JP6366169B2 - 生鮮植物支持体と輸送方法 - Google Patents
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Description
上記特許文献4、5、6に記載された技術は、貯水容器や包装資材なしに生鮮植物を輸送し、輸送過程での水の漏れ零れを解消することを目的とするものの、その目的に反して多量の水を貯え得る保水材や貯水容器を使用しているので、その目的とする課題を解決するに至っているとは認め難い。
そして、挿し木や挿し芽は、水はけが悪く水が溜まり易い土地では行われず、水はけが良い半乾きの土地で行われる。
このことからして、輸送過程の生鮮植物は、水蒸気が漂う水蒸気雰囲気下でも生長し続け、零れ落ちる程に水が貯えられた貯水容器や包装資材は不要に思われる。
つまり、輸送過程の生鮮植物にとって必要な資材は、水分を貯え保持する保水材ではなく、貯え保持する水分を水蒸気として発散する水蒸気放出材と言う訳である。
しかし、パルプや植物繊維に吸収されている水分は、生鮮植物に直接移行して吸収される訳ではない。
又、パルプや植物繊維から水蒸気となって発散され、その発散された水蒸気に生鮮植物が触れて吸収するものと思われるものの、パルプや植物繊維から格別多量の水蒸気が発散される訳でもない。
ポリエステル繊維やポリプロピレン繊維のように繊維素材それ自体が水分を全く吸収しない非親水性非吸湿性繊維であっても、その非親水性非吸湿性繊維に成る布帛には親水且つ吸湿性が認められ、その繊度が細かくになるにつれて親水性と吸湿性が高まる。
これに対し、非吸湿性のポリエステル繊維やポリプロピレン繊維に成る合成繊維布帛から単位時間に水蒸気が放出される水蒸気放出率は1.0質量%を超えている。
従って、生鮮植物を24時間水蒸気雰囲気下に保てるなら、貯水容器や包装資材等の貯水手段を要せずに育成可能な活性状態で輸送出来ることになる。
その最後の測定時とは、その最初の測定後更に24時間金網に載置して試験片27の最初の含水率(α)を測定してから、更に24時間金網に載置して試験片27の最後の含水率(β)を測定した時であり、(j) 布帛は、基布からパイルが突出したパイル布帛であり、(k) 布帛は、その内部の空隙が、パイルとパイルの間に存在している点にある。
そして、生鮮植物支持体16を構成している布帛11・12が、水から引き揚げられて金網30に縦方向(M)を垂直に向けて6時間載置され、水切りされて計測される含水率(α)と、水から引き揚げられて金網30に垂直に30時間載置されて計測される含水率(β)との差(α−β)を、その間の時間の24で除して算定される水蒸気放出率(δ1)が1%以上の水蒸気を24時間放出し続けていれば、その24時間内に、貯水容器や包装資材等の貯水手段を使用せずに、生鮮植物13を育成可能な活性状態に保って需要者に届けること出来る。
又、嵩密度が0.20g/cm3 の布帛の内部には、その布帛の内部には80容積%を占める空隙があると見做すことが出来る。
そして、パンチング不織布やタフテッドパイル布帛はクッション性に優れ、隙間なく重ね合わせることが出来るので、生鮮植物13の幹根14の挟み込まれた差込隙間15は隙間なく閉じ合わされ、幹根14は乾燥し難い水蒸気雰囲気下に置かれる。
そして、各パイルは、引き揃えられた無数の繊維が集束したパイル糸によって構成されているので、生鮮植物支持体16に付与される水は、その引き揃えられて隣り合う無数の繊維間の微細な繊維間隙間に保持され、生鮮植物13の幹根14へと放出される。
又、パイル18を係止している基布17には、パイル糸を差し込む際に発生した貫通孔が残存するので、水蒸気がタフテッドパイル布帛の表裏を貫通して漂い易く、生鮮植物支持体16の全体が生鮮植物13の生育に好ましい環境を形成することになる。
パイル不織布は、繊維ウェブでニードルパンチングを施し、一部の繊維をニードルによって表面に突き出して形成される。パイル織物は、モケット織機やウイルトン織機によって地織組織の上にパイル経糸を突き上げて形成される。パイル編物は、経編機や緯編機のシンカーによってパイル糸を地編組織の上に突き上げて形成される。
パイル織物もパイル経編物も二重に形成される2枚の基布をパイル糸で連結して二重に形成することが出来る。パイル布帛は、タフテッド機においてパイル糸を基布に差し込んで形成することも出来る。本発明に言う「パイル布帛」には、織物や編物を起毛処理して毛羽立てた有毛布帛も含まれ、その有毛布帛の起毛層の毛羽をシャーリング機に通して刈り揃えてパイル織物やパイル編物に仕上げることも出来る。
そのように布帛が重なり合った生鮮植物支持体16は、その一部を綴じ合わせ、或いは、紐19やテープ20で結束し、或いは又、筒状カバー21に挿入して形状を固定することが出来る。
布帛の厚みP(mm)は、複数枚(K枚)の布帛を圧縮することなく見掛けの厚みS(mm)が35mm〜40mmになるまで積み重ね、その見掛けの厚みS(mm)を積み重ねた布帛の枚数Kで除して示される(P=S/K)。
従って、本発明における布帛の厚みP(mm)は、そのようにして算定された見掛けの厚みを意味する。
その見掛けの厚みが3mm未満の布帛では、それを複数枚重ね合わせ、見掛けの厚みを3mm以上に調製して使用される。
因に、坪量11.28g/m2 、見掛けの厚み0.07mm、縦横寸法19.7cm×21.7cm、二枚重ね二つ折260組の市販のティッシュペーパーの嵩密度は0.13g/cm3 であり、その二枚重ね二つ折260組の見掛けの厚み42.4mmよりも2mm前後内部厚み(高さ)の大きいケースに装填して市販されている。
生鮮植物支持体16を嵩高で嵩密度が低く軽量にするには、単繊維繊度が20dtex未満で捲縮している繊維を使用するとよい。
その生鮮植物支持体16は、その割れ目26を開き(図8b)、その割れ目に幹根14を挟み込んで使用される(図8c)。
水蒸気放出率(δ)を高めるためには、綿繊維、ケナフ繊維、麻繊維等の植物繊維に比して吸湿性が遥かに低い熱可塑性合成繊維、特に、繊維ポリマーに顔料を練り込んで紡糸した原着熱可塑性合成繊維を生鮮植物支持体16に使用するとよい。
又、生鮮植物支持体の含水率αは、試験体の質量(B)と浸漬脱泡前の試験体の質量(A)との差(B−A)を浸漬脱泡前の試験体の質量(A)で除して算定され、その試験体の質量を試験体の質量を除す過程では、試験片27の縦横の寸法、試験体29の厚み、筒状ケース28の寸法と質量が消去されることになるので、試験体や筒状ケースが別の試験体や筒状ケースに取り替えられない限り、それらの寸法や質量を本発明において正確に規定すべき理由はなく、それらの数値は、試験体や筒状ケースの寸法や質量の概略を示すもので足りる。そして、含水率αの算定過程において、試験体や筒状ケースが別の試験体や筒状ケースに取り替えるべき理由はない。
具体的に説明すると、繊維の表面形状が変わるときは繊維の断面形状が変わり、その繊維の断面に現れる凹凸形状は繊維の表面に付けられる溝を表し、その繊維の表面の溝の数が多い場合や溝が深ければ、その溝に入り込む水分が多くなり、その繊維は吸湿性の高いものとなる。
布帛を構成する繊維の交絡構造と織組織および編組織が細かく複雑になれば、布帛の内部の隙間も増えて細かくなるので、布帛に浸透した水分は細かい隙間に入り込んで放出され難くなり、その布帛は保水性と吸湿性の高いものとなる。
どの要素によって生鮮植物支持体の含水率αを設定するかは、随時需要に応じて適宜決定される。
そのように生鮮植物支持体の横断面を幅(L)と奥行き(W)の何れか一方が他方よりも長くなる非円形か非正方形にすると、その長い方向(L)に圧縮すると短い方向(W)に広がって重なり合う布帛と布帛の間に裂け目が発生し、その裂け目を差込隙間15として生鮮植物13の幹根14を挟み込むことが出来る(図7)。
そのためには、生鮮植物支持体の横断面を片手で握れる程度の太さにする。
筒状カバー21の差込口の幅(L)と奥行き(W)の何れか一方が他方よりも長くなる非円形形状には楕円形が含まれ、非正方形形状には長方形、台形、菱形、非平行四辺形、六角形が含まれる。
何故なら、育成可能な活性状態にある全ての生鮮植物が傷がなく見栄えがよいとは限らず、見栄えの悪い植物でも育成可能な活性状態にあれば新芽が出て見栄えのよい植物に成長するからである。
従って、見栄えのよい生鮮植物を需要者に届けるためには、輸送過程で押し潰されたり痛まないように出荷に際して枝葉や花弁等を外装シート10で包んだり(図10)、梱包ケース内を仕切って生鮮植物同士が触れ合わないようにする等の保護手段は当然に講じられる。
従って、貯水容器や包装資材等の貯水手段の有無によって本発明の範囲が減縮されることはない。
単繊維繊度4dtexのアクリル繊維ウェブをポリプロピレン繊維製基布に堆積してニードルパンチングを施した厚み(P)5mm、目付け403g/m2 、嵩密度0.08g/cm3 のパンチング不織布11(図9a)を縦(M)90mm×横(N)80mmの矩形に裁断した矩形裁断片を八枚を重ね合わせて水蒸気放出率測定用試験片27を作成し(図9b)、目付けが183g/m2 のスパンボンド不織布に成る幅(X)90mm×奥行き(Y)40mm×高さ(Z)90mmの質量3.36g/m2 の立方形空洞を有する筒状ケース28(図9c)の立方形空洞に、水蒸気放出率測定用試験片27の縦方向(M)を立方形空洞の高さ方向(Z)に合わせ、水蒸気放出率測定用試験片27の横方向(N)を立方形空洞の奥行き方向(Y)に合わせて装填して質量26.36g/m2 の水蒸気放出率測定用試験体29を作成した(図9d)。
その増えた理由は、試験体内部に付着していた水分が蒸発して放出された分だけ試験体内部の空隙が広がり、蒸発した水分が空隙内部を移動して放出され易くなったことによるものと思われる。
このように、最後の水蒸気放出率(δ2)が最初の水蒸気放出率(δ1)よりも多くなる傾向は、厚み(P)が1〜6mmでクッション性に富み、比較的に形状が安定していて、水分が蒸発して内部の空隙が現れ易い不織布に認められる。
単繊維繊度7dtexのアクリル繊維紡績糸に成るパイル糸をニードルパンチング基布17にタフティングした厚み(P)10mm、目付け1290g/m2 、嵩密度0.13g/cm3 のタフテッドパイル布帛を縦(M)90mm×横(N)80mmの矩形に裁断した矩形裁断片を二枚1組にした2組の各二枚のパイル布帛片をパイル面を同じ側に向けて重ね合わせ、その2組のパイル布帛片をパイル面を向かい合わせに重ね合わせて水蒸気放出率測定用試験片27を作成し、目付けが183g/m2 のスパンボンド不織布に成る幅(X)90mm×奥行き(Y)40mm×高さ(Z)90mmの質量3.36g/m2 の立方形空洞を有する筒状ケース28の立方形空洞に、水蒸気放出率測定用試験片27の縦方向(M)を立方形空洞の高さ方向(Z)に合わせ、水蒸気放出率測定用試験片27の横方向(N)を立方形空洞の奥行き方向(Y)に合わせて装填して質量38.36g/m2 の水蒸気放出率測定用試験体29を作成した。
そのように水蒸気放出率(δ)が安定な理由は、重なり合うタフテッドパイル布帛の基布と基布の間に圧縮弾性回復力に優れたパイル層が介在し、そのパイル層に含まれる水分が放出されてもパイル層の嵩は変わらず、そのパイル層に仕切られる基布と基布の間の隙間は一定に保たれることによるものと思われる。
実施例1と2で作成したパンチング試験体とタフテッド試験体のそれぞれを筒状ケース28に装填された状態で生鮮植物支持体16に利用し、重なり合う布帛11と布帛12の間を差込隙間15として押し広げ、菊の幹根14の切取口を挟み込み、水に沈めて脱泡し、金網30に載置して観察したところ、金網30に載置して48時間経過しても生鮮植物支持体16は湿潤状態にあり、菊は育成可能な活性状態を保っていた(図9f)。
その後、深さ5mm程度の水をはった水盤に生鮮植物支持体16を載せて放置していたところ、菊は発根していた。
厚み(P)0.13mm、目付け(坪量)43.7g/m2 、嵩密度0.336g/cm3 の新聞紙を縦(M)90mm×横(N)80mmの矩形に裁断した矩形裁断片を300枚を重ね合わせた厚みが約40mmの水蒸気放出率測定用試験片を、目付けが183g/m2 のスパンボンド不織布に成る幅(X)90mm×奥行き(Y)40mm×高さ(Z)90mmの質量3.36g/m2 の立方形空洞を有する筒状ケース28の立方形空洞に、水蒸気放出率測定用試験片27の縦方向(M)を立方形空洞の高さ方向(Z)に合わせ、水蒸気放出率測定用試験片27の横方向(N)を立方形空洞の奥行き方向(Y)に合わせて装填して質量95.42g/m2 の水蒸気放出率測定用試験体29を作成し、実施例1、2と同様に、水に沈めて内部空気を排除し、水から引き揚げて金網30の上に6時間載置した後の含水率(α)と、更に24時間載置した後の含水率(β1)から求められる1時間当たりの水蒸気放出率(δ1)と、その後更に24時間載置した後の含水率(β2)と最初に測定された含水率(α)から求められる1時間当たりの水蒸気放出率(δ2)を算定したところ、それらの1時間当たりの水蒸気放出率δ1とδ2は何れも0.46質量%であった。
しかし、全ての植物繊維布帛が生鮮植物支持体に不適と言う訳ではない。
参考例の新聞紙のように厚み(P=0.13mm)の薄いパルプ紙では、それを数十枚も重ねて浸漬すれば、浸透した水分と溶出したサイジング剤とが水溶性接着剤として機能して重なり合うパルプ紙の間が密着して内部空隙が消失し、その重なり合った数十枚のパルプ紙が加湿された硬いパルプ製圧縮成形ボードのように固まり、内部空隙が消失したことから内部に浸透した水分が放出され難くなるものと考えられる。
11:布帛
12:布帛
13:生鮮植物
14:幹根
15:差込隙間
16:生鮮植物支持体
17:基布
18:パイル
19:紐
20:テープ
21:筒状カバー
22:ピン
23:折り目
24:ミシン目
25:繊維製ブロック
26:割れ目
27:試験片
28:筒状ケース
29:試験体
30:金網
α :含水率
β :含水率
δ :水蒸気放出率
H :高さ
L :幅
M :縦
N :横
P :見掛け厚み
W :奥行き
X :縦
Y :横
Z :高さ
Claims (5)
- (a) 布帛が重なり合って生鮮植物(13)の幹根(14)を挟み込む差込隙間(15)を形成している輸送用生鮮植物支持体であり、
(b) その布帛の単位時間当たりの水蒸気放出率(δ1)が1%以上であり、
(c) その単位時間当たりの水蒸気放出率(δ1)は、その布帛の試験体(29)を、水から引き揚げ、縦長空洞を垂直に向けて金網に6時間載置して測定される試験片(27)の含水率(α)と、その測定後更に24時間金網に載置して測定される試験片(27)の含水率(β)との差(α−β)を、その間の時間の24で除して算定され、
(d) その布帛の試験体(29)は、その布帛を縦長にして縦長空洞を有する筒状ケース(28)の中の当該縦長空洞に装填し、水に沈めて脱泡したものであり、又、
(e) その布帛の試験体(29)は、その布帛を矩形に裁断して成る試験片(27)を複数枚重ね合わせて調製したものであり、且つ又、
(f) その布帛が重なり合って生鮮植物(13)の幹根(14)を挟み込む差込隙間(15)を形成し、
(f−1) 差込隙間(15)は、重なり合う布帛と布帛の間に存在し、
(f−2) 差込隙間(15)は、生鮮植物(13)の幹根(14)が差し込まれても、閉じ合されており、
(f−3) 布帛は、その内部に空隙を有し、
(f−4) 生鮮植物(13)の幹根(14)は、閉じ合された差込隙間(15)に挟み込まれ、且つ、布帛が内部に空隙を有することで、水蒸気雰囲気下に置かれている輸送用生鮮植物支持体。 - (g) 最初の含水率(α)と最後の含水率(β)との差(α−β)を、その最初の測定時から最後の測定時までの時間の48で除して算定される単位時間当たりの水蒸気放出率(δ2)が1%以上であり、
(h) その最初の測定時とは、水から引き揚げ、縦長空洞を垂直に向けて金網に6時間載置して試験片(27)の最初の含水率(α)を測定した時であり、
(i) その最後の測定時とは、その最初の測定後更に24時間金網に載置して試験片(27)の最初の含水率(α)を測定してから、更に24時間金網に載置して試験片(27)の最後の含水率(β)を測定した時であり、
(j) 布帛は、基布からパイルが突出したパイル布帛であり、
(k) 布帛は、その内部の空隙が、パイルとパイルの間に存在している請求項1の輸送用生鮮植物支持体。 - 布帛の嵩密度が0.05g/cm3 以上〜0.20g/cm3 以下である請求項1と2の輸送用生鮮植物支持体。
- 布帛が、基布(17)にパイル糸を差し込んでパイル(18)が植設された厚み(P)が3mm以上のタフテッドパイル布帛である請求項1と2と3の何れかの輸送用生鮮植物支持体。
- 請求項1〜4の何れかの生鮮植物支持体(16)の差込隙間(15)に幹根(14)を挟み込み、水蒸気放出率(δ1)が1%以上となる水蒸気を布帛(11)から放出させて、生鮮植物(13)の幹根(14)を水蒸気の漂う水蒸気雰囲気に維持して、生鮮植物(13)を輸送する生鮮植物輸送方法。
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