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JP6418437B2 - 水性複合樹脂組成物及びそれを用いたコーティング剤 - Google Patents
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水性複合樹脂組成物及びそれを用いたコーティング剤 Download PDF

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Description

本発明は、コーティング剤をはじめとする様々な用途に使用可能な水性樹脂組成物に関するものである。
近年、無機材料と有機材料の特性を兼備させた高機能材料の開発が各産業分野で広く行われており、無機材料は耐候性、耐熱性、耐擦傷性等の耐久性に優れ、有機材料は柔軟性・加工性に富んでいることが一般的に知られている。この中、無機材料と有機材料とを複合化した水性樹脂が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この水性樹脂の塗膜は、高耐候性を有しているが、より高度な耐久性が要求される場合には硬化剤を使用することが必須で、作業性に劣る点が指摘されていた。また、造膜性が経時的に悪化し、長期保存後に塗布した場合には得られる塗膜の外観が劣るという問題があった。
そこで、長期保存安定性に優れ、作業性に優れる1液硬化仕様で、耐久性に優れた塗膜を形成可能な材料が求められていた。
特開平11−279408号公報
本発明が解決しようとする課題は、長期保存安定性に優れ、作業性に優れる1液硬化仕様で、耐候性及び耐水性等の耐久性に優れた塗膜を形成可能な水性複合樹脂組成物、該水性複合樹脂組成物用いたコーティング剤を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリシロキサン複合樹脂水分散体中でビニル単量体混合物を重合させる工程を経て得られる複合樹脂及び水系媒体を含有する水性複合樹脂組成物が、長期保存安定性に優れ、耐候性及び耐水性等の耐久性に優れた塗膜を形成可能であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、ポリシロキサン複合樹脂(A)の水分散体中でビニル単量体混合物(B)を重合させる工程を経て得られる複合樹脂(C)及び水系媒体を含有する水性複合樹脂組成物であって、前記ポリシロキサン複合樹脂(A)が、親水性基を有するビニル重合体(a1)とポリシロキサン(a2)とが結合した複合樹脂であることを特徴とする水性複合樹脂組成物に関する。また、該水性複合樹脂組成物を含有することを特徴とするコーティング剤に関する。
本発明の水性複合樹脂組成物は、金属基材、プラスチック基材、無機基材、繊維質基材、布材、紙、木質基材等の様々な基材に対して良好な密着性を有することから、コーティング剤や接着剤に使用することができる。とりわけ、本発明の水性複合樹脂組成物は、耐久性や耐候性に優れた塗膜を形成できることから、各種基材のプライマー層形成用コーティング剤やトップコート層形成用コーティング剤等に好適に使用することができる。
本発明の水性複合樹脂組成物は、ポリシロキサン複合樹脂(A)の水分散体中でビニル単量体混合物(B)を重合させる工程を経て得られる複合樹脂(C)及び水系媒体を含有する水性複合樹脂組成物であって、前記ポリシロキサン複合樹脂(A)が、親水性基を有するビニル重合体(a1)とポリシロキサン(a2)とが結合した複合樹脂であるものである。
まず、前記ポリシロキサン複合樹脂(A)の水分散体について説明する。前記ポリシロキサン複合樹脂(A)は、親水性基を有するビニル重合体(a1)とポリシロキサン(a2)とが結合したものである。
前記ポリシロキサン複合樹脂(A)は、一部が水系媒体中に溶解していても良いが、水系媒体中に分散したポリシロキサン複合樹脂(A)は、10〜500nmの平均粒子径を有することが、耐候性及び耐水性に優れた塗膜を形成するうえで好ましい。なお、ここでいう平均粒子径とは、粒子の動的散乱光を検出する測定原理で粒度分布を求める方法で測定した値をいう。
また、前記ポリシロキサン複合樹脂(A)は、耐久性及び耐候性に優れた塗膜を形成するうえで、ポリシロキサン複合樹脂(A)全体に対して15〜85質量%のポリシロキサン(a2)由来の構造を有することが好ましい。
なお、前記ポリシロキサン(a2)由来の構造の質量割合は、前記ポリシロキサン複合樹脂(A)の製造に使用する原料の仕込み割合に基づき、ポリシロキサン(a2)等の加水分解縮合反応によって生成しうるメタノールやエタノール等の副生成物の生成を考慮し算出した値である。
また、前記ポリシロキサン複合樹脂(A)は、水系媒体中に安定して分散するうえで、親水性基を有することが必須である。
親水性基は、主として前記ポリシロキサン複合樹脂(A)の外層を構成する前記親水性基を有するビニル重合体(a1)中に存在することが必須である。
前記親水性基としては、アニオン性基、カチオン性基、及びノニオン性基を使用できるが、これらの中でもアニオン性基を使用することが好ましい。
前記アニオン性基としては、例えば、カルボキシル基、カルボキシレート基、スルホン酸基、スルホネート基等を使用することができ、なかでも、一部または全部が塩基性化合物等によって中和されたカルボキシレート基を使用することが、良好な水分散性を有する複合樹脂を製造する上で好ましい。
前記アニオン性基の中和に使用可能な塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、モルホリン等の有機アミンや、モノエタノールアミン等のアルカノールアミンや、Na、K、Li、Ca等を含む金属塩基性化合物等が挙げられる。
前記アニオン性基としてカルボキシレート基を使用する場合、それらはポリシロキサン複合樹脂(A)全体に対して50〜1000mmol/kgの範囲で存在することが、ポリシロキサン複合樹脂(A)の良好な水分散安定性を維持するうえで好ましい。
また、前記カチオン性基としては、例えば、3級アミノ基等を使用することができる。前記3級アミノ基の一部または全てを中和する際に使用することができる酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、乳酸、マレイン酸などの有機酸や、スルホン酸、メタンスルホン酸等の有機スルホン酸、及び、塩酸、硫酸、オルトリン酸、オルト亜リン酸等の無機酸等を単独または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、前記3級アミノ基の一部または全てを4級化する際に使用することができる4級化剤としては、例えば、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等のジアルキル硫酸や、メチルクロライド、エチルクロライド、ベンジルクロライドなどのハロゲン化アルキル、メタンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸メチル等のアルキルまたはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロルヒドリン等のエポキシ化合物を単独または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、前記ノニオン性基としては、例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)基、及びポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン基等のポリオキシアルキレン基を使用することができる。なかでもオキシエチレン単位を有するポリオキシアルキレン基を使用することが、親水性をより一層向上させるうえで好ましい。
前記ポリシロキサン複合樹脂(A)としては、前記ビニル重合体(a1)と前記ポリシロキサン(a2)との結合が、前記ビニル重合体(a1)の有する加水分解性シリル基及び/またはシラノール基と前記ポリシロキサン(a2)の有する加水分解性シリル基及び/またはシラノール基との反応によって形成されたものであることが、耐久性及び耐候性により優れた塗膜を形成するうえで好ましい。
次に、前記ポリシロキサン複合樹脂(A)を構成する前記親水性基を有するビニル重合体(a1)について説明する。
前記親水性基を有するビニル重合体(a1)としては、3,000〜100,000の数平均分子量を有するものを使用することが好ましく、5,000〜25,000の数平均分子量を有するものを使用することが、耐久性及び耐候性に優れた塗膜を形成するうえでより好ましい。
前記親水性基を有するビニル重合体(a1)は、前記ポリシロキサン複合樹脂(A)に水分散性を付与する上で親水性基を有することが必須である。親水性基は、前記親水性基を有するビニル重合体(a1)全体に対して、50〜1,000mmol/kgの範囲に存在することが、一層良好な水分散性を付与する上で好ましい。
前記親水性基を有するビニル重合体(a1)としては、例えば、各種ビニル単量体を重合開始剤の存在下で重合することによって製造したものを使用することができる。
前記親水性基を有するビニル重合体(a1)の有する親水性基は、例えば、カルボキシル基を有するビニル単量体、3級アミノ基を有するビニル単量体等を重合し、これらの官能基を中和することによって、前記親水性基を有するビニル重合体(a1)中に容易に導入することができる。
前記カルボキシル基を有するビニル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和ポリカルボン酸の無水物;無水アクリル酸、無水メタクリル酸等の不飽和モノカルボン酸の無水物;アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸と、酢酸、プロピオン酸、安息香酸などの飽和カルボン酸との混合酸無水物;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノ−n−ブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノ−n−ブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノ−n−ブチル等の飽和ジカルボン酸と、飽和1価アルコール類との各種のモノエステル(ハーフエステル);アジピン酸モノビニル、コハク酸モノビニル等の飽和ジカルボン酸のモノビニルエステル;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸等の飽和ポリカルボン酸の無水物と、炭素原子に結合した水酸基を含有するビニル単量体との付加反応生成物;前記カルボキシル基含有単量体と、ラクトン化合物とを付加反応せしめて得られる各種の単量体等が挙げられ、なかでもビニル重合体に容易に導入できることから、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸が好ましい。また、これらの単量体は単独または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記3級アミノ基を有するビニル単量体としては、例えば、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジ−n−プロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、4−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エチルモルホリン等の3級アミノ基を有する(メタ
)アクリル酸エステル;ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルキノリン等の3級アミノ基を有する芳香族ビニル単量体;N−(2−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジ−n−プロピルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド等の3級アミノ基を有する(メタ)アクリルアミド;N−(2−ジメチルアミノ)エチルクロトン酸アミド、N−(4−ジメチルアミノ)ブチルクロトン酸アミド等の3級アミノ基を有するクロトン酸アミド;2−ジメチルアミノエチルビニルエーテル、2−ジエチルアミノエチルビニルエーテル、4−ジメチルアミノブチルビニルエーテル等の3級アミノ基を有するビニルエーテル等が挙げられる。また、これらの単量体は単独または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記親水性基を有するビニル重合体(a1)は、前記したような親水性基の他に、必要に応じてその他の官能基を有していてもよく、かかる官能基としては、後述するポリシロキサン(a2)と反応しうる加水分解性シリル基、シラノール基や、アミノ基、イミノ基、水酸基等が挙げられ、なかでも加水分解性シリル基であることが、長期耐候性に優れる塗膜を形成できるため好ましい。
前記親水性基を有するビニル重合体(a1)が有していても良い加水分解性シリル基は、加水分解性基が珪素原子に直接結合した官能基であり、例えば、下記の一般式(I)で表される官能基が挙げられる。
Figure 0006418437
(式中、Rはアルキル基、アリール基またはアラルキル基等の1価の有機基を、Rはハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基またはアルケニルオキシ基である。また、xは0〜2の整数である。)
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基等が挙げられる。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、2−メチルフェニル基等が挙げられ、前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ジフェニルメチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
前記アシロキシ基としては、例えば、アセトキシ、プロパノイルオキシ、ブタノイルオキシ、フェニルアセトキシ、アセトアセトキシ等が挙げられ、前記アリールオキシ基としては、例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ等が挙げられ、前記アルケニルオキシ基としては、例えば、アリルオキシ基、1−プロペニルオキシ基、イソプロペニルオキシ基等が挙げられる。
前記Rは、加水分解によって生じうる一般式ROH等の脱離成分の除去が容易であることから、好ましくはそれぞれ独立してアルコキシ基であることが好ましい。
また、前記親水性基を有するビニル重合体(a1)が有していても良いシラノール基は、水酸基が直接珪素原子に結合した官能基であって、主に前記した加水分解性シリル基が加水分解して生じる官能基である。
前記親水性基を有するビニル重合体(a1)が有していても良い加水分解性シリル基は、例えば、加水分解性シリル基を有するビニル単量体を重合することによって、前記親水性基を有するビニル重合体(a1)中に容易に導入することができる。
前記加水分解性シリル基を有するビニル単量体としては、例えば、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランもしくは3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等を使用することができ、なかでも、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを使用することが好ましい。
また、前記親水性基を有するビニル重合体(a1)の原料として、上記のカルボキシル基を有するビニル単量体、3級アミノ基を有するビニル単量体、加水分解性シリル基を有するビニル単量体以外のその他のビニル単量体を使用することができる。このその他のビニル単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基を有するビニル単量体;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートフェノキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の末端がアルコキシ基又はフェノキシ基で封止されたポリオキシアルキレン基を有するビニル単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の三級アミノ基を有するビニル単量体;N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の二級アミノ基を有するビニル単量体;アミノメチルアクリレート等の一級アミノ基を有するビニル単量体等の塩基性窒素原子を有する基を有するビニル単量体;2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート等のフッ素原子を有するビニル単量体;酢酸ビニル等のビニルエステル化合物;メチルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和カルボン酸のニトリル化合物;スチレン等の芳香族環を有するビニル化合物;イソプレン等のα−オレフィン化合物、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するビニル単量体;(メタ)アクリルアミド等のアミド基を有するビニル単量体;N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のメチロールアミド基及びそのアルコキシ化物を有するビニル単量体;2−アジリジニルエチル(メタ)アクリレート等のアジリジニル基を有するビニル単量体;(メタ)アクリロイルイソシアナート等のイソシアナート基及び/またはブロック化イソシアナート基を有するビニル単量体;2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン基を有するビニル単量体;ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等のシクロペンテニル基を有するビニル単量体;アクロレイン等のカルボニル基を有するビニル単量体;アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等のアセトアセチル基を有するビニル単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、もしくはこれらの半エステルまたはこれらの塩等のカルボキシル基を有する単量体等を1種または2種以上使用することができる。
前記ビニル重合体(a2)を製造する際に使用可能な重合開始剤としては、例えば、過硫酸塩、有機過酸化物、過酸化水素等のラジカル重合開始剤や、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ開始剤を使用することができる。また、前記ラジカル重合開始剤は、例えば、アスコルビン酸等の還元剤と併用しレドックス重合開始剤として使用しても良い。
前記重合開始剤の代表的なものである過硫酸塩としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられ、有機過酸化物として、具体的には、例えば、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル、クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド等を使用することができる。
重合開始剤の使用量は、重合が円滑に進行する量を使用すれば良いが、ビニル重合体(a2)の製造に使用するビニル単量体の全量に対して、10質量%以下とすることが好ましい。
次に、前記ポリシロキサン複合樹脂水分散体(A)を構成するポリシロキサン(a2)について説明する。
前記ポリシロキサン(a2)は、ケイ素原子と酸素原子とからなる鎖状構造を有するものであって、必要に応じて加水分解性シリル基やシラノール基等を有するものである。前記ポリシロキサン(a2)としては、例えば、下記一般式(II)及び(III)からなる群より選ばれる1種以上の構造を有するポリシロキサンと、アルキル基の炭素原子数が1〜3個であるアルキルトリアルコキシシランの縮合物との反応物等が挙げられる。
Figure 0006418437
Figure 0006418437
(一般式(I)及び(II)中のRはケイ素原子に結合した炭素原子数が4〜12の有機基、R及びRは、それぞれ独立にメチル基またはエチル基を表す。)
前記加水分解性シリル基は、加水分解性基が前記ケイ素原子に直接結合した原子団であって、例えば、前記親水性基を有するビニル重合体(a1)の説明の際に例示した一般式(I)に示されるような構造からなるものを使用することができる。
前記加水分解性基は、水の影響により水酸基を形成しうるものであって、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基、アルケニルオキシ基等が挙げられ、なかでもアルコキシ基や置換アルコキシ基であることが好ましい。
また、前記シラノール基は、水酸基が前記ケイ素原子に直接結合した原子団を示すものであって、前記加水分解性シリル基が加水分解した際に形成される。
また、前記ポリシロキサン(a2)としては、前記したものの他に、必要に応じてメチル基等のアルキル基やフェニル基等を有しているものを使用することができ、例えば、ポリシロキサン(a2)を構成するケイ素原子に、フェニル基等の芳香族環式構造、炭素原子数1〜3個を有するアルキル基、及び炭素原子数1〜3個を有するアルコキシ基からなる群より選ばれる1種以上が直接結合したものを使用することが、水性複合樹脂組成物の良好な水分散安定性を維持するうえでより好ましい。
前記ポリシロキサン(a2)としては、例えば、後述するシラン化合物を完全にまたは部分的に加水分解縮合して得られるものを使用することができる。
前記シラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、iso−ブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランもしくは3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等のオルガノトリアルコキシシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジメトキシシランもしくはメチルフェニルジメトキシシラン等のジオルガノジアルコキシシラン化合物;メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシランもしくはジフェニルジクロロシラン等の各種のクロロシラン化合物や、それらの部分加水分解縮合物等を使用することができ、なかでもオルガノトリアルコキシシランやジオルガノジアルコキシシランを使用することが好ましい。これらシラン化合物は、単独使用でも2種類以上の併用でもよい。
また、前記ポリシロキサン(a2)は、ポリシロキサン複合樹脂(A)を製造する工程において、2段階の反応工程を経ることによって形成することが好ましい。具体的には、前記ビニル重合体(a1)の有する加水分解性基等に、フェニルトリメトキシシラン等の比較的低分子量のシラン化合物を反応させることでポリシロキサン構造を形成し、次いで、該反応物と、メチルトリメトキシシランやエチルトリメトキシシラン等の縮合物とを反応させることによって、ポリシロキサン(a2)からなる構造を形成することができる。これにより、より一層、耐水性及び耐候性に優れた塗膜を形成可能な水性複合樹脂組成物を得ることができる。
次に、本発明で使用するポリシロキサン複合樹脂(A)の水分散体の製造方法について説明する。ポリシロキサン複合樹脂(A)の水分散体の製造方法は、ポリシロキサン複合樹脂(A)を製造する工程と、該ポリシロキサン複合樹脂(A)を水系媒体中に分散する工程とからなる。
はじめに、前記ポリシロキサン複合樹脂(A)を製造する工程について説明する。
前記ポリシロキサン複合樹脂(A)は、例えば、以下の(I)〜(II)の工程によって製造することができる。
(I)の工程は、有機溶剤中で、前記したビニル単量体を前記重合開始剤の存在下で重合することによってビニル重合体(a1)の有機溶剤溶液を得る工程である。
かかる反応は、例えば、重合開始剤を含む有機溶剤中に、前記ビニル単量体を逐次供給または一括供給し、次いで、攪拌下、20〜120℃の範囲で0.5〜24時間程度行うことが好ましい。
また、(II)の工程は、前記ビニル重合体(a1)の有機溶剤溶液下で前記ビニル重合体(a1)の有する加水分解性シリル基等の反応性官能基と、シラン化合物の有する加水分解性シリル基またはシラノール基との反応と、前記シラン化合物間の加水分解縮合反応とを進行させることによって、ビニル重合体(a1)とポリシロキサン(a2)とが結合したポリシロキサン複合樹脂(A)の有機溶剤溶液を得る工程である。
かかる反応は、例えば、(I)の工程に引き続き、前記ビニル重合体(a2)の有機溶剤溶液中に、前記ポリシロキサン(a3)を形成しうる前記シラン化合物を逐次供給または一括供給し、次いで、攪拌下、20〜120℃の範囲で0.5〜24時間程度行うことが好ましい。
(II)の工程は、更に2段階の反応工程を経ることが好ましい。具体的には前記ビニル重合体(a1)の有する加水分解性シリル基またはシラノール基と、前記したフェニルトリメトキシシラン等の比較的低分子量のシラン化合物とを反応させる工程と、次いで、該反応物と、メチルトリメトキシシランやエチルトリメトキシシラン等のメチルトリアルコキシシラン及びエチルトリアルコキシシランを予め縮合させた縮合物とを反応させる工程とを経ることが好ましい。ポリシロキサン(a2)の構造形成を上記のような2段階で行うことで、一層、耐久性に優れた塗膜を形成可能な水性複合樹脂組成物を得ることができる。
上記の工程(I)〜(II)によって得られたポリシロキサン複合樹脂(A)の有機溶剤溶液は、下記の工程(III)によって水性化することが好ましい。
工程(III)は、例えば、(II)の工程に引き続き、前記ポリシロキサン複合樹脂(A)の有する親水性基を中和し、該中和物を水系媒体中に分散する工程である。
前記親水性基の中和は、必ずしも行う必要はないが、前記ポリシロキサン複合樹脂(A)の水分散安定性を向上する観点から、行うことが好ましい。とりわけ前記親水性基がカルボキシル基やスルホン酸基等のアニオン性基である場合には、それらの全部または一部を、塩基性化合物を用いて中和し、カルボキシレート基やスルホネート基とすることが、水分散安定性を一層向上する上で好ましい。
前記中和は、例えば、前記ポリシロキサン複合樹脂(A)の有機溶剤溶液中に、塩基性化合物等を逐次または一括供給し、攪拌することによって行うことができる。
前記中和後、ポリシロキサン複合樹脂(A)の中和物の有機溶剤溶液中に水系媒体を供給し、次いで、該有機溶剤を除去することによって、本発明で使用するポリシロキサン複合樹脂(A)の水分散体を製造することができる。
前記有機溶剤の除去は、例えば、蒸留によって行うことができる。
また、前記水系媒体としては、水、水と混和する有機溶剤、及び、これらの混合物が挙げられる。水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−及びイソプロパノール等のアルコール化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール化合物;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル化合物;N−メチル−2−ピロリドン等のラクタム化合物、等が挙げられる。本発明では、水のみを用いても良く、また水及び水と混和する有機溶剤との混合物を用いても良く、水と混和する有機溶剤のみを用いても良い。安全性や環境に対する負荷の点から、水のみ、または、水及び水と混和する有機溶剤との混合物が好ましく、水のみが特に好ましい。
次に、前記ビニル単量体混合物(B)について説明する。このビニル単量体混合物(B)に含有されるビニル単量体としては、例えば、前記ビニル重合体(a1)を製造する際に使用可能なビニル単量体として例示したものが挙げられる。
前記ビニル単量体混合物(B)は、本発明の水性複合樹脂組成物の水分散性が向上することから、ポリオキシエチレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート、メトキシポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、エトキシポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、フェノキシポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、メトキシポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート、フェノキシポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシエチレン基を有するビニル単量体を含有することが好ましい。
また、前記ビニル単量体混合物(B)は、本発明の水性複合樹脂組成物の水分散性、及び得られる塗膜の耐候性が向上することから、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等の加水分解性シリル基を有するビニル単量体を含有することが好ましい。
次に、複合樹脂(C)について説明する。この複合樹脂(C)はポリシロキサン複合樹脂(A)の水分散体中で、ビニル単量体混合物(B)を重合させる工程を経て得られるものである。
前記工程としては、前記ポリシロキサン複合樹脂水分散体(A)中に、前記ビニル単量体混合物(B)及び重合開始剤を逐次供給または一括供給し、重合反応させる方法が挙げられる。
前記ビニル単量体混合物(B)を供給する際には、前記ビニル単量体混合物(B)をそのまま供給する方法、前記ビニル単量体混合物(B)を乳化液としてから供給する方法等が挙げられる。
前記ビニル単量体混合物(B)を乳化液とする際の乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等のノニオン系乳化剤、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン系乳化剤、4級アンモニウム塩等のカチオン系乳化剤等が挙げられる。これらの中でも、得られる塗膜の耐水性及び耐候性が向上することから、反応性二重結合を有する乳化剤を使用することが好ましい。これらの乳化剤は、単独使用でも2種類以上の併用でもよい。
これらの乳化剤は、前記ビニル単量体混合物(B)単量体100重量部に対して15質量部以下の範囲で使用することが好ましい。
前記重合開始剤としては、例えば、過硫酸塩、有機過酸化物、過酸化水素等のラジカル重合開始剤や、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ開始剤を使用することができる。また、前記ラジカル重合開始剤は、例えば、アスコルビン酸等の還元剤と併用しレドックス重合開始剤として使用しても良い。
前記重合開始剤の代表的なものである過硫酸塩としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられ、有機過酸化物として、具体的には、例えば、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル、クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド等を使用することができる。
重合開始剤の使用量は、重合が円滑に進行する量を使用すれば良いが、ビニル重合体(a1)の製造に使用するビニル単量体の全量に対して、10質量%以下とすることが好ましい。
また、前記重合反応は攪拌下、20〜100℃の範囲で0.5〜24時間程度行うことが好ましい。
本発明の水性複合樹脂組成物の保存安定性、得られる塗膜の耐水性及び耐候性が向上することから、前記ポリシロキサン複合樹脂(A)と前記ビニル単量体混合物(B)との質量割合[(A)/(B)]は、10/90〜80/20の範囲が好ましく、15/85〜75/25の範囲がより好ましい
また、得られる塗膜の耐水性及び耐候性が向上することから、前記複合樹脂(C)中のポリシロキサン構造の質量%は、3〜60%の範囲が好ましく、5〜50%の範囲がより好ましい。
本発明の水性複合樹脂組成物は、前記複合樹脂(C)及び水系媒体を含有するものであるが、この水系媒体としては、ポリシロキサン複合樹脂(A)の水分散体を製造する際に使用可能な水系媒体として例示したものが挙げられ、安全性や環境に対する負荷の点から、水のみ、または、水及び水と混和する有機溶剤との混合物が好ましく、水のみが特に好ましい。
本発明の水性複合樹脂組成物は、製造の際の急激な粘度上昇を抑制し、かつ、水性複合樹脂組成物の生産性や、その塗工のしやすさや乾燥性等を向上する観点から、20〜65質量%の不揮発分を有するものであることが好ましく、30〜60質量%の範囲であることがより好ましい。
本発明の水性複合樹脂組成物には、必要に応じて熱硬化性樹脂を含有させることも可能である。かかる熱硬化性樹脂としては、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、エポキシエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、石油樹脂、ケトン樹脂、シリコン樹脂、あるいはこれらの変性樹脂等が挙げられる。
本発明の水性複合樹脂組成物には、必要に応じて粘土鉱物、金属、金属酸化物、ガラス等の各種の無機粒子を使用することができる。金属の種類としては、金、銀、銅、白金、チタン、亜鉛、ニッケル、アルミニウム、鉄、シリコン、ゲルマニウム、アンチモン、それらの金属酸化物等が挙げられる。
本発明の水性複合樹脂組成物には、必要に応じて光触媒性化合物や無機顔料、有機顔料、体質顔料、ワックス、界面活性剤、安定剤、流動調整剤、染料、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤等の各種の添加剤等を使用することができる。
本発明の水性複合樹脂組成物は、保存安定性に優れることからコーティング剤や接着剤等の各種用途に使用することができる。なかでも、本発明の水性複合樹脂組成物は、耐久性及び耐候性に優れた塗膜を形成できることから、コーティング剤に使用することが好ましく、トップ層形成用コーティング剤やプライマー層形成用コーティング剤に使用することがより好ましい。
前記コーティング剤を塗布し塗膜を形成可能な基材としては、例えば、無機質基材、金属基材、プラスチック基材、ガラス基材、紙や木材基材、繊維質基材等が挙げられる。
本発明のコーティング剤は、例えば、それを前記基材表面に直接、塗布し、次いで乾燥、硬化させることによって、曝露試験後の塗膜外観、耐久性及び耐候性等に優れた塗膜を形成することができる。
前記したような種々の基材上に、前記コーティング剤を塗装し、硬化させることによって、塗装物を得ることができる。その際に、(1)前記コーティング剤を基材に直接塗装する、(2)予め基材上に下塗り塗料を塗装してから、前記コーティング剤を上塗り塗料として塗装する、(3)基材に下塗り塗料として前記コーティング剤を塗装し、次いで別の上塗り塗料を塗装し塗膜を形成させる等の塗装方法により塗装物を得ることができる。
本発明のコーティング剤を塗装する方法としては、例えば、刷毛塗り、ローラー塗装、スプレー塗装、浸漬塗装、フロー・コーター塗装、ロール・コーター塗装、電着塗装等が挙げられる。
また、前記(2)または(3)の塗装方法で前記コーティング剤からなる塗膜を有する塗装物を得る場合、下塗り塗料や、上塗り塗料として、従来から知られているアクリル樹脂系塗料、ポリエステル樹脂系塗料、アルキド樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗料、脂肪酸変性エポキシ樹脂系塗料、シリコーン樹脂系塗料、ポリウレタン樹脂系塗料等を使用することができる。
前記乾燥し硬化を進行させる方法としては、常温下で1〜10日程度養生する方法であってもよいが、硬化を迅速に進行させる観点から、50〜250℃の温度で、1〜600秒程度加熱する方法が好ましい。また、比較的高温で変形や変色をしやすいプラスチック基材を用いる場合には、30〜100℃程度の比較的低温下で養生を行うことが好ましい。
本発明のコーティング剤を用いて形成する塗膜の膜厚は、基材の使用される用途等に応じて、0.5〜1,000μmとすることができる。
上記のような方法により、本発明のコーティング剤を用いて形成された塗膜を有する物品としては、例えば、外壁、屋根、ガラス、化粧板等の建築物の内外装材;防音壁、排水溝等の土木部材;テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン等の家電製品の筐体;パソコン、スマートフォン、携帯電話、デジタルカメラ、ゲーム機等の電子機器の筐体;プリンター、ファクシミリ等のOA機器の筐体;自動車、鉄道車輌等の各種車輌の内外装材;産業機械等が挙げられる。
次に、本発明を、実施例及び比較例により具体的に説明をする。
(合成例1:メチルトリメトキシシランの縮合物(a2’−1)の製造)
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、メチルトリメトキシシラン(以下、「MTMS」と略記する。)1,421質量部を仕込んで、60℃まで昇温した。次いで、前記反応容器中にiso−プロピルアシッドホスフェート(堺化学株式会社製「A−3」)0.17質量部と脱イオン水207質量部との混合物を5分間で滴下した後、80℃の温度で4時間撹拌して加水分解縮合反応させた。
上記の加水分解縮合反応によって得られた縮合物を、温度40〜60℃及び40〜1.3kPaの減圧下(メタノールの留去開始時の減圧条件が40kPaで、最終的に1.3kPaとなるまで減圧する条件をいう。以下、同様。)で蒸留し前記反応過程で生成したメタノール及び水を除去することによって、数平均分子量1,000のMTMSの縮合物(a2’−1)を含有する液(有効成分70質量%)1,000質量部を得た。
なお、前記有効成分とは、MTMS等のシランモノマーのメトキシ基が全て縮合反応した場合の理論収量(質量部)を、縮合反応後の実収量(質量部)で除した値〔シランモノマーのメトキシ基が全て縮合反応した場合の理論収量(質量部)/縮合反応後の実収量(質量部)〕により算出したものである。
(合成例2:ポリシロキサン複合樹脂(A−1)の水分散体の製造)
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、イソプロピルアルコール(以下、「IPA」と略記する。)111質量部、フェニルトリメトキシシラン(以下、「PTMS」と略記する。)54質量部及びジメチルジメトキシシラン(以下、「DMDMS」と略記する。)32質量部を仕込んで、80℃まで昇温した。
次いで、同温度でメチルメタクリレート(以下、「MMA」と略記する。)112質量部、ブチルメタクリレート(以下、「BMA」と略記する。)92質量部、ブチルアクリレート(以下、「BA」と略記する。)52質量部、アクリル酸(以下、「AA」と略記する。)16質量部、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(以下、「MPTS」と略記する。)8質量部、IPA 51質量部及びtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(以下、「TBPEH」と略記する。)14質量部を含有する混合物を、前記反応容器中へ4時間で滴下し、滴下終了後、更に同温度で20時間反応させてカルボキシル基と加水分解性シリル基とを有する数平均分子量が10,200のアクリル重合体(a1−1)の有機溶剤溶液を得た。
次いで、iso−プロピルアシッドホスフェート(堺化学株式会社製「A−3」)0.9質量部と脱イオン水24質量部との混合物を、5分間で滴下し、更に同温度で5時間攪拌して加水分解縮合反応させることで、アクリル重合体(a1−1)の有する加水分解性シリル基と、前記PTMS及びDMDMS由来のポリシロキサンの有する加水分解性シリル基及びシラノール基とが結合した複合樹脂を含有する液を得た。 次いで、この液にトリエチルアミン(以下、「TEA」と略記する。)11質量部を添加することで、前記複合樹脂中のカルボキシル基を中和した中和物を得た後、合成例1で得られたMTMSの縮合物(a2’−1)を含有する液(有効成分70質量%)93質量部を添加し、更に、脱イオン水570質量部を添加し混合したものを、加水分解縮合反応させることで、前記複合樹脂に、更にMTMSの縮合物(a2’−1)が結合した複合樹脂組成物を得た。
次いで、合成例1と同様の条件で4時間蒸留し、生成したメタノールや有機溶媒及び水を除去することで、不揮発分が40質量%のポリシロキサン複合樹脂(A−1)の水分散体1,000質量部を得た。
(合成例3:ポリシロキサン複合樹脂(A−2)の水分散体の製造)
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、IPA 30質量部、PTMS 135質量部及びDMDMS 80質量部を仕込んで、80℃まで昇温した。
次いで、同温度でMMA 20質量部、BMA 33質量部、BA 38質量部、AA 6質量部、MPTS 3質量部、IPA 18質量部及びTBPEH 5質量部を含有する混合物を、前記反応容器中へ4時間で滴下し、滴下終了後、更に同温度で20時間反応させてカルボキシル基と加水分解性シリル基とを有する数平均分子量が10,200のアクリル重合体(a1−2)の有機溶剤溶液を得た。
次いで、iso−プロピルアシッドホスフェート(堺化学株式会社製「A−3」)2質量部と脱イオン水60質量部との混合物を、5分間で滴下し、更に同温度で5時間攪拌して加水分解縮合反応させることで、アクリル重合体(a1−2)の有する加水分解性シリル基と、前記PTMS及びDMDMS由来のポリシロキサンの有する加水分解性シリル基及びシラノール基とが結合した複合樹脂を含有する液を得た。
次いで、この液に合成例1で得られたMTMSの縮合物(a2’−1)を含有する液(有効成分70質量%)233質量部、脱イオン水60質量部を添加し、同温度で5時間撹拌して加水分解縮合反応させ、合成例1と同様の条件で蒸留した後に、TEA 20質量部、脱イオン水455質量部を混合することによって、不揮発分が40質量%のポリシロキサン複合樹脂(A−2)の水分散体1,000質量部を得た。
(合成例4:アクリル樹脂水分散体(W−1)の調製)
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、脱イオン水360質量部を仕込んで80℃まで昇温した。
次いで、同温度で、脱イオン水70質量部、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキル硫酸エステルアンモニウム塩25%水溶液(第一工業製薬(株)製 アクアロン KH−1025)35質量部、MMA 115質量部、2EHA 167質量部、CHMA 175質量部、MPTS 1質量部、ポリオキシエチレンモノメタクリレート(日油株式会社製「ブレンマーPME−400」)30質量部からなる重合性単量体乳化液及び脱イオン水40質量部に過硫酸ナトリウム1質量部を溶解させた水溶液を5時間で滴下した。
滴下した後、同温度で1時間反応させ、TBPEH 0.2質量部を添加し、更に同温度で10時間反応させることで、不揮発分が45.0%のアクリル樹脂水分散体(W−1)1000質量部を得た。
(実施例1:水性複合樹脂組成物(1)の調製)
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、前記ポリシロキサン複合樹脂(A−1)の水分散体208質量部、脱イオン水220質量部を仕込んで80℃まで昇温した。
次いで、同温度で、脱イオン水 100質量部、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキル硫酸エステルアンモニウム塩25%水溶液(第一工業製薬株式会社製「アクアロン KH−1025」)30質量部、MMA 115質量部、2−エチルヘキシルアクリレート(以下、「2EHA」と略記する。)121質量部、シクロヘキシルメタクリレート(以下、「CHMA」と略記する。)145質量部、MPTS 1質量部、ポリオキシエチレンモノメタクリレート(日油株式会社製「ブレンマーPME−400」)25質量部からなる重合性単量体乳化液及び脱イオン水33質量部に過硫酸ナトリウム1質量部を溶解させた水溶液を5時間で滴下した。
滴下した後、同温度で30分間反応させ、TBPEH 0.2質量部を添加し、更に同温度で10時間反応させることで、不揮発分が45.0%の水性複合樹脂組成物(1)1000質量部を得た。
[保存安定性の評価]
上記で得られた水性複合樹脂組成物(1)の最低造膜温度(以下、「初期MFT」と略称する。)と、水性複合樹脂組成物(1)を50℃の環境下に30日間放置した後の最低造膜温度(以下、「経時MFT」と略称する。)とを測定し、最低造膜温度の差(℃)(「経時MFT」−「初期MFT」)により、下記評価基準に従って保存安定性を評価した。
○:5℃未満
△:5℃以上10℃未満
×:10℃以上
[コーティング剤の調製]
上記で得られた水性複合樹脂組成物(1)94.3質量部と、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート5.7質量部とを混合し、コーティング剤(1)を調製した。
[耐水性の評価]
上記で得られたコーティング剤(1)をガラス板上に、膜厚が50μmとなるように塗装し、23℃、50%RHの環境下で7日間乾燥させたものを、23℃の水道水に24時間浸漬した後に水から取り出した直後の外観を下記評価基準に従って目視で評価した。
○:白化なし
△:白化が認められる。
×:基材からの剥がれが認められる。
[耐候性の評価]
上記で得られたコーティング剤(1)をクロメート処理されたアルミ板(株式会社エンジニアリングテストサービス製)上に、膜厚が30μmとなるように塗装し、23℃、50%RHの環境下で7日間乾燥させたものを、デューパネル光ウェザーメーター(スガ試験機株式会社製、光照射時:30W/m、70℃;湿潤時:湿度90%以上、50℃、光照射/湿潤サイクル=8時間/4時間)で2,500時間曝露試験を行い、塗膜の外観を下記評価基準に従って評価した。
○:塗膜表面にクラックの発生がみられない。
△:塗膜表面の一部分にクラックの発生がみられる。
×:塗膜表面全体にクラックの発生がみられる。
(実施例2:水性複合樹脂組成物(2)の調製)
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、前記水性複合樹脂(A−1)の組成物417質量部、脱イオン水100質量部を仕込んで80℃まで昇温した。
次いで、同温度で、脱イオン水 65質量部、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキル硫酸エステルアンモニウム塩25%水溶液(第一工業製薬株式会社製「アクアロン KH−1025」)22質量部、MMA 90質量部、2EHA 100質量部、CHMA 115質量部、MPTS 1質量部、ポリオキシエチレンモノメタクリレート(日油株式会社製「ブレンマーPME−400」)20質量部からなる重合性単量体乳化液及び脱イオン水27質量部に過硫酸ナトリウム1質量部を溶解させた水溶液を5時間で滴下した。
滴下した後、同温度で1時間反応させ、TBPEH 0.2質量部を添加し、更に同温度で10時間反応させることで、不揮発分が50.0%の水性複合樹脂組成物(2)1000質量部を得た。
上記で得られた水性複合樹脂組成物(2)について、実施例1と同様に操作して、保存安定性を評価した。また、実施例1と同様に操作して、コーティング剤(2)を調製して、塗膜特性(耐水性及び耐候性)を評価した。
(実施例3:水性複合樹脂組成物(3)の調製)
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、前記ポリシロキサン複合樹脂(A−2)の水分散体860質量部、脱イオン水15質量部を仕込んで80℃まで昇温した。
次いで、同温度で、脱イオン水 15質量部、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキル硫酸エステルアンモニウム塩25%水溶液(第一工業製薬株式会社製「アクアロン KH−1025」)6質量部、MMA 20質量部、2EHA 25質量部、CHMA 30質量部、MPTS 0.3質量部、ポリオキシエチレンモノメタクリレート(日油株式会社製「ブレンマーPME−400」)8質量部からなる重合性単量体乳化液及び脱イオン水10質量部に過硫酸ナトリウム0.3質量部を溶解させた水溶液を5時間で滴下した。
滴下した後、同温度で1時間反応させ、TBPEH 0.1質量部を添加し、更に同温度で10時間反応させることで、不揮発分が43.0%の水性複合樹脂組成物(3)1000質量部を得た。
上記で得られた水性複合樹脂組成物(3)について、実施例1と同様に操作して、貯蔵安定性を評価した。また、実施例1と同様に操作して、コーティング剤(3)を調製して、塗膜特性(耐水性及び耐候性)を評価した。
(比較例1:水性樹脂組成物(R−1)の調製)
合成例4で製造したアクリル樹脂水分散体(W−1)を水性樹脂組成物(R−1)として用いた。
上記で得られた水性樹脂組成物(R−1)について、実施例1と同様に操作して、貯蔵安定性を評価した。また、実施例1と同様に操作して、コーティング剤(R−1)を調製して、塗膜特性(耐水性及び耐候性)を評価した。
(比較例2:水性樹脂組成物(R−2)の調製)
合成例2で製造したポリシロキサン複合樹脂(A−1)の水分散体を水性樹脂組成物(R−2)として用いた。
上記で得られた水性樹脂組成物(R−2)について、実施例1と同様に操作して、貯蔵安定性を評価した。また、実施例1と同様に操作して、コーティング剤(R−2)を調製して、塗膜特性(耐水性及び耐候性)を評価した。
(比較例3:水性樹脂組成物(R−3)の調製)
合成例2で製造したポリシロキサン複合樹脂(A−1)の水分散体83質量部と、合成例4で製造したアクリル樹脂水分散体(W−1)148質量部とを混合することにより、水性樹脂組成物(R−3)を調製した。
上記で得られた水性樹脂組成物(R−3)について、実施例1と同様に操作して、貯蔵安定性を評価した。また、実施例1と同様に操作して、コーティング剤(R−3)を調製して、塗膜特性(耐水性及び耐候性)を評価した。
実施例1〜3の水性複合樹脂組成物(1)〜(3)及び比較例1〜3の水性樹脂組成物(R−1)〜(R−3)の樹脂組成及び評価結果を表1に示す。なお、質量比[ポリシロキサン構造/樹脂全体]は、ポリシロキサン構造を形成する際に生成しうるメタノールやエタノール等の副生成物の生成を考慮し算出した。
Figure 0006418437
本発明の水性複合樹脂組成物である実施例1〜3のものは、保存安定性に優れており、得られる塗膜の耐水性及び耐候性にも優れていることが確認された。
比較例1は、アクリル樹脂水分散体を水性樹脂組成物として用いた例であるが、得られる塗膜の耐候性が不十分であることが確認された。
比較例2は、ポリシロキサン複合樹脂の水分散体を水性樹脂組成物として用いた例であるが、保存安定性が劣り、得られる塗膜の耐水性も不十分であることが確認された。
比較例3は、ポリシロキサン複合樹脂の水分散体とアクリル樹脂水分散体とを混合して得られた水性樹脂組成物の例であるが、保存安定性が劣り、得られる塗膜の耐水性も不十分であることが確認された。

Claims (3)

  1. ポリシロキサン複合樹脂(A)の水分散体中でビニル単量体混合物(B)を重合させる工程を経て得られる複合樹脂(C)及び水系媒体を含有する水性複合樹脂組成物であって、前記ポリシロキサン複合樹脂(A)が、親水性基を有するビニル重合体(a1)とポリシロキサン(a2)とが結合した複合樹脂であり、前記ビニル重合体(a1)と前記ポリシロキサン(a2)との結合が、前記親水性基を有するビニル重合体(a1)の有する加水分解性シリル基及び/またはシラノール基と前記ポリシロキサン(a2)の有する加水分解性シリル基及び/またはシラノール基との反応によって形成されたものであり、前記複合樹脂(C)中のポリシロキサン構造が3〜60質量%の範囲であることを特徴とする水性複合樹脂組成物。
  2. 前記ポリシロキサン複合樹脂(A)と前記ビニル単量体混合物(B)との質量割合[(A)/(B)]が10/90〜80/20の範囲である請求項1記載の水性複合樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2記載の水性複合樹脂組成物を含有することを特徴とするコーティング剤。
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