以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の代表的な実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1には、本発明に係る構造を有するバンパアブソーバの一例としてのロアアブソーバ10が、その平面形態において示されている。かかる図1から明らかなように、本実施形態のロアアブソーバ10は、全体として長手の略矩形形状を呈し、例えば、ポリプロピレンやABS樹脂等の合成樹脂材料を用いて、射出成形にて一体成形された樹脂成形体から構成されている。なお、以下においては、ロアアブソーバ10の車両(自動車12)への設置形態(図5参照)に基づいて、図1の左右方向に対応する方向を車両前後方向と言い、図1の上下方向に対応する方向を車幅方向と言い、更に、図1の紙面に垂直な方向(図2乃至図4における上下方向)に対応する方向を車両上下方向と言うこととする。
より具体的には、図1とその端面図である図2から明らかなように、本実施形態のロアアブソーバ10は、車両前後方向及び車幅方向に拡がる板状部材からなる上側壁部14を有している。かかる上側壁部14は、車両前後方向の寸法が車幅方向の寸法よりも充分に短くされており、その前端部の形状が、後述するフロントバンパ(16)の内面形状に対応した凸状湾曲形状とされている一方、その後端部の形状が、後述するロアリンフォース(18)の前面形状に対応した凹状湾曲形状とされている。
また、上側壁部14の下方に離隔して、車両前後方向及び車幅方向に拡がる板状部材からなる下側壁部20が配置されている。かかる下側壁部20は、上側壁部14よりも車両前後方向の寸法が僅かに大きくされていること以外は、上側壁部14と略同一の平面形状を呈している。なお、図2に示されるように、上側壁部14及び下側壁部20は、それぞれ、水平面(車両前後方向及び車幅方向に拡がる平面)に対して僅かに傾斜せしめられており、車両後方に向かって、所定の角度:αをもって互いに離間するようにされている。
さらに、図2に示されるように、上側壁部14の車両前後方向における前端部(図2における左側の端部)と下側壁部20の車両前後方向における前端部とを連結するようにして、横壁部22が設けられている。かかる横壁部22は、上側壁部14及び下側壁部20の前端部に沿って湾曲しつつ、車幅方向に連続して延びる板状形態を呈している。なお、横壁部22は、その下端部(下側壁部20側の端部)が、上端部(上側壁部14側の端部)より車両前方側に位置するように、鉛直方向に対して僅かに傾斜せしめられている。
このようにして、ロアアブソーバ10にあっては、上側壁部14と下側壁部20と横壁部22とが、横断面(車幅方向に直角な面における断面)において車両後方に向かって幅広となる略コ字形状(ハット形状)を呈するように構成されているのである。
加えて、図2及び図3に示されるように、上側壁部14の下面と下側壁部20の上面との間には、それら上側壁部14と下側壁部20とを連結するようにして、複数(図2及び図3においては、1つのみ図示)の縦壁部24が設けられている。それら複数の縦壁部24は、それぞれ、上側壁部14及び下側壁部20の前端部(横壁部22の車両後方側の面)から後端部までに亘って車両前後方向に延びる板状形態を呈しており、車幅方向に所定の間隔を隔てて配置されている。
かくして、本実施形態のロアアブソーバ10は、上側壁部14と下側壁部20と横壁部22と複数の縦壁部24とからなる本体部26を備えて、構成されているのである。このようなロアアブソーバ10の本体部26においては、複数の縦壁部24の上端部同士が上側壁部14にて相互に連結されていると共に、複数の縦壁部24の下端部同士が下側壁部20にて相互に連結されていること、更にはこのような構成に加えて、複数の縦壁部24の前端部同士が横壁部22にて相互に連結されていることにより、本体部26の車両前後方向に入力される衝撃荷重に対する剛性(変形強度)が充分に高められている。
なお、ロアアブソーバ10の本体部26においては、横壁部22及び複数の縦壁部24が、上側壁部14の上面や下側壁部20の下面から突出しないように形成されており、それら上側壁部14の上面及び下側壁部20の下面が、水平方向に広がる略平坦面とされている。
また、図2及び図3に示されるように、上側壁部14の車両前後方向における後端部(図2及び図3における右側の端部)及び下側壁部20の車両前後方向における後端部には、それぞれ、車両上方又は車両下方(車両上下方向における上側壁部14と下側壁部20との対向方向の外方)に突出し、車幅方向に延びる狭幅板状の上側フランジ部28及び下側フランジ部30が、形成されている。
さらに、上側フランジ部28及び下側フランジ部30の突出方向側の端部には、それぞれ、車幅方向に間隔を隔てた複数箇所(ここでは、3箇所)に、車両後方に突出する平板小片状の上側取付片部32及び下側取付片部34が、形成されている。また、各上側取付板部32には、それぞれ、ロアアブソーバ10を車両に固定するための、所定のスクリュグロメット等が挿通可能な挿通孔36が、形成されている(図3参照)。
ところで、このような本実施形態のロアアブソーバ10においては、図2に示されるように、下側壁部20の車両前後方向における前端部に、車両下方に向かって延出し、且つ車幅方向に連続して延びる一つの板状の延出壁部38が、一体的に設けられているのである。即ち、かかる延出壁部38は、下側壁部20の前端部から車両上下方向に所定の幅をもって延出せしめられると共に、図1に示されているように、下側壁部20の前端部の形状に沿って車幅方向において所定の長さに亘って切れ目なく続く湾曲板形状を呈しているのである。
また、延出壁部38は、下側壁部20の車両前後方向における前端部から車両前方に向かって傾斜するようにして延出せしめられている。要するに、ここでは、延出壁部38が、図2に示されるように、鉛直方向に対して所定の角度:θをもって、車両前方に傾斜せしめられており、かかる延出壁部38の延出方向の先端部(下端部)が、ロアアブソーバ10の本体部26(横壁部22)の前端部よりも車両前方側に位置するようにされているのである。
なお、本実施形態のロアアブソーバ10にあっては、上記した延出壁部38の傾斜角度:θが、上述した横壁部22の鉛直方向に対する傾斜角度と同一とされており、それら延出壁部38と横壁部22とが、一枚の板状部材からなる単一部材にて構成される如くなっている。これにより、ロアアブソーバ10の前面が、延出壁部38の前面と本体部26(横壁部22)の前面とによって構成される、後述するフロントバンパ(16)の内面形状に対応した凸状湾曲面形状を呈する衝撃入力面40とされているのである。
さらに、ロアアブソーバ10における延出壁部38の車両後方側部位には、延出壁部38の車両後方側の面と本体部26とを連結するように、車両前後方向に延びる板状の縦リブ(第一縦リブ42a及び第二縦リブ42b)の複数が、車幅方向に交互に、互いに一定の距離を隔てて位置するようにして形成されている(図1参照)。ここでは、それら第一縦リブ42a及び第二縦リブ42bは、下側壁部20の下面から突出すると共に、延出壁部38の車両後方側の面から車両後方に向かって延びるように形成されている。なお、それら第一縦リブ42aと第二縦リブ42bとは、それぞれ異なる車両前後方向寸法を有しており、具体的には、第一縦リブ42aが、本体部26(下側壁部20)の後端部まで延びている一方、第二縦リブ42bが、本体部26(下側壁部20)の中間部まで延びている。
そして、ロアアブソーバ10においては、図3及び図4に示されるように、複数の第一縦リブ42aの車幅方向位置が、複数の縦壁部24の車幅方向位置と、それぞれ一致せしめられている。それにより、対応する第一縦リブ42aと縦壁部24とが、一枚の板状部材からなる単一部材にて構成される如くなっているのである。
また、ロアアブソーバ10の延出壁部38の車両後方側部位には、複数の縦リブ42a、42bの全てに跨るように配置され、それら複数の縦リブ42a、42b同士を相互に連結するように、車幅方向に延びる板状の横リブ44が、形成されている。かかる横リブ44は、下側壁部20から鉛直下方に向かって所定の幅をもって突出せしめられると共に、図1に示されるように、延出壁部38の車両後方に離隔した位置において、延出壁部38と平行するように延びる湾曲板形状を呈している。
すなわち、このようにして、ロアアブソーバ10の延出壁部38に対しては、ロアアブソーバ10における延出壁部38の車両後方側部位において、かかる延出壁部38の車両後方側への変形(倒伏)を妨げるようにして、複数の縦リブ42a、42b、及びそれら複数の縦リブ42a、42bと互いに交差する横リブ44が設けられているのである。
ここにおいて、かくの如き構成からなるロアアブソーバ10は、例えば、図5に示されるようにして、車両(自動車12)の前部において、フロントバンパ16の車両後方側に配置されることとなる。
先ず、図5に示されるところから、本実施形態における自動車12の前部の構造について説明する。自動車12の最前部には、かかる自動車12の前面を構成するフロントバンパ16が配設されている。フロントバンパ16は、全体として、車幅方向に湾曲して延びる湾曲形態を呈していると共に、図示の如く、車両前方に向かって突出する上側突出部46と下側突出部48とを有している。フロントバンパ16の下側突出部48よりも上側の部位には、外部からエンジンルーム:E内に走行風を取り入れることが出来るように構成されたロアグリル50が配設されており、フロントバンパ16の上側突出部46よりも上側の部位には、外部からエンジンルーム:E内に走行風を取り入れることが出来るように構成されたアッパグリル52が配設されている。なお、図5中、54は、エンジンルーム:Eの上部を覆蓋するボンネットである。
また、自動車12の前部(エンジンルーム:E内)においては、その上部部位に、車幅方向両側部位に車両前後方向に延びる一対の(図5においては、1つのみ図示)サイドメンバ56が配設され、各サイドメンバ56の前端には、自動車同士の衝突等による比較的大きな衝撃エネルギを吸収するための衝撃吸収部材としての金属製のアッパクラッシュボックス58が、設けられている。また、アッパクラッシュボックス58の前面には、アッパリンフォース60が車幅方向に延びるように配設されており、更にその前面には、ポリウレタンやポリプロピレン等の樹脂発泡体からなり、衝突物との衝突の際に、その衝撃を吸収して衝突物の損傷を軽減するためのアッパアブソーバ62が取り付けられている。
そして、サイドメンバ56の下方には、一対の(図5においては、1つのみ図示)ロアサイドメンバ64が配設されている。なお、ここでは、図示されていないが、これらロアサイドメンバ64の後端は、サイドメンバ56にそれぞれ連結されており、それらによって、車体の骨格(フレーム)の一部が構成されている。また、各ロアサイドメンバ64の前端には、衝撃吸収部材としての金属製のロアクラッシュボックス66が、設けられている。更に、ロアクラッシュボックス66の前面には、剛性の高い長手の金属部材からなる骨格部材としてのロアリンフォース18が、車幅方向に延びるようにして取り付けられている。
なお、フロントバンパ16の後方のエンジンルーム:E内には、ラジエータ68が、配置されている。このラジエータ68は、エンジンルーム:E内に固設された車体の一部であるラジエータサポート(図示せず)上に、枠状乃至は筒状のシュラウド(図示せず)内に収容された状態で支持されて、固定されている。
そして、図5に示されるように、ロアアブソーバ10は、そのような自動車12の前部(エンジンルーム:E内)の下部部位において、車両前後方向及び車幅方向に延びるようにして、フロントバンパ16(下側突出部48)の後方に配置されているのである。
具体的には、ロアアブソーバ10は、延出壁部38を含む車両前後方向における前端部位が、フロントバンパ16の下側突出部48の内側に突入せしめられると共に、各上側取付片部32と各下側取付片部34とによってロアリンフォース18を挟み込んだ状態で、各上側取付片部32に形成された挿通孔36に、それぞれ挿通されたスクリュグロメット70により、ロアリンフォース18に固定的に取り付けられている。
なお、ここでは、ロアアブソーバ10の上側フランジ部28及び下側フランジ部30の車両後方側の面が、ロアリンフォース18の前面(車両前方側の面)と当接又は僅かな距離を隔てて対向せしめられている。
また、そのようなロアアブソーバ10のロアリンフォース18への取り付け状態下において、図5から明らかなように、かかるロアアブソーバ10の車両前後方向における前端(ここでは、延出壁部38の延出方向の先端)は、アッパアブソーバ62の車両前後方向における前端よりも距離:Xだけ車両前方側に位置するようにされている。
かくして、自動車12は、その前部の下部部位において、上述せる如き構造を備えるロアアブソーバ10が、車体の骨格(フレーム)を構成するロアサイドメンバ64に対してロアクラッシュボックス66を介して連結されたロアリンフォース18に取り付けられた状態で、フロントバンパ16の車両後方側に配置されてなる、車両前部構造を有しているのである。
そして、このような自動車12に配備したロアアブソーバ10の衝突物保護特性は、例えば、図6乃至図8に概略的に示されるように、所定の歩行者脚部保護性能試験において、評価されることとなる。なお、ここで実施される歩行者脚部保護性能試験は、JNCAP[Japan New Car Assesment Program ;独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)が実施する自動車アセスメント]に基づく試験であり、概要としては、所定の脚部インパクタ(FLEXインパクタ)を、衝撃装置により試験車のバンパに向けて時速40kmで発射させ、衝撃点における脚部インパクタの膝部や脛部の傷害値を計測して、損傷の程度を4段階で評価するものである。
すなわち、先ず、図6に示されるように、所定の脚部インパクタ72が自動車12に向かって発射される。なお、かかる脚部インパクタ72は、上部が大腿部74、下部が下腿部(脛部)76とされていると共に、中央部がそれら大腿部74と下腿部76とを繋ぐ膝部78とされており、所定の位置に取り付けられた複数のセンサにおける曲げモーメントや剪断変位等の測定値から、MCL(Medial Collateral Ligament;膝部の内側側副靱帯)伸び量やTibia(脛骨)曲げモーメント等の各傷害値を計測出来るように構成されている。
次いで、図7には、脚部インパクタ72が自動車12に衝突した直後の状態が示されている。そこにおいては、フロントバンパ16の下側突出部48に、脚部インパクタ72の下腿部76が衝突せしめられており、かかる脚部インパクタ72の衝突部位に対して、下側突出部48を介して、ロアアブソーバ10の前面(衝撃入力面40)が接触せしめられている。これにより、図7中に実線白抜き矢印にて示されるように、脚部インパクタ72の下腿部76に対して、ロアアブソーバ10の衝撃入力面40から衝撃荷重に対応する反力が作用せしめられることとなって、下腿部76において傷害値としてのTibia曲げモーメントが計測される。なお、このとき、脚部インパクタ72の下側突出部48(ロアアブソーバ10)との接触部分よりも下側の部分は、衝突の勢い(慣性力)により、自動車12の下部に入り込もうとする(図7中の二点鎖線及び二点鎖線白抜き矢印参照)。
一方、フロントバンパ16の上側突出部46には、脚部インパクタ72の膝部78付近が衝突せしめられており、かかる脚部インパクタ72の上側の部分(主に大腿部74)が、衝突の勢い(慣性力)によって、車両後方に向かって倒れ込むようになる(図7中の二点鎖線及び二点鎖線白抜き矢印参照)。これにより、膝部78を曲げる力が生じ、膝部78が強制的に伸ばされることとなって、膝部78において傷害値としてのMCL伸び量が計測される。
その後、図8に示されるように、アッパアブソーバ62及びロアアブソーバ10の変形によって脚部インパクタ72と自動車12との衝突により生じた衝撃エネルギが吸収されると共に、ロアアブソーバ10から作用せしめられる反力により、脚部インパクタ72(主に下腿部74)が車両前方側斜め上方に向かって跳ね上げられるようになるのである(図8中の二点鎖線及び二点鎖線白抜き矢印参照)。
以上の説明から明らかなように、本実施形態では、ロアアブソーバ10の下側壁部20の前端部に、車両下方に向かって延出する延出壁部38が設けられていることによって、自動車12の前面に衝突する衝突物の下部に対して荷重(反力)を作用せしめるロアアブソーバ10の前面(衝撃入力面40)の面積が大きくされているところから、衝突物の下部に対して、局所的に大きな荷重が作用せしめられることが阻止されて、衝突物の損傷を有利に軽減することが出来ることとなるのである。
要するに、図7に例示されているようにして、衝突の際に、ロアアブソーバ10から、フロントバンパ16(下側突出部48)を介して、衝突物としての脚部インパクタ72に作用せしめられる反力が、狭い範囲に集中することなく、本体部26の前面と延出壁部38の前面とから構成される衝撃入力面40において分散されるようになる。そのため、脚部インパクタ72において計測される傷害値(Tibia曲げモーメント)が低減されて、車両の歩行者保護性能が向上せしめられることとなり、以て、衝突物の損傷を有利に軽減することが出来るようになるのである。
なお、ロアアブソーバ10の本体部26においては、上側壁部14と下側壁部20と横壁部22とが、車幅方向に直角な面における断面において略コ字状を呈するように構成されていると共に、上側壁部14と下側壁部20とが角度:αをもって傾斜せしめられているため、本体部26の前端面の面積が不可避的に小さくなってしまう。そのため、延出壁部38が設けられることによって、ロアアブソーバ10の前面(衝撃入力面40)の面積が大きくされることによる効果が、より有利に享受される。なお、そのような上側壁部14と下側壁部20との傾斜は、主として射出成形の際の抜き勾配として設定されるものであるが、かかる傾斜角度:αを適切に設定することにより、ロアアブソーバ10(本体部26)の変形形態や変形荷重を任意にコントロールすることも可能である。
また、本実施形態のロアアブソーバ10にあっては、延出壁部38が設けられていることによって、衝突する衝突物の一部(下部)が、自動車12の下部等、自動車12の前部においてバンパアブソーバが存在しない部位に巻き込まれることが有利に防止され得る。そのため、衝突した衝突物の下部をロアアブソーバ10(本体部26及び延出壁部38)によって効果的に跳ね上げて、衝突物の損傷を軽減出来る特徴を発揮するのである。
例えば、図7に二点鎖線で示されているように、衝突物(脚部インパクタ72)が車両(自動車12)と衝突した際には、かかる衝突の勢い(慣性力)によって、脚部インパクタ72の下部部位が自動車12の下部に巻き込まれるような挙動が生じる。そこにおいて、脚部インパクタ72が大きく巻き込まれてしまった場合、図8に示されるような脚部インパクタ72の下部(下腿部76)の跳ね上げが遅れて、膝部78が大きく曲げられてしまい、膝部78の傷害値(MCL伸び量)が増大する恐れがある。これに対し、ロアアブソーバ10においては、特に、延出壁部38が車両下方に向かって延出せしめられるようにして設けられていることによって、脚部インパクタ72が自動車12の下部へ巻き込まれることが有利に防止されることとなり、以て、脚部インパクタ72を速やかに効果的に跳ね上げて、MCL伸び量の増大を抑制することが出来る。そのため、車両の歩行者脚部保護性能を向上させて、衝突物の損傷を軽減することが可能となるのである。
また、本実施形態では、延出壁部38が、下側壁部20の前端部より車両前方に向かって角度:θをもって傾斜して延出せしめられているところから、かかる延出壁部38が、フロントバンパ16を介してより確実に衝突物の下部に接触せしめられることとなり、以て、延出壁部38と本体部26との協働作用による衝突物の損傷の軽減効果を有利に得られるという利点がある。
加えて、ロアアブソーバ10においては、延出壁部38が車両下方に向かって延出せしめられているところから、ロアアブソーバ10の最前端部位となる延出壁部38の延出方向側の先端部位が、同時に、本体部26よりも下方に位置するロアアブソーバ10の最下端部位とされている。これにより、衝突した衝突物の下部に対して、ロアアブソーバ10から最初に反力が作用せしめられる位置が有利に車両下方側となって、衝突物が上方に跳ね上げられ易くなると共に、そのような反力の作用点が衝突物の下端部に近づくことによって、衝突物に作用せしめられる曲げモーメントが小さくされ、より有利に衝突物の損傷の軽減を図ることが出来るようになるのである。
さらに、延出壁部38の前面を含む衝撃入力面40が、鉛直方向に対して所定の角度:θをもって傾斜せしめられているところから、衝撃入力面40に対して入力される衝撃荷重に対応する反力が、衝撃入力面40と直交する方向、即ち車両前方側斜め上方に向かって作用せしめられるようになる。そのため、衝突した衝突物を車両前方側斜め上方に向かって効果的に跳ね上げて、かかる衝突物の損傷を有利に軽減することが出来るのである。
そして、ロアアブソーバ10においては、延出壁部38の車両後方側の面と本体部26(ここでは、下側壁部20)とを連結するように、車両前後方向に延びる板状の縦リブ42a、42bの複数が形成されているところから、延出壁部38が、衝撃荷重の入力によって容易に座屈変形(倒伏)することが防止されており、以て、延出壁部38が効果的に機能せしめられ、上述の如き衝突物の損傷の軽減効果が有利に発揮されるようになっているのである。
特に、図4に示されるように、複数の第一縦リブ42aの車幅方向位置が、複数の縦壁部24の車幅方向位置と、それぞれ一致せしめられており、対応する第一縦リブ42aと縦壁部24とが、一枚の板状部材からなる単一部材にて構成される如くなっていることにより、第一縦リブ42aの強度が有利に向上せしめられ、延出壁部38の補強効果がより高められている。
さらに、複数の縦リブ42a、42bの全てに跨るように配置され、それらの縦リブ42a、42b同士を相互に連結するように、車幅方向に延びる板状の横リブ44が形成されているところから、延出壁部38の変形強度が、より一層高められている。即ち、延出壁部38に対して、その車両後方側に、複数の縦リブ42a、42bと、それら複数の縦リブ42a、42bと互いに交差する横リブ44とが設けられていることにより、延出壁部38の車両後方側への変形(倒伏)強度が高められ、以て、延出壁部38の車両前後方向に入力される衝撃荷重に対する剛性が、充分に高められているのである。
しかも、ロアアブソーバ10にあっては、延出壁部38が、車幅方向に連続して延びる一つの板状形態とされているところから、そのような延出壁部38が設けられた車幅方向の全域に亘って、上述の如き衝突物の損傷の軽減効果が得られるのである。
なお、ロアアブソーバ10は、自動車12の前部に設置された状態下において、ロアグリル50から取り入れられた走行風を、略平坦面とされた上側壁部14の上面にて案内しつつ、ラジエータ68の前面にスムーズに導くと共に、フロントバンパ16の下側を通過する走行風を、略平坦面とされた下側壁部20の下面にて案内しつつ、車両後方側に送り出すことにより、自動車12の前部の下部部位の空力性能を効果的に高めることが出来、それによって、燃費の向上等に有利に寄与するものである。
以上、本発明の代表的な実施形態について詳述してきたが、それは、あくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
なお、以下に示される本発明に従う構造を有するバンパアブソーバの各実施形態においては、先の実施形態に係るロアアブソーバ10と同様な構造の部分には、同一の符号を付して、詳細な説明は省略することとする。
例えば、図9には、本発明に従う構造を有するバンパアブソーバの別の一例としてのロアアブソーバ80が、その端面形態において示されている。かかるロアアブソーバ80にあっては、下側壁部20の前端部よりも車両前方に突出せしめられた上側壁部14の前端部から、車両下方に向かって延びる延出壁部38が設けられており、横壁部22は、下側壁部20の前端部から車両上方に向かって延びるように形成されている。ここでは、ロアアブソーバ80の前面において、延出壁部38の前面により衝撃入力面40が構成されている。
このような構造を有するロアアブソーバ80にあっては、車幅方向に直角な面における断面において略コ字状を呈する本体部26の車両前後方向の寸法、即ち上側壁部14及び下側壁部20の後端部から横壁部22までの距離を、比較的小さく出来る。そのため、射出成形用金型におけるコアの長さを短くすることが出来、ロアアブソーバ80を比較的有利に製造することが可能となる利点がある。なお、このような構造を有するロアアブソーバ80においては、図10に示されるように、横壁部22を車両下方に向かって延長して、横リブ44を構成するようにしてもよい。
また、図11の(a)に示されるロアアブソーバ82にあっては、縦壁部24の車両後方側の一部に切欠部84が形成されていると共に、本体部26の車両後方側部分に対して補強リブ86が設けられている。より詳細には、縦壁部24の延出壁部38の延出方向とは逆側(ここでは、上側壁部14側)の端縁部の車両前後方向における寸法が小さくなるように、かかる縦壁部24の車両後方側部分が切り欠かれていると共に、本体部26の延出壁部38の延出方向側部分(ここでは、下側壁部20)に対して、本体部26の後端部に形成された下側フランジ部30から車両前後方向に延びる板状の補強リブ86が設けられている。更に、ここでは、車両前後方向において、切欠部84の前端部[図11の(a)における左側の端部]の位置と、補強リブ86の前端部の位置とが、略同一の位置とされている。
このようなロアアブソーバ82に対して車両前方から衝撃荷重が加わると、図11の(b)に示されるように、切欠部84の車両前後方向前端部及び補強リブ86の車両前後方向前端部を起点として、ロアアブソーバ82の本体部26が屈曲変形せしめられるようになる。即ち、ここでは、切欠部84に対応する上側壁部14部分[図11の(a)のW部分]の強度が相対的に低くなっていると共に、補強リブ86に対応する下側壁部20部分[図11の(a)のS部分]の強度が相対的に高められており、且つ車両下方に向かって延びる延出壁部38に入力される衝撃荷重によって、ロアアブソーバ82を下方に向かって屈曲せしめる向きのモーメントが作用することにより、ロアアブソーバ82の本体部26が下方に向かって屈曲変形せしめられるようになるのである。
従って、ロアアブソーバ82にあっては、その本体部26に対して、切欠部84及び補強リブ86が形成されていることにより、ロアアブソーバ82(本体部26)を任意の方向へ屈曲変形させて、衝突物の巻き込み防止等の所望の効果を有利に得ることが出来ることとなるのである。
なお、延出壁部38の配設形態は、上述の態様に何等限定されず、例えば、図12に示されるように、下側壁部20の車両前後方向における前端部に、車両下方に向かって延出する第一延出壁部38aを設けると共に、上側壁部14の車両前後方向における前端部に、車両上方に向かって延出する第二延出壁部38bを設けてもよい。また、図13に示されるように、上側壁部14の車両前後方向における前端部に、車両下方に向かって延出する第一延出壁部38a、及び車両上方に向かって延出する第二延出壁部38bを設けてもよく、所望の衝突物保護性能に応じて、適宜に設定することが出来る。
さらに、上側壁部14及び下側壁部20の一方又は両方を、山部と谷部とを有する波形の板状部材によって構成してもよい。例えば、図14には、上側壁部14が、山部88と谷部90とが車幅方向において交互に連続して位置する波形の板状部材にて構成された形態が例示されている。これにより、上側壁部14や下側壁部20の変形強度を高め、本体部26の変形強度を適宜に調節することが可能となる。
また、本発明に従うロアアブソーバ10、80、82の車両への取付態様は、上述の如きロアリンフォース18への固定に何等限定されるものではなく、例えば、車両の前部に配設されているラジエータサポート等の車両部材(部品)に取り付けられてもよい。
さらに、ロアアブソーバ10、80、82の前端とアッパアブソーバ62の前端との位置関係についても、何等例示の関係(図5参照)に限定されるものではなく、衝突物の各部位に加わる衝撃荷重や曲げモーメントのバランス等を考慮して適宜に設定されることとなる。但し、ロアアブソーバの前端が極端に車両前方側に突出位置せしめられて、ロアアブソーバに荷重が集中した場合や、アッパアブソーバの前端がロアアブソーバの前端よりも車両前方側に突出位置せしめられて、アッパアブソーバに比較的大きな荷重が掛かった場合は、上述せるような歩行者脚部保護性能試験における各傷害値(Tibia曲げモーメントやMCL伸び量)が増大し、衝突物の損傷が大きくなってしまうという問題がある。そのため、車両においては、ロアアブソーバの前端がアッパアブソーバの前端よりも僅かに車両前方側に位置せしめられることが好ましい。
なお、図15に示されるように、本発明に従う構造を有するバンパアブソーバを車両(自動車12)においてアッパアブソーバ92として用いることも可能である。そのようなアッパアブソーバ92においても、複数の縦リブ42a、42bによって補強された延出壁部38が設けられていることにより、衝突物に対する荷重(反力)の作用等を適宜に調節して、衝突物の損傷を軽減することが可能である。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、そして、そのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。