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JP6381132B2 - 柱状構造物の振動抑制構造 - Google Patents
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Description

この発明は、柱状構造物の振動を抑制する柱状構造物の振動抑制構造に関する。
従来の柱状構造物の振動抑制構造は、電柱を設置する場所の基礎に所定の直径及び深さで掘削穴を掘削し、この掘削穴と電柱との間に砂などを充填している(例えば、特許文献1参照)。このような従来の柱状構造物の振動抑制構造では、砂の支持力によって電柱を基礎に支持しており、地震発生時には砂によって振動エネルギーを和らげて振動を抑制し耐震性能を確保している。
特開2011-021437号公報
従来の柱状構造物の振動抑制構造では、地震のような大きな振幅の振動に対して、電柱と基礎との間に充填した砂が変形しても元に戻らなくなり、電柱と砂との間に隙間が発生するおそれがある。このため、従来の柱状構造物の振動抑制構造では、地震発生時に電柱と砂との間に隙間が発生すると、砂による減衰作用が低下して電柱が損傷してしまう問題点があった。
この発明の課題は、電柱や電柱基礎の形状や構造を変更することなく簡単な構造で柱状構造物の耐震性を向上させることができる柱状構造物の振動抑制構造を提供することである。
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、図2及び図3に示すように、柱状構造物(9)の振動を抑制する柱状構造物の振動抑制構造であって、前記柱状構造物とこの柱状構造物を支持する基礎(10)との間でこの柱状構造物の振動を抑制するように、この柱状構造物に復元力を作用させる復元力作用部(11a)を備え、前記復元力作用部は、所定深さの凹状の前記基礎と前記柱状構造物との間の間隙部にこの基礎の底面から開口部まで充填されており、弾性率が5〜11kPaの範囲内のシリコーンゲルであることを特徴とする柱状構造物の振動抑制構造(11)である。
この発明によると、電柱や電柱基礎の形状や構造を変更することなく簡単な構造で柱状構造物の耐震性を向上させることができる。
この発明の実施形態に係る柱状構造物の振動抑制構造を備える高架橋の断面図である。 この発明の実施形態に係る柱状構造物の振動抑制構造の断面図である。 図2のIII-III線で切断した状態を示す断面図である。 この発明の実施例に係るシリコンゴム基礎電柱及び従来例に係る砂詰基礎電柱の振動台実験による応答加速度の波形を示すグラフである。 この発明の実施例に係るシリコンゴム基礎電柱に使用したシリコンゴムの応力−ひずみ曲線を示すグラフである。
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について詳しく説明する。
図1に示す軌道1は、車両2が走行する通路(線路)である。軌道1は、例えば、道床とまくらぎとが一体化したスラブ軌道である。軌道1は、車両2の車輪2bを支持して案内する左右一対のレール1aと、これらのレール1aを支持する矩形平板状のプレキャストのコンクリート版からなる軌道スラブ(スラブ版)1bなどを備えている。図1に示す軌道1は、例えば、二本の本線で構成された複線であり、上り線1Aと下り線1Bとから構成されている。
車両2は、軌道1に沿って走行する移動体である。車両2は、電車、機関車、客車又は貨車などの鉄道車両であり、高架橋4上を走行している。図1に示す車両2は、例えば、高速で走行する新幹線(登録商標)又は在来線の鉄道車両である。車両2は、乗客又は貨物を積載し輸送するための構造物である車体2aと、この車体2aを搭載してレール1a上を転動する台車の車輪2bと、架線のトロリ線と摺動してこのトロリ線から電力を車両2に導くための集電装置(パンタグラフ)2cなどを備えている。
防音壁3は、音源から伝搬する音の強さを減衰させる固定構造物である。防音壁3は、音源(軌道1側)と受音点(沿線側)との間に設置されており、音源側の表面を吸音処理することより、この音源から伝搬する音の減衰効果を向上させている。図1に示す防音壁3は、音の減衰効果を増すように音源側が吸音処理されており、高架橋4の床版4a上に軌道1に対して垂直に敷設されている。
高架橋4は、軌道1を連続的に高架にするための固定構造物である。図1に示す高架橋4は、例えば、コンクリートが主要材料であり、鉄筋コンクリート構造(RC構造)を主体とするラーメン高架橋などのコンクリート橋(コンクリート高架橋)である。高架橋4は、軌道1の下部に空間を確保するととともに、軌道1を支持する路盤(基盤)としても機能する。高架橋4は、例えば、都市部などで路面交通などと立体化を図るために、鉄道の一定区間を橋梁構造にした構造物であり、都市鉄道又は新幹線などで多用されている。高架橋4は、床版(桁)4aと、橋脚(柱(ピア))4bと、フーチング4cなどを備えている。
床版4aは、高架橋4の床を形成する部分である。床版4aは、高架橋4上を通過する車両2を直接支持するための平面状の構造物であり、場所打ちコンクリートによって施工されて水平方向に配置されるPC桁などである。橋脚4bは、床版4aを支持する部分である。橋脚4bは、床版4aの長さ方向に所定の間隔をあけて場所打ちコンクリートによって施工されており、鉛直方向に配置される鉄筋コンクリート柱などである。フーチング4cは、橋脚4bから荷重を受ける部分である。フーチング4cは、場所打ちコンクリートによって施工された版状の構造物である。フーチング4cは、杭基礎5の杭頭部に連結されており橋脚4bからの荷重を杭基礎5に伝達する。
杭基礎5は、高架橋4を支持するための基礎部分である。杭基礎5は、高架橋4の基礎を支える地盤にフーチング4cからの荷重を伝達する。杭基礎5は、例えば、掘削機械によって掘削された所定の深さの穴の中に、鉄筋かごを挿入しコンクリートを打ち込んで構築された場所打ちコンクリート杭である。
電車線路支持物6は、車両2に電力を供給するために軌道1に沿って設けられた電車線路の構成物を支持する構造物である。電車線路支持物6は、線路上空に架設される架線(架空電車線)を支持点間の距離(径間)が所定の長さになるように、所定の間隔をあけてこの支持点で支持する。電車線路支持物6は、トロリ線支持装置7と、可動ブラケット8と、電柱9などを備えている。
トロリ線支持装置7は、車両2の集電装置2cのすり板と摺動してこの車両2に電力を供給する架線のトロリ線を支持する装置である。トロリ線支持装置7は、可動ブラケット8に着脱自在に支持されている。可動ブラケット8は、架線を長さ方向に移動自在に支持する部材である。可動ブラケット8は、温度変化による電車線の移動に対応可能なように、支持点を中心に水平回転が可能であり、架線の長さ方向(線路方向)への移動を許容し、上下方向の移動調整も僅かに可能である。可動ブラケット8は、電柱バンドによって電柱9に取り付けられている。
電柱9は、電車線路の構成物を支持する柱状構造物である。電柱9は、可動ブラケット8を支持しており電気車が走行する線路に沿って基礎部分が固定されている。電柱9は、例えば、予め引張をかけた鉄筋とコンクリートとによって構成されたプレストレスコンクリート柱のような安価でメンテナンスが容易なコンクリート柱である。図1に示す電柱9は、図3に示すように、断面が略円形状の電車線用の電化柱である。
図2及び図3に示す電柱基礎10は、電柱9を支持する構造物である。電柱基礎10は、電柱9を固定するために地中に設けられたコンクリート構造物である。電柱基礎10は、図2に示すように、電柱9の自重及び電車線などの重量、張力及び風圧などによる荷重を支えるために、高架橋4の床版4aに深さ1000mm程度の所定の深さで形成されている凹状の穴である。電柱基礎10は、この電柱基礎10の内周面と電柱9の外周面との間に幅が25mm又は50mm程度の間隙部を形成している。
図2及び図3に示す振動抑制構造11は、電柱9の振動を抑制する構造である。振動抑制構造11は、振動抑制機能を有する電柱基礎の構造であり、電柱9と電柱基礎10との間に低反発の復元材料を充填することによって、地震などによって発生する電柱9の振動を抑制して電柱9の損傷を防止する。振動抑制構造11は、図2及び図3に示すように、復元力作用部11aなどを備えている。
復元力作用部11aは、電柱9と電柱基礎10との間でこの電柱9の振動を抑制するように、この電柱9に復元力を作用させる部分である。復元力作用部11aは、地震発生時に電柱9が大きく振動したときに、この電柱9に微小な復元力を作用させながらこの復元力作用部11a自体の形状が元に戻る。復元力作用部11aは、電柱9と電柱基礎10との間に充填される低反発部材である。復元力作用部11aは、このような低反発部材として、砂と比較して剛性が小さく、かつ、形状は復元するが復元時に電柱9に作用する反力が小さい微小復元力の材料であるシリコンゴムが好ましい。復元力作用部11aは、地震発生時に免振機能を発揮するような最適な弾性率(ヤング率)に設定されている。復元力作用部11aは、例えば、弾性率が5kPaを下回ると電柱9に作用する復元力が小さ過ぎて電柱9が電柱基礎10に衝突して電柱9が損傷する問題点があり、弾性率が11kPaを超えると電柱9に作用する復元力が大き過ぎて振動を抑制する効果が低下する問題点があるため、弾性率を5〜11kPaの範囲内に設定することが好ましい。
図2に示す固定部材12は、電柱9を電柱基礎10に固定する部材である。固定部材12は、例えば、電柱9の自重及び電車線などの重量、張力及び風圧などによる荷重を支えるために、電柱9の外周面にこの電柱9と一体に円環状に形成されたモルタルヒューズなどである。固定部材12は、復元力作用部11aの上面を被覆するように、電柱基礎10の上面に厚さ20〜30mm程度の範囲で打設されたモルタル層である。
次に、この発明の実施形態に係る柱状構造物の振動抑制構造の施工方法を説明する。
新設時には高架橋4の構築時に予め施工されている電柱基礎10に電柱9を建て込み、電柱9の外周面と電柱基礎10の外周面との間の間隙部に、低反発で復元力を発生させるシリコンゴムをこの間隙部に充填し復元力作用部11aを形成する。次に、復元力作用部11aの上面を覆うように、電柱基礎10の上面にモルタルを打設して電柱9とモルタルとを一体化し、固定部材12によって電柱基礎10に電柱9を固定する。改修時には固定部材12を除去してから電柱基礎10と電柱9との間に充填されている砂を取り出し、電柱基礎10と電柱9との間にシリコンゴムを充填した後にモルタルを打設して固定部材12を形成する。
次に、この発明の実施形態に係る柱状構造物の振動抑制構造の作用を説明する。
地上に電柱9を設置した場合には、地震の周期と電柱9の周期とが離れているため、電柱9が共振して大きく振動することが少ない。一方、図1に示すように、高架橋4上に電柱9を設置したときには、高架橋4の固有振動数と電柱9の固有振動数とが比較的近いと、地震によって高架橋4が振動すると電柱9が共振して大きく振動することがある。通常時には図2に示す固定部材12が電柱9や電線などの重量を受け持ってこれらを支持している。地震などの異常時には電柱9が大きく振動して固定部材12が破壊するため、固定部材12が電柱9を支持することができず、復元力作用部11aが電柱9や電線などの重量を受け持ってこれらを支持する。電柱9が振動すると低反発の復元力作用部11aが復元力を電柱9に作用させて、電柱9の振動を抑え電柱9の損傷を低減する。このとき、復元力作用部11aが弾性変形するがこの復元力作用部11aの形状が元に戻るため、電柱9に大きな復元力を作用させて電柱9が振動してしまうのを防ぐことができる。
この発明の実施形態に係る柱状構造物の振動抑制構造には、以下に記載するような効果がある。
(1) この実施形態では、電柱9と電柱基礎10との間でこの電柱9の振動を抑制するようにこの電柱9に復元力を復元力作用部11aが作用させ、この復元力作用部11aの弾性率が5〜11kPaの11aが範囲内である。このため、電柱9や電柱基礎10の形状や構造を変更することなく、簡単な構造で電柱9の耐震性を向上させることができる。
(2) この実施形態では、電柱9と電柱基礎10との間に充填される復元力作用部11aが低反発部材である。このため、例えば、地震発生によって復元力作用部11aが変形しても元の形状に復元して、復元力作用部11aが電柱9に微小な復元力を作用させることができる。その結果、電柱9に過大な復元力が作用して電柱9が損傷するのを防止することができる。また、電柱9が損傷して塑性変形することがなく電柱9の立て替え作業が不要になって、既設の電柱9を再使用することができる。
(3) この実施形態では、復元力作用部11aがシリコンゴムである。このため、低反発力で復元力を備えたシリコンゴムを電柱9の外周面と電柱基礎10の内周面との間に充填するだけで、電柱9の振動を抑制し電柱9の損傷を防止することができる。また、従来の柱状構造物の振動抑制構造のような電柱基礎10と電柱9との間に砂を充填する構造の場合には、この砂を除去してシリコンゴムを充填するだけで、改修工事を安価に実施して簡単に耐震性能を向上させることができる。
次に、この発明の実施例について説明する。
公益財団法人鉄道総合技術研究所の加振試験装置の振動加振台に実物の電柱を設置し、電柱の下部を加振することによって電柱の応答加速度を測定する振動台実験を実施した。振動台実験は、高さ10m、直径400mm、重量1670kg、PC筋φ9mm14本の実物大の電柱を、基礎上長さ9m、根入れ深さ1mで、高架橋上のモルタル基礎を模擬した加振試験装置の固定架台に挿入し、図4に示す入力波によって振動台を加振して実施した。ここで、図4に示す縦軸は、応答加速度(Gal)であり、横軸は時間(s)である。図4に示す従来例は、加振試験装置の固定架台と電柱との間に砂を詰めた従来の砂詰基礎電柱である。実施例は、加振試験装置の固定架台と電柱との間にシリコンゴムを充填したシリコンゴム基礎電柱である。振動台実験では、架線重量に相当する重さ500kgの錘を電柱に取り付けて、従来の砂詰基礎電柱の場合と実施例に係るシリコンゴム基礎電柱の場合の応答加速度を測定した。その結果、図4に示すように、従来例に係る砂詰基礎電柱の場合に比べて実施例に係るシリコンゴム基礎電柱では、振動を1/5まで低減できることが確認された。
次に、実施例に係るシリコンゴム基礎電柱に使用したシリコーンゲル(信越化学工業株式会社製の信越シリコーン(商品名)KE-1051)の弾性率(弾性係数(ヤング率))を測定した。金型内にシリコーンゲルを入れ室温(温度23℃)で常温硬化させた後に、金型から取り出して試験体1,2を作製した。試験体1の緒元は、厚み27.5mm、直径52.0mm、断面積2122.64mm2である。試験体2の緒元は、厚み27.5mm、直径51.0mm、断面積2041.785mm2である。次に、万能材料試験機(株式会社島津製作所製、形式AG-50kN)によって試験体1,2を圧縮し、圧縮速度10mm/minで試験体1,2を10mmまで変形させた際の荷重を測定した。その結果、図5に示すように、試験体1,2の測定結果はいずれもほぼ同等であることが確認された。ここで、図5に示す縦軸は、応力(Pa)であり、横軸はひずみである。図5に示すように、比較的直線性の高いひずみ0.05〜0.25の区間で算出した弾性率は、試験体1が9.9kPaであり、試験体2が10.7kPaであった。弾性率が5kPaを下回ると、加振試験装置の固定架台に電柱が衝突して電柱が損傷するため、シリコンゴム基礎電柱の場合には弾性率を5〜11kPaの範囲内に設定することが好ましいことが確認された。
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、高架橋4上を鉄道車両が走行する場合を例に挙げて説明したが、自動車などの他の車両が走行する高架橋についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、高架橋4がコンクリート高架橋である場合を例に挙げて説明したが、鋼材を主材料とする鉄桁橋などの鋼橋や、鋼桁と鉄筋コンクリート床版とを結合した合成桁橋などの高架橋についても、この発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、柱状構造物として電柱9の振動を抑制する場合を例に挙げて説明したが、電柱9以外の柱体の振動を抑制する場合についてもこの発明を適用することができる。
(2) この実施形態では、電柱9が電車線用である場合を例に挙げて説明したが、配電線用又は通信線用の電柱についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、可動ブラケット8を支持する電柱9を例に挙げて説明したが、き電線、保護線、配電線又は通信線などを支持する電柱や、これらの電線をちょう架するために張り出した腕金を支持する電柱などについてもこの発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、高架橋4上の電柱基礎10に設置されている電柱9を例に挙げて説明したが、地上に埋設された電柱基礎枠などの電柱基礎に設置されている電柱9についてもこの発明を適用することができる。
1 軌道
2 車両
3 防音壁
4 高架橋
5 杭基礎
6 電車線路支持物
7 トロリ線支持装置
8 可動ブラケット
9 電柱(柱状構造物)
10 電柱基礎(基礎)
11 振動抑制構造
11a 復元力作用部
12 固定部材

Claims (1)

  1. 柱状構造物の振動を抑制する柱状構造物の振動抑制構造であって、
    前記柱状構造物とこの柱状構造物を支持する基礎との間でこの柱状構造物の振動を抑制するように、この柱状構造物に復元力を作用させる復元力作用部を備え、
    前記復元力作用部は、所定深さの凹状の前記基礎と前記柱状構造物との間の間隙部にこの基礎の底面から開口部まで充填されており、弾性率が5〜11kPaの範囲内のシリコーンゲルであること、
    を特徴とする柱状構造物の振動抑制構造。
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