[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態の車両用衝突検知装置について、図1〜図11を参照して説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態の車両用衝突検知装置1は、バンパアブソーバ2、中空の検出用チューブ部材3、圧力センサ4、速度センサ5、衝突検知ECU6、押圧部材11、信号印加用端子12、電源供給部13、異常報知ランプ14(異常報知部に相当)等を備えて構成される。この車両用衝突検知装置1は、車両前方に設けられたバンパ7への物体(即ち、歩行者等)の衝突を検知するものである。このバンパ7は、図3に示すように、バンパカバー8、バンパアブソーバ2、バンパレインフォースメント9を主体として構成されている。
バンパアブソーバ2は、バンパレインフォースメント9の前面9aに対向する位置(即ち、車両前方側)に配設される。このバンパアブソーバ2は、車両の歩行者等との衝突時にバンパ7において衝撃吸収の作用を受け持つ部材であり、例えば発泡ポリプロピレン等からなる。
バンパアブソーバ2の後面2bには、検出用チューブ部材3を装着するための溝部2aが車幅方向に沿って形成されている。この溝部2aは、矩形の断面形状を有し、車幅方向に延びている。溝部2aの車両前後方向の長さは、検出用チューブ部材3の前後長さ(即ち、外径の長さ)と、後述する押圧部材11の非押圧状態における前後長さをたし合せた長さと同程度に設定されている。この場合、溝部2aの前後長さは、10mm程度である。また、溝部2aの車両上下方向の長さは、検出用チューブ部材3の上下長さ(即ち、外径の長さ)よりも長く設定されている。この場合、溝部2aの上下長さは、10mm程度である。尚、溝部2aの断面形状は、適宜変更可能であるとする。
検出用チューブ部材3は、図1及び図2に示すように、内部に中空部3aが形成され、車幅方向、即ち車両左右方向に延びているチューブ状の部材である。この検出用チューブ部材3は、図3に示すように、バンパアブソーバ2の溝部2aに装着され、バンパレインフォースメント9の前面9aに対向する位置(即ち、車両前方側)に配設される。検出用チューブ部材3の両端部は、バンパレインフォースメント9の車幅方向左右の外側で湾曲して圧力センサ4に接続される。
この検出用チューブ部材3は、円形の断面形状を有し、合成ゴム、例えばシリコーンゴムからなる。また、検出用チューブ部材3の外径は、例えば8mm程度である。尚、検出用チューブ部材3の断面形状は、円形に限られず、四角形等の多角形であってもよい。また、検出用チューブ部材3の材質としては、他にもエチレンプロピレンゴム(EPDM)等でもよい。
そして、本実施形態では、バンパアブソーバ2の溝部2a内における検出用チューブ部材3の車両後方側に、検出用チューブ部材3を車両前後方向に押圧するための押圧部材11が配設されている。この押圧部材11は、溝部2a内に車幅方向に沿って、複数、この場合7つ配置されている。具体的には、押圧部材11は、溝部2a内の車幅方向中央部に1つ、溝部2a内の車幅方向左右両端部に1つずつ、車幅方向中央部と車幅方向左右両端部との間に2つずつ、計7箇所に設けられている。尚、押圧部材11は、検出用チューブ部材3の脱落等が生じ易い位置に設けられていることが好ましい。また、押圧部材11の配置位置及び個数は適宜変更可能である。
この押圧部材11は、図3及び図4に示すように、薄い板状の発熱部11aと、電気信号の印加により弾性変形するバイメタル構造部11bとを有して構成される。発熱部11aは、電圧等が印加されることにより発熱する部材である。発熱部11aの上端部は、信号印加用端子12に接続される。
バイメタル構造部11bは、熱膨張率が異なる2つの金属板を貼り合せたものであり、温度変化に伴って形状が変化する部材である。本実施形態のバイメタル構造部11bは、車両前方側に熱膨張率の高い金属板が配置され、車両後方側に熱膨張率の低い金属板が配置される。これにより、バイメタル構造部11bの温度が上昇した際に、熱膨張率の高い車両前方側の金属板が、熱膨張率の低い車両後方側の金属板よりも大きく変形することにより、車両前方側に湾曲した形状に弾性変形するように構成されている。
押圧部材11は、上記した温度変化に伴うバイメタル構造部11bの形状の変化を用いて、検出用チューブ部材3を押圧しない非押圧状態と、検出用チューブ部材3を所定量押圧する押圧状態とに、外部からの信号によって切り替え可能となっている。
具体的には、外部の電源供給部13から信号印加用端子12を介して、押圧部材11の発熱部11aに電気信号として電圧が印加されると、発熱部11aが発熱する。この発熱部11aの発熱に伴って、バイメタル構造部11bの温度が上昇し、バイメタル構造部11bが湾曲した形状に変形する。これにより、バイメタル構造部11bと発熱部11aとが一体になって車両前方側へ湾曲するように変形し、押圧部材11が検出用チューブ部材3を所定量(例えば2mm程度)車両前方側へ押圧する。
一方、電源供給部13から発熱部11aへの電圧の印加を停止すると、発熱部11aの温度が低下し、バイメタル構造部11bの温度も低下する。バイメタル構造部11bは、温度の低下に伴って、湾曲した形状から元の平らな形状に戻り、押圧部材11は、検出用チューブ部材3を押圧しない非押圧状態に切り替わる。
押圧部材11の車幅方向の長さWは、例えば30mm程度に設定されている(図4参照)。また、押圧部材11の車両上下方向の長さHは、溝部2aの上下長さ以下に設定されている。この場合、押圧部材11の上下長さは、例えば10mm以下に設定されている。また、押圧部材11の非押圧状態の時の車両前後方向の長さ(即ち、厚さ)は、数mm程度である。一方、押圧部材11の押圧状態の時の車両前後方向の長さは、非押圧状態の時よりも2mm程度大きくなるようになっている(図6及び図7参照)。これにより、押圧状態において、押圧部材11は、検出用チューブ部材3を所定量(例えば2mm程度)車両前方側へ押圧した状態になる。
信号印加用端子12は、図3、図4、及び図6に示すように、矩形板状の導電部材であって、押圧部材11へ電気信号(例えば電圧等)を印加するためのものである。信号印加用端子12は、一端部(即ち、下端部)が押圧部材11に接続され、他端部(即ち、上端部)が図示しない信号線を介して電源供給部13に接続されている。尚、図3及び図6では、配線をし易くするために信号印加用端子12の上部が車両前方側へ折り曲げられた状態が示されている。
電源供給部13は、押圧部材11に電気信号として電圧等を供給するものである。具体的には、電源供給部13は、信号印加用端子12を介して押圧部材11の発熱部11aに所定時間にわたって電圧を印加する。この所定時間は、検出用チューブ部材3の検査に要する時間と同程度に設定されている。
圧力センサ4は、バンパレインフォースメント9の前面9aよりも車両後方側に配置される。具体的には、圧力センサ4は、バンパカバー8内の左右両端部側に2つ設置され、バンパレインフォースメント9の後面9bに図示しないボルト等で締結することにより固定されて取り付けられる。本実施形態では、このように圧力センサ4を2つ設置することにより、冗長性及び検出精度を確保している。
この圧力センサ4は、図2に示すように、検出用チューブ部材3の左右両端部に接続され、検出用チューブ部材3の中空部3a内の圧力を検出するように構成されている。具体的には、圧力センサ4は、気体の圧力変化を検出するセンサ装置であり、検出用チューブ部材3の中空部3a内の空気の圧力変化を検出する。圧力センサ4は、図1に示すように、信号線を介して衝突検知ECU(Electronic Control Unit)6に電気的に接続され、圧力に比例した信号を衝突検知ECU6へ出力する。衝突検知ECU6は、圧力センサ4による圧力検出結果に基づいて、バンパ7への歩行者の衝突を検知する。また、衝突検知ECU6は、歩行者保護装置10に電気的に接続されている。
速度センサ5は、車両の速度を検出するセンサ装置であり、衝突検知ECU6に信号線を介して電気的に接続されている。この速度センサ5は、車両速度に比例した信号を衝突検知ECU6へ送信する。
衝突検知ECU6は、CPUを主体として構成され、車両用衝突検知装置1の動作全般を制御するものであり、圧力センサ4、速度センサ5、歩行者保護装置10、異常報知ランプ14のそれぞれに電気的に接続されている(図1及び図5参照)。衝突検知ECU6には、圧力センサ4からの圧力信号、速度センサ5からの速度信号等が入力される。衝突検知ECU6は、圧力センサ4からの圧力信号及び速度センサ5からの速度信号に基づいて、衝突検知部61により所定の衝突判定処理を実行し、バンパ7への歩行者等の物体の衝突を検知した場合には歩行者保護装置10を作動させる。
また、本実施形態の衝突検知ECU6は、後述する通り、圧力センサ4からの圧力信号に基づいて、異常検知部62により検出用チューブ部材が異常であるか否かの判定を行う。異常検知部62は、検出用チューブ部材3が異常であると判定した場合、制御信号を出力して異常報知ランプ14を作動させる。
バンパ7は、車両の衝突時における衝撃を和らげるためのものであり、バンパカバー8、バンパアブソーバ2、バンパレインフォースメント9等から構成される。バンパカバー8は、バンパ7の構成部品を覆うように設けられ、ポリプロピレン等の樹脂製の部材である。このバンパカバー8は、バンパ7の外観を構成すると同時に、車両全体の外観の一部を構成するものとなっている。
バンパレインフォースメント9は、バンパカバー8内に配設されて車幅方向に延びるアルミニウム等の金属製の剛性部材であって、図3に示すように、内部中央に梁が設けられた中空部材である。また、バンパレインフォースメント9は、車両前方側の面である前面9aと、車両後方側の面である後面9bとを有している。このバンパレインフォースメント9は、図1及び図2に示すように、車両前後方向に延びる一対の金属製部材であるサイドメンバ15の前端に取り付けられる。
通常、車両の衝突事故においては、車両の進行方向、即ち車両前方に存在する歩行者や車両と衝突する場合が多い。このため、本実施形態では、圧力センサ4をバンパレインフォースメント9の後面9bに配設して、車両前方の歩行者や車両との衝突に伴う衝撃が、車両前方に設けられたバンパカバー8等から圧力センサ4に直接伝わることをバンパレインフォースメント9の存在によって保護している。
尚、図示しないが、バンパアブソーバ2の後面2bに設けられた嵌合凸部が、バンパレインフォースメント9の前面9aに設けられた嵌合凹部に嵌め合わされることにより、バンパアブソーバ2のバンパレインフォースメント9への組付けが行われる。
歩行者保護装置10としては、例えばポップアップフードを用いる。このポップアップフードは、車両の衝突検知後瞬時に、エンジンフードの後端を上昇させ、歩行者とエンジン等の硬い部品とのクリアランスを増加させ、そのスペースを用いて歩行者の頭部への衝突エネルギーを吸収し、歩行者の頭部への衝撃を低減させるものである。尚、ポップアップフードの代わりに、車体外部のエンジンフード上からフロントウインド下部にかけてエアバッグを展開させて歩行者の衝撃を緩衝するカウルエアバッグ等を用いてもよい。
次に、本実施形態における車両用衝突検知装置1の検査方法について図11を参照して説明する。本実施形態では、バンパアブソーバ2の溝部2a内に検出用チューブ部材3が正常に装着されているか否かの検査を行う。この検査は、溝部2a内に検出用チューブ部材3が装着されたバンパアブソーバ2のバンパレインフォースメント9への組付け時に衝突検知ECU6の異常検知部62によって行われる。更に、この検査は、完成車両においてイグニッションスイッチ(以下、IGスイッチと称す)がオンされた時に、衝突検知ECU6の異常検知部62によって行われる。尚、バンパアブソーバ2の組付け時における検査は、衝突検知ECU6に代えて、異常検知部62と同等の機能を有する検査装置を用いて実施してもよい。
まず、検出用チューブ部材3を押圧しない非押圧状態で、押圧部材11を溝部2a内に配置する(配置工程S1)。即ち、バンパアブソーバ2の溝部2a内に検出用チューブ部材3を装着した後に、溝部2a内における検出用チューブ部材3の車両後方側のスペースに押圧部材11を配置する。この後、バンパアブソーバ2の後面2bとバンパレインフォースメント9の前面9aとを嵌合させて、バンパアブソーバ2のバンパレインフォースメント9への組付けを行う。配置工程S1は、作業者又はロボット等によって行われる。尚、配置工程S1は、バンパアブソーバ2の組み付け時にのみ行い、完成車両のIGスイッチオン時には行わない。
続いて、外部の電源供給部13から、図示しない信号線及び信号印加用端子12を介して、押圧部材11に信号を印加する(S2)。具体的には、押圧部材11の発熱部11aに電圧を印加する。発熱部11aに電圧が印加されると、発熱部11aが発熱する。この発熱部11aの発熱に伴ってバイメタル構造部11bの温度が上昇し、バイメタル構造部11bが発熱部11aと一体となって車両前方側に湾曲するように変形する(図7参照)。これにより、図6に示すように、押圧部材11が検出用チューブ部材3を所定量(例えば2mm程度)車両前方側へ押圧した押圧状態になる(押圧工程S3)。
次に、押圧部材11が押圧状態にある時に、圧力センサ4により検出用チューブ部材3の中空部3a内の圧力を検出する(圧力検出工程S4)。続いて、衝突検知ECU6の異常検知部62によって、圧力センサ4による圧力検出値が図9に示す所定範囲内であるか否かの判定を行う(判定工程S5)。尚、この「所定範囲」は、正常状態で検出用チューブ部材3が押圧部材11によって押圧された場合に圧力センサ4によって検出される圧力値の範囲を予め実験等によって求めて設定されている。
具体的には、圧力センサ4による圧力検出値の最大値が第1閾値Pth1未満である場合(図10の実線グラフ参照)、及び、圧力検出値の最大値が第2閾値Pth2よりも大きくなった場合(図10の点線グラフ参照)、異常検知部62は、圧力検出値が所定範囲内ではなく(S5:No)、検出用チューブ部材3が異常であると判定する(S6)。そして、異常検知部62は、制御信号を出力して異常報知ランプ14を点灯させて、検出用チューブ部材3の異常を組付け作業者・乗員等へ報知する(異常報知工程S7)。これにより、作業者・乗員等は、検出用チューブ部材3が異常である旨を視認できる。
ここで、圧力検出値の最大値が第1閾値Pth1未満である場合は、検出用チューブ部材3が溝部2a内から脱落している状態や、検出用チューブ部材3が破損している状態等の検出用チューブ部材3の異常を想定している。即ち、図8に示すように、検出用チューブ部材3の一部が溝部2a内から脱落して車両下方側にはみ出た状態では、その脱落部分において押圧部材11が車両前方側に湾曲するように変形しても、検出用チューブ部材3が溝部2aの正常な位置に存在しないため、検出用チューブ部材3は充分に押圧されない。このため、中空部3a内の圧力上昇は正常時よりも小さくなり、圧力センサ4による圧力検出値が所定範囲よりも小さくなる。尚、図8では、バンパアブソーバ2の溝部2aを車両後方側から見た図が示されている。
また、図示しないが、検出用チューブ部材3の一部に破損、亀裂等が生じている状態では、押圧部材11により検出用チューブ部材3を押圧しても、その破損、亀裂から中空部3a内の空気が流出するため、中空部3a内の圧力上昇は正常時よりも小さくなり、圧力センサ4による圧力検出値が所定範囲よりも小さくなる。
また、圧力検出値の最大値が第2閾値Pth2よりも大きくなった場合は、溝部2a内に小石等の異物が混入している状態を想定している。この場合、当該異物等の混入した箇所では、押圧部材11により検出用チューブ部材3を押圧した際に、異物と押圧部材11との両方から押圧される状態となるため、中空部3a内の圧力上昇は正常時よりも大きくなり、圧力センサ4による圧力検出値が所定範囲よりも大きくなる。尚、第2閾値Pth2は、後述する衝突検知に用いる衝突判定閾値よりも小さい値に設定されている。
一方、圧力センサ4による圧力検出値の最大値が第1閾値Pth1以上であり、且つ第2閾値Pth2以下である場合(図9参照)、異常検知部62は、圧力検出値が所定範囲内であり(S5:Yes)、検出用チューブ部材3が正常であると判定する(S8)。
S7又はS8の後、押圧部材11への信号(即ち、電圧)に印加を停止する(S9)。押圧部材11への信号の印加が停止すると、押圧部材11が非押圧状態に戻る(S10)。即ち、押圧部材11への電圧の印加が停止すると、発熱部11aの温度が低下するとともに、バイメタル構造部11bの温度も低下する。この温度低下に伴って、バイメタル構造部11bは、発熱部11aと一体となって車両前方側に湾曲した状態から元の平らな状態に戻る(図3参照)。これにより、押圧部材11は、検出用チューブ部材3を押圧しない非押圧状態に戻る。このようにして、バンパアブソーバ2のバンパレインフォースメント9への組付け時における車両用衝突検知装置1の検出用チューブ部材3の検査が終了する。
更に、本実施形態における車両用衝突検知装置1の検査方法では、車両のIGスイッチがオンされた時に、上記したS2〜S10の各工程が実行される。即ち、IGスイッチがオンすると、電源供給部13から信号線及び信号印加用端子12を介して、押圧部材11に信号として電圧が印加され(S2)、以下S10までの各工程が実行される。
次に、本実施形態における車両用衝突検知装置1の衝突時の動作について説明する。車両前方に歩行者等の物体が衝突した際には、バンパ7のバンパカバー8が歩行者との衝突による衝撃により変形する。続いて、バンパアブソーバ2が衝撃を吸収しながら変形すると同時に、検出用チューブ部材3も変形する。このとき、検出用チューブ部材3の中空部3a内の圧力が急上昇し、この圧力変化が圧力センサ4に伝達する。
続いて、車両用衝突検知装置1の衝突検知ECU6の衝突検知部61は、圧力センサ4の検知結果に基づいて、所定の衝突判定処理を実行する。この衝突判定処理では、例えば圧力センサ4及び速度センサ5の検出結果に基づいて、衝突物の有効質量を算出し、この有効質量が所定の衝突判定閾値より大きい場合、歩行者との衝突が発生したものと判定し、更に車両速度が所定の範囲(例えば、時速25km〜55kmの範囲)内である場合に、歩行者保護装置10の作動を要する歩行者との衝突が発生したものと判定する。
ここで、「有効質量」とは、衝突時における圧力センサ4の検出値より、運動量と力積の関係を利用して算出する質量をいう。車両と物体との衝突が発生した場合、歩行者とは質量の異なる衝突物では、検知される圧力センサ4の値が異なる。このため、人体の有効質量と、想定される他の衝突物の質量との間に衝突判定閾値を設定することにより、衝突物の種類を切り分けることが可能となる。この有効質量は、次式に示すように、圧力センサ4により検出される圧力の値の所定時間における区間積分値を、速度センサ5により検出される車両速度で割ることにより算出される。
M=(∫P(t)dt)/V・・・(式1)
尚、Mは有効質量、Pは所定時間における圧力センサ4による検出値、tは所定時間(例えば、数ms〜数十ms)、Vは速度センサ5により検出される衝突時の車両速度を示している。有効質量を算出する方法には、他にも、衝突した物体の運動エネルギーEを表す式E=1/2・MV2を用いて算出することが可能である。この場合、有効質量は、M=2・E/V2により算出される。
そして、衝突検知ECU6は、歩行者保護装置10の作動を要する歩行者との衝突が発生したと判定した場合、歩行者保護装置10を作動させる制御信号を出力し、歩行者保護装置10を作動させて、上記したように歩行者への衝撃を低減させる。
以上説明したように、第1の実施形態の車両用衝突検知装置1は、車両のバンパ7内においてバンパレインフォースメント9の車両前方側に配設されたバンパアブソーバ2と、バンパアブソーバ2に車幅方向に沿って形成された溝部2a内に装着される内部に中空部3aが形成された検出用チューブ部材3と、検出用チューブ部材3の中空部3a内の圧力を検出する圧力センサ4と、圧力センサ4による圧力検出結果に基づいてバンパ7への物体(即ち、歩行者等)の衝突を検知する。そして、溝部2a内に配置され、検出用チューブ部材3を押圧しない非押圧状態と検出用チューブ部材3を所定量押圧する押圧状態とに、外部からの信号によって切り替え可能な押圧部材11と、押圧部材11が押圧状態にある時に圧力センサ4によって検出された圧力検出結果に基づいて、検出用チューブ部材3の溝部2aの異常を検知する異常検知部61と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、非押圧状態の押圧部材11を溝部2a内に配置し、外部からの信号によって押圧部材11が検出用チューブ部材3を所定量押圧した押圧状態にさせ、押圧部材11が押圧状態にある時に圧力センサ4によって検出された圧力検出結果に基づいて、異常検知部62により検出用チューブ部材3の異常を検知することができる。これにより、検出用チューブ部材3が溝部2aの外側へ脱落している場合等の異常を迅速に認識することができる。
また、異常検知部(62,S6)は、圧力センサ4により検出される圧力検出値が所定の範囲内でない場合、検出用チューブ部材3が異常であると判定することを特徴とする。この構成によれば、押圧部材11が押圧状態にある時に圧力センサ4により検出される圧力検出値が予め設定された所定の範囲内であるか否かを判定することにより、検出用チューブ部材3が異常であるか否かを正確に検知することができる。
また、異常検知部62は、圧力センサ4により検出される圧力検出値が所定の閾値(即ち、第1閾値Pth1)未満の場合、検出用チューブ部材3が溝部2aから脱落した状態、又は検出用チューブ部材3が破損した状態であると判定することを特徴とする。
この構成によれば、圧力センサ4による圧力検出値が第1閾値Pth1未満であること検出することで、検出用チューブ部材3が溝部2aから脱落した状態、又は検出用チューブ部材3が破損した状態であることを検知できる。即ち、検出用チューブ部材3の少なくとも一部が溝部2a内から脱落した状態である場合、当該脱落の生じている箇所では、押圧部材11の車両前方側の正常な位置に検出用チューブ部材3がないため正常に押圧が行われず、圧力センサ4により検出される圧力検出値が所定範囲よりも小さくなる。また、検出用チューブ部材3の一部に破損、亀裂等が生じている状態では、押圧部材11により検出用チューブ部材3を押圧しても、その破損、亀裂から中空部3a内の空気が流出するため、中空部3a内の圧力上昇は正常時よりも小さくなり、圧力センサ4による圧力検出値が所定範囲よりも小さくなる。これにより、圧力センサ4による圧力検出値に基づいて、検出用チューブ部材3の脱落又は破損を確実に検知できる。
また、押圧部材11は、溝部2a内に車幅方向に沿って所定の間隔をあけて複数設けられ、車幅方向に所定長さ延びた形状を有していることを特徴とする。この構成によれば、押圧部材11が溝部2a内に車幅方向に沿って所定の間隔をあけて複数設けられているので、車幅方向における複数箇所において、検出用チューブ部材3の検査を行うことができ、検出用チューブ部材3の異常検知精度を向上できる。また、押圧部材11が車幅方向に所定長さ延びた形状を有するので、押圧部材11により検出用チューブ部材3を確実に変形させて、圧力センサ4の出力を充分に発生させ、検出用チューブ部材3の異常検知を確実に行うことができる。
また、押圧部材11は、溝部2a内における検出用チューブ部材3の車両後方側に、検出用チューブ部材3と当接した状態で配置されることを特徴とする。この構成によれば、押圧部材11が溝部2a内における検出用チューブ部材3の車両後方側に配置されるので、車両前方の歩行者等との衝突時において、押圧部材11が検出用チューブ部材3の変形を阻害しないようにできる。また、押圧部材11が検出用チューブ部材3を押圧しても、バンパアブソーバ2の形状が変化しない。従って、車両用衝突検知装置1の衝突検知精度を低下させることなく、検出用チューブ部材3の検査を実行することができる。
また、異常検知部62により検出用チューブ部材3の異常が検知された場合、異常報知を行う異常報知ランプ14を備えたことを特徴とする。この構成によれば、異常検知部62により検出用チューブ部材3の異常が検知された場合、異常報知ランプ14が点灯することによって異常報知が行われるので、検出用チューブ部材3の異常を素早く認識することができる。
また、押圧部材11に接続され、当該押圧部材11へ電気信号を印加するための信号印加用端子12を備えている。この信号印加用端子は、少なくとも一部がバンパアブソーバ2の後面2bとバンパレインフォースメント9の前面9aとの間に配設されることを特徴とする。
この構成によれば、押圧部材11へ電気信号を印加するための信号印加用端子12が備えられているので、簡易な構成で押圧部材11へ電気信号を印加することができる。また、信号印加用端子12の少なくとも一部が、バンパアブソーバ2の後面2bとバンパレインフォースメント9の前面9aとの間に挟まれるようして配置されるので、信号印加用端子12を安定して設けることができる。
また、押圧部材11は、電気信号の印加により弾性変形するバイメタル構造部11bを有して構成されることを特徴とする。この構成によれば、電気信号の印加により弾性変形するバイメタル構造部11bを有して構成される押圧部材11を用いることによって、簡易な構成で、検出用チューブ部材3が押圧されていない非押圧状態と検出用チューブ部材3が所定量押圧された押圧状態とを切り替えることができる。
また、第1の実施形態の車両用衝突検知装置1の検査方法は、車両のバンパ7内においてバンパレインフォースメント9の車両前方側に配設されたバンパアブソーバ2と、バンパアブソーバ2に車幅方向に沿って形成された溝部2a内に装着される内部に中空部3aが形成された検出用チューブ部材3と、検出用チューブ部材3の中空部3a内の圧力を検出する圧力センサ4とを有する車両用衝突検知装置1の検査方法において、検出用チューブ部材3を押圧しない非押圧状態で押圧部材11を溝部2a内に配置する配置工程S1と、押圧部材11に外部から信号を印加して押圧部材11が検出用チューブ部材3を所定量押圧した押圧状態にする押圧工程S3と、押圧部材11が押圧状態にある時に圧力センサ4によって圧力を検出する圧力検出工程S4と、圧力検出結果に基づいて検出用チューブ部材3が異常であるか否かを判定する判定工程S5と、を備えたことを特徴とする。
この検査方法によれば、配置工程S1において非押圧状態の押圧部材11を溝部2a内に配置した後、外部から信号を押圧部材11に印加し、押圧工程S3において押圧部材11が検出用チューブ部材3を所定量押圧した押圧状態にする。そして、圧力検出工程S4において押圧部材11が押圧状態にある時に圧力センサ4により圧力を検出し、判定工程S5において圧力検出結果に基づいて検出用チューブ部材3が異常であるか否かを判定することによって、検出用チューブ部材3の異常を検知することができる。即ち、検出用チューブ部材3が溝部2aの外側へ脱落している状態や破損している状態等の異常状態では、圧力センサ4による圧力検出値が小さくなる。これにより、検出用チューブ部材3が溝部2aの外側へ脱落している場合や破損している場合等の検出用チューブ部材3の異常を迅速に認識することができる。
また、判定工程S5では、圧力センサ4により検出される圧力検出値が所定範囲内でない場合に検出用チューブ部材3が異常であると判定することを特徴とする。この検査方法によれば、押圧部材11が押圧状態にある時に圧力センサ4により検出される圧力検出値が予め設定された所定の範囲内であるか否かを判定することにより、検出用チューブ部材3が異常であるか否かを正確に検知することができる。
また、押圧工程S3では、電気信号の印加により弾性変形するバイメタル構造部11bを有して構成される押圧部材11に電気信号を印加して、押圧部材11が検出用チューブ部材を所定量押圧した押圧状態にすることを特徴とする。
この検査方法によれば、電気信号の印加により弾性変形するバイメタル構造部11bを有して構成される押圧部材11を用いることによって、簡易な方法で、検出用チューブ部材3が押圧されていない非押圧状態と検出用チューブ部材3が所定量押圧された押圧状態とを切り替えることができる。
また、押圧工程S3、圧力検出工程S4、判定工程S5は、溝部2aに検出用チューブ部材3が装着されたバンパアブソーバ2のバンパレインフォースメント9への組付けが完了した時と、車両のイグニッションスイッチがオンした時とにおいて実行されることを特徴とする。
この検査方法によれば、バンパアブソーバ2のバンパレインフォースメント9への組付け完了時に検出用チューブ部材3の異常検知を行うことができるので、検出用チューブ部材3の異常が検知された場合には、組付けをやり直して正常な状態で検出用チューブ部材3をバンパアブソーバ2へ配置できる。また、車両のイグニッションスイッチがオンした度ごとに検出用チューブ部材3の異常検知が実行されるので、日常的に車両を使用する際、車両の走行を開始する前に、検出用チューブ部材3の溝部2a内からの脱落や、検出用チューブ部材3の破損を認識し、修理を依頼する等の適切な処置を施すことができる。
また、圧力センサ4をバンパレインフォースメント9の後面9bの左右両端部側に2つ配設することにより、検出用チューブ部材3における圧力変化を高い精度で検知できるとともに、冗長性を確保できる。即ち、2つの圧力センサ4の出力を用いて衝突判定を行うことによって、誤検知を防止して正確な衝突検知を行うことができる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について、図12及び図13を参照して説明する。尚、図12及び図13には上記第1の実施形態と同一部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてだけ説明する。
第2の実施形態においては、図12及び図13に示すように、押圧部材16は、電気応答性ゲルを有して構成され、薄い板状の形状を有している。押圧部材16は、溝部2a内における検出用チューブ部材3の車両上方側に、検出用チューブ部材3と当接した状態で配置される。電気応答性ゲルは、高分子ゲルに電圧を印加することにより、高分子ゲルの形状が可逆的に変化するものである。このゲルの形状の変化は、電圧の印加に伴って、ゲル表面において分子が結合して、ゲル表面が収縮することにより生じる。
押圧部材16の車幅方向の長さは、例えば30mm程度に設定されている。また、押圧部材16の車両前後方向の長さは、溝部2aの前後長さ以下に設定されている。この場合、押圧部材16の前後長さは、例えば8mm以下に設定されている。また、押圧部材16の非押圧状態の時の車両上下方向の長さ(即ち、厚さ)は、数mm程度である。一方、押圧部材16の押圧状態の時の車両上下方向の長さは、非押圧状態の時よりも2mm程度大きくなるようになっている。これにより、押圧状態において、押圧部材16は、検出用チューブ部材3を所定量(例えば2mm程度)車両下方側へ押圧した状態になる。
具体的には、図13に示すように、押圧部材16は、電源供給部13から電圧を印加されることにより、車両下方側に湾曲するように変形し、検出用チューブ部材3を所定量(例えば2mm程度)車両下方側に押圧した押圧状態になる。一方、電源供給部13からの電圧の印加を停止すると、押圧部材16は、車両上方側に変形しながら元の平らな状態に戻り、検出用チューブ部材3を押圧しない非押圧状態になる。尚、図12及び図13では、配線を行い易くするために信号印加用端子12の上部が車両前方側へ折り曲げられた状態が示されている。
次に、第2の実施形態における車両用衝突検知装置1の検査方法について説明する。この第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、バンパアブソーバ2の溝部2aに対する検出用チューブ部材3の検査が行われる。即ち、衝突検知ECU6の異常検知部62により、バンパアブソーバ2のバンパレインフォースメント9への組付け時及び完成車両においてIGスイッチがオンされた時に、検出用チューブ部材3の検査が行われる。具体的には、バンパアブソーバ2のバンパレインフォースメント9への組付け時に図11に示すS1〜S10が実行されるとともに、IGスイッチがオンされた時にS2〜S10の各工程が実行される。
まず、バンパアブソーバ2の溝部2a内に検出用チューブ部材3を装着し、溝部2a内における検出用チューブ部材3の車両上方側のスペースに非押圧状態の押圧部材16を配置する(配置工程S1)。この後、バンパアブソーバ2のバンパレインフォースメント9への組付けを行う。
次に、外部の電源供給部13から押圧部材16に信号を印加し(S2)、押圧部材16が検出用チューブ部材3を所定量押圧した押圧状態にする(押圧工程S3)。具体的には、電源供給部13から信号印加用端子12を介して電気信号として電圧を押圧部材16に印加する。押圧部材16に電圧が印加されると、図13に示すように、電気応答性ゲルの形状が車両下方側に湾曲するように変形する。これにより、押圧部材16が検出用チューブ部材3を所定量(例えば2mm程度)車両下方側へ押圧した押圧状態になる。
次に、押圧部材16が押圧状態にある時に、圧力センサ4により検出用チューブ部材3の中空部3a内の圧力を検出する(圧力検出工程S4)。続いて、衝突検知ECU6の異常検知部62によって、圧力センサ4による圧力検出値が所定範囲内であるか否かの判定を行う(判定工程S5)。
圧力センサ4による圧力検出値の最大値が第1閾値Pth1未満である場合、及び、圧力検出値の最大値が第2閾値Pth2よりも大きくなった場合(図10参照)、異常検知部62は、圧力検出値が所定範囲内ではなく(S5:No)、検出用チューブ部材3が異常であると判定する(S6)。そして、異常検知部62は、制御信号を出力して異常報知ランプ14を点灯させ、検出用チューブ部材3の異常を組付け作業者・乗員等へ報知する(異常報知工程S7)。
一方、圧力センサ4による圧力検出値の最大値が第1閾値Pth1以上であり、且つ第2閾値Pth2以下である場合(図9参照)、異常検知部62は、圧力検出値が所定範囲内であり(S5:Yes)、検出用チューブ部材3が正常であると判定する(S8)。
S7又はS8の後、押圧部材16への信号としての電圧の印加を停止する(S9)。押圧部材16への電圧の印加が停止すると、押圧部材16が非押圧状態に戻る(S10)。即ち、押圧部材16への電圧の印加が停止すると、電気応答性ゲルが車両下方側に湾曲した状態から元の平らな状態に戻る。これにより、押圧部材16は、検出用チューブ部材3を押圧しない非押圧状態に戻る。このようにして、バンパアブソーバ2のバンパレインフォースメント9への組付け時における車両用衝突検知装置1の検出用チューブ部材3の検査が終了する。
また、第2の実施形態においても、第1の実施形態の車両用衝突検知装置1の検査方法と同様に、車両のIGスイッチがオンされた時に、更に、バンパアブソーバ2の溝部2aに対する検出用チューブ部材3の検査が行われる。即ち、IGスイッチがオンされた時に、S2〜S10の各工程が実行される。
以上説明した第2の実施形態の車両用衝突検知装置1では、押圧部材16は、電気信号の印加により形状が可逆的に変化する電気応答性ゲルを有して構成され、溝部2a内における検出用チューブ部材3の車両上方側に、検出用チューブ部材3と当接した状態で配置されることを特徴とする。この第2の実施形態の車両用衝突検知装置1においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、第2の実施形態の車両用衝突検知装置1の検査方法は、検出用チューブ部材3を押圧しない非押圧状態で押圧部材16を溝部2a内に配置する配置工程S1と、押圧部材16に外部から信号を印加して押圧部材16が検出用チューブ部材3を所定量押圧した押圧状態にする押圧工程S3と、押圧部材16が押圧状態にある時に圧力センサ4によって圧力を検出する圧力検出工程S4と、圧力検出結果に基づいて検出用チューブ部材3が異常であるか否かを判定する判定工程S5とを備えている。
そして、押圧工程S3では、電気信号の印加により形状が可逆的に変化する電気応答性ゲルを有して構成される押圧部材16に電気信号を印加して、押圧部材16が検出用チューブ部材を所定量押圧した押圧状態にすることを特徴とする。この第2の実施形態の車両用衝突検知装置1の検査方法によっても、第1の実施形態の車両用衝突検知装置1の検査方法と同様の効果を得ることができる。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について、図14及び図15を参照して説明する。尚、図14及び図15において上記第1の実施形態と同一部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてだけ説明する。
この第3の実施形態においては、図14及び図15に示すように、押圧部材17は、電気信号の印加により形状が可逆的に変化する圧電素子を有して構成され、薄い板状の形状を有している。また、押圧部材17は、溝部2a内における検出用チューブ部材3の車両下方側に、検出用チューブ部材3と当接した状態で配置される。
第3の実施形態の押圧部材17は、圧電素子に電気信号として電圧が印加されることで、圧電効果により圧電素子が可逆的に変形する。具体的には、押圧部材17は、信号印加用端子12を介して電圧が印加されると、その車両前後方向中央部が車両上方側に屈曲するように変形し、検出用チューブ部材3を車両下方側から押圧した押圧状態になる(図15参照)。一方、圧電素子への電圧の印加を停止すると、屈曲していた押圧部材17が元の平らな状態に戻り、検出用チューブ部材17を押圧しない非押圧状態に戻る(図14参照)。尚、図14及び図15では、配線を行い易くするために信号印加用端子12の上部が車両前方側へ折り曲げられた状態が示されている。
押圧部材17の車幅方向の長さは、例えば30mm程度に設定されている。また、押圧部材17の車両前後方向の長さは、溝部2aの前後長さ以下に設定されている。この場合、押圧部材17の前後長さは、例えば8mm以下に設定されている。また、押圧部材17の非押圧状態の時の車両上下方向の長さ(即ち、厚さ)は、数mm程度である。一方、押圧部材17の押圧状態の時の車両上下方向の長さは、非押圧状態の時よりも2mm程度大きくなるようになっている。これにより、押圧状態において、押圧部材17は、検出用チューブ部材3を所定量(例えば2mm程度)車両上方側へ押圧した状態になる。
次に、第3の実施形態における車両用衝突検知装置1の検査方法について説明する。この第3の実施形態おいても、第1の実施形態と同様に、バンパアブソーバ2の溝部2aに対する検出用チューブ部材3の検査が行われる。即ち、バンパアブソーバ2のバンパレインフォースメント9への組付け時に、図11に示すS1〜S10が実行されるとともに、完成車両においてIGスイッチがオンされた時に、S2〜S10の各工程が実行される。
まず、バンパアブソーバ2の溝部2a内に検出用チューブ部材3を装着し、溝部2a内における検出用チューブ部材3の車両下方側に、非押圧状態の押圧部材17を車両前方側(即ち、溝部2aの奥方)へ押し込むようにして配置する(配置工程S1)。この後、バンパアブソーバ2のバンパレインフォースメント9への組付けを行う。
次に、押圧工程S2において、押圧部材17に外部の電源供給部13から信号を印加し(S2)、押圧部材17が検出用チューブ部材3を所定量押圧した押圧状態にする(押圧工程S3)。具体的には、電源供給部13から電気信号として電圧が、信号印加用端子12を介して押圧部材17の圧電素子に印加される。押圧部材17に電圧が印加されると、押圧部材17の車両前後方向中央部が車両上方側に屈曲するように変形し、検出用チューブ部材3を所定量(例えば2mm程度)車両上方側へ押圧した押圧状態になる(図15参照)。
次に、押圧部材17が押圧状態にある時に、圧力センサ4により検出用チューブ部材3の中空部3a内の圧力を検出する(圧力検出工程S4)。続いて、衝突検知ECU6の異常検知部62によって、圧力センサ4による圧力検出値が所定範囲内であるか否かの判定を行う(判定工程S5)。
圧力センサ4による圧力検出値の最大値が第1閾値Pth1未満である場合、及び、圧力検出値の最大値が第2閾値Pth2よりも大きくなった場合(図10参照)、異常検知部62は、圧力検出値が所定範囲内ではなく(S5:No)、検出用チューブ部材3が異常であると判定する(S6)。そして、異常検知部62は、制御信号を出力して異常報知ランプ14を点灯させて、検出用チューブ部材3の異常を組付け作業者・乗員等へ報知する(異常報知工程S7)。
一方、圧力センサ4による圧力検出値の最大値が第1閾値Pth1以上であり、且つ第2閾値Pth2以下である場合(図9参照)、異常検知部62は、圧力検出値が所定範囲内であり(S5:Yes)、検出用チューブ部材3が正常であると判定する(S8)。S7又はS8の後、押圧部材17への電圧の印加を停止する(S9)。押圧部材17への電圧の印加が停止すると、押圧部材17が非押圧状態に戻る(S10)。
更に、第3の実施形態においても、第1の実施形態の車両用衝突検知装置1の検査方法と同様に、車両のIGスイッチがオンされた時に、上記S2〜S10の各工程が実行される。即ち、IGスイッチがオンすると、電源供給部13から信号線及び信号印加用端子12を介して、押圧部材11に信号として電圧が印加され(S2)、以下S10までの各工程が実行される。
以上説明した第3の実施形態の車両用衝突検知装置1では、押圧部材17は、電気信号の印加により形状が可逆的に変化する圧電素子を有して構成されることを特徴とする。この第3の実施形態の車両用衝突検知装置1においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、押圧部材17は、溝部2a内における検出用チューブ部材3の車両下方側に、検出用チューブ部材3と当接した状態で配置されることを特徴とする。この構成によれば、押圧部材17が溝部2a内における検出用チューブ部材3の車両下方側に、検出用チューブ部材3と当接した状態で配置されるので、車両前方の歩行者等との衝突時に検出用チューブ部材3が車両前後方向に潰れるように変形する際に、押圧部材17の存在が検出用チューブ部材3の変形に悪影響を与えないようにできる。
また、第3の実施形態の車両用衝突検知装置1の検査方法は、検出用チューブ部材3を押圧しない非押圧状態で押圧部材17を溝部2a内に配置する配置工程S1と、押圧部材17に外部から信号を印加して押圧部材17が検出用チューブ部材3を所定量押圧した押圧状態にする押圧工程S3と、押圧部材17が押圧状態にある時に圧力センサ4によって圧力を検出する圧力検出工程S4と、圧力検出結果に基づいて検出用チューブ部材3が異常であるか否かを判定する判定工程S5とを備えている。
そして、押圧工程S3では、電気信号の印加により形状が可逆的に変化する圧電素子を有して構成される押圧部材17に電気信号を印加して、押圧部材17が検出用チューブ部材3を所定量押圧した押圧状態にすることを特徴とする。この第3の実施形態の車両用衝突検知装置1の検査方法においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態について、図16及び図17を参照して説明する。尚、図16及び図17において上記第1の実施形態と同一部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてだけ説明する。この第4の実施形態においては、図16及び図17に示すように、バンパアブソーバ2とバンパレインフォースメント9との間に、後部アブソーバ21が車幅方向に沿って配設されている。
後部アブソーバ21は、バンパアブソーバ2よりも硬度が高い発泡樹脂(例えば、発泡ポリプロピレン等)からなる。この後部アブソーバ21は、バンパアブソーバ2及びバンパレインフォースメント9と嵌合固定される。尚、後部アブソーバ21の材質としては、他にも、ポリエチレン(PE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の樹脂であってもよい。
また、上記第1の実施形態と同様に、バンパアブソーバ2の溝部2a内における検出用チューブ部材3の車両後方側に、検出用チューブ部材3を車両前後方向に押圧するための押圧部材11が、車幅方向に沿って7つ配設されている(図1及び図2参照)。この押圧部材11は、薄い板状の発熱部11aと、電気信号の印加により弾性変形するバイメタル構造部11bとを有して構成される。押圧部材11は、温度変化に伴うバイメタル構造部11bの形状の変化により、検出用チューブ部材3を押圧しない非押圧状態と、検出用チューブ部材3を所定量押圧する押圧状態とに、外部からの信号で切り替え可能となっている。
押圧部材11の発熱部11aの上端部は、信号印加用端子12に接続される。信号印加用端子12は、その一部がバンパアブソーバ2の後面2bと後部アブソーバ21の前面との間に配設されている。また、信号印加用端子12は、下端部が発熱部11aに接続され、上端部が信号線を介して電源供給部13に接続されている。尚、図16及び図17では、配線をし易くするために信号印加用端子12の上部が車両前方側へ折り曲げられた状態が示されている。
この第4の実施形態の車両用衝突検知装置1においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。即ち、非押圧状態の押圧部材11を溝部2a内に配置し、外部からの信号によって押圧部材11が検出用チューブ部材3を所定量押圧した押圧状態にさせ、押圧部材11が押圧状態にある時に圧力センサ4によって検出された圧力検出結果に基づいて、異常検知部62により検出用チューブ部材3の異常を検知することができる。
また、第4の実施形態の車両用衝突検知装置1の検査方法は、上記第1の実施形態の車両用衝突検知装置1の検査方法と同様の工程で行われ、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
[その他の実施形態]
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変形又は拡張を施すことができる。例えば、上記実施形態では、押圧部材として、バイメタル構造部11b、電気応答性ゲル、圧電素子のうちのいずれか1つを有して構成されるものとしたが、これに限られない。押圧部材としては、検出用チューブ部材3を押圧しない非押圧状態と検出用チューブ部材3を所定量押圧する押圧状態とに、外部からの信号によって切り替え可能な部材であればよく、押圧部材の材質等は適宜設定可能であるものとする。
また、上記実施形態では、押圧部材11,16,17へ電気信号を印加するための信号印加用端子12を設けるものとしたが、信号印加用端子12の代わりにリード線を用いてもよく、電源供給部13から電圧等の電気信号が押圧部材11,16,17へ印加される構成であればよい。
尚、上記実施形態では、圧力検出結果に基づいて有効質量を算出し、衝突判定処理において有効質量が衝突判定閾値以上になった場合に、歩行者保護装置10の作動を要する歩行者との衝突が発生したと判定するものとしたが、これには限られない。即ち、圧力検出結果をそのまま用いてもよく、例えば、圧力値、圧力変化率等を用いてそれぞれの衝突判定閾値と比較し、衝突判定を行う構成としてもよい。