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JP6403517B2 - 放射性廃棄物除染方法 - Google Patents
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JP6403517B2 - 放射性廃棄物除染方法 - Google Patents

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Description

本発明は、原子力発電プラント等の放射線取扱い施設に設置された配管、機器、構造部材等の放射性物質の除染方法に係り、原子炉一次系の配管や機器の内表面に形成した酸化皮膜除去方法に関するものである。
原子力発電プラント等の放射線取扱い施設において、放射性物質を含む流体と接触する配管などの構造部品は、施設の運転に伴ってその内表面に放射性物質を含む酸化皮膜が付着または生成する。施設の運転期間が長くなると、配管や機器等の周囲は放射線量が高まり、定期検査や保守工事あるいは廃棄物解体工事等において作業員の被ばく線量が増大するおそれがある。作業員の被ばくを低減するため、配管や機器等に付着した放射性物質を除去(以下、除染と同義)しなければならない。
この除染の対象となる代表的なものとして原子炉一次冷却系(以下、一次系ともいう)がある。この一次冷却系には放射性物質を含有するクラッド(crud)と呼ばれるスケールが付着する。このクラッドは原子炉一次冷却系配管や機器周辺において、作業者が放射線被ばくを受ける放射線源となっている。放射線被ばくの低減を図り、作業環境向上のためにクラッドの除去が必要となる。このクラッドの除去は、主として化学除染法によって行われている。
特許文献1には、高い洗浄力を有し、放射性クラッドの除染が可能で、かつ金属材料に対して腐食性が小さい化学洗浄剤が提案されている。これはマロン酸とヒドラジンを有効成分として含有する組成物からなる化学洗浄剤である。
特開昭62−127483号公報
特許文献1に記載されている化学洗浄剤は、薬剤中に除染対象物を浸漬しなければならないため新たな設備や機材が必要となるという問題があった。また80℃〜100℃の溶液の中に除染対象物を浸漬しなければならないため、作業中の薬剤の管理に手間がかかると共に長時間の連続作業となり人的負担が増大するという問題があった。
また従来の化学除染法は、除染対象物が大型の場合、除染処理設備の新設や大型化、大量の薬剤が必要となることや作業後の廃液処理費用が増大するという問題があった。
また除染後の配管や機器等はドラム缶に入れて廃棄することになるが、1つのドラム缶あたりの放射線量が定められており、除染率が低い場合は放射線量が高いので廃棄するドラム缶の数が増えてしまうという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、薬剤の使用量が少なく、処理する温度が低く、かつ短い時間でも放射性物質を含有した酸化皮膜の除染率を向上させることができる放射性廃棄物除染方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、原子力発電プラントの一次系を構成する部材を取り替えた後に廃棄する除染対象物の母材の内表面に形成した酸化皮膜を除去する放射性廃棄物除染方法であって、前記除染対象物の前記酸化皮膜表面にゲル状薬剤を前記母材まで浸透させる凹凸面を設けつつ前記ゲル状薬剤を塗布する塗布工程と、前記ゲル状薬剤を前記除染対象物の内表面に所定時間とどまるように保持させる薬剤保持工程と、前記所定時間経過後に前記保持させたゲル状薬剤を除去する薬剤除去工程と、を有すると共に、前記薬剤除去工程の終了後に、ゲル状薬剤の剥離面に、ストリッパブルペイントを塗布し、その後ストリッパブルペイントを剥離することを特徴とする放射性廃棄物除染方法にある。
第2の発明は、原子力発電プラントの一次系を構成する部材を取り替えた後に廃棄する除染対象物の内表面に形成した酸化皮膜を除去する放射性廃棄物除染方法であって、前記除染対象物の前記酸化皮膜表面にゲル状薬剤を塗布する塗布工程と、前記ゲル状薬剤塗布面を覆いつつ、前記ゲル状薬剤を前記除染対象物の内表面に所定時間とどまるように保持させる薬剤保持工程と、前記所定時間経過後に前記保持させたゲル状薬剤を除去する薬剤除去工程と、を有することを特徴とする放射性廃棄物除染方法にある。
第3の発明は、原子力発電プラントの一次系を構成する部材を取り替えた後に廃棄する除染対象物の内表面に形成した酸化皮膜を除去する放射性廃棄物除染方法であって、前記除染対象物の前記酸化皮膜表面にテトラフルオロホウ酸を含有するゲル状薬剤を塗布する塗布工程と、前記ゲル状薬剤を前記除染対象物の内表面に所定時間とどまるように保持させる薬剤保持工程と、前記所定時間経過後に前記保持させたゲル状薬剤を除去する薬剤除去工程と、を有すると共に、前記薬剤除去工程の終了後に、ゲル状薬剤の剥離面に、ストリッパブルペイントを塗布し、その後ストリッパブルペイントを剥離することを特徴とする放射性廃棄物除染方法にある。
第4の発明は、原子力発電プラントの一次系を構成する部材を取り替えた後に廃棄する除染対象物の内表面に形成した酸化皮膜を除去する放射性廃棄物除染方法であって、前記除染対象物の前記酸化皮膜表面にゲル状薬剤を塗布する塗布工程と、前記除染対象物を加温しつつ、前記ゲル状薬剤を前記除染対象物の内表面に所定時間とどまるように保持させる薬剤保持工程と、前記所定時間経過後に前記保持させたゲル状薬剤を除去する薬剤除去工程と、を有すると共に、前記薬剤除去工程の終了後に、ゲル状薬剤の剥離面に、ストリッパブルペイントを塗布し、その後ストリッパブルペイントを剥離することを特徴とする放射性廃棄物除染方法にある。
第5の発明は、第2の発明において、前記薬剤除去工程の終了後に、ゲル状薬剤の剥離面に、ストリッパブルペイントを塗布し、その後ストリッパブルペイントを剥離することを特徴とする放射性廃棄物除染方法にある。
本発明の放射性廃棄物除染方法によれば、薬剤の使用量が少なく、処理する温度が低く、かつ短い時間でも放射性物質を含有した酸化皮膜の除染率を向上させることができる。
図1は、本発明の実施例に係る廃液処理システムが適用される原子力発電プラントの一例を模式的に表した概略構成図である。 図2は、本実施例のゲル化させたゲル状薬剤を配管内表面に塗布した状態を示す図である。 図3は、実施例1に係る放射性廃棄物除染方法の手順を示すフロー図である。 図4は、実施例1に係るゲル化剤を用いて粗面にする工程図である。 図5は、実施例2に係る放射性廃棄物除染方法の工程図である。 図6は、実施例3に係る放射性廃棄物除染方法の工程図である。 図7は、本実施例のゲル化させたゲル状薬剤を、除染対象物である配管の内表面に塗布した状態を示す図である。
以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
<原子力発電プラント>
本発明による実施例に係る廃液処理システムを、原子力発電プラントに適用した場合について、図面を参照して説明する。原子力発電プラントの原子炉は、軽水を原子炉冷却材及び中性子減速材として使用し、一次系全体にわたって沸騰しない高温高圧水とし、この高温高圧水を蒸気発生器に送って二次冷却材と熱交換させることにより蒸気を発生させ、この蒸気をタービン発電機へ送って発電する加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)である。なお、本実施例は、PWRに限らず、これを改良した改良型加圧水型原子炉(APWR:Advanced Pressurized Water Reactor)または沸騰水型原子炉(BWR:Boiling Water Reactor)に適用することができる。また、放射線取扱い施設にも適用可能である。
図1は、本発明の実施例に係る廃液処理システムが適用される原子力発電プラントの一例を模式的に表した概略構成図である。図1に示すように、原子力発電プラント100は、原子炉111を含む原子炉冷却系(以下、一次系ともいう)112と、原子炉冷却系112と熱交換するタービン系(以下、二次系ともいう)113とを有する。原子炉冷却系112には、原子炉冷却材(一次冷却水)が流通し、タービン系113には、二次冷却材(二次冷却水)が流通している。
原子炉冷却系(一次系)112は、原子炉111と、コールドレグ115a及びホットレグ115bを介して原子炉111に接続された蒸気発生器116とを有している。また、ホットレグ115bには、加圧器117が介設され、コールドレグ115aには、原子炉冷却材ポンプ118が介設されている。そして、原子炉111、コールドレグ115a、ホットレグ115b、蒸気発生器116、加圧器117及び原子炉冷却材ポンプ118は、原子炉格納容器119に収容されている。
原子炉111は、上記したように加圧水型原子炉であり、その内部は原子炉冷却材(一次冷却水)で満たされている。そして、原子炉111内は、多数の燃料集合体121を収容すると共に、燃料集合体121の燃料棒内の核燃料の核分裂を制御する多数の制御棒122が、各燃料集合体121に対し挿入可能に設けられている。
制御棒122により核分裂反応を制御しながら燃料集合体121の燃料棒内の核燃料を核分裂させると、この核分裂により熱エネルギーが発生する。発生した熱エネルギーは原子炉冷却材を加熱し、加熱された原子炉冷却材は、ホットレグ115bを介して蒸気発生器116へ送られる。一方、コールドレグ115aを介して各蒸気発生器116から送られてきた原子炉冷却材は、原子炉111内に流入して、原子炉111内を冷却する。
ホットレグ115bに介設された加圧器117は、高温となった原子炉冷却材を加圧することにより、原子炉冷却材の沸騰を抑制している。また、蒸気発生器116は、高温高圧となった原子炉冷却材(一次冷却水)を二次冷却材(二次冷却水)と熱交換させることにより、二次冷却材を蒸発させて蒸気を発生させ、かつ、高温高圧となった原子炉冷却材を冷却している。原子炉冷却材ポンプ118は、原子炉冷却系112において原子炉冷却材を循環させており、原子炉冷却材を蒸気発生器116からコールドレグ115aを介して原子炉111へ送り込むと共に、原子炉冷却材を原子炉111からホットレグ115bを介して蒸気発生器116へ送り込んでいる。
原子炉冷却材は、原子炉111と蒸気発生器116との間を循環している。なお、原子炉冷却材は、冷却材及び中性子減速材として用いられる軽水である。
タービン系(二次系)113は、蒸気管124を介して各蒸気発生器116に接続されたタービン125と、タービン125に接続された復水器126と、復水器126と各蒸気発生器116とを接続する給水管127に介設された給水ポンプ128と、を有している。そして、上記のタービン125には、発電機129が接続されている。
この原子力発電プラント100のタービン系113における一連の動作について説明する。蒸気管124を介して蒸気発生器116から蒸気がタービン125に流入すると、タービン125は回転する。タービン125が回転すると、タービン125に接続された発電機129は、発電を行う。この後、タービン125から排出した蒸気は復水器126に流入する。復水器126は、その内部に冷却管130が配設されており、冷却管130の一方には冷却水(例えば、海水)を供給するための取水管131が接続され、冷却管130の他方には冷却水を排水するための排水管132が接続されている。そして、復水器126は、タービン125から流入した蒸気を冷却管130により冷却することで、蒸気を液体に戻している。液体となった二次冷却材は、給水ポンプ128により給水管127を介して蒸気発生器116に送られる。蒸気発生器116に送られた二次冷却材は、蒸気発生器116において原子炉冷却材と熱交換を行うことにより再び蒸気となる。
このような原子力発電プラント100においては、原子炉機器や各種配管など原子炉設備を構成する部材は一般にステンレス鋼や炭素鋼などの鉄鋼材料で製作されている。これら原子炉設備を構成する部材は使用した際に原子炉機器や各種配管など原子炉設備を構成する部材内の表面は高温水(一次冷却水)との接触によって腐食作用を受け、酸化物の皮膜が形成される。皮膜は、放射性同位体(RI)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)などの少なくとも1種類の金属又は酸化物などである。
高温水(一次冷却水)に晒される原子炉機器や配管内表面の接液部位に形成される皮膜に炉水中の放射能が取り込まれ、被ばく線源となっている。このような原子炉機器や各種配管など原子炉設備の除染対象物は、本発明の実施例に係る廃液処理システムを用いて除染される。なお、除染とは、原子炉設備の除染対象系統の配管や機器などの除染対象物に付着した放射性物質を除去することをいう。
なお、以下の実施例でも同様の除染対象物であるので、これらの説明は省略する。
次に、図2及び3を参照しながら、本実施例に係る放射性廃棄物除染方法について説明する。図2は、本実施例のゲル化させたゲル状薬剤を配管内表面に塗布した状態を示す図である。図3は、実施例1に係る放射性廃棄物除染方法の手順を示すフロー図である。以下に本実施例の放射性廃棄物除染方法の一連の手順を概略説明した後、各工程の詳細な説明を後述する。
図2は、本実施例のゲル化させたゲル状薬剤21を、除染対象物である配管30の内表面に塗布した状態を示す図である。以下の実施例では、除染対象物として配管を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
ここで、配管30を処理する場合には、配管30の入口部から内側の所定距離に位置する箇所に、例えば鉛等の封止部材で封止されている。よって、この封止部材から開口部までにおける内容面の所定範囲について、ゲル状薬剤を塗布して除染するようにしている。
本実施例の放射性廃棄物除染方法は、図3に示すように、配管30内表面に形成した酸化皮膜を溶解させて除染するためのゲル状薬剤21を調製する薬剤調製工程(ステップS11)と、配管30の酸化皮膜を溶解させて除染するために調製したゲル状薬剤21を配管30の内表面に塗布する塗布工程(ステップS12)と、塗布工程で塗布したゲル状薬剤21を配管30の内表面に所定時間とどまるように保持させる薬剤保持工程(ステップS13)と、除染のために配管30の内表面に塗布したゲル状薬剤21の効果を得るために所定時間経過した後に保持させたゲル状薬剤21を除去する薬剤除去工程(ステップS14)と、薬剤除去工程でゲル状薬剤21を除去した後の配管30を洗浄する洗浄工程(ステップS15)と、薬剤除去工程で除去したゲル状薬剤21を廃棄処理する廃棄処理工程(ステップS16)と、の手順から構成されている。
ここで、除染が確実になされているかを判定する判断工程をゲル状薬剤の塗布の前後に設け、この判断工程で放射線量が1/2以下に低減していない場合には、ステップS12へ戻り、再度、ゲル状薬剤21を配管30の内表面に塗布する塗布工程から繰り返す。また初めから高い除染率を得るためにステップS12からステップS14までを複数回繰り返すようにしてもよい。また符号40で示した破線で囲まれた工程は、現場室内での作業となるが、それ以外のステップS11の工程、およびステップS16の工程は、現場室内で行う必要はなく、例えば、実験室や作業室などで行うことができる。上記の各工程の詳細な説明については後述する。
次に、本実施例に係る放射性廃棄物除染方法の各工程について詳細に説明する。
薬剤調製工程(ステップS11)は、配管30の内表面に形成した酸化皮膜を溶解させて除染するためのゲル状薬剤21を調製する工程である。本実施例で調製するゲル薬剤21は、薬品と薬品を溶解させるための溶媒と薬剤をゲル化させるためのゲル化剤とを混合して得ることができる。溶媒とゲル化剤との混合割合は、例えば、溶媒:ゲル化剤=10:1(質量比)程度であることが好ましい。ゲル化剤としては、薬品の種類及び除染対象物の種類に応じて、リン酸架橋でんぷん、セルロース誘導体の何れか1つ以上を含み、溶媒は、純水を用いる。例えば薬品の酸性が強い場合には、ゲル化剤はリン酸架橋でんぷんよりもラスノンウエル(商品名:萬商株式会社製、セルロース誘導体)の方が好適である。また例えば、ゲル状薬剤21の塗布表面形状が単純である場合は混合する溶媒量を少なくしてやや固めのゲル状でも良いが、ゲル状薬剤21の塗布表面形状が複雑または小さな凹凸がある場合は混合する溶媒量を多くしてやや柔らかめのゲル状であることが好ましい。このように使用する薬品の種類や除染対象物の種類に応じてゲル化剤の種類や溶媒との混合比率などを適宜選定することができる。本実施例では薬剤をゲル化させてから除染対象の酸化皮膜表面に塗布することで、ゲル状薬剤21を酸化皮膜表面に長時間とどめておくことが可能となる。本実施例においてゲル状とは、薬剤を配管などの内表面に塗布した場合、塗布した部位に付着したまま流れない状態を保持できることである。具体的には、ゲル状薬剤21の粘度及び流動性は除染対象物に刷毛等で塗布が可能であり、除染対象物の横面や天井面などに塗布しても付着したまま垂れてこない状態を意味する。本実施例では、例えば、少なくとも72時間、好ましくは24時間、さらに好ましくは16時間程度、塗布した部位にゲル状薬剤21が保持されている状態を保持できるものとする。この意味で本実施例では、クリーム状や粘性の高い液体なども上記のゲル状に含むものとする。
ゲル状薬剤調製工程(ステップS11)において、薬品は、原子力発電プラントの一次系を構成する配管や機器の内表面に形成した放射性物質を含む酸化皮膜を溶解させるための薬品である。薬品としては、硝酸系、硫酸系、フッ酸系の何れか1つ又は2種以上を用いてもよい。除去対象の酸化皮膜の種類に応じて、硝フッ酸、硝フッ酸及びシュウ酸、硝フッ酸及び過マンガン酸、硝フッ酸及び過マンガン酸カリウム、硝フッ酸及びクエン酸、の何れか1つ以上を含んでいることが好ましい。例えば、酸化皮膜中の主要成分が鉄系酸化物またはニッケル系酸化物の場合は、硝フッ酸、硝フッ酸及びシュウ酸、硝フッ酸及びクエン酸の何れか1つ以上含んでいるものが挙げられる。また酸化皮膜中の主要成分がクロム系酸化物の場合は、硝フッ酸及び過マンガン酸、硝フッ酸及び過マンガン酸カリウムの何れか1つ以上を含んでいるものが挙げられる。なお上記の過マンガン酸、過マンガン酸カリウムは酸化剤の例として示したものであり、同等の酸化力を有した薬品(酸化剤)であれば好適に用いることができる。また上記のシュウ酸、クエン酸は還元剤の例として示したものであり、同等の還元力を有した薬品(還元剤)であれば好適に用いることができる。酸化皮膜の種類に応じて表面酸化物を溶解する薬品とその後に母材である金属素材そのものを溶解する薬品とを適宜組み合わせて用いることが好適である。本実施例で使用する薬品の濃度としては、硝酸、フッ酸は0.5質量%以上20質量%以下、好ましくは1質量%以上15質量%以下、さらに好ましくは1質量%以上10質量%以下である。またシュウ酸、クエン酸、過マンガン酸、過マンガン酸カリウムは0.005質量%以上0.5質量%以下、好ましくは0.01質量%以上0.3質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以上0.1質量%以下である。
本実施例で使用する硝フッ酸の濃度としては、1質量%以上10質量%以下、好ましくは3質量%以上7質量%以下、さらに好ましくは5質量%が好ましい。ゲル化剤としては、例えば、リン酸架橋でんぷん、セルロース誘導体等を挙げることができる。また、酸とゲル化剤を含むものとしてラスノンウエル(商品名:萬商株式会社製)等を挙げることができる。なお上記の酸系の薬品に対して72時間、好ましくは24時間、さらに好ましくは16時間程度、ゲル状態を保持するものであれば公知のゲル化剤を適宜選択することができる。溶媒としては、例えば、純水を挙げることができる。
塗布工程(ステップS12)および薬剤保持工程(ステップS13)では、除染対象、例えば、一次系3配管の内表面に形成された酸化皮膜12にゲル状薬剤21を浸透させるために所定の時間、酸化皮膜表面にゲル状薬剤21をとどめておく必要がある。本実施例では、薬剤保持工程(ステップS13)で酸化皮膜表面にゲル状薬剤21をとどめておくためにゲル化剤を用いてゲル状薬剤21をゲル化させて、ゲル状とした。薬剤保持工程(ステップS13)はゲル状薬剤21を除染対象の酸化皮膜表面に塗布するだけで、酸化皮膜表面にゲル状薬剤21を長時間とどめることができる。
塗布工程(ステップS12)において、ゲル状薬剤21を保持するための塗布方法としては、例えば、簡易な方法としてへら等を用いて、除染したい配管の内表面に塗布することが挙げられる。また放射線量が高い場合は作業中に被ばくするおそれがあるため、例えば、ロボットハンドなどの遠隔操作により刷毛やへら等を用いて、除染したい配管30の内表面に塗布することで被ばくを防止し除染作業を行うことができる。このように本実施例はロボットハンドと刷毛のような簡易な塗布装置で被ばくすることなく施工することができる。
塗布工程(ステップS12)におけるゲル状薬剤21の塗布量としては、塗り厚さが、好ましくは0.5mm以上5mm以下、より好ましくは1mm以上3mm以下、さらに好ましくは1mmである。
薬剤保持工程(ステップS13)における保持時間は、上記の塗り厚さでゲル状薬剤21を酸化皮膜表面に72時間、好ましくは24時間、さらに好ましくは16時間程度保持させることで十分な除染効果を得ることができる。
このゲル状薬剤21の塗布の際に、本実施例では、酸化皮膜表面を粗面にしつつゲル化剤を塗布するようにしている。
図4は、実施例1に係るゲル化剤を用いて粗面にする工程図である。
ここで、図4においては、配管等の母材11の表面に酸化皮膜12が形成されている場合を示す。
そして、薬剤中に粒子22を分散させたゲル状薬剤21を用いて、塗布時にやや強く塗りつけるようにしている。これにより、酸化皮膜12の一部を物理的に割りや筋を付けて物理的な凹凸面23等の粗面状態とし、薬剤を浸透しやすくしている。
この結果、粗面となった酸化皮膜12の箇所から、硝酸フッ酸等の薬剤が母材11まで浸透し、母材11を溶解し、酸化皮膜12を浮かせて除去することとなる。これにより、除染性能の向上を図ることができる。
ゲル状薬剤21に配合する粒子としては、例えばジルコニア、酸化クロム等を挙げることができ、硝酸やの薬剤に溶解しにくいものが望ましい。
また、金属の粒子を配合する以外に、酸化皮膜12の表面に対して、薬剤を浸透しやすいものとして、例えばワイヤブラシで擦りつけるようにしてもよい。また、平板に数マイクロメートル程度の凹凸をつけた治具を用いて、ゲル状薬剤21を塗布し、酸化皮膜12の表面を粗面にするようにしてもよい。
そして、一定時間ゲル状薬剤21を保持した後、ゲル状薬剤21の一部を除去し、酸化皮膜12が除去できていることを確認した後、ゲル状薬剤21を除去する。
酸化皮膜12の除去が少ない場合は、繰り返し、再度、塗布工程(ステップS12)〜薬剤除去工程(ステップS14)を繰り返し行い、除染性能を高めるようにしてもよい。
上述したようにゲル状薬剤21を酸化皮膜表面に保持させることで、ゲル状薬剤21が酸化皮膜表面を溶解し、続いて母材金属にゲル状薬剤21を浸透させるための十分な時間を確保することができる。これにより放射性物質の除染率を向上させることができる。
本実施例ではゲル状の強い酸性のゲル状薬剤21を配管30に塗布することにより、簡易な方法で除染処理を行うことが可能となる。また上記の除染処理は室内で行うことができるので常温(室温)で除染効果が得られるものである。なお、ゲル状の薬剤21の塗布は1回だけに限ることはなく、除染作業中に何度も繰り返して塗布することができる。また、除染作業中に1度塗布したゲル状薬剤21を除去した後、再度ゲル状薬剤21を塗布するという作業を複数回繰り返すことで除染率を向上させることが可能である。
薬剤除去工程(ステップS14)は、ゲル状薬剤21を塗布してから所定時間経過後に酸化皮膜表面に保持させたゲル状薬剤21を除去する工程である。本実施例では、酸化皮膜表面に塗布したゲル状薬剤21はゲル状であるため、簡易な方法、例えば、へら状のスクレバーなどにより取り除くことができる。なおゲル状の薬剤21を取り除けるものであればスクレバー等に限らず適宜道具を選択して使用することができる。また放射線量が高い場合は作業中に被ばくするおそれがあるため、例えば、ロボットハンドなどの遠隔操作によりスクレバー等を用いて、塗布したゲル状薬剤21を除去することで被ばくを防止し除染作業を行うことができる。このように本実施例はロボットハンドとスクレバーのような簡易な除去装置で被ばくすることなく施工することができる。その他の除去方法としては、所定時間経過後にゲル状薬剤21を塗布した配管を冷却してゲル状薬剤21を凍らせる。その後、凍ったゲル状薬剤21を、例えばハンマーなどで衝撃を加えて割り、その破片を取り除くことで塗布したゲル状薬剤21を容易に除去するようにしてもよい。この方法は形状が複雑でへら状のスクレバーなどでは拭き取りにくい除染対象物に対して有効な方法である。
洗浄工程(ステップS15)は、薬剤除去工程(ステップS14)で取り除くことができなかったゲル状薬剤21を除去する工程である。本実施例では、ゲル状薬剤21はゲル状であるため、へら状のスクレバーなどで取り除けなくても洗浄剤や溶剤を使用する必要はない。例えば、ウエスのようなもので拭き取るだけで除去することができる。これにより洗浄剤などを使用しないので、廃液処理を行う必要がない。また使用したウエスを廃棄するだけで良いし、除染に使用した廃液や廃棄物の量を大幅に削減することが可能となる。
廃棄処理工程(ステップS16)は、薬剤除去工程(ステップS14)で剥がし取ったゲル状薬剤21を処理する工程である。この処理は取り除いたゲル状薬剤21を、例えば、純水などの溶媒に溶解させた後、例えば、水酸化カルシウムや炭酸カルシウムなどの中和剤を混合して、フッ化カルシウムとして生成させた化合物を廃棄物として処理することができる。またシュウ酸やクエン酸などは酸化剤や触媒を利用して薬剤を二酸化炭素と水とに分解することができる。本実施例のゲル状薬剤21はゲル状のため塗布量も厚さ1mm程度と使用量も少なくて済むので、廃液処理量及び廃棄物量を大幅に削減することができる。本実施例によれば、廃液処理に係る廃棄物量は従来に比べて1/100以下とすることが可能である。なお中和剤に用いる薬品は上記に限ることはなく、ゲル状薬剤21の成分に対して化合物を生成させる薬品であれば良く、その中和処理方法も適宜選択することができる。さらに本実施例の廃液処理工程は、従来の除染方法のように大量の薬剤を処理する必要はないので、廃液処理のためのUV塔やイオン交換樹脂塔などの大がかりな処理装置を削減することができる。
なお、除染の判断をする放射線量を計測する方法は、例えば、GM管式サーベイメーターなどで行うことができるので詳細な説明は省略する。判断工程で判断する除染率は、除染を行う前の除染対象物の放射線量と、除染後の除染対象物の放射線量とから求めることができる。本実施例の放射性廃棄物除染方法による除染率は、30%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは90%以上である。
本実施例によれば、ゲル状薬剤21の塗布時に、酸化皮膜12の表面を物理的な凹凸等の粗面を形成し、ゲル状薬剤21中の酸性薬液の浸透性を高め、酸化皮膜12と薬液の接触面積を拡大、除染性能(除染速度)の向上を図ることができる。
次に、本発明の実施例2に係る放射性廃棄物除染方法について、図5を参照して説明する。図5は、実施例2に係る放射性廃棄物除染方法の工程図である。なお、実施例1と同様の部材については、同一符号を付してその説明は省略する。
放射性廃棄物除染方法の処理工程は、図3に示す工程と同様であり、省略する。
本実施例では、塗布工程で塗布したゲル状薬剤21を配管30の内表面に所定時間とどまるように保持させる薬剤保持工程(ステップS13)において、ゲル状薬剤塗布面をフィルム等の被覆部材で覆いつつ、ゲル状薬剤21を前記除染対象物の内表面に所定時間とどまるように保持させるようにしている。
本実施例では、母材11へゲル状薬剤21の薬液を浸透させるために、長時間ゲル剤で塗布する際、被覆部材で被覆し、長時間塗布することで、母材11へ浸透する薬液量を多くしている。
ここで、母材11の溶解に有効な、フッ酸(HF)の沸点は20℃程度と低温であるので、長時間ゲル塗布をそのまま保持することでは、フッ酸(HF)が気化し、除染性能が低下する懸念がある。
本実施例では、図5に示すように、母材11へゲル状薬剤21を塗布した後、フィルム25をその表面に貼り付け、フッ酸の揮発を防止している。
ゲル状薬剤21を塗布した上に、薄いフィルム25を貼り付けすることで、揮発したフッ酸の揮発、拡散が抑制される。これにより、長時間にわたりフッ酸の溶解力を維持することが可能となる。
次に、本発明の実施例3に係る放射性廃棄物除染方法について、図6を参照して説明する。図6は、実施例3に係る放射性廃棄物除染方法の工程図である。なお、実施例1と同様の部材については、同一符号を付してその説明は省略する。
放射性廃棄物除染方法の処理工程は、図3に示す工程と同様であり、省略する。
本実施例では、ゲル状薬剤調整工程(ステップS11)において、酸化処理する薬液として、フッ酸等を用いる代わりに、テトラフルオロホウ酸(BF4)を用いて、ゲル状薬剤21中に含有させるようにしている。
テトラフルオロホウ酸は、以下の式にしたがってゲル状薬剤21中でゆっくり分解し、フッ酸(HF)を生成することから、長時間にわたりフッ酸の効果が期待できる。
BF4 - +3H2O + H+ →B(OH)3 + 4HF
ゲル中で徐々にフッ酸が生成するため、維持薬液の効果が長時間期待できる。
ゲル状薬剤21に含有する酸化皮膜12を溶解処理する薬剤としてテトラフルオロホウ酸を用いることで、フッ酸による母材の溶解の効果を長時間維持することができる。
次に、本発明の実施例4に係る放射性廃棄物除染方法について、図7を参照して説明する。図7は、本実施例のゲル化させたゲル状薬剤を、除染対象物である配管30の内表面に塗布した状態を示す図である。なお、実施例1と同様の部材については、同一符号を付してその説明は省略する。
放射性廃棄物除染方法の処理工程は、図3に示す工程と同様であり、省略する。
本実施例では、塗布工程で塗布したゲル状薬剤21を配管30の内表面に所定時間とどまるように保持させる薬剤保持工程(ステップS13)において、配管30の周囲にヒーター31を巻装し、配管30を加温するようにしている。
母材11に薬品への浸透性を高めるために温度を上昇している。
ここで、処理の際、温度を上昇すると薬剤の拡散係数が大きくなるため、拡散速度が大きくなり、酸化皮膜へ浸透しやすくなる。
なお、配管30等に対しては、リボン状のヒーター31を配管外面(除染対象の外側)に巻き付け、加熱を行うことにしている。
一般的な化学反応速度は10℃で2倍であり、室温から40〜90℃程度まで温度を上昇させることで、除染性能の向上を図るようにしている。
また、薬品は温度を加えることで、水分が揮発し、固化するため、長時間加熱し、ゲルが固化する。
よって、固化後、例えばヘラのようなもので、固化したゲルを除去することで除去が可能である。
本実施例では、除染の廃液発生量が少ないために、あとの処理が簡便となる。
加温することにより、温度上昇により、拡散係数(拡散速度)が大きくなり、母材への薬品の浸透性(浸透速度)が高まる。薬品は、温度上昇により、水分の揮発が進み、固体回収が出来る為、除染廃液量の低減を図ることができる。
次に、本発明の実施例5に係る放射性廃棄物除染方法について説明する。
本実施例では、放射性廃棄物除染方法の処理工程は、図3に示す工程と同様であり、省略する。
本実施例では、ゲル状薬剤21を塗布した後、ゲル状薬剤21を除去する工程(ステップS14)において、硝酸、フッ酸等により酸化皮膜を浮かせて除去する方法であるため、ゲル除染後、酸化皮膜12は、母材11が溶解することで、除去しやすくなっている。
そこで、ゲル状薬剤21を除染した後、ゲル状薬剤の剥離面に、ストリッパブルペイントを塗布し、所定時間乾燥した後、ストリッパブルペイントを剥離する。
これにより、ゲル状薬剤21の除去後のルーズになった酸化皮膜12をストリッパブルペイントの剥離力により、さらに剥離除去することができる。
薬剤除去工程(ステップS14)において、ストリッパブルペイントを用いることで、通常のゲルによる除染に加え、更に剥離による酸化皮膜12の除去効果が加わり、より高い除染性能を発揮する。
本実施例によれば、除染後、ストリッパブルペイントを用いた酸化皮膜12の除去を行う事で、通常のゲル除染に加え、剥離による酸化皮膜12の除去効果が加わり、より高い除染性能が得られる。
11 母材
12 酸化皮膜
21 ゲル状薬剤
22 粒子
23 凹凸面
25 フィルム
31 ヒーター
100 原子力発電プラント
111 原子炉
112 原子炉冷却系
113 タービン系
115a コールドレグ
115b ホットレグ
116 蒸気発生器
117 加圧器
118 原子炉冷却材ポンプ
119 原子炉格納容器
121 燃料集合体
122 制御棒
125 タービン
126 復水器
127 給水管
128 給水ポンプ
129 発電機
130 冷却管
131 取水管
132 排水管

Claims (5)

  1. 原子力発電プラントの一次系を構成する部材を取り替えた後に廃棄する除染対象物の母材の内表面に形成した酸化皮膜を除去する放射性廃棄物除染方法であって、
    前記除染対象物の前記酸化皮膜表面にゲル状薬剤を前記母材まで浸透させる凹凸面を設けつつ前記ゲル状薬剤を塗布する塗布工程と、
    前記ゲル状薬剤を前記除染対象物の内表面に所定時間とどまるように保持させる薬剤保持工程と、
    前記所定時間経過後に前記保持させたゲル状薬剤を除去する薬剤除去工程と、を有すると共に、
    前記薬剤除去工程の終了後に、ゲル状薬剤の剥離面に、ストリッパブルペイントを塗布し、その後ストリッパブルペイントを剥離することを特徴とする放射性廃棄物除染方法。
  2. 原子力発電プラントの一次系を構成する部材を取り替えた後に廃棄する除染対象物の内表面に形成した酸化皮膜を除去する放射性廃棄物除染方法であって、
    前記除染対象物の前記酸化皮膜表面にゲル状薬剤を塗布する塗布工程と、
    前記ゲル状薬剤塗布面を覆いつつ、前記ゲル状薬剤を前記除染対象物の内表面に所定時間とどまるように保持させる薬剤保持工程と、
    前記所定時間経過後に前記保持させたゲル状薬剤を除去する薬剤除去工程と、を有することを特徴とする放射性廃棄物除染方法。
  3. 原子力発電プラントの一次系を構成する部材を取り替えた後に廃棄する除染対象物の内表面に形成した酸化皮膜を除去する放射性廃棄物除染方法であって、
    前記除染対象物の前記酸化皮膜表面にテトラフルオロホウ酸を含有するゲル状薬剤を塗布する塗布工程と、
    前記ゲル状薬剤を前記除染対象物の内表面に所定時間とどまるように保持させる薬剤保持工程と、
    前記所定時間経過後に前記保持させたゲル状薬剤を除去する薬剤除去工程と、を有すると共に、前記薬剤除去工程の終了後に、ゲル状薬剤の剥離面に、ストリッパブルペイントを塗布し、その後ストリッパブルペイントを剥離することを特徴とする放射性廃棄物除染方法。
  4. 原子力発電プラントの一次系を構成する部材を取り替えた後に廃棄する除染対象物の内表面に形成した酸化皮膜を除去する放射性廃棄物除染方法であって、
    前記除染対象物の前記酸化皮膜表面にゲル状薬剤を塗布する塗布工程と、
    前記除染対象物を加温しつつ、前記ゲル状薬剤を前記除染対象物の内表面に所定時間とどまるように保持させる薬剤保持工程と、
    前記所定時間経過後に前記保持させたゲル状薬剤を除去する薬剤除去工程と、を有すると共に、前記薬剤除去工程の終了後に、ゲル状薬剤の剥離面に、ストリッパブルペイントを塗布し、その後ストリッパブルペイントを剥離することを特徴とする放射性廃棄物除染方法。
  5. 請求項2において、
    前記薬剤除去工程の終了後に、ゲル状薬剤の剥離面に、ストリッパブルペイントを塗布し、その後ストリッパブルペイントを剥離することを特徴とする放射性廃棄物除染方法。
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