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JP6448835B2 - フィルターガラス - Google Patents
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Description

本発明は、フィルターガラス、殊に、フィルターとしての使用のために青色に着色されているリン酸塩ガラス、ならびにそれらの製造に関する。
上記で挙げた種類のフィルターガラスは、いわゆる光学バンドパスフィルターとして、すなわち、極めて低い透過率を有する2つの阻止域によって囲まれており、ある程度狭い高透過波長域(通過域)を有するフィルターとして、使用することができる。そのようなガラスは、光学ガラスフィルターとして、例えばカラービデオカメラおよびデジタルカメラにおける色補正フィルターとして、使用される。さらなる適用範囲は、例えばディスプレイ等における、LEDの近赤外(NIR)放射をブロックするためのフィルターである。約400〜約650nmの波長域における高い透明度に加えて、そのようなガラスのためには、シャープなエッジ、すなわち、該波長域に続く400nm未満からのUV域に向かっての透過率の急な低下および700nmよりも大きい波長での極めて低い透過率が望ましい。NIRをブロックするフィルターは、さらに、航空/航海の分野において使用され、そのために、強いブロッキングの際にある程度の色位置の忠実度が必要である(例えば白または緑の色位置)。例えば鋭敏な電子機器の高エネルギー放射による損傷を回避するために、UV域ができるだけ完全にブロックされるべきであるのに対し、700nmよりも大きい領域における入射放射の強度は弱められるので、例えばカメラにおける使用の際に、そのCCD(電荷結合素子)センサにより引き起こされる画像の赤みが補償される。これには、例えば、規定のフィルター厚さで、約10−5から約10−20または約10−22までのNIRにおける透過値が必要とされる。
フィルターとしての使用のために、酸化銅含有フツリン酸塩ガラスは、技術水準から公知である(例えば独国特許出願公開第102012210552号明細書(DE 10 2012 210 552 A1)、独国特許出願公開第102011056873号明細書(DE 10 2011 056 873 A1))。しかしながら、これらのガラスは、それらの製造が、しばしばその極めて高いフッ素含量に基づいて困難であるという欠点を有する、なぜなら、フッ素自体および多くのガラス成分のフッ化物が、通常の製造方法の条件下で揮発性だからである。>13×10−6/Kのそれらの相対的に高い熱膨張係数(20〜300℃の温度範囲で測定)に基づいて、該フツリン酸塩ガラスの機械加工、後機械加工および/またはさらなる機械加工(例えば切断、研磨、“ウェーハレベルパッケージング”の範囲におけるボンディング)は極めて困難であり、かつ費用がかかる。例えば、該ガラスのそのために必要な固定の際に熱により誘起された機械的応力のために、その破壊危険が高い。したがって、フツリン酸塩ガラスの組成を、一方では良好な耐久性を有し、かつ他方では経済的な製造方法を通じて入手可能であるガラスを得るという目的で最適化することに、多くの労力が払われていた。
さらに、フィルターガラスとしての使用のために、大幅にフッ素不含の酸化銅含有リン酸塩ガラスも公知である(例えば米国特許出願公開第2007/0099787号明細書(US2007/0099787 A1)、独国特許発明第4031469号明細書(DE 40 31 469 C1))。確かに、そのようなガラスは、フツリン酸塩ガラスに比較してより小さい熱膨張係数に基づいて、より良好な機械加工性を有しうる。しかしながら、それらの耐候性(“耐候安定性”とも)は、通例、該フツリン酸塩ガラスの耐候性よりも劣悪である。さらに、そのようなガラス用の原料が、高い融点、ひいては高い溶融温度を有することが問題となる、すなわち、これらのガラスの原料は、しばしば、1100℃を明らかに超える(例えば1200℃を上回る)温度ではじめて溶融する。そのように高い温度で、該銅の多様な酸化状態の平衡(すなわちCu(II):Cu(I):Cu(0))が既に、より低い酸化状態の方へ移動する。これは、殊に、より高い濃度の酸化銅の場合のフィルター用途のためには、複数の欠点を必然的に伴う:一方では、そのUVエッジでの透過率は、より高い割合の一価銅(Cu(I);CuO)により悪化する。他方では、元素銅(Cu(0))が増加して形成され、そうなると該ガラスの分相に寄与し、それにより該ガラスは不透明になる。特定のイオン、例えば銅イオンの場合のより高い酸化状態の安定化のために、公知のリン酸塩ガラスの場合に、酸化剤、例えばCeO、MnOまたはCrの添加が必要であるとみなされる(例えば米国特許出願公開第2007/0099787号明細書(US2007/0099787 A1);独国特許発明第4031469号明細書(DE 40 31 469 C1))。
電子デバイス用の部品がますます小さくなる流れに従って、極めて薄い、すなわち≦0.21mm、殊に約0.11mmの厚さを有する、フィルターへの需要が上昇し、そのためには該ガラスはより強く着色されていなければならない。しかし、このことは、そのガラス製造の際の問題をまねく、それというのも、CuOのような着色成分は、より高い含量の場合に発色成分として作用するだけでなく、ガラス成分としても、そのガラス構造および該ガラスの他の物理的性質に影響を及ぼすからである。
光学フィルター用の銅含有リン酸塩ガラスの使用の際に、極めて良好な光学的性質の場合には、幾つかのことに関してこれまで制限されている:一方では、リン酸塩ガラスは、制限付きでのみ耐候安定であり、他方では、その機械的強度は一部では不十分である。さらにまた、光学部品が小型化するにつれて、フィルター厚さもますます小さくすることを必要とするが、しかしながら、このことは、その必要な光学的性質を生じさせるために、明らかにより高い濃度のCuOを必要とする。しかしながら、より高いCuO含量は、上記で示された問題をまねく。
独国特許出願公開第102012210552号明細書 独国特許出願公開第102011056873号明細書 米国特許出願公開第2007/0099787号明細書 独国特許発明第4031469号明細書
したがって、本発明の課題は、技術水準の問題を解決するフィルターガラスを提供することである。
この課題は、特許請求の範囲の対象によって解決されている。
前記課題は、殊に、KOおよびNaOを含有し、次の組成(単位:他に示されない限り、酸化物基準の質量%)のフィルターガラスによって解決される:
58 − 68
Al 5 − 10
CuO 8 − 15
0.05 − 1
SiO <2
F <1
R´O(R´=Mg,Ca,Sr,Ba)の合計 0 − 11
O(R=Li,Na,K)の合計 3 − 17
本発明によるフィルターガラスならびに類似の組成を有する2種の商業的に入手可能なフッ素不含およびバナジウム不含のリン酸塩ガラスの透過曲線。 実施例8のフィルターガラスの透過曲線。
図1および2は、本発明によるフィルターガラスならびに類似の組成を有する2種の商業的に入手可能なフッ素不含およびバナジウム不含のリン酸塩ガラスの透過曲線を示す。上記の用途のためのフィルターガラスは、他のガラスとは異なり、しばしば、具体的な透過特性、例えばT50およびブロッキングに基づいて特性決定される。その際に、NIR域における最小透過率はブロッキングと呼ばれる。該T50値は、近赤外域(NIR)における透過率が正確に50%である波長である(表参照)。
本発明によるガラスは、ヒトの眼には、青、青緑、ターコイズまたはシアン、より大きな厚さでおよび高いCuO含量で黒のようにまで見え、かつIRカットフィルターとして使用することができる。その色は、その際に多くの用途にとって重要ではない。むしろ、発色酸化物CuOの添加による約300nmまでのUVにおけるおよび約850nmでの近赤外(NIR)における吸収によるフィルター特性は、例えばデジタルカメラのセンサの前の、フィルターとしての用途にとって決定的である。そのUVブロッキングは、その際に、その母体ガラス自体によってならびにCuOによって引き起こされる。400nm(しばしば430nmも―なぜなら、より短い波長は、ヒトには光学的にもはや知覚されないからである)の波長からのUV透過率をできるだけ高く維持するために、酸化剤、例えば硝酸塩および/または酸化バナジウム(V)を使用することができる。
本発明によれば、該ガラスは、リン酸塩(P)を58〜68質量%の割合で含有する。ガラス形成成分として、本発明によるガラス中の該リン酸塩の含量は少なくとも58質量%で高い。この下限を下回るべきではない、なぜなら、極めて薄いNIRカットフィルターのための高いCuO割合により、網目形成成分の高い割合が、分相に対する安定化のために必要になるからである。さらに有利な下限は、59質量%、好ましくは60質量%、より好ましくは61質量%、特に好ましくは62質量%であってよい。該リン酸塩含量の上限は、本発明によれば最大68質量%である。この上限を超えるべきではない、なぜなら、さもないと空気湿度に対するそのガラス安定性が悪化することがあるからである。より高いP含量の場合に、その吸湿性はより激しく現れ、このことは、該ガラスの膨張および濁りならびにその表面上へのかさばった塩層の形成をまねくことがある。該ガラスの有利な実施態様は、68質量%未満のPを有する。好ましくは、一部のガラスは、最大67質量%を含む。好ましい実施態様において、本発明のガラスは、最大66質量%のリン酸塩を含む。
酸化アルミニウム(Al)は、該ガラスの耐候安定性を高めるために使用される、それというのも、これは、条件付きの網目形成成分に属するが、しかし吸湿性ではないからである。酸化アルミニウムは、本発明によるガラス中に、5〜10質量%の量割合で含まれている。十分な耐候安定性を得るために、5質量%の下限を下回るべきではない。有利に、少なくとも6質量%のAlが該ガラス中に含まれていてよい。10質量%の上限を超えるべきではない、それというのも、より高いAl含量は、該ガラスの結晶化傾向および殊に該ガラスの溶融範囲を高めるからである。より高い溶融範囲を有するガラスは、そのバッチについてもより高い溶融温度を有する。そのより高い溶融温度により、該溶融物は還元性領域へ達する。これは、多様な酸化状態で生じうる成分(例えばCu、V、Ce、Nb)の平衡が、低い酸化状態の方へと移動する結果となる。しかしながら、それにより、該ガラスの光学的性質(例えば吸収、透過)、ひいてはその特徴的なフィルター特性が不所望に変わる。酸化アルミニウムの含量が最大9質量%、さらに好ましくは最大8質量%、最も好ましくは最大7質量%である場合が有利である。
本発明のガラスにおいて十分な安定性を保証するために、該ガラス形成成分の割合、すなわちリン酸塩および酸化アルミニウムの合計は、合わせて、好ましくは少なくとも63質量%であるものとする。有利に、少なくとも65質量%、好ましくは少なくとも67質量%の合計であってもよい。好ましくは、双方の該成分の合計は、最大78質量%、より好ましくは最大76質量%、さらに好ましくは最大74質量%である。
さらに、酸化アルミニウムに対するリン酸塩の質量比を少なくとも8、好ましくは少なくとも9および/または好ましくは最大12の値に調節することが有利であると判明している。さらに好ましい実施態様において、この値は、最大11、有利に最大10である。
酸化ケイ素(SiO)は、酸化アルミニウムのように、その結晶化傾向ならびに該ガラスの溶融範囲の温度を高め、かつその銅酸化状態の平衡の移動によって、該ガラスの光学的性質を悪化させる。したがって、これは―もしそうだとしても―2質量%未満で該ガラス中に含まれているべきである。有利には、本発明によるガラスは、1.5質量%未満、好ましくは最大1質量%、より好ましくは1質量%未満のSiOを含有する。SiOの下限は、0.01質量%であってよい。特に好ましくは、該ガラスは、添加されたSiOを含まない。1.5質量%未満の少ない割合は、その原料の不純物によりおよび/またはSiO含有溶融窯中での製造プロセスにより、含まれていることがある。
導入部で述べたように、本発明によるフィルターガラスは、青色フィルターまたはIRカットフィルターに含まれる。したがって、該フィルターガラスは、発色成分として、酸化銅(CuO)を8〜15質量%の量で含む。酸化銅が、少なすぎる量で(すなわち、本発明による8質量%の下限を下回って)使用される場合には、光をブロックするもしくはNIRにおける放射をブロックする作用は、本発明のために十分ではない、なぜなら、小さいガラス厚さ(例えば0.11mm)での該ガラス中のCuの吸収がそうなると小さすぎるからである。該ガラスが8質量%超、好ましくは少なくとも9質量%、より好ましくは少なくとも10質量%のCuOを含有する場合が有利である。それにもかかわらず、高すぎる含量の酸化銅が選択される場合には、該ガラスの透過率は不利な影響を受ける、なぜなら、UVにおけるCu(I)の吸収が強くなりすぎるか、または該ガラスがCu(0)により不透明になるからである。したがって、CuO 15質量%の上限は、超えるべきではない。該ガラスが、最大14質量%、好ましくは最大13質量%、より好ましくは最大12質量%のCuOを含有する場合が有利でありうる。
そのUV透過率をできるだけ高く調節するために、本発明によるガラスは、酸化バナジウム(V)を0.05〜1質量%の割合で含有する。酸化バナジウムは、少なくとも0.05質量%、有利には少なくとも0.1質量%、好ましくは少なくとも0.2質量%、特に好ましくは少なくとも0.5質量%で、該ガラス中に含まれている。1質量%、好ましくは0.75質量%の上限を超えるべきではない、それというのも、より高い含量の場合に、そのスペクトルの可視域での吸収が生じることがあるからである。
酸化カリウム(KO)および酸化ナトリウム(NaO)を有する本発明のガラスは、少なくとも2種のアルカリ金属酸化物ROを含有する。アルカリ金属酸化物は、該ガラスの溶融温度を低下させるのに寄与する。該アルカリ金属酸化物を使用して達成する目標は、その際に、リン酸塩ガラスにとって相対的に高いAl含量にもかかわらず、一価銅または元素銅の形成をできるだけ抑制するために、できるだけ低い温度で溶融するバッチを得ることである。さらに、アルカリ金属酸化物は、該溶融物中で融剤として作用する、すなわち、該ガラスの粘度を低下させることによって、該ガラスの加工を容易にする。しかし、多すぎる量のこれらの酸化物は、そのガラス転移温度を低下させ、該ガラスの耐久性を損ない、かつ該ガラスの熱膨張係数を高める。後者が特に高い場合には、該ガラスは、もはや最適に冷間後加工することができない。さらに、その耐熱性が低下し、かつ徐冷炉中での該ガラスの徐歪が困難になる。
したがって、アルカリ金属酸化物の合計含量(すなわち、RO(R=Li、Na、K)の合計)は、3質量%、有利に3.1質量%、好ましくは4質量%、有利には5質量%、有利に6質量%、好ましくは7質量%、特に好ましくは8質量%、さらに好ましくは9質量%、また好ましくは10質量%の値を下回らないものとする。該ガラスの安定性を害しないように、これらの酸化物の合計含量は、17質量%、好ましくは16質量%、また好ましくは15質量%の値、該ガラスの特定の変型によれば最大14質量%の値を超えないものとする。本発明によるガラスは、アルカリ金属酸化物である酸化リチウム(LiO)、酸化カリウム(KO)および酸化ナトリウム(NaO)の群のうち少なくとも2つを含有する。その際に、アルカリ金属酸化物である酸化ナトリウムおよび酸化カリウムを組み合わせることが有利であると判明している、なぜなら、この組み合わせは、該ガラスに混合アルカリ効果の意味での安定化効果を及ぼすからである。有利な実施態様において、NaOおよびKOに加えて、LiOも含まれている。
有利な実施態様において、比KO(単位:質量%)/NaO(単位:質量%)は>1である。有利に、該比は、>1.1、好ましくは>1.2、特に好ましくは>1.25であってよい。NaOに比較してKOのより高い質量%割合により、その吸収極大の位置が有利な影響を受けることが生じる。該比KO(単位:質量%)/NaO(単位:質量%)が<2、好ましくは<1.9、より好ましくは<1.8である場合にさらに有利である。それにより、該吸収極大が、さらにより長波長へ移動することが達成される。
本発明によるガラスは、酸化カリウムを、好ましくは3〜10質量%の範囲内で含む。2.9質量%のKOもなお可能である。KOは、NIR域に向かっての該透過曲線のエッジのシャープさを精密調節するために使用される。3質量%のKO最小量を下回らない場合が有利である、なぜなら、さもないとその耐候性ならびに該NIRエッジのシャープさも不都合な影響を受けるからである。好ましくは、該ガラスは、少なくとも4質量%、好ましくは少なくとも5質量%、特に好ましくは少なくとも6質量%のKOを含有する。しかし、酸化カリウムの含量は、最大10質量%、有利に最大9質量%、好ましくは最大8質量%の値を超えないものとする。さもなければ、該ガラスの化学的耐久性は、損なわれすぎるであろう。
本発明によるガラスは、それ以外に、酸化ナトリウムも、好ましくは少なくとも0.1質量%〜8質量%の量で、含む。この成分は、生じるガラスの溶融範囲を低下させるために、少なくとも0.1質量%で添加される。この成分を用いて、その失透安定性も改善することができる。NaOが少なすぎる量で使用される場合には、この効果は達成されない。有利には、該ガラスは、少なくとも0.5質量%、好ましくは少なくとも1質量%、より好ましくは少なくとも2質量%、さらに好ましくは少なくとも3質量%、特に好ましくは少なくとも4質量%のNaOを含有する。その際に、安定性の考慮から、最大8質量%、有利に最大7質量%、好ましくは最大6質量%、さらに好ましくは最大5質量%の含量を超えるべきではない。
本発明によるガラスは、酸化リチウムを少量で含有していてよい。2質量%、有利に1.5質量%の上限を超えない場合が有利でありうる、なぜなら、さもないと該ガラスが不安定化されるかもしれないからである。該ガラスが、LiOを含む場合には、この成分は、好ましくは少なくとも0.01質量%、有利に少なくとも0.1質量%、好ましくは少なくとも0.5質量%で、特に好ましくは少なくとも0.8質量%で、含まれている。該ガラスの変型は、好ましくは酸化リチウムを含まない。
本発明によるガラスは、アルカリ土類金属酸化物を含まなくてよい。好ましくは、本発明によるフィルターガラスは、アルカリ土類金属酸化物も含有する。アルカリ土類金属酸化物(酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化バリウム(BaO)および酸化ストロンチウム(SrO))は、該粘度の調節に利用することができ、かつ該ガラスの溶融性を改善することができる。これらは、該アルカリ金属酸化物と同様に、網目修飾成分である。本発明の範囲内で、それらの含量(すなわち、R′O(R′=Mg、Ca、Sr、Ba)の合計)は、最大11質量%の値を超えるべきではない、それというのも、リン酸塩ガラス中のアルカリ土類金属は、高すぎる含量で該ガラスに不安定化作用を及ぼすからである。有利な実施態様において、R′Oの合計は、最大8質量%、好ましくは最大7質量%、より好ましくは最大6質量%、特に好ましくは最大5質量%であってよい。アルカリ土類金属酸化物が、本発明によるガラスの有利な一実施態様において含まれている場合には、その含量は、少なくとも0.1質量%、好ましくは少なくとも0.5質量%、有利に少なくとも1質量%、より好ましくは少なくとも2質量%であってよい。
公知のアルカリ土類金属酸化物のうち、少なくとも酸化マグネシウム(MgO)を含有する変型が好ましい。該アルカリ土類金属含量は、本発明の範囲内で、好ましくは、本質的にMgOにより決定される。該アルカリ土類金属酸化物のうちMgOのみが含まれている場合が有利でありうる。MgOの有利な範囲は、1質量%〜5質量%でありうる。有利な実施態様は、少なくとも1質量%、有利に少なくとも2質量%、好ましくは少なくとも3質量%のMgOを含有していてよい。MgOの有利な上限は、一部の変型については、5質量%、好ましくは4質量%であってよい。MgO不含の変型は可能であるが、しかしながらあまり好ましくない。MgOの下限は、0.1質量%、好ましくは0.5質量%であってもよい。
酸化カルシウム(CaO)は、本発明の範囲内で、任意成分であり、すなわちCaO不含の変型が可能である。CaOが含まれている場合には、この成分は、好ましくは最大3質量%、より好ましくは最大2質量%、なお好ましくは最大1質量%および/または少なくとも0.01質量%、有利に少なくとも0.1質量%である。CaOは、本発明の範囲内でガラス成分としてあまり好ましくない、それというのも、カルシウムイオンは、それらのサイズおよび電荷に基づき、そのガラス網目中のサイトの周りの銅イオンと競合するからである。極めて高いCuO含量を有するガラスの場合に、高すぎるCaO含量は、そのため、該ガラスの分相の上限に、より早く達することに寄与しうる。
酸化バリウム(BaO)および/または酸化ストロンチウム(SrO)は、一部の変型の場合に、例えばそれぞれ少なくとも0.01質量%の割合で、含まれていてよい。BaOが含まれている場合には、その上限は、有利に3質量%、好ましくは2質量%、より好ましくは1質量%である。同じ上限がSrOに当てはまる。好ましくは、本発明によるフィルターガラスは、BaOおよび/またはSrOを含まない。BaOおよび/またはSrOは、あまり好ましくない成分である、それというのも、これらは、該ガラス中で、アルカリ金属酸化物またはMgO/CaOよりも、結晶化に対するより低い安定性およびより劣悪な溶融挙動を生じさせるからである。
酸化亜鉛(ZnO)は、多くの公知の青色フィルターガラスの場合に、例えばその熱膨張係数の減少およびその耐熱性の増加および徐冷炉中の該ガラスの徐歪性の改善のために、使用される。本発明のガラスの特別な組成に基づいて、酸化亜鉛を省略することができ、このことは有利である。本発明によるガラスの場合のZnOの使用によりその耐候性(耐候安定性)が悪化することが見出され、ここで、その理由はこれまでまだ明らかになっていない。しかしながらZnOが使用される場合には、その含量は、少なくとも0.05質量%および/または最大3質量%であるべきであり、特別な実施態様において、該含量は、最大2質量%、有利に最大1質量%である。好ましくは、本発明によるガラスは、添加されたZnOを含まない。
その熱膨張係数を低下させるために、酸化ランタン(La)が本発明によるガラス中に含まれていてよい。Laが含まれている場合には、その含量は、有利に少なくとも0.01質量%、有利に少なくとも0.1質量%、好ましくは少なくとも0.5質量%、より好ましくは少なくとも1質量%である。Laは、高価なガラス成分であるので、その割合が、4質量%、好ましくは3.5質量%の上限を超えない場合が有利である。一部の変型は、Laを含まなくてもよい。
本発明の一部の実施態様は、酸化セリウム(CeO)も、少なくとも0.01質量%、好ましくは少なくとも0.02質量%および/または1質量%未満、より好ましくは最大0.8質量%、さらに好ましくは最大0.6質量%、最も好ましくは最大0.5質量%の量で含む。酸化セリウムは、UV域において吸収するガラスの、UV放射に対する耐久性を高める。本発明の範囲内で、酸化セリウムを添加せずに所望の透過特性を有するフィルターガラスを製造できることが意外にも見出され、すなわちこれらの有利な実施態様は、酸化セリウムを含まない。そのベースガラス、すなわち該発色イオンなしのリン酸塩ガラスは、CeOが不要であるほど良好な光学的性質を有する。この措置により、有利に酸化銅および酸化バナジウムを有するガラス組成は、該溶融物のレドックス状態に応じて多様な原子価で存在しうる成分を2種のみ有し、そのために、該製造において、該NIRエッジの安定な調節が達成できる。該調節は、完成したフィルターのための許容されるT50許容差を遵守することができるほど正確である。それに対して、CuO、VおよびCeOが該ガラス中に存在する場合には、連続的な製造の際の該NIRエッジ自体の安定な調節は、明らかに困難になりうる。
本発明によるガラスは、フッ素を1質量%未満、好ましくは0.5質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満の割合で含有していてよい。該ガラスの特に好ましい変型は、添加されたガラス成分としてのフッ素を含まない。フッ素が含まれている場合には、0.01質量%が下限であってよい。フッ素は、確かに該リン酸塩ガラスの耐候安定性を改善する。しかしながら、該ガラスの製造プロセスは、この成分の揮発性に基づいて制御できにくくなる。そのうえ、該ガラスの機械的な加工性は、フッ素の含分により妨げられる、それというのも、そのようなガラスは、より高い熱膨張係数を有するからである。
酸化ホウ素(B)は、フッ素のように、蒸発する傾向があるので、酸化ホウ素の該含量は、ごく僅かにすぎないべきである。さらに、ホウ素も該耐候性に不都合な影響を及ぼす。本発明によれば、該酸化ホウ素含量は、好ましくは最大1質量%である。該酸化ホウ素含量は最大0.5質量%である場合が特に好ましい。有利な変型によれば、本発明によるガラスに、酸化ホウ素は、ガラス成分として添加されない、すなわち該ガラスは、Bを含まない。Bが含まれている場合には、0.01質量%が下限でありうる。
好ましくは、本発明によるガラスは、酸化鉄(Fe)を含まない、なぜなら、この酸化物は、該ガラスの透過特性に不利な影響を及ぼしうるからであり、同様にCuOの酸化還元平衡に寄与しうるからであり、このことは、安定なプロセスの調節を困難にする。それでも選択的な実施態様が酸化鉄を含有する場合には、その含量は、最大0.25質量%に制限されている。Feは、他の成分による不純物として該ガラス中へ達しうる。好ましい実施態様において、本発明によるガラスは、酸化銅以外に、さらなる着色酸化物を含まず、殊に、酸化コバルト(CoO)を含まない。
本発明によるガラスは、フィルターガラスとして、好ましくは、他の着色成分、例えばCr、Mnおよび/またはNiおよび/または光学的に活性な、例えばレーザー活性な成分、例えばPr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Erおよび/またはTmを含まない。そのうえ、該ガラスは好ましくは、健康に有害な成分、例えばAs、Pb、Cd、TlおよびSeの酸化物を含まない。本発明のガラスは、さらに好ましくは、放射性成分を含まない。
本発明によるガラスは、さらに好ましくは、希土類金属酸化物、例えば酸化ニオブ(Nb)、酸化イットリウム(Y)、酸化イッテルビウム(Yb)、酸化ガドリニウム(Gd)ならびに酸化タングステン(WO)および/または酸化ジルコニウム(ZrO)を含まず、その際に、例外として、前記のように、Laは含まれていてよい。Nbは、該溶融物に難溶である。そのうえ、ニオブは、該溶融物中の酸化還元平衡に関与する多価イオンである。ニオブがより低い酸化状態で存在する場合には、該ガラスの茶色の着色を生じさせることがある。酸化ガドリニウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウムおよび/または酸化イッテルビウムにより、該ガラスの結晶化の危険が上昇し、かつその溶融温度は高められうる。酸化イットリウムは、該ガラスの耐候性を悪化させることがある。
本発明の一実施態様によれば、本発明によるガラスは、好ましくは少なくとも90質量%、より好ましくは少なくとも95質量%、最も好ましくは99質量%が、前記で挙げた成分からなる。
一実施態様によれば、該ガラスは、90質量%、好ましくは95質量%、より好ましくは97質量%が、成分P、Al、MgO、NaO、KO、CuOおよびVからなる。
一実施態様によれば、該ガラスは、95質量%、好ましくは98質量%、より好ましくは99質量%が、成分P、Al、MgO、NaO、KO、CuO、V、LaおよびLiOからなる。
本発明の一実施態様によれば、本発明によるガラスは、好ましくは、請求の範囲または明細書に挙げられていない他の成分も含まず、すなわち、そのような一実施態様によれば、該ガラスは、前記で挙げた成分から本質的になり、その際に、個々の、好ましくないかまたはあまり好ましくないとして挙げられた成分は、除外されていてよい。用語“から本質的になる”は、その際に、他の成分が最大不純物として存在するが、しかし該ガラス組成に、個々の成分として意図的に添加されないことを意味する。
本明細書に、該ガラスは、ある成分を含まないか、またはある特定の成分を含有しないと書いてある場合には、この成分が、せいぜいのところ不純物として該ガラス中に存在して構わないことを意味している。このことは、この成分が、本質的な量で添加されないか、またはガラス成分として全く添加されないことを意味する。本質的ではない量は、本発明によれば、100ppm未満、好ましくは50ppm未満および最も好ましくは10ppm未満の量である。
このガラスの場合に清澄は、好ましくは優先的に物理的な清澄を通じて行われ、すなわち、該ガラスは、その溶融/清澄温度で、泡が浮上することができるほど低粘性である。清澄剤の添加は、該溶融物中の酸素の放出もしくは吸収を促進する。そのうえ、多価酸化物は、該レドックス挙動へ関与し、ひいてはCu(II)Oの形成を促進しうる。
したがって、本発明によるガラスは、通常の清澄剤を少量で含んでいてよい。好ましくは、添加される清澄剤の合計は、最大1.0質量%、より好ましくは最大0.5質量%である。清澄剤として、本発明によるガラス中に次の成分のうち少なくとも1つが含まれていてよい(単位:質量%):
Sb 0 − 1 および/または
As 0 − 1 および/または
SnO 0 − 1 および/または
ハロゲン化物(Cl,F) 0 − 1 および/または
SO 2− 0 − 1 および/または
無機過酸化物 0 − 1
無機過酸化物として、例えば、過酸化亜鉛、過酸化リチウムおよび/またはアルカリ土類金属過酸化物を使用することができる。
本発明の有利な実施態様によれば、該ガラスは、As不含である、それというのも、この成分は、生態学的な理由から問題となるとみなされるからである。
本発明によるガラスの温度範囲20〜300℃について測定した熱膨張係数(α20−300)は、好ましくは最大13×10−6/K、より好ましくは最大12.5×10−6/Kの範囲および特に好ましくは最大12×10−6/Kである。それにより、さらなる加工および接合技術における熱により誘起された機械的応力に伴う問題は回避される。その機械的強度は、それにより高められる。該膨張係数の下限は、9.5×10−6/K、好ましくは10×10−6/Kであってよい。
本発明によるガラスは、できるだけ高いガラス転移温度もしくは変態温度(T)を有するものとする。Tが低ければ低いほど、そのガラス網目が弱くなり、かつ該ガラスが破壊されやすくなり、ひいては湿分に対してより感受性になる。該変態温度が高ければ高いほど、それぞれの該リン酸塩ガラスの硬さは高くなる。したがって、本発明によるフィルターガラスは有利には、400℃超、好ましくは415℃超の変態温度を有する。
さらにまた、本発明によるガラスは、できるだけ低い溶融範囲(<T)を有する。そのようなガラスは、そのバッチの原料についても相応して低い溶融温度を有する。すなわち、本発明によれば、該ガラスの成分は、できるだけ低い温度で溶融するバッチが得られるように選択される。該バッチの溶融温度は、有利に1200℃未満、好ましくは最高1150℃、好ましくは最高1100℃であるべきである。この低い溶融温度により、該溶融物が、酸化性領域のままであり、かつ主にCu(II)Oが存在することが有利に達成される。したがって、Cu(I)および金属銅の形成は抑制されている。それにより、高い透過率を有するガラスが得られる。その高い銅含量にもかかわらず、これらのフィルターガラスは、曇りおよび銅鏡を該表面に有していない。それにより、本発明によるガラスは、個別のるつぼ中だけではなく、溶融窯(すなわち連続的な装置)中でも製造できる。
本発明によるガラスは、良好なフィルター特性の点で優れている。本発明によるガラスは、0.11mmの試料厚さで、400nmで80%超、好ましくは82.5%超、より好ましくは85%超、特に好ましくは少なくとも87.5%の純透過率(英語:“internal transmission”)τiを好ましくは有する。該ガラスが0.11mmの試料厚さで、520nmで90%超、好ましくは93%超、より好ましくは95%超、さらに好ましくは少なくとも96%の純透過率τiを有する場合も有利である。
本発明によるフィルターガラスのT50値、すなわち、近赤外域(NIR)における透過率が正確に50%である波長は、0.11mmの試料厚さで、有利に625nm〜640nmの範囲、好ましくは630nm〜638nmの範囲である。
本発明によるガラスは、CIE標準表色系(英語“CIE-colour space”)における特徴的な色を有する。次の記載(CIE xyY)は、それぞれ0.11mmのフィルターガラス厚さを基準としている。パラメーターCIE−xは、有利に少なくとも0.276、好ましくは少なくとも0.278、より好ましくは少なくとも0.280および/または有利に最大0.290、好ましくは最大0.288、より好ましくは最大0.286である。パラメーターCIE−yは、有利に少なくとも0.310、好ましくは少なくとも0.312、より好ましくは少なくとも0.314および/または有利に最大0.326、好ましくは最大0.324、より好ましくは最大0.322である。パラメーターCIE−Yは、有利に少なくとも70.0、好ましくは少なくとも75.0、より好ましくは少なくとも78.0および/または有利に最大90.0、好ましくは最大85.0、より好ましくは最大81.0である。
本発明によるガラスは、良好な耐候安定性もしくは耐候性を有する。殊に、該ガラスは、該透過特性が、その表面のまたは体積での曇りにより損なわれることなく、少なくとも400時間、好ましくは少なくとも500時間、85℃の温度および85%の相対空気湿度に暴露することができる。
本発明によるガラスは、冒頭に記載されたフィルターガラスの場合の問題を解決することができる。フッ素を省略することができ、それにもかかわらず極めて高いCuO含量を有する耐候安定なリン酸塩ガラスを提供することができる。そのより小さい熱膨張係数により(フツリン酸塩ガラスに比較して)、その機械的強度は改善されており、かつさらなる加工の際のガラス破壊の危険は低下されている。該ガラス成分の目的とする固定と、それぞれの該ガラス成分が該ガラス中へ達する(例えば複合リン酸塩の形の)原料の特殊な選択とにより、該ガラス製造の過程で、その溶融温度が低く維持される。それにより、薄いフィルターの製造に必要である高い含量のCuOが、該ガラス中に含まれていることと、それにもかかわらず、その良好なフィルター特性(透過値、吸収値)が達成されることとが可能である。
本発明によるフィルターは、上記の本発明によるフィルターガラスを含む。該フィルターが、少なくとも一方の側に、少なくとも1つのコーティングを有する場合が有利である。それは、好ましくは、反射防止(AR)および/またはUV/IRカット−コーティングである。これらの層は、反射を低下させ、かつその透過率を高め、もしくはそのIRブロッキングを増強し、かつ650nmの領域の吸収エッジをよりシャープにする。これらの層は、干渉層である。反射防止層の場合に、これは、該ガラスの少なくとも一方の側に施与されており、かつ異なるおよび/または交互の組成の4〜10レイヤーから構成されている。UV/IRカットコーティングの場合に、これは好ましくは、異なるおよび/または交互の組成の50〜70レイヤーですらあり、これらが該UV/IRカットコーティングを形成する。これらの層、レイヤーは、好ましくは、硬い金属酸化物、例えば殊にSiO、Ta、TiO、Al、または金属酸窒化物からなる。これらの層、レイヤーは、好ましくは該フィルターガラスの異なる側に施与される。そのうえ、そのようなコーティングは、さらにその耐候性/耐候安定性を高める。
本発明の重要な態様は、本発明によるガラスの製造方法でもある。以下に記載された工程が行われる場合に、請求の範囲に記載のガラスを得ることができる。
本発明によるガラスの製造のためには、原料として、好ましくは複合リン酸塩および/またはメタリン酸塩が該バッチに添加される。用語“複合リン酸塩”は、該バッチにリン酸塩が“遊離の”Pの形で添加されるのではなく、ガラス成分、例えばNaO、KO等が、酸化物または炭酸塩の形ではなくて、リン酸塩、例えばMg(HPO、LiHPO、KPO、NaPOとして、該バッチに添加されることを意味する。これは、該リン酸塩が、塩のアニオン成分として添加され、その際に、この塩の対応するカチオン成分自体が、ガラス成分であることを意味する。メタリン酸塩(例えばAl(PO)は、ポリリン酸塩、殊に環構造を有するものであり、これらは有利に使用される、それというのも、これらは、カチオン当量あたりより多くのリン酸塩当量が該ガラス中へ導入されるからである。これは、該リン酸塩割合(複合リン酸塩、メタリン酸塩)が、遊離の該Pに不利な形で上昇するという利点を有し、このことは、溶融挙動における良好な可制御性および明らかに低下された蒸発作用およびダスティング作用を、改善された内部品質に付随して、もたらすことができる。加えて、高められた割合の遊離のリン酸塩は、その生産工場の安全工学への高められた要件を課し、それにより、その製造コストが高くなる。本発明による措置により、該ガラス組成の加工性はかなり改善される:該バッチは、より乾燥しており、より良好に混合することができる。そのうえ、そのはかった量は、貯蔵中に周囲からいっそう水を吸収する原料の使用の際よりも良く一致する。
好ましくは、僅かなガラス成分のみが酸化物として添加される。該アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物は、炭酸塩としても導入することができる。
本発明によれば、該ガラスの原料は、できるだけ低い温度で溶融するバッチが得られるように選択される(好ましくは<1150℃、より好ましくは<1100℃の溶融温度)。
該バッチへの硝酸塩の添加により、該溶融物中の酸化性条件を調節することができる。硝酸塩は、融剤としても作用し、かつ該溶融温度の低下に寄与する。IR域の吸収のためには、原子価状態+2の銅イオンおよび原子価状態+5のバナジウムイオンの存在が重要である。したがって、該ガラスは、自体公知の方法で酸化性条件下で溶融される。硝酸塩の使用に選択的にまたはそれに加えて、該溶融物中の酸素バブリングを実施することができる(下記参照)。
本発明によるガラスは、対応する組成の均一で、前もって十分に混合されたバッチから、不連続な溶融装置、例えばPtるつぼ中でまたは連続的な溶融装置、例えばAZS(Al−ZrO−SiO)タンク窯、Ptタンク窯または石英ガラスタンク窯中で、930〜1150℃の温度で溶融され、その後、清澄され、かつ均質化される。該ガラスの溶融の際に、該るつぼまたはタンク窯材料中に含まれている成分が、該ガラス中へ導入されることがある。すなわち、石英ガラスタンク窯中での溶融後に、2質量%までのSiOが、これらが明示的に添加されなかった場合でも、該ガラス中に含まれていることがある。該溶融温度は、その選択される組成に依存する。
該ガラスは、該溶融物中のレドックス比の調節のために、好ましくは酸素でバブリングすることができる。本発明によるガラスは殊に、不連続な溶融物、例えばるつぼ溶融物の場合に、10〜40分、好ましくは10〜30分の期間にわたって、該溶融物中の酸素バブリングが実施される方法を通じて製造できる。連続的な溶融物、例えばタンク窯溶融物の場合に、該バブリングは好ましくは連続的に、かつ好ましくは該タンク窯の溶融領域内で、実施することができる。該酸素の流量は、その際に好ましくは、1時間あたり少なくとも40リットル、さらに好ましくは少なくとも50l/hの値ならびにさらに、好ましくは最大80l/hおよびさらに好ましくは最大70l/hである。該バブリングは、さらに、該溶融物の均質化に利用される。これは、その上記の効果に加え、該ガラス中の架橋も促進する。
これらのパラメーターが考慮される場合に、本発明による組成範囲の遵守の際に、本発明によるガラスが得られる。本明細書に記載された製造方法は、この方法を用いて製造できるガラスと同様に本発明の要素である。
該ガラスの清澄は、好ましくは980℃ないし最高1200℃で実施される。その温度は一般に、易揮発性成分、例えばLiOおよびPの蒸発をできる限り低く維持するために、低く維持するべきである。
本発明によれば、フィルター、殊にNIRカットフィルターとしての、本発明によるフィルターガラスの使用でもある。そのうえ、本発明によれば、カメラ中のCCDの保護のためのこれらのガラスの使用である。さらに、本発明によるフィルターガラスは、セキュリティ、航空、暗視等のような分野において本発明の範囲内で使用することができる。
実施例に相当する組成を有するフィルターガラスの製造のために、対応するガラスバッチを強力に混合する。このバッチは、約3時間の期間内で1100℃で溶融し、かつ約30分間酸素でバブリングされる。その清澄は、その低い粘度に基づいて、同様に1100〜1150℃で行われる。約15〜30分間温度を保った後に、その鋳造は、約950℃の温度で行われる。
図1および2は、本発明によるガラスの透過スペクトルを示す。比較のために、図1にはさらに、類似の組成を有する2種の商業的に入手可能なフッ素不含およびバナジウム不含のリン酸塩ガラスの透過曲線(aおよびb)が示されている。本発明によるガラスは、優れたフィルター特性を有する。約370〜約600nmの波長域における高い透明度(透過率≧70%)に加えて、本発明によるガラスの透過曲線は、シャープなエッジ、すなわち透過率の急な低下を、それぞれ隣接するスペクトルの両方向に有する。高い透過率の領域において、該透過曲線は、より大きな波長域にわたって上部が平らであり、このことは図2(実施例8)において特によく分かる。技術水準からのガラスと比較して、本発明によるフィルターガラスがさらに、UV域において(例えば400nmの波長で)明らかにより高い透過率を有することが明らかになる。その試料の厚さは、示された全てのガラスについて、0.11mmである。
該ガラスは、約400〜450のヌープ硬さHKを有し―さらなる変型は、約475までのよりいっそう高い値も有していてよく―、ひいては良好に加工可能であり、同時に十分に耐引っかき性である。温度範囲20〜300℃について測定した熱膨張係数は、9.5×10−6/K〜<13×10−6/Kである。該ガラスのガラス転移温度Tは、約415〜450℃である。
第1表には、さらに、実施例について、0.11mmのフィルターガラス厚さに基づく色空間座標CIE−xおよびCIE−yならびに輝度パラメーターCIE−Yが示されている。“CIE-1931”の規格に従って求められたこれらの値は、xyY色空間における本発明によるフィルターガラスの色位置を記載する。該記載は、公知のCIE標準表色系(英語“CIE-colour space”)を基準とする。その際に、パラメーターCIE−xおよびCIE−yは、その色の種類を示す。CIE−zの色割合は、x+y+z=1により計算することができる。該実施例の場合に、CIE−xは、0.2808〜0.2855であり、かつCIE−yは、0.3165〜0.3211であることが分かる。CIE−Yは、78.33〜80.41にわたっている。全体で、該値は僅かな色変動を示すにすぎない。したがって、本発明によるフィルターガラスは、高い色位置の忠実度を有する。
Figure 0006448835

Claims (13)

  1. NaOおよびKOを含有し、かつ次の組成(単位:酸化物基準の質量%):
    58 − 68
    Al 5 − 10
    CuO 8 − 15
    0.05 − 1
    La 0.1 − 4
    SiO <2
    F <1
    R´O(R´=Mg,Ca,Sr,Ba)の合計 0 − 11
    O(R=Li,Na,K)の合計 3 − 17
    を含むフィルターガラス。
  2. 前記フィルターガラスが、KOを3〜10質量%の量で、およびNaOを0.1〜8質量%の量で含有し、および/またはROの合計が少なくとも4質量%であり、および/またはROの合計が最大15質量%であり、および/またはKO(単位:質量%)/NaO(単位:質量%)の割合の比が1超であり、および/またはK O(単位:質量%)/Na O(単位:質量%)の割合の比が2未満である、請求項1に記載のフィルターガラス。
  3. 前記フィルターガラスが、MgOを最大5質量%の量で含有し、ここで、R′Oの合計割合が、少なくとも1質量%である、請求項1または2に記載のフィルターガラス。
  4. CuOの含量が、最大14質量%および/または少なくとも9質量%であり、および/またはVが少なくとも0.2質量%および/または最大0.75質量%の量で含まれている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルターガラス。
  5. CuOの含量が、少なくとも10質量%および/または最大13質量%であり、および/またはVが少なくとも0.5質量%の量で含まれている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルターガラス。
  6. 前記フィルターガラスが、La少なくとも0.5質量%の含量で含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィルターガラス。
  7. 前記フィルターガラスが、B、SiO、CaO、BaO、SrO、ZnO、ZrO、Nb、Y、Yb、Gd、WO、Fe、PbO、CoO、Cr、Mnおよび/またはNiを含む着色成分およびPr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Erおよび/またはTmを含む光学的に活性な成分からなる群から選択される1種以上の成分を含まない、請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィルターガラス。
  8. 前記フィルターガラスが、0.11mmの試料厚さで、400nmの波長で85%超の純透過率τを有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のフィルターガラス。
  9. 前記フィルターガラスが、0.11mmの試料厚さで、400nmの波長で少なくとも87.5%の純透過率τを有する、請求項8に記載のフィルターガラス。
  10. 熱膨張係数(α20−300)が、最大13×10−6/Kおよび/または少なくとも9.5×10−6/Kであり、および/または変態温度が400℃超である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のフィルターガラス。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のフィルターガラスを含む、フィルター。
  12. 前記フィルターガラスが、その表面の少なくとも一方の側にコーティングを有する、請求項11に記載のフィルター。
  13. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のフィルターガラスを製造する方法であって、以下の工程:
    − 少なくとも1つのガラス成分を、複合リン酸塩および/またはメタリン酸塩として添加する工程、
    − 前記ガラス成分の溶融物を製造する工程、ここで、溶融温度は1150℃を超えない、
    − 硝酸塩を添加する工程および/または前記ガラス溶融物を酸素でバブリングする工程
    を含む、フィルターガラスを製造する方法。
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