JP4185697B2 - 2次元フォトニック結晶面発光レーザアレイ及び2次元フォトニック結晶面発光レーザ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、2次元フォトニック結晶面発光レーザアレイ及び2次元フォトニック結晶面発光レーザに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、基板面から垂直方向にレーザ光を出射する面発光レーザが種々開発、研究されている。面発光レーザは同一基板上に多数の素子を集積(アレイ化)でき、各素子からコヒーレントな光が並列的に出射されるため、並列光ピックアップ、並列光伝送、光並列情報処理の分野での用途が期待されている。
【0003】
この種の面発光レーザとして、フォトニック結晶を利用した2次元フォトニック結晶面発光レーザが特開2000−332351号公報に開示されている。フォトニック結晶とは、光の波長と同程度もしくはより小さい屈折率周期を有する結晶であり、誘電体の多次元周期構造体では半導体の結晶中で電子状態にバンドギャップが生じることと同様の原理により、光の導波を抑制する波長帯(フォトニックバンドギャップ)が生じ、光を2次元又は3次元に閉じこめることが可能である。
【0004】
前記公報記載の2次元フォトニック結晶面発光レーザは、キャリアの注入により発光する活性層の近傍に、2次元的に屈折率周期を配置したフォトニック結晶周期構造体を備え、フォトニック結晶により共振して面発光するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記2次元フォトニック結晶面発光レーザをアレイ化しようとすると、光の共振方向が面内方向であるため、隣接するレーザ間にクロストークが生じる。特に、光の偏光方向が定まっていないと、面内での光の進行方向(ポインティングベクトル)も四方八方に向かい、それぞれのレーザをどのように並べてもクロストークが生じる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、クロストークの発生を抑えることのできる2次元フォトニック結晶面発光レーザアレイを提供することにある。
【0007】
また、本発明の他の目的は、レーザ出力をモニタするための光センサを容易に配置することのできる2次元フォトニック結晶面発光レーザを提供することにある。
【0008】
【発明の構成、作用及び効果】
以上の目的を達成するため、第1の発明は、キャリアの注入により発光する活性層をクラッド層で挟み込み、該クラッド層又は該活性層に2次元的に屈折率周期を配置したフォトニック結晶周期構造体を備えた2次元フォトニック結晶面発光レーザアレイにおいて、前記クラッド層上に設けた上部電極が前記フォトニック結晶周期構造体内におけるポインティングベクトルとは異なる方向であって、ポインティングベクトルとは45°〜90°で交差する範囲内に配列されていることを特徴とする。
【0009】
第1の発明においては、フォトニック結晶により共振して増幅された光が上部電極の周囲の発光領域からコヒーレントな光として出射する。上部電極はフォトニック結晶周期構造体内における光の進行方向(ポインティングベクトル)とは異なる方向であって、ポインティングベクトルとは45°〜90°で交差する範囲内に配列されているため、隣接するレーザ素子間のクロストークが生じにくくなる。
【0010】
特に、光の偏光方向を揃えることが重要であり、そのためには、フォトニック結晶周期構造体の単位格子形状を楕円にすることが好ましい。それ以外に、媒質の屈折率を調整したり、周期構造に乱れ(格子欠陥)を導入してもよい。フォトニック結晶周期構造体の格子形状は正方格子や三角格子等任意であるが、正方格子であれば設計が容易である。
【0011】
また、第2の発明は、キャリアの注入により発光する活性層をクラッド層で挟み込み、該クラッド層又は該活性層に2次元的に屈折率周期を配置したフォトニック結晶周期構造体を備えた2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、レーザ出力をモニタするための光センサが、前記フォトニック結晶周期構造体内におけるポインティングベクトルに対して略直交する面で受光する位置に設けられていることを特徴とする。
【0012】
2次元フォトニック結晶面発光レーザでは、1次回折を利用して面発光させるが、2次回折光も漏れており、第2の発明ではその漏れ光を光センサで検出するようにしたため、光センサを基板と並置することができ、光センサの配置が容易になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザアレイ及び2次元フォトニック結晶面発光レーザの実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0014】
(基本構造及び共振作用、図1、図2参照)
本発明に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザアレイは、図1に示す2次元フォトニック結晶面発光レーザを同一基板上に複数素子並設したものである。
【0015】
この2次元フォトニック結晶面発光レーザ10は、概略、基板11上に下部クラッド層12、活性層13、上部クラッド層14が積層され、下部クラッド層12には活性層13の近傍に2次元フォトニック結晶20が内蔵されている。
【0016】
基板11は、例えば、n型InPの半導体材料からなる。下部クラッド層12及び上部クラッド層14は、例えば、それぞれn型及びp型InPの半導体層であり、活性層13よりも屈折率が低い。2次元フォトニック結晶20は、下部クラッド層12に形成した空孔(フォトニック結晶周期構造体21)にて構成され、下部クラッド層12とは屈折率の異なる媒質が2次元の周期で配列された正方格子や三角格子からなっている。空孔内にはSiN等を充填してもよい。活性層13は、例えば、InGaAs/InGaAsP系の半導体材料を用いた多重量子井戸構造からなっており、キャリアの注入により発光する。
【0017】
下部クラッド層12及び上部クラッド層14により活性層13を挟んでダブルヘテロ接合を形成し、キャリアを閉じこめて発光に寄与するキャリアを活性層13に集中させるようになっている。
【0018】
基板11の底面及び上部クラッド層14の上面には金等からなる下部電極16及び上部電極17が形成されている。電極16,17間に電圧を印加することにより活性層13が発光し、該活性層13から漏れた光が2次元フォトニック結晶20に入射する。2次元フォトニック結晶20の格子間隔に波長が一致する光は、2次元フォトニック結晶20により共振して増幅される。これにより、上部クラッド層14の上面(電極17の周囲に位置する発光領域18)からコヒーレントな光が面発光される。
【0019】
ここで、図2に示すような正方格子からなる2次元フォトニック結晶20について共振作用を説明する。2次元フォトニック結晶20は、第1媒質12内に空孔等の第2媒質21と直交する2方向に同じ周期で形成した正方格子からなっている。正方格子はΓ−X方向とΓ−M方向の代表的な方向を有している。Γ−X方向に隣接する第2媒質21の間隔をaとすると、第2媒質21を格子点とした一辺がaの正方形からなる基本格子Eが形成されている。
【0020】
波長λが基本格子Eの格子間隔aに一致する光LがΓ−X方向に進行すると、光Lは格子点で2次回折される。このうち、光Lの進行方向に対して0°、±90°、180°の方向に回折された光のみがブラッグ条件を満たす。さらに、0°、±90°、180°の方向に回折された光の進行方向にも格子点が存在するため、回折光は再度進行方向に対して0°、±90°、180°方向に回折する。
【0021】
光Lが1回又は複数回の2次回折を繰り返すと、回折光が元の格子点に戻るため共振作用が生じる。また、紙面に垂直な方向に1次回折された光もブラッグ条件を満たす。このため、共振によって増幅された光が上部クラッド層14を介して出射され、面発光機能を有することになる。また、全ての格子点でこの現象が生じるため、面内全域でコヒーレントなレーザ発振が可能である。
【0022】
(フォトニック結晶周期構造体とポインティングベクトルの向き、図3〜図5参照)
本発明の課題とされているクロストークを防止するには、フォトニック結晶20内における光の進行方向(ポインティングベクトル)を一定にすること、即ち、光の偏光方向を揃えることが重要である。偏光方向を揃えるには、媒質21の屈折率を調整したり、周期構造に乱れ(格子欠陥)を導入することで可能であるが、本実施形態においては、下部クラッド層12に内蔵されたフォトニック結晶周期構造体21を形成する単位格子形状を楕円形状とした。該周期構造体21を楕円とすることにより、フォトニックバンドから決まるモードによっては、楕円の長軸方向とポインティングベクトルPの方向が同じ場合(図3(A)参照、モードA,D)と、異なる場合(図3(B)参照、モードB,C)とが存在する。
【0023】
いずれのモードにあっても、レーザ素子をできるだけ狭小ピッチでアレイ化するためには、上部クラッド層14の上面に形成する上部電極17を、ポインティングベクトルPと同じ方向に配列しなければよい。
【0024】
図4、図5は、ポインティングベクトルPと電界(偏光)Dの方向に関して各面発光レーザ10(上部電極17)の配置関係を示す。図4に示すように、上部電極17をポインティングベクトルPと同じ方向に配列して面発光レーザアレイ30を構成すると、隣接するレーザ10間にクロストークが発生し、各レーザ10から出射するレーザ光を独立して制御できなくなるおそれがある。クロストークを防止するには各レーザ10の間隔を大きく設定する必要があり、これではアレイが大型化してしまう。
【0025】
これに対して、図5に示すように、上部電極17をポインティングベクトルPの方向と直交する方向に配列して面発光レーザアレイ30を構成すると、隣接するレーザ10間のクロストークは小さくなり、各レーザ10の間隔を小さく設定することが可能となる。
【0026】
クロストークを小さくするためには、上部電極17をポインティングベクトルPと直交する方向に配列することが最も望ましいが、45°に交差する方向に配列した場合であっても、クロストークを抑えてアレイ30を小型化する効果を発揮する。
【0027】
(光センサの配置、図6参照)
図6は、前記2次元フォトニック結晶面発光レーザ10をアレイ化したレーザアレイ30に対して、レーザ出力をモニタするための光センサ35を取り付けた状態を示す。ここで、光センサ35はポインティングベクトルPに対して直交する位置に設けられている。
【0028】
2次元フォトニック結晶面発光レーザ10では1次回折を利用して図6の紙面に垂直方向にレーザ光を出射するが、2次回折光も基板11の側面から漏れている。光センサ35をポインティングベクトルPと略直交する位置に設けて2次回折光を検出することで、レーザ出力をモニタすることができる。この場合、光センサ35は基板11と並置すればよく、配置が容易である。なお、光センサ35はレーザアレイ30のみならず、面発光レーザ10単体に配置してもよい。
【0029】
ちなみに、従来一般的な面発光レーザとして知られているVCSELでは、モニタ用の光センサは出射面と反対側の基板下面に配置することが必要で、これでは光センサの配置が困難であった。
【0030】
(他の実施形態)
なお、本発明に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザアレイ及び2次元フォトニック結晶面発光レーザは前記実施形態に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0031】
特に、半導体層、フォトニック結晶、電極の材料や、光の偏光を揃えるための構造、格子形状等は任意である。また、前記実施形態では、フォトニック結晶周期構造体を下部クラッド層に設けた例を示したが、上部クラッド層内の活性層近傍もしくは活性層内に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る2次元フォトニック結晶面発光レーザアレイの1単位である面発光レーザの基本構成を示す斜視図。
【図2】前記面発光レーザの共振作用を示す説明図。
【図3】フォトニック結晶周期構造体の形状とポインティングベクトルの方向を示す説明図。
【図4】ポインティングベクトルの方向と面発光レーザの配置関係を示す説明図、好ましくない関係を示す。
【図5】ポインティングベクトルの方向と面発光レーザの配置関係を示す説明図、好ましい関係を示す。
【図6】2次元フォトニック結晶面発光レーザアレイに光センサを設けた状態を示す平面図。
【符号の説明】
10…2次元フォトニック結晶面発光レーザ
11…基板
12…下部クラッド層(第1媒質)
13…活性層
14…上部クラッド層
16…下部電極
17…上部電極
20…2次元フォトニック結晶
21…フォトニック結晶周期構造体(第2媒質)
30…2次元フォトニック結晶面発光レーザアレイ
35…光センサ
P…ポインティングベクトル
Claims (4)
- キャリアの注入により発光する活性層をクラッド層で挟み込み、該クラッド層又は該活性層に2次元的に屈折率周期を配置したフォトニック結晶周期構造体を備えた2次元フォトニック結晶面発光レーザアレイにおいて、
前記クラッド層上に設けた上部電極が前記フォトニック結晶周期構造体内におけるポインティングベクトルとは異なる方向であって、ポインティングベクトルとは45°〜90°で交差する範囲内に配列されていること、
を特徴とする2次元フォトニック結晶面発光レーザアレイ。 - 前記フォトニック結晶周期構造体が正方格子に配列されていることを特徴とする請求項1記載の2次元フォトニック結晶面発光レーザアレイ。
- 前記フォトニック結晶周期構造体の単位格子形状が楕円であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の2次元フォトニック結晶面発光レーザアレイ。
- キャリアの注入により発光する活性層をクラッド層で挟み込み、該クラッド層又は該活性層に2次元的に屈折率周期を配置したフォトニック結晶周期構造体を備えた2次元フォトニック結晶面発光レーザにおいて、
レーザ出力をモニタするための光センサが、前記フォトニック結晶周期構造体内におけるポインティングベクトルに対して略直交する面で受光する位置に設けられていること、
を特徴とする2次元フォトニック結晶面発光レーザ。
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