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JP6401644B2 - ガスセンサ - Google Patents
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JP6401644B2 - ガスセンサ - Google Patents

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Description

本発明は、ガスセンサに関する。
従来、自動車の排気ガスなどの被測定ガスにおけるNOxなどの特定ガス濃度を検出するガスセンサが知られている。例えば、特許文献1,2には、気密な複数の酸素イオン伝導性の固体電解質層を積層してなる長尺な板状体形状のセンサ素子を備えたガスセンサが記載されている。
このような従来例のガスセンサ300の構成の一例を概略的に示した断面模式図を図6に示す。図示するように、このガスセンサ300は、センサ素子307を備えている。このセンサ素子307は、緻密な酸素イオン伝導性の固体電解質層301〜306を積層した構造を有する素子である。このセンサ素子307では、固体電解質層306の下面と固体電解質層304の上面との間に、被測定ガスを導入する被測定ガス流通部が形成されており、この被測定ガス流通部は、ガス導入部310と、第1〜第3内部空所320,340,361とを備えている。第3内部空所361の下面(固体電解質層304の上面)には測定電極344が形成されている。また、固体電解質層306の上面には外側ポンプ電極323が形成されている。一方、固体電解質層303の上面と固体電解質層305の下面との間には、被測定ガス中の特定ガス濃度の検出の基準となる基準ガスを導入する基準ガス導入空間343が形成されている。基準ガス導入空間343に面する固体電解質層303の上面には基準電極342が形成されている。基準電極342は、多孔体からなる基準ガス導入層348によって被覆されており、この基準ガス導入層348を通じて基準ガス導入空間343から基準ガスが導入される。このガスセンサ300では、被測定ガスが被測定ガス流通部の第3内部空所361に導入されると、測定電極344と基準電極342との間に起電力Vaが生じる。この起電力Vaに基づいて、外側ポンプ電極323及び測定電極344を介して酸素の汲み出し又は汲み入れを行う。そして、汲み出し又は汲み入れの際の電流Ip2に基づいて、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出する。
特許3798412号 特開2011−102797号公報
ところで、図6に示したような従来のガスセンサ300では、被測定ガス導入口310の存在するセンサ素子307の前方(図6の左方)周辺と、基準ガス導入空間343の存在する後方(図6の右方)周辺とが図示しない封止材などを用いて区画されている。しかし、被測定ガス側の圧力が一時的に増大したときなどにおいて、被測定ガスがわずかに基準ガス導入空間343側に侵入してしまう場合があった。そして、これにより基準電極342の周囲の基準ガスの酸素濃度が一時的に低下してしまい、特定ガス濃度の検出精度に影響を与える場合があった。これに対する対策として、被測定ガス中に配設された電極と基準電極との間に電流を流して、基準電極342の周囲に酸素の汲み入れを行うことが考えられる。こうすれば、被測定ガスが基準ガス導入空間342側に侵入した場合の酸素濃度の低下を補うことができる。しかしながら、電流を長期にわたって流すことで基準電極が劣化してしまい、測定電極344と基準電極342との間の起電力が変化するなど基準電極の基準電位が保てなくなる場合があった。
本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであり、基準電極の周囲の酸素濃度の低下を補いつつ長期使用時の基準電位の変化をより抑制することを主目的とする。
本発明は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のガスセンサは、
酸素イオン伝導性の固体電解質層を複数積層してなり、被測定ガスを導入して流通させる被測定ガス流通部と、該被測定ガス中の特定ガス濃度の検出の基準となる基準ガスを導入する基準ガス導入空間と、が内部に設けられた積層体と、
前記積層体の内部に形成され、前記基準ガス導入空間を介して前記基準ガスが導入される基準電極と、
前記被測定ガス流通部の内周面上に配設された測定電極と、
前記積層体のうち前記被測定ガスに晒される部分に配設された被測定ガス側電極と、
前記基準電極と前記測定電極との間に生じる起電力に基づいて前記被測定ガス中の特定ガス濃度を検出する検出手段と、
前記基準電極と前記被測定ガス側電極との間に制御電流を流して、前記基準電極の周囲に酸素の汲み入れを行う基準ガス調整手段と、
を備え、
前記制御電流が流れた際の前記基準電極の平均電流密度が0μA/mm2超過400μA/mm2未満である、
ものである。
この本発明のガスセンサでは、積層体の内部に形成され基準ガスが導入される基準電極と、被測定ガスに晒される部分に配設された被測定ガス側電極と、の間に制御電流を流して、基準電極の周囲に酸素の汲み入れを行う。これにより、例えば被測定ガスが基準ガス導入空間内に侵入した場合などの基準電極周囲の酸素濃度の低下を補うことができる。また、この制御電流が流れた際の基準電極の平均電流密度が0μA/mm2超過400μA/mm2未満となっている。平均電流密度を400μA/mm2未満とすることで、電流が流れることによる基準電極の劣化をより抑制することができ、ひいては長期使用時の基準電位の変化をより抑制することができる。以上により、基準電極の周囲の酸素濃度の低下を補いつつ長期使用時の基準電位の変化をより抑制することができる。ここで、「平均電流密度」とは、制御電流の平均値を、基準電極の面積で除して得られる電流密度を意味する。なお、「制御電流の平均値」は、制御電流が一定でない場合には、制御電流の瞬時値を対象期間(例えば、制御電流が周期的な場合には1周期)について時間平均した値とする。また、基準ガス調整手段は、基準電極の周囲に酸素の汲み入れを常に行うものに限らず、基準電極の周囲から被測定ガス側電極の周囲に酸素を汲み出す期間が存在してもよい。その場合でも、例えば十分長い所定期間でみたときの全体的な酸素の移動方向が被測定ガス側電極の周囲から基準電極の周囲に向かう方向であればよい。すなわち、十分長い所定期間内における基準電極周囲への酸素の汲み入れ量の合計と基準電極周囲からの酸素の汲み出し量の合計とを比較したときに、汲み入れ量の方が多ければよい。
本発明のガスセンサにおいて、前記平均電流密度が170μA/mm2以下としてもよい。こうすれば、上述した長期使用時の基準電位の変化をより抑制する効果が高まる。
本発明のガスセンサにおいて、前記制御電流の平均値が1μA超過としてもよい。こうすれば、上述した基準電極周囲の酸素濃度の低下を補う効果が不十分になりにくい。
本発明のガスセンサにおいて、前記被測定ガス側電極は、前記積層体の外表面に配設されていてもよい。例えば被測定ガス流通部内に被測定ガス側電極を設ける場合、被測定ガス流通部内の酸素を基準電極側に汲み入れることになるため、検出精度に影響を与える場合がある。被測定ガス流通部ではなく外表面に配設することで、そのような検出精度への影響を抑制できる。
本発明のガスセンサにおいて、前記積層体の外表面に配設された外側電極、を備え、前記検出手段は、前記基準電極と前記測定電極との間に生じる起電力に基づいて、前記測定電極及び前記外側電極を介して酸素の汲み出し又は汲み入れを行い、該汲み出し又は汲み入れの際の電流に基づいて該被測定ガス中の特定ガス濃度を検出してもよい。この場合において、前記外側電極が前記被測定ガス側電極を兼ねていてもよい。こうすれば、外側電極と被測定ガス側電極とが別である場合と比べて、電極の数を減らすことができる。
本発明のガスセンサは、前記基準電極を覆うと共に前記基準ガス導入空間に露出するように形成された多孔体であり、該基準ガス導入空間から前記基準電極へ前記基準ガスを導入する基準ガス導入層、を備えていてもよい。また、前記基準ガス導入層は、前記基準電極よりも前記積層体の他端側でのみ前記基準ガス導入空間に露出していてもよい。
ガスセンサ100の縦断面図。 センサ素子101の構成の一例を概略的に示した断面模式図。 変形例のガスセンサ200のセンサ素子101の断面模式図。 実験例23〜25における経過時間と基準電位の振れ幅との関係を示すグラフ。 実験例2〜25の平均電流密度と面積Sとをプロットしたグラフ。 従来例のガスセンサ300の断面模式図。
次に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態であるガスセンサ100の縦断面図である。図2は、ガスセンサ100が備えるセンサ素子101の構成の一例を概略的に示した断面模式図である。なお、センサ素子101は長尺な直方体形状をしており、このセンサ素子101の長手方向(図2の左右方向)を前後方向とし、センサ素子101の厚み方向(図2の上下方向)を上下方向とする。また、センサ素子101の幅方向(前後方向及び上下方向に垂直な方向)を左右方向とする。なお、図1に示したようなガスセンサの構造は周知であり、例えば国際公開2013/005491号に記載されている。
図1に示すように、ガスセンサ100は、センサ素子101と、センサ素子101の前端側を保護する保護カバー130と、センサ素子101と導通するコネクタ150を含むセンサ組立体140とを備えている。このガスセンサ100は、図示するように例えば車両の排ガス管などの配管190に取り付けられて、被測定ガスとしての排気ガスに含まれるNOxやO2等の特定ガスの濃度を測定するために用いられる。本実施形態では、ガスセンサ100は特定ガス濃度としてNOx濃度を測定するものとした。
保護カバー130は、センサ素子101の前端を覆う有底筒状の内側保護カバー131と、この内側保護カバー31を覆う有底筒状の外側保護カバー132とを備えている。内側保護カバー131及び外側保護カバー132には、被測定ガスを保護カバー130内に流通させるための複数の孔が形成されている。内側保護カバー131で囲まれた空間としてセンサ素子室133が形成されており、センサ素子101の前端はこのセンサ素子室133内に配置されている。
センサ組立体140は、センサ素子101を封入固定する素子封止体141と、素子封止体141に取り付けられたナット147,外筒148と、センサ素子101の後端の表面(上下面)に形成された図示しない電極に接触してこれらと電気的に接続されたコネクタ150と、を備えている。
素子封止体141は、筒状の主体金具142と、主体金具142と同軸に溶接固定された筒状の内筒143と、主体金具142及び内筒143の内側の貫通孔内に封入されたセラミックスサポーター144a〜144c,圧粉体145a,145b,メタルリング146と、を備えている。センサ素子101は素子封止体141の中心軸上に位置しており、素子封止体141を前後方向に貫通している。内筒143には、圧粉体145bを内筒143の中心軸方向に押圧するための縮径部143aと、メタルリング146を介してセラミックスサポーター144a〜144c,圧粉体145a,145bを前方に押圧するための縮径部143bとが形成されている。縮径部143a,143bからの押圧力により、圧粉体145a,145bが主体金具142及び内筒143とセンサ素子101との間で圧縮されることで、圧粉体145a,145bが保護カバー130内のセンサ素子室133と外筒148内の空間149との間を封止すると共に、センサ素子101を固定している。
ナット147は、主体金具142と同軸に固定されており、外周面に雄ネジ部が形成されている。ナット147の雄ネジ部は、配管190に溶接され内周面に雌ネジ部が設けられた固定用部材191内に挿入されている。これにより、ガスセンサ100のうちセンサ素子101の前端や保護カバー130の部分が配管190内に突出した状態で、ガスセンサ100が配管190に固定されている。
外筒148は、内筒143,センサ素子101,コネクタ150の周囲を覆っており、コネクタ150に接続された複数のリード線155が後端から外部に引き出されている。このリード線155は、コネクタ150を介してセンサ素子101の各電極(後述)と導通している。外筒148とリード線155との隙間はゴム栓157によって封止されている。外筒148内の空間149は基準ガス(本実施形態では大気)で満たされている。センサ素子101の後端はこの空間149内に配置されている。
センサ素子101は、それぞれがジルコニア(ZrO2)等の酸素イオン伝導性固体電解質層からなる第1基板層1と、第2基板層2と、第3基板層3と、第1固体電解質層4と、スペーサ層5と、第2固体電解質層6との6つの層が、図面視で下側からこの順に積層された積層体を有する素子である。また、これら6つの層を形成する固体電解質は緻密な気密のものである。係るセンサ素子101は、例えば、各層に対応するセラミックスグリーンシートに所定の加工および回路パターンの印刷などを行った後にそれらを積層し、さらに、焼成して一体化させることによって製造される。
センサ素子101の一端(図2の左側)であって、第2固体電解質層6の下面と第1固体電解質層4の上面との間には、ガス導入口10と、第1拡散律速部11と、緩衝空間12と、第2拡散律速部13と、第1内部空所20と、第3拡散律速部30と、第2内部空所40と、第4拡散律速部60と、第3内部空所61とが、この順に連通する態様にて隣接形成されてなる。
ガス導入口10と、緩衝空間12と、第1内部空所20と、第2内部空所40と、第3内部空所61とは、スペーサ層5をくり抜いた態様にて設けられた上部を第2固体電解質層6の下面で、下部を第1固体電解質層4の上面で、側部をスペーサ層5の側面で区画されたセンサ素子101内部の空間である。
第1拡散律速部11と、第2拡散律速部13と、第3拡散律速部30とはいずれも、2本の横長の(図面に垂直な方向に開口が長手方向を有する)スリットとして設けられる。また、第4拡散律速部60は、第2固体電解質層6の下面との隙間として形成された1本の横長の(図面に垂直な方向に開口が長手方向を有する)スリットとして設けられる。なお、ガス導入口10から第3内部空所61に至る部位を被測定ガス流通部とも称する。
また、被測定ガス流通部よりも一端側から遠い位置には、第3基板層3の上面と、スペーサ層5の下面との間であって、側部を第1固体電解質層4の側面で区画される位置に基準ガス導入空間43が設けられている。基準ガス導入空間43には、NOx濃度の測定を行う際の基準ガスとして、例えば大気(図1の空間149内の雰囲気)が導入される。
大気導入層48は、多孔質アルミナなどのセラミックスからなり、基準ガス導入空間43に露出している層である。この大気導入層48には基準ガス導入空間43を通じて基準ガスが導入されるようになっている。また、大気導入層48は、基準電極42を被覆するように形成されている。この大気導入層48は、基準ガス導入空間43内の基準ガスに対して所定の拡散抵抗を付与しつつこれを基準電極42に導入する。なお、大気導入層48は、基準電極42よりもセンサ素子101の後端側(図2の右側)でのみ基準ガス導入空間43に露出するように形成されている。換言すると、基準ガス導入空間43は、基準電極42の直上までは形成されていない。ただし、基準電極42が基準ガス導入空間43の図2における真下に形成されていてもよい。
基準電極42は、第3基板層3の上面と第1固体電解質層4とに挟まれる態様にて形成される電極であり、上述のように、その周囲には、基準ガス導入空間43につながる大気導入層48が設けられている。なお、基準電極42は、第3基板層3の上面に直に形成されており、第3基板層3の上面に接する部分以外が大気導入層48に覆われている。また、後述するように、基準電極42を用いて第1内部空所20内,第2内部空所40内,第3内部空所61内の酸素濃度(酸素分圧)を測定することが可能となっている。基準電極42は、多孔質サーメット電極(例えば、PtとZrO2とのサーメット電極)として形成される。
被測定ガス流通部において、ガス導入口10は、外部空間に対して開口してなる部位であり、該ガス導入口10を通じて外部空間からセンサ素子101内に被測定ガスが取り込まれるようになっている。第1拡散律速部11は、ガス導入口10から取り込まれた被測定ガスに対して、所定の拡散抵抗を付与する部位である。緩衝空間12は、第1拡散律速部11より導入された被測定ガスを第2拡散律速部13へと導くために設けられた空間である。第2拡散律速部13は、緩衝空間12から第1内部空所20に導入される被測定ガスに対して、所定の拡散抵抗を付与する部位である。被測定ガスが、センサ素子101外部から第1内部空所20内まで導入されるにあたって、外部空間における被測定ガスの圧力変動(被測定ガスが自動車の排気ガスの場合であれば排気圧の脈動)によってガス導入口10からセンサ素子101内部に急激に取り込まれた被測定ガスは、直接第1内部空所20へ導入されるのではなく、第1拡散律速部11、緩衝空間12、第2拡散律速部13を通じて被測定ガスの濃度変動が打ち消された後、第1内部空所20へ導入されるようになっている。これによって、第1内部空所20へ導入される被測定ガスの濃度変動はほとんど無視できる程度のものとなる。第1内部空所20は、第2拡散律速部13を通じて導入された被測定ガス中の酸素分圧を調整するための空間として設けられている。係る酸素分圧は、主ポンプセル21が作動することによって調整される。
主ポンプセル21は、第1内部空所20に面する第2固体電解質層6の下面のほぼ全面に設けられた天井電極部22aを有する内側ポンプ電極22と、第2固体電解質層6の上面の天井電極部22aと対応する領域に外部空間(図1のセンサ素子室133)に露出する態様にて設けられた外側ポンプ電極23と、これらの電極に挟まれた第2固体電解質層6とによって構成されてなる電気化学的ポンプセルである。
内側ポンプ電極22は、第1内部空所20を区画する上下の固体電解質層(第2固体電解質層6および第1固体電解質層4)、および、側壁を与えるスペーサ層5にまたがって形成されている。具体的には、第1内部空所20の天井面を与える第2固体電解質層6の下面には天井電極部22aが形成され、また、底面を与える第1固体電解質層4の上面には底部電極部22bが直に形成され、そして、それら天井電極部22aと底部電極部22bとを接続するように、側部電極部(図示省略)が第1内部空所20の両側壁部を構成するスペーサ層5の側壁面(内面)に形成されて、該側部電極部の配設部位においてトンネル形態とされた構造において配設されている。
内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23とは、多孔質サーメット電極(例えば、Auを1%含むPtとZrO2とのサーメット電極)として形成される。なお、被測定ガスに接触する内側ポンプ電極22は、被測定ガス中のNOx成分に対する還元能力を弱めた材料を用いて形成される。
主ポンプセル21においては、内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23との間に所望のポンプ電圧Vp0を印加して、内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23との間に正方向あるいは負方向にポンプ電流Ip0を流すことにより、第1内部空所20内の酸素を外部空間に汲み出し、あるいは、外部空間の酸素を第1内部空所20に汲み入れることが可能となっている。
また、第1内部空所20における雰囲気中の酸素濃度(酸素分圧)を検出するために、内側ポンプ電極22と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、基準電極42によって、電気化学的なセンサセル、すなわち、主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80が構成されている。
主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80における起電力V0を測定することで第1内部空所20内の酸素濃度(酸素分圧)がわかるようになっている。さらに、起電力V0が一定となるように可変電源25のポンプ電圧Vp0をフィードバック制御することでポンプ電流Ip0が制御されている。これによって、第1内部空所内20内の酸素濃度は所定の一定値に保つことができる。
第3拡散律速部30は、第1内部空所20で主ポンプセル21の動作により酸素濃度(酸素分圧)が制御された被測定ガスに所定の拡散抵抗を付与して、該被測定ガスを第2内部空所40に導く部位である。
第2内部空所40は、あらかじめ第1内部空所20において酸素濃度(酸素分圧)が調整された後、第3拡散律速部30を通じて導入された被測定ガスに対して、さらに補助ポンプセル50による酸素分圧の調整を行うための空間として設けられている。これにより、第2内部空所40内の酸素濃度を高精度に一定に保つことができるため、係るガスセンサ100においては精度の高いNOx濃度測定が可能となる。
補助ポンプセル50は、第2内部空所40に面する第2固体電解質層6の下面の略全体に設けられた天井電極部51aを有する補助ポンプ電極51と、外側ポンプ電極23(外側ポンプ電極23に限られるものではなく、センサ素子101の外側の適当な電極であれば足りる)と、第2固体電解質層6とによって構成される、補助的な電気化学的ポンプセルである。
係る補助ポンプ電極51は、先の第1内部空所20内に設けられた内側ポンプ電極22と同様なトンネル形態とされた構造において、第2内部空所40内に配設されている。つまり、第2内部空所40の天井面を与える第2固体電解質層6に対して天井電極部51aが形成され、また、第2内部空所40の底面を与える第1固体電解質層4の上面には、底部電極部51bが直に形成され、そして、それらの天井電極部51aと底部電極部51bとを連結する側部電極部(図示省略)が、第2内部空所40の側壁を与えるスペーサ層5の両壁面にそれぞれ形成されたトンネル形態の構造となっている。なお、補助ポンプ電極51についても、内側ポンプ電極22と同様に、被測定ガス中のNOx成分に対する還元能力を弱めた材料を用いて形成される。
補助ポンプセル50においては、補助ポンプ電極51と外側ポンプ電極23との間に所望の電圧Vp1を印加することにより、第2内部空所40内の雰囲気中の酸素を外部空間に汲み出し、あるいは、外部空間から第2内部空所40内に汲み入れることが可能となっている。
また、第2内部空所40内における雰囲気中の酸素分圧を制御するために、補助ポンプ電極51と、基準電極42と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4とによって電気化学的なセンサセル、すなわち、補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル81が構成されている。
なお、この補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル81にて検出される起電力V1に基づいて電圧制御される可変電源52にて、補助ポンプセル50がポンピングを行う。これにより第2内部空所40内の雰囲気中の酸素分圧は、NOxの測定に実質的に影響がない低い分圧にまで制御されるようになっている。
また、これとともに、そのポンプ電流Ip1が、主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80の起電力の制御に用いられるようになっている。具体的には、ポンプ電流Ip1は、制御信号として主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80に入力され、その起電力V0が制御されることにより、第3拡散律速部30から第2内部空所40内に導入される被測定ガス中の酸素分圧の勾配が常に一定となるように制御されている。NOxセンサとして使用する際は、主ポンプセル21と補助ポンプセル50との働きによって、第2内部空所40内での酸素濃度は約0.001ppm程度の一定の値に保たれる。
第4拡散律速部60は、第2内部空所40で補助ポンプセル50の動作により酸素濃度(酸素分圧)が制御された被測定ガスに所定の拡散抵抗を付与して、該被測定ガスを第3内部空所61に導く部位である。第4拡散律速部60は、第3内部空所61に流入するNOxの量を制限する役割を担う。
第3内部空所61は、あらかじめ第2内部空所40において酸素濃度(酸素分圧)が調整された後、第4拡散律速部60を通じて導入された被測定ガスに対して、被測定ガス中の窒素酸化物(NOx)濃度の測定に係る処理を行うための空間として設けられている。NOx濃度の測定は、主として、第3内部空所61において、測定用ポンプセル41の動作により行われる。
測定用ポンプセル41は、第3内部空所61内において、被測定ガス中のNOx濃度の測定を行う。測定用ポンプセル41は、第3内部空所61に面する第1固体電解質層4の上面に直に設けられた測定電極44と、外側ポンプ電極23と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4とによって構成された電気化学的ポンプセルである。測定電極44は、多孔質サーメット電極である。測定電極44は、第3内部空所61内の雰囲気中に存在するNOxを還元するNOx還元触媒としても機能する。
測定用ポンプセル41においては、測定電極44の周囲の雰囲気中における窒素酸化物の分解によって生じた酸素を汲み出して、その発生量をポンプ電流Ip2として検出することができる。
また、測定電極44の周囲の酸素分圧を検出するために、第1固体電解質層4と、測定電極44と、基準電極42とによって電気化学的なセンサセル、すなわち、測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82が構成されている。測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82にて検出された起電力V2に基づいて可変電源46が制御される。
第2内部空所40内に導かれた被測定ガスは、酸素分圧が制御された状況下で第4拡散律速部60を通じて第3内部空所61の測定電極44に到達することとなる。測定電極44の周囲の被測定ガス中の窒素酸化物は還元されて(2NO→N2+O2)酸素を発生する。そして、この発生した酸素は測定用ポンプセル41によってポンピングされることとなるが、その際、測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82にて検出された制御電圧V2が一定となるように可変電源46の電圧Vp2が制御される。測定電極44の周囲において発生する酸素の量は、被測定ガス中の窒素酸化物の濃度に比例するものであるから、測定用ポンプセル41におけるポンプ電流Ip2を用いて被測定ガス中の窒素酸化物濃度が算出されることとなる。
また、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、外側ポンプ電極23と、基準電極42とから電気化学的なセンサセル83が構成されており、このセンサセル83によって得られる起電力Vrefによりセンサ外部の被測定ガス中の酸素分圧を検出可能となっている。
さらに、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、外側ポンプ電極23と、基準電極42とから電気化学的な基準ガス調整ポンプセル90が構成されている。この基準ガス調整ポンプセル90は、外側ポンプ電極23と基準電極42との間に接続された可変電源92が印加する電圧Vp3により制御電流Ip3が流れることで、ポンピングを行う。これにより、基準ガス調整ポンプセル90は、外側ポンプ電極23の周囲の空間(図1のセンサ素子室133)から基準電極42の周囲の空間(大気導入層48)に酸素の汲み入れを行う。可変電源92の電圧Vp3は、制御電流Ip3が所定の値(一定値の直流電流)となるような直流電圧として、予め定められている。
また、基準ガス調整ポンプセル90では、制御電流Ip3が流れた際の基準電極42の平均電流密度が0μA/mm2超過400μA/mm2未満となるように、基準電極42の面積,制御電流Ip3、可変電源92の電圧Vp3などが予め定められている。ここで、平均電流密度は、制御電流Ip3の平均値を、基準電極42の面積Sで除して得られる電流密度を意味する。基準電極42の面積Sは、基準電極42のうち大気導入層48に面する部分の面積であり、本実施形態では基準電極42の上面の面積(前後方向長さ×左右方向幅)である。なお、基準電極42の前後方向長さや左右方向幅に対して、基準電極42の上下方向厚さは非常に小さいため、基準電極42の側面(前後左右の面)の面積は無視できる。制御電流の平均値は、制御電流の瞬間的な変化を無視できるような十分長い所定期間について時間平均した値とする。平均電流密度は、200μA/mm2以下とすることが好ましく、170μA/mm2以下とすることがより好ましく、160μA/mm2以下とすることがさらに好ましい。基準電極42の面積Sは、5mm2以下とすることが好ましい。特に限定するものではないが、基準電極42の前後方向長さは例えば0.2〜2mmであり、左右方向幅は例えば0.2〜2.5mmである。制御電流の平均値は、例えば1〜100μAである。制御電流の平均値は1μA超過であることが好ましく、4μA以上であることがより好ましく、5μA以上であることがさらに好ましく、8μA以上であることがさらに好ましい。
このような構成を有するガスセンサ100においては、主ポンプセル21と補助ポンプセル50とを作動させることによって酸素分圧が常に一定の低い値(NOxの測定に実質的に影響がない値)に保たれた被測定ガスが測定用ポンプセル41に与えられる。したがって、被測定ガス中のNOxの濃度に略比例して、NOxの還元によって発生する酸素が測定用ポンプセル41より汲み出されることによって流れるポンプ電流Ip2に基づいて、被測定ガス中のNOx濃度を知ることができるようになっている。
さらに、センサ素子101は、固体電解質の酸素イオン伝導性を高めるために、センサ素子101を加熱して保温する温度調整の役割を担うヒータ部70を備えている。ヒータ部70は、ヒータコネクタ電極71と、ヒータ72と、スルーホール73と、ヒータ絶縁層74と、圧力放散孔75と、リード線76とを備えている。
ヒータコネクタ電極71は、第1基板層1の下面に接する態様にて形成されてなる電極である。ヒータコネクタ電極71を外部電源と接続することによって、外部からヒータ部70へ給電することができるようになっている。
ヒータ72は、第2基板層2と第3基板層3とに上下から挟まれた態様にて形成される電気抵抗体である。ヒータ72は、リード線76及びスルーホール73を介してヒータコネクタ電極71と接続されており、該ヒータコネクタ電極71を通して外部より給電されることにより発熱し、センサ素子101を形成する固体電解質の加熱と保温を行う。
また、ヒータ72は、第1内部空所20から第3内部空所61の全域に渡って埋設されており、センサ素子101全体を上記固体電解質が活性化する温度に調整することが可能となっている。
ヒータ絶縁層74は、ヒータ72の上下面に、アルミナ等の絶縁体によって形成された多孔質アルミナからなる絶縁層である。ヒータ絶縁層74は、第2基板層2とヒータ72との間の電気的絶縁性、および、第3基板層3とヒータ72との間の電気的絶縁性を得る目的で形成されている。
圧力放散孔75は、第3基板層3を貫通し、基準ガス導入空間43に連通するように設けられてなる部位であり、ヒータ絶縁層74内の温度上昇に伴う内圧上昇を緩和する目的で形成されてなる。
なお、図2に示した可変電源25,46,52,92などは、実際にはセンサ素子101内に形成された図示しないリード線や図1のコネクタ150及びリード線155を介して、各電極と接続されている。
次に、こうしたガスセンサ100の製造方法の一例を以下に説明する。まず、ジルコニアなどの酸素イオン伝導性固体電解質をセラミックス成分として含む6枚の未焼成のセラミックスグリーンシートを用意する。このグリーンシートには、印刷時や積層時の位置決めに用いるシート穴や必要なスルーホール等を予め複数形成しておく。また、スペーサ層5となるグリーンシートには被測定ガス流通部となる空間を予め打ち抜き処理などによって設けておく。そして、第1基板層1と、第2基板層2と、第3基板層3と、第1固体電解質層4と、スペーサ層5と、第2固体電解質層6のそれぞれに対応して、各セラミックスグリーンシートに種々のパターンを形成するパターン印刷処理・乾燥処理を行う。形成するパターンは、具体的には、例えば上述した各電極や各電極に接続されるリード線、大気導入層48,ヒータ部70,などのパターンである。パターン印刷は、それぞれの形成対象に要求される特性に応じて用意したパターン形成用ペーストを、公知のスクリーン印刷技術を利用してグリーンシート上に塗布することにより行う。乾燥処理についても、公知の乾燥手段を用いて行う。パターン印刷・乾燥が終わると、各層に対応するグリーンシート同士を積層・接着するための接着用ペーストの印刷・乾燥処理を行う。そして、接着用ペーストを形成したグリーンシートをシート穴により位置決めしつつ所定の順序に積層して、所定の温度・圧力条件を加えることで圧着させ、一つの積層体とする圧着処理を行う。こうして得られた積層体は、複数個のセンサ素子101を包含したものである。その積層体を切断してセンサ素子101の大きさに切り分ける。そして、切り分けた積層体を所定の焼成温度で焼成し、センサ素子101を得る。
このようにしてセンサ素子101を得ると、センサ素子101を組み込んだセンサ組立体140(図1参照)を製造し、保護カバー130やゴム栓157などを取り付けることで、ガスセンサ100が得られる。なお、このようなガスセンサの製造方法は公知であり、例えば国際公開2013/005491号に記載されている。
ここで、基準ガス調整ポンプセル90の果たす役割について、詳細に説明する。センサ素子101のうちガス導入口10などの被測定ガス流通部には、図1に示したセンサ素子室133から被測定ガスが導入される。一方、センサ素子101のうち基準ガス導入空間43には、図1に示した空間149内の基準ガス(大気)が導入される。そして、このセンサ素子室133と空間149とは、センサ組立体140(特に、圧粉体145a,145b)によって区画され、互いにガスが流通しないように封止されている。しかし、被測定ガス側の圧力が一時的に増大したときなどには、例えば圧粉体145a,145bとセンサ素子101や主体金具142との隙間などから、被測定ガスがわずかに空間149内に侵入してしまう場合がある。これにより、基準電極42周囲の酸素濃度が一時的に低下してしまうと、基準電極42の電位である基準電位が変化してしまう。これにより、例えば測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82の起電力V2など、基準電極42を基準とした起電力が変化してしまい、被測定ガス中のNOx濃度の検出精度が低下してしまう。基準ガス調整ポンプセル90は、このような検出精度の低下を抑制する役割を果たしている。基準ガス調整ポンプセル90は、制御電流Ip3が流れることで、センサ素子室133から空間149へ、一定量の酸素の汲み入れを行っている。これにより、上述したように被測定ガスが基準電極42周囲の酸素濃度を一時的に低下させた場合に、減少した酸素を補うことができ、NOx濃度の検出精度の低下を抑制しているのである。制御電流Ip3の値(例えば平均値)は、被測定ガスの圧力が想定される最大値の時に基準電極42周囲の酸素濃度がどの程度低下するか(どの程度の酸素を基準電極42周囲に汲み入れる必要があるか)に基づいて、予め実験などにより定めておくことができる。
なお、本実施形態では、被測定ガスがわずかに空間149内に侵入したか否かにかかわらず、ガスセンサ100がNOx濃度の検出を行う際には常に制御電流Ip3を流すものとした。この場合、被測定ガスの圧力が比較的低く空間149内に侵入していないときなど、基準電極42周囲の基準ガスの酸素濃度が低下していないときであっても、基準ガス調整ポンプセル90は基準電極42周囲に酸素を汲み入れることになる。ただし、そのような余剰の酸素は大気導入層48を通じて基準ガス導入空間43や空間149内にすみやかに拡散する。そのため、基準電極42周囲の酸素濃度が増大しすぎてNOx濃度の検出精度が低下するようなことはないようになっている。
また、上述したセンサセル83によって起電力Vrefを得て(測定して)センサ外部の被測定ガス中の酸素分圧を検出する際には可変電源92が制御電流Ip3を流さないように、センサセル83と基準ガス調整ポンプセル90との動作タイミングは予め調整されている。これにより、基準ガス調整ポンプセル90による酸素の汲み入れ動作がセンサセル83の動作を妨げないようになっている。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の第1基板層1,第2基板層2,第3基板層3,第1固体電解質層4,スペーサ層5及び第2固体電解質層6が本発明の積層体に相当し、基準ガス導入空間43が基準ガス導入空間に相当し、基準電極42が基準電極に相当し、測定電極44が測定電極に相当し、外側ポンプ電極23が被測定ガス側電極に相当し、測定用ポンプセル41が検出手段に相当し、基準ガス調整ポンプセル90及び可変電源92が基準ガス調整手段に相当する。また、外側ポンプ電極23が外側電極に相当する。
以上詳述した本実施形態のガスセンサ100によれば、基準ガスが導入される基準電極42と、被測定ガスに晒される部分に配設された外側ポンプ電極23と、の間に制御電流Ip3を流して、基準電極42の周囲に酸素の汲み入れを行う。これにより、例えば被測定ガスが基準ガス導入空間43内に侵入した場合などの基準電極42周囲の酸素濃度の低下を補うことができる。また、この制御電流Ip3が流れた際の基準電極42の平均電流密度が0μA/mm2超過400μA/mm2未満となっていることで、制御電流Ip3が流れることによる基準電極42の劣化をより抑制することができ、ひいては長期使用時の基準電位(基準電極42の電位)の変化をより抑制することができる。以上により、基準電極42の周囲の酸素濃度の低下を補いつつ長期使用時の基準電位の変化をより抑制することができる。なお、基準電極42のうち電流が多く流れる部分ほど、電極を構成する粒子が細粒化するなどの劣化が生じやすく、長期的な使用により基準電極42の抵抗値が上昇しやすい。そして、基準電極42の抵抗値が上昇すると、基準電極42の電位である基準電位が変化し、基準電極42を基準とした起電力が変化して、被測定ガス中のNOx濃度の検出精度が低下してしまう。これは、上述した基準電極42周囲の酸素濃度の低下などによる基準電位の一時的な変化とは別であり、基準電極42の劣化による恒常的な感度の低下である。
また、平均電流密度が170μA/mm2以下であることで、上述した基準電極42の劣化による基準電位の変化をより抑制する効果が高まる。さらに、制御電流Ip3の平均値が1μA超過であることで、上述した基準電極42周囲の酸素濃度の低下を補う効果が不十分になりにくい。さらにまた、基準ガス調整ポンプセル90を構成する被測定ガス側電極としての外側ポンプ電極23は、積層体(のうち第2固体電解質層6)の外表面に配設されている。例えば被測定ガス流通部内に被測定ガス側電極を設ける場合、被測定ガス流通部内の酸素を基準電極42側に汲み入れることになるため、検出精度に影響を与える場合がある。被測定ガス流通部ではなく外表面に被測定ガス側電極を配設することで、そのような検出精度への影響を抑制できる。
そしてまた、ガスセンサ100は、積層体の外表面に配設された外側電極としての外側ポンプ電極23、を備え、測定用ポンプセル41は、基準電極42と測定電極44との間に生じる電圧Vp2に基づいて、測定電極44及び外側ポンプ電極23を介して酸素の汲み出し又は汲み入れを行い、汲み出し又は汲み入れの際の電流Ip2に基づいて被測定ガス中の特定ガス濃度を検出する。そして、測定用ポンプセル41の外側電極としての外側ポンプ電極23が、基準ガス調整ポンプセル90の被測定ガス側電極を兼ねている。これにより、外側電極と被測定ガス側電極とが別である場合と比べて、電極の数を減らすことができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施しうることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、制御電流Ip3が一定値の直流電流であるものとしたが、これに限られない。例えば、制御電流Ip3はパルス状の断続的な電流であってもよい。この場合、パルスの1周期(パルスの立ち上がりから次のパルスの立ち上がりまでの時間)の平均電流に基づく平均電流密度を0μA/mm2超過400μA/mm2未満とすればよい。また、制御電流Ip3は、本実施形態では一定値の直流電流であり、常に基準電極42の周囲に酸素を汲み入れる方向に流れる電流であるが、これに限られない。例えば、制御電流Ip3が、基準電極42の周囲から酸素を汲み出す方向に流れる期間が存在してもよい。その場合でも、十分長い所定期間でみたときの全体的な酸素の移動方向が基準電極42の周囲に酸素を汲み入れる方向であれよい。すなわち、基準電極42の周囲に酸素を汲み入れるような制御電流Ip3の方向を正方向、基準電極42の周囲から酸素を汲み出すような制御電流Ip3の方向を負方向としたときに、十分長い所定期間内において制御電流Ip3が正方向である期間が負方向である期間よりも長ければよい。換言すると、十分長い所定期間内における制御電流Ip3の平均値が正方向の値であればよい。そうすれば、制御電流Ip3が負方向に流れる期間が存在していても、基準電極42周囲の酸素濃度の低下を補うことはできる。例えば、制御電流Ip3が、直流成分と交流成分とを足し合わせたような波形であってもよい。この場合でも、直流成分が正方向の電流であれば、十分長い所定期間(例えば交流成分の1周期以上の期間)でみたときの全体的な酸素の移動方向が基準電極42の周囲に酸素を汲み入れる方向になる。
上述した実施形態では、測定用ポンプセル41の外側電極としての外側ポンプ電極23が、基準ガス調整ポンプセル90の被測定ガス側電極を兼ねているものとしたが、これに限られない。測定用ポンプセル41の外側電極と基準ガス調整ポンプセル90の被測定ガス側電極とを、別々にセンサ素子101の外表面に形成してもよい。また、基準ガス調整ポンプセル90の被測定ガス側電極は、センサ素子101のうち被測定ガスに晒される部分に配設されていれば、配設位置は外表面に限られない。例えば被測定ガス導入空間内に配設してもよい。
上述した実施形態では、測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82にて検出された制御電圧(起電力)V2が一定となるように可変電源46の電圧Vp2が制御され、このときのポンプ電流Ip2を用いて被測定ガス中の窒素酸化物濃度が算出されるものとしたが、基準電極42と測定電極44との間の電圧に基づいて被測定ガス中の特定濃度を検出するものであれば、これに限られない。例えば、測定電極44と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、基準電極42とを組み合わせて、電気化学的センサセルとして酸素分圧検出手段を構成するようにすれば、測定電極44の周りの雰囲気中のNOx成分の還元によって発生した酸素の量と基準ガスに含まれる酸素の量との差に応じた起電力を検出することができ、これによって被測定ガス中のNOx成分の濃度を求めることができる。この場合、この電気化学的センサセルが本発明の検出手段に相当する。
上述した実施形態では、基準電極42は第3基板層3の上面に直に形成されているものとしたが、これに限られない。例えば、第1固体電解質層4の下面に直に形成してもよい。
上述した実施形態では、ガスセンサ100のセンサ素子101は第1内部空所20,第2内部空所40,第3内部空所61を備えるものとしたが、これに限られない。例えば、第3内部空所61を備えないものとしてもよい。この場合の変形例のガスセンサ200のセンサ素子101の模式断面図を図3に示す。図示するように、この変形例のガスセンサ200では、第2固体電解質層6の下面と第1固体電解質層4の上面との間には、ガス導入口10と、第1拡散律速部11と、緩衝空間12と、第2拡散律速部13と、第1内部空所20と、第3拡散律速部30と、第2内部空所40とが、この順に連通する態様にて隣接形成されてなる。なお、ガスセンサ200の第3拡散律速部30は、図2の第4拡散律速部60と同様に、第2固体電解質層6の下面との隙間として形成された1本の横長のスリットとして設けられている。また、測定電極44は、第2内部空所40内の第1固体電解質層4の上面に配設されている。測定電極44は、第4拡散律速部45によって被覆されてなる。第4拡散律速部45は、アルミナ(Al23)などのセラミックス多孔体にて構成される膜である。第4拡散律速部45は、上述した実施形態の第4拡散律速部60と同様に、測定電極44に流入するNOxの量を制限する役割を担う。また、第4拡散律速部45は、測定電極44の保護膜としても機能する。補助ポンプ電極51の天井電極部
51aは、測定電極44の直上まで形成されている。このような構成のガスセンサ200であっても、上述した実施形態と同様に、平均電流密度を0μA/mm2超過400μA/mm2未満とすることで、基準電極42の周囲の酸素濃度の低下を補いつつ長期使用時の基準電位の変化をより抑制できる効果が得られる。
上述した実施形態では、基準ガスでは大気としたが、被測定ガス中の特定ガスの濃度の検出の基準となるガスであれば、これに限られない。例えば、予め所定の酸素濃度(>被測定ガスの酸素濃度)に調整したガスが基準ガスとして空間149に満たされていてもよい。
上述した実施形態では、センサ素子101は被測定ガス中のNOx濃度を検出するものとしたが、被測定ガス中の特定ガスの濃度を検出するものであれば、これに限られない。例えば、被測定ガス中の酸素濃度を検出するものとしてもよい。
以下には、ガスセンサを具体的に作製した例を実験例として説明する。実験例1,20,24,25が本発明の比較例に相当し、実験例2〜19,21〜23が本発明の実施例に相当する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実験例1]
上述した製造方法により図1,2に示したガスセンサ100を作製し、実験例1とした。なお、センサ素子101を作製するにあたり、セラミックスグリーンシートは、安定化剤のイットリアを4mol%添加したジルコニア粒子と有機バインダーと有機溶剤とを混合し、テープ成形により成形した。図1の圧粉体145a,145bとしてはタルク粉末を成形したものとした。また、基準電極42の面積Sは0.6mm2とした。なお、実験例1では、可変電源92を備えず制御電流Ip3は0μAとした。そのため、実験例1の基準電極42の平均電流密度は0μA/mm2である。
[実験例2]
可変電源92を備え、制御電流Ip3が4μAの直流電流となるように電圧Vp3を調整した以外は、実験例1と同様のガスセンサを作製し、実験例2とした。なお、実験例2の基準電極42の平均電流密度は6.7μA/mm2である。
[実験例3]
可変電源92を備え、制御電流Ip3が8μAの直流電流となるように電圧Vp3を調整した以外は、実験例1と同様のガスセンサを作製し、実験例3とした。なお、実験例3の基準電極42の平均電流密度は13μA/mm2である。
[実験例4]
可変電源92を備え、制御電流Ip3が12μAの直流電流となるように電圧Vp3を調整した以外は、実験例1と同様のガスセンサを作製し、実験例4とした。なお、実験例4の基準電極42の平均電流密度は20μA/mm2である。
[実験例5]
可変電源92を備え、制御電流Ip3が40μAの直流電流となるように電圧Vp3を調整した以外は、実験例1と同様のガスセンサを作製し、実験例5とした。なお、実験例5の基準電極42の平均電流密度は67μA/mm2である。
[排ガスの侵入による基準電位の変化に関する評価]
実験例1〜5のガスセンサを自動車の排ガス管の配管に取り付けた。そして、ヒータ72に通電して温度を800℃とし、センサ素子101を加熱した。次に、基準ガス調整ポンプセル90を動作させた。この状態で、自動車のガソリンエンジンを所定の運転条件(エンジンの回転数が4000rpm、排ガスのゲージ圧力が20kPa、λ値が0.83)で20分間運転し、その間に基準電位(基準電極42の電位)が所定の閾値を超えて変化したか否かを調べた。基準電位は、一時的に可変電源92が電流Ip3を流さない状態にして、このときの電圧Vref(外側ポンプ電極23−基準電極42間の電圧)に基づいて測定した。なお、基準ガス調整ポンプセル90が動作すると、制御電流Ip3が流れて酸素を汲み入れることで、排ガスが空間149内に侵入したことによる基準電極42の周囲の酸素濃度の低下を補っている。そのため、基準電位が所定の閾値を超えて変化した場合は、基準ガス調整ポンプセル90による酸素の汲み入れ量が不足しており酸素濃度の低下を補う効果が不十分であることを意味する。試験の結果、実験例1では、エンジンの運転開始から10分後に基準電位が閾値を超えて変化した。実験例2では、エンジンの運転開始から18分後に基準電位が閾値を超えて変化した。実験例3〜5では、20分経過しても基準電位は閾値を超えて変化しなかった。以上より、制御電流Ip3が8μA以上である実験例3〜5では、基準電極42の周囲の酸素濃度の低下を補う効果が十分得られることが確認できた。
[実験例6〜25]
基準電極42の面積S,制御電流Ip3,基準電極42の平均電流密度を表1に示すように調整した点以外は、実験例2〜5と同様のガスセンサを作製し、実験例6〜25とした。なお、表1の面積比は、実験例1〜5の基準電極42の面積Sを値1とした場合の各実験例の面積Sの値である。また、表1には、実験例1〜5についても記載した。
[評価試験1]
実験例6〜25について、上述した実験例1〜5と同じ試験を行い、20分間で基準電位(電圧Vref)が所定の閾値を超えて変化したか否かを調べた。結果を表1に示す。なお、表1では、評価試験1の結果として、基準電位が閾値を超えて変化したときの時間を記載した。表1における「20分超」は、20分の間には基準電位が閾値を超えて変化しなかったことを意味する。制御電流Ip3が1μAである実験例6〜10は、エンジンの運転開始から15〜17分後に基準電位が閾値を超えて変化しており、基準電極42の周囲の酸素濃度の低下を補う効果が不十分であった。制御電流Ip3が4μAである実験例11〜15は、エンジンの運転開始から18〜19分後に基準電位が閾値を超えて変化したものと、20分経過しても基準電位が閾値を超えて変化しなかったものとが存在した。実験例16〜25は、いずれも20分経過しても基準電位は閾値を超えて変化しなかった。以上より、制御電流Ip3が1μA超過である実験例2〜5,11〜25では、基準電極42の周囲の酸素濃度の低下を補う効果が不十分になりにくいことが確認できた。
[評価試験2]
実験例2〜25についてディーゼルエンジンを用いた耐久試験を行い、基準電極の劣化の程度を評価した。具体的には、以下のように試験を行った。実験例2〜25のガスセンサを自動車の排ガス管の配管に取り付けた。そして、ヒータ72に通電して温度を800℃とし、センサ素子101を加熱した。次に、基準ガス調整ポンプセル90を動作させた。この状態で、エンジン回転数1500〜3500rpm、負荷トルク0〜350N・mの範囲で構成した40分間の運転パターンを、3000時間が経過するまで繰り返した。なお、そのときのガス温度は200℃〜600℃、NOx濃度は0〜1500ppmとした。そして、3000時間が経過するまでの間に制御異常が生じたか否かを調べた。結果を表1に示す。なお、表1では、評価試験2の結果として、制御異常が生じたときの時間を記載した。表1における「3000時間超」は、3000時間経過するまでの間には制御異常が生じなかったことを意味する。平均電流密度が400μA/mm2以上である実験例20,24,25では、3000時間経過するまでの間に制御異常が生じた。また、平均電流密度が大きいほど、制御異常が生じるまでの時間が短い傾向が見られた。また、実験例23,24,25については、1000時間経過毎に一時的に可変電源92が電流Ip3を流さない状態,且つガスセンサを排ガス管から取り外して大気雰囲気中の状態とし、このときの電圧Vref(外側ポンプ電極23−基準電極42間の電圧)に基づいて基準電位を測定し、基準電位のバラツキ(振れ幅)を測定した。図4は、実験例23〜25における経過時間と基準電位の振れ幅との関係を示すグラフである。図示するように、3000時間経過までの間に制御異常が生じた実験例24,25は、基準電位のバラツキ(振れ幅)がそれぞれ20mV,25mVであり、比較的大きい値であった。一方、3000時間が経過しても制御異常が生じなかった実験例23は、3000時間経過時点での基準電位のバラツキは5mV以下と小さい値であった。このことから、平均電流密度を400μA/mm2未満とすることで、長期使用時の基準電位の変化を抑制できることが確認できた。
図5は、実験例2〜25の平均電流密度と面積Sとをプロットしたグラフである。図5では、評価試験1で不良と判定された実験例6〜10や、評価試験2で不良と判定された実験例20,24,25は他と区別して示した。
表1及び図5に示すように、平均電流密度を400μA/mm2未満とすることで、長期使用時の基準電位の変化をより抑制することができていた。また、制御電流Ip3を1μA超過とすることで、基準電極周囲の酸素濃度の低下を補う効果が不十分になりにくかった。
本発明は、自動車の排気ガスなどの被測定ガスにおけるNOxなどの特定ガス濃度を検出するガスセンサに利用可能である。
1 第1基板層、2 第2基板層、3 第3基板層、4 第1固体電解質層、5 スペーサ層、6 第2固体電解質層、10,310 ガス導入口、11 第1拡散律速部、12 緩衝空間、13 第2拡散律速部、20,320 第1内部空所、21 主ポンプセル、22 内側ポンプ電極、22a 天井電極部、22b 底部電極部、23,323 外側ポンプ電極、25 可変電源、30 第3拡散律速部、40,340 第2内部空所、41 測定用ポンプセル、42 基準電極、43 基準ガス導入空間、44,344 測定電極、46 可変電源、48 大気導入層、50 補助ポンプセル、51 補助ポンプ電極、51a 天井電極部、51b 底部電極部、51c,51d 側部電極部、52 可変電源、60 第4拡散律速部、61,361 第3内部空所、70 ヒータ部、71 ヒータコネクタ電極、72,372 ヒータ、73 スルーホール、74,374 ヒータ絶縁層、75 圧力放散孔、76,276 リード線、80 主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル、81 補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル、82 測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル、83 センサセル、90 基準ガス調整ポンプセル、92 可変電源、100,200,300 ガスセンサ、101,307 センサ素子、130 保護カバー、131 内側保護カバー、132 外側保護カバー、133 センサ素子室、140 センサ組立体、141 素子封止体、142 主体金具、143 内筒、143a,143b 縮径部、144a〜144c サポーター、145a,145b 圧粉体、146 メタルリング、147 ナット、148 外筒、149 空間、150 コネクタ、155 リード線、157 ゴム栓、190 配管、191 固定用部材、301〜306 固体電解質層。

Claims (6)

  1. 酸素イオン伝導性の固体電解質層を複数積層してなり、被測定ガスを導入して流通させる被測定ガス流通部と、該被測定ガス中の特定ガス濃度の検出の基準となる基準ガスを導入する基準ガス導入空間と、が内部に設けられた積層体と、
    前記積層体の内部に形成され、前記基準ガス導入空間を介して前記基準ガスが導入される基準電極と、
    前記被測定ガス流通部の内周面上に配設された測定電極と、
    前記積層体のうち前記被測定ガスに晒される部分に配設された被測定ガス側電極と、
    前記基準電極と前記測定電極との間に生じる起電力に基づいて前記被測定ガス中の特定ガス濃度を検出する検出手段と、
    前記基準電極と前記被測定ガス側電極との間に制御電流を流して、前記基準電極の周囲に酸素の汲み入れを行う基準ガス調整手段と、
    を備え、
    前記制御電流が流れた際の前記基準電極の平均電流密度が0μA/mm2超過400μA/mm2未満である、
    ガスセンサ。
  2. 前記平均電流密度が170μA/mm2以下である、
    請求項1に記載のガスセンサ。
  3. 前記制御電流の平均値が1μA超過である、
    請求項1又は2に記載のガスセンサ。
  4. 前記被測定ガス側電極は、前記積層体の外表面に配設されている、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスセンサ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスセンサであって、
    前記積層体の外表面に配設された外側電極、
    を備え、
    前記検出手段は、前記基準電極と前記測定電極との間に生じる起電力に基づいて、前記測定電極及び前記外側電極を介して酸素の汲み出し又は汲み入れを行い、該汲み出し又は汲み入れの際の電流に基づいて該被測定ガス中の特定ガス濃度を検出する、
    ガスセンサ。
  6. 前記外側電極が前記被測定ガス側電極を兼ねている、
    請求項5に記載のガスセンサ。
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