本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
<インプリントモールド用基板>
図1は、第1及び第2の実施形態に係るインプリントモールド用基板の製造方法により製造されるインプリントモールド用基板1の概略構成を示す切断端面図(図1(A))及び分解斜視図(図1(B))である。
まず、第1及び第2の実施形態により製造されるインプリントモールド用基板1の概略構成を説明する。図1示すように、上記インプリントモールド用基板1は、インプリントモールドの微細凹凸パターンが形成され得る主面2Aを有する薄板部2と、薄板部2の主面2Aに対向する対向面2Bを支持する中空筒状の支持部3と、薄板部2及び支持部3の間に介在してそれらを接合する、粘着剤組成物を硬化させてなる接合部4とを備え、中空筒状の支持部3の開口一端31を閉塞するように薄板部2と支持部3とが接合されることで、支持部3の中空部30と、開口一端31を閉塞する薄板部2の対向面2Bとにより構成される凹部5を有する。
<インプリントモールド用基板の製造方法>
上述のような構成を有するインプリントモールド用基板1の製造方法を、以下に説明する。図2は、第1及び第2の実施形態に係るインプリントモールド用基板の製造方法を切断端面図にて概略的に示す工程フロー図である。
〔第1の実施形態〕
[粘着剤組成物塗布工程]
第1の実施形態においては、まず、薄板部2及び支持部3を準備し、支持部3の主面3A上に、薄板部2及び支持部3を接着可能な粘着剤組成物40を塗布する(図2(A)参照)。
上記粘着剤組成物40は、ガス透過性を有するものであってもよいし、ガスを透過しない又はガスを透過し難いものであってもよい。また、上記粘着剤組成物40は、ガス溶解性を有するものであってもよいし、ガスを溶解しない又はガスを溶解し難いものであってもよい。
さらに、上記粘着剤組成物40は、溶剤を含むものであってもよい。この溶剤としては、上記樹脂材料の種類に応じて適宜選択され得るものであるが、常温又は適宜に加熱(低温加熱。例えば、400℃以下、好ましくは200℃以下で加熱)されたときに揮発し易い溶剤を用いるのが好ましい。例えば、上記溶剤として、トルエン、キシレン、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、2−ブタノン、2−プロパノール、シクロヘキサン、メチルー3−メトキシプロピオネート、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、N−ビニルー2−ピロリドン、N−メチルー2−ピロリドン等を用いることができる。
特に、溶剤を含む粘着剤組成物40として、上述したガス透過性を有するものを用いることで、薄板部2と支持部3との間に挟み込まれた雰囲気中のガスとともに、揮発した溶剤が接合部4内を透過して排出され得る。
なお、上記粘着剤組成物40として、シロキサン結合、イミド結合を有する樹脂材料を含むものを用いてもよく、この場合においては、シルセスキオキサン骨格を有するものや、芳香族ポリイミド類等の樹脂材料を含むものを用いるのが好ましい。特に好適な樹脂材料としては、ハイロドジェンシルセスキオキサン(HSQ)、ポリイミド等が挙げられる。これらの樹脂材料は、耐熱性、耐薬品性等に優れるため、これらを硬化させて接合部4を形成することで、インプリントモールド用基板1を耐熱性、耐薬品性に優れるものとすることができる。また、フッ素を含有する樹脂やフェノール樹脂、エポキシ樹脂等のように、使用する薬品によっては十分に耐性を有する材料を用いてもよい。かかるインプリントモールド用基板1から作製されるインプリントモールドを用いたインプリント処理時において光照射により生じる熱や、当該インプリントモールドの洗浄時の薬品の作用等に耐えることができる。特に、第1の実施形態により製造されるインプリントモールド用基板1においては、粘着剤組成物40として溶剤を含むものを用いたとしても、接合部4内に溶剤が残存しないため、より耐薬品性に優れたものとすることができる。さらに、接着性を考慮するならば、上記粘着剤組成物40として、アクリル基、エポキシ基等を有する樹脂材料を含むものを用いてもよい。このような樹脂材料であれば、UV照射により仮接合し、適宜に加熱することにより安定した接合強度を得ることが可能となる。
上記粘着剤組成物40は、第1の実施形態におけるインプリントモールド用基板1から作製されるインプリントモールドをインプリント処理に使用しているときに、薄板部2と支持部3とが分離してしまわない程度の粘着力(被着体である薄板部2及び支持部3に対する粘着力)を有するものであればよく、当該インプリント処理時に硬化させたインプリント樹脂(光硬化性樹脂)から薄板部2を垂直方向に剥離するのに要する力の2倍以上、好ましくは5倍以上の力に耐えられるものであればよい。例えば、薄板部2及び支持部3がともに石英により構成される場合、インプリント処理時に硬化させたインプリント樹脂(光硬化性樹脂)から薄板部2を垂直方向に剥離するのに要する力の最大値が20Nであったならば、当該インプリント樹脂(光硬化性樹脂)の硬化物と薄板部2との接触面積と同一面積で上記粘着剤組成物40を石英に接着させたときに、上記粘着剤組成物40の硬化物層を石英から剥離するのに要する力の最大値が40N以上であるのが好ましい。ただし、実際のインプリント処理において、インプリントモールドを剥離するときに薄板部2が湾曲することで、接合部4には、垂直方向の力と薄板部2の湾曲による水平方向の力との合力が加わるため、インプリント処理での繰り返し利用や、インプリント処理以外の不慮の外力による剥離を防ぐために、インプリント樹脂(光硬化性樹脂)の硬化物から薄板部2を垂直方向に剥離するのに要する力の5倍以上(100N以上)とすることが好ましい。
支持部3の主面3A上に粘着剤組成物40を塗布する方法としては、スピンコート法、インクジェット法、ディスペンサー法等の任意の塗布方法を採用することができる。特に、図2(A)に示すように、ディスペンサー法やインクジェット法等により、支持部3の主面3A上に粘着剤組成物40を離散的に滴下させて塗布するのが好ましい。
なお、第1の実施形態においては、粘着剤組成物40が上記溶剤を含むものである場合、当該粘着剤組成物40の粘度を溶剤により調整可能であるため、当該粘着剤組成物40の塗布が容易になるとともに、上記粘着剤組成物40により構成される接合部4の薄膜化が容易になる。
薄板部2としては、例えば、石英ガラス基板、ソーダガラス基板、蛍石基板、フッ化カルシウム基板、フッ化マグネシウム基板、アクリルガラス基板、ホウケイ酸ガラス基板等のガラス基板;ポリカーボネート基板、ポリプロピレン基板、ポリエチレン基板、その他ポリオレフィン基板等の樹脂基板等からなる単層基板や、上記基板のうちから任意に選択された2以上を積層してなる積層基板等の透明基板等を用いることができる。
なお、第1の実施形態において「透明」とは、インプリント樹脂としての光硬化性樹脂を硬化させることが可能な波長の光、例えば波長200〜400nmの光線を対象物(第1の実施形態においては薄板部2)の片側から照射した際、照射された側とは反対側へ光が到達することを意味する。透明であるのは光硬化性樹脂を硬化させることが目的であるのだから、好適な基準を透過率で示すならば60%以上、好ましくは90%以上、特に好ましくは96%以上である。
薄板部2の厚さT2は、薄板部2の材質、インプリントモールド用基板1から作製されるインプリントモールドの用途等に応じて適宜設定され得るが、当該薄板部2が石英ガラスにより構成される場合、0.3〜1.5mm程度に設定され得る。第1の実施形態におけるインプリントモールド用基板1から作製されるインプリントモールド10(図5(D)参照)は、支持部3の中空部30の開口一端31が薄板部2により閉塞されることで形成される凹部5を有することで、インプリント処理時、特に上記インプリントモールド10の剥離時において、薄板部2のうちの微細凹凸パターンが形成されている領域を少なくとも湾曲させることができ、上記インプリントモールド10の剥離を容易にするという効果を奏する。そのため、薄板部2の厚さT2が薄すぎたり、厚すぎたりすると、上記インプリントモールド10の剥離時に意図したとおりに湾曲させるのが困難となるおそれがある。また、薄板部2の厚さT2が薄すぎると、上記インプリントモールド10の強度が低下するおそれもある。
第1の実施形態において、図3(A)及び(B)に示すように、薄板部2の主面2Aに対向する対向面2Bのうち、接合部4に当接する領域である外縁部近傍の表面(接合部4との当接面)2Cには、ガス透過性を有する構造(ガス透過性構造)22が設けられているのが好ましい。上記粘着剤組成物40として溶剤を含むものを用いる場合、薄板部2と支持部3との接合時に、当該粘着剤組成物40から溶剤を揮発させて除去する必要がある。当該溶剤を十分に揮発させないと、接合部4内に溶剤が残存してしまい、気泡(ボイド)発生の原因となるからである。また、当該溶剤が残存することで、インプリントモールド用基板1やそれから作製されるインプリントモールド10の耐熱性、耐薬品性が劣るおそれがある。このとき、図3(A)及び(B)に示すように、薄板部2の外縁部近傍の表面2Cにガス透過性構造22が設けられていることで、粘着剤組成物40から揮発した溶剤が当該ガス透過性構造22を通って接合部4の外に排出される。また、薄板部2と支持部3との接合時に、雰囲気中のガスが薄板部2と支持部3との間に挟み込まれたとしても、当該ガスもガス透過性構造22を通って排出される。これにより、当該粘着剤組成物40が硬化してなる接合部4内に溶剤を残存させることがなく、また薄板部2と接合部4との界面に雰囲気中のガスを挟み込むことによる気泡の発生を防止することができる。
ガス透過性構造22としては、薄板部2と支持部3との間に挟み込まれたガスや、上記粘着剤組成物40から揮発した溶剤が透過可能な構造である限り特に制限はない。例えば、薄板部2が石英ガラス基板により構成される場合、当該ガス透過性構造22としては、薄板部2の対向面2Bの全面又は外縁部近傍の表面2Cに形成された微細ピラー構造体や微細スリット構造体、当該外縁部近傍の表面2Cに貼り合わされたガラスやSOG等により形成された多孔質膜等が挙げられる。薄板部2と支持部3との接合箇所に位置するガス透過性構造22が光を透過させる必要がないのであれば、例えば、赤外線よりも短波長の光を透過させない多孔質シリコン層を陽極化成法等により上記外縁部近傍の表面2Cに形成し、この多孔質シリコン層をガス透過性構造22として用いてもよいし、PDMS(ポリジメチルシロキサン)のように気体の溶解しやすい樹脂材料等からなる層を上記外縁部近傍の表面2Cに形成し、この層をガス透過性構造22として用いてもよい。
薄板部2のガス透過性構造22におけるガス透過係数は、好適には1×10-15cm3・cm/cm2・s・Pa以上、特に好適には1×10-13cm3・cm/cm2・s・Pa以上である。なお、ガス透過性構造22におけるガス透過係数は、簡単には圧力センサー又はガスクロマトグラフィを用いて求めることができ、その端的な例として「JIS K 6275−1」を参照することができる。当該規格に従うならば、試験片によって高圧側セルと低圧側セルとに分割することが可能な試験セルを準備し、そこへ試験ガスを高圧側セルに大気圧又は加圧状態で導入することで求めることができる。なぜなら低圧側セルとの間に生じる圧力差で、試験ガスが試験片内部へ溶解した後、試験片内部の試験ガス濃度勾配によって拡散し、試験片界面から低圧側セルへ放散するからである。こうして試験片を透過するガス量は、低圧側セルの圧力上昇を測定する圧力センサー(圧力センサー法)、又は試験ガス量の増加を測定するガスクロマトグラフィ(ガスクロマトグラフィ法)によって求めることができる。
また、薄板部2の対向面2Bの外縁部近傍の表面2Cの平面視における総面積に対するガス透過性構造22の占める比率は、大きいほうが好ましい。しかし、薄板部2と支持部3との接合に寄与する面(接合部4の面)のすべてにおいてガスが挟み込まれる可能性や、その接合部4の面のすべてから溶剤の揮発によるガスが発生する可能性を考慮すると、ガス透過性構造22は、上記外縁部近傍の表面2Cの面内に可能な限り均一に存在するのが好ましい。よって、上記総面積に対するガス透過性構造22の占める比率は、30%以上であるのが好ましく、50%以上であるのがより好ましい。さらに、上記外縁部近傍の表面2Cの面内においてガス透過性構造22が存在する密度の分布が50%未満であるのが好ましく、30%未満であるのが好ましい。粘着剤組成物40中の溶剤の含有量や、溶剤の物性等にも依存するものの、上記比率が30%未満又は上記密度分布が50%以上となると、粘着剤組成物から溶剤を十分に揮発させることができない、又は薄板部2と支持部3との間に挟みこまれたガスを排出することができないおそれがある。なお、後述するように、支持部3の主面3Aにガス透過性構造32が設けられている場合、上記薄板部2のガス透過性構造22の上記比率が30%未満又は密度分布が50%以上であったとしても、薄板部2の表面2Cの平面視における総面積と支持部3の主面3Aの総面積との合計面積(接合部4との接触総面積)に対し、薄板部2のガス透過性構造22の面積と支持部3のガス透過性構造32の面積との合計面積が30%以上、好ましくは50%以上であればよい。一方で、密度分布は、薄板部2と、後述する支持部3とで相補することにより面内全体を保障することができればよく、接合面(薄板部2の表面2C及び支持部3の主面3A)に対して薄板部2と支持部3とのガス透過性構造22,32の合計面内分布が50%未満、好ましくは30%未満であればよい。
薄板部2の対向面2Bの外縁部近傍の表面2Cにガス透過性構造22を設ける方法としては、例えば、当該ガス透過性構造22がピラーアレイ構造体や微細スリット構造体である場合、薄板部2の対向面2Bの外縁部近傍の表面2C上等にピラーアレイやスリットに対応するレジストパターンを形成した後、エッチングすることで、ガス透過性構造22としてのピラーアレイ構造体を形成することができる。また、当該ガス透過性構造22が多孔質膜である場合、別途作製した多孔質膜を、薄板部2の対向面2Bの外縁部近傍の表面2C上に貼り付けることで、当該表面2Cにガス透過性構造22を設けることができる。
支持部3は、外形が平面視略方形状の中空角筒状を有しており、平面視において略中心に略円形の中空部30が形成されてなる。中空部30の形成方法は、特に限定されるものではなく、例えば、切削器具等を用いて機械的に加工してもよいし、中空部30に相当する開口部を有するレジストパターン等を形成してエッチングしてもよい。
支持部3を構成する材料は、特に限定されるものではなく、薄板部2を構成する材料と同一材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。支持部3が、薄板部2を構成する材料と異なる材料により構成される場合、当該支持部3を構成する材料としては、例えば、シリコン系材料;金属材料;石英ガラス、ソーダガラス、蛍石、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、アクリルガラス、ホウケイ酸ガラス等のガラス材料;ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、その他ポリオレフィン類等の樹脂材料のほか、低膨張セラミックス等のセラミックス材料等が挙げられる。
平面視における支持部3の外形の大きさは、薄板部2の大きさと略同一であってもよいし、薄板部2よりも大きくてもよい。それらの大きさが略同一である場合には、製造されるインプリントモールド用基板1において薄板部2側から見たときに段差を有しないため、例えば、薄板部2と支持部3とを接合した後に端面部分の面取り等が必要な場合には容易に実施可能である。一方で、支持部3が薄板部2よりも大きい場合、例えば支持部3と薄板部2とを分離する際、支持部3を保持可能な領域として、大きさの差分が生じた箇所を保持することが可能となる。また、後述する工程において、薄板部2と支持部3との接合時の位置ずれも許容される。
また、平面視における中空部30(薄板部2により閉塞される開口一端31)の大きさは、少なくとも、薄板部2の主面2A上に微細凹凸パターンが形成される領域を包含し得る大きさである。平面視において、中空部30が微細凹凸パターンを内包可能な大きさであることで、第1の実施形態におけるインプリントモールド用基板1から作製されたインプリントモールドを用いたインプリント処理時、特にインプリントモールドの剥離時に、微細凹凸パターンが形成されている領域を少なくとも湾曲させ、インプリント樹脂からの剥離を容易にするという効果が発揮され得る。
支持部3の厚さT3は、第1の実施形態におけるインプリントモールド用基板1から作製されるインプリントモールド10の凹部5の深さの設計値に応じて適宜設定され得るが、例えば、3〜10mm程度に設定され得る。
第1の実施形態において、図4(A)及び(B)に示すように、支持部3の主面3A(接合部4に当接する面)には、薄板部2と同様に、ガス透過性を有する構造(ガス透過性構造)32が設けられているのが好ましい。これにより、粘着剤組成物40から揮発した溶剤や、薄板部2と支持部3との間に挟み込まれたガスが、当該ガス透過性構造32を通って排出される。
ガス透過性構造32としては、粘着剤組成物40から揮発した溶剤や、薄板部2と支持部3との間に挟み込まれたガスが透過可能な構造である限り特に制限はない。例えば、支持部3が石英ガラス基板により構成される場合、当該ガス透過性構造32としては、支持部3の主面3Aに形成された微細ピラー構造体や微細スリット構造体、当該主面3Aに貼り合わされたガラスやSOG等により形成された多孔質膜等が挙げられる。また、支持部3がシリコン系材料により構成される場合、当該ガス透過性構造32としては、陽極化成法等により支持部3の主面3A上に形成された多孔質シリコン層のほか、上述した微細ピラー構造体や微細スリット構造体等が挙げられる。上記シリコン系材料と同様に、薄板部2と支持部3との接合箇所に位置するガス透過性構造32が光を透過させる必要がないのであれば、例えば、PDMS(ポリジメチルシロキサン)のように気体の溶解しやすい樹脂材料等からなる層を上記主面3Aに形成し、この層をガス透過性構造32として用いても良い。
支持部3のガス透過性構造32におけるガス透過係数は、薄板部2のガス透過性構造21と同様であればよく、好適には1×10-15cm3・cm/cm2・s・Pa以上、特に好適には1×10-13cm3・cm/cm2・s・Pa以上である。なお、ガス透過性構造32におけるガス透過係数は、簡単には圧力センサーまたはガスクロマトグラフィを用いて求めることができ、その端的な例として「JIS K 6275−1」を参照することができる。当該規格に従うならば、試験片によって高圧側セルと低圧側セルとに分割することが可能な試験セルを準備し、そこへ試験ガスを高圧側セルに大気圧又は加圧状態で導入することで求めることができる。なぜなら低圧側セルとの間に生じる圧力差で、試験ガスが試験片内部へ溶解した後、試験片内部の試験ガス濃度勾配によって拡散し、試験片界面から低圧側セルへ放散するからである。こうして試験片を透過するガス量は、低圧側セルの圧力上昇を測定する圧力センサー(圧力センサー法)、又は試験ガス量の増加を測定するガスクロマトグラフィ(ガスクロマトグラフィ法)によって求めることができる。
第1の実施形態においては、支持部3の主面3Aの全面にガス透過性構造32が設けられていてもよいし、当該主面3Aの一部の領域にガス透過性構造32が設けられていてもよい。このように、当該主面3Aの一部の領域にガス透過性構造32が設けられている場合、ガス透過性構造32の設けられている領域の一部がインプリントモールド用基板1の外表面に露出し、当該ガス透過性構造32を介してインプリントモールド用基板1の外表面と接合部4との間が連続していることを要する。ガス透過性構造32が薄板部2と支持部3との間に挟み込まれたガスや粘着剤組成物40から揮発した溶剤の流路として機能するため、インプリントモールド用基板1の外表面と接合部4との間がガス透過性構造32を介して連続していないと、当該ガス透過性構造32が上記ガスや溶剤の流路として機能せず、それらを十分に除去することができなくなるという問題が生じる。
支持部3の主面3Aの平面視における総面積に対するガス透過性構造32の占める比率は、薄板部2と同様に大きいほうが好ましい。しかし、薄板部2と支持部3との接合に寄与する面(接合部4の面)のすべてにおいて雰囲気中のガスが挟み込まれる可能性や、当該接合部4の面のすべてから溶剤の揮発によるガスが発生する可能性を考慮すると、ガス透過性構造32は、主面3Aの面内に可能な限り均一に存在するのが好ましい。よって、上記総面積に対するガス透過性構造32の占める比率は、30%以上であるのが好ましく、50%以上であるのがより好ましい。さらに、上記主面3Aの面内においてガス透過性構造32が存在する密度の分布が50%未満であるのが好ましく、30%未満であるのが好ましい。粘着剤組成物中の溶剤の含有量や、溶剤の物性等にも依存するものの、上記比率が30%未満又は密度分布が50%以上となると、粘着剤組成物から溶剤を十分に揮発させることができない、又はガスを接合部4の外に排出することができないおそれがある。なお、上述したように、薄板部2の表面2Cにガス透過性構造22が設けられている場合、上記支持部3のガス透過性構造32の上記比率が30%未満あるは密度分布が50%以上であったとしても、薄板部2の表面2Cの平面視における総面積と支持部3の主面3Aの総面積との合計面積(接合部4との接触総面積)に対し、薄板部2のガス透過性構造22の面積と支持部3のガス透過性構造32の面積との合計面積が30%以上、好ましくは50%以上であればよい。一方で、密度分布は、薄板部2と支持部3とで相補することにより面内全体を保障することができればよく、接合面(薄板部2の表面2C及び支持部3の主面3A)に対して薄板部2と支持部3とのガス透過性構造22,32の合計面内分布が50%未満、好ましくは30%未満であればよい。
支持部3の主面3Aにガス透過性構造32を設ける方法としては、例えば、当該ガス透過性構造32が多孔質シリコン層である場合、シリコンウェハから作製された支持部3の主面3Aを、陽極化成法によりHF水溶液中で電界エッチングすることにより、当該支持部3の主面3A上に多孔質シリコン層からなるガス透過性構造32を設けることができる。また、当該ガス透過性構造32が微細ピラー構造体や微細スリット構造体、多孔質膜等である場合には、上述した薄板部2におけるガス透過性構造22と同様の方法で設けられ得る。
[粘着剤層形成工程]
次に、図2(B)に示すように、支持部3の開口一端31を薄板部2(対向面2B)にて閉塞するようにして、薄板部2の対向面2Bを粘着剤組成物40に接触させる。そして、薄板部2の対向面2Bと支持部3の主面3Aとの間に粘着剤組成物40を展開させて粘着剤層41を形成する。
第1の実施形態において、少なくとも、薄板部2の対向面2Bを粘着剤組成物40に接触させ、薄板部2の対向面2Bと支持部3の主面3Aとの間に粘着剤層41を形成する工程(粘着剤層形成工程)は、真空雰囲気中で行う。真空雰囲気中で支持部3の主面3A上の粘着剤組成物40に薄板部2の対向面2Bを接触させ、それらの間に粘着剤層41を形成することで、薄板部2の対向面2B又は支持部3の主面3Aと粘着剤層41との間のガスが挟み込まれるのを防止することができ、薄板部2及び/又は支持部3と接合部4との界面において気泡(ボイド)の発生を防止することができる。
薄板部2と支持部3とを接合する際の「真空雰囲気」は、真空度1.0×104Pa以下の雰囲気であるのが好ましく、真空度1.0×103Pa以下の雰囲気であるのが特に好ましい。上述したような真空度の雰囲気にて薄板部2と支持部3とを接合することで、薄板部2及び/又は支持部3と接合部4との界面に気泡(ボイド)が発生するのを、より効果的に防止することができる。
[接合工程]
上記のようにして薄板部2と支持部3との間に粘着剤層41を形成した後、当該粘着剤層41を硬化させて接合部4を形成する。これにより、当該接合部4を介して薄板部2と支持部3とが強固に接合される。このように、接合部4を介して薄板部2の対向面2Bと支持部3の主面3Aとを接合することで、有底略円筒状の凹部5が形成される。これにより、上記インプリントモールド用基板1(図1参照)を製造することができる。
粘着剤層41を硬化させる際に、粘着剤組成物40が溶剤を含むものである場合、粘着剤層41から当該溶剤を揮発させる。このようにして揮発した溶剤は、薄板部2及び/又は支持部3がガス透過性構造22,32を有する場合、当該ガス透過性構造22,32を介して排出されるため、接合部4内には溶剤が残存しない。そのため、接合部4内に気泡(ボイド)が生じ難く、十分な強度を有し、薄板部2の平坦性の高いインプリントモールド用基板1を製造することができる。
粘着剤層41から溶剤を効果的に揮発させるために、薄板部2と支持部3とを接合する環境を、溶剤濃度が低く、溶剤の分圧が低い雰囲気とするのが好ましい。また、当該雰囲気の温度を高くするのが好ましい。しかしながら、雰囲気温度を高くすることで粘着剤組成物層40からの溶剤の揮発が促進されるものの、当該雰囲気温度が高くなりすぎると、ガス透過性構造22,32におけるガス透過能力を超えて溶剤が揮発してしまい、粘着剤層41(接合部4)とガス透過性構造22,32との界面に気泡(ボイド)が生じやすくなるおそれがある。そのため、上記雰囲気温度は、粘着剤組成物に含まれる溶剤の種類や雰囲気における溶剤濃度・分圧等に応じて、適宜設定するのが望ましい。
上述したように、第1の実施形態に係るインプリントモールド用基板1の製造方法によれば、真空雰囲気下で支持部3の主面3A上の粘着剤組成物40に薄板部2を接触させるため、薄板部2及び/又は支持部3と接合部4との界面に気泡(ボイド)が発生するのを防止することができる。よって、薄板部2の主面2Aの平坦性に優れ、高強度のインプリントモールド用基板1を製造することができる。
〔第2の実施形態〕
次に、第2の実施形態に係るインプリントモールド用基板の製造方法を説明する。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
[粘着剤組成物塗布工程]
第2の実施形態においては、まず、薄板部2及び支持部3を準備し、支持部3の主面3A上に、薄板部2及び支持部3を接着可能な粘着剤組成物40を塗布する(図2(A)参照)。
粘着剤組成物40としては、ガス透過性を有する樹脂材料を含むものが用いられ得る。特に、上記粘着剤組成物40として、ガスを溶解させない又は溶解させ難い樹脂材料を含むものが用いられる場合に、第2の実施形態に係るインプリントモールド用基板の製造方法は有用である。
第2の実施形態においては、後述する粘着剤層形成工程(図2(B)参照)において、不活性ガス雰囲気下で、粘着剤組成物40に薄板部2の対向面2Bを接触させる。そのため、雰囲気中のガス(主に不活性ガス)が薄板部2と粘着剤層41との間の界面や支持部3と粘着剤層41との界面に残存するおそれがある。一方、樹脂材料のガス透過性(ガス透過率)は、上記雰囲気を構成する不活性ガスの分子サイズに影響される。そこで、第2の実施形態においては、上記粘着剤組成物40として、上記雰囲気を構成する不活性ガス種(不活性ガスの分子サイズ)に応じ、適切なガス透過性(ガス透過率)を有する樹脂材料を含むものを用いる。
また、上記粘着剤組成物40は、第1の実施形態と同様に、溶剤を含むものであってもよい。第2の実施形態における上記粘着剤組成物40はガス透過性を有する樹脂材料を含むため、薄板部2と支持部3との間に挟み込まれた、雰囲気中の不活性ガスとともに、揮発した溶剤も接合部4外に排出され得る。
支持部3の主面3A上に粘着剤組成物40を塗布する方法としては、第1の実施形態と同様に、スピンコート法、インクジェット法、ディスペンサー法等の任意の塗布方法を採用することができる。特に、図2(A)に示すように、ディスペンサー法やインクジェット法等により、支持部3の主面3A上に粘着剤組成物40を離散的に滴下させて塗布するのが好ましい。
なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同様に、薄板部2の対向面2Bのうち、接合部4に当接する領域である外縁部近傍の表面(接合部4との当接面)2Cや、支持部3の主面3A(接合部4に当接する面)には、ガス透過性構造22,32が設けられているのが好ましい。ガス透過性構造22,32の詳細な説明は、省略される。
[粘着剤層形成工程]
次に、図2(B)に示すように、支持部3の開口一端31を薄板部2(対向面2B)にて閉塞するようにして、薄板部2の対向面2Bを粘着剤組成物40に接触させる。そして、薄板部2の対向面2Bと支持部3の主面3Aとの間に粘着剤組成物40を展開させて粘着剤層41を形成する。
第2の実施形態において、少なくとも、薄板部2の対向面2Bを粘着剤組成物40に接触させ、薄板部2の対向面2Bと支持部3の主面3Aとの間に粘着剤層41を形成する工程は、不活性ガス雰囲気下で行う。不活性ガス雰囲気下で支持部3の主面3A上の粘着剤組成物40に薄板部2の対向面2Bを接触させ、それらの間に粘着剤層41を形成することで、薄板部2と支持部3との間に挟み込まれた雰囲気中のガス(主に不活性ガス)が薄板部2及び/又は支持部3と接合部4との界面や、接合部4内を潜り抜けて排出されるため、それらの界面において気泡(ボイド)が発生するのを防止することができる。また、雰囲気中の不活性ガスが接合部4内を潜り抜けるときに、接合部4を構成する粘着剤組成物に対して悪影響を及ぼすことがない。
上記不活性ガスとしては、化学反応性の乏しい気体であればよく、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素等を挙げることができ、これらのうち、ヘリウムが最も好ましい。上記不活性ガスのうち、分子サイズの最も小さいヘリウムを用いることで、粘着剤組成物40の選択の幅が広がる。
第2の実施形態における「不活性ガス雰囲気」としては、不活性ガス分圧5.0×104Pa以上の雰囲気であるのが好ましく、不活性ガス分圧9.0×104Pa以上の雰囲気であるのが特に好ましい。
上記不活性ガス雰囲気下で薄板部2と粘着剤組成物40とを接触させる方法は、特に限定されるものではないが、少なくとも薄板部2と支持部3との接合面(接合部4)の近傍が、不活性ガス雰囲気であればよい。例えば、チャンバー内を上記雰囲気とし、そのチャンバー内で薄板部2と粘着剤組成物40とを接触させる方法、薄板部2と支持部3との接合面の近傍(支持部3の主面3A上)に不活性ガスを供給し、当該接合面近傍を不活性ガス雰囲気にして薄板部2と粘着剤組成物40とを接触させる方法等が挙げられる。すなわち、上記不活性ガス雰囲気下で薄板部2と粘着剤組成物40とを接触させる方法においては、少なくとも薄板部2と支持部3との接合面(接合部4)の近傍が、不活性ガス雰囲気であればよい。
[接合工程]
上記のようにして薄板部2と支持部3との間に粘着剤層41を形成した後、当該粘着剤層41を硬化させて接合部4を形成する。これにより、当該接合部4を介して薄板部2と支持部3とが強固に接合される。このように、接合部4を介して薄板部2の対向面2Bと支持部3の主面3Aとを接合することで、有底略円筒状の凹部5が形成される。これにより、上記インプリントモールド用基板1(図1参照)を製造することができる。
粘着剤層41を硬化させる際に、粘着剤組成物40が溶剤を含むものである場合、粘着剤層41から当該溶剤を揮発させる。このようにして揮発した溶剤は、薄板部2及び/又は支持部3がガス透過性構造22,32を有する場合、当該ガス透過性構造22,32を介して排出されるため、接合部4内には溶剤が残存しない。そのため、接合部4内に気泡(ボイド)が生じ難く、十分な強度を有し、薄板部2の平坦性の高いインプリントモールド用基板1を製造することができる。
粘着剤層41から溶剤を効果的に揮発させるために、薄板部2と支持部3とを接合する環境を、溶剤濃度が低く、溶剤の分圧が低い雰囲気とするのが好ましい。また、当該雰囲気の温度を高くするのが好ましい。しかしながら、雰囲気温度を高くすることで粘着剤組成物層40からの溶剤の揮発が促進されるものの、当該雰囲気温度が高くなりすぎると、ガス透過性構造22,32におけるガス透過能力を超えて溶剤が揮発してしまい、粘着剤層41(接合部4)とガス透過性構造22,32との界面に気泡(ボイド)が生じやすくなるおそれがある。そのため、上記雰囲気温度は、粘着剤組成物に含まれる溶剤の種類や雰囲気における溶剤濃度・分圧等に応じて、適宜設定するのが望ましい。
上述したように、第2の実施形態に係るインプリントモールド用基板1の製造方法によれば、不活性ガス雰囲気下で支持部3の主面3A上の粘着剤組成物40に薄板部2を接触させるため、薄板部2及び/又は支持部3と接合部4との界面に気泡(ボイド)が発生するのを防止することができる。よって、薄板部2の主面2Aの平坦性に優れ、高強度のインプリントモールド用基板1を製造することができる。
<インプリントモールドの製造方法>
第1及び第2の実施形態により製造されるインプリントモールド用基板1を用いることで、例えば、下記のようにしてインプリントモールドを製造することができる。図5は、本実施形態におけるインプリントモールドの製造方法の各工程を断面図にて示す工程フロー図である。
本実施形態におけるインプリントモールドの製造方法においては、まず、金属クロム膜等のハードマスク層6が薄板部2の主面2Aに設けられているインプリントモールド用基板1を用意し、インプリントモールド10の微細凹凸パターン11に対応するレジストパターン71を当該主面2Aのターン形成領域PA上に形成する(図5(A)参照)。
なお、ハードマスク層6の厚さは、インプリントモールド用基板1の薄板部2を構成する材料に応じたエッチング選択比、インプリントモールド10における微細凹凸パターン11のアスペクト比等を考慮して適宜設定され得る。
レジストパターン71を構成するレジスト材料としては、特に限定されるものではなく、従来公知のエネルギー線感応型レジスト材料(例えば、電子線感応型レジスト材料、紫外線感応型レジスト材料等)等を用いることができる。
レジストパターン71を形成する方法としては、特に限定されるものではない。例えば、電子線リソグラフィー法やフォトリソグラフィー法等によりレジストパターン71を形成することができる。
続いて、レジストパターン71をマスクとして用いてハードマスク層6をドライエッチング法によりエッチングし、ハードマスクパターン61を形成する(図5(B)参照)。そして、当該ハードマスクパターン61をマスクとして用いてインプリントモールド用基板1の薄板部2の主面2Aをエッチングし、微細凹凸パターン11を形成する(図5(C)参照)。
最後に、ハードマスクパターン61を除去する(図5(D)参照)。これにより、薄板部2の主面2Aに微細凹凸パターン11が形成されてなり、高精度の凹部5を有するインプリントモールド10を製造することができる。
なお、レジストパターン61を形成する際に電子線リソグラフィー法やフォトリソグラフィー法を用いる場合には、露光光源側から見たときに、薄板部2はたわみを持たず一様に平坦であることがより好ましい。そのため、薄板部2は大きさに応じた厚みを有するか、あるいは張力を有するように支持部3に貼り付けられていることが好ましい。
本実施形態におけるインプリントモールドの製造方法において用いられるインプリントモールド用基板1は、薄板部2及び/又は支持部3と接合部4との界面や、接合部4内に気泡が生じ難く、十分な強度を有し、薄板部2の平坦性が高いものとなっている。そのため、本実施形態におけるインプリントモールドの製造方法によれば、薄板部2の平坦性が高いことで微細凹凸パターン11を高精度に形成することができ、また十分な強度を有するインプリントモールド10を製造することができる。
なお、上記の方法ではレジストパターン61を電子線リソグラフィー法やフォトリソグラフィー法等により形成しているが、当該レジストパターン61に対応する微細凹凸パターンを有するインプリントモールドを用いたナノインプリントリソグラフィー法により、当該レジストパターン61を形成してもよい。
<インプリントモールドの再生方法>
上述のようにして製造されたインプリントモールド10は、インプリント処理に使用された後、以下のようにして再生可能である。図6は、本実施形態におけるインプリントモールドの再生方法の各工程を断面図により示す工程フロー図である。
本実施形態においては、まず、使用済みのインプリントモールド10の薄板部2と支持部3とを分離する(図6(A)参照)。薄板部2と支持部3とを分離する方法としては、例えば、接合部4に赤外線を照射して加熱することにより、接合部4を構成する粘着剤組成物層の粘着力を低下させ、薄板部2と支持部3とを分離する方法等を挙げることができる。
次に、必要に応じて支持部3の主面3Aに残存する接合部4を除去したり、主面3Aを清浄化したりするとともに、別途新たな薄板部2’を準備し、支持部3の開口一端31を当該薄板部2’にて閉塞するように、当該薄板部2’の対向面2B’と支持部3の主面3Aとを、接合部4’を介して接合する。(図6(B)参照)。これにより、使用済みのインプリントモールド10をインプリントモールド用基板1として再生することができる。
なお、使用済みのインプリントモールド10の支持部3の主面3A(薄板部2が接合していた面)に対向する面3Bに、別途新たな薄板部2’を接合して、インプリントモールド用基板1として再生してもよい。
薄板部2と支持部3とを、接合部4を介して接合する方法としては、上記インプリントモールド用基板1の製造方法において説明した方法と同様の方法(図2(B)参照)を採用することができる。
そして、再生されたインプリントモールド用基板1を用いて、図5に示す方法によりインプリントモールド10を製造することで、インプリントモールド10を再生することができる。
上述のようにして、本実施形態によれば、少なくとも支持部3を再利用することができ、使用済みのインプリントモールド10を再生することができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
上記第1及び第2の実施形態において、それぞれ、真空雰囲気下又は不活性ガス雰囲気下で薄板部2の対向面2Bを粘着剤組成物40に接触させて粘着剤層41を形成した後、同様の雰囲気下で粘着剤層41を硬化させてもよいし、例えば大気雰囲気下で粘着剤層41を硬化させてもよい。
上記実施形態において、薄板部2は、主面2A側に凸構造部21を有する、いわゆるメサ構造を有するものであってもよい(図7(A)参照)。また、薄板部2の主面2Aには、Cr、Crの窒化物等のクロム系材料;シリコン、シリコンを含む合金、シリコン酸化物、シリコン窒化物等のシリコン系材料等により構成されるハードマスク層6が形成されていてもよい(図7(B)参照)。
上記実施形態において、支持部3の主面3A上に粘着剤組成物を40塗布し、薄板部2と支持部3とを接合してインプリントモールド用基板1を製造しているが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、薄板部2の対向面2Bにおける表面2C上に粘着剤組成物40を塗布してもよいし、薄板部2の当該表面2C及び支持部3の主面3A上のそれぞれに粘着剤組成物40を塗布してもよい。また、例えば、薄板部2と接合部4との間、又は支持部3と接合部4との間、特に好ましくは支持部3と接合部4との間に剥離層を形成し、薄板部2と支持部3とを、剥離層及び接合部4を介して接合してもよい。薄板部2と支持部3との間に剥離層を形成することで、インプリントモールド用基板1から作製されるインプリントモールド10を再生するときに薄板部2と支持部3との分離が容易となる。特に、支持部3と接合部4との間に剥離層を形成することで、接合部4を薄板部2の対向面2B側に残存させるようにして、薄板部2と支持部3とを分離することができるため、支持部3の再利用がより容易となる。
上記実施形態においては、薄板部2の対向面2Bの外縁部近傍の表面2Cの全面にガス透過性構造22が設けられていてもよいし、当該表面2Cの一部の領域にガス透過性構造22が設けられていてもよい。例えば、薄板部2の対向面2Bの外縁部近傍の表面2Cのうち、薄板部2の4辺のそれぞれに接するガス透過性構造22や、当該表面2Cの内縁部23を超えてさらに内側に連続するガス透過性構造22が設けられていてもよい。すなわち、ガス透過性構造22の一部が、支持部3の中空部30を介してインプリントモールド用基板1の外表面に露出するように設けられていてもよい。このように、当該表面2Cの一部の領域にガス透過性構造22が設けられている場合、ガス透過性構造22の設けられている領域の一部がインプリントモールド用基板1の外表面に露出し、当該ガス透過性構造22を介してインプリントモールド用基板1の外表面と接合部4との間が連続していることを要する。ガス透過性構造22が、薄板部2と支持部3とを接合する際にそれらの間に挟み込まれたガスの流路として、また粘着剤組成物から揮発した溶剤の流路として機能するため、インプリントモールド用基板1の外表面と接合部4との間がガス透過性構造22を介して連続していないと、当該ガス透過性構造22が上記流路として機能せず、上記ガスや溶剤を十分に除去することができなくなるおそれがある。
なお、薄板部2の対向面2Bの外縁部近傍の表面2C内の複数の独立した領域のそれぞれに、ガス透過性構造22が設けられている場合において、隣接する2つの領域の間隔は、粘着剤組成物から揮発した溶剤が当該ガス透過性構造22を介して接合部4の外に十分に排出され得る程度に適宜設定されていればよい。
以下、実施例等を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例等に何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
薄板部2としての石英基板(152mm×152mm,厚さT2=1.00mm)と、石英ガラスにより構成される支持部3(152mm×152mm,厚さT3=5.35mm,中空部30の径=60mm)とを準備した。そして、支持部3の主面3A上に、樹脂材料としてのPI2610(日立化成デュポンマイクロシステムズ社製)に、さらに粘度を低下させることにより塗布膜厚を低減させることを目的として溶剤としてのN−メチル−2−ピロリドンを含有させた粘着剤組成物40をスピンコート法により塗布した後、160℃で210秒間ベークした。なお、プライマーとしてVM652(日立化成デュポンマイクロシステムズ社製)を用いた。また、薄板部2として、その平面視中心に、25mm×35mmの長方形状の凸構造部21高さ:30μm)が設けられているものを用いた。
次に、薄板部2の対向面2Bと支持部3の主面3Aとが平行になるように調整しながら、支持部3の主面3A上の粘着剤組成物40に薄板部2の対向面2Bの外縁部近傍の表面2Cを接触させて、それらの間に粘着剤組成物40を展開させて粘着剤層41を形成した。その後、粘着剤層41を360℃で60分間加熱して硬化させて接合部4を形成し、当該接合部4を介して薄板部2と支持部3とを接合した。このようにして、インプリントモールド用基板1を作製した。なお、粘着剤組成物40に薄板部2の対向面2Bを接触させて粘着剤層41を形成する工程は、真空雰囲気(真空度:1.0×104Pa)のチャンバー内にて行われた。
〔実施例2〕
薄板部2の対向面2Bの外縁部近傍の表面2Cの全面及び支持部3の主面3Aの全面のそれぞれに、多孔質シリコン酸化膜からなるガス透過性構造22,32を設け、粘着剤組成物40をスピンコートした後のベーク時間を180秒に短縮した以外は、実施例1と同様にしてインプリントモールド用基板1を作製した。この多孔質シリコン酸化膜は、薄板部2の対向面2Bの外縁部近傍の表面2Cの全面及び支持部3の主面3Aの全面のそれぞれにシリコン膜を形成し、陽極化成した上で酸化することによって得た。なお、陽極化成時の電流密度は80mA/cm2とし、化成溶液としては46質量%のフッ酸水溶液と、エタノールとを体積比7:3の割合で混合した溶液を使用した。得られた多孔質シリコン酸化膜の厚みは、約1.5μmであった。
また、上記ガス透過性構造22,32のガス透過係数は、中空部30を有しない以外は上記支持部3と同一の石英ガラス上に多孔質シリコン酸化膜を作製し、その多孔質シリコン酸化膜のガス透過係数を、下記のようにして測定・評価した。
まず、中空部30と同一の径を有するOリングを用意し、当該Oリングによって多孔質シリコン酸化膜を中空部30に相当する内側領域と、主面3A上のガス透過性構造32に相当する外側領域とに区分した。次いで、内側領域に対して揮発させたN−メチル−2−ピロリドンを供給し、外側領域から漏れ出てくるN−メチル−2−ピロリドンをガスクロマトグラフィにより検出することで、上記ガス透過係数(cm3・cm/cm2・s・Pa)を求めた。このようにして求めたガス透過性係数は、1.1×10-16cm3・cm/cm2・s・Paであった。
〔実施例3〕
支持部3の主面3Aにガス透過性構造32を形成しなかった以外は、実施例2と同様にしてインプリントモールド用基板1を作製した。
〔実施例4〕
薄板部2の対向面2Bの外縁部近傍の表面2Cにガス透過性構造22を形成しなかった以外は、実施例2と同様にしてインプリントモールド用基板1を作製した。
〔実施例5〕
薄板部2の対向面2Bの外縁部近傍の表面2Cの複数の独立した領域に、当該表面2Cの平面視における総面積に対して面積比率が38%となるようにガス透過性構造22を形成した以外は、実施例2と同様にしてインプリントモールド用基板1を作製した。
〔実施例6〕
支持部3の主面3Aの複数の独立した領域に、当該主面3Aの平面視における総面積に対して面積比率が45%となるようにガス透過性構造32を形成した以外は、実施例2と同様にしてインプリントモールド用基板1を作製した。
〔実施例7〕
薄板部2の対向面2Bの外縁部近傍の表面2Cの平面視における総面積に対し、面積比率が29%となるようにガス透過性構造22を形成し、支持部3の主面3Aの平面視における総面積に対し、面積比率が35%となるようにガス透過性構造32を形成した以外は、実施例2と同様にしてインプリントモールド用基板1を作製した。
〔実施例8〕
粘着剤組成物40に含まれる樹脂材料を下記組成の樹脂組成物に変更し、支持部3の主面3A上に粘着剤組成物40を塗布する方法をインクジェット法に変更し、粘着剤組成物40に薄板部2の対向面2Bを接触させて粘着剤層41を形成する工程を、不活性ガス雰囲気(不活性ガス種:ヘリウム,不活性ガス分圧:5.0×104Pa)のチャンバー内にて行い、薄板部2の対向面2Bの外縁部近傍の表面2Cと支持部3の主面3Aとの間に粘着剤組成物を展開させて粘着剤層41を形成し、365nmの波長を含むUVを300秒間照射して粘着剤層41を硬化させた以外は、実施例1と同様にしてインプリントモールド用基板1を作製した。
<樹脂組成物>
ネオペンチルグリコールジアクリレート 22.0質量%
イソボニルアクリレート 52.0質量%
ジシクロペンテニルアクリレート 21.5質量%
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−
(4−モリフォリノフェニル)ブタノン−1 4.5質量%
〔実施例9〕
粘着剤組成物40に薄板部2の対向面2Bを接触させて粘着剤層41を形成する工程のみを、不活性ガス雰囲気(不活性ガス種:ヘリウム,不活性ガス分圧:9.0×104Pa)のチャンバー内にて行った以外は、実施例8と同様にしてインプリントモールド用基板1を作製した。
〔比較例1〕
粘着剤組成物40に薄板部2の対向面2Bを接触させて粘着剤層41を形成する工程を、大気雰囲気のチャンバー内にて行った以外は、実施例1と同様にしてインプリントモールド用基板1を作製した。
〔比較例2〕
粘着剤組成物40に薄板部2の対向面2Bを接触させて粘着剤層41を形成する工程を、大気雰囲気のチャンバー内にて行った以外は、実施例2と同様にしてインプリントモールド用基板1を作製した。
〔比較例3〕
粘着剤組成物40に薄板部2の対向面2Bを接触させて粘着剤層41を形成する工程を、大気雰囲気のチャンバー内にて行った以外は、実施例8と同様にしてインプリントモールド用基板1を作製した。
〔試験例1〕
実施例1〜9及び比較例1〜3のインプリントモールド用基板1を用い、下記のようにしてインプリント処理を実施して、インプリントモールド用基板1(接合部4)の強度の評価試験を行った。
まず、Si基板の一面上にインプリント樹脂(PAK−01−60,東洋合成社製)をスピンコート法により塗布し、120℃で60秒間ベークしてインプリント樹脂膜を形成した。次に、インプリント樹脂膜が形成されたSi基板及びインプリントモールド用基板1をナノインプリント装置(ST−50,東芝機械社製)に設置し、インプリント処理を実施した。
なお、上記インプリント処理は、以下のようにして実施された。
まず、真空中にてインプリントモールド用基板1の凸構造部21の上面(25mm×35mmの長方形状の領域)と、Si基板上に形成したインプリント樹脂膜とを接触させてから60秒間その状態を保持した。次に、インプリントモールド用基板1の凸構造部21の上面とインプリント樹脂膜とを接触させた状態のまま、積算露光量が300mJ/cm2を超えるようにインプリント樹脂膜にUV光を照射した。その後、インプリントモールド用基板1をインプリント樹脂膜から剥離した。そして、上記インプリント処理を50回連続して繰り返し実施した。
上記インプリント処理を繰り返す過程で、インプリントモールド用基板1を剥離した後、毎回、接合部4の外縁部のうち、インプリントモールド用基板1の内側(中空部30側)に位置する外縁部を、光学顕微鏡(ECLIPSE L300,ニコン社製)を用いて薄板部2の主面2A側から観察・撮像し、当該接合部4の外縁部において、薄板部2又は支持部3と接合部4との間に空隙が生じているか否かを評価した。空隙が生じていると評価されたときには、アプリケーションソフト(ACT−2U,ニコン社製)を用いてその空隙の長さを測定した。この空隙の発生は、インプリント処理によって薄板部2又は支持部3と接合部4との境界に応力が加わり、その応力によって薄板部2と支持部3とが剥離したことの指標となる。
上記試験の結果、実施例1〜9においては、50回のインプリント処理終了後も、空隙は生じていなかった。一方、比較例1においては、1回目のインプリント処理後、最長18mmの空隙が確認された。比較例2においても同様に、1回目のインプリント処理後、最長12mmの空隙が確認された。また、比較例3においては、1回目のインプリント処理後に僅かな空隙が確認され、インプリント処理の継続により徐々に当該空隙が大きくなり、26回目のインプリント処理後、空隙の長さが10mmを超えた。
この試験結果から、薄板部2と支持部3とを接合部4を介して接合する処理を、真空雰囲気下又は不活性ガス雰囲気下で行うことで、薄板部2及び/又は支持部3と、接合部4との界面に気泡(ボイド)を生じさせることがないため、十分な強度を有するインプリントモールド用基板1を製造可能であることが確認された。