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JP6347205B2 - ダイバーズウォッチ用カバーガラスおよびダイバーズウォッチ - Google Patents
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JP6347205B2 - ダイバーズウォッチ用カバーガラスおよびダイバーズウォッチ - Google Patents

ダイバーズウォッチ用カバーガラスおよびダイバーズウォッチ Download PDF

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Description

本発明は、ダイバーズウォッチ用カバーガラスおよびダイバーズウォッチに関する。
時計用カバーガラスのような光学部品において、反対の面側の視認性を高める等の目的で、光の反射を防止する反射防止膜を設けることが行われている。
従来においては、十分な反射防止機能を得るために、多数の層が積層された複雑な構成を有するものであった(例えば、特許文献1参照)。しかし、上記のような構成では、用途等によっては、満足のいく反射防止機能が得られなかった。
特開2005−114649号公報
本発明の目的は、防曇性に優れるとともに、優れた反射防止機能を有する反射防止膜を備えたダイバーズウォッチ用カバーガラスを提供すること、また、前記ダイバーズウォッチ用カバーガラスを備えたダイバーズウォッチを提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のダイバーズウォッチ用カバーガラスは、基材と、
主としてチタン酸化物で構成され、かつ、副成分として、Nb、Si、Zr、Ta、AlおよびHfよりなる群から選択される1種または2種以上の元素を含むチタン酸化物層、および、主として酸化ケイ素で構成された酸化ケイ素層を含む反射防止膜とを備え
前記反射防止膜は、少なくとも最表層に、前記酸化ケイ素層を有していることを特徴とする。
これにより、防曇性に優れるとともに、優れた反射防止機能を有する反射防止膜を備えたダイバーズウォッチ用カバーガラスを提供することができる。
本発明のダイバーズウォッチ用カバーガラスでは、前記副成分としての前記元素は、チタンと複合酸化物を構成するものであることが好ましい。
これにより、色むら等の外観上の不具合の発生や、基材と反射防止膜との密着性の低下等の問題の発生をより効果的に防止することができる。
本発明のダイバーズウォッチ用カバーガラスでは、前記チタン酸化物層中における前記副成分の含有率は、0.01質量%以上1.0質量%以下であることが好ましい。
これにより、チタン酸化物層の光の透過性を特に高いものとしつつ、帯電防止機能、防曇性等を特に優れたものとすることができる。
本発明のダイバーズウォッチ用カバーガラスでは、前記チタン酸化物層の厚さは、5nm以上200nm以下であることが好ましい。
これにより、反射防止機能を特に優れたものとすることができる。また、ダイバーズウォッチ用カバーガラスの耐久性、帯電防止機能等を特に優れたものとすることができる。
本発明のダイバーズウォッチ用カバーガラスでは、前記酸化ケイ素層の厚さは、15nm以上300nm以下であることが好ましい。
これにより、反射防止機能を特に優れたものとすることができる。また、ダイバーズウォッチ用カバーガラスの耐久性等を特に優れたものとすることができる。
本発明のダイバーズウォッチ用カバーガラスでは、前記反射防止膜は、前記チタン酸化物層および前記酸化ケイ素層を、それぞれ複数有する積層体であることが好ましい。
これにより、反射防止機能を特に優れたものとすることができる。
本発明のダイバーズウォッチ用カバーガラスでは、前記反射防止膜の厚さが、20nm以上500nm以下であることが好ましい。
これにより、反射防止機能を特に優れたものとすることができる。また、ダイバーズウォッチ用カバーガラスの耐久性、帯電防止機能等を特に優れたものとすることができる。
本発明のダイバーズウォッチ用カバーガラスでは、前記基材は、ケイ酸ガラス、サファイアガラスおよびプラスチックよりなる群から選択される少なくとも1種を含む材料で構成されたものであることが好ましい。
これらの物質は、優れた透明性を有している。また、このような材料で構成された基材に反射防止膜が設けられた場合、反射防止膜による反射防止機能がより効果的に発揮される。また、基材がこのような材料で構成されたものであると、基材と反射防止膜との密着性を特に優れたものとすることができ、ダイバーズウォッチ用カバーガラスの耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。
本発明のダイバーズウォッチは、本発明のダイバーズウォッチ用カバーガラスを備えたことを特徴とする。
これにより、ダイバーズウォッチ用カバーガラスの背面側の様子を好適に視認することができるダイバーズウォッチを提供することができ、ダイバーズウォッチ全体としての美的外観(審美性)を優れたものとすることができ、装飾品としての価値を高めることができる。また、例えば、時刻等の視認性を向上させることができるため、実用品としての機能(実用性)も優れたものとなる。
本発明によれば、防曇性に優れるとともに、優れた反射防止機能を有する反射防止膜を備えたダイバーズウォッチ用カバーガラスを提供すること、また、前記ダイバーズウォッチ用カバーガラスを備えたダイバーズウォッチを提供することができる。
本発明の光学部品の第1実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の光学部品の第2実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の時計(携帯時計)の好適な実施形態を示す部分断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<<光学部品>>
まず、本発明の光学部品について説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の光学部品の第1実施形態を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態の光学部品P10は、基材P1と、反射防止膜P2とを備えている。
そして、反射防止膜P2は、主としてチタン酸化物で構成され、かつ、副成分として、Nb、Si、Zr、Ta、AlおよびHfよりなる群から選択される1種または2種以上の元素を含むチタン酸化物層P21と、主として酸化ケイ素で構成された酸化ケイ素層P22とを備えるものである。
このような構成であることにより、光学部品P10の光の透過性、機械的強度を十分に優れたものとしつつ、優れた反射防止機能が得られる。そして、このようなことから、光学部品P10は、安定的に所望の光学特性を発揮することができる。
このような優れた反射防止機能が得られるのは、十分に光透過性の高い材料を用い、かつ、比較的屈折率の大きいチタン酸化物層P21と、比較的屈折率の小さい酸化ケイ素層P22とを備えることにより、入射した光の挙動を好適に制御することができるためであると考えられる。
また、チタン酸化物層P21中に、副成分として所定の元素(Nb、Si、Zr、Ta、AlおよびHfよりなる群から選択される1種または2種以上)を含むことにより、チタン酸化物層P21の酸化ケイ素層P22等に対する密着性を優れたものとし、光学部品P10の耐久性、信頼性を優れたものとすることができる。その結果、光学部品P10の光学特性を安定的に発揮させることができるとともに、前述した効果等が安定的に得られる。
また、上記のような構成であることにより、優れた帯電防止機能が発揮される。その結果、例えば、静電気による埃等の汚れの付着が防止され、光学部品P10は、本来有している光学特性を安定的に発揮することができる。
このような優れた効果は、チタン酸化物層P21が、主としてチタン酸化物で構成されたものであり、かつ、所定の副成分を含むものであることにより得られるものであって、これらのうち一方を欠いた構成では、上記のような優れた効果は得られない。すなわち、主としてチタン酸化物で構成された層を有していても、当該層中に所定の副成分を含んでいないと十分な帯電防止機能が得られない。また、上記で副成分として挙げた成分を含む層を有していても、当該層が主としてチタン酸化物で構成されたものでないと、十分な光の透過性等を確保することができず、光学部品としての機能が著しく低いものとなる。
また、所定の副成分を含むチタン酸化物層P21を備え、かつ、最表層として酸化ケイ素層P22を備えることにより、光学部品P10は、防曇性に優れたものとなる。その結果、結露等による光学特性の低下を確実に防止することができる。
このような優れた防曇性が得られるのは、チタン酸化物の光触媒作用等により、酸化ケイ素層P22の表面に親水基が発現するためであると考えられる。この親水基の発現は、一度発現するとある程度の時間持続するため、例えば、光学部品P10がダイバーズウォッチに適用される場合において、ダイバーが水中に潜っている間では十分な防曇性を確保することができる。
また、従来においては、光学部品本体(基材)に樹脂膜を設けて用いることもあったが、このような樹脂膜は、耐擦性が低く、例えば、光学部品の表面に汚れが付着した場合に、拭き作業ができない等の問題があったが、上記のようなチタン酸化物層P21は、耐擦性にも優れているため、拭き作業も好適に行うことができる。これにより、光学部品P10の信頼性をより高いものとすることができるとともに、光学部品P10の生産の歩留まりを向上させることができる。
<基材>
基材P1は、通常、光学部品P10の主部を構成するものであり、光透過性を有する部材である。
基材P1の589nmの波長の光についての屈折率は、1.43以上1.85以下であるのが好ましく、1.45以上1.78以下であるのがより好ましい。
これにより、光学部品P10の光学特性を特に優れたものとすることができる。
基材P1の構成材料は、特に限定されず、例えば、各種ガラス、各種プラスチック等を用いることができるが、ケイ酸ガラス(石英ガラス等)、サファイアガラスおよびプラスチックよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものであるのが好ましい。
これらの物質は、優れた透明性を有している。また、このような材料で構成された基材P1に反射防止膜P2が設けられた場合、反射防止膜P2による反射防止機能がより効果的に発揮される。また、基材P1がこのような材料で構成されたものであると、基材P1と反射防止膜P2(酸化ケイ素層P22、チタン酸化物層P21)との密着性を特に優れたものとすることができ、光学部品P10の耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。
特に、基材P1が、ケイ酸ガラス、サファイアガラスのうち少なくとも一方を含むものである場合、特に優れた光透過性、適度な屈折率等の優れた光学特性が得られるとともに、基材P1と反射防止膜P2との密着性を特に優れたものとし、光学部品P10全体としての耐久性を特に優れたものとすることができる。
基材P1を構成するプラスチック材料としては、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂が挙げられ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン(COP)、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリパラキシリレン(poly-para-xylylene)、ポリモノクロロパラキシリレン(poly-monochloro-para-xylylene)、ポリジクロロパラキシリレン(poly-dichloro-para-xylylene)、ポリモノフルオロパラキシリレン(poly-monofluoro-para-xylylene)、ポリモノエチルパラキシリレン(poly-monoethyl-para-xylylene)等のポリパラキシリレン樹脂等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等として)用いることができる。
<反射防止膜>
反射防止膜P2は、チタン酸化物層P21と、酸化ケイ素層P22とを有するものである。
(チタン酸化物層)
チタン酸化物層P21は、主としてチタン酸化物で構成され、かつ、副成分として、Nb、Si、Zr、Ta、AlおよびHfよりなる群から選択される1種または2種以上の元素を含むものである。
チタン酸化物層P21中におけるチタン(Ti)の含有率は、45質量%以上75質量%以下であるのが好ましく、50質量%以上70質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、チタン酸化物層P21の屈折率をより確実に好適なものとすることができ、反射防止機能を特に優れたものとすることができる。また、チタン酸化物層P21の光の透過性を特に高いものとしつつ、帯電防止機能、防曇性等を特に優れたものとすることができる。
チタン酸化物層P21中における酸素(O)の含有率は、25質量%以上55質量%以下であるのが好ましく、30質量%以上50質量%以下であるのがより好ましい。
チタン酸化物層P21中における前記副成分としての元素の含有率(複数種の元素を含む場合には、これらの含有率の総和)は、0.01質量%以上1.0質量%以下であるのが好ましく、0.05質量%以上0.9質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、チタン酸化物層P21の光の透過性を特に高いものとしつつ、帯電防止機能、防曇性等を特に優れたものとすることができる。
前記副成分としての元素は、チタン酸化物層P21中に、いかなる形態で含まれるものであってもよいが、チタンと複合酸化物を構成するものであるのが好ましい。
これにより、色むら等の外観上の不具合の発生や、基材P1と反射防止膜P2との密着性の低下等の問題の発生をより効果的に防止することができる。
チタン酸化物層P21中に含まれる副成分は、Nb、Si、Zr、Ta、AlおよびHfよりなる群から選択される1種または2種以上の元素であればよいが、特に、Nbが好ましい。
これにより、チタン酸化物層P21の屈折率をより確実に好適なものとすることができ、反射防止機能を特に優れたものとすることができる。また、光の透過性と帯電防止機能とを、より高いレベルで両立することができる。また、酸化ケイ素層P22等との密着性を特に優れたものとし、光学部品P10の耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。
チタン酸化物層P21中にNbが副成分として含まれる場合、チタン酸化物層P21中におけるNbの含有率は、0.01質量%以上1.0質量%以下であるのが好ましく、0.05質量%以上0.8質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
チタン酸化物層P21中に含まれる前記副成分全体に占めるNbの含有率の割合は、50質量%以上であるのが好ましく、60質量%以上であるのがより好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
チタン酸化物層P21は、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、In、Sn等の透明電極に使用されるもの等が挙げられる。
チタン酸化物層P21の厚さは、5nm以上200nm以下であるのが好ましく、7nm以上150nm以下であるのがより好ましい。
これにより、反射防止機能を特に優れたものとすることができる。また、光学部品P10の耐久性、帯電防止機能等を特に優れたものとすることができる。
(酸化ケイ素層)
酸化ケイ素層P22は、主として酸化ケイ素で構成されたものである。
このような酸化ケイ素層P22を、前述したチタン酸化物層P21とともに有することにより、優れた反射防止機能が得られる。また、酸化ケイ素層P22を最表面に配置することにより、優れた防曇性を得ることができる。
酸化ケイ素層P22は、酸化ケイ素を含む材料で構成されたものであればよく、酸化ケイ素層P22中における酸化ケイ素の形態は、いかなるものであってもよい。例えば、酸化ケイ素層P22は、緻密な層状の酸化ケイ素で構成されたものであってもよいし、複数個の酸化ケイ素(シリカ)の粒子が堆積して構成されたものであってもよい。
緻密な層状の酸化ケイ素で構成された酸化ケイ素層P22は、例えば、気相成膜法を用いることにより好適に形成することができる。前述したチタン酸化物層P21は、後に詳述するように、気相成膜法により好適に形成することができるため、酸化ケイ素層P22を気相成膜法により形成する場合、酸化ケイ素層P22の形成とチタン酸化物層P21の形成とを続けて好適に行うことができ、光学部品P10の生産性を優れたものとすることができる。
また、複数個の酸化ケイ素(シリカ)の粒子が堆積して構成された酸化ケイ素層P22は、例えば、シリカ粒子を含む組成物を用いることにより好適に形成することができる。
酸化ケイ素層P22が、複数個のシリカの粒子が堆積して構成されたものであると、反射防止膜P2全体としての反射防止機能を特に優れたものとすることができる。
これは、酸化ケイ素層P22中に、シリカ粒子(屈折率:1.46)で占められた領域とともに、空隙(空気層(屈折率:1.00))を有することとなり、バルク形状のシリカよりも屈折率が低下し、結果好適な光学干渉効果が得られるためである。
酸化ケイ素層P22の厚さは、15nm以上300nm以下であるのが好ましく、20nm以上280nm以下であるのがより好ましい。
これにより、反射防止機能を特に優れたものとすることができる。また、光学部品P10の耐久性等を特に優れたものとすることができる。また、酸化ケイ素層P22が導電性粒子を含むものである場合、光学部品P10全体としての帯電防止機能等を特に優れたものとすることができる。
反射防止膜P2の厚さは、20nm以上500nm以下であるのが好ましく、27nm以上380nm以下であるのがより好ましい。
これにより、反射防止機能を特に優れたものとすることができる。また、光学部品P10の耐久性、帯電防止機能等を特に優れたものとすることができる。
光学部品としては、例えば、プロジェクタレンズ、カメラレンズ、眼鏡用レンズ等の各種レンズ(マイクロレンズ、レンチキュラレンズ、フレネルレンズ等を含む)、フィルター(カメラローパスフィルター、エッジフィルター、紫外線カットフィルター、赤外線カットフィルター等)、透光板、防塵ガラス、放熱板、時計用カバーガラス、時計用裏蓋、透光性文字板(例えば、ソーラー時計用文字板)等が挙げられる。
中でも、光学部品は、時計用カバーガラスであるのが好ましい。
カバーガラスは、時計の使用時において、観察者(使用者等)の視点に近い部位に存在するものであり、また、カバーガラスの背面側には、通常、文字板、針等の時刻表示部材が配されるため、カバーガラス(光学部品)を介した文字板等の視認性が強く求められる部材である。また、カバーガラスは、静電気による埃等の汚れの付着が生じた場合に、視認性の低下の問題が特に顕著に生じる部材である。また、カバーガラスが不本意に帯電した場合、その影響により、時針等の針が変形を生じる可能性があり、このような変形により時計の故障等を招くおそれがある。これに対し、本発明を時計用カバーガラスに適用した場合、上記のような問題の発生を効果的に防止することができる。上記のようなことから、時計用カバーガラスに本発明を適用することにより、本発明による効果がより顕著に発揮される。
また、カバーガラスは、観察者(使用者等)が視認する機会が多く、時計全体の外観において、大きな影響を与える部品である。そして、本発明では高い反射防止機能が発揮されるため、カバーガラスを介して視認される文字板等の装飾部品が本来有している優れた外観(審美性)を効果的に発揮させることができる。したがって、本発明が時計用カバーガラスに適用されることにより、時計全体としての美的外観を特に優れたものとすることができる。
また、ダイバーズウォッチ等においては、カバーガラスを介しての視認性が、観察者(使用者)の安全に大きく影響することもあるが、本発明では高い反射防止機能が発揮されるため、このような過酷な環境で用いられる時計の光学部品においても、前述したような効果を確実に発揮させることができる。
また、ダイバーズウォッチ等では、ケース内の液密性が保持されているが、時計の組み立て時にケース内に含まれた湿度が、使用時に結露し、視認性を低下させる問題を生じることがあったが、本発明においては、反射防止膜が高い反射防止機能を有するとともに、高い防曇性も有しているため、例えば、ダイバーズウォッチにおいて、本発明が適用されたカバーガラス(光学部品)を、反射防止膜が設けられた面が内面側を向くように配置することにより、上記のような結露の問題をより確実に防止することができる。
[第2実施形態]
図2は、本発明の光学部品の第2実施形態を模式的に示す断面図である。以下の説明では、前述した実施形態との相違点について中心的に説明し、同様の事項についての説明は省略する。
図2に示すように、本実施形態の光学部品P10は、基材P1と、反射防止膜P2とを備えているが、反射防止膜P2の構成が、前述した第1実施形態とは異なる。すなわち、本実施形態では、反射防止膜P2は、複数のチタン酸化物層P21と、複数の酸化ケイ素層P22とを有し、これらが交互に配置された構造を有している。
このように、本発明において、反射防止膜は、チタン酸化物層、酸化ケイ素層のうち、少なくとも一方を、2層以上有していてもよい。
これにより、反射防止機能を特に優れたものとすることができる。
特に、このような効果は、本実施形態のように、チタン酸化物層P21および酸化ケイ素層P22を、それぞれ複数層有する場合に、より顕著に発揮される。
反射防止膜P2を構成する複数のチタン酸化物層P21は、厚さ、組成等の条件が同一のものであってもよいし、互いに異なるものであってもよい。同様に、反射防止膜P2を構成する複数の酸化ケイ素層P22は、厚さ、組成等の条件が同一のものであってもよいし、互いに異なるものであってもよい。
図2に示す構成では、反射防止膜P2は、チタン酸化物層P21を2層、酸化ケイ素層P22を3層有しているが、反射防止膜P2を構成するチタン酸化物層P21、酸化ケイ素層P22の層数は、特に限定されない。
反射防止膜P2を構成するチタン酸化物層P21の層数、酸化ケイ素層P22の層数が、それぞれ、2以上9以下である場合に、前述した効果がより顕著に発揮されるとともに、より優れた生産性で光学部品P10を製造することができる。また、光学部品P10の耐久性や光の透過性等を特に優れたものとすることができる。
また、本実施形態のように、反射防止膜P2が、チタン酸化物層P21、酸化ケイ素層P22のうち少なくとも一方を複数層有するものである場合、反射防止膜P2の厚さは、20nm以上500nm以下であるのが好ましく、27nm以上380nm以下であるのがより好ましい。
これにより、反射防止機能を特に優れたものとすることができる。また、光学部品P10の耐久性、帯電防止機能等を特に優れたものとすることができる。
<<光学部品の製造方法>>
次に、光学部品の製造方法について説明する。
光学部品P10は、いかなる方法で製造されたものであってもよいが、本実施形態の製造方法は、基材P1を準備する基材準備工程(1a)と、気相成膜法により、チタン酸化物層P21を形成するチタン酸化物層形成工程(1b)と、酸化ケイ素層P22を形成する酸化ケイ素層形成工程(1c)とを有している。
<基材準備工程>
本工程では、基材P1を準備する(1a)。
基材P1としては、前述したものを用いることができるが、洗浄処理、親液化処理等の前処理が施されたものを用いてもよい。また、前処理として、反射防止膜P2を形成したくない部位へのマスクの形成を行ってもよい。この場合、後処理工程として、マスク除去工程を有していてもよい。
<チタン酸化物層形成工程>
本工程では、気相成膜法により、チタン酸化物層P21を形成する(1b)。
本工程で採用することのできる気相成膜法としては、例えば、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンビームアシスト蒸着、イオンプレーティング等が挙げられる。このような気相成膜法を用いることにより、光の透過性を特に優れたものとすることができる。
特に、成膜装置の構成が比較的簡易で、安定した特性のチタン酸化物層P21を形成することができる観点から、イオンビームアシスト蒸着が好ましい。
また、チタン酸化物層P21の形成をイオンビームアシスト蒸着により行う場合、蒸着源としては、例えば、チタンと前記元素(副成分としての、Nb、Si、Zr、Ta、AlおよびHfよりなる群から選択される1種または2種以上の元素)との複合酸化物を含むものを用いてもよいが、酸化チタンおよび前記元素の酸化物を含むものを用いてもよい。
これにより、チタン酸化物層P21の形成用材料(蒸着源)を比較的安価なものとして用意することができる。また、チタン(Ti)と前記元素との比率の調整等を容易かつ確実に行うことができ、所望の組成のチタン酸化物層P21を容易かつ確実に形成することができる。
なお、前記元素は、蒸着源中において、酸化物以外の形態をなすものであってもよい。
また、本工程をイオンビームアシスト蒸着により行う場合、複数種の蒸着源を用いて行ってもよい。例えば、チタン酸化物を含む蒸着源(第1の蒸着源)と、前記元素を含む蒸着源(第1の蒸着源よりも前記元素の含有率の高い第2の蒸着源)とを併用してもよい。
これにより、チタン酸化物層P21の形成に用いる複数種の成分の蒸発のし易さの違いにより、形成されるチタン酸化物層P21に不本意な組成のばらつきが生じたり、複数の光学部品P10を製造する場合に個体間での特性に不本意なばらつきが生じることをより確実に防止することができる。また、本工程における加熱条件等を調整すること(例えば、少なくも1つの蒸着源についての加熱温度を経時的に変化させること等)により、形成されるチタン酸化物層P21の組成を厚さ方向に沿って変化させる(例えば、傾斜的に変化させる)こと等ができる。
なお、例えば、本工程をスパッタリングにより行う場合において、複数種のターゲットを用いる場合にも、上記と同様の効果が得られる。
<酸化ケイ素層形成工程>
本工程では、基材P1上に、酸化ケイ素層P22を形成する(1c)。
本工程は、いなかる方法で行ってもよいが、酸化ケイ素層P22を緻密な層として形成する場合には、例えば、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンビームアシスト蒸着、イオンプレーティング等の気相成膜法を好適に用いることができる。このような気相成膜法を用いることにより、光の透過性を特に優れたものとすることができる。
特に、成膜装置の構成が比較的簡易で、安定した特性の酸化ケイ素層P22を形成することができる観点から、イオンビームアシスト蒸着が好ましい。
また、酸化ケイ素層P22を、シリカ粒子を含むものとして形成する場合、本工程においては、シリカ粒子およびシリカ粒子を分散する分散媒を含む酸化ケイ素層形成用組成物を好適に用いることができる。
なお、チタン酸化物層P21、酸化ケイ素層P22のうち少なくとも一方を複数層有するものである場合、前述した工程(チタン酸化物層形成工程、酸化ケイ素層形成工程)を繰り返し行ってもよい。例えば、図2に示すように、反射防止膜P2が、酸化ケイ素層P22とチタン酸化物層P21とが交互に積層された構造を有するものである場合、酸化ケイ素層形成工程とチタン酸化物層形成工程とを繰り返し交互に行ってもよい。
以上説明したような製造方法によれば、優れた反射防止機能を有する反射防止膜を備えた光学部品を効率よく製造することができる。
<<時計>>
次に、本発明の時計について説明する。
本発明の時計は、上述したような本発明の光学部品を備えるものである。
これにより、光学部品の背面側の様子を好適に視認することができる時計を提供することができ、時計全体としての美的外観(審美性)を優れたものとすることができ、装飾品としての価値を高めることができる。また、例えば、時刻等の視認性を向上させることができるため、実用品としての機能(実用性)も優れたものとなる。また、十分な光透過性を有しつつ、優れた帯電防止機能を有する光学部品を備えた時計を提供することができ、例えば、静電気による悪影響の発生が効果的に防止された時計を提供することができ、時計全体としての信頼性を高いものとすることができる。
なお、本発明の時計は、少なくとも1つの光学部品として、本発明の光学部品を備えるものであればよく、それ以外の部品としては、公知のものを用いることができるが、以下に、本発明の光学部品がカバーガラスに適用された場合の時計の構成の一例について代表的に説明する。
図3は、本発明の時計(携帯時計)の好適な実施形態を示す部分断面図である。
図3に示すように、本実施形態の腕時計(携帯時計)P100は、胴(ケース)P82と、裏蓋P83と、ベゼル(縁)P84と、カバーガラス(時計用カバーガラス)P85とを備えている。また、ケースP82内には、時計用文字板(文字板)P7と、太陽電池P94と、ムーブメントP81とが収納されており、さらに、図示しない針(指針)等が収納されている。
カバーガラスP85は、前述したような本発明の光学部品で構成されたものである。
これにより、文字板P7、針(指針)等の視認性を高めることができる。また、文字板P7等は、時計全体の外観に大きな影響を与える部材であるが、文字板P7等を視認する際に好ましくない光の反射が防止されるため、時計全体としての美的外観(審美性)を特に優れたものとすることができる。
ムーブメントP81は、太陽電池P94の起電力を利用して、指針を駆動する。
図3中では省略しているが、ムーブメントP81内には、例えば、太陽電池P94の起電力を貯蔵する電気二重層コンデンサー、リチウムイオン二次電池や、時間基準源として水晶振動子や、水晶振動子の発振周波数をもとに時計を駆動する駆動パルスを発生する半導体集積回路や、この駆動パルスを受けて1秒毎に指針を駆動するステップモーターや、ステップモーターの動きを指針に伝達する輪列機構等を備えている。
また、ムーブメントP81は、図示しない電波受信用のアンテナを備えている。そして、受信した電波を用いて時刻調整等を行う機能を有している。
太陽電池P94は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する機能を有する。そして、太陽電池P94で変換された電気エネルギーは、ムーブメントP81の駆動等に利用される。
太陽電池P94は、例えば、非単結晶シリコン薄膜にp型の不純物とn型の不純物とが選択的に導入され、さらにp型の非単結晶シリコン薄膜とn型の非単結晶シリコン薄膜との間に不純物濃度の低いi型の非単結晶シリコン薄膜を備えたpin構造を有している。
胴P82には巻真パイプP86が嵌入・固定され、この巻真パイプP86内にはりゅうずP87の軸部P871が回転可能に挿入されている。
胴P82とベゼルP84とは、プラスチックパッキンP88により固定され、ベゼルP84とカバーガラスP85とはプラスチックパッキンP89により固定されている。
また、胴P82に対し裏蓋P83が嵌合(または螺合)されており、これらの接合部(シール部)P93には、リング状のゴムパッキン(裏蓋パッキン)P92が圧縮状態で介挿されている。この構成によりシール部P93が液密に封止され、防水機能が得られる。
りゅうずP87の軸部P871の途中の外周には溝P872が形成され、この溝P872内にはリング状のゴムパッキン(りゅうずパッキン)P91が嵌合されている。ゴムパッキンP91は巻真パイプP86の内周面に密着し、該内周面と溝P872の内面との間で圧縮される。この構成により、りゅうずP87と巻真パイプP86との間が液密に封止され防水機能が得られる。なお、りゅうずP87を回転操作したとき、ゴムパッキンP91は軸部P871と共に回転し、巻真パイプP86の内周面に密着しながら周方向に摺動する。
なお、上記の説明では、時計の一例として、本発明の光学部品としてのカバーガラスを備えるものを挙げて説明したが、本発明の時計は、例えば、カバーガラス以外の部品として、本発明の光学部品が適用されたものを備えるものであってもよい。例えば、裏蓋等が、本発明の光学部品で構成されたものであってもよい。これにより、前述したような効果が得られるとともに、時計全体としての美的外観(審美性)の向上を図ることができる。
また、上記の説明では、時計の一例として、ソーラー電波時計としての腕時計(携帯時計)を挙げて説明したが、本発明は、腕時計以外の携帯時計、置時計、掛け時計等の他の種類の時計にも同様に適用することができる。また、本発明は、ソーラー電波時計を除くソーラー時計や、ソーラー電波時計を除く電波時計等、いかなる時計にも適用することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記のようなものに限定されるものではない。
例えば、本発明の光学部品および時計では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
例えば、光学部品は、基材、反射防止膜に加え、保護膜等を備えるものであってもよい。また、基材と反射防止膜との間に、下地層を有するものであってもよい。
また、本発明に係る光学部品は、複数の反射防止膜を備えるものであってもよい。例えば、前述した実施形態では、反射防止膜が基材の一方の面側に設けられた場合について説明したが、反射防止膜は、基材の両方の面側に設けられたものであってもよい。また、中間層を介して、複数の反射防止膜が積層された構成のものであってもよい。
また、前述した実施形態では、反射防止膜がチタン酸化物層と酸化ケイ素層とからなるものである場合について代表的に説明したが、本発明において、反射防止膜は、チタン酸化物層、酸化ケイ素層以外の構成を有するものであってもよい。例えば、反射防止膜は、チタン酸化物層と酸化ケイ素層との間に設けられた中間層とを有するものであってもよい。
また、前述した実施形態では、本発明の光学部品が時計の構成部品として用いられる場合について中心的に説明したが、本発明の光学部品は、時計の構成部品として用いられるものに限定されず、例えば、カメラ(ビデオカメラや、携帯電話(スマートフォン、PHS等を含む)等に搭載されたカメラ等を含む)、プロジェクター等の光学機器や、顕微鏡等の光学測定機器等の各種電気機器や、眼鏡、ルーペ等に適用されるものであってもよい。また、本発明の光学部品は、他の部材と組み合わせて用いられるものに限定されず、それ単体で用いられるものであってもよい。
また、本発明の光学部品の製造においては、前述した工程のほか、必要に応じて、前処理工程、中間処理工程、後処理工程を行ってもよい。例えば、基材上に反射防止膜を形成するのに先立ち、基材の表面に紫外線照射やプラズマ照射等を行う工程を有していてもよい。これにより、例えば、基材と反射防止膜との密着性を特に優れたものとし、光学部品の耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。
また、本発明の光学部品は、前述した方法を用いて製造されたものに限定されない。例えば、前述した実施形態では、チタン酸化物層を気相成膜法により形成する場合について代表的に説明したが、チタン酸化物層は、例えば、塗布法等の湿式法を用いて形成してもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.光学部品(カバーガラス)の製造
(実施例1)
以下に示すような方法により、光学部品としてのカバーガラスを製造した。
まず、サファイアガラスで構成された板材(ガラス板)を基材として用意し(基材準備工程)、必要箇所を切削、研磨した。切削、研磨された基材は、略円盤状をなし、直径:30mm×厚さ:1mmの大きさのものであった。
次に、基材の反射防止膜を形成すべき側の面に、波長:248nmの紫外線を照射する紫外線照射処理を施した。
次に、蒸着源として酸化チタン(TiO)と酸化ニオブ(Nb)との混合物を用いたイオンビームアシスト蒸着により、基材上にチタン酸化物層を形成し(チタン酸化物層形成工程)、光学部品としてのカバーガラスを得た。形成されたチタン酸化物層は、厚さが100nmであり、チタン酸化物層中に含まれるチタン(Ti)の含有率が59.75質量%、ニオブ(Nb)の含有率が0.21質量%、酸素(O)の含有率が40.04質量%であった。
次に、蒸着源として二酸化ケイ素(SiO)を用いたイオンビームアシスト蒸着により、基材上に酸化ケイ素層を形成した(酸化ケイ素層形成工程)。形成された酸化ケイ素層は、二酸化ケイ素(SiO)で構成されたものであり、厚さが85nmであった。
(実施例2〜5)
酸化ケイ素層形成工程でのイオンビームアシスト蒸着の処理時間、チタン酸化物層形成工程でのイオンビームアシスト蒸着の条件(蒸着源の組成を含む)を調整することにより、光学部品の各部の構成を表1に示すようなものとした以外は、前記実施例1と同様にして光学部品(カバーガラス)を製造した。
(実施例6)
酸化ケイ素層形成工程およびチタン酸化物層形成工程を繰り返し行い、光学部品の構成を表1に示すようなものとした以外は、前記実施例1と同様に光学部品(カバーガラス)を製造した。
(実施例7〜12)
酸化ケイ素層形成工程、チタン酸化物層形成工程の繰り返し回数、各酸化ケイ素層形成工程でのイオンビームアシスト蒸着の処理時間、各チタン酸化物層形成工程でのイオンビームアシスト蒸着の条件(蒸着源の組成を含む)を調整することにより、光学部品の各部の構成を表1に示すようなものとした以外は、前記実施例6と同様にして光学部品(カバーガラス)を製造した。
(比較例1)
基材に対して反射防止膜を形成することなく、基材(サファイアガラスで構成された板材)をそのまま光学部品として用いた以外は、前記実施例1と同様にして光学部品(カバーガラス)を製造した。
(比較例2)
以下に示すような方法により、光学部品としてのカバーガラスを製造した。
まず、サファイアガラスで構成された板材(ガラス板)を基材として用意し(基材準備工程)、必要箇所を切削、研磨した。切削、研磨された基材は、略円盤状をなし、直径:30mm×厚さ:1mmの大きさのものであった。
次に、基材の両面に、波長:248nmの紫外線を照射する紫外線照射処理を施した。
次に、ターゲットとしてSiOとSiNとを用い、基材の一方の面(第1の面)全体に、スパッタリングにより、SiN、SiO、SiN、SiOの順で成膜を行い、4層構造の反射防止膜を形成した。各層の厚さは、基材に近い側から40nm、20nm、70nm、100nmであった。また、SiNxの屈折率は1.97であった。このとき、最表層形成時にはOとNガスの和に対するNガスのガス流量比(以下、ガス流量比)N/(N+O)の値が50%になるように混合して導入した。このことによって、最表層にはNが0.1原子%導入された。その後、基材を裏返し、第1の面とは反対側の面である第2の面について、第1の面について行ったのと同様の処理を施し、SiN、SiO、SiN、SiOの順で積層された4層構造の反射防止膜を形成した。各層の厚さは、基材に近い側から40nm、20nm、70nm、100nmであった。
以上のようにして、基材の両面側に反射防止膜が形成された光学部品(カバーガラス)を得た。
(比較例3)
チタン酸化物層形成工程において蒸着源として酸化チタン(TiO)を用い、チタン酸化物層をTiOで構成され、前記元素を含まないものとして形成した以外は、前記実施例1と同様にして光学部品(カバーガラス)を製造した。
(比較例4)
チタン酸化物層形成工程において蒸着源として酸化ニオブ(Nb)を用い、チタン酸化物層の代わりに、Nbで構成されTiを含まない層を形成した以外は、前記実施例1と同様にして光学部品(カバーガラス)を製造した。
(比較例5)
酸化ケイ素層、チタン酸化物層を形成する代わりに、アニオン界面活性剤を用いて高分子有機材料で構成された膜を形成した以外は、前記実施例1と同様にして光学部品(カバーガラス)を製造した。
各実施例および各比較例の光学部品(カバーガラス)の各部の構成を表1に示した。なお、表1中、「各層の配列順序と厚さ」の欄では、基材と接触する側から光学部品の表面側に向かう順番で、各層の配列順序と厚さを示し、各層の厚さはカッコ内に示した。また、「各層の配列順序と厚さ」の欄においては、チタン酸化物層を「T」、酸化ケイ素層を「S」、SiNxで構成された層を「SN」、Nbで構成された層を「N」、高分子有機材料で構成された層(膜)を「O」で示した。また、表1中、比較例4については、Nbで構成されTiを含まない層の条件をチタン酸化物層の欄に示した。また、実施例6〜12においては、同一の光学部品を構成する複数のチタン酸化物層は、いずれも同一の組成を有するものであり、かつ、同一の光学部品を構成する複数の酸化ケイ素層は、いずれも同一の組成を有するものであった。
Figure 0006347205
2.反射率評価
前記各実施例および各比較例で製造した各カバーガラスについて、基材の反射防止膜が設けられた面とは反対の面側から、オリンパス製反射率測定器 USPMを用い、カバーガラスについての光の反射率の測定を行い、以下の基準に従い、評価した。なお、比較例1については両面とも反射防止膜が設けられておらず、比較例2については両側の面に反射防止膜が設けられているため、これらの比較例については、任意に選択した一方の面について評価した(以下の評価項目についても同様)。
A:光の反射率が0.3%未満である。
B:光の反射率が0.3%以上0.5%未満である。
C:光の反射率が0.5%以上1.0%未満である。
D:光の反射率が1.0%以上4.0%未満である。
E:光の反射率が4.0%以上である。
3.帯電防止性評価
表面抵抗測定器(三菱ケミカル社製、ハイレスタUP MCP−HT45)を用いて、前記各実施例および各比較例で製造した各カバーガラスの反射防止膜が設けられた側の面にプローブを接触させて、表面電気抵抗値を測定し、以下の基準に従い、評価した。表面電気抵抗値が低いほど帯電防止性に優れているといえる。なお、測定時の環境は、温度:25℃、湿度:55%RHであった。
A:表面電気抵抗値が1E+8Ω/□未満。
B:表面電気抵抗値が1E+8Ω/□以上1E+9Ω/□未満。
C:表面電気抵抗値が1E+9Ω/□以上1E+11Ω/□未満。
D:表面電気抵抗値が1E+11Ω/□以上1E+15Ω/□未満。
E:表面電気抵抗値が1E+15Ω/□以上。
4.防曇性評価
防曇性評価装置(AFA−1、協和界面科学社製)を用いて、前記各実施例および各比較例で製造した各カバーガラスの反射防止膜が設けられた側の面に、飽和水蒸気を吹き付けた際の防曇性評価指数を求め、以下の基準に従い、評価した。防曇性評価指数が低いほど防曇性に優れているといえる。
A:防曇性評価指数が3未満。
B:防曇性評価指数が3以上6未満。
C:防曇性評価指数が6以上10未満。
D:防曇性評価指数が10以上20未満。
E:防曇性評価指数が20以上。
5.密着性評価
評価面にカッターナイフで縦横2mm間隔のカット線をそれぞれ5本入れ、その上に粘着テープ(ニチバン製CT−18)を貼りつけ、その後一気に剥がした後、評価面に剥がれがないか目視で確認し、以下の基準に従い、評価した。
A:膜剥がれは全く確認されない。
B:膜剥がれ面積が5%未満。
C:膜剥がれ面積が5%以上20%未満。
D:膜剥がれ面積が20%以上50%未満。
E:膜剥がれ面積が50%以上。
6.耐擦性評価
前記各実施例および各比較例で製造した各カバーガラスの反射防止膜が設けられた側の面について、JIS K5701に準じ、相紙としてシルボン紙を用いた耐擦性試験を行い、耐擦性試験後のカバーガラスについて、目視による観察を行い、以下の基準に従い、評価した。
A:摩擦による傷が全く発生していない。
B:摩擦による傷がほとんど発生していない。
C:摩擦による傷がわずかに発生している。
D:摩擦による傷がはっきりと発生している。
E:摩擦による傷が顕著に発生している。
7.時計の製造
前記各実施例および各比較例で製造した各カバーガラスを用いて、図3に示すような腕時計を製造した。このとき、カバーガラスの反射防止膜が設けられた側の面が、内面側(文字板等に対向する側)を向くように配置した。
8.時計の文字板の視認性評価
前記各実施例および各比較例で製造した各時計について、カバーガラスを介して、文字板等の観察を行い、その際の視認性を、以下の基準に従い、評価した。
A:文字板等の視認性が非常に優れている。
B:文字板等の視認性が優れている。
C:文字板等の視認性が許容範囲のものである。
D:文字板等の視認性がやや劣っている。
E:文字板等の視認性が非常に劣っている。
これらの結果を表2に示す。
Figure 0006347205
表2から明らかなように、本発明では、光学部品の反射防止機能が高いものであり、帯電防止性や防曇性、耐擦性等にも優れていた。また、光学部品を備えた時計では、文字板等の視認性に優れており、時計全体としての美的外観(審美性)の優れたものであった。これに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。
また、カバーガラスに加え、裏蓋も上記と同様の構成にした以外は、前記各実施例および各比較例と同様にして時計を製造したところ、上記と同様の結果が得られ、本発明の光学部品を適用した時計(本発明の時計)では、美的外観(審美性)を特に優れたものとすることができた。
P10……光学部品
P1……基材
P2……反射防止膜
P21……チタン酸化物層
P22……酸化ケイ素層
P100……腕時計(携帯時計)
P7……時計用文字板(文字板)
P81……ムーブメント
P82……胴(ケース)
P83……裏蓋
P84……ベゼル(縁)
P85……カバーガラス(時計用カバーガラス)
P86……巻真パイプ
P87……りゅうず
P871……軸部
P872……溝
P88……プラスチックパッキン
P89……プラスチックパッキン
P91……ゴムパッキン(りゅうずパッキン)
P92……ゴムパッキン(裏蓋パッキン)
P93……接合部(シール部)
P94……太陽電池

Claims (9)

  1. 基材と、
    主としてチタン酸化物で構成され、かつ、副成分として、Nb、Si、Zr、Ta、AlおよびHfよりなる群から選択される1種または2種以上の元素を含むチタン酸化物層、および、主として酸化ケイ素で構成された酸化ケイ素層を含む反射防止膜とを備え
    前記反射防止膜は、少なくとも最表層に、前記酸化ケイ素層を有していることを特徴とするダイバーズウォッチ用カバーガラス
  2. 前記副成分としての前記元素は、チタンと複合酸化物を構成するものである請求項1に記載のダイバーズウォッチ用カバーガラス
  3. 前記チタン酸化物層中における前記副成分の含有率は、0.01質量%以上1.0質量%以下である請求項1または2に記載のダイバーズウォッチ用カバーガラス
  4. 前記チタン酸化物層の厚さは、5nm以上200nm以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載のダイバーズウォッチ用カバーガラス
  5. 前記酸化ケイ素層の厚さは、15nm以上300nm以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載のダイバーズウォッチ用カバーガラス
  6. 前記反射防止膜は、前記チタン酸化物層および前記酸化ケイ素層を、それぞれ複数有する積層体である請求項1ないし5のいずれか1項に記載のダイバーズウォッチ用カバーガラス
  7. 前記反射防止膜の厚さが、20nm以上500nm以下である請求項1ないし6のいずれか1項に記載のダイバーズウォッチ用カバーガラス
  8. 前記基材は、ケイ酸ガラス、サファイアガラスおよびプラスチックよりなる群から選択される少なくとも1種を含む材料で構成されたものである請求項1ないし7のいずれか1項に記載のダイバーズウォッチ用カバーガラス
  9. 請求項1ないしのいずれか1項に記載のダイバーズウォッチ用カバーガラスを備えたことを特徴とするダイバーズウォッチ
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