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JP6432638B2 - 半導体装置の動作方法および設計方法 - Google Patents
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JP6432638B2 - 半導体装置の動作方法および設計方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体装置に関する。
半導体に用いられる絶縁膜材料は、リーク電流の低減と容量(利得)の向上および移動度の改善を目的として、(i)比誘電率は低いが界面準位密度を低減することができる二酸化ケイ素(SiO2)などからなる第1の層と、(ii)比誘電率の高いhigh−k材料(Hf,Zrなどの酸化物、酸窒化物)からなる第2の層とを積層したゲート絶縁膜が用いられている(特許文献1〜特許文献2)。特許文献1〜2の技術では、第1の層が半導体層上に積層され、第2の層が第1の層とゲート電極層との間に配置されている。
特開2011−233695号公報 特開2007−311740号公報
しかし、high−k材料は、比較的低温で結晶化し易く、製造工程の途中で結晶化することによって絶縁膜中にキャリアの捕獲準位が形成され易くなる。また、印加電圧の高い電力用半導体デバイスなどの場合において、ゲート絶縁膜下にチャネルが形成(容量が蓄積)されるようにゲート絶縁膜に高い電圧を印加した際、従来の技術では、半導体層の側のゲート絶縁膜(第1の層/下層)が薄いため、下層のゲート絶縁膜においてリーク電流(トンネル電流)が発生し易い。そのため、チャネルのキャリアが十分に蓄積されていないような低いバイアス点において、上述のリーク電流が発生すると、下層のゲート絶縁膜を介してhigh−k絶縁膜(第2層/上層)にキャリアが流れ出し、high−k絶縁膜の内部に捕獲される。その結果、しきい値電圧が印加した電圧側にシフトする。捕獲されたキャリアは開放されるまで時間がかかるため、電圧印加を0Vに戻し、再度電圧を印加した際にしきい値電圧がシフトしたままとなり、同じ電圧を印加してもチャネルが蓄積できず、電流が低下するという問題が生じる。特に電力変換用半導体装置(パワーデバイス)では、ゲート絶縁膜に印加される電圧がSi系の微細素子と比べて高いためにその課題が顕著となる。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、半導体層の一方の面に積層されたゲート絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜の上に積層され、該ゲート絶縁膜を介して上記半導体にチャネルを形成するための電圧を印加するためのゲート電極層とを備えた半導体装置において、上記ゲート絶縁膜は、上記半導体層の一方の面に積層された第1絶縁膜と、上記第1絶縁膜と上記ゲート電極層との間に配置された第2絶縁膜とを備え、上記第1および第2絶縁膜の比誘電率をε1,ε2とし、上記第1および第2絶縁膜の膜厚をd1[nm],d2[nm]とし、上記ゲート電極層に印加できる定格電圧をVmax[V]としたときに、ε1<ε2であり、かつ次の数式(C1)を満たすように構成されている。
Figure 0006432638
ここで、定格電圧とは、ゲート絶縁膜が絶縁破壊を起こさずに使用する上でゲート電極層に印加することのできる最大の電圧のことである。本形態において、ゲート絶縁膜を数式(C1)の条件を満たすように構成することにより、第2絶縁膜が結晶化して膜中にキャリアの捕獲準位を形成しても、半導体装置の動作時の印加電圧では、第1絶縁膜においてリーク電流(トンネル電流)が流れず、動作時においてゲート電圧を繰り返し印加した際にしきい値電圧がシフトするという問題を生じなくすることができる。
(2) 上記形態の半導体装置において、上記ゲート絶縁膜は、数式(C2)を満たす半導体装置である。
Figure 0006432638
(3) 他の形態において、上記第1絶縁膜の膜厚d1は、10nm以上である半導体装置である。
(4) 他の形態において、上記第1絶縁膜の絶縁破壊電界強度をE1bd[MV/cm]としたとき、上記ゲート絶縁膜は、数式(C3)を満たす半導体装置である。
Figure 0006432638
(5)(4)の形態において、上記絶縁破壊電界強度E1bdは、10MV/cmとすることができる。
(6) 他の形態において、上記定格電圧Vmaxは、10V以上である半導体装置である。
(7) 他の形態において、上記第1絶縁膜は、Siを主として含んだ絶縁材料であり、上記第2絶縁膜は、Hf、Zr、Alから選択された1種以上を含む酸化物または酸窒化物を有する絶縁材料である半導体装置である。
(8) 他の形態において、上記第1絶縁膜は、Alを主として含んだ絶縁材料であり、上記第2絶縁膜は、Hf、Zrから選択された1種以上を含む酸化物または酸窒化物を有する絶縁材料である半導体装置である。
(9) 他の形態において、上記第2絶縁膜は、複数の層を積層して構成されている半導体装置である。
(10) 他の形態において、上記半導体層は、III属窒化物系半導体を含む半導体装置である。
本発明において、ゲート絶縁膜を数式(C1)の条件を満たすように構成することにより、半導体装置の動作時におけるゲート電圧を繰り返し印加した際にしきい値電圧がシフトするという問題を生じなくすることができる。
第1実施の形態における半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。 第1実施の形態における半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。 ゲート電極層に電圧を印加した場合にその印加電圧とゲート絶縁膜に加わる電圧との関係を説明する説明図である。 半導体装置におけるゲート電極層に加えた電圧とゲート電極層に流れる電流との関係を説明する説明図である。 半導体装置のゲート電圧とソース電極層−ドレイン電極層間に流れる電流との関係を説明する説明図である。 第1実施の形態における半導体装置のゲート絶縁膜の仕様と実験結果を説明する説明図である。 第1実施の形態における半導体装置の他のゲート絶縁膜の仕様と実験結果を説明する説明図である。 第2実施の形態における半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。 第2実施の形態における半導体装置のゲート絶縁膜の仕様と実験結果を説明する説明図である。 第3実施の形態における半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。 第3実施の形態における半導体装置のゲート絶縁膜の仕様と実験結果を説明する説明図である。 第4実施の形態における半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。 第4実施の形態における半導体装置のゲート絶縁膜の仕様と実験結果を説明する説明図である。
A.第1実施の形態
(1) 半導体装置の概略構成
図1は第1実施の形態における半導体装置10の構成を模式的に示す断面図である。半導体装置10は、いわゆる縦型のMOSFETであり、窒化ガリウム(GaN)を用いて形成された半導体素子である。半導体装置10は、例えば電力制御に用いられ、パワーデバイスとも呼ばれる。図1には、本実施の形態における半導体装置10の断面の一部を示している。なお、図1は、半導体装置10の技術的特徴をわかりやすく示すための図であり、各部の寸法を正確に示すものではない。また、図1には、説明を容易にするために、相互に直交するXYZ軸が図示されている。
半導体装置10は、基板110と、第1のN型半導体層120と、P型半導体層130と、第2のN型半導体層140と、ゲートトレンチ150と、リセス160と、ゲート絶縁膜190と、ソース電極層210と、ドレイン電極層220と、ゲート電極層230と、Pボディ電極層240と、を備える。
(2) 半導体装置10の各部の構成
半導体装置10の基板110は、Y軸およびZ軸に沿って広がる板状をなす。基板110はGaN基板であり、第1のN型半導体層120よりも高い濃度でケイ素(Si)をドナーとして含有する。
第1のN型半導体層120は、基板110から+X方向に積層した状態で形成されている。第1のN型半導体層120は、GaNであり、ケイ素(Si)をドナーとして含有する。
P型半導体層130は、第1のN型半導体層120から+X方向に積層した状態で形成されている。P型半導体層130は、GaNであり、マグネシウム(Mg)をアクセプタとして含有する。
第2のN型半導体層140は、P型半導体層130から+X方向に積層した状態で形成されている。第2のN型半導体層140は、GaNであり、第1のN型半導体層120よりも高い濃度でケイ素(Si)をドナーとして含有する。
ゲートトレンチ150は、ゲートを形成するための溝部であって、第2のN型半導体層140の表面から第1のN型半導体層120に到達する溝部である。ゲートトレンチ150の断面形状は、第2のN型半導体層140の表面から第1のN型半導体層120に到達していれば、例えばV字型の形状等他の形状であってもよい。リセス160は、Pボディ電極層240を形成するための凹部であって、第2のN型半導体層140の表面からP型半導体層130に到達する凹部である。なお、リセス160の形状は、P型半導体層130が第2のN型半導体層140側に露出していれば、例えば段差状の形状やV字型の形状等の他の形状であってもよい。また、ゲートトレンチ150およびリセス160の側面の形状は、垂直でなくてもよく、斜めの形状でもよい。
ゲート絶縁膜190は、ゲートトレンチ150の底面および側面とゲートトレンチ150の周縁の第2のN型半導体層140の表面に形成された絶縁膜である。ゲート絶縁膜190は、半導体層の面上に積層された第1絶縁膜192と、第1絶縁膜192とゲート電極層230との間に配置された第2絶縁膜194とを備えている。なお、ゲート絶縁膜190の構成および作用については、後に詳細に説明する。
ゲート電極層230は、ゲート絶縁膜190を介して、ゲートトレンチ150の底面と側面とゲートトレンチ150の周縁を覆うように形成された電極である。本実施の形態では、ゲート電極層230は、アルミニウム(Al)からなる構造を有する。ゲート電極層230として、アルミニウムを用いているが、ポリシリコンを用いてもよい。また、ゲート電極層230は、他の材料により形成されていてもよく、複数層の構成であってもよい。例えば、ゲート電極層230は、金(Au)/ニッケル(Ni)構成や、Al/チタン(Ti)構成、Al/TiN(窒化チタン)構成(それぞれ、Ni、Ti、TiNがゲート絶縁膜側)のような2層構成であってもよいし、TiN/Al/TiN構成のような3層構成であってもよい。
ソース電極層210は、第2のN型半導体層140の表面に形成された電極である。本実施の形態では、ソース電極層210は、チタン(Ti)からなる層(第2のN型半導体層140側)にアルミニウム(Al)からなる層を積層した構造を有する。他の実施の形態では、ソース電極層210は、Tiの代わりに、例えば、バナジウム(V)、ハフニウム(Hf)を用いてもよい。
ドレイン電極層220は、基板110の第1のN型半導体層120が積層されている面の反対側の面に形成された電極である。本実施の形態では、ドレイン電極層220は、基板110側に配されチタン(Ti)からなる層アルミニウム(Al)からなる層を積層した2層構造を有する。他の実施の形態では、ドレイン電極層220は、Tiの代わりに、例えば、バナジウム(V)、ハフニウム(Hf)を用いてもよい。
Pボディ電極層240は、P型半導体層130にオーミック接触するように、リセス160に形成された電極である。本実施の形態では、Pボディ電極層240は、パラジウム(Pd)からなる層に金(Au)からなる層を積層した層から形成され、Pdの層をP型半導体層130側に積層した構造を有する。他の実施の形態では、Pボディ電極層240は、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、コバルト(Co)等の導電性材料の少なくとも1つを含む電極であってもよい。
(3) 半導体装置の製造方法
図2は第1実施の形態における半導体装置10の製造方法を示すフローチャートである。はじめに、基板110上に、結晶成長によって第1のN型半導体層120が形成され(ステップS110)、続いて、P型半導体層130および第2のN型半導体層140が順次形成される(ステップS120、ステップS130)。次に、ドライエッチングによりゲートの形成のためのゲートトレンチ150およびPボディ電極層240のためのリセス160が形成される(ステップS140)。
続いて、ゲートトレンチ150および第2のN型半導体層140上にかけて、ゲート絶縁膜190が形成される(ステップS150)。ゲート絶縁膜190は、第1絶縁膜192および第2絶縁膜194の2層で順次形成される。続いて、電極が形成される(ステップS160)。第2のN型半導体層140に接続するように、ソース電極層210が形成される。P型半導体層130に接続するように、Pボディ電極層240が形成される。これらの電極と半導体層とのコンタクト抵抗を低減するための熱処理が行なわれる。なお、ソース電極層210およびPボディ電極層240の熱処理については、同時に行なうほか、別々に行なってもよい。すなわち、ソース電極層210が形成された後に、ソース電極層210のための熱処理を行ない、その後に、Pボディ電極層240を形成した後に、Pボディ電極層240のための熱処理を行なってもよい。その逆でもよい。また、ゲート電極層230が形成される。基板110の裏面にドレイン電極層220が形成される。そして、これらの電極と半導体層とのコンタクト抵抗低減のための熱処理が実行される。ステップS160では、以上のように電極が形成される。
以上の工程により、本実施の形態の半導体装置10が製造される。
(4) 半導体装置10の動作
半導体装置10において、ゲート電極層230に電圧が印加されていない状態では、P型半導体層130の存在により、ソース電極層210とドレイン電極層220との間は導通していない。一方、ゲート電極層230に加えた電圧(以下、ゲート電圧という。)が所定値以上になると、ゲート絶縁膜190の境界面付近のP型半導体層130側に反転層が形成される。この反転層がチャネルとして機能することにより、ソース電極層210とドレイン電極層220との間に電圧を印加すると、ソース電極層210とドレイン電極層220とは、第2のN型半導体層140と、P型半導体層130に形成された反転層と、第1のN型半導体層120と、基板110とを介して導通する。
(5) 実施の形態の作用・効果
(5)−1 ゲート絶縁膜190の特性
図3はゲート電極層230にゲート電圧を印加した場合にその印加電圧とゲート絶縁膜190に加わる電圧との関係を説明する説明図である。半導体装置10の動作時におけるゲート絶縁膜190の特性について説明する。
図3に示すように、半導体装置10が動作する電圧が印加されているとき、つまり、ゲート絶縁膜190の下にキャリアが蓄積されるような電圧が印加されているときに、ゲート電極層230へのゲート電圧をV[V]とし、第1および第2絶縁膜192,194に印加される電圧をV1[V],V2[V]とし、第1および第2絶縁膜192,194の膜厚をd1[nm],d2[nm]とし、第1および第2絶縁膜192,194の比誘電率をε1,ε2とした場合において、数式(4),(5)の関係が成立する。
Figure 0006432638
Figure 0006432638
数式(4),(5)により、第1絶縁膜192に印加される電圧V1は、数式(6)により表わされる。なお、絶縁膜/半導体の界面に存在する固定電荷などの影響により生じるフラットバンドシフト電圧は、ゲート電極層230に印加できる定格電圧Vmax[V]に比べて十分に小さいとして、数式(5)に含めていない。
Figure 0006432638
半導体装置10の動作時におけるゲート電圧Vは、信頼性の観点から定格電圧Vmaxの1/3〜1/2であることが好ましい。半導体装置の動作時の印加電圧において、しきい値電圧の印加電圧方向へのシフトを抑制するためには、第1絶縁膜192に多量のリーク電流が流れることを抑制する必要がある。すなわち、第1絶縁膜192に、FN型(Fowler-Nordheim)のトンネル電流が流れないように設計しておく必要がある。第1絶縁膜192の膜種や膜質にもよるが、SiO2やSiN、Al23など、比較的耐圧の高い絶縁膜において、FN型のトンネル電流が発生する電界強度E1[MV/cm]は、7〜8MV/cmにおいて発生することが多い。このことから、ゲート電圧Vが定格電圧Vmaxの1/3〜1/2において、第1絶縁膜192に印加される電界強度が7〜8MV/cm以下であることが好ましい。
第1絶縁膜192の膜厚d1と第1絶縁膜192に印加される電圧V1との関係は、数式(7)で表され、さらに、数式(7)に数式(6)を代入して、数式(8)で表される。ここで、数式(8a)は、ゲート電圧Vが定格電圧Vmaxの1/3であり、電界強度E1が7MV/cmとした場合を示し、数式(8b)は、ゲート電圧Vが定格電圧Vmaxの1/2であり、電界強度E1が8MV/cmとした場合を示す。
Figure 0006432638
Figure 0006432638
ゲート絶縁膜190は、上述した数式(8)を満たすように設計した場合には、以下に述べる理由により、しきい値電圧のシフトを抑制できる。
図4は半導体装置のゲート電極層に加えた電圧とゲート電極層に流れる電流(以下、ゲート電流という。)との関係を説明する説明図である。図4の横軸がゲート電圧[Vg]を示し、縦軸がゲート電流[Ig]を対数でとったものを示す。0Vと定格電圧Vmaxとの間のある電圧V04まで、ゲート電圧を0Vから繰り返して印加することにより、I−V特性を調べた。図4(A)は実施例の測定結果を示し、図4(B)は比較例の測定結果を示す。
実施例では、1回目にゲート電圧を印加した場合には、ゲート電圧を0Vから上昇させると、図4(A)において実線で示す(a)の曲線のようなゲート電流の値を示した。2回目以降にゲート電圧を印加した場合には、図4(A)において破線で示す(b)の曲線のようなゲート電流の値を示した。2回目以降にゲート電圧が印加された場合には、ゲート電圧が電圧V02〜V03のときに、1回目のゲート電流の値と異なったゲート電流の値を示している。これは、以下の理由による。1回目のゲート電圧の印加で、第1絶縁膜192(図3参照)にトンネル電流が流れて、第2絶縁膜194の捕獲準位にキャリアが捕獲される。捕獲されたキャリアは、開放されるまでに時間がかかる。このために、2回目以降にゲート電圧を印加した場合に、1回目のゲート電圧を印加した場合と異なったゲート電流の値を示している。なお、実際には、電圧V02〜V03以外の部分においては、1回目と2回目の電流を示す曲線は重なっているが、技術の理解を容易にするために図4(A)では、両方をずらして示している。また、ゲート電圧がV02以下で繰り返して測定を行った場合には1回目と2回目以降で異なる値を示す現象は生じない。
比較例では、1回目にゲート電圧を印加した場合には、ゲート電圧を0Vから上昇させると、図4(B)において実線で示す(c)の曲線のようなゲート電流の値を示した。2回目以降にゲート電圧を印加した場合には、図4(B)の破線で示す(d)の曲線のようなゲート電流の値を示した。2回目以降にゲート電圧が印加された場合には、ゲート電圧が電圧V01〜V03のときに、図4(A)の実施例で説明したように、捕獲されたキャリアの影響により、1回目のゲート電流の値と異なったゲート電流の値を示している。なお、実際には、電圧V01〜V03以外の部分においては、1回目と2回目の電流を示す曲線は重なっているが、技術の理解を容易にするために図4(B)では、両方をずらして示している。この比較例では、ゲート電圧がV01以下で繰り返して測定を行った場合には1回目と2回目以降で異なる値を示す現象は生じないが、実施例で問題の生じなかった電圧V01からV02の間では異なる値を示す。
図5は半導体装置のゲート電圧とソース電極層−ドレイン電極層間に流れる電流(以下、ドレイン電流という。)との関係を説明する説明図である。図5の横軸がゲート電圧[Vg]を示し、縦軸がドレイン電流の値[Id]を示す。例えば、図4(B)の比較例において、ゲート電圧として電圧V01を越えない電圧Vaが印加された場合には、第1絶縁膜192(図3参照)にトンネル電流が流れないために、ドレイン電流は、ゲート電圧に対し、図5において実線で示す(e)の曲線のような特性を示す。これに対して、図4(B)に示すゲート電圧として電圧V01を越える電圧Vbを印加した後に、測定を行なうと、図5において2点鎖線で示す(f)の曲線のようなドレイン電流の値をとる。その結果、しきい値電圧Vth0がしきい値電圧Vthxへシフトしていることが分かる。
一方、図4(A)の実施例の場合には、ゲート電圧が電圧Vaの場合だけでなく、電圧Vaより高い電圧Vb(電圧V02以下)で繰り返して印加された場合にも、第1絶縁膜192にトンネル電流が流れず、第2絶縁膜194の捕獲準位にキャリアが蓄積されないから、1回目、2回目以降も、ドレイン電流の値が同じ特性を示す。その結果、しきい値電圧もシフトしない。
したがって、半導体装置の動作時のゲート電圧が図4(A)に示す電圧Vbで印加されると考えると、電圧Vbが定格電圧Vmaxの1/3であって、上述した第1絶縁膜192(図3参照)の電界強度E1[MV/cm]が7MV/cmであると想定した場合において、しきい値電圧のシフトが生じない半導体装置を作成するには、数式(8a)を満たす条件でゲート絶縁膜190を設計すればよい。一方、電圧Vbが定格電圧Vmaxの1/2であって、上記電界強度E1[MV/cm]が8MV/cmであると想定した場合において、しきい値電圧のシフトが生じない半導体装置を作成するには、数式(8b)を満たす条件でゲート絶縁膜を設計すればよい。
図6は第1実施の形態におけるゲート絶縁膜190の仕様と実験結果を説明する説明図であり、試料A1,試料A2を示している。試料A1,A2では、第1絶縁膜に比誘電率ε1が4のSiO2、第2絶縁膜に比誘電率ε2が20のZrO2を用いている。ゲート電極層230に印加できる定格電圧Vmaxが30Vであるものとして設計しており、試料A1にかかる第1絶縁膜の膜厚d1を12nm、第2絶縁膜の膜厚d2を40nmとし、試料A2にかかる第1絶縁膜の膜厚d1を4nm、第2絶縁膜の膜厚d2を48nmとした。これらの値を数式(8)の左辺に代入して値を求めた。数式(8)の値は、小数第一位を四捨五入した値で示している。判定の欄において、数式(8a)を満たさなかった場合を×、数式(8b)を満たす場合を◎でそれぞれ表わす。試料A1,A2において、ゲート電圧を0Vからある電圧まで印加し、また、0Vにまで戻すことを繰り返し行なった際に、しきい値電圧のシフトが発生し始めるゲート電圧を調べた。数式(8b)を満たした試料A1では、ゲート電圧が17Vで、すなわち定格電圧Vmaxの1/2以上の電圧でしきい値電圧のシフトが発生した。これに対して、数式(8a)を満たさない試料A2では、ゲート電圧が定格電圧Vmaxの1/3である10Vでしきい値電圧のシフトが発生した。
第1絶縁膜192は、数式(8)を満たすとともに、その膜厚d1の具体的な値として、10nm以上であることが望ましい。これは、第1絶縁膜192の膜厚d1が薄いと、第2絶縁膜194の内部もしくは第1絶縁膜192と第2絶縁膜194との界面に存在する固定電荷によるクーロン散乱の影響を受け、チャネル走行するキャリアの移動度が低下するからである。
(5)−2 第2絶縁膜194の膜厚
図7は第1実施の形態における他のゲート絶縁膜の仕様と実験結果を説明する説明図である。本実験例では、試料A3〜試料A7を作成して、第2絶縁膜194の膜厚の関係について調べた。各試料A3〜試料A7は、第1絶縁膜192の膜厚d1を12nmで固定し、第2絶縁膜194の膜厚d2を10nm、25nm、40nm、55nm、70nmとした。このときの各試料の定格電圧Vmaxはそれぞれ、15V、23V、30V、38V、45Vであった。数式(8)の値は、小数第一位を四捨五入した値で示している。判定の欄において、数式(8b)を満たす場合を◎で表わし、数式(8a)を満たす場合を○で表わす。試料A3〜試料A7において、定格電圧Vmaxの1/3の電圧をゲート電圧として印加した場合、いずれの試料についてもしきい値電圧のシフトが認められなかった。このとき、数式(8a)を満たしている。一方、チャネルの抵抗を低減するために、定格電圧Vmaxの1/2の電圧をゲート電圧として印加すると、55nm(試料A6)および70nm(試料A7)の場合に、しきい値電圧のシフトが認められた。
第2絶縁膜194の膜厚d2関しては、以下の点を考慮して定めることができる。ゲート絶縁膜を1層の第1絶縁膜192だけで形成した場合には、第1絶縁膜192が定格電圧Vmaxにおいて破壊されないために、第1絶縁膜192の絶縁破壊電界強度をE1bdとすると、膜厚d1との関係で、数式(9)を満たすことが好ましい。
Figure 0006432638
半導体装置10の相互コンダクタンスは、ゲート容量、すなわち、ゲート電極層230と半導体層との間にあるゲート絶縁膜190の容量に比例する値である。第1絶縁膜192だけでゲート絶縁膜190を形成した場合に、ゲート電極層230の単位面積当たりのゲート容量Csingleは、数式(10)で表わされる。
Figure 0006432638
数式(10)を数式(9)に代入して、数式(11)を得る。
Figure 0006432638
一方、ゲート絶縁膜190に2層の絶縁膜を用いた場合に、ゲート容量Cmultiは、第1膜および第2膜のゲート容量をC1,C2とすると、数式(12)で表わされる。
Figure 0006432638
各層のゲート容量C1,C2は、数式(13)の関係を有するから、数式(12)は、数式(14)で表わされる。
Figure 0006432638
Figure 0006432638
第2絶縁膜194は、比誘電率ε2の高い絶縁材料を用いると、ゲート容量を高めることが可能となる。しかし、膜厚d2が厚くなりすぎると、ゲート容量は、第1絶縁膜192だけを用いた場合より低下してしまい、ゲート絶縁膜190を2層にする利点が低減される。よって、数式(15)の条件を満たすことが好ましい。
Figure 0006432638
数式(15)は、 数式(11)および数式(14)を代入すると、数式(16)となる。
Figure 0006432638
したがって、ゲート絶縁膜190の各層の膜厚d1および膜厚d2は、数式(16)を満たす構成とすることで、同じゲート電圧を印加しても、相互コンダクタンスの高い、すなわちチャネル抵抗の低い半導体装置10が実現できる。例えば、本実施の形態のように第1絶縁膜に比誘電率ε1が4のSiO2、第2絶縁膜に比誘電率ε2が20のZrO2を用い、定格電圧Vmaxを30Vで設計した半導体装置においては、以下の構成とすることが好ましい。第1絶縁膜SiO2の絶縁破壊電界強度E1bdが10MV/cmであり、膜厚d1を12nmとした場合には、膜厚d2は90nm以下であることが好ましい。
B.第2実施の形態
図8は第2実施の形態における半導体装置300の構成を模式的に示す断面図である。半導体装置300は、いわゆる横型のMOSFETであり、窒化ガリウム(GaN)を用いて形成された半導体素子である。半導体装置300は、例えば電力制御に用いられ、パワーデバイスとも呼ばれる。半導体装置300は、基板310と、バッファ層320と、P型半導体層330と、第2のN型半導体層340と、第3のN型半導体層350とを積層して構成されている。基板310は、ケイ素(Si)から形成された基板である。バッファ層320は、薄いアンドープAlN層の上に薄いアンドープGaN層を積んだ多層の窒化物半導体層から形成されている。P型半導体層330は、GaNであり、マグネシウム(Mg)をアクセプタとして含有する。第2のN型半導体層340は、GaNであり、P型半導体層330にイオン注入によってSiをドナーとして添加した高濃度のn層である。第2のN型半導体層340は、P型半導体層330上に2箇所(図8の両側)形成されている。第3のN型半導体層350は、GaNであり、P型半導体層330にイオン注入によってSiをドナーとして添加したn層であり、第2のN型半導体層340よりドナーの濃度が低く形成されている。なお、第2のN型半導体層340および第3のN型半導体層350は、ドナーとして作用するものであれば、Si以外でもよく、また、イオン注入法のほかに、不純物拡散や選択再成長などの他の方法を用いて形成してもよい。
第2のN型半導体層340、P型半導体層330および第3のN型半導体層350上には、ゲート絶縁膜390が積層されている。ゲート絶縁膜390は、半導体層の面上の第1絶縁膜392と、第1絶縁膜392に積層された第2絶縁膜394とを備えている。ゲート絶縁膜390には、コンタクトホール360が2箇所(図8の両側)に形成されている。各々のコンタクトホール360にソース電極層410およびドレイン電極層420が、両側の第2のN型半導体層340に接触するようにそれぞれ形成されている。また、ゲート絶縁膜390の外面(半導体層と接している面とは反対の面)であって、ソース電極層410側の第2のN型半導体層340と第3のN型半導体層350との間には、ゲート電極層430が形成されている。
半導体装置300の動作について説明する。ゲート電極層430にゲート電圧が印加されていない状態では、P型半導体層330の存在により、ソース電極層410とドレイン電極層420との間は導通していない。一方、ゲート電極層430に所定値以上のゲート電圧が印加されると、ソース電極層410側の第2のN型半導体層340と、第3のN型半導体層350と、の間のP型半導体層330に反転層が形成される。この反転層がチャネルとして機能することにより、ソース電極層410とドレイン電極層420との間に電圧を印加すると、ソース電極層410とドレイン電極層420とは、ソース電極層410側の第2のN型半導体層340と、P型半導体層330に形成された反転層と、第3のN型半導体層350と、ドレイン電極層420側の第2のN型半導体層340とを介して導通する。
図9は第2実施の形態におけるゲート絶縁膜の仕様と実験結果を説明する説明図であり、試料B1,試料B2を示している。半導体装置300の構成のうち、ゲート絶縁膜390の仕様を変更することにより、試料B1,試料B2を作成した。第1絶縁膜として、試料B1では比誘電率ε1が4のSiO2を用い、試料B2では比誘電率ε1が8のAl23を用いた。第2絶縁膜として、試料B1,試料B2のどちらも、比誘電率ε2が24のZrONを用いた。ゲート電極層430に印加できる定格電圧Vmaxが30Vであるものとして設計しており、試料B1、B2とも、第1絶縁膜の膜厚d1を10nm、第2絶縁膜の膜厚d2を50nmとした。第1実施の形態と同様にしきい値電圧のシフトを調べた。数式(8)の値は、小数第一位を四捨五入した値で示している。判定の欄において、数式(8b)を満たす場合を◎で表わす。その結果、試料B1、試料B2の仕様とも数式(8b)の条件を満たしており、第1絶縁膜にSiO2を用いた試料B1では定格電圧Vmaxの1/2を1V越えた16Vでしきい値電圧のシフトが発生し、一方、第1絶縁膜にAl23を用いた試料B2では、定格電圧Vmaxの1/2を十分に越えた22Vでしきい値電圧のシフトが発生した。
C.第3実施の形態
図10は第3実施の形態における半導体装置300Cの構成を模式的に示す断面図である。半導体装置300Cは、図8の半導体装置300の構成のうち、絶縁膜に特徴を有する。すなわち、ゲート絶縁膜390Cは、第1絶縁膜392Cと、第1絶縁膜392C上に形成された第2絶縁膜394Cとから形成されている。第2絶縁膜394Cは、材質の異なる2層である第1膜394Caと第2膜394Cbとを積層することにより形成されている。
図11は第3実施の形態におけるゲート絶縁膜の仕様と実験結果を説明する説明図であり、試料C1を示している。試料C1では、第1絶縁膜392Cに比誘電率ε1が4のSiO2を用い、第2絶縁膜394Cのうち、第1膜394Caに比誘電率ε2aが8のAl23、第2膜394Cbに比誘電率ε2bが24のZrONをそれぞれ用いた。試料C1では、ゲート電極層430に印加できる定格電圧Vmaxが30Vであるものとして設計している。ここで、第2絶縁膜394Cにおける比誘電率ε2の平均値は、数式(17)から第1膜394Caと第2膜394Cbの合計の膜厚d2を求め、さらに直列容量の計算式である数式(18)を変形した数式(19)を用いて求めている。試料C1の仕様では、数式(19)で計算すると、第2絶縁膜394Cにおける比誘電率ε2の平均値が16となる。
Figure 0006432638
Figure 0006432638
試料C1では、第1絶縁膜392Cの膜厚d1が10nmである。第2絶縁膜394Cの膜厚d2は、数式(17)から求められる。試料C1では、第1膜394Caおよび第2膜394Cbの膜厚d2a,d2bが10nm、30nmであるから、合計の膜厚d2が40nmとなる。
第1実施の形態と同様にしきい値電圧のシフトを調べた。数式(8)の値は、小数第一位を四捨五入した値で示している。判定の欄において、数式(8b)を満たす場合を◎で表わす。数式(8b)を満たした本実施の形態では、ゲート電圧が定格電圧Vmaxの1/2を越えた17Vでしきい値電圧のシフトが発生した。このように、本実施の形態によれば、第2絶縁膜394Cが複数の第1膜394Caおよび第2膜394Cbから形成されていても、第2絶縁膜394Cにおける比誘電率ε2の平均値および合計の膜厚d2を用いて設計すれば、上述した実施の形態と同様、しきい値電圧のシフトの課題を解決することができる。
D.第4実施の形態
図12は第4実施の形態における半導体装置500の構成を模式的に示す断面図である。半導体装置500は、チャネル部分以外に2次元電子ガス2DEGを利用した横型のMOSFETである。半導体装置500は、基板510と、バッファ層520と、キャリア走行層530と、障壁層540とを積層して構成されている。
基板510は、ケイ素(Si)から形成された基板である。基板510の他の構成として、サファイヤ、SiC、GaNなどの材料を用いることができる。バッファ層520は、薄いアンドープAlN層の上に薄いアンドープGaN層を積んだ多層の窒化物半導体層から形成されている。キャリア走行層530は、アンドープGaNからなる半導体層である。障壁層540は、キャリア走行層530より禁制帯幅が広いアンドープAl0.25Ga0.75Nからなる窒化物半導体である。
キャリア走行層530と障壁層540とのヘテロ接合界面には、正の分極電荷の影響によって、キャリア走行層530の側に2次元電子ガス2DEGが発生する。なお、本実施の形態では、障壁層540は、1層のアンドープ層AlGaNにより形成されているが、他の実施の形態では、GaN/AlGaN、InGaN/AlGaN、InGaN/AlGaN/AlNなどの多層からなる窒化物半導体層で形成してもよい。また、障壁層540は、ドーピングされたAlGaN、AlInN、AlGaInNなどの1層よりなる窒化物半導体層、Al組成やドーピング濃度の異なる複数のAlGaN層を含んでなる多層AlGaN層など、1層または多層のアンドープもしくはドーピングされた層からなる他の半導体層を用いてもよい。
なお、キャリア走行層530と障壁層540とは、それぞれ1層だけであるが、障壁層540の上に、さらに単数または複数のキャリア走行層/障壁層対を設けてもよい。
障壁層540からキャリア走行層530の一部にかけて、ゲートリセス560が形成されている。ゲートリセス560および障壁層540を覆うようにゲート絶縁膜590が形成されている。ゲート絶縁膜590は第1絶縁膜592上第2絶縁膜594積層することにより形成されている。ゲート絶縁膜590には、ゲート電極層630の両側にコンタクトホール570が形成されている。図示の左側のコンタクトホール570にソース電極層610が図示の左側の障壁層540に接触するように形成されている。図示の右側のコンタクトホール570にドレイン電極層620が図示の右側の障壁層540に接触するように形成されている。また、ゲート絶縁膜590の外面であって、障壁層540の間の上方には、ゲート電極層630が形成されている。ソース電極層610およびドレイン電極層620は、障壁層540を介してトンネル電流機構によってキャリア走行層530にオーム性接触している。
ゲートリセス560は、障壁層540の上面からキャリア走行層530の部分的な深さまで彫り込むことによって形成されている。すなわち、ゲートリセス560の深さは、ゲート電極層630にゲート電圧を印加していない状態にて、ソース電極層610とドレイン電極層620の間の電流を抑制してノーマリーオフを実現するために、ソース電極層610とゲート電極層630の間の2次元電子ガス2DEGとゲート電極層630とドレイン電極層620の間の2次元電子ガス2DEGとがゲート電圧の印加なしの状態で、十分に分離されるように形成されている。なお、ゲートリセス560の側面は、キャリア走行層530および障壁層540に対して垂直であることを要せず、側面は傾斜して形成されていてもよい。コンタクトホール570の側面も同様に傾斜して形成されていてもよい。
半導体装置500の動作について説明する。ゲート電極層630にゲート電圧を印加すれば、その下方と側方に接するゲート絶縁膜590のうち、ゲート絶縁膜590の下方と側方に接するキャリア走行層530に電子が蓄積される。これらの電子によって、ソース電極層610とドレイン電極層620との間に形成されている2次元電子ガス2DEGが接続される。よって、ソース電極層610とドレイン電極層620との間に電圧を印加すれば、ソース電極層610とドレイン電極層620の間に電流が流れる。
図13は第4実施の形態におけるゲート絶縁膜の仕様と実験結果を説明する説明図であり、試料D1,試料D2を示している。試料D1,D2では、第1絶縁膜592に比誘電率ε1が4のSiO2、第2絶縁膜594に比誘電率ε2が16のHfO2を用いている。試料D1では、第1絶縁膜592の膜厚d1を10nm、第2絶縁膜594の膜厚d2を40nmとした。試料D2では、第1絶縁膜592の膜厚d1を4nm、第2絶縁膜594の膜厚d2を55nmとした。これらの値を数式(8)の左辺に代入して値を求めた。試料D1,D2について、第1実施の形態と同様にしきい値電圧のシフトを調べた。数式(8)の値は、小数第一位を四捨五入した値で示している。判定の欄において、数式(8b)を満たす場合を◎で表わし、数式(8a)を満たす場合を○で表わす。試料D1,D2は、定格電圧Vmaxが30Vで設計している。数式(8b)を満たした試料D1では、定格電圧Vmaxの1/2以上である17Vでしきい値電圧のシフトが発生した。一方、数式(8a)を満たした試料D2では、定格電圧Vmaxの1/3である10Vではしきい値電圧のシフトは発生しなかったが、定格電圧Vmaxの1/2未満である13Vでしきい値電圧のシフトが発生した。
本実施の形態においても、上述の第1実施の形態などと同様に、第2絶縁膜594の材料が結晶化して膜中にキャリアの捕獲準位を形成しても、しきい値電圧のシフトの発生を抑制することができる。
E.その他の変形例
上記各実施の形態では、第1絶縁膜は、二酸化ケイ素(SiO2)や酸化アルミニウム(Al23)、窒化ケイ素(SiN)、酸窒化アルミニウム(AlON)など、比較的耐圧の高い絶縁膜として形成されうる。そのような態様において、第1絶縁膜は、FN(Fowler-Nordheim)型のトンネル電流が発生する電界強度が7〜8MV/cmにおいて発生する絶縁膜であれば、同様に適用できる。
また、第2絶縁膜は、1層または2層の構成について説明したが、3層以上でも同様に適用できる。また、第2絶縁膜は、Al23、HfO2、ZrO2 ZrONを用いて説明したが、第1絶縁膜との関係で、d1<d2,ε1<ε2が成立する膜を用いることで同様に適用できる。
半導体層の材料として、GaNでなくても、SiC、Siなど、他の材料系による半導体装置であってもよく、また、縦型、および横型MOSFETに限らず、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)など、絶縁ゲート構造を有する他の半導体装置でも同様に実施可能である。
上記実施の形態において、ゲート電極層に印加できる定格電圧Vmaxは、30Vで設計した場合について説明したが、これに限らず、定格電圧Vmaxが10V以上の半導体装置に有効であり、定格電圧Vmaxが15Vや20V、50Vや100V、1000Vなどであってもよく、また1000Vを越えるものであっても、同様に実施することができ、定格電圧Vmaxの値は、上述した実施の形態に限定されない。
本発明は、上述の実施の形態や変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施の形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…半導体装置
110…基板
120…第1のN型半導体層
130…P型半導体層
140…第2のN型半導体層
150…ゲートトレンチ
160…リセス
190…ゲート絶縁膜
192,194…第1および第2絶縁膜
210…ソース電極層
220…ドレイン電極層
230…ゲート電極層
240…Pボディ電極層
300…半導体装置
300C…半導体装置
310…基板
320…バッファ層
330…P型半導体層
340…第2のN型半導体層
350…第3のN型半導体層
360…コンタクトホール
390…ゲート絶縁膜
390C…ゲート絶縁膜
392…第1絶縁膜
392C…第1絶縁膜
394…第2絶縁膜
394C…第2絶縁膜
394Ca…第1膜
394Cb…第2膜
410…ソース電極層
420…ドレイン電極層
430…ゲート電極層
500…半導体装置
510…基板
520…バッファ層
530…キャリア走行層
540…障壁層
560…ゲートリセス
570…コンタクトホール
590…ゲート絶縁膜
592…第1絶縁膜
594…第2絶縁膜
610…ソース電極層
620…ドレイン電極層
630…ゲート電極層

Claims (13)

  1. 電力制御用の半導体装置の動作方法であって、
    半導体装置は、半導体層の一方の面に積層されたゲート絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜の上に積層され、該ゲート絶縁膜を介して上記半導体層にチャネルを形成するための電圧を印加するためのゲート電極層とを備え、
    上記ゲート絶縁膜は、上記半導体層の一方の面に積層された第1絶縁膜と、上記第1絶縁膜と上記ゲート電極層との間に配置された第2絶縁膜とを備え、
    上記第1および第2絶縁膜の比誘電率をε1,ε2とし、上記第1および第2絶縁膜の膜厚をd1[nm],d2[nm]としたときに、d1<d2、かつε1<ε2であり、
    絶縁破壊を起こすことなく前記ゲート電極層に印加することができる最大電圧である定格電圧をVmax[V]としたときに、
    前記半導体装置は、
    Vmaxが、10V以上であり、
    しきい値電圧のシフトが発生する電圧が、Vmax/2以上であり、
    式(C2)の関係を満たし、
    前記半導体装置の動作方法は、
    Vmaxの1/3〜1/2のゲート電圧で動作させることによりしきい値電圧のシフトを抑制し
    上記第1絶縁膜の絶縁破壊電界強度をE1bd[MV/cm]としたとき、上記ゲート絶縁膜は、次式(C3a)を満たす半導体装置の動作方法。
    Figure 0006432638
    Figure 0006432638
  2. 請求項1に記載の半導体装置の動作方法において
    上記絶縁破壊電界強度E1bdは、10MV/cmである半導体装置の動作方法。
  3. 請求項1または2に記載の半導体装置の動作方法において
    前記半導体装置は、
    ソース電極層が接続されるN型半導体層と、
    ドレイン電極層が接続されるN型半導体層と、
    上記半導体層の一部であって、前記ソース電極層が接続されるN型半導体層と前記ドレイン電極層が接続されるN型半導体層との間に位置し、前記ゲート電極層が積層されている前記ゲート絶縁膜が積層されたP型半導体層と、を備え、さらに、
    前記P型半導体層と前記ドレイン電極層が接続されるN型半導体層との間に位置し、前記ドレイン電極層が接続されるN型半導体層よりもドナー濃度が低いN型半導体層を備える、半導体装置の動作方法。
  4. 電力制御用の半導体装置の動作方法であって、
    半導体装置は、半導体層の一方の面に積層されたゲート絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜の上に積層され、該ゲート絶縁膜を介して上記半導体層にチャネルを形成するための電圧を印加するためのゲート電極層とを備え、
    上記ゲート絶縁膜は、上記半導体層の一方の面に積層された第1絶縁膜と、上記第1絶縁膜と上記ゲート電極層との間に配置された第2絶縁膜とを備え、
    上記第1および第2絶縁膜の比誘電率をε1,ε2とし、上記第1および第2絶縁膜の膜厚をd1[nm],d2[nm]としたときに、d1<d2、かつε1<ε2であり、
    絶縁破壊を起こすことなく前記ゲート電極層に印加することができる最大電圧である定格電圧をVmax[V]としたときに、
    前記半導体装置は、
    Vmaxが、10V以上であり、
    しきい値電圧のシフトが発生する電圧が、Vmax/2以上であり、
    式(C2)の関係を満たし、
    前記半導体装置の動作方法は、
    Vmaxの1/3〜1/2のゲート電圧で動作させることによりしきい値電圧のシフトを抑制し
    上記第1絶縁膜の絶縁破壊電界強度E1bdは、10MV/cmである半導体装置の動作方法。
    Figure 0006432638
  5. 請求項4記載の半導体装置の動作方法において、
    上記第1絶縁膜の絶縁破壊電界強度をE1bd[MV/cm]としたとき、上記ゲート絶縁膜は、次式(C3a)を満たす半導体装置の動作方法。
    Figure 0006432638
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の半導体装置の動作方法において、
    前記第1絶縁膜に印加される電界強度が8MV/cm以下である、半導体装置の動作方法。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の半導体装置の動作方法において、
    前記膜厚d1,d2は、前記半導体層のチャネルが形成される領域を覆う前記第1および第2絶縁膜の厚さである、半導体装置の動作方法。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の半導体装置の動作方法において、
    前記半導体装置は、縦型MOSFETである、半導体装置の動作方法。
  9. 請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の半導体装置の動作方法において、
    前記半導体装置は、横型MOSFETである、半導体装置の動作方法。
  10. 請求項4から9のいずれか1項に記載の半導体装置の動作方法において
    前記半導体装置は、
    ソース電極層が接続されるN型半導体層と、
    ドレイン電極層が接続されるN型半導体層と、
    上記半導体層の一部であって、前記ソース電極層が接続されるN型半導体層と前記ドレイン電極層が接続されるN型半導体層との間に位置し、前記ゲート電極層が積層されている前記ゲート絶縁膜が積層されたP型半導体層と、を備え、さらに、
    前記P型半導体層と前記ドレイン電極層が接続されるN型半導体層との間に位置し、前記ドレイン電極層が接続されるN型半導体層よりもドナー濃度が低いN型半導体層を備える、半導体装置の動作方法。
  11. 電力制御用の半導体装置の設計方法であって、
    半導体装置は、半導体層の一方の面に積層されたゲート絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜の上に積層され、該ゲート絶縁膜を介して上記半導体層にチャネルを形成するための電圧を印加するためのゲート電極層とを備え、
    上記ゲート絶縁膜は、上記半導体層の一方の面に積層された第1絶縁膜と、上記第1絶縁膜と上記ゲート電極層との間に配置された第2絶縁膜とを備え、
    絶縁破壊を起こすことなく前記ゲート電極層に印加することができる最大電圧である定格電圧をVmax[V]としたときに、
    前記半導体装置は、
    Vmaxが、10V以上であり、
    Vmaxの1/3〜1/2のゲート電圧で動作されることによりしきい値電圧のシフトが抑制され
    しきい値電圧のシフトが発生する電圧が、Vmax/2以上であり、
    上記第1および第2絶縁膜の比誘電率をε1,ε2とし、上記第1および第2絶縁膜の膜厚をd1[nm],d2[nm]としたときに、
    前記半導体装置の設計方法は、
    d1<d2、かつε1<ε2であり、
    式(C2)の関係を満たすように前記半導体装置を設計し、
    上記第1絶縁膜の絶縁破壊電界強度をE1bd[MV/cm]としたとき、上記ゲート絶縁膜は、次式(C3a)を満たす半導体装置の設計方法。
    Figure 0006432638
    Figure 0006432638
  12. 請求項11に記載の半導体装置の設計方法において
    上記絶縁破壊電界強度E1bdは、10MV/cmである半導体装置の設計方法。
  13. 請求項11または12に記載の半導体装置の設計方法において
    前記半導体装置は、
    ソース電極層が接続されるN型半導体層と、
    ドレイン電極層が接続されるN型半導体層と、
    上記半導体層の一部であって、前記ソース電極層が接続されるN型半導体層と前記ドレイン電極層が接続されるN型半導体層との間に位置し、前記ゲート電極層が積層されている前記ゲート絶縁膜が積層されたP型半導体層と、を備え、さらに、
    前記P型半導体層と前記ドレイン電極層が接続されるN型半導体層との間に位置し、前記ドレイン電極層が接続されるN型半導体層よりもドナー濃度が低いN型半導体層を備える、半導体装置の設計方法。
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