θb、θcとしている。また、摂動状態形成領域の幅の大小関係は、A1<A2<A3であり、摂動状態形成領域PP1の大きさは相対的に小さく、摂動状態形成領域PP3の大きさは相対的に大きい。また、ビーム拡がり領域301・302・303を規定するビーム拡がり角度の大小関係は、θa>θb>θcが成立している。
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、図11(a)・図11(b)・図11(c)に対応する共振器領域RPの大小関係は、図12(a)と同様に表され、ビーム拡がり角度の大小関係は、図12(b)と同様に表される。すなわち、共振器領域RPの大きさが大きい程、ビーム拡がり角度は小さくなる。
比較例に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、正方格子Γ点発振に適用される2次元フォトニック結晶層の共振器領域RPの大きさの関係を示す図であって、RP1の例は図13(a)と同様に表され、RP2の例は図13(b)と同様に表され、RP3の例は図13(c)と同様に表される。
一方、第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層の共振器領域RPおよび摂動状態形成領域PP大きさの関係を示す図であって、RP1、PP1の例は図14(a)と同様に表され、RP2、PP2の例は図14(b)と同様に示すように表され、RP3、PP3の例は図14(c)と同様に示すように表される。
2次元フォトニック結晶面発光レーザの発振には、ある一定以上の共振器の領域が必要である。そのため比較例に係る正方格子Γ点発振の場合、ビーム拡がり角度θ0を大きくしようとすると、発振に必要な共振器領域RPAが確保できない。すなわち、比較例に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、正方格子Γ点発振を利用するため、共振器領域RPのサイズがそのまま摂動状態形成領域PPのサイズに等しいため、ビーム拡がり角度θ0を大きくしようとして、共振器領域RPのサイズを縮小化すると、図12(a)に示すように、共振器領域RPの大小関係において、RP<RPAの範囲では、発振に必要な共振器領域RPAが確保できないため、発振することができなくなる。
(摂動状態形成と共振器の配置関係)
第10の実施の形態の変形例5に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器領域RPおよび摂動状態形成領域PP内における共振状態形成用格子点12A・摂動状態形成用格子点12Pの配置例は、図103に示すように表される。
また、第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、フォトニック結晶層12に共振状態形成用格子点12Aを配置した例は、図104(a)に示すように表される。ここで、媒質内波長λは、2a2に等しい。また、同一のフォトニック結晶層12に共振状態形成用格子点12Aおよび摂動状態形成用格子点12Pを配置した例は、図104(b)に示すように表される。
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、摂動状態形成用格子点12Pと共振状態形成用格子点12Aの配置関係は、自由に設定可能である。なお、摂動状態形成用格子点12Pと共振状態形成用格子点12Aの配置関係によっては、LD特性(出力、閾値など)が変化する。
図103および図104の例は、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の例であって、第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザに対応している。
(摂動状態形成領域PPによるビーム拡がり角度制御)
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器領域RPと摂動状態形成領域PPの大きさがほぼ等しい場合のNFPは、図105(a)に示すように表され、摂動状態形成領域PPからのビーム拡がり領域30は、図105(b)に示すように表され、図105(a)に対応する共振器領域RPおよび摂動状態形成領域PP内の共振状態形成用格子点12Aおよび摂動状態形成用格子点12Pを配置例は、図105(c)に示すように表される。図105(c)に示された例では、摂動状態形成領域PP内の共振状態形成用格子点12Aに対してy軸方向に摂動が加えられ、摂動状態形成用格子点12P1・12P2・12P3が形成されている。
また、第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、X点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器領域RPと摂動状態形成領域PPの大きさが異なる場合のNFPは、図106(a)に示すように表され、摂動状態形成領域PPからのビーム拡がり領域30は、図106(b)に示すように表され、図106(a)に対応する共振器領域RPおよび摂動状態形成領域PP内の共振状態形成用格子点12Aおよび摂動状態形成用格子点12Pの配置例は、図106(c)に示すように表される。図106(c)に示された例では、摂動状態形成領域PP内の共振状態形成用格子点12Aに対してy軸方向に摂動が加えられ、摂動状態形成用格子点12P1・12P2・12P3が形成されている。
すなわち、第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、共振器領域RPと摂動状態形成領域PPを別々に設計が可能であり、摂動状態形成領域PPの配列のみを変更することで、安定な発振を維持しつつ、面発光レーザ光のビーム出射角度、ビーム拡がり角度を様々に変更可能である。
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、共振状態形成用格子点12Aの配置される共振器領域RPの大きさを維持したまま、摂動状態形成用格子点12Pの配置される摂動状態形成領域PPを変化させることにより、安定した発振を維持しつつレーザビームのビーム出射角度、ビーム拡がり角度を調整することができる。
(摂動状態形成領域PPと共振器領域RPの配置関係)
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、M点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器領域RP・摂動状態形成領域PP内における共振状態形成用格子点12A・摂動状態形成用格子点12Pの配置例は、図107に示すように表される。
また、第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aにy軸方向に摂動を加え、摂動状態形成用格子点(12P1・12P2・12P3)を周期的に配置した例は、図108(a)に示すように表される。
また、フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aにx軸方向に摂動を加え、摂動状態形成用格子点(12P1・12P2・12P3)を周期的に配置した例は、図108(b)に示すように表される。
また、フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aにx軸方向からプラス約45度傾いた方向に摂動を加え、摂動状態形成用格子点(12P1・12P2・12P3)を周期的に配置した例は、図108(c)に示すように表される。
また、フォトニック結晶層12の共振状態形成用格子点12Aにx軸方向からマイナス約45度傾いた方向に摂動を加え、摂動状態形成用格子点(12P1・12P2・12P3)を周期的に配置した例は、図108(d)に示すように表される。
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、摂動状態形成用格子点12Pの配置は、図108(a)〜図108(d)に示すように自由に設定可能である。
(摂動状態形成配置によるビーム形状制御)
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、M点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器領域RPと摂動状態形成領域PPの大きさがほぼ等しい場合のNFPは、図109(a)に示すように表され、摂動状態形成領域PPからのビーム拡がり領域30は、図109(b)に示すように表され、図109(a)に対応する共振器領域RPおよび摂動状態形成領域PP内の共振状態形成用格子点12Aおよび摂動状態形成用格子点12Pを配置例は、図109(c)に示すように表される。図109(c)に示された例では、共振状態形成用格子点12Aに対して、x軸方向からプラス約45度傾いた方向に摂動が加えられ、摂動状態形成用格子点12P1・12P2・12P3が形成されている。
また、第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、M点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器領域RPと摂動状態形成領域PPの大きさが異なる場合のNFPは、図110(a)に示すように表され、摂動状態形成領域PPからのビーム拡がり領域30は、図110(b)に示すように表され、図110(a)に対応する共振器領域RPおよび摂動状態形成領域PP内の共振状態形成用格子点12Aおよび摂動状態形成用格子点12Pを配置例は、図110(c)に示すように表される。図110(c)に示された例では、摂動状態形成領域PP内の共振状態形成用格子点12Aに対して、x軸方向からプラス約45度傾いた方向に摂動が加えられ、摂動状態形成用格子点12P1・12P2・12P3が形成されている。
すなわち、第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、共振器と摂動状態形成を別々に設計が可能であり、摂動状態形成の配列のみを変更することで、安定な発振を維持しつつ、面発光レーザ光のビーム形状を様々に変更可能である。
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、共振状態形成用格子点12Aの配置される共振器領域RPの大きさを維持したまま、摂動状態形成用格子点12Pの配置される摂動状態形成領域PPを変化させることにより、安定した発振を維持しつつレーザビームの発光面の大きさおよび形状を調整することができる。
(その他様々なビームの生成の例)
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、M点発振に適用される2次元フォトニック結晶層12の共振器領域RP内に相対的に大きな円形の摂動状態形成領域PPを有する場合のNFPは、図19(a)と同様に表され、図19(a)に対応するFFPは、図19(b)と同様に表される。ここで、図19(a)のカップラー領域CPが摂動状態形成領域PPに対応する。以下同様である。
また、共振器領域RP内に相対的に小さな円形の摂動状態形成領域PPを有する場合のNFPは、図20(a)と同様に表され、図20(a)に対応するFFPは、図20(b)と同様に表される。
また、共振器領域RP内に相対的に微小な円形の摂動状態形成領域PPを有する場合のNFPは、図21(a)と同様に表され、図21(a)に対応するFFPは、図21(b)と同様に表される。
また、共振器領域RP内に相対的に大きな長円形の摂動状態形成領域PPを有する場合のNFPは、図22(a)と同様に表され、図22(a)に対応するFFPは、図22(b)と同様に表される。
また、共振器領域RP内に相対的に小さな円形の摂動状態形成領域PPを複数配置した場合のNFPは、図23(a)と同様に表され、図23(a)に対応するFFPは、図23(b)と同様にに示すように表される。
また、共振器領域RP内に互いに直交する2個の長円形の摂動状態形成領域PPを有する場合のNFPは、図24(a)と同様にに示すように表され、図24(a)に対応するFFPは、図24(b)と同様にに示すように表される。
また、共振器領域RP内に互いに60度で交差する3個の長円形の摂動状態形成領域PPを有する場合のNFPは、図25(a)と同様にに示すように表され、図25(a)に対応するFFPは、図25(b)と同様にに示すように表される。
また、共振器領域RP内に互いに120度で交差する2個の長円形の摂動状態形成領域PPを有する場合のNFPは、図26(a)と同様にに示すように表され、図26(a)に対応するFFPは、図26(b)と同様にに示すように表される。
また、共振器領域RP内に互いに72度で交差する5個の長円形の摂動状態形成領域PPを有する場合のNFPは、図27(a)と同様にに示すように表され、図27(a)に対応するFFPは、図27(b)と同様にに示すように表される。
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、図19〜図27に示すように、フォトニックバンド構造におけるM点バンド端における発振において、発振領域の大きさを維持したまま、摂動状態形成領域PPの大きさを相対的に変化させることにより、レーザビームの発光面の大きさや形状を調整可能である。NFPのサイズ例としては、数10μm角、数100μm角、1mm角とさまざまなサイズの形成可能であり、対応するFFPについても同様である。
第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいては、レーザビームの発光面の大きさや形状により、レーザビームのビーム拡がり角度θ0や形状が決定されるため、レーザビームのビーム拡がり角度および形状の制御が可能となる。光増幅のための周期構造を維持してさえいれば、この摂動状態形成領域PPの大きさや形状を変化させても発振は可能である。
レーザビームの拡がり角度θ0や形状は、発光面の大きさや形状によって決定されるため、例えば、レーザビームの拡がり角度θ0を大きくしたい場合には、光増幅の共振器領域RPの大きさはそのままで、摂動状態形成領域PPの大きさを相対的に小さくすれば良い。また、レーザビームの形状を長方形にしたい場合には、摂動状態形成領域PPも長方形にすれば良い。
特に、第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザは、レーザビームのビーム出射角度、ビーム拡がり角度および形状の制御が可能であることから、図49〜図57に示すような各種形状は、レンズフリーのマーカーなどに利用することができる。
[第11の実施の形態]
(2次元セルアレイ)
第11の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、2次元セルアレイ化して高出力化を図った構成例は、図111に示すように表される。すなわち、第9〜第10の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザのセル32を基板100上に2次元配置し、2次元セルアレイ化しても良い。例えば、21個のセル32を2次元配置し、2次元セルアレイ化した例では、1kHz、50nsecのパルス駆動において、電流値約50Aで35W以上の高出力の2次元フォトニック結晶面発光レーザが得られている。
図111に示す例において、各セル32には、摂動状態形成領域PPと共振器領域RPの面積比の異なるセルを配置しても良い。摂動状態形成領域PPと共振器領域RPの面積比の異なる複数のセル32を同一の基板100上に配置し、選択的に駆動することによって、レーザビームのビーム拡がり角度および形状の制御が可能な高出力多機能2次元フォトニック結晶面発光レーザアレイを提供することができる。
第11の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、第1クラッド層上の2次元フォトニック結晶層12に共振状態形成用格子点12Aの基本パターンT0を配置すると共に、矩形形状の摂動状態形成領域PP1・PP2・PP3・PP4の摂動パターンT1・T2・T3・T4を配置する2次元セルアレイ化構成例は、図112(a)に示すように表される。また、第1クラッド層上の2次元フォトニック結晶層12に共振状態形成用格子点12Aの基本パターンT0を配置すると共に、六角形形状の摂動状態形成領域PP1・PP2・PP3の摂動パターンT1・T2・T3を配置する2次元セルアレイ化構成例は、図112(b)に示すように表される。
図112(a)および図112(b)に示す例においては、複数の摂動パターンを配置することによって、レーザビームのビーム出射角度、ビーム拡がり角度および形状の制御が可能な高出力多機能2次元フォトニック結晶面発光レーザアレイを提供することができる。
第11の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、同一の基板100上に図112(b)に示された構成を複数のチップCH1・CH2・CH3・CH4に配置した2次元セルアレイ化構成例は、図113に示すように表される。
図113に示す例においては、同一の基板100上に、それぞれ複数の摂動パターンT1・T2・T3を有する複数のチップCH1・CH2・CH3・CH4を配置し、選択的に駆動することによって、レーザビームのビーム拡がり角度および形状の制御が可能な高出力多機能2次元フォトニック結晶面発光レーザアレイを提供することができる。
また、第11の実施の形態に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、同一の基板100上に互いにFFP(FFP1・FFP2・FFP3・FFP4)の異なる複数のチップCH1・CH2・CH3・CH4を配置した2次元セルアレイ化構成例は、図114に示すように表される。
図114に示す例においては、同一の基板100上に、それぞれ異なるFFP1・FFP2・FFP3・FFP4を有するチップCH1・CH2・CH3・CH4を配置し、選択的に駆動することによって、レーザビームのビーム拡がり角度および形状の制御が可能な高出力多機能2次元フォトニック結晶面発光レーザアレイを提供することができる。
以上説明したように、本発明によれば、簡易な構造で安定した発振を維持しつつ、レーザビームのビーム出射角度、ビーム拡がり角度および形状の制御が可能な2次元フォトニック結晶面発光レーザを提供することができる。
[その他の実施の形態]
上記のように、本発明は第1〜第11の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。