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JP6344839B2 - ライニング - Google Patents
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本発明は、ライニングに関する。
例えば、原子力発電プラントなどにおいては、冷却用の媒体として海水が用いられている。この海水が流通する配水管には、長期間の使用を前提として金属配管が用いられるが、コストの観点から炭素鋼が使用されることが多い。炭素鋼は、海水によって配管の腐食が発生するおそれがあり、このような腐食を防止するために、配管内面全体をライニング(ライニング層)で覆うなどしている。
上述のライニングは、ライニング用組成物によって形成されるものであり、ライニング用組成物としては、例えば、ゴムやポリオレフィンが挙げられる。特に、ポリオレフィンの中でもポリエチレンは水分透過率が小さく、また化学的に安定した高分子材料であるため、炭素鋼等よりなる配管内面の腐食防止に有効であることが知られている。
また、ポリエチレンの中でも特に直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE:Linear Low Density Polyethylene)は、分岐鎖の少ない分子構造を有し、分子が比較的密にパッキングされている。このため、分子間の隙間が小さく、低密度ポリエチレン(LDPE:Low Density Polyethylene)と比較して水分透過率がさらに小さいなどの特性を有する。したがって、近年、ライニング用組成物には、この直鎖低密度ポリエチレンが適用されることが多くなっている。
ところで、上述したようなライニングが形成された配管内には、海水の流量を調整する弁が設けられることがある。このような弁の下流側では配管内(の水中)でキャビテーションが生じることがある。そして、このキャビテーションが崩壊する際の衝撃波によって引き起こされる壊食(キャビテーションエロージョン)によって、ライニングに損傷が発生する問題があった。
ここで、特許文献1には、引張強度等の機械的特性に優れたポリエチレンが開示されている。このポリエチレンはメタロセン触媒を用いて合成され、従来のチーグラー触媒を用いて合成されたものと比較すると、ポリエチレンの分子量分布が狭い範囲に収まり、シャープな分布となるため、結果として成形品(ライニング)の機械的特性を向上することが可能となっている。
また、特許文献2には、樹脂組成物を構成するスチレン系熱可塑性エラストマーにおいて、粘弾性測定装置で測定される動的損失係数のピーク温度を規定することによって耐摩耗性を改善することが開示されている。
また、プラスチックの物性とキャビテーションエロージョン特性の関係については、非特許文献1において言及されている。非特許文献1には、σ /(2E)やσが大きいほうがキャビテーションエロージョンに対する耐性(耐キャビテーションエロージョン性)が高いことが示されている。ここで、σは圧縮強さ、Eは圧縮弾性率である。
特許第3525818号公報 特開2009−173734号公報
2000年、日本油空圧学会論文集(A編)、31巻、7号、p.177−182
ところで、特許文献1には、上述のようなポリエチレンをライニングとして用いて機械的特性を向上させ、ライニングの性能を改善しているが、耐キャビテーションエロージョン性についての言及はなかった。
さらに、特許文献1においては引張強度などの機械的特性を測定し、非特許文献1においては圧縮強さ(σ)を測定しており、これらの物性値は、静的な粘弾性特性を評価しているに過ぎない。キャビテーションエロージョン(キャビティ崩壊)による高周波の圧力変動は、1ミリ秒以下の時間単位で繰り返されるため、静的な粘弾性特性である引張強度、圧縮強さ(σ)、圧縮弾性率などの物性値で耐キャビテーションエロージョン性を評価することには限界があった。
また、特許文献2においては、動的粘弾性を測定しているが、周波数特性についての言及はなく、さらにキャビテーションエロージョンについても言及はなく、動的損失係数を評価するのみでは、耐キャビテーションエロージョン性を精度良く評価することは困難であった。
上記のように、プラスチックの物性と耐キャビテーションエロージョン性との相関性については精度良く評価する方法が確立されていないのが現状であり、キャビテーションエロージョンによるライニングの損傷を確実に防止することは難しかった。
この発明は前述した事情に鑑みてなされたものであって、水分遮断性、化学的安定性を有するとともに、耐キャビテーションエロージョン性が良好なライニングを提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題を解決すべく検討した結果、ライニングにおいて、キャビティ崩壊に伴う圧力の時間変化に相当する周波数領域における粘弾性特性について明らかにし、貯蔵弾性率とキャビテーションによる壊食量との間に相関があることを見出した。すなわち、1kHzから50kHzにおける貯蔵弾性率を所定の範囲に制御することによって、耐キャビテーションエロージョン性を向上できることを見出した。
本発明は、上記の知見に基づき完成させたものであって、その要旨は以下の通りである。
すなわち、本発明のライニングは、密度が0.940g/m のメタロセン直鎖低密度ポリエチレンを用いて形成され、1kHz以上50kHz以下の範囲における貯蔵弾性率が650MPa以上740MPa以下であることを特徴としている。
本発明のライニングによれば、密度が0.940g/m メタロセン直鎖低密度ポリエチレンを含有し、1kHz以上50kHz以下の範囲における貯蔵弾性率が650MPa以上740MPa以下とされているので、耐キャビテーションエロージョン性が良好である。また、直鎖低密度ポリエチレンを含有しているので、水分遮断性と化学的安定性も良好である。
ここで、1kHzは1ミリ秒の時間の衝撃負荷時間に相当し、50kHzは0.02ミリ秒の衝撃負荷時間に相当するものである。すなわち、1kHz〜50kHzは、キャビティ崩壊に伴う圧力の時間変化に相当する周波数領域であり、本発明のライニングでは、この周波数領域における貯蔵弾性率を650MPa以上740MPa以下とすることによって、キャビテーションによる壊食を抑制しているのである。
なお、貯蔵弾性率は、動的粘弾性を測定することにより得られる物理量である。
さらに、直鎖低密度ポリエチレンがメタロセン触媒によって合成されていることで、他の触媒を用いて合成される場合と比較して、分子量分布がより狭い範囲となる。すなわち、分子の大きさがより揃うことになる。この結果、貯蔵弾性率を比較的高くすることができ、さらに、耐キャビテーションエロージョン性を向上させることができる。
また、本発明のライニングにおいては、高分子酸化防止剤をさらに含有していても良い。
このような添加剤によって、直鎖低密度ポリエチレンの酸化を防止することが可能となり、耐キャビテーションエロージョン性の向上に加え、酸化劣化に対する耐久性の向上を図ることができる。
また、本発明のライニングにおいて、前記直鎖低密度ポリエチレンが、架橋されていることが好ましい。
架橋反応を発生させて、直鎖低密度ポリエチレンの分子間を架橋することで、分子構造が立体網目構造となる。その結果、耐キャビテーションエロージョン性をさらに向上できる。
本発明によれば、水分遮断性、化学的安定性を有するとともに、耐キャビテーションエロージョン性が良好なライニングを提供することができる。
本発明の一実施形態に係るライニングの説明図である。 貯蔵弾性率の測定結果の一例を示す図である。 実施例及び比較例に係る貯蔵弾性率と周波数の関係を示す図である。 1kHzの場合の貯蔵弾性率と壊食深さの関係を示す図である。 20kHzの場合の貯蔵弾性率と壊食深さの関係を示す図である。 50kHzの場合の貯蔵弾性率と壊食深さの関係を示す図である。
以下に、本発明の実施の形態について添付した図面を参照して説明する。
本発明の一実施形態におけるライニング配管10は、図1に示すように、配管11と、この配管11の内面に形成されたライニング12(ライニング層)とを備えている。
配管11は、例えば炭素鋼で構成された円筒状の鋼管である。この配管11は、内部に流通する媒体によって内部が腐食することがあるため、内面にこの腐食を防止するためのライニング12が形成されている。
ライニング12は、ライニング用組成物によって形成されるものである。このライニング12は、ライニング用組成物の粉体を用いた粉体成形や、予め筒状に形成したライニング用組成物を配管11の内面に挿入することによって、配管11への施工が行われる。
なお、ライニング12は、配管11の内面に形成されるものに限定されるものではなく、他の形状の構造部材に適用することも可能である。
本実施形態であるライニング用組成物(ライニング12)は、直鎖低密度ポリエチレン(以下、LLDPEと称することがある。)を含有し、1kHz以上50kHz以下の範囲における貯蔵弾性率が200MPa以上とされている。
なお、貯蔵弾性率は、動的粘弾性を測定することにより得られる物理量である。
LLDPEは、重合触媒によってエチレンとα−オレフィンとを共重合させた高分子化合物である。
ここで、LLDPEは、重合触媒の一種であるメタロセン触媒を用いて合成されたもの(以下、メタロセンLLDPEと称する。)であることが好ましい。メタロセン触媒とは、ジルコノセンとメチルアルミノキサンとを組み合わせたものであり、エチレンに対して高い重合活性を示す。
すなわち、メタロセンLLDPEにおいては、分子量の分布が狭い範囲に収まることとなる。したがって、例えばチーグラー触媒等の他の触媒を用いてLLDPEが合成されている場合と比較して、貯蔵弾性率が高いLLDPEを合成することができる。
メタロセンLLDPEはエチレン−α−オレフィン共重合体であり、モノサイト触媒の存在下でエチレンと炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜8のα−オレフィンとを共重合して得られるポリマーである。
コモノマーとしての3〜30の炭素原子を有するα−オレフィンの例としてはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドコセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−アイコセン〔sic〕、1−ドコセン〔sic〕、1−テトラコセン〔sic〕、1−ヘキサコセン〔sic〕、1−オクタコセン〔sic〕及び1−トリアコンタセンを挙げることができる。これらのα−オレフィンは単独でも良いし、2種類以上を併用しても良い。
また、メタロセンLLDPEは、市販品を使用することができる。
ライニング用組成物は、1kHz以上50kHz以下の範囲における貯蔵弾性率が400MPa以上とされていることが好ましい。
また、ライニング用組成物は、1kHz以上50kHz以下の範囲における貯蔵弾性率が500MPa以上とされていることがさらに好ましい。
なお、貯蔵弾性率の上限は特にないが、1000MPa以下であることが実際的である。
さらに、ライニング用組成物は、LLDPEに加え、高分子酸化防止剤を含んでいても良い。
ここで、高分子酸化防止剤(酸化防止機能を有する添加剤)としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、セミヒンダードフェノール系化合物、レスヒンダードフェノール系化合物および一般にHALSと略称されるヒンダードアミン系化合物が挙げられる。また、高分子酸化防止剤の酸化防止機能の向上のため、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤を用いても良い。さらに、フェノール系化合物とリン系化合物の両方の特徴が組み合わさったフェノール系化合物を用いることもできる。
なお、上記の高分子酸化防止剤に限定されるものではない。また、上記の高分子酸化防止剤は単独でも良いし、2種以上を併用しても良い。
高分子酸化防止剤の配合量はLLDPE(又はメタロセンLLDPE)100重量部に対して、0.005重量部以上1.0重量部以下であることが好ましい。
高分子酸化防止剤の配合量が0.005重量部未満の場合は、配合量が少なすぎるため酸化防止の効果が十分に得られないおそれがある。また、1.0重量部を超える場合は、LLDPEとの相溶性の上限となる場合が多く、添加した高分子酸化防止剤が短時間でポリエチレン表面に析出するなどの現象が発現し、1.0重量部以上添加する効果が期待できない。このような理由により、高分子酸化防止剤の好ましい配合量は、上記の範囲とされている。
また、ライニング12(ライニング用組成物)は、架橋されたLLDPEを含んでいてもよい。
ここで、架橋とは、分子間を連結して分子構造に立体網目構造が形成させる反応のことであり、例えば架橋剤である有機過酸化物を用いた架橋や、電子線架橋、水架橋等が知られている。
架橋剤である有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド(DCP)、ジ−t−ブチルパーオキサイド(DBP)、2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2,5−ジメチルヘキシン−3(25YB)、ジ−t−アミルパーオキサイド(DAM)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、架橋剤の配合量はLLDPE(又はメタロセンLLDPE)100重量部に対して通常0.5重量部以上10重量部以下であることが好ましい。
架橋剤の配合量が、0.5重量部未満では架橋度が小さすぎるため架橋剤を配合する効果を得ることが困難となる場合があり、10重量部を超えると架橋度が大きくなり過ぎて、伸縮性が低下し、ライニング12が脆くなってしまうおそれがあるため、上記の範囲とされている。
なお、ライニング12の施工に際しては、ライニング用組成物の粉体を用いた粉体成形法を用いてライニング層(ライニング12)を形成した後に、架橋反応を促進させるよう、重合禁止剤を添加して誘導期間を設定してもよい。
そして、このような重合禁止剤としては、フェノール系化合物又は多環芳香族構造を有する化合物であることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
フェノール系化合物としては、例えば、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、4−tert−ブチルカテコール、4−メトキシフェノール等が挙げられる。
また、多環芳香族構造を有する化合物としては、例えば、4−メトキシ−1−ナフトール、「キノパワー(登録商標)LSN、及びATR」(川崎化成工業株式会社)等が挙げられる。
上記誘導期間としては、ライニング組成物の粉体が熱溶融しライニング層がほぼ平滑になるまでの時間を設定することが好ましい。
電子線架橋は、母材となる配管11の内面に、粉体成形法を用いてライニング層を形成した後に、電子線を照射して架橋させる手法である。
水架橋は、LLDPEに有機シラン化合物を混合し、又は、LLDPEを有機シラン化合物で編成したものを用いてライニング層を形成した後に、触媒の存在下で水又は水蒸気を浸透させて架橋させる手法である。
配管11へのライニング12の施工は、上述のライニング用組成物の粉体を用いて配管11に施工する粉体成形法を用いることが好ましい。
粉体成形法を用いて配管11内面に均一なライニング12を形成するための施工温度は、150〜280℃、好ましくは160〜250℃に設定されている。なお、配管11を加熱炉で加熱した後、加熱炉から取り出して放冷しながら施工する場合は、施工する直前の配管11の温度は、250〜320℃であることが好ましい。
温度が上記の範囲を超える場合、LLDPEと配管11(母材)界面に気泡が発生するなどの不具合が生じることがある。また、温度が上記の範囲未満の場合、LLDPE粉体の溶融不足で粉体の一部が、粉体状態のままでライニング層に残留したり、粉体が含む気泡が脱泡されずにライニング層中に残ったりして、均一なライニング12を配管11の全面に形成できないおそれがある。このような理由により、施工温度の範囲は上記の範囲に設定されている。
以上のような構成とされた本実施形態であるライニング用組成物によれば、直鎖低密度ポリエチレンを含有し、1kHz以上50kHz以下の範囲における貯蔵弾性率が200MPa以上とされているので、耐キャビテーションエロージョン性が良好である。また、直鎖低密度ポリエチレンを含んでいるので、水分遮断性、及び化学的安定性も良好である。
ライニング12は、キャビティ崩壊に伴いキャビテーションエロージョン(壊食)が生じる。キャビティ崩壊に伴う圧力の時間変化に相当する周波数は1kHz(1ミリ秒)以上50kHz(0.2ミリ秒)以下である。本実施形態では、ライニング用樹脂(ライニング12)において、1kHz以上50kHz以下における貯蔵弾性率を200MPa以上に設定することによって、耐キャビテーションエロージョン性を向上させているのである。
したがって、上述のようなライニング用組成物によってライニング12を形成した場合には、耐キャビテーション性が良好となり、ライニング12の信頼性及び耐久性を向上させることができる。
また、本実施形態のライニング用組成物(ライニング12)において、好ましくは、貯蔵弾性率が400MPa以上とされているので、さらに耐キャビテーションエロージョン性を向上させることができる。
また、ライニング用組成物(ライニング12)に含まれる直鎖低密度ポリエチレンが、メタロセン触媒によって合成されている場合、貯蔵弾性率を比較的高くすることができ、さらに耐キャビテーションエロージョン性を向上させることができる。
また、ライニング用組成物が高分子酸化防止剤をさらに含有していている場合、直鎖低密度ポリエチレンの酸化を防止することが可能となり、耐キャビテーションエロージョン性の向上に加え、耐久性の向上を図ることができる。
また、ライニング形成後において、直鎖低密度ポリエチレンが、架橋されている場合には、分子構造が立体網目構造となり、ライニング12の耐キャビテーションエロージョン性がさらに向上する。
以上、本発明の一実施形態であるライニング用樹脂、及びライニングについて説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、この発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
なお、貯蔵弾性率がLLDPEよりもさらに高いポリエチレンとして、超高分子量ポリエチレンなどがあるが、貯蔵弾性率が高くなるとともに、融点が上昇する場合があり、粉体施工法において、ライニングを形成し難くなることが考えられる。
以下に、本発明の効果を確認すべく行った確認実験について説明する。
表1に記載のライニング用組成物の粉体を用いて、165℃の温度で圧縮成形して、実施例1〜3のシートを形成した。
比較例1は、加硫したクロロプレンゴムのシートとした。
これらのシートを試験片として、貯蔵弾性率、及びキャビテーションエロージョンによる壊食深さ(壊食量)を測定した。貯蔵弾性率とキャビテーションエロージョンによる壊食深さは、以下のようにして評価した。
Figure 0006344839
(貯蔵弾性率の評価方法)
例えば、図2に示すように、実施例1のシートに対して、温度範囲:−135℃〜20℃、周波数(振動周波数)範囲:0.1Hz〜10Hzにおける貯蔵弾性率を測定した。
なお、ここでは、試験片の厚さが2mmのものを用いた。
図2に示す周波数と貯蔵弾性率の関係から、時間−温度換算則に基づいて、図2のデータが1つの曲線になるように横軸をシフトし、基準温度が20℃となるように縦軸をシフトして、図3に示すように実施例1のシートの貯蔵弾性率のマスターカーブを求めた。
ここで、マスターカーブとは、温度20℃で、周波数が1kHz〜50kHzの範囲における貯蔵弾性率を示すカーブのことを意味している。
次いで、実施例1と同様にして、実施例2、実施例3、及び比較例1のシートについても貯蔵弾性率のマスターカーブを取得した。図3に、実施例1のシートのマスターカーブと併せて、実施例2、実施例3、及び比較例1のシートの貯蔵弾性率のマスターカーブを示す。
上記のようにして得られたマスターカーブから、周波数1kHz、20kHz、50kHzにおける貯蔵弾性率を推定した。この結果を、表2に示す。
なお、本実施例では、時間−温度換算則を用いて周波数1kHz〜50kHzの貯蔵弾性率を算出しているが、実測しても良い。
Figure 0006344839
(キャビテーションエロージョンによる壊食深さの評価方法)
実施例1〜実施例3、及び比較例1のシートを試験片として、ASTM G134−95に準拠してキャビテーションエロージョン試験を実施した。キャビテーションエロージョン試験の暴露時間は24時間とし、キャビテーション数:0.025、流速150m/秒の条件で試験を実施した。
なお、ここでは、試験片の厚さを5mmとし、φ=12mmの試験片を用いて各試験片を金属治具に熱融着させて試験を実施した。
キャビテーションエロージョンによる壊食深さの評価結果を表3に示す。
また、図4〜図6に、表2の貯蔵弾性率を縦軸とし、横軸を壊食深さとして図示したグラフを示す。具体的には、図4は1kHzの場合、図5は20kHzの場合、図6は50kHzの場合の貯蔵弾性率と壊食深さの関係を示している。
Figure 0006344839
(評価結果)
表2に示すように、実施例1〜3は、1kHz〜50kHzの貯蔵弾性率が200MPa以上であり、十分に高い貯蔵弾性率を示した。
一方、比較例1は、貯蔵弾性率が実施例1〜3と比較して低い値を示した。
なお、周波数が50kHzを超える場合、実施例1〜3の貯蔵弾性率と比較して、比較例1の貯蔵弾性率の上昇幅が大きくなる。すなわち、50kHz以下の領域と比較して、50kHzを超える領域では、比較例1の貯蔵弾性率が、実施例1〜3の貯蔵弾性率に近い値となる。
また、表3に示すように、実施例1〜3は壊食深さが小さく、本実施例が良好な耐キャビテーションエロージョン性を有することが確認された。また、実施例1は、実施例3よりも壊食深さが小さく、より良好な耐キャビテーションエロージョン性を有することが確認された。実施例2は、実施例1よりも壊食深さがさらに小さく、耐キャビテーションエロージョン性が優れることが確認された。すなわち、LLDPEの密度が最も高い、実施例2が、特に優れた耐キャビテーション性を有していることが確認された。
一方、比較例1は壊食深さが、実施例1〜3と比較して大きくなり、耐キャビテーションエロージョン性が劣った。
図4〜図6に示すように、壊食深さは、1kHz〜50kHzにおける貯蔵弾性率と相関があることが確認された。すなわち、貯蔵弾性率が200MPa以上である実施例1〜3は、壊食深さが小さく耐キャビテーションエロージョン性が良好であることが確認された。
12 ライニング(ライニング層)

Claims (3)

  1. 密度が0.940g/m のメタロセン直鎖低密度ポリエチレンを用いて形成され、
    1kHz以上50kHz以下の範囲における貯蔵弾性率が650MPa以上740MPa以下であることを特徴とするライニング
  2. 高分子酸化防止剤をさらに含有することを特徴とする請求項に記載のライニング
  3. 前記メタロセン直鎖低密度ポリエチレンが、架橋されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のライニング。
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