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JP6348024B2 - 水分散性の良いシリマリン含有組成物 - Google Patents
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JP6348024B2 - 水分散性の良いシリマリン含有組成物 - Google Patents

水分散性の良いシリマリン含有組成物 Download PDF

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Description

本発明は、水分散性の良いシリマリン含有組成物に関する。
近年、フラボノイドやカテキン、植物性色素のようなポリフェノール化合物の機能性に着目して、これらを含有する健康食品やサプリメント等の組成物が多く開発されている。
シリマリンは、このようなポリフェノール化合物をふくむ天然成分のひとつであり、マリアアザミ(学名:Silybum marianum(L)Gaerth)と呼ばれる植物の種子から抽出されたエキスである。シリマリンは、その構成成分としてフラボノリグナンに分類されるシリビン、イソシリビン、シリジアニン、シリクリスチを含むことが知られている。
シリマリンは肝臓機能強化や老化防止に有用であり、さらには紅斑、火傷、皮膚又は粘膜のジストロフィー状態、皮膚炎等の治療における治癒を促進し、外部環境からの刺激(放射線、風、太陽等)から皮膚を保護するのに有用であることが知られている(特許文献1)。また、シリマリンの皮脂分泌抑制効果(特許文献2)、表皮透過バリア強化効果(特許文献3)、乾癬及びアトピー性皮膚炎の治療効果(特許文献4)、表皮の扁平化改善効果(特許文献5)が知られている。
一方、シリマリンは、水にはほとんど溶解しないため、水系の組成物には配合し難いという課題点を有しており、シリマリンを分散させた飲料の技術が開示されている(例えば、特許文献6参照。)。また、シリマリンをリン脂質錯体とすることにより生体適性を有利にする技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、シリマリンのアルコール溶液と、糖アルコール水溶液を混合し、これを凍結乾燥又は噴霧乾燥して溶解性を向上させる技術が開示されている(特許文献7)。またシリマリンを平均分子量が500〜5000のコラーゲンペプチドと乳化剤を含む安定なシリマリン分散溶液とする技術が開示されている(特許文献8)。
しかし、これらの技術を用いても必ずしもシリマリンの析出を十分に抑制できない場合がある。特に分散溶液の場合、経時的にシリマリンに分散物が凝集し、沈殿する現象が発生する。またシリマリンの凝集沈殿やシリマリンの析出を抑制できたとしても、処方設計上の制約がある。シリマリンの生体利用率を高めるため、あるいは、シリマリンの析出を防ぐための新たなシリマリンの分散化又は可溶化技術が必要である。
特開平1−100132号公報 特開2000−169332号公報 特開2000−169328号公報 特開平5−286864号公報 特開2004−91397号公報 特開2002−34505号公報 特表2005−519863号公報 特開2011−136915号公報
水には殆ど溶解しないシリマリンを水溶性にするためには、配糖体化するなど化学的な修飾や加工が必要であるが、食品とするためには化学的な修飾や加工は好ましくない。また取扱い及び吸収性等の観点から、分散物として利用することが望まれているのが現状である。
しかしシリマリンを含む分散粒子の分散を長期間安定して維持することは困難であった。
そこで、本発明は、シリマリンを含有する組成物であって分散性に優れたシリマリン含有水分散性組成物、及び該分散性組成物の製造方法を提供することを課題とする。
本発明の主な構成は、次のとおりである。
1.シリマリン、シリビン、イソシリビン、シリジアニン、シリクリスチンからなる群から選択される1種又は2種以上と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、トレハロースを含み、
シリマリン、シリビン、イソシリビン、シリジアニン、シリクリスチンからなる群から選択される1種又は2種以上の成分とヒドロキシプロピルメチルセルロースと、トレハロースの含有比率が1:0.7〜1:0.5〜1である水分散性組成物。
2.水に分散したとき、分散粒子の平均粒子径が200〜400nmである1に記載の水分散性組成物。
3.シリマリン、シリビン、イソシリビン、シリジアニン、シリクリスチンがマリアアザミ由来であることを特徴とする1又は2に記載の水分散性組成物。
本発明によれば、シリマリン、シリビン、イソシリビン、シリジアニン、シリクリスチンからなる群から選択される1種又は2種以上を含む、水分散性に優れた組成物が提供される。シリマリンを含む分散粒子の分散安定性に優れた散組成物、及び該水分散性組成物の製造方法を提供することができる。また、この水分散性組成物は、水又は水系の溶媒、あるいは飲料に分散させた場合、シリマリンやシリビン、イソシリビン、シリジアニン、シリクリスチンを含む粒子が安定に分散し、沈殿や凝集が発生しない。さらにこの水分散性組成物を経口投与した場合、シリマリン、シリビン、イソシリビン、シリジアニン、シリクリスチンなどの成分の吸収性が向上し、血中濃度の持続性が高い。
また本発明の水分散性に優れた組成物を配合した飲食品や医薬品、化粧品はシリマリンの安定性がよく、吸収性が高いため、従来のシリマリンの示す薬理効果や作用を発揮させるための配合量を減らすことができ、経済的に有用である。
高圧晶析装置の構造と機能を示した模式図である。 実施例1の製造工程のフロー図である。 本発明の水分散性組成物とシリマリンの走査型電子顕微鏡撮影画像である。 各粉末の粉末X線回折のパターンである。(a)シリマリン、(b)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、(c)エリスリトール、(d)シリマリン・ヒドロキシプロピルメチルセルロース・エリスリトール混合物、(e)本発明の乾燥シリマリンを含む水分散性組成物の回折図である。矢印(→)はシリマリン固有の回折ピークを明示している。 本発明の水分散性組成物、シリマリン・ヒドロキシプロピルメチルセルロース・エリスリトール混合物、シリマリンから溶出してくるシリマリン量の経時変化を示すグラフである。 本発明のシリマリンを含む水分散性組成物と従来のシリマリンを経口投与した動物の血中シリマリンの濃度変化を示したグラフである。
本発明は、シリマリン、シリビン、イソシリビン、シリジアニン、シリクリスチンからなる群から選択される1種又は2種以上と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、エリスリトール又はトレハロースを含む水分散性組成物及びその製造方法である。
シリマリン(Silymarin;CAS No.65666−07−1)は、キク科マリアアザミ(学名シリバム・マリアナムSilybum marianum Gaertn、別名オオアザミ、オオヒレアザミ、ミルクアザミ;CAS No.84604−20−6)から抽出されるフラボノリグナンの総称であり、分子式C252210で表される、シリビン(Silybin;CAS No.22888−70−6)、シリジアニン(Silydianin;CAS No.29782−68−1)、シリクリスチン(Silychristin;CAS No.33889−69−9)、イソシリビン(Isosilybin;CAS No.72581−71−6)などを含有している組成物である(天然薬物事典、奥田拓男編、廣川書店、昭和61年3月3日発行)。
本発明においては、シリマリンを含む植物体から抽出した抽出物に含有されるこれらのフラボノリグナンを含有している組成物を従来技術と同様、シリマリンと呼ぶ。例えば、シリマリンを含む植物体から抽出した抽出物としては、マリアアザミ抽出物がある。
またシリマリンは前記の通りフラボノリグナンの混合物であり、シリマリンとしての植物抽出物や植物中の含有量は、分光光度計による測定に基づいた方法(Wagner,H.,etal.,Arznein.Forsch,18,696,1968.)、薄層クロマトグラフィーによる方法(Wagner,H.,et al.,Arznein.Forsch,24,466,1974.)、高速液体クロマトグラフィーによる方法(Tittel,G.,etal.,J.Chromatogr.,135,499,1977.、Tittel,G.,et al.,J.Chromatogr.,153,227,1978.、Quercia,V.,et al.,ChromatographyinBiochemistry,MedicineandEnviromentalResearch,FrigerioA.(Ed).,ElsevierScientificPublishingCompany,Amsterdam,1983,p1.)により測定可能である。これらの測定法の中でも、分光光度計による測定に基づいた方法の一つである2,4−ジニトロヒドラジン分析は、ドイツ薬局方(Silybum marianumの果実に関するモノグラフ)に報告されており、広く用いられている。本発明においても、上記成分の混合組成物の定量にあたっては2,4−ジニトロヒドラジン分析法を用いてシリマリンに換算した質量%で表記する。
シリマリンをマリアアザミの果実から高純度で単離する方法として、70〜80%の純度で単離する方法や90〜96%の純度で単離する方法(特公昭63−41396号公報)が既に報告されている。シリマリンは通常マリアアザミの種実からエタノール、酢酸エチル、アセトンなどにより抽出し、スプレードライにより乾燥粉末として得られる抽出物原料として市販されている。本発明に使用するシリマリンはこのようにして調製されて、市販されているシリマリンをそのまま用いることができる。また、マリアアザミからシリビン、イソシリビン、シリジアニン、シリクリスチンなどのシリマリンの構成成分を濃縮した抽出物及びそれらを単離、精製して化合物として用いることができる。
本発明におけるシリマリンを含む植物体は、葉、茎、芽、花、木質部、木皮部(樹皮)などの地上部、根、塊茎などの地下部、種子、樹脂などのすべての部位が使用可能である。
本発明におけるシリマリン及びそれを含む植物体は、それら自体を乾燥させた乾燥物及び、それらを各種溶媒を用いて溶解した溶解物を使用できる。例えば、水又はエタノール、メタノールなどのアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコール、エーテル、アセトン、酢酸エチルなどの有機溶媒を用いて溶解した溶解物を発明の原料として使用できる。
本発明におけるシリマリンを含む植物体は、天然乾燥、熱風乾燥、凍結乾燥させたり、醗酵させたりしたものをそのまま使用することができる。また植物抽出物を調製する場合は常法に従って、抽出、濃縮、粉末化などの処理を行って得られたものを使用することができる。
[ヒドロキシプロピルメチルセルロース]
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下HPMCという) は、メチルセルロース(MC)に 2-ヒドロキシプロピル基を導入したセルロースエーテルであり、食品添加物公定書に収載されているカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)やカルボシキメチルセルロースカルシウム(CMC-Ca)と同じ範疇にあるセルロースの誘導体(セルロースエーテル類)であり、メチルセルロースと同様、欧米を中心に一般食品用添加物若しくはダイエタリーサプリメント用のカプセル基剤、錠剤の結合剤、又はコーティング剤として広く使用されている。一般食品用については、例えば可食性フィルムとして使用され、冷凍ピザ(トッピングから生地への水分の移行防止、トッピングの形状保持)、ナッツ製品(酸化防止効果)、肉製品(保水性、退色の防止)、フライドポテト(吸油の防止)等に応用されており、これらの食品添加物用を原料として用いることができる。
[エリスリトール]
エリスリトールはメロン、ブドウや梨などの果実や醤油・味噌・清酒などの発酵食品に含まれている天然の糖アルコールであり、ブドウ糖を発酵させることにより作られる。非う蝕性でありカロリーがほとんど無いため、食品に広く利用されている。
[トレハロース]
トレハロースは2つのα-グルコースが1,1-グリコシド結合してできた二糖類である。還元基同士が結合しているため還元性を持たない。また高い保水力を持ち、食品や化粧品に使われている。
本発明の水分散性組成物においては、シリマリン、シリビン、イソシリビン、シリジアニン、シリクリスチンからなる群から選択される1種又は2種以上と、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)と、エリスリトール又はトレハロースの各成分の含有比率が1:0.7〜1:0.5〜1である。HPMCが0.6以下になると得られる粒子のサイズが1μm以上となり、水分散性が低下する。またエリスリトール又はトレハロースの比率が0.4以下となると、粒子径が1μm以上となり、やはり水分散性と分散物の安定性が低下する。
HPMCはまた、その水に溶解したときの粘度が重要である。HPMCは、その2%水溶液の粘度が20℃のとき50mPas・s以上であるようなものが好ましい。このようなHPMCとしては、市販品では信越化学株式会社のメトローズ60SH50を例示することができる。
本発明においては、シリマリン、シリビン、イソシリビン、シリジアニン、シリクリスチンからなる群から選択される1種又は2種以上を含むアルコール溶液と、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含む水溶液を、高圧晶析装置を用いて、シリマリン、シリビン、イソシリビン、シリジアニン、シリクリスチンを晶析させた溶液とし、さらにエリスリトール又はトレハロースを添加して乾燥させることによって目的の水分散性組成物を得ることができる。
晶析とは、水を含む各種の溶媒に対し、各々の物質が溶解できる量はその物質によって固有の値を持ち、これは温度により変化するため、ある温度で一定量溶解していた物質を、溶液の温度を上げ下げすることで溶解度の低い状態にし、その物質が溶けきれなくさせることで溶液と目的物質を、液体と固体という形で分離するものである。
本発明においては、単独の成分を晶析させるのではなく、シリビン、イソシリビン、シリジアニン、シリクリスチンからなる群から選択される1種又は2種以上と、HPMCを含む組成物をナノメートルサイズの粒子として晶析させ、これにエリスリトール又はトレハロースを添加して乾燥させることで、水分散性の良い組成物の粉末を得ることができる。高圧晶析装置は、水相と有機相を個別に送液し、晶析直後に強い圧力をかけ、衝突噴流場に急速に送液することで高いせん断力を発生させ、晶析した粒子の凝集を防ぎ均一な懸濁液を調製する装置である。装置の構造の簡単な模式図を図1に示した。
このような高圧晶析装置としては、市販の装置を使用することができる。高圧晶析装置としてはパウレック社のPureNanoや株式会社神戸製鋼社製の高圧晶析装置を使用して行なうことができる。
本発明の組成物を得るためには、シリマリン、シリビン、イソシリビン、シリジアニン、シリクリスチンからなる群から選択される1種又は2種以上(以下「シリマリン類」と略記する。)を溶解させた有機溶媒溶液、(良溶媒としてはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−ブタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸メチル、アセト酢酸メチル、N−メチルピロリドン、ジメチルスルフォキシド、エチレングリコール、1,3ブタンジオール、1,4ブタンジオール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等及びそれらの混合物を挙げられる。これらの中でも、食品への用途に限定した場合、エタノール、プロピレングリコール、又はアセトンが好ましく、エタノールが特に好ましい。)としてエタノール溶液と、HPMCと、エリスリトール又はトレハロースを溶解させた水溶液(貧溶媒)を、上記の高圧晶析装置を用いて高圧下、好ましくは500〜1000MPaの圧力で処理し、シリビン、イソシリビン、シリジアニン、シリクリスチンからなる群から選択される1種又は2種以上と、HPMCと、さらにエリスリトール又はトレハロースの3成分を含む組成物をナノメートルサイズの粒子として晶析させる。かくして得られたスラリー状の組成物をそのまま、あるいは一部濃縮後エリスリトール又はトレハロースを添加し、噴霧乾燥あるいは凍結乾燥など各種乾燥手段を用いて乾燥し、有機溶媒を除去すると本発明の水分散性組成物を得ることができる。
この組成物は、水に分散性がよく、分散したときの分散粒子は1マイクロメートル未満のいわゆるナノサイズとなり、さらにシリマリン類のみで得られる不溶性粒子と異なり、凝集して沈殿しないという特性を有している。
本発明の水分散性組成物は、シリマリン類の安定等の観点から、公知の酸化防止剤(ラジカル捕捉剤)を含んでいてもよい。
ラジカル捕捉剤は、ラジカルの発生を抑えるとともに、生成したラジカルをできる限り速やかに捕捉し、連鎖反応を断つ役割を担う添加剤である(出典:「油化学便覧第4版」、日本油化学会編2001)。
本発明に好適な酸化防止剤(ラジカル捕捉剤)としては、シリマリンの変色を防止する観点から、例えば、アスコルビン酸とその誘導体、を挙げることができる。
アスコルビン酸とその誘導体、及びそれらの塩としては、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸Na、L−アスコルビン酸K、L−アスコルビン酸Ca、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸リン酸エステルのマグネシウム塩、L−アスコルビン酸硫酸エステル、L−アスコルビン酸硫酸エステル2ナトリウム塩、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、L−アスコルビン酸2−グルコシド、L−アスコルビル酸パルミチン酸エステル、テトライソパルミチン酸L−アスコルビル等が挙げられる。これらのうち、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸Na、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、L−アスコルビン酸2−グルコシド、L−アスコルビル酸パルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸リン酸エステルのマグネシウム塩、L−アスコルビン酸硫酸エステル2ナトリウム塩、テトライソパルミチン酸L−アスコルビルが特に好ましい。
また、本発明の分散組成物には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、本発明の分散組成物の用途に応じて、例えば、種々の薬効成分、防腐剤、着色剤など、通常、その用途で使用される他の添加物を併用することができる。
本発明の水分散性組成物は、上記の乾燥した粉末でも良いし、取り扱いの利便性を考慮して、造粒することもできる。
本発明の水分散性組成物の、水における分散粒子は、その体積平均粒径が1μm以下であり、好ましくは400nm以下である。分散粒子の平均粒径とは、水相に分散するシリマリン類を含む組成物の分散粒子全体の平均粒径を意味する。
分散粒子の粒径は、市販の粒度分布計等で計測して確認することができる。
粒度分布測定法としては、光学顕微鏡法、共焦点レーザー顕微鏡法、電子顕微鏡法、原子間力顕微鏡法、静的光散乱法、レーザー回折法、動的光散乱法、遠心沈降法、電気パルス計測法、クロマトグラフィー法、超音波減衰法等が知られており、それぞれの原理に対応した装置が市販されている。
本発明の水分散性組成物は、シリマリンの吸収性が良いため、従来のシリマリン含有組成物に比して、飲食品や医薬品、化粧品、健康食品への配合量を減らすことができる。
以下、本発明を試験例により更に具体的に説明する。
実施例1:シリマリン含有水分散性組成物の調製
シリマリンとしてシリマリンET(インディナジャパン社)を用いた。
(1)製造方法
シリマリンの水分散性組成物を製造するにあたって、上記した高圧晶析装置PureNano(パウレック社)を用い、シリマリンの溶媒としてエタノールを、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)の溶媒として水(蒸留水)を用いた。なおHPMCは信越化学株式会社製メトロース60SH50を用いた。
PureNanoの運転条件は、装置の使用説明書の条件に準じて次の条件とした。
エタノール液 20ml(シリマリン溶解液)
水溶液 200ml(HPMC溶解液)
Retract time : 300ms
通過回数 : 1pass
圧力 : 100MPa
回収した懸濁液は、一部の水とエタノールをロータリーエバポレーターで蒸発させ、スラリー状の回収液にエリスリトール0.5gを添加し次いで凍結乾燥した。
製造工程の概略を図2にフロー図で示す。
(2)分散粒子の粒子径測定
上記の晶析した粒子の粒子径及び得られた水分散性組成物を水に分散させたときの粒子径を、動的光散乱法により測定した。下記表1に測定結果を示す。
(3)水分散性組成物の粒子形状の電子顕微鏡観察
調製した水分散性組成物の凍結乾燥直後粒子の形状は走査型電子顕微鏡 (SEM) で観察した。観察画像を図3右に示す。なお参考のため対照として観察した、原料としたシリマリン粉末の画像を図3左に示す。
(4)水分散性組成物のX線回折
調製した水分散性組成物の結晶状態をX線回折により観察した。本発明の組成物を調製する際の原料である(a)シリビン、(b)HPMC、(C)エリスリトール、(d)シリビン・HPMC・エリスルトールの混合物、(e)本発明の組成物の回折ピーク像を図4に示した。
(5)組成物中のシリビンの溶出性試験(分散性試験)
調製した水分散組成物の溶出性試験を行った。試験方法は、日本薬局方第16版に記載されたパドル法に準じて行った。試験に用いた量は、シリビンの飽和溶解度以下になるようにシリビン換算で50mgになるように秤量し、蒸留水900mlを用い試験した。なお、蒸留水には、濡れ性を確保するためにTween 80を0.1%添加した。
経時的に (2, 5, 10, 15, 20, 30, 45および 60分後)にサンプリングを行った。サンプルは、0.2μmフィルターを通したろ液中の薬物量をHPLCにより定量した。
1)標準溶液の調製
シリビン0.025gを50mLメスフラスコに精密に量り、50%DMSO水溶液で50mLにする。これを適宜希釈し、シリビン濃度0.01、0.05、0.1、0.2、0.5mg/mLに調製し、標準溶液とする。
2)HPLC試験条件
検出器 :紫外吸光光度計(測定波長:288nm)
カラム :250×4.6mm Phenomenex Luna 5u C18(2)
カラム温度:30℃
移動相 :A 水にトリクロロ酢酸を加えpHを2.5に調整する。
B メタノール
流量 :1mL/min
移動相のグラジエント設定は以下の表2の通りの条件で実施した。
(6)水分散性組成物の保存試験
加速条件(40℃, 湿度75% )で14日保存後および、冷暗所(5℃)4か月の保存後に分散粒子径を測定した。いずれの条件でも、分散粒子径に変化が見らず、沈殿も発生しなかった。
(7)試験結果について
1)水分散性組成物の粒子径
表1に示すとおり、高圧晶析処理を行うことで、組成物を水に分散させた粒子径は400nm以下となった。エリスリトールを添加して凍結乾燥することで、粒子径は最小となった。
2)水分散性組成物の粒子形状の電子顕微鏡画像について
シリマリン原末の画像(左図)は、不定形であり、本発明の組成物(右図)はシリマリン原末とは明らかに異なる粒子形状であった。また、本発明の組成物製品はシリマリン原末と比較し粗大な粒子であったが、網目状の構造が観察された。このために、水中に分散させた際に、シリマリンが蒸留水中に分散したものと考えられる。
3)水分散性組成物のX線回折像について
本発明の組成物のX線回折像(e)は、単なる混合物(d)と比較してシリマリン原末由来のピークが検出できなかった(矢印で示したピーク)。本発明の組成物の回折像に出現するピークはいずれもHPMCならびにエリスリトールと同一のピークであった。
X線回折像の結果から、本発明の組成物においては、シリマリンはHPMC中に超微細な結晶として分散あるいは、非晶質状態で存在している可能性が推測された。
4)組成物中のシリビンの溶出試験(分散性試験)
図5に示す通り、本発明の組成物によれば、シリマリンが速やかに蒸留水中に分散又は溶解することが判明した。これに対して、単なる混合物ではシリマリンはほとんど水中に溶出又は分散しないことが判明した。なお、この現象は日本薬局方第16版に収載の溶出第1試験液、溶出第2試験液を用いても同様であった。したがってシリマリンは、単なる混合物では胃又は腸内ではほとんど溶出しないのに対して、本発明の水分散性組成物によれば、胃又は腸内で速やかに溶出することが明らかとなった。
5)水分散性組成物の保存試験結果について
加湿条件下で保存安定性を評価した。再分散時の粒子径測定から判断すると、多少の凝集傾向が認められた。また、粉体特性としては、粉末X線回折測定の結果から、エリスリトールの結晶性の増大が認められた。さらに、SEM画像においても、調製直後では認められなかったエリスリトールの結晶が観察された。これは、加湿条件下で保存することで、調製した水分散性組成物の粒子から、エリスリトールのみが結晶化したためと推定できる。その結果、分散性が低下し、分散時にも凝集が現れたと推察される。しかしシリマリンの溶出性は、調製直後の組成物と比較し大きな変化が認められなかった。したがって、本発明の水分散性組成物は、加温加湿条件においても、その特性には大きな変化をおこさないことが判明した。
実施例2:シリマリン含有水分散性組成物の調製におけるHPMCの特性評価
(1)試験方法
各種HPMCを用いて、実施例1と同様に操作し、水分散性組成物を調製し、水分散時の粒子径を測定し、HPMCとして有用な物質の条件を確認した。
HPMCは信越化学株式会社の製品を用い、2%の水溶液としたときの粘度で特定した。
(2)結果
HPMCの2%水溶液の粘度と、得られた水分散性組成物の粒子径測定結果を表3に示す。なおHPMCの欄は、信越化学株式会社のカタログ商品番号である。
表3に示すとおり、HPMCの2%水溶液の粘度が50mPa・sを示すものを用いると水分散性組成物の水に分散時の粒子径を700nm以下になるように調整できることが判明した。
実施例3:シリマリン含有水分散性組成物の調製におけるエリスリトール又はトレハロースの配合率評価
(1)試験方法
エリスリトール及びトレハロースの最適な添加量を設定するために、シリマリン1質量部、HPMC1質量部に固定し、下記表4の配合量で水分散性組成物を調製し、得られた組成物の水分散時の粒子径を測定し、最適な配合量の条件を確認した。
(2)結果
表4に示す組成で調製した水分散性組成物の粒子径測定結果を示す。
表4に示すとおり、シリマリン1質量部とHPMC1質量部に対してエリスリトール又はトレハロースを0.2質量部配合することで、水分散性組成物の粒子径は500nm以下に調整できることが判明した。
実施例4:シリマリン含有水分散性組成物の最適配合比率の決定
(1)試験方法
最適なシリマリン含有水分散性組成物を得ることのできる、シリマリン、HPMC、エリスリトールの配合比率を決定するため、シリマリン1質量部に対して、HPMC、エリスリトールの比率を変えて水分散性組成物を調製した。下記表5の比率で水分散性組成物を調製し、同様にして分散粒子径を測定した。
(2)結果
表5に結果を示す。
シリマリン:HPMC:エリスリトールの配合比率は、シリマリン1に対してHPMC0.7〜1、エリスリトール0.5〜1とすることでもっとも好ましい粒子径を維持できることが明らかとなった。
実施例5:シリマリン含有水分散性組成物の吸収性試験
シリマリン及び実施例1で調製したシリマリン水分散性組成物の経口投与による吸収性を試験した。
(1)試験方法
<試験動物>
ラット:Crl:SD 雄6週齢を納入後、1週間馴化飼育後、7週齢で1群n=5にて実験に供した。飼育方法は1匹/1ケージにて、CRF-1固型の餌を自由摂取とした。
<投与方法>
投与試験前日の夕刻より絶食し、シリマリン原末換算で200mg/kg/10mLとなるよう各薬液を調製し、ゾンデを用いて強制経口投与した。
<群分け>
投与前日の体重に基づいて群間均一に群分けした。
<採血方法>
投与後0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間経過後に採血を実施した。
頸静脈からヘパリン処理をした注射筒で0.2mL程度採血し、血漿を遠心分離後、凍結し分析サンプルとした。得られた血液サンプルは実施例1と同様にしてHPLCを用いて、血中シリビン濃度を測定し、これをシリマリン濃度とした。
(2)結果
血中のシリマリン濃度の経時変化を図6に、血中濃度のAUC、Cmax、Tmax値を表6に示す。
シリマリンエタノール溶液投与群と、本発明組成物投与群を比較すると、Cmaxに関しては50%増加し、AUCは約32%増加している。Tmaxに関しては1.8時間から0.5時間と速まっていることから、速やかに血中へ取り込まれることが明らかとなった。これは、溶出試験の結果が示す通り、本発明の組成物が、体内において速やかにナノ粒子を形成し、比表面積が増大したことにより、血中への吸収が速やかで、かつ生体内利用率が向上したことを示している。
以上のとおり、図6、及び表6のAUCの結果から、本発明の組成物は経口投与による吸収性と持続性に優れていることが確認できた。

Claims (3)

  1. シリマリン、シリビン、イソシリビン、シリジアニン、シリクリスチンからなる群から選択される1種又は2種以上と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、トレハロースを含み、
    シリマリン、シリビン、イソシリビン、シリジアニン、シリクリスチンからなる群から選択される1種又は2種以上の成分とヒドロキシプロピルメチルセルロースと、トレハロースの含有比率が1:0.7〜1:0.5〜1である水分散性組成物。
  2. 水に分散したとき、分散粒子の平均粒子径が200〜400nmである請求項1に記載の水分散性組成物。
  3. シリマリン、シリビン、イソシリビン、シリジアニン、シリクリスチンがマリアアザミ由来であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水分散性組成物。
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