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JP6432227B2 - 車両の乗員救護補助システム - Google Patents
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JP6432227B2 - 車両の乗員救護補助システム - Google Patents

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Description

本発明は、乗員の健康状態に応じて車両を制御する車両の乗員救護補助システムに関する。
従来、車両の付加機能の一つとして、日常的に車両に搭乗する乗員の健康状態を評価,管理する機能が拡充されつつある。すなわち、乗員の健康状態の指標となる生体情報をバイタルセンサで検出し、その生体情報に基づいて乗員の健康状態を判定するものである。このような健康管理機能は、例えばマイカー通勤者や業務ドライバーのように、車両への搭乗頻度の高い乗員の健康管理に利用することができる。
近年では、車両で収集した生体情報を車両内で乗員のみに提供するのではなく、車両外でも利用可能にすることが検討されている。例えば、携帯電話通信網やインターネットを介して、生体情報をサーバ装置,自宅のコンピュータ等へ送信するシステムが提案されている。また、乗員の健康状態が悪化した場合に、生体情報を病院や救急センターへ送信することも提案されている(特許文献1,2参照)。このような車両と車両外部との連携システムは、客観的な乗員の健康診断や体調不良時の緊急対応に役立つものと考えられる。
特開2010-057664号公報 特開2012-024481号公報
上記のような体調不良時の緊急対応には、一刻を争う応急処置が求められることがある。例えば、日射病や熱射病の疑いがある場合には、できるだけ涼しい環境で安静状態を保つことが望ましい。また、良好な呼吸機能,循環機能を維持すべく、車両を安全に停止させた後に、シートベルトの緊縛を解除することやシートバックを後方に傾斜させること(楽な姿勢にすること)が望ましい場合もある。適切な応急処置がなされた場合、乗員の救命効果が向上し、その後の健康状態の経過(事後回復)が良好となりうる。
しかしながら、適切な応急処置の内容は、乗員の状態や環境条件に応じて多様に変化する。そのため、乗員自身が何をすればよいのかを自主的に判断することが難しいだけでなく、機械的な判定に基づく制御を実施することも困難である。従来の健康管理システムは、このような応急処置に対して十分に対応しているとはいえず、乗員の健康状態が低下してしまう可能性がある。
本件は、上記のような課題に鑑み創案されたものであり、乗員の健康状態の低下を抑制できるようにした車両の乗員救護補助システムを提供することを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用効果であって、従来の技術では得られない作用効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
(1)ここで開示する車両の乗員救護補助システムは、車両に搭乗する乗員の健康状態の指標となる生体情報を取得する生体情報センサと、前記車両の室内環境を制御する環境制御装置と、を備える。また、前記生体情報センサで取得された前記生体情報に基づき、前記乗員が体調不良であるか否かを推定する推定部と、前記推定部で前記乗員が前記体調不良であると推定された場合に、前記生体情報を医療機関へ送信するとともに、前記医療機関からの遠隔操作指令を受信する送受信部と、を備える。さらに、前記送受信部で受信した前記遠隔操作指令に基づき、前記環境制御装置の作動状態を制御する外部制御部と、前記医療機関からシステム停止指令を受信した場合に、前記送受信部による前記生体情報の送信を停止させるシステム停止部とを備える。
(2)ここで開示する第二の車両の乗員救護補助システムは、車両に搭乗する乗員の健康状態の指標となる生体情報を取得する生体情報センサと、前記車両の室内環境を制御する環境制御装置と、を備える。また、前記生体情報センサで取得された前記生体情報に基づき、前記乗員が体調不良であるか否かを推定する推定部と、前記推定部で前記乗員が前記体調不良であると推定された場合に、前記生体情報を医療機関へ送信するとともに、前記医療機関からの遠隔操作指令を受信する送受信部と、を備える。さらに、前記送受信部で受信した前記遠隔操作指令に基づき、前記環境制御装置の作動状態を制御する外部制御部と、前記車両の衝突を検出する衝突検出部とを備える。前記送受信部は、前記推定部で前記乗員が体調不良でないと推定された場合であっても、前記衝突検出部が前記車両の衝突を検出した場合には、前記生体情報を医療機関へ送信するとともに、前記医療機関からの遠隔操作指令を受信する。
前記生体情報センサの具体例としては、ステアリングを把持する手の脈動や圧力変化,電位変化等を検出する脈拍センサや、乗員に向かって照射された音波,電波の反射波に基づいて呼吸による周期的な体動を検出するドップラーセンサ等が挙げられる。これらの生体情報センサは、バイタルセンサとも呼ばれる。
)前記乗員及び前記車両の室内の映像を前記医療機関に送信するカメラを備えることが好ましい。
)前記乗員と前記医療機関との間で音声通話を確立する音声通話装置を備えることが好ましい。
)前記医療機関からシステム停止指令を受信した場合に、前記送受信部による前記生体情報の送信を停止させるシステム停止部を備えることが好ましい。
(6)前記環境制御装置には、前記車両の車室内の空調環境を制御する空調環境制御装置が含まれることが好ましい。
前記空調環境制御装置とは、車室内の空調環境(温度,湿度,換気状態等)を制御するものであり、例えばエアコン装置,暖房装置,加湿装置,パワーウィンドウ装置,ドアロック装置,パワーゲート装置(ドアの自動開閉装置),パワールーフ装置(ルーフの自動開閉装置)等が含まれる。
(7)前記環境制御装置には、前記乗員の着座姿勢を制御する着座姿勢制御装置が含まれることが好ましい。
前記着座姿勢制御装置とは、前記乗員の着座姿勢を制御するものであり、シートベルトのオートテンショナ装置(シートベルトの張力を調節する装置)やパワースライドシート装置(座席の位置や傾斜を調節する装置),クッション制御装置(クッションの硬さ,弾性を調節する装置)等が含まれる。
(8)前記環境制御装置には、前記車両の乗員を照らす照明装置が含まれることが好ましい。
前記照明装置とは、車室内の照明環境(照度)を制御するものであり、例えば天井面に取り付けられた室内灯や補助灯,前記カメラの撮影対象である乗員を前方から照らす被写体専用ライト等が含まれる。
ここで開示する車両の乗員救護補助システムによれば、乗員が体調不良のときに医療機関からの遠隔操作指令に基づいて室内環境を制御することで、乗員の身体的負担,精神的負担を軽減することができる。これにより、乗員の健康状態の低下を抑制することができ、乗員救護性を高めることができる。
実施形態の車両の乗員救護補助システムの全体構成を示す模式図である。 図1の乗員救護補助システムの機能を示すブロック図である。 図1の乗員救護補助システムの制御手順を示すフローチャートである。 図1の乗員救護補助システムの制御手順を示すフローチャートである。
図面を参照して、実施形態としての車両の乗員救護補助システムについて説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるとともに、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることが可能である。
[1.車両]
図1は、本実施形態の車両の乗員救護補助システムの全体構成を模式的に示す図である。本システムでは、車両30と医療機関50とがネットワーク40を介して接続される。ネットワーク40は、例えば携帯電話機用の無線通信網や、インターネットを利用して形成された有線又は無線通信網,車々間通信網等である。また、ここでいう医療機関50としては、車両30の乗員の掛かり付けの病院や最寄りの診療所,救急病院等を想定している。
車両30には、二種類の電子制御装置(Electronic Control Unit,ECU)が搭載される。第一の電子制御装置は乗員救護補助ECU10であり、乗員の健康状態を評価,管理する機能と、車両30の医療機関50との間で授受される情報を制御,管理する機能とを併せ持つ。また、第二の電子制御装置は車室環境ECU20であり、空調環境制御,着座姿勢制御及び照明制御を管理する機能を持つ。これらの乗員救護補助ECU10,車室環境ECU20は、車両30に搭載された車載ネットワークの通信ラインに接続されて互いに通信可能とされる。
上記の空調環境制御とは、車室内の空調環境(温度,湿度,換気状態等)を調節する制御である。また、上記の着座姿勢制御とは、乗員の座席環境(着座姿勢)を調節する制御であり、上記の照明制御とは、車室内の照明環境(照度)を調節する制御である。車室環境ECU20は、原則的には乗員の入力操作に応じて空調環境制御,着座姿勢制御及び照明制御のそれぞれを実施する。一方、乗員が体調不良である場合には、乗員の入力操作に頼ることなく、医療機関50での判断に基づいてこれらの制御を実施できるようにする。乗員救護補助ECU10,車室環境ECU20の具体的な制御内容については後述する。
上記の乗員救護補助ECU10,車室環境ECU20は、車両30の任意の位置に設けられる。また、車両30の車室内には、これらの乗員救護補助ECU10,車室環境ECU20に接続される装置として、バイタルセンサ2,衝突センサ3,カメラ4,スピーカ5,マイクロフォン6,パワースライドシート8,エアコン装置9,照明装置17が設けられる。さらに、車両30の外表面には無線通信用アンテナ7が設けられる。
バイタルセンサ2(生体情報センサ)は、シート1に着座した乗員の生体情報を取得するセンサである。生体情報とは、乗員の健康状態の指標となる情報であり、例えば脈拍,呼吸,体温,血圧,体重等の情報である。バイタルセンサ2の具体例としては、脈拍センサやドップラーセンサ等が挙げられる。脈拍センサは、ステアリングを把持する手の脈動や皮膚の圧力変化,電位変化等に基づいて脈拍を検出するものである。また、ドップラーセンサは、乗員に向かって照射された音波,電波の反射波に基づいて、脈動や呼吸動作に伴う周期的な体動を検出するものである。図1中のバイタルセンサ2は、シート1のクッション下方に内蔵されたドップラーセンサ(ラジオ波センサ)であり、乗員の臀部に照射されたラジオ波の反射波に基づいて、乗員の心拍の情報を検出する。ここで検出される生体情報は、乗員救護補助ECU10に伝達される。
衝突センサ3は、車両30の衝突によって生じる物理量を取得するためのセンサである。図1中の衝突センサ3は、車体に生じた前後方向の加速度(減速度)を検出する加速度センサである。車両30の衝突は、例えば加速度の絶対値が所定値以上になったことを以て判定可能である。なお、他の衝突センサ3の具体例としては、衝突による車体の変形に伴って生じる圧力変動を検知する圧力センサ,先行車両との間の距離を検出するレーダーセンサ等が挙げられる。ここで検出される車両衝突に関する情報は、乗員救護補助ECU10に伝達される。
カメラ4は、車両30の車室内及び乗員をビデオ映像として撮影するものである。この映像情報は、乗員救護補助ECU10を介して車両30の外部に送信され、医療機関50における乗員の健康状態の診断や、車室内の状況把握に利用される。
スピーカ5及びマイクロフォン6は、車両30の外部と乗員との間で音声通話を確立するための音声通話装置である。マイクロフォン6は、車両30の車室内の音や乗員の音声を集音し、音声情報として乗員救護補助ECU10に出力する。この音声情報も上記の映像情報と同様に、乗員救護補助ECU10を介して車両30の外部に送信され、医療機関50での乗員の健康状態の診断や、車室内の状況把握に利用される。また、スピーカ5は、医療関係者の音声を乗員に伝達するための音響装置であり、例えば医療関係者から乗員への声かけ,健康状態に関する質問,自覚症状の確認,問診等に利用される。
無線通信用アンテナ7は、乗員救護補助ECU10と車両30の外部(医療機関50)との間で無線通信を行うための通信装置(アンテナ)である。無線通信用アンテナ7は、乗員救護補助ECU10からの信号を無線送信波として医療機関50に送信するとともに、医療機関50から送信された信号を無線受信波として受信し、その情報を乗員救護補助ECU10に伝達する。
パワースライドシート8(環境制御装置,着座姿勢制御装置)は、車両30に搭載されたシート1の座席環境(すなわち、シート1の姿勢であって、乗員の着座姿勢)を調節するための駆動機構(電動アクチュエータや油圧アクチュエータ等)を備えた自動調節装置である。このパワースライドシート8で調節されるのは、例えばシート1の前後方向位置,シート1の上下方向位置,シートバックの傾斜角度,シートクッションの高さ,シートクッションの硬さ(弾性)等である。
これらのパラメータの制御量は、車室環境ECU20で管理される。例えば、乗員がインストルパネル上に設けられた操作スイッチ(例えば、各パラメータを増減させるスイッチやプリセットスイッチ等)を操作すると、その操作情報が車室環境ECU20へ伝達される。車室環境ECU20は、操作情報に応じて駆動機構の作動量を設定し、駆動信号を駆動機構へと出力する。これにより、所望の着座姿勢が得られるように、シート1の姿勢が調節される。
エアコン装置9(環境制御装置,空調環境制御装置)は、車両30の車室内の空調環境を調節するものである。このエアコン装置9には、ヒータ,エバポレータ,ファン,内気循環ダクト,外気導入ダクト等が内蔵される。エアコン装置9は、乗員の操作に応じて車室内の温度,湿度,換気量(酸素濃度)等を調節するのに用いられる。また、これらのパラメータの制御量は、車室環境ECU20で管理される。例えば、乗員がインストルパネル上に設けられた操作スイッチ(例えば、空調スイッチ,温度調節レバー,風量調節レバー等)を操作すると、その操作情報が車室環境ECU20へ伝達される。車室環境ECU20は、操作情報に応じてヒータ,エバポレータ,ファン等の作動量を設定し、これらの各々に対して駆動信号を出力する。これにより、車室内の空調環境が所望の状態となるように、エアコン装置9が制御される。
照明装置17(環境制御装置)は、乗員を照らすために車室内に取り付けられた照度可変型のライトである。照明装置17の点灯状態は、手動によるスイッチ操作で切り換えが可能であるほか、車両30のドアの開閉状態やカメラ4の作動状態に連動して自動的に切り換えられる。また、照明装置17の明るさも乗員によるスイッチ操作で変更可能である。なお、既存の室内灯をこの照明装置17として使用してもよいが、室内灯が天井面における車両前後方向の中央に配置されている場合には、天井面の前端部近傍に照明装置17を別設することが好ましい。乗員の前方から光を照射することで逆光が防止され、カメラ4の映像中における乗員の顔色,表情,上体の姿勢等が視認しやすくなる。
本実施形態のパワースライドシート8,エアコン装置9,照明装置17は、乗員の入力操作だけでなく、医療機関50からの遠隔操作指令にも基づいて制御される。すなわち、車室環境ECU20は、乗員救護補助ECU10が遠隔操作指令を受信した場合には、その遠隔操作指令に基づいてパワースライドシート8,エアコン装置9,照明装置17の作動状態を制御する。換言すれば、医療機関50の医療関係者が主体的にシート1の姿勢や車室内の温度,湿度,照度等を調節できるようになっている。ただしこれは、乗員の健康状態が優れない場合であって、乗員の身体的負担,精神的負担を軽減する上で適切であるとの判断が医療機関50でなされた場合に限られる。したがって、パワースライドシート8,エアコン装置9,照明装置17は、無条件に遠隔操作されるのではなく、医療機関50の判断に基づいて遠隔操作される。
以下、乗員救護補助ECU10及び車室環境ECU20の総称として、単にECU10,20とも表現する。ECU10,20の各々は、プロセッサ装置やメモリ装置を集積した電子デバイス(コンピュータ)として形成される。各々のECU10,20の内部には、例えば中央処理装置(Central Processing Unit),メモリ装置,インタフェイス装置等が内蔵され、これらが内部バスを介して接続される。これらのECU10,20は、任意の電力源(例えば車載バッテリーやボタン電池等)からの電力供給を受けて作動する。
上記の中央処理装置は、例えば制御ユニット(制御回路)や演算ユニット(演算回路),キャッシュメモリ(レジスタ群)等を内蔵するプロセッサである。また、上記のメモリ装置には、プログラムや作業中のデータが一時的に格納される短期記憶素子と、長期的に保持されるデータやプログラムが格納される長期記憶素子とが含まれる。前者は例えばROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory)であり、後者は例えばフラッシュメモリやEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性メモリである。
上記のインタフェイス装置は、ECU10,20と外部との間の入出力(I/O;Input/Output)を司るものである。各々のECU10,20は、インタフェイス装置を介して、例えば車載ネットワーク網と接続され、あるいは各種装置2〜9,17に対して直接的に接続される。なお、車載ネットワーク網には、他の電子制御装置(例えば、エンジンECU,モータECU,車体制御ECU,バッテリECU等)や、出力装置としての液晶モニタ等も接続される。
[2.医療機関]
図2に示すように、医療機関50には、医療機関サーバ51が設けられる。医療機関サーバ51は、プロセッサ装置やメモリ装置,記憶装置等を有する大型電子計算機であり、ネットワーク40を介して車両30の乗員救護補助ECU10と通信可能に設けられる。この医療機関サーバ51は、乗員救護補助ECU10から伝達される情報を医療関係者(医師,看護師,救急救命士等)に提供する機能と、車両30のパワースライドシート8,エアコン装置9,照明装置17を遠隔操作するための遠隔操作指令を出力する機能とを併せ持つ。なお、医療機関サーバ51及びECU10,20は何れもコンピュータであって、基本的なハードウェア構成は同様であることから、医療機関サーバ51のハードウェア構成についての説明を省略する。
医療機関サーバ51には、ディスプレイ52,スピーカ53,マイクロフォン54,操作スイッチ55,無線通信用アンテナ56が接続される。ディスプレイ52は、車両30のカメラ4で撮影された映像を表示する表示装置である。また、無線通信用アンテナ56は、車両30の無線通信用アンテナ7と同様の通信装置(アンテナ)である。なお、医療機関サーバ51がネットワーク40に対して有線接続されている場合には、無線通信用アンテナ56を省略することができる。
スピーカ53及びマイクロフォン54は、車両30のスピーカ5及びマイクロフォン6と対をなして使用される音声通話装置である。すなわち、車両30のマイクロフォン6に入力された音声が医療機関50のスピーカ53から出力され、医療機関50のマイクロフォン54に入力された音声が車両30のスピーカ5から出力されるようになっている。これにより、車両30の乗員と医療機関50の医療関係者との間で双方向の音声通話が確立される。
操作スイッチ55は、車両30のインストルメントパネル上に設けられたものと同様の操作スイッチであり、パワースライドシート8,エアコン装置9及び照明装置17を遠隔操作するための入力装置である。具体的には、パワースライドシート8で調節可能な各パラメータを増減させるスイッチやプリセットスイッチ,空調スイッチ,温度調節レバー,風量調節レバー,照明装置17の点灯スイッチ,明るさ調整用レバー等に相当するスイッチ類が設けられる。これらの操作スイッチ55への入力操作は、車両30側から体調不良の乗員に関する生体情報が送信されている間にのみ有効とされる。なお、操作スイッチ55の代わりに、医療機関サーバ51に接続されたキーボードやマウスによる入力操作を用いた遠隔操作を実現する制御構成としてもよい。
[3.処理内容]
図2を用いてECU10,20及び医療機関サーバ51における制御の処理内容を説明する。各々のECU10,20及び医療機関サーバ51における処理内容は、例えばアプリケーションプログラムとして各々のメモリ装置(長期記憶素子)内に記録され、あるいはコンピュータが読み込み可能なリムーバブルメディア上に記録される。また、このアプリケーションプログラムは、メモリ装置(短期記憶素子)のメモリ空間内に展開されて実行される。乗員救護補助ECU10で実行されるプログラムには、乗員状態推定部11,衝突検出部12,遠隔操作制御部13が設けられる。
乗員状態推定部11(推定部)は、バイタルセンサ2で取得された生体情報に基づき、乗員が体調不良であるか否かを推定するものである。乗員の健康状態を評価,管理する機能は、ここで実現される。例えば、乗員の単位時間あたりの心拍数について、過去の所定時間内における平均値を算出し、その平均値を中心とした所定の変動範囲を設定する。そして、バイタルセンサ2で取得された心拍数が変動範囲外まで変化した場合に、乗員が体調不良であると推定する。なお、体調不良であるか否かを判定するための具体的な条件は任意に設定することができ、公知の判定条件を用いてもよい。ここで推定された、乗員の健康状態に関する情報は、遠隔操作制御部13に伝達される。
衝突検出部12は、車両30の衝突を検出するものである。ここでは、衝突センサ3で取得された物理量に基づいて、衝突の有無が判断される。例えば、衝突センサ3で得られた加速度の絶対値が所定値以上である場合に、車両30が何らかの物体に衝突したものと判断される。なお、衝突の有無は、衝突センサ3での取得情報以外の情報を用いて(あるいは併用して)判断することも可能である。例えば、車両30に装備されたエアバッグ装置の作動信号や、他の電子制御装置(例えば、エンジンECU,モータECU,車体制御ECU,バッテリECU等)から出力された緊急停止信号等に基づいて、衝突の有無を判断してもよい。ここで判断された、衝突の有無に関する情報は、遠隔操作制御部13に伝達される。
遠隔操作制御部13は、車両30と医療機関50との間の通信内容を制御,管理するとともに、医療機関50からの遠隔操作を制御するものである。遠隔操作制御部13で実施されるこれらの制御のことを、遠隔操作制御とも呼ぶ。遠隔操作制御部13の内部には、送受信部14,外部制御部15,システム停止部16が設けられる。
送受信部14は、少なくともバイタルセンサ2で取得された生体情報を医療機関50へ送信するとともに、医療機関50からの遠隔操作指令を受信するものである。これらの情報の送受信は、無線通信用アンテナ7を介した無線通信により実現される。また、医療機関50へ情報を送信するための条件は、「乗員状態推定部11で乗員が体調不良であると推定されたこと」又は「衝突検出部12で車両30の衝突が検出されたこと」である。なお、車両30の衝突が検出された場合には、車両30が安全に停止した後で情報の送信を開始すべく「車両30が衝突後に静止状態となったこと」を追加の条件としてもよい。
本実施形態の送受信部14は、上記の条件が成立したときに、カメラ4,スピーカ5,マイクロフォン6の主電源を投入する機能を持つ。また、生体情報と一緒に、カメラ4で撮影された映像情報,マイクロフォン6で集音された音声情報,エアコン装置9の作動状態に関する情報(目標室温,ファン回転数等),パワースライドシート8の作動状態に関する情報(前後方向位置,上下方向位置,傾斜角度等)を医療機関50へ送信する機能を持つ。また、本実施形態の送受信部14は、車室内の温度,湿度,換気状態といった空調環境に関する情報も併せて、医療機関50へ送信する機能を持つ。これにより、例えば体調不良の乗員が置かれている状況や実際の顔色,意識状態,着座姿勢等がリアルタイムに医療機関50で把握され、乗員の健康状態の診断及び車室内の状況把握の精度が向上する。
上記の「医療機関50からの遠隔操作指令」とは、医療機関50の医療関係者が車両30のパワースライドシート8,エアコン装置9及び照明装置17を遠隔操作するための制御信号である。この遠隔操作指令には、例えばエアコン装置9の目標温度,目標湿度,目標換気量等の情報や、パワースライドシート8によるシート1の目標位置,目標高さ,目標傾斜等の情報や、照明装置17の照度情報が含まれる。また、遠隔操作をするべきか否かの判定や遠隔操作による遠隔操作指令の内容については、医療関係者の判断に委ねられる。例えば、医療機関50の医療関係者が操作スイッチ55を操作すると、その操作情報が医療機関サーバ51に伝達され、操作情報に応じた遠隔操作指令が医療機関サーバ51から出力されるようにする。医療機関サーバ51から遠隔操作指令が出力される条件は、車両30側から生体情報が入力されており、かつ、医療関係者が操作スイッチ55を操作したことである。
外部制御部15は、医療機関50からの遠隔操作指令を受信した場合に、その遠隔操作指令に基づいてパワースライドシート8,エアコン装置9,照明装置17の作動状態を制御するものである。ここでは、遠隔操作指令を受信する前までの制御内容が遠隔操作指令によって上書きされ、遠隔操作指令に基づく作動状態となる。すなわち、医療機関50からの遠隔操作指令に基づく制御は、遠隔操作指令を受信する前までの制御と比較して優先的に実施される。
例えば、乗員の体温が低下しつつあると診断された場合には、医療機関50からエアコン装置9の設定温度を上昇させる遠隔操作指令が乗員救護補助ECU10へと入力される。これを受けて、外部制御部15は車室環境ECU20に制御信号を出力し、エアコン装置9の設定温度を上昇させる。反対に、日射病や熱射病の疑いがある場合には、医療機関50からエアコン装置9の設定温度を低下させる遠隔操作指令が乗員救護補助ECU10へと入力される。これを受けて、外部制御部15は車室環境ECU20にエアコン装置9の設定温度を低下させる制御を実施させる。パワースライドシート8,照明装置17についても同様であり、医療機関50での診断結果に応じてシートベルトのテンションやシートバックの傾斜角度,車室内の照度等が適切に制御される。
システム停止部16は、医療機関50からの遠隔操作により、送受信部14からの情報発信を停止させる制御を実施するものである。本実施形態のシステム停止部16は、単に情報の送信を停止させるだけでなく、パワースライドシート8,エアコン装置9,照明装置17の主電源をオフにする制御を実施する。好ましくは、システム停止部16が乗員救護補助ECU10及び車室環境ECU20の主電源をオフに制御することとする。あるいは、車両30の主電源をオフに制御することとする。
例えば、医療機関50の診断が終了して、乗員の生体情報や映像情報等が不要となる場合がある。一方、このとき乗員が意識不明であれば、乗員救護補助ECU10の動作を停止させることができず、車室内の映像情報が医療機関50に送信され続けることになる。また、車両30に同乗者がいない場合、乗員が救助隊に救助されて病院まで搬送された後には、車両30がそのままの状態で放置される。この場合、誰も車両30に搭乗していないにも関わらず、カメラ4で撮影された映像や車室内の音声情報が送信され続けることになる。システム停止部16は、上記のような送受信部14による生体情報の送信を停止させる機能を持つ。
また、乗員の応急処置として、医療機関50の医療関係者がエアコン装置9,照明装置17の作動状態を遠隔操作したとする。その後、乗員の診断が完了するとともに車室内の温度や湿度が適切に制御され、エアコン装置9,照明装置17をそれ以上作動させ続ける必要がないと判断されることが考えられる。このとき、乗員が意識を失っていれば、エアコン装置9,照明装置17の主電源をオフにする操作ができず、これらが作動し続けることになってしまう。システム停止部16は、このようなパワースライドシート8,エアコン装置9,照明装置17の作動を停止させる機能を持つ。
なお、乗員救護補助ECU10及び車室環境ECU20への電力供給を遠隔操作で遮断する機能をシステム停止部16に実装してもよい。例えば、医療機関50からのシステム停止指令を受信した場合に、そのシステム停止指令に基づいて乗員救護補助ECU10及び車室環境ECU20の電源をオフにする制御を実施する。あるいは、車両30の主電源をオフにして全システムを停止させる制御を実施する。これにより、エアコン装置9や照明装置17だけでなく、車室内映像の送信も停止させることが可能となる。
車室環境ECU20には、空調環境制御部21,着座姿勢制御部22,照明制御部23が設けられる。
空調環境制御部21は、上記の空調環境制御を実施するものである。空調環境制御の制御対象となる装置(空調環境制御装置)としては、エアコン装置9のほか、パワーウィンドウ装置,ドアロック装置,パワーゲート装置(ドアの自動開閉装置),パワールーフ装置(ルーフの自動開閉装置)等も挙げることができる。本実施形態の空調環境制御部21は、原則的には乗員による操作スイッチの操作に応じて、エアコン装置9の作動状態を制御する。一方、送受信部14で医療機関50からの遠隔操作指令を受信した場合には、遠隔操作指令に基づく制御を優先的に実施する。
着座姿勢制御部22は、上記の着座姿勢制御を実施するものである。着座姿勢制御の制御対象となる装置(着座姿勢制御装置)としては、パワースライドシート8のほか、シートベルトのオートテンショナ装置(シートベルトの張力を調節する装置)やクッション制御装置(クッションの硬さ,弾性を調節する装置)等も挙げることができる。本実施形態の着座姿勢制御部22は、原則的には乗員による操作スイッチの操作に応じて、パワースライドシート8の作動状態を制御する。一方、送受信部14で医療機関50からの遠隔操作指令を受信した場合には、遠隔操作指令に基づく制御を優先的に実施する。
照明制御部23は、上記の照明制御を実施するものである。この照明制御部23は、原則的には乗員による操作スイッチの操作に応じて、照明装置17の点灯状態,明るさを制御する。一方、送受信部14で医療機関50からの遠隔操作指令を受信した場合には、遠隔操作指令に基づく制御を優先的に実施する。
[4.フローチャート]
図3は、遠隔操作制御部13による遠隔操作制御の実施及び不実施を判定するためのフローチャート例である。ステップA1では、衝突センサ3で取得された加速度の情報が乗員救護補助ECU10に入力され、ステップA2では、バイタルセンサ2で取得された生体情報が乗員救護補助ECU10に入力される。また、ステップA3では、乗員状態推定部11において、生体情報に基づいて乗員の健康状態が推定される。そしてステップA4では、乗員が体調不良であるか否かが判定される。ここで乗員が体調不良である場合にはステップA5へ進み、車両30を安全に停止させる制御が実施される。また、その後はステップA9へ進み、遠隔操作制御が実行される。
ステップA4で乗員が体調不良でなかった場合、ステップA6へ進む。このステップでは、衝突検出部12において、車両30の衝突の有無が判定される。ここで、車両30の衝突が発生していない場合には、そのままこのフローを終了する。この場合、次回の演算周期では、ステップA1から制御が実行されることになる。一方、車両30の衝突が発生している場合には、ステップA7へ進む。
ステップA7では、衝突センサ3で取得された加速度の情報が乗員救護補助ECU10に入力され、続くステップA8では、車両30が静止中であるか否かが判定される。この判定は、加速度の絶対値が所定値未満であることを以て判定することができる。車両30が静止中であればステップA9へ進み、遠隔操作制御が実行される。一方、車両30が静止中でなければ、車両30の運動状態が過渡的に変化している可能性があることから、ステップA7に進み、車両30が静止するまで加速度の情報の取得と判定とが繰り返される。
図4は、遠隔操作制御の内容に対応するフローチャート例である。ステップB1では、バイタルセンサ2で取得された生体情報が乗員救護補助ECU10に入力される。また、ステップB2では、カメラ4,スピーカ5,マイクロフォン6,照明装置17が作動を開始し、車室内の映像や音声の情報が乗員救護補助ECU10に入力される。なお、遠隔操作制御が夜間に開始されたときや悪天候時には車室内が暗く、カメラ4で撮影される映像が不鮮明となる可能性がある。一方、カメラ4の作動時に照明装置17が自動的に点灯するため、車室内が明るくなり、乗員及び室内の鮮明な映像が得られる。
そしてステップB3では、乗員救護補助ECU10の送受信部14が生体情報,映像情報,音声情報,空調環境に関する情報,パワースライドシート8及びエアコン装置9の作動状態に関する情報等が医療機関50に送信される。続くステップB4では、医療機関50からの遠隔操作指令が送受信部14に入力されたか否かが判定される。ここで、遠隔操作指令が入力されている場合にはステップB5に進み、そうでない場合にはステップB6に進む。
ステップB5では、外部制御部15において遠隔操作情報に基づくパワースライドシート8,エアコン装置9,照明装置17の制御が実施される。これにより、医療機関50での診断結果に応じてエアコン装置9が作動し、目標温度が適切に設定される。これに併せて、シート1の位置や傾斜角度も適切に調節され、乗員の身体的負担及び精神的負担が軽減される。また、被写体の照度が適切ではなく、車室内の乗員の様子が視認し難かったとしても、医療機関50側で映像が見やすくなるように照明装置17の照度を調節可能である。したがって、視認性の改善が容易となり、診断精度が向上する。
ステップB6では、医療機関50からのシステム停止指令が送受信部14に入力されたか否かが判定される。ここで、システム停止指令が入力されている場合にはステップB7に進み、そうでない場合にはステップB1に進む。
ステップB7では、システム停止部16においてシステム停止指令に基づく制御が実施される。これにより、送受信部14における生体情報の送信が停止するとともに、車室内の映像情報や音声情報等の送信も停止し、無線通信が終了する。また、パワースライドシート8,エアコン装置9,照明装置17の電源がオフとなり、空調制御,照明制御も終了する。
[5.作用,効果]
(1)上記の車両の乗員救護補助システムでは、車両30に搭乗する乗員の健康状態が乗員救護補助ECU10で評価,管理される。そして、乗員が体調不良であると推定された場合には、乗員の生体情報だけでなく、車室内の映像情報,音声情報,空調環境に関する情報,パワースライドシート8及びエアコン装置9の作動状態に関する情報が医療機関50に送信される。これにより、医療機関50の医療関係者は、車室内の状況を正しく把握することができ、乗員の健康状態を正確に診断することができる。
また、医療機関50の判断でパワースライドシート8及びエアコン装置9を遠隔操作することができるため、乗員の健康状態に応じてシート1の姿勢や車室内の温度,湿度等を調節することができ、乗員の身体的負担,精神的負担を軽減することができる。これにより、乗員の健康状態の低下を抑制することができ、乗員救護性を高めることができる。
(2)上記の乗員救護補助システムには、乗員及び車両30の室内の映像を医療機関50に送信するカメラ4が装備される。また、カメラ4で撮影された映像は、医療機関50のディスプレイ52に表示される。これにより、医療関係者はディスプレイ52に表示された映像をリアルタイムに確認しながら、乗員の健康状態を診断することができる。したがって、診断精度を向上させることができる。
(3)上記の乗員救護補助システムにおける車両30側には、スピーカ5及びマイクロフォン6が設けられ、医療機関50側にもこれと対をなすスピーカ53及びマイクロフォン54が設けられる。これらの音声通話装置は、車両30と医療機関50との間に双方向の音声通話を確立する。これにより、医療関係者から乗員への声かけ,健康状態に関する質問,自覚症状の確認,問診等を行うことができ、診断精度を向上させることができる。
(4)上記の乗員救護補助システムには、医療機関からのシステム停止指令を受けて、生体情報の送信を停止させるシステム停止部16が設けられる。これにより、カメラ4で撮影された映像や車室内の音声情報が送信され続けることを防止できる。したがって、乗員救護補助システムを作動させるためのエネルギーの浪費を防止することができるとともに、通信リソースの浪費を防止することができる。
また、システム停止部16では、パワースライドシート8及びエアコン装置9の主電源をオフにする制御も実施される。これにより、エアコン装置9が作動し続けることによる電力消費を抑制することができる。なお、システム停止部16が車室環境ECU20自体の電源をオフにする制御構成を採用した場合には、車室環境ECU20での電力消費がゼロとなるため、エネルギー消費量をさらに削減することができる。
(5)上記の乗員救護補助システムには、車両30の衝突を検出する衝突検出部12が設けられ、車両30が衝突した場合には、乗員がたとえ体調不良でなかったとしても、生体情報等が医療機関50へ送信される。これにより、乗員の自覚症状の有無にかかわらず、専門家である医療関係者の見解,判断を仰ぐことができ、乗員救護性を向上させることができる。また、例えば交通事故が発生したような場合には、医師や救助隊が現地に到着するまでの応急手当を行うことができる。これにより、車両事故における乗員救護性をさらに高めることができる。
(6)上記の乗員救護補助システムでは、車両30の車室内の空調環境を制御する空調環境制御装置としてのエアコン装置9が、医療機関50の判断で遠隔操作可能である。例えば、乗員の体温が低下しつつあると診断された場合には、乗員の体温が低下しないようにエアコン装置9の目標温度をやや高めに設定することができる。また、日射病や熱射病の疑いがあると診断された場合には、乗員の体温を低下させるべくエアコン装置9の目標温度をやや低めに設定することができる。これらの設定により、乗員の体温を制御する適切な応急処置を実施することができ、乗員の救命効果を高めることができる。
(7)上記の乗員救護補助システムでは、乗員の着座姿勢を制御する着座姿勢制御装置としてのパワースライドシート8が、医療機関50の判断で遠隔操作可能である。例えば、乗員の呼吸機能,循環機能を維持した方がよいと診断された場合には、シートバックを後方へ傾斜させて乗員の姿勢を横臥に近い状態にすることができる。また、乗員を早期に車外へ連れ出すべきだと診断された場合には、シート1を車両後方へ移動させて、救助隊による乗員の車外への救助活動を支援することができる。これらの操作により、乗員の姿勢を制御する適切な応急処置を実施することができ、乗員の救命効果を高めることができる。
(8)上記の乗員救護補助システムでは、車両30の車室内の照明環境を制御する環境制御装置としての照明装置17が、医療機関50の判断で遠隔操作可能である。例えば、カメラ4で撮影された映像が暗く不鮮明である場合には、照明装置17による照度を上げることで車室内の乗員の様子を確認しやすくすることができる。反対に、映像が明るすぎて白く飛んでしまっている場合には、照明装置17による照度を下げて、映像のホワイトバランスを適正化することができる。これらの操作により、乗員の顔色,表情,上体の姿勢等の視認性を改善することができ、医療機関50での乗員の診断精度を向上させることができる。
[6.変形例]
上述した実施形態に関わらず、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
上述の実施形態では、車両30の乗員救護補助ECU10と医療機関サーバ51とがネットワーク40で接続された乗員救護補助システムを例示したが、乗員救護補助ECU10の接続対象となるコンピュータは医療機関サーバ51に限定されない。例えば、医療機関サーバ51の代わりに、医療機関50に従事する医療関係者の携帯電話機,スマートフォンといった通信端末を利用することも可能である。このような通信端末を用いることで、新たな設備投資を要することなく、既存のネットワーク通信網を利用して、上述の実施形態と同様の効果を奏するシステムを構築することができる。
また、上述の実施形態では、二つの電子制御装置(乗員救護補助ECU10,車室環境ECU20)が搭載された車両30について説明したが、これらの電子制御装置の機能をまとめて一つの電子制御装置に統合することも可能である。例えば、既存の車体制御ECUやエアコンECUに対する機能付加により、乗員救護補助ECU10及び車室環境ECU20の機能を兼ね備えたものとすることができる。
なお、上述の実施形態では、車室環境ECU20がパワースライドシート8,エアコン装置9,照明装置17を制御するシステムを例示したが、乗員救護補助ECU10がパワースライドシート8,エアコン装置9,照明装置17を制御するシステムとすることも可能である。つまり、医療機関50による遠隔操作機能のみに着目すれば、車室環境ECU20を省略することができる。
2 バイタルセンサ(生体情報センサ)
3 衝突センサ
4 カメラ
5 スピーカ(音声通話装置)
6 マイクロフォン(音声通話装置)
7 無線通信用アンテナ
8 パワースライドシート(環境制御装置,着座姿勢制御装置)
9 エアコン装置(環境制御装置,空調環境制御装置)
10 乗員救護補助ECU
11 乗員状態推定部(推定部)
12 衝突検出部
13 遠隔操作制御部
14 送受信部
15 外部制御部
16 システム停止部
17 照明装置(環境制御装置)
40 ネットワーク
50 医療機関

Claims (8)

  1. 車両に搭乗する乗員の健康状態の指標となる生体情報を取得する生体情報センサと、
    前記車両の室内環境を制御する環境制御装置と、
    前記生体情報センサで取得された前記生体情報に基づき、前記乗員が体調不良であるか否かを推定する推定部と、
    前記推定部で前記乗員が体調不良であると推定された場合に、前記生体情報を医療機関へ送信するとともに、前記医療機関からの遠隔操作指令を受信する送受信部と、
    前記送受信部で受信した前記遠隔操作指令に基づき、前記環境制御装置の作動状態を制御する外部制御部と、
    前記医療機関からシステム停止指令を受信した場合に、前記送受信部による前記生体情報の送信を停止させるシステム停止部と
    を備えたことを特徴とする、車両の乗員救護補助システム。
  2. 車両に搭乗する乗員の健康状態の指標となる生体情報を取得する生体情報センサと、
    前記車両の室内環境を制御する環境制御装置と、
    前記生体情報センサで取得された前記生体情報に基づき、前記乗員が体調不良であるか否かを推定する推定部と、
    前記推定部で前記乗員が体調不良であると推定された場合に、前記生体情報を医療機関へ送信するとともに、前記医療機関からの遠隔操作指令を受信する送受信部と、
    前記送受信部で受信した前記遠隔操作指令に基づき、前記環境制御装置の作動状態を制御する外部制御部と、
    前記車両の衝突を検出する衝突検出部とを備え、
    前記送受信部は、前記推定部で前記乗員が体調不良でないと推定された場合であっても、前記衝突検出部が前記車両の衝突を検出した場合には、前記生体情報を医療機関へ送信するとともに、前記医療機関からの遠隔操作指令を受信する
    を備えたことを特徴とする、車両の乗員救護補助システム。
  3. 前記乗員及び前記車両の室内の映像を前記医療機関に送信するカメラを備える
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載の車両の乗員救護補助システム。
  4. 前記乗員と前記医療機関との間で音声通話を確立する音声通話装置を備える
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の車両の乗員救護補助システム。
  5. 前記医療機関からシステム停止指令を受信した場合に、前記送受信部による前記生体情報の送信を停止させるシステム停止部を備えた
    ことを特徴とする、請求項2,または請求項2を引用する請求項3,または請求項2を引用する請求項4,または請求項2を引用する請求項3を引用する請求項4に記載の車両の乗員救護補助システム。
  6. 前記環境制御装置には、前記車両の車室内の空調環境を制御する空調環境制御装置が含まれる
    ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の車両の乗員救護補助システム。
  7. 前記環境制御装置には、前記乗員の着座姿勢を制御する着座姿勢制御装置が含まれる
    ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の車両の乗員救護補助システム。
  8. 前記環境制御装置には、前記車両の乗員を照らす照明装置が含まれる
    ことを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載の車両の乗員救護補助システム。
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