以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
図1は、本実施の形態に従う電動機の制御装置が適用された燃焼装置を含む給湯装置の概略構成図である。
図1を参照して、給湯装置100は、一次熱交換器11、二次熱交換器21および燃焼バーナ30等が格納された燃焼缶体(以下、単に「缶体」とも称する)10と、送風ファン40と、入水管50と、バイパス管60と、出湯管70と、コントローラ200とを備える。
入水管50および出湯管70の間にはバイパス管60が配置される。入水管50には、バイパス管60への分流を制御するための分配弁80が介挿接続される。さらに、入水管50には、温度センサ110および流量センサ150が配置される。温度センサ110は、入水温度Twを検出する。
入水管50には、水道水等が給水される。分配弁80の開度に応じて、給水量の一部が入水管50からバイパス管60へ分流される。すなわち、入水管50への全体給水量に対する分流量の割合は、分配弁80の開度に応じて制御される。流量センサ150は、分配弁80よりも下流側(缶体側)に配置される。したがって、流量センサ150によって検出される流量Qは、缶体10を通過する流量(缶体流量)を示している。
入水管50の水は、まず二次熱交換器21によって予熱された後、一次熱交換器11において主加熱される。一次熱交換器11および二次熱交換器21によって所定温度まで加熱された湯は、缶体10から出湯管70へ出力される。
出湯管70は、合流点75においてバイパス管60と接続される。したがって、給湯装置100からは、缶体10から出力された高温湯と、バイパス管60からの水とを混合した適温の湯が、台所や浴室等の給湯栓190や、図示しない風呂への注湯回路などの所定の給湯箇所に供給される。
出湯管70には、流量調整弁90および温度センサ120,130が設けられる。温度センサ120は、出湯管70のバイパス管60との合流点75よりも上流側(缶体側)に配置されて、缶体10からの出力湯温(以下、缶体温度)を検出する。温度センサ130は、合流点75よりも下流側(出湯側)に設けられて、バイパス管60からの水が混合された後の出湯温度Thを検出する。流量調整弁90は、出湯流量を制御するために設けられる。たとえば、燃焼開始直後の加熱能力が不足する期間中において、流量調整弁90の開度を絞ることにより、出湯温度Thが低下することを防止することができる。
給湯装置100では、燃焼バーナ30および送風ファン40によって、燃焼装置を構成することができる。缶体10では、当該燃焼装置による発生熱量により、一次熱交換器11および二次熱交換器21で、入水管50から供給された水が加熱される。
缶体10において、燃焼バーナ30から出力された燃料ガスは、送風ファン40からの燃焼用空気と混合される。図示しない点火装置によって混合気が着火されることにより、燃料ガスが燃焼されて火炎が生じる。燃焼バーナ30からの火炎によって生じる燃焼熱は、缶体10内で一次熱交換器11および二次熱交換器21へ与えられる。
一次熱交換器11は、燃焼バーナ30による燃焼ガスの顕熱(燃焼熱)により入水を熱交換によって加熱する。二次熱交換器21は、燃焼バーナ30からの燃焼排ガスの潜熱によって通流された水を熱交換によって加熱する。缶体10の燃焼ガスの流れ方向下流側には熱交換後の燃焼排ガスを排出処理するための排気経路15が設けられる。
燃焼バーナ30へのガス供給管31には、元ガス電磁弁32、ガス比例弁33および、能力切換弁35a〜35cが配置される。元ガス電磁弁32は、燃焼バーナ30への燃料ガスの供給をオンオフする機能を有する。ガス供給管31のガス流量は、ガス比例弁33の開度に応じて制御される。
能力切換弁35a〜35cは、複数の燃焼バーナ30のうちの、燃料ガスの供給対象となるバーナ本数を切換えるために開閉制御される。図1の例では、10本の燃焼バーナ30のうち、図中左側の5本の燃焼バーナ30に対する燃料ガスの供給が、能力切換弁35aの開閉に応じてオンオフされる。同様に、図中央の2本の燃焼バーナ30に対する燃料ガスの供給が、能力切換弁35bの開閉に応じてオンオフされ、図中右側の3本の燃焼バーナ30に対する燃料ガスの供給が、能力切換弁35cの開閉に応じてオンオフされる。
燃焼装置からの発生熱量は、バーナ本数およびガス流量の組み合わせによって決まる、燃焼バーナ30全体からの供給ガス量に比例する。したがって、燃焼装置に対する要求発生熱量に対応させて、能力切換弁35a〜35cの開閉パターン(バーナ本数)およびガス比例弁33の開度(ガス流量)の組み合わせを決定する設定マップを予め作成することができる。
送風ファン40による送風量は、燃焼バーナ30全体からの供給ガス量との空燃比が所定値(たとえば、理想空燃比)となるように制御される。送風ファン40の送風量は、ファン回転数と比例するので、送風ファン40の回転数は、供給ガス量の変化に応じて設定される目標回転数に従って制御される必要がある。
送風ファン40は、「電動機」で構成されたファンモータ42によって駆動される。一般的に、電動機は、電気的入力(電圧および/または電流)に応じて回転数が変化する特性を有する。図1の例では、ファンモータ42は、直流電動機によって構成される。すなわち、ファンモータ42の回転数は、図示しない電力変換器からファンモータに供給されるファン駆動電圧によって制御される。送風ファン40の回転数(ファン回転数)は、回転数センサ45によって検出される。
図1の構成例では、ファン回転数は、ファンモータ42の回転数に対応する。したがって、図1に示された給湯装置中の燃焼装置では、送風ファン40のファン回転数制御は、ファンモータ42の回転数制御と等価である。たとえば、回転数センサ45は、送風ファン40またはファンモータ42の回転体に取付けられた電磁ピックアップ式のセンサによって構成される。
コントローラ200は、各センサからの出力信号(検出値)およびユーザ操作を受けて、給湯装置100の全体動作を制御するために、各機器への制御指令を発生する。ユーザ操作には、給湯装置100の運転オン/オフ指令および設定湯温(Tr*)指令が含まれる。制御指令には、各弁の開閉および開度指令、ファンモータ42への電気的入力指令(ファン駆動電圧指令)が含まれる。
コントローラ200は、給湯装置100の運転指令がオンされると、流量センサ150によって検出される流量Qが最低作動流量(MOQ)を超えるのに応じて、燃焼装置による燃焼動作をオンする。燃焼動作がオンされると、元ガス電磁弁32が開放されて、燃焼バーナ30への燃料ガスの供給が開始される。
給湯装置100では、合流点75よりも下流側(出湯側)に配置された流量調整弁90からは、缶体10からの加熱水(温度Tw+ΔT)と、バイパス管60からの非加熱水(温度Tw)とを混合した湯が出力される。なお、全体の給水量に対する、分配弁80の開度に応じたバイパス管60への分流率を(1−r)とすると(0<r≦1.0)、流量センサ150によって検出される流量Q(缶体流量)を用いて、流量調整弁90からの出湯流量は、Q/rで示される。
コントローラ200は、燃焼動作のオン時には、燃焼装置に対する要求発生熱量P*を算出する。具体的には、分配弁80による分流率を考慮して、設定湯温Tr*および入水温度Twから缶体温度の目標値が算出される。燃焼装置による昇温量をΔTとすると缶体温度はTw+ΔTとなるため、缶体温度の上記目標値から入水温度Twを減算することによって、燃焼装置による昇温量ΔTを求めることができる。
コントローラ200は、燃焼装置への要求発生熱量P*を、流量Qおよび昇温量ΔTから算出する(P*=Q・ΔT)。さらに、コントローラ200は、要求発生熱量P*に応じて、燃焼バーナ30全体からの供給ガス量を設定する。具体的には、当該供給ガス量を実現するようなバーナ本数およびガス流量の組合せが、上記設定マップに従って定められる。コントローラ200は、当該設定マップに従ったバーナ本数およびガス流量が実現されるように、ガス比例弁33の開度および能力切換弁35a〜35cの開閉を制御する。
さらに、コントローラ200は、ファン回転数の目標値N*(以下、目標回転数N*)を設定する。上述のように、目標回転数N*は、燃焼装置からの要求発生熱量P*、すなわち燃焼バーナ30全体からの供給ガス量に比例して設定される必要がある。
さらに、コントローラ200は、送風ファン40を駆動するファンモータ42の制御によって、ファン回転数を目標回転数N*に制御する。
図2は、本実施の形態に従う電動機制御が適用されたファンモータの回転数制御の機能ブロック図である。なお、図2を始めとする各機能ブロック図中の各ブロックの機能は、コントローラ200の所定プログラムの実行によるソフトウェア処理によって実現されてもよく、当該機能を実現するための専用のハードウェア(電子回路)をコントローラ200内に構築してもよい。
図2を参照して、コントローラ200は、偏差演算部205と、フィードバック制御部210と、フィードフォワード制御部220と、学習部230と、加算部250とを有する。
コントローラ200は、回転数制御の制御対象であるファンモータ42の制御入力量Uvを制御周期毎に演算する。制御入力量Uvは、ファンモータ42を構成する直流電動機に供給される電圧ないし電流である。
偏差演算部205は、目標回転数N*と、回転数センサ45によるファン回転数Nの検出値(以下、検出回転数Ndとも称する)との回転数偏差ΔN(ΔN=N*−Nd)を演算する。フィードバック制御部210は、回転数偏差ΔNに応じて、フィードバック制御量Ufbを算出する。たとえば、フィードバック制御部210は、回転数偏差ΔNに対する、P(比例)制御、I(積分)制御およびD(微分)制御のうちの少なくとも一部によって構成される。
フィードフォワード制御部220は、目標回転数N*に応じてフィードフォワード制御量Uffを演算する。加算部250は、フィードフォワード制御量Uffおよびフィードバック制御量Ufbの和に従って、ファンモータ42の制御入力量Uvを算出する。
このように、コントローラ200は、フィードフォワード制御およびフィードバック制御の組み合わせによって、検出回転数Ndを目標回転数N*と一致させるように、制御入力量Uvを算出する。
ここで、回転数制御には、目標回転数N*の変化に検出回転数Ndを速やかに追従させる過渡応答制御と、一定の目標回転数N*に対して検出回転数Ndを安定させる定常制御との両方が求められる。フィードバック制御は、回転数偏差ΔNに基づく制御であるので、主に定常制御に寄与する。一方で、過渡応答制御は、主にフィードフォワード制御によって実現される。
上述のように、給湯装置100においては、目標回転数N*は、燃焼装置における要求発生熱量P*(すなわち、燃焼バーナ30全体からのガス供給量)に応じて変化する。このため、目標回転数N*は、1回の燃焼運転中において、一定に維持されることはなく、流量Q等の変化に応じて変化する。したがって、目標回転数N*の変化に対応するためのフィードフォワード制御の重要度が高まる。
フィードフォワード制御部220は、ファンモータ42の静特性を示す一次関数モデルに従ってフィードフォワード制御量Uffを算出する。
図3は、ファンモータ42の静特性モデルの一例を示すグラフである。図3には、ファンモータ42の制御入力量Uvを横軸とし、ファン回転数Nを縦軸とするUv−N座標平面が示される。
図3を参照して、ファン回転数Nは、ファンモータ42への制御入力量Uvの変化に対して、下記(1)式によって示される、Uv−N座標平面上の一次関数モデル500に従って変化する。
N=k・Uv+b …(1)
(1)式において、一次関数の傾きkは、ファンモータ42への制御入力量Uvの変化量ΔUvに対するファン回転数の変化量ΔNで示される。bは定数項である。
実機実験結果等に従って一次関数モデル500を策定することにより、目標回転数N*の変化に応じて、フィードフォワード制御量Uffを、目標回転数N*の変化量ΔN*に応じて、k・ΔN*だけ即座に変化させることができる。
したがって、一次関数モデル500に誤差が生じると、フィードフォワード制御量Uffの変化量(k・ΔN*)が過剰あるいは不足となることによって、ファン回転数Nが目標回転数N*の変化に迅速に追従できなくなる。たとえば、図3に示した一次関数モデル500が、モータの個体差や設置状況の変化等の影響によって、実際の静特性に対して誤差を有することが懸念される。
図1に示した給湯装置100への適用例では、排気経路15における煤の付着等によって、送風ファン40の回転に対する空気抵抗が変化することによって、ファンモータ42の静特性(制御入力量Uv−ファン回転数N)が変化することが懸念される。この静特性は、煤の付着度合い、すなわち、排気経路15の閉塞度合いに応じて変化する。
図4には、排気経路15の閉塞度合いの変化に応じたファンモータの静特性の変化を示すグラフが示される。図4において、横軸にはファンモータ42の制御入力量Uvが示され、縦軸には検出回転数Ndが示される。
図4を参照して、ファンモータ42の静特性は、排気経路15の閉塞度合いが一定の下で、制御入力量Uvを変化させながら検出回転数Ndをサンプリングするとともに、測定データに最小二乗法等を適用することによって得られる。排気経路15の閉塞度合いを複数水準に設定し、各水準において得られた静特性が、図4中の特性線500〜504として示される。
図4において、特性線500は、新品時、すなわち排気経路15に閉塞がない場合における、一次関数モデルに相当する。これに対して、特性線501〜504は、排気経路15に閉塞が生じた際の一次関数モデルに相当する。特性線501、502,503および504の順に、排気経路15の閉塞度合いが高くなる。
閉塞度合いが高くなると、送風ファン40の回転に応じて導入される外気量が減少する。このため、空気抵抗の減少に応じて、同一の制御入力量Uvに対するファン回転数が上昇する。このような、排気経路15の閉塞による静特性の変化は、設置状況等による経年的変化の代表例として示される。あるいは、ファンモータ42の個体差によって、新品当初から、ファンモータ42の実際の静特性が、一次関数モデル500に対して誤差を有することもあり得る。
図5には、一次関数モデルが誤差を有する場合の制御誤差の発生を説明するための概念的なグラフが示される。
図5には、ファンモータ42の実際の静特性が特性線505(図5)で示される状態において、一次関数モデル500に従ってフィードフォワード制御を実行したときの制御動作が示される。図5において、横軸にはファン回転数Nが示され、縦軸にはファンモータ42の制御入力量Uvが示される。
図5を参照して、目標回転数N*=N1の状態では、実際の特性線505に沿って、制御入力量Uv=U1となった状態でファン回転数N=N1に制御される。したがって、一次関数モデル500に従ったフィードフォワード制御では、制御入力量UvがΔU1不足する。この不足分ΔU1は、フィードバック制御量Ufbによって補償されている。
この状態から目標回転数N*がN2へ変化した場合を考える。この場合、フィードフォワード制御量Uffは、一次関数モデル500の傾きが等しい特性線500♯に従って増加する。特性線500♯は、一次関数モデル500をΔU1シフトしたものに相当する。
一方で、ファン回転数N=N2に制御するためには、実際の特性線505に従って、制御入力量Uv=U2とすることが必要である。このため、フィードフォワード制御のみでは、制御入力量UvがΔU2不足するため、ΔU2に相当する回転数偏差が発生する。この回転数誤差は、回転数偏差に応じたフィードバック制御によって補償される。
フィードバック制御は、主に、比例項および積分項によって定常的な偏差を補償する。特に積分項は、オフセット誤差を補償して、定常的な偏差を解消することには有効であるが、位相遅れが必然的に存在するため、制御目標値(ここでは、目標回転数N*)が頻繁に変化する制御系では、制御ゲインを高めることが困難である。
したがって、図1に示された給湯装置100内のファンモータ42の回転数制御のように、制御目標値(ここでは、目標回転数N*)が高頻度に変化する制御系では、フィードフォワード制御が重要である。本実施の形態に従う電動機制御では、図2に示した学習部230によって、ファンモータ42の実際の動作状態に基づいて一次関数モデル式を学習することによって、フィードフォワード制御の精度を向上させる。
再び図2を参照して、学習部230は、ファンモータ42の制御入力量Uvおよびファン回転数Nの実績(検出回転数Kd)に基づいて、一次関数モデル500の傾きkの学習値kL(以下、傾き学習値kLとも称する)を逐次演算する。
図6は、学習部230による一次関数モデルの学習手法を説明するための概念図である。図6には、図3と同様にUv−N座標平面が示される。
図6を参照して、本実施の形態に従う電動機制御では、ファンモータ42の一次関数モデル500上に、傾きkが変化しても常に通過する一定の基準点550が設定される。基準点550は、Uv−N座標平面上の基準入力量U0および基準回転数N0の組み合わせによって規定される。
図4に示された一次関数モデル500および特性線501〜504からも、低回転数領域において、同一の制御入力量Uvに対するファン回転数Nをほぼ同一とみなせる基準点(U0,N0)を、実機実験等によって決定できることが理解される。
したがって、学習部230は、図6に示されるように、一次関数モデル500を、基準点(U0,N0)を通る一次関数であると定義して、実際の制御入力量Uvおよびファン回転数Nから、傾きkを学習する。たとえば、一次関数モデル500の初期状態では、傾きkの学習値kL=k0(初期値)である。初期状態から、ファンモータ42の静特性が変化して、特性線505に従ってファン回転数Nが変化する状態では、学習部230によって、学習値kL=k1に更新される。したがって、更新された学習値kLを用いてフィードフォワード制御を行なうことにより、図5に示された制御入力量Uvの誤差ΔU1,ΔU2を減少することができる。
図7は、学習部230による制御構成を説明するための機能ブロック図である。
図7を参照して、学習部230は、傾き演算部232および更新処理部235を有する。傾き演算部232は、実際の制御入力量Uvおよび検出回転数Ndに基づいて、基準点(U0,N0)を通過する一次関数モデルの傾きkを、逐次演算する。
たとえば、傾き演算部232は、第n(n:自然数)番目の制御周期において、下記(2)式に従って、前回の第(n−1)番目の制御周期における一次関数モデルの傾きk(n−1)の実績値を演算する。
k(n−1)=(Nd(n−1)−N0)/(Uv(n−1)−U0) …(2)
なお、式(2)中において、Nd(n−1)およびUv(n−1)は、第(n−1)番目の制御周期における検出回転数Ndおよびファンモータ42の制御入力量Uvをそれぞれ示す。すなわち、傾き演算部232は、各制御周期において、基準入力量U0(定数)と実際の制御入力量Uvとの差分、および、基準回転数N0(定数)と検出回転数Ndとの差分の間の実績比率を、一次関数モデルの傾きの実績値として逐次演算している。
更新処理部235は、各制御周期で逐次得られる傾きkの時系列変化を平滑化処理することによって、傾き学習値kLを逐次更新する。
たとえば、更新処理部235は、ローパスフィルタ処理により、これまでの傾き学習値kLに対して、新たに演算された傾き実績値k(n−1)を反映することによって、傾き学習値kLを更新する。たとえば、更新処理部235は、下記(3),(4)式に従って、第n番目の制御周期における傾き学習値kL(n)を算出する。
kL(n)=α・k(n−1)+(1−α)・kL(n−1) …(3)
α=1/(L+1),(1−α)=L/(L+1) …(4)
式(4)に示されたLは、更新処理部235における学習速度を調整するためのパラメータであり、L≧0である。L=0とすると、α=1となるので、逐次演算された傾き実績値k(n−1)がそのまま傾き学習値kL(n)とされる(kL(n)=k(n−1))。すなわち、学習速度は最大値となる。一方で、L=∞とすると、α=0となるので、傾き学習値kL(n)は変化しなくなる。すなわち、学習が停止される。
このように、調整パラメータLが大きくなる程、αは小さくなり、傾き実績値を傾き学習値に反映する割合が低くなる。すなわち、学習速度は低くなる。一方で、調整パラメータLが小さくなる程、αは大きくなり、傾き実績値を傾き学習値に反映する割合が高くなる。すなわち、学習速度は高くなる。
なお、調整パラメータLは、一定値としてもよく。ファンモータ42の状態に応じて変化させてもよい。たとえば、基準点550に近い低回転領域では、傾き実績値の検出誤差が高くなることが懸念されるので、調整パラメータLを小さくすることによって、学習速度を低下させることが好ましい。反対に、高回転領域では、調整パラメータLを大きくすることによって、学習速度を上昇させることが好ましい。このように、検出回転数Ndに応じて、調整パラメータLを変化させることができる。
また、ファンモータ42の静特性(一次関数モデル)は、回転速度が安定している状態で学習することが精度上好ましい。すなわち、目標回転数N*の変化に対してファン回転数Nを追従させている過渡応答制御時には、一次関数モデルの学習を非実行とすることが好ましい。たとえば、目標回転数N*が変化してから一定時間が経過するまでの間、あるいは、回転数偏差の大きさ|ΔN|が所定値よりも大きい間には、学習部230は一次関数モデルの学習を停止することが好ましい。学習部230は、学習の停止時には、制御周期毎の傾き学習値kLの更新を停止するので、傾き学習値kLが維持される。
図8は、図2に示されたフィードフォワード制御部220による制御構成を説明する機能ブロック図である。
図8を参照して、フィードフォワード制御部220は、減算部222と、乗算部223と、加算部224とを含む。減算部222は、目標回転数N*から基準点550(図6)に対応する基準回転数N0を減算する。減算部222は、演算によって得られた(N*−N0)を乗算部223へ出力する。
乗算部223は、学習部230によって得られた傾き学習値kLを、減算部222からの(N*−N0)に乗算する。第n番目の制御周期において、乗算部223は、学習値kL(n)・(N*(n)−N0)を加算部224へ出力する。
加算部224は、乗算部223からのkL・(N*−N0)と、基準点550(図6)に対応する基準入力量U0とを加算して、フィードフォワード制御量Uffを算出する。
このようにフィードフォワード制御部220によれば、基準点550(図6)および学習部230によって逐次学習された傾き学習値kL(n)に従う一次関数モデルに従って、目標回転数N*に応じたフィードフォワード制御量Uffを設定することができる。この結果、図5で説明した、一次関数モデルの誤差に起因する制御誤差を抑制することによって、目標回転数N*の変化に対するファン回転数Nの追従性を高めることができる。すなわち、フィードフォワード制御部220は、「制御部」の一実施例に対応する。
図9は、本実施の形態に従う電動機の制御装置における回転数制御の処理手順を説明するフローチャートである。図9に示した制御処理は、コントローラ200によるファン回転数制御として制御周期毎に実行される。図9には、第n番目の制御周期における制御処理手順が示される。
図9を参照して、コントローラ200は、ステップS100により、第n番目の制御周期における目標回転数N*(n)および検出回転数Nd(n)を取得する。コントローラ200は、ステップS110により、前回の制御周期で取得した検出回転数Nd(n−1)および制御入力量Uv(n−1)を用いて、第n番目の制御周期における傾き学習値kL(n)を、式(2)に従って演算する。ステップS110による処理は、図2および図7に示した学習部230の機能に相当する。
さらに、コントローラ200は、ステップS120により、ステップS110で演算された傾き学習値kL(n)を用いたフィードフォワード制御演算により、フィードフォワード制御量Uff(n)を算出する。ステップS120による処理は、図2および図8に示したフィードフォワード制御部220の機能に相当する。
コントローラ200は、ステップS130により、ステップS100で取得された目標回転数N*(n)および検出回数数N(n)の偏差に基づくフィードバック制御演算により、フィードバック制御量Ufb(n)を算出する。すなわち、ステップS130による処理は、図2に示したフィードバック制御部210の機能に相当する。
コントローラ200は、ステップS140により、ステップS120で演算されたフィードフォワード制御量Uff(n)と、ステップS130で演算されたフィードバック制御量Ufb(n)とを加算して、ファンモータ42の制御入力量Uv(n)を算出する。ステップS140による処理は、図2に示した加算部250の機能に相当する。
さらに、コントローラ200は、ステップS140で演算された制御入力量Uv(n)を、次の制御周期における学習のためにメモリする。第(n+1)番目の制御周期では、メモリされたUV(n)を用いたステップS110での演算により、傾き学習値kLが更新される。
以上説明したように、本実施の形態に従う電動機制御によれば、電動機の個体差や電動機の設置状況を含む経年的変化による電動機(ファンモータ42)の静特性の変化に対応して、一次関数モデルの傾きを学習することができる。そして、学習された一次関数モデルに基づいてフィードフォワード制御を実行することにより、目標回転数N*の変化に対して、実際のファン回転数Nを速やかに追従させることが可能である。
特に、燃焼装置における燃焼用空気の送風ファンの駆動モータでは、燃焼装置での燃料供給量の変化に応じて目標回転数N*が頻繁に変化する。このため、目標回転数の変化に対する追従性能が高い、本実施の形態に従う電動機制御を適用することにより、燃焼用空気の量を適切に制御して燃焼状態を安定化することができる。
さらに、フィードバック制御における積分制御は、位相遅れが必然的に存在するために、目標回転数N*が高頻度に変化する制御系では制御ゲインの調整が困難であるところ、本実施の形態に従う電動機制御では、フィードフォワード制御の効果を高めることにより、積分フィードバック制御への依存度を低下できる。これにより、フィードフォワード制御およびフィードバック制御の組合せによる電動機の回転数制御の精度を向上できることが期待される。
なお、本実施の形態では、給湯装置に適用された燃焼装置における燃焼用空気の送風ファンを制御対象とする電動機制御を例示したが、本発明の適用はこのような例に限定されるものではない。すなわち、給湯装置以外に適用される燃焼装置の送風ファンを駆動する電動機、あるいは、燃焼装置以外に適用される電動機の回転数制御に対しても、本実施の形態に従う電動機制御を適用することが可能である。特に、上述のように、電動機の目標回転数が高頻度に変化する制御系に対して、本実施の形態に従う電動機制御の適用効果が高い。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。