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JP6346066B2 - 切削工具および切削加工物の製造方法 - Google Patents
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JP6346066B2 - 切削工具および切削加工物の製造方法 - Google Patents

切削工具および切削加工物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は切削工具に関し、特に耐欠損性に優れた被覆層を有する切削工具、および切削加工物の製造方法に関する。
金属やプリント基板等の切削加工に広く用いられている切削工具は、超硬合金やサーメット、セラミックス等の基体の表面に、単層または多層で構成された被覆層が形成された切削工具が知られている。この被覆層としては、TiC(炭化チタン)層、TiN(窒化チタン)層、TiCN(炭窒化チタン)層およびAl(酸化アルミニウム)層等が積層された化学蒸着(CVD)膜が多用されている。
例えば、特許文献1では、超硬合金基体の表面に、TiCN層、Al層、TiCN層の順に被覆した切削用インサートが開示されている。特許文献2には、窒化珪素基体の表面に硬質被覆層を被覆し、硬質被覆層の1層目が、結晶粒子径1〜30nmの粒状晶を含む柱状粒子からなる窒化チタン層である構成が開示されている。
また、特許文献3では、電解研磨処理によって、焼肌面に存在する硬質相の平均粒径を、内部に存在する硬質相の平均粒径よりも小さくして、焼肌面の平滑性を高めた超硬合金が開示されている。
特開2003−213455号公報 特開10−015707号公報 特開2000−265236号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されたTiCN(TiN)層とAl層とを繰り返し積層した被覆層の構成や、特許文献2のように窒化珪素質焼結体からなる基体の直上に成膜するTiN層の結晶形態を、基体に隣接する部分に粒状粒子と柱状粒子とを混在させた構成でも、被覆層の密着性が不十分な場合があり、また、切削中にAl層にクラックが発生して被覆層がチッピングする場合があった。特許文献3のように、焼肌面における硬質相の平均粒径を小さくした超硬合金でも、焼肌面の平滑性は向上するものの、基体と被覆層との密着性をさらに高めることが求められていた。
本発明の切削工具は、窒化珪素粒子を主体として含有する窒化珪素質焼結体からなる基体と、該基体の表面に被覆された被覆層とを備える切削工具であって、
前記基体の表面に垂直な断面において、
前記窒化珪素粒子は、前記基体の最表面に存在して前記被覆層と接する表面粒子と、前記被覆層とは接しない内部粒子とからなり、前記表面粒子の前記基体の表面に平行な平均粒子幅w1と、前記内部粒子の前記基体の表面に平行な平均粒子幅w2との比(w1/w2)が0.2〜0.6であり、前記表面粒子の前記平均粒子幅w1と平均粒子長さL1との比(L1/w1)が0.1〜0.6であるとともに、前記被覆層を構成する粒子のうち、前記基体と接触する第1被覆層を構成する粒子の前記基体の表面に平行な平均粒子幅d1と、前記表面粒子の平均粒子幅w1との比(w1/d1)が0.8〜2.1である。
本発明の切削加工物の製造方法は、被削材を回転させる工程と、回転している前記被切削物に前記切削工具の前記切刃を接触させる工程と、前記切削工具を前記被削材から離す工程とを備えたものである。
本発明の切削工具は、基体が窒化珪素質焼結体からなり、その最表面の被覆層と接する表面粒子の平均粒子幅w1が、内部粒子の平均粒子幅w2に対する比(w1/w2)で0.2〜0.6と小さい。また、表面粒子の平均粒子幅w1と平均粒子長さL1との比(L1/w1)が0.1〜0.6と幅広である。さらに、被覆層のうち、前記基体と接触する第1被覆層の平均粒子幅d1と、前記表面粒子の平均粒子幅w1との比(w1/d1)が0.8〜2.1と近似している。そのため、基体と被覆層との密着性がよく、かつ被覆層が受けた衝撃を基体側に分散して伝達することができ、基体の耐衝撃性が高い。
本発明の一実施形態に係る切削工具の被覆層を含む研磨断面についての走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の一実施態様における切削加工物の製造方法を説明するための図であり、図2A、図2B、図2Cは、本製造方法のいずれかの工程を示す概略図である。
切削工具の好適例である切削インサート1は、図1に示すように、窒化珪素粒子を主体として含有する窒化珪素質焼結体からなる基体2と、基体2の表面に被覆された被覆層3とを備えている。
ここで、本発明において、窒化珪素粒子を主体として含有するとは、基体2の10μm以上×10μm以上の任意領域において、領域の面積に対して窒化珪素粒子が50面積%以上の割合で存在することを指す。また、窒化珪素粒子は、基体2の最表面に存在して被覆層3と接する表面粒子4と、被覆層3とは接しない内部粒子5とからなる。
一方、被覆層3は、単層または複数層からなり、基体2と接触する第1層7には、表面粒子5と接触する第1被覆層が存在する。
本実施態様においては、表面粒子4の基体2の表面に平行な平均粒子幅w1と、内部粒子5の基体2の表面に平行な平均粒子幅w2との比(w1/w2)が0.2〜0.6であるとともに、表面粒子4の平均粒子幅w1と平均粒子長さL1との比(L1/w1)が0.1〜0.6である。また、第1層7の第1被覆層の平均粒子幅d1と、表面粒子の平均粒子幅w1との比(w1/d1)が0.8〜2.1である。
これによって、基体2と被覆層3との密着性がよく、かつ被覆層3が受けた衝撃を基体2側に分散して伝達することができ、基体2の耐衝撃性が高い。すなわち、基体2の表面粒子と被覆層3の第1被覆層の平均粒径が近似するので、切削熱の影響で温度が上下する場合でも、両者間の収縮差が小さくて密着性が高い。また、表面粒子4の比(L1/w1)が0.1〜0.6と幅広なので、被覆層3が受けた衝撃を基体側に分散して伝達することができ、耐欠損性が向上する。
本発明において、表面粒子4および内部粒子5の平均粒子幅w1、w2は、基体2の表面に垂直な断面の研磨面において、基体2の表面に平行な直線を引いて、この直線長さを、直線を横切る粒界の数で割った値を算出することによって測定する。なお、粒界の数は5個以上となる範囲で測定する。また、表面粒子4の平均粒子幅を測定のための直線は、
測定される表面粒子5の最表面位置、すなわち、被覆層3との接触する位置において測定する。内部粒子5の平均粒子幅を測定のための直線は、表面粒子5の長さL1よりも深い任意の位置3箇所について測定し、その平均値を取る。図1に、w1、w2、L1、d1を測定するための直線をそれぞれ点線で示している。なお、断面の研磨面とは、表面粒子4、内部粒子5および被覆層3を構成する粒子が観察できる程度の滑らかさであればよく、走査型電子顕微鏡にて確認すればよいが、切削インサート1の研磨面において、研磨粉が粒子間の粒界を埋めて粒界が判別できない場合には、電子線後方散乱回折法(EBSD)にて各粒子の配向性を確認し、配向性が異なる境界では、2つ粒子が存在するとみなして、粒子の平均粒径を側製する。
図1の研磨面において、内部粒子5の平均アスペクト比が1.5以上である。これによって、基体2の靭性が高く、切削インサート1の耐欠損性が向上する。内部粒子5の平均アスペクト比の望ましい範囲は、1.7〜3.0である。なお、本発明において、内部粒子5の平均アスペクト比とは、上記研磨面において、内部粒子5の最長長さである長径と、長径に垂直な方向における最長長さである短径との比(長径/短径)の平均値である。本実施態様において、内部粒子5の長径の平均である平均長径は0.5〜3.0μmである。これによって、切削インサート1の耐欠損性を高めることができる。内部粒子5の平均長径の望ましい範囲は、1.5〜2.0μmである。
一方、被覆層3は、基体2側から、平均粒子幅が0.1〜0.4μmのTiNにて構成される第1層7と、平均粒子幅が0.01〜1.5μmのAlにて構成される第2層8と、平均粒子幅が0.01〜0.1μmで第1層7の平均粒子幅よりも小さい平均粒子幅のTiNにて構成される第3層9と、平均粒子幅が0.01〜1.5μmのAlにて構成される第4層10と、平均粒子幅が0.01〜0.7μmにて構成されるTiC1−x(0≦x≦1)、特にx=1のTiCからなる第5層11とが、この順で積層されている。平均粒子幅の望ましい範囲は、第1層7が0.2〜0.3μm、第2層8が0.4〜1.0μm、第3層9が0.01〜0.05μm、第4層10が0.3〜1.0μm、第5層11が0.2〜0.5μmである。
基体2を構成する窒化珪素質焼結体は窒化珪素粒子が針状粒子からなるために、基体2の表面には比較的大きな凹凸が形成される。しかしながら、切削インサート1では、寸法精度を高めるために、基体2の表面を研磨加工する場合がある。このような場合には、基体2の表面は凹凸が小さくなって平滑性が高まるが、被覆層3との密着性が低下する。そのために、本実施態様では、基体2の表面粒子の性状を改良するとともに、基体2の直上には、基体2の表面粒子6と粒径が近似する第1層7を形成する。
本実施態様では、第1層7はTiN層からなる。これによって、被覆層3の密着性が高い。次に、被覆層3の耐摩耗性を向上させるために、第1層7の表面にAlからなる第2層8を形成する。そして、第2層8の表面に、第1層7の平均粒子幅よりも小さい0.01〜0.1μmの平均粒子幅にて構成されるTiNからなる第3層9を形成する。この第3層9は、後述する第4層10にかかる衝撃を緩和して、第4層10および第2層8のAl層にクラックが発生することを抑制する。さらに、第3層9の表面には、被覆層3の耐摩耗性を向上させるためにAlからなる第4層10を積層する。第4層10の表面には、被覆層3の色彩を変えて切削インサート1の使用状態をわかりやすくするため、および被削材の溶着を抑制するために、第5層11を設ける。
上記被覆層3の構成によって、基体2と被覆層3との付着力が高くて耐欠損性の高い被覆層3となり、切削インサート1の耐摩耗性と耐欠損性が向上する。第1層7はアスペクト比が2〜10の柱状粒子からなるとともに、第3層9はアスペクト比が1.5以下の粒状粒子からなる。
本実施態様では、第1層7、第2層8、第3層9、第4層10および第5層11を構成する粒子の特定の結晶面への配向性を電子線後方散乱回折法(EBSD)にて測定することができるが、組織化係数は0.8〜1.2となり、特定の結晶面への配向はなく、無配向である。これによって、被覆層3の耐欠損性が高まる。
さらに、本実施態様では、第1層7を構成するTiNの平均粒子幅d1と、第3層9を構成するTiNの平均粒子幅d3との比(d3/d1)が0.05〜0.7である。これによって、基体2と被覆層3との密着性を高めることができるとともに被覆層3の耐チッピング性を高めることができる。
(製造方法)
上述した切削インサートの製造方法の一実施形態について説明する。出発原料として、平均粒径0.2〜0.8μmの窒化珪素(Si)粉末と、平均粒径1.0〜1.7μmの希土類元素(Re)化合物(水酸化ランタン(La(OH))、酸化イットリウム(Y)、酸化イッテリビウム(Yb)、酸化エルビウム(Er)、酸化セリウム(Ce)のいずれか)粉末と、平均粒径0.2〜0.8μmの酸化アルミニウム(Al)粉末と、平均粒径1.8〜4.0μmの水酸化マグネシウム(Mg(OH))粉末とを混合し、プレス成形、鋳込成形、押出成形、冷間静水圧プレス成形等の公知の成形方法によって所定の工具形状に成形する。
この成形体を脱脂した後、焼成鉢内にセットする際、Si粉末、Si粉末、SiO粉末の少なくとも1種とMg(OH)粉末との混合粉末を用いてセットして蓋をし、これをカーボン製の円筒内に置いた状態で焼成炉内に載置する。そして、焼成炉内を窒素1気圧(101kPa)に置換して、1200℃まで昇温速度5〜15℃/分で昇温し、その後、1840〜1880℃まで1〜5℃/分で昇温し、その後、1900〜1950℃、窒素5〜10気圧(505kPa〜1013kPa)雰囲気で1〜4時間保持して炉冷する。そして、所望によって、1500〜1700℃、2〜5時間、170〜220MPaの条件で熱間静水圧焼成(HIP処理)を施して窒化珪素質焼結体を得る。そして、所望によって焼結体の表面に対して厚み研削加工(両頭加工と外周加工)を施すとともに、切刃部にホーニング加工を施す。
そして、その表面に化学気相蒸着(CVD)法によって被覆層を成膜する。成膜する際には、加工された基体を成膜チャンバ内にセットして、水素(H)ガスを10kPa〜100kPaの圧力で導入して、第1層の成膜温度よりも20〜50℃高い温度まで昇温する。この工程によって、基体の表面に存在する窒化珪素粒子の分解を促進して、窒化珪素粒子の形状を所定の範囲に変化させることができる。
次に、反応ガス組成として塩化チタン(TiCl)ガスを1〜5体積%、窒素(N)ガスを10〜60体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを調整して反応チャンバ内に導入し、成膜温度を上記工程の温度から970〜1050℃の成膜温度まで降温しながら、10kPa〜20kPaの条件で第1層(TiN層)を成膜する。このとき、第1層の成膜温度およびガス圧を調整することによって、基体と第1層との界面付近における各元素の拡散割合を制御することができる。なお、TiN粒子が柱状となるか粒状となるかは、成膜温度および混合ガスの圧力を変化させることによって調整可能である。
次に、第2層(Al層)を成膜する。Al層の成膜方法としては、塩化アルミニウム(AlCl)ガスを3〜20体積%、塩化水素(HCl)ガスを0.5〜10体積%、二酸化炭素(CO)ガスを0.01〜20体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを用い、960〜1100℃、5〜25kPaとすることが望ましく、
この条件によれば基本的にκ−Alが生成するが、α−Alが生成する場合もある。
さらに、反応ガス組成として塩化チタン(TiCl)ガスを1〜10体積%、窒素(N)ガスを10〜60体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを調整して反応チャンバ内に導入し、成膜温度を900〜950℃、10〜50kPaの条件で第3層(TiN層)を成膜する。
そして、引き続き、第4層(Al層)を成膜する。Al層の成膜方法としては、塩化アルミニウム(AlCl)ガスを3〜20体積%、塩化水素(HCl)ガスを0.5〜10体積%、二酸化炭素(CO)ガスを0.01〜20.0体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを用い、950〜1100℃、5〜25kPaとすることが望ましく、この条件によってもκ−Alが生成するが、α−Alが生成する場合もある。
その後、最表面に、例えば、反応ガス組成として、体積%で塩化チタン(TiCl)ガスを0.1〜10体積%、二酸化炭素(CO)ガスを0.01〜10体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを調整して反応チャンバ内に導入し、成膜温度を780〜1100℃、5〜25kPaの条件にてTiCからなる第5層を成膜し、窒化珪素質焼結体の表面に被覆層を成膜した切削インサートを得る。
そして、所望により、形成した被覆層3表面の少なくとも切刃部を研磨加工する。この研磨加工により、切刃部が平滑に加工され、被削材の溶着を抑制して、さらに耐欠損性に優れた工具となる。
(切削加工物の製造方法)
本実施態様における切削加工物の製造方法について、図2を参照しつつ詳細に説明する。図2Aは、ホルダ42のインサートポケット46に切削インサート1を装着した切削工具41を被削材50に向かってY方向に近づける工程を示す図である。図2Bは、切削工具41を被削材50に接触させる工程を示す図である。図2Cは、切削工具41を被削材50からZ方向に離す工程を示す図である。
本実施態様における切削加工物の製造方法は、以下の(i)〜(iV)の工程を備える。(i)準備された被削材50の上方に切削工具41を配置する工程(図2A)。
(ii)被削材を、回転軸Oを中心に矢印r方向に回転させ、切削工具41を被削材50に近づける工程(図2A)。本工程は、例えば、切削工具41を取り付けた工作機械のテーブル上に被削材50を固定し、被削材50を回転させた状態で、切削工具41を被削材50に近づけることによって行うことができる。なお、本工程では、被削材50と切削工具41とが相対的に近づけばよく、例えば、切削工具41を固定して被削材50を切削工具41に近づけてもよい。
(iii)切削工具41をさらに被削材50に近づけることによって、切削工具41の切刃
2を、回転している被削材50の表面の所定の位置に接触させて、被削材50を切削加工する工程(図2B)。
(iv)切削工具41を被削材50の貫通孔51から離す工程(図2C)。本工程においても、上記(ii)工程と同様に、被削材50と切削工具41とは相対的に離隔すればよく、例えば、切削工具41を固定して、被削材50を切削工具41から離してもよい。
以上の工程によって、優れた切削性能を発揮することができる。なお、切削加工を繰り
返し行う場合には、被削材50の回転を保持した状態で、被削材50の異なる箇所に切削工具41の切刃2を接触させる工程を繰り返せばよい。
出発原料として、平均粒径1.2μmのRe元素化合物として水酸化ランタン(La(OH))粉末を1.76質量%と、平均粒径0.7μmの酸化アルミニウム(Al)粉末を0.4質量%と、平均粒径2.5μmの水酸化マグネシウム(Mg(OH))粉末を0.72質量%と、残部が平均粒径0.3μmの窒化珪素(Si)粉末との割合で調合し、バインダと溶剤とを添加した後、ミルにて72時間、粉砕、混合した。その後、乾燥して溶剤を除去して造粒粉末を作製し、この造粒粉末を98MPaの圧力でSNGN120412の切削工具形状にプレス成形した。
脱脂後、この成形体を焼成鉢内にセットする際、Si粉末とSi粉末とMg(OH)粉末との混合粉末を敷き粉として成形体の周囲に充填した状態で成形体を載置して蓋をし、これをカーボン製の円筒内に置いた状態で焼成炉内に載置した。そして、焼成炉内を窒素101kPa(1気圧)に置換して、1200℃まで昇温速度10℃/分で昇温し、その後、1860℃まで2℃/分で昇温した。その後、1920℃、窒素909kPa(9気圧)雰囲気で2時間保持し炉冷した。その後、1600℃、2時間、196MPaの条件で熱間静水圧焼成(HIP)し、さらにこの焼結体の表面を0.3mm厚み研削加工(両頭加工と外周加工)して窒化珪素質焼結体を得た。窒化珪素質焼結体の断面について走査電子顕微鏡(SEM)を用いて5000倍で組織観察を行い、画像解析にて窒化珪素粒子の平均粒径を測定したところ、0.6μmであった。
次に、その表面に化学気相蒸着(CVD)法によって被覆層を成膜した。成膜条件は表1、3に示す前処理条件を施した後、表1の条件で各層を成膜した。なお、試料No.1の被覆層の成膜条件は、第1層のTiN層は、表1のTiN2の混合ガス組成を用いて、成膜温度が1010℃、ガス圧が15kPaで成膜し、第2層のAl層は、表1のAl1混合ガス組成を用いて、成膜温度が1005℃、ガス圧が9kPaで成膜し、第3層のTiN層は、表1のTiN1の混合ガス組成を用いて、成膜温度が920℃、ガス圧が30kPaで成膜し、第4層のAl層は、表1のAl2の混合ガス組成を用いて、成膜温度が1005℃、ガス圧が9kPaで成膜し、第5層のTiC層は、表1のTiCの混合ガス組成を用いて、成膜温度が1010℃、ガス圧が15kPaで成膜した。試料No.2〜17については、第1層のTiN層を表1のTiN2で、第2層のAl層を表1のAl1で、第3層のTiN層を表1のTiN1で、第4層のAl層を表1のAl2で、第5層を表1のTiC、TiCNまたはTiN2のいずれかの条件を用いて成膜した。そして、被覆層3の表面をすくい面側から30秒間ブラシ加工して試料No.1〜17の切削工具を作製した。
そして、走査電子顕微鏡(SEM)およびEBSD分析を用いて、基体の表面粒子と内部粒子について平均粒子幅を測定した。また、表面粒子については平均粒子長さを測定し、内部粒子についてはアスペクト比を測定した。結果は表2に示した。さらに、被覆層の各層について、各層を構成する粒子の形態、厚み、平均粒子幅を測定した。さらに、柱状粒子については、アスペクト比を測定した。結果は表3に示した。
さらに、この切削工具を用いて下記の条件により、断続切削試験を行い、耐欠損性を評価した。
被切削材:FCD−450 スリーブ材
切削速度:500m/分
送り量:0.5mm/rev
切り込み量:2.0mm
切削条件:湿式切削
評価項目:10分加工後、切刃のフランク摩耗量とチッピング状態をデジタルスコープにて観察した。結果は表3に示した。
w1/w2比が0.6よりも大きい試料No.15では、被覆層が剥離した。また、w1/w2比が0.2よりも小さい試料No.16では、被覆層にチッピングが発生した。さらに、L1/w1比が0.6を越える試料No.14では、切刃に欠損が発生した。また、w1/d1比が2.1を超える試料No.17では、被覆層が剥離した。
これに対して、本発明に従う被覆層の構成からなる試料No.1〜13では、被覆層のチッピングや剥離がなく、逃げ面摩耗量も小さいものであった。中でも、内部粒子の平均アスペクト比が1.5以上である試料No.1〜3、5〜13では、摩耗量が小さかった
。また、被覆層が、基体側から、TiNからなる第1層と、Alからなる第2層と、TiNからなる第3層と、Alからなる第4層と、TiCからなる第5層とからなる試料No.1〜3、5、7〜13では、摩耗量が小さくなる傾向にあった。さらに、第1層はアスペクト比が2〜10の柱状粒子からなるとともに、第3層はアスペクト比が1.5以下の粒状粒子からなる試料No.1〜5、9、13では、摩耗量が小さくなる傾向にあった。また、第1層の厚みが0.7〜1.3μm、第2層の厚みが0.5〜1.2μm、第3層の厚みが0.1〜0.3μm、第4層の厚みが0.5〜1.2μm、第5層の厚みが0.1〜0.5μmである試料No.1、2、3、5、8、13では、摩耗量が小さくなる傾向にあった。さらに、第1層を構成するTiNの平均粒子幅d1と、第3層を構成するTiNの平均粒子幅d3との比(d3/d1)が0.05〜0.7である試料No.1〜11では、摩耗量が小さくなる傾向にあった。
1 切削インサート
2 基体
3 被覆層
4 表面粒子
5 内部粒子
7 第1層(TiN層)
8 第2層(Al層)
9 第3層(TiN層)
10 第4層(Al層)
11 第5層(TiC1−x層)

Claims (8)

  1. 窒化珪素粒子を主体として含有する窒化珪素質焼結体からなる基体と、該基体の表面に被覆された被覆層とを備える切削工具であって、
    前記基体の表面に垂直な断面において、
    前記窒化珪素粒子は、前記基体の最表面に存在して前記被覆層と接する表面粒子と、前記被覆層とは接しない内部粒子とからなり、前記表面粒子の前記基体の表面に平行な平均粒子幅w1と、前記内部粒子の前記基体の表面に平行な平均粒子幅w2との比(w1/w2)が0.2〜0.6であり、前記表面粒子の前記平均粒子幅w1と平均粒子長さL1との比(L1/w1)が0.1〜0.6であるとともに、前記被覆層を構成する粒子のうち、前記基体と接触する第1被覆層の前記基体の表面に平行な平均粒子幅d1と、前記表面粒子の平均粒子幅w1との比(w1/d1)が0.8〜2.1である切削工具。
  2. 前記基体の表面に垂直な断面において、前記内部粒子の平均アスペクト比が1.5以上である請求項1記載の切削工具。
  3. 前記被覆層は複数層からなり、前記基体の前記第1被覆層を含む第1層がTiN層からなる請求項1または2記載の切削工具。
  4. 前記被覆層は、前記基体側から、TiNからなる前記第1層と、Al2O3からなる第2層と、TiNからなる第3層と、Al2O3からなる第4層と、TiCからなる第5層とからなる請求項3記載の切削工具。
  5. 前記第1層はアスペクト比が2〜10の柱状粒子からなるとともに、前記第3層はアスペクト比が1.5以下の粒状粒子からなる請求項4記載の切削工具。
  6. 前記第1層の厚みが0.7〜1.3μm、前記第2層の厚みが0.5〜1.2μm、前記第3層の厚みが0.1〜0.3μm、前記第4層の厚みが0.5〜1.2μm、前記第5層の厚みが0.1〜0.5μmである請求項4または5記載の切削工具。
  7. 前記第1層を構成するTiNの平均粒子幅d1と、前記第3層を構成するTiNの平均粒子幅d3との比(d3/d1)が0.05〜0.7である請求項4乃至6のいずれか記載の切削工具。
  8. 被削材を回転させる工程と、回転している前記被切削物に請求項1乃至7のいずれか記
    載の切削工具の前記切刃を接触させる工程と、前記切削工具を前記被削材から離す工程とを備えた切削加工物の製造方法。
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