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JP6348382B2 - 蓄熱材ならびにそれを用いた蓄熱方法及び熱利用システム - Google Patents
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JP6348382B2 - 蓄熱材ならびにそれを用いた蓄熱方法及び熱利用システム - Google Patents

蓄熱材ならびにそれを用いた蓄熱方法及び熱利用システム Download PDF

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Description

本発明は、シッフ塩基系錯体と含窒素ヘテロアリールとを配位結合させて得られた錯体化合物の蓄熱材としての使用、当該錯体を用いる蓄熱方法、及び当該蓄熱材を利用した熱利用システムに関する。
従来から、自動車上で発生する余剰な熱や太陽光の熱エネルギー(例えば、近赤外よりも長波長の電磁波)の利用が望まれていた。一般的には、熱が発生するシーン(時間)とその熱を利用する(又はしたい)シーンが必ずしも時間的に一致しない問題があった。
例えば、冬場に自動車に乗車する場合、走行時に発生する熱などの排熱を、次回乗車する時(例えば、翌朝など)にエンジン暖気などに使うことができれば、多くの利益をもたらす。例えば、初期の暖気時間が短くなることにより、エンジンの始動時の燃料消費が少なくなる、すなわち燃費がよくなるというものがある。また、乗車とほぼ同時に暖房が使えるという点も、乗員にとっての快適性も向上するというメリットがある。
また住宅を例にとると、日中の太陽光の熱エネルギーを、日没後の任意の時間(例えば、当日の夜、翌日の夜等)に使うことができれば、光熱費を削減することができる。
上記の問題を解決してこれら利益を享受するための1つの方法としては、温度の上昇とともに三態が変化する物質を用いた蓄熱材によりエネルギーを貯蔵する方法がある。
このような蓄熱材として、従来、ピロリン酸ナトリウム、イオン性液体、氷酢酸又はエリスリトールなどを用いたものがあった(特許文献1〜4)。
また、メタロポリマーやシッフ塩基系錯体を用いた蓄熱材も報告されている(特許文献5及び6)。
ところで、ある種のシッフ塩基系錯体はピリジンと配位結合を形成することが報告されている(非特許文献1及び2)。
特開2001-107035号公報 特開2006-219557号公報 特開2005-97530号公報 特開平5-32963号公報 特開2011-74368号公報 特開2012-177094号公報
K. Miyokawa et al, Bull.Chem.Soc.Jpn., 55, 104-107(1982) K. Miyokawa et al, Bull.Chem.Soc.Jpn., 54, 3361-3365(1981)
上記の特許文献1〜4に開示されたような蓄熱材は、材料の持つ潜熱を利用して熱を貯蔵している。しかしながら、例えば、熱エネルギーを除去すると相変化(三態が変化する)したり、あるいは解離状態が基に戻ったりするなどの現象を利用する場合、エネルギーを貯蔵したときの温度を下げると貯蔵した熱が逃げてしまう、すなわち熱を回収(吸収)した状態で蓄熱材の温度が低下するとエネルギーの貯蔵量も低下するという問題があった。そのため熱を回収した後に、温度低下などの外環境の影響を受けず、熱などのトリガーで発熱する蓄熱材及びそれを用いた熱利用システムが強く望まれ、メタロポリマーやシッフ塩基系錯体を用いた蓄熱材が開発された(特許文献5及び6)。
特許文献6の式(I)で示されるシッフ塩基系錯体は、熱吸収と共に結晶構造を変化させるが、このことは、当該シッフ塩基系錯体が、熱を吸収してその結晶構造を変え、エネルギーを蓄えたことを意味している。また、当該シッフ塩基系錯体は、エネルギーを吸収・貯蔵した状態で外環境温度変化の影響を受けない(外環境温度の低下による蓄エネルギー量が減少しない)蓄熱材を提供でき、また、外部からトリガー、例えば熱又は物理的・機械的刺激を与えることで、貯蔵したエネルギーを放出し得ることが知られている。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、上記特許文献6のシッフ塩基系錯体に含窒素ヘテロアリールを配位結合させることで得られる錯体化合物が、排熱エネルギーや太陽光などの熱エネルギーを回収・貯蔵できる蓄熱材及びそれを用いた熱利用システムに有用であることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、式(I):

〔式中、
R及びR’は、互いに独立して、炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐のあるアルキル基であるか、又は場合により置換されているアリール基であり;
Mは二価の遷移金属イオンであり;
A、B、C、D、A’、B’、C’、及びD’は水素であるか、あるいはそれらのうちの隣り合う2個同士が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子2個と一緒になって場合により置換されているアリール環を形成する〕
で示されるシッフ塩基系錯体と含窒素ヘテロアリールとを配位結合させて得られる錯体化合物を含むことを特徴とする、蓄熱材を提供する。
また、本発明は、上記の錯体化合物を用いる熱利用方法も提供する。
さらに、本発明は、上記の蓄熱材を備えた熱利用システムも提供する。
本発明の錯体化合物は、排熱エネルギーなどの熱エネルギーを回収・貯蔵できるので、蓄熱材及び蓄熱方法、ならびに当該蓄熱材を用いた熱利用システムを提供することができる。
本発明の錯体化合物中で配位結合している式(I)で示されるシッフ塩基系錯体は、熱吸収と共に結晶構造を変化させることができるので、本発明の錯体化合物は、このシッフ塩基系錯体が熱を吸収してその結晶構造を変えることでエネルギーを貯蔵することができる。このエネルギーを貯蔵した本発明の錯体化合物は、外部からトリガー、例えば熱又は物理的・機械的刺激を与えられることにより、貯蔵したエネルギーを放出し得る。
また、本発明の錯体化合物中の式(I)で示されるシッフ塩基系錯体と含窒素ヘテロアリールとの間に形成された配位結合は、熱吸収と共に解離するので、本発明の錯体化合物は、この配位結合が熱を吸収して解離することでもエネルギーを貯蔵することができる。このエネルギーを貯蔵した本発明の錯体化合物は、配位結合が解離して上記シッフ塩基系錯体と上記含窒素ヘテロアリールがそれぞれ解離して存在することになるが、両化合物を再び配位結合させることにより、貯蔵したエネルギーを放出し得る。
このように、本発明の錯体化合物は、結晶構造の変化及び配合結合の解離により、優れた蓄熱効果を発揮することができる。
また、本発明の錯体化合物は、エネルギーを吸収・貯蔵した状態で外環境温度変化の影響を受けない(外環境温度の低下による蓄エネルギー量が減少しない)蓄熱材を提供できるので好ましい。
エンジンでの空気の流れを示す模式図である。 エアコンの断面図の模式図である。 空気の流れとエアコン(特にヒータ)とのかかわりを示す模式図である。 エンジンの排熱を排気マニホールドから回収する実施形態1の模式図である。 エンジンの排熱を排気管から回収する実施形態2の模式図である。 エンジンの排熱を排気管から回収し、直接空気を暖気する実施形態3の模式図である。 住宅での太陽光の熱エネルギーを回収する実施形態4の模式図である。 太陽光の分光放射分布を示す図である。 本発明の蓄熱材を備える熱回収・放出部に関する実施形態5の模式図である。 本発明の錯体化合物NMTNi-Py2の熱重量分析の結果を示す。一点鎖線はDTA(示差熱)の変化を示し、実線はTGA(重量)の変化を示す。
以下、場合により図面を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
(シッフ塩基系錯体)
本発明のR及びR’における炭素数1〜18の直鎖又は分岐のあるアルキル基は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、又はイソプロピル、あるいは直鎖状又は分岐鎖状のブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、又はオクタデシルなどが挙げられる。
R及びR’におけるアルキル基として、イソプロピルが好ましい。
本発明のR及びR’におけるアリール基は、環員が、例えば5〜16員、好ましくは6〜10員であってもよく、環の数が、例えば1〜4個、好ましくは1個であってもよい。このようなアリール基として、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、及びピレン環などが挙げられ、配位子の溶解度の点からベンゼン環及びナフタレン環などが好ましい。このR及びR’におけるアリール基は、場合により置換されていてもよく、非置換であっても、あるいはメチル基若しくはエチル基などのアルキル基又はフェニル基などのアリール基などで置換されていてもよい。
R及びR’におけるアリール基として、非置換又はアルキル基(好ましくはメチル基)で置換されたフェニル基、例えば、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、及び4−メチルフェニル基、特に非置換フェニル基及び3−アルキル−フェニル基、とりわけ3−メチルフェニル基が好ましい。
式(I)で示されるシッフ塩基系錯体において、R及びR’は、互いに異なっていても同一であってもよいが、合成の容易さから同一であることが好ましい。
本発明における、A、B、C、D、A’、B’、C’、及びD’のうちの任意の隣り合う2個同士が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子2個と一緒になってアリール環を形成してもよい。このようなアリール環は、環員が、例えば5〜16員、好ましくは6〜10員であってもよく、また、環の数が、例えば1〜4個、好ましくは1個であってもよい。このようなアリール環として、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環などが挙げられ、配位子の溶解度の点からベンゼン環及びナフタレン環などが好ましい。また、このようなアリール環は、場合により置換されていてもよく、非置換であっても、あるいはメチル基若しくはエチル基などのアルキル基又はフェニル基などのアリール基などで置換されていてもよい。
本発明では、AとB同士が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子2個と一緒になってアリール環、特にベンゼン環を形成し、A’とB’同士が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子2個と一緒になってアリール環、特にベンゼン環を形成し、C、D、C’、及びD’が水素であることが好ましい。
R及びR’が炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐のあるアルキル基、特にオクチル基であり;A、B、C、D、A’、B’、C’、及びD’が水素である、前記式(I)で示されるシッフ塩基系錯体は、良好な蓄熱効果が得られる点で好ましい。
R及びR’が炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐のあるアルキル基、特にイソプロピル基であり;AとB同士が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子2個と一緒になってアリール環、特にベンゼン環を形成し、A’とB’同士が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子2個と一緒になってアリール環、特にベンゼン環を形成し、C、D、C’、及びD’が水素である、前記式(I)で示されるシッフ塩基系錯体は、良好な蓄熱効果が得られる点で好ましい。
R及びR’が、非置換であっても、あるいはメチル基若しくはエチル基などのアルキル基又はフェニル基などのアリール基などで、特にメチル基で置換されていてもよい、アリール基、特にフェニル基であり;AとB同士が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子2個と一緒になってアリール環、特にベンゼン環を形成し、A’とB’同士が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子2個と一緒になってアリール環、特にベンゼン環を形成し、C、D、C’、及びD’が水素である、前記式(I)で示されるシッフ塩基系錯体は、良好な蓄熱効果が得られる点で好ましい。
R及びR’が、非置換、又はメチル基で、特に3位及び4位が、とりわけ3位が置換されていてもよい、フェニル基であり、AとB同士が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子2個と一緒になってアリール環、特にベンゼン環を形成し、A’とB’同士が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子2個と一緒になってアリール環、特にベンゼン環を形成し、C、D、C’、及びD’が水素である、前記式(I)で示されるシッフ塩基系錯体は、良好な蓄熱効果が得られる点で好ましい。
本発明の二価の遷移金属イオン(M)は、配位子である2-ヒドロキシフェニル-1-イミン化合物に結合(配位)するものであれば特に制限されないが、好ましくは周期表第4周期の遷移金属元素から選択されるものであり、より好ましくは亜鉛(II)、銅(II)、ニッケル(II)、コバルト(II)、マンガン(II)、及び鉄(II)であり、特に好ましくは銅(II)又はニッケル(II)であり、とりわけ好ましくはニッケル(II)である。
本発明の式(I)のシッフ塩基系錯体において、
R及びR’がいずれもオクチル基であるか、あるいは非置換又はメチル基、エチル基、若しくはフェニル基で置換されているフェニル基であり;
R及びR’がいずれもオクチル基である場合、A、B、C、D、A’、B’、C’、及びD’が水素であるか、又はR及びR’がいずれも非置換又はメチル基、エチル基、若しくはフェニル基で置換されているフェニル基である場合、AとB同士が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子2個と一緒になってベンゼン環を形成し、A’とB’同士が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子2個と一緒になってベンゼン環を形成し、C、D、C’、及びD’が水素であり;
かつMが、亜鉛(II)、銅(II)、ニッケル(II)又は鉄(III)、特に銅(II)又はニッケル(II)であるのが、良好な蓄熱効果が得られる点で好ましい。
本発明の式(I)のシッフ塩基系錯体において、
R及びR’がいずれもイソプロピル基であるか、あるいは非置換、又はメチル基で、特に3位及び4位が、とりわけ3位が置換されているフェニル基であり;
AとB同士が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子2個と一緒になってベンゼン環を形成し、A’とB’同士が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子2個と一緒になってベンゼン環を形成し、C、D、C’、及びD’が水素であり;
かつMが、亜鉛(II)、銅(II)、ニッケル(II)又は鉄(III)、特に銅(II)又はニッケル(II)、とりわけニッケル(II)であるのが、良好な蓄熱効果が得られる点で好ましい。
前記式(I)で示されるシッフ塩基系錯体として、以下の表の錯体化合物が例示される。

前記式(I)で示されるシッフ塩基系錯体として、好ましくはNANi、NOTNi、NMTNi、NPTNi、及びNIPNiであり、より好ましくはNANi及びNMTNi、さらに好ましくはNMTNiである。
(含窒素ヘテロアリール)
本発明の含窒素ヘテロアリールは、環窒素原子を、例えば1〜3個、好ましくは1又は2個、より好ましくは1個含有する含窒素芳香族環を有するものであれば、特に制限されない。上記含窒素芳香族環は、環原子を、例えば3〜14個、好ましくは5〜10個、より好しくは6〜10個含有してもよい。上記含窒素芳香族環は、環原子として、窒素原子以外に、炭素原子を含有するが、窒素原子以外のヘテロ原子、例えば、酸素原子又は硫黄原子も含有してもよい。上記の含窒素芳香族環は、単環であっても、縮合環、例えば、縮合二環系及び縮合三環系などであってもよいが、好ましくは単環である。
前記の含窒素芳香族環として、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、1,3,5−トリアジン環、1,2,4−トリアジン環、1,2,4,5−テトラジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、1,3,4−オキサジアゾール環、1,2,5−オキサジアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,5−チアジアゾール環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、フェナントロリン環、カルバゾール環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、フタラジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、ベンゾジアジン環などが例示される。
上記の含窒素芳香族環は、非置換であるか、あるいは、置換基Zの群から互いに独立して選択される1個以上の置換基で置換されている。なお、本発明で置換基Zとは、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、モノアルキルアンモニウム基、ジアルキルアンモニウム基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、−COOH基、−COONa基、シクロアルキル基、シクロヘテロアルキル基などを意味する。上記の含窒素芳香族環は、非置換であるか、又はアミノ基、モノアルキルアミノ基、若しくはジアルキルアミノ基で、特にジアルキルアミノ基で、とりわけジメチルアミノ基で置換されているのが好ましい。
なお、上記のモノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、モノアルキルアンモニウム基、ジアルキルアンモニウム基、アルキル基、及びアルコキシ基の炭素数は特に制限されないが、例えば1〜18個、好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜3個である。上記のシクロアルキル基の炭素数は特に制限されないが、3〜8個、好ましくは5〜6個である。上記のシクロヘテロアルキル基は、例えば、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含有する、5〜16員、好ましくは6〜10員環である。
本発明の含窒素ヘテロアリールは、上記の含窒素芳香族環を1個以上有してもよい。本発明の含窒素ヘテロアリールが上記の含窒素芳香族環を2個以上有する場合は、これら含窒素芳香族環は、互いに、適切な連結基で、例えば連結基Lで連結されていてもよい。なお、本発明で連結基Lとは、単結合、アルキレン鎖(例えば、炭素数1〜6のアルキレン鎖)などを意味し、好ましくは単結合である。本発明の含窒素ヘテロアリールは、好ましくは1〜3個、より好ましくは1又は2個、特に好ましくは1個の含窒素芳香族環を有する。
本発明の含窒素ヘテロアリールは、前記式(I)で示されるシッフ塩基系錯体に配位結合するが、その際、含窒素ヘテロアリール中の環窒素原子がシッフ塩基系錯体の二価の遷移金属イオン(M)と配位し得る。本発明の含窒素ヘテロアリールは、この配位し得る環窒素原子を1個含有する1官能性か、2個含有する2官能性であってよく、好ましくは1官能性である。
例えば、本発明の含窒素ヘテロアリールは以下の式(III):

(上記式中、Qは、互いに独立して、前記で定義された含窒素芳香族環であり;Zは、互いに独立して、前記で定義された基であり;mは、互いに独立して、0以上の整数、例えば0〜6の整数、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1であり;Lは、互いに独立して、前記で定義された基であり;lは、互いに独立して、0以上の整数、好ましくは0、1、又は2、より好ましくは0であり;pは、0以上の整数、例えば0〜6の整数、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である)で示され得る。
例えば、本発明の含窒素ヘテロアリールは、以下の式(IV):

(上記式中、Yは、互いに独立して、窒素原子又は炭素原子であり;mは、互いに独立して、0〜5の整数、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1であり;pは0〜5の整数、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1であり;Z、L、及びlは、前記式(III)で定義されたとおりである)で示され得る。
前記式(III)及び(IV)において、pが0であることが好ましく、またpが1であり、かつlが0又は1、特に0であることも好ましい。
本発明の含窒素ヘテロアリールは、例えば、以下の基:

からなる群より選択され、好ましくは、

からなる群より選択され、より好ましくは、

からなる群より選択される。
(錯体化合物)
本発明の錯体化合物は、前記式(I)のシッフ塩基系錯体1分子あたり、前記含窒素ヘテロアリールを1分子以上、例えば1分子又は2分子配位結合させて得ることができる。例えば、Mが銅(II)の場合、含窒素ヘテロアリールの種類に関わらず、シッフ塩基系錯体1分子に対し含窒素ヘテロアリール1分子が配位することができる。また、Mがニッケル(II)の場合、シッフ塩基系錯体1分子に対し、1官能性(環窒素原子を1個有する)の含窒素ヘテロアリール(例えば、ピリジン及び4−ジメチルアミノピリジンなど)は2分子が、2官能性(環窒素原子を2個有する)の含窒素ヘテロアリール(例えば、4,4’−ビピリジル及びピラジンなど)は1分子が配位することができる。
本発明の錯体化合物の製法は、特に制限されず、非特許文献1及び2に記載の方法が例示される。例えば、本発明の錯体化合物は以下のスキーム2に示される工程に従って簡便に製造することができる。

(ここで、R、R’、A、B、C、D、A’、B’、C’、及びD’は前述の式(I)で定義されたとおりであり;Xは、それぞれ独立して、前述で定義された含窒素ヘテロアリールを示し;nは、1以上の整数、好ましくは1又は2である)
上記スキーム1の工程1では、上記式(I)で示されるシッフ塩基系錯体を、
(方法1)液体の含窒素ヘテロアリール(X)に溶かし、そこに例えばメタノールやエタノールなどのアルコールを加えると、錯体が形成されて沈殿が生じ、それをろ過により回収して式(II)で示される本発明の錯体化合物を得ることができるか;あるいは
(方法2)含窒素ヘテロアリール(X)とともに、例えばテトラヒドロフランやクロロホルムなどの有機溶媒に溶かし、加熱撹拌したのち溶液を蒸発濃縮させると、錯体が形成されて沈殿が生じ、それをろ過により回収して式(II)で示される本発明の錯体化合物を得ることができる。
得られた錯体化合物は、そのまま本発明の蓄熱材などに使用してもよいが、テトラヒドロフランなどの溶媒に溶解させ、適量のエタノールなどを加えることで析出させた結晶など、精製したものを使用してもよい。
出発物質の式(I)で示されるシッフ塩基系錯体は、市販されているか、又は特許文献6に記載された方法により製造することができる。また出発物質のXも市販されているか、又は公知の方法で製造することができる。
前記のスキーム1で得られる式(II)で示される本発明の錯体化合物は、Xが二価の遷移金属イオン(M)に配位して形成されるので、以下の構造式(V):

で示され得る(上記式中、R、R’、A、B、C、D、A’、B’、C’、及びD’は前述の式(I)で定義されたとおりであり;Xは、それぞれ独立して、前述で定義された含窒素ヘテロアリールを示し;nは、1以上の整数、好ましくは1又は2である)。
したがって、この錯体化合物は、nが1の場合は、例えば、

で示され、nが2の場合は、例えば、

で示される(ここで、上記式中、R、R’、A、B、C、D、A’、B’、C’、及びD’は前述の式(I)で定義されたとおりであり;Xは、それぞれ独立して、前述で定義された含窒素ヘテロアリールを示す)。
本発明の錯体化合物として、以下の表2に列記された、式(I)で示されるシッフ塩基系錯体と含窒素ヘテロアリールとを1:1又は1:2で配位結合させて得られた錯体化合物が例示される。なお、表2において、シッフ塩基系錯体の略称は前記表1中に示した化合物を示し、含窒素ヘテロアリールについての略号は以下の化合物を示し、配位数はシッフ塩基系錯体1分子あたりに配位結合した含窒素ヘテロアリールの分子数を示す。
本発明の錯体化合物として、良好な蓄熱効果が得られる点から、錯体化合物NMTNi-Py2、NANi-DMAP2、NOTNi-DMAP2、NPTNi-PZ、NMTNi-DMAP2、NPTNi-Py2、NIPNi-BPY、NANi-BPY、NMTNi-PZ、及びNMTNi-BPY、特に錯体化合物NMTNi-Py2、NANi-DMAP2、NOTNi-DMAP2、NPTNi-PZ、NMTNi-DMAP2、NPTNi-Py2、及びNIPNi-BPY、とりわけ錯体化合物NMTNi-Py2、NANi-DMAP2、及びNOTNi-DMAP2が好ましい。
(蓄熱材)
本発明の蓄熱材は、本発明の錯体化合物そのものであってよいし、あるいは2種以上の本発明の錯体化合物からなるものであってもよいし、あるいは本発明の効果を損なわない限り、他の添加剤、例えば薄膜形成時の膜強度を高めるためのバインダーや、薄膜の熱伝導率を高めるために金属やカーボンナノチューブ(CNT)などを、上記錯体化合物1種以上と共に含んでいてもよい。特に、錯体化合物を2種含む蓄熱材は、蓄熱現象が出現するまでの加熱冷却サイクル数が減少する点で好ましい。
本発明の蓄熱材の製法は特に制限されないが、例えば、上記錯体化合物1種以上、及び必要に応じて添加される上記添加剤を撹拌混合して均一に分散させて製造することができる。この蓄熱材を適当な容器、例えばカプセル状の蓄熱材容器(蓄熱カプセル)に充填して使用してもよい。このような蓄熱カプセルの容器の材質としては、ポリプロピレン等のプラスチック、あるいはアルミニウム、ステンレス等の金属を用いることができる。
(熱利用方法)
本発明は、本発明の錯体化合物を使用する熱利用方法、特に排熱利用方法にも関する。この熱利用方法は、例えば、以下の工程:
(工程1)式(I)で示されるシッフ塩基系錯体と含窒素ヘテロアリールとを配位結合させて得られた本発明の錯体化合物に熱を吸収させて、上記シッフ塩基系錯体の結晶構造を変化させ、また、上記シッフ塩基系錯体と上記含窒素ヘテロアリールとを解離させる工程;
(工程2)工程1で解離された上記シッフ塩基系錯体と上記含窒素ヘテロアリールとを隔離する工程;
(工程3)工程2で隔離された上記シッフ塩基系錯体と上記含窒素ヘテロアリールとを配位結合させて上記錯体化合物を得て、熱を放出させる工程;及び
(工程4)工程1で解離された及び/又は工程2で隔離された上記シッフ塩基系錯体ならびに/あるいは工程3で得られた上記錯体化合物に、トリガー、例えば熱又は物理的・機械的を与えて、熱を放出させる工程;
を含む。
前記工程2では、工程1で解離された上記含窒素ヘテロアリールを他の場所に移動させて隔離してもよい。この場合、気体となって解離され得る上記含窒素ヘテロアリールが、他の場所に吸引等で容易に移動させることができるので、有利である。このような含窒素ヘテロアリールとして、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、4,4’−ビピリジル、ピラジンが例示される
本発明は、本発明の錯体化合物を使用する熱利用システムを提供する
以下、本発明の熱利用システムの実施形態として車両用空調システム(実施形態1〜3)及び住宅用空調システム(実施形態4)を説明するが、ここに示す実施形態は、常温よりも高い熱を蓄熱することを想定している。本発明の蓄熱材は、常温よりも低い熱も蓄えることもできる、すなわち蓄冷材の用途もあるため、本発明はこれらに限られるものではない。
その前に先ず、図1を用いてエンジンに取り込んだ空気の流れを説明する。吸気口から取り込んだ空気は、フィルターで除塵後、吸気マニホールドからエンジン内に供給される。供給された空気は、エンジン内で燃料とともに燃焼し、燃焼熱とともに排気ガスが、排気マニホールドから排気される。この排気は、触媒で排ガスの浄化を行った後、エキゾーストパイプ内を通り、マフラーから排出される。
次に、図2を用いてエアコンでの空気の流れを説明する。空気の流れは、内外気切替ドアから取り込んだ空気を、ブロアファンで送り出し、エバポレータ(冷却)、ヒータコア(加熱)を通った後、吹き出し口から車室内に供給される。吹き出す空気の温度は、エバポレータとヒータコアの間にあるエアミックスドアにより、制御される。また内外気切り替えドアの位置により、取り込む空気を車室内あるいは車室外から選択することができる。一般的には、車室内から取り込むと[内気モード]、外気から取り込むと[外気モード]と呼ばれる。
次に、図3を用いてエンジンとエアコン(特にヒータ)での空気と水の流れを説明する。熱利用システムは、熱、特に排熱を回収し、それを熱として再利用するものである。「空気流れ」と「水の流れ」をヒータという観点から平易に説明する。
(空気の流れ)
エンジンに取り込まれた空気は、エンジン内の燃焼により、燃焼熱を伴って排気ガスとして排出される。排気管の温度は、排気マニホールド近傍が最も高温であり、マフラーに向かっていくに従って温度が低下する。排気管の温度は、定常状態の運転(例えば、40km/hでの一定走行時)であれば、排気マニホールドで500〜600℃程度、触媒〜マフラー間で200〜300℃である。
(水の流れ)
エンジンから出る熱を冷却水で取り除き、冷却水が所望の温度以上(サーモスタットで測定)になると、ラジエータから排熱し、冷却水を一定に保つ制御をしている。エアコンでの暖房は、この冷却水の一部をヒータコアに循環することで行っている。
(実施形態1)
図4を用いて、エンジンの排熱を排気マニホールドから回収する実施形態1を説明する。回収した熱をエンジン始動時など冷却水温度が低いときの熱源として利用する。
[操作]走行中、排気マニホールドで発生する排熱を本発明の蓄熱材を備える熱回収・放出部(図中の斜線部)で熱回収する。上記蓄熱材は、エンジンが停止した後も排熱のエネルギーを結晶構造の変化として物質内に保持し得る。エンジンが再び始動される時(例えば、翌日の朝など)に、上記蓄熱材が蓄えるエネルギーを放出させ、冷却水(実施形態3では、空気)を加熱することができる。
[効果]回収した熱を供給する場所により、2つの効果を発揮できる。一つ目は、主にヒータコアを加熱する場合である。上記熱回収・放出部からヒータコアの冷却水ループを用いてヒータコアを加熱すると、エンジン始動直後からの暖房が可能となる。二つ目は、エンジン周囲の冷却水を加熱する場合である。エンジンに加熱された冷却水を供給すると、エンジン始動時の暖機運転時間が短くなるだけでなく、「空気の流れ」の下流にある触媒層の大きさ(容積)を小さくできるという利益をもたらす。
(実施形態2)
図5を用いて、エンジンの排熱を排気管から回収する実施形態2を説明する。本発明の蓄熱材を備える熱回収・放出部の設置場所は、排熱温度の高い触媒前(図中の斜線部)の方が好ましいが、特に限定されるものではなく、排気マニホールドなどいずれに設置することができる。[操作]及び[効果]については、実施形態1と同じである。
(実施形態3)
図6を用いて、エンジンの排熱を排気管から回収し、直接空気を暖気する実施形態3を説明する。暖気する空気は、エアコンの「空気の流れ」からエアーポンプ等により吸引し、加熱後、再びエアコンに戻す。戻す場所は、エバポレータとヒータコアの間が好ましい。本発明の蓄熱材を備える熱回収・放出部の設置場所は、排熱温度の高いところ、例えば触媒前(図中の斜線部)が好ましいが、特に限定されるものではなく、排気マニホールドなどいずれに設置することもできる。[操作]は実施形態1と同じである。[効果]は、エンジン始動直後からの暖房が可能という点である。
(実施形態4)
図7を用いて、住宅での太陽光の熱エネルギーを回収する実施形態4を説明する。熱エネルギーとして利用する光の波長は、780nmよりも長波長である(図8)。したがって熱エネルギーを受ける形態は、輻射となる。本発明の蓄熱材を備える熱回収・放出部が太陽光を受けて、太陽からの熱エネルギーを回収する。その後、任意時に上記蓄熱材が蓄えるエネルギーを放出させ、冷却水を加熱したり、その熱をお風呂や床暖房に利用したりする。[効果]は、光熱費の削減である。
(実施形態5)
図9を用いて、本発明の蓄熱材を備える熱回収・放出部に関する実施形態5を説明する。熱源は、温度が高いほど好ましいが、排気マニホールドなどいずれの場所に設置してもよい。熱源からの熱エネルギーを上記蓄熱材に伝えるエネルギー形態は、伝導、対流、及び輻射のいずれの形態でも可能である。
対流を使う場合は、熱源と上記蓄熱材層との間の空気層を十分に攪拌するためのファンなどを備える方が好ましい。輻射では、熱源の輻射面に対して、平行になる様に上記蓄熱材層を設置することが望ましい。熱源と蓄熱材層との間の空間には、空気の層が設けられている。この距離は、特に限定されないが、蓄熱材に最適な温度になるようにその距離を決めればよい。上記蓄熱材に貯蔵したエネルギーを放出して、冷却水又は空気に伝熱する際には、伝熱効率を高めるために、放出側(伝導図中のA面)には表面積を高めるためのフィン材を設置することが好ましい。
本発明の蓄熱材を備える熱回収・放出部は、例えば、
本発明の蓄熱材を含む熱回収部;
上記熱回収部から、熱吸収により解離された前記シッフ塩基系錯体及び前記含窒素ヘテロアリールを別々に隔離するための隔離部1及び2(容器など);
上記隔離部1及び2に、上記各化合物を別々にそれぞれ移動させるための移動装置1及び2(例えばポンプなど);
上記各化合物を接触させて配位結合を起こさせる熱放出部;ならびに
上記熱放出部に、上記隔離部1及び2に別々に隔離された上記各化合物をそれぞれ移動させるための移動装置1’及び2’(例えばポンプ)
を備える。
装置の簡略化の点から、上記各化合物の一方のみを移動させるのが好ましい。すなわち、この場合、隔離部も移動装置も減らすことができ、また、熱回収部と熱放出部を同一にすることができる。
例えば、熱吸収により解離された前記シッフ塩基系錯体を熱回収部に残したまま、熱吸収により解離された前記含窒素ヘテロアリールを隔離部に移動装置で移動させることで、上記各化合物を別々に隔離することができ、また、隔離部に移動された前記含窒素ヘテロアリールを熱回収部に移動装置で再び戻すことにより、上記各化合物を接触させて配位結合を起こさせることができる。
以下に実施例を示し、本発明の詳細を説明するが、これらの実施例は本発明を限定することを意図するものではない。
[製造例1]
NPTNiの製造
3.44g(20.0mmol)の2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒドをエタノール50ml中で加熱しながら溶解させ、2.14g(20.0mmol)のp-トルイジンを加えた。70℃で1時間還流攪拌したあと、TLCで反応終了を確認した。エバポレータで溶液を40ml程度に濃縮したところ結晶が生成し、桐山ロートでろ過した。25℃で24時間減圧乾燥を行ない、2-ヒドロキシ-1-ナフチルメチリデン-4-メチルアニリン(以下「HNPT」ともいう)の黄色結晶(4.70g, 90%)を得た。1.06g(4.00mmol)のHNPTをテトラヒドロフラン20mlとエタノール30mlの混合溶媒に溶解させ、撹拌しながら0.50g(2.00mmol)の酢酸ニッケル四水和物のエタノール溶液50mlを加えた。70℃で1時間還流攪拌したところ結晶が析出した。TLCで反応終了を確認した。生じた結晶を桐山ロートでろ過し、エタノールで十分に洗浄した。25℃で24時間減圧乾燥を行ない、緑褐色結晶(1.16 g, 94%)として下式で表される錯体化合物NPTNiの粗生成物を得た。得られた結晶の一部をテトラヒドロフランに溶解し、その4倍容のエタノールを加えて結晶を析出させた。これをろ過、減圧乾燥し、錯体化合物NPTNiの精製物を得た。
[製造例2]
NIPNiの製造
3.44g(20.0mmol)の2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒドをメタノール50mlに溶解させ、2.48g(10.0mmol)の酢酸ニッケル四水和物とイソプロピルアミン4.80g(8.0mmol)を加えた。60℃で1時間還流攪拌したところ、結晶が生成した。桐山ロートでろ過し、メタノールで十分洗浄した。25℃で24時間減圧乾燥を行ない、緑色結晶(4.71g, 98%)として下式で表される錯体化合物NIPNiの粗生成物を得た。得られた結晶の一部をテトラヒドロフランに溶解し、その4倍容のエタノールを加えて結晶を析出させた。これをろ過、減圧乾燥し、錯体化合物NIPNiの精製物を得た。
[実施例1]
錯体化合物NOTNi-DMAP2の製造
特許文献6に記載の方法に準じて得られたシッフ塩基系錯体NOTNiと、N,N−ジメチル−4−アミノピリジンとをテトラヒドロフランに溶かし、加熱撹拌したのち溶液を蒸発濃縮させると、錯体が形成されて沈殿が生じる。ろ過により回収して、錯体化合物NOTNi-DMAP2を得た。
[実施例2]
錯体化合物NMTNi-Py2の製造
特許文献6に記載の方法に準じて得られたNMTNiをピリジンに溶かしたのち、そこにエタノールを加えると、錯体が形成されて沈殿が生じる。ろ過により回収して、錯体化合物NMTNi-Py2を得た。
[実施例3]
錯体化合物NMTNi-DMAP2の製造
NOTNiの代わりに特許文献6に記載の方法に準じて得られたNMTNiを使用する以外は、実施例1に記載の方法に基づいて錯体化合物NMTNi-DMAP2を得た。
[実施例4]
錯体化合物NMTNi-BPYの製造
NOTNiの代わりに特許文献6に記載の方法に準じて得られたNMTNiを使用し、N,N−ジメチル−4−アミノピリジンの代わりに4,4’−ビピリジンを使用する以外は、実施例1に記載の方法に基づいて錯体化合物NMTNi-BPYを得た。
[実施例5]
錯体化合物NMTNi-PZの製造
NOTNiの代わりに特許文献6に記載の方法に準じて得られたNMTNiを使用し、N,N−ジメチル−4−アミノピリジンの代わりにピラジンを使用する以外は、実施例1に記載の方法に基づいて錯体化合物NMTNi-PZを得た。
[実施例6]
錯体化合物NANi-DMAP2の製造
NOTNiの代わりに特許文献6に記載の方法に準じて得られたNANiを使用する以外は、実施例1に記載の方法に基づいて錯体化合物NANi-DMAP2を得た。
[実施例7]
錯体化合物NANi-BPYの製造
NOTNiの代わりに特許文献6に記載の方法に準じて得られたNANiを使用し、N,N−ジメチル−4−アミノピリジンの代わりに4,4’−ビピリジンを使用する以外は、実施例1に記載の方法に基づいて錯体化合物NANi-BPYを得た。
[実施例8]
錯体化合物NPTNi-Py2の製造
NMTNiの代わりに前記製造例1で製造したNPTNiを使用し、実施例2に記載の方法に基づいて錯体化合物NPTNi-Py2を得た。
[実施例9]
錯体化合物NPTNi-PZの製造
NOTNiの代わりに前記製造例1で製造したNPTNiを使用し、N,N−ジメチル−4−アミノピリジンの代わりにピラジンを使用する以外は、実施例1に記載の方法に基づいて錯体化合物NPTNi-PZを得た。
[実施例10]
錯体化合物NIPNi-BPYの製造
NOTNiの代わりに前記製造例2で製造したNIPNiを使用し、N,N−ジメチル−4−アミノピリジンの代わりに4,4’−ビピリジンを使用する以外は、実施例1に記載の方法に基づいて錯体化合物NIPNi-BPYを得た。
〔熱重量分析〕
本発明において熱重量分析は、以下の装置及び条件で行った。
装置:島津製作所製 DTG-60H
雰囲気ガス:N(100mL/min)
容器材質:Al
温度範囲:RT-500℃
掃引速度:10℃/min
上記実施例で製造された錯体化合物を乾燥したのち熱重量分析を行った。熱量の算出は、各サンプルのDTAピークの面積を、標準物質として用いたインジウムのDTAピークの面積と比較することで行った。熱重量分析の結果を表3に示す。
表3から、本発明の錯体化合物は、シッフ塩基錯体と含窒素ヘテロアリールと間の配位結合の解離と、シッフ塩基系錯体の結晶構造の変化とによる吸熱を示すことがわかる。
また、この時得られた錯体化合物NMTNi-Py2の熱重量分析の結果を図10に示す。図10からは、当該錯体を構成するシッフ塩基系錯体NMTNiとピリジンとの間の配位結合の解離による吸熱(吸熱量は235kJ/kg)が120℃付近で、シッフ塩基系錯体NMTNiの結晶構造の変化による吸熱(吸熱量は74kJ/kg)が240℃付近で認められた。
〔蓄熱密度増加率〕
本発明の錯体化合物及び当該錯体化合物を構成する遊離したシッフ塩基錯体単独のそれぞれの吸熱量を前記の熱重量分析の方法に従い測定し、下記の式から蓄熱密度増加率を求めた。
蓄熱密度増加率=[本発明の錯体化合物の吸熱量]/[シッフ塩基錯体単独の熱量]
結果は、表4に示した。
表4の結果から、本発明の錯体化合物は、錯体単独に比べて蓄熱密度が増加することがわかる。
本発明の蓄熱材は、車両用の排熱利用システム又は住宅用の熱利用システム(例えば空調システム)などに利用できる。

Claims (11)

  1. 式(I):

    〔式中、
    R及びR’は、互いに独立して、炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐のあるアルキル基であるか、又は場合により置換されているアリール基であり;
    Mは二価の遷移金属イオンであり;
    A、B、C、D、A’、B’、C’、及びD’は水素であるか、あるいはそれらのうちの隣り合う2個同士が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子2個と一緒になって場合により置換されているアリール環を形成する〕
    で示されるシッフ塩基系錯体と、環窒素原子を含有する含窒素芳香族環を有する含窒素ヘテロアリールとを配位結合させて得られる錯体化合物を含むことを特徴とする、蓄熱材。
  2. R及びR’がイソプロピルであるか、あるいは非置換又はメチル基で置換されているフェニルである、請求項1記載の蓄熱材。
  3. AとB同士が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子2個と一緒になってベンゼン環を形成し、A’とB’同士が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子2個と一緒になってベンゼン環を形成し、C、D、C’、及びD’が水素である、請求項1又は2記載の蓄熱材。
  4. 二価の遷移金属イオンが、周期表第4周期の遷移金属から選択されるものである、請求項1〜3のいずれか1項記載の蓄熱材。
  5. 二価の遷移金属イオンが、亜鉛(II)、銅(II)、ニッケル(II)、コバルト(II)、マンガン(II)、又は鉄(II)である、請求項4記載の蓄熱材。
  6. 含窒素ヘテロアリールが、環窒素原子を1〜3個含有する含窒素芳香族環を有し、ここで、当該含窒素芳香族環が、環原子を3〜14個含有する、請求項1〜5のいずれか1項記載の蓄熱材。
  7. 含窒素ヘテロアリールが、含窒素芳香族環を1〜3個含有する、請求項6記載の蓄熱材。
  8. 錯体化合物が、式(I)のシッフ塩基系錯体1分子と、環窒素原子を含有する含窒素芳香族環を有する含窒素ヘテロアリール1分子又は2分子とを配位結合させて得られた、請求項1〜7のいずれか1項記載の蓄熱材。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項記載の蓄熱材を備えた熱利用システム。
  10. 車両用排熱利用システムである、請求項9記載の熱利用システム。
  11. 住宅用排熱利用システムである、請求項9項記載の熱利用システム。
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