JP6464073B2 - ポリウレタン用金属石鹸分散液、その製造方法及び金属石鹸含有ポリウレタン - Google Patents
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Description
しかしながら、該ポリウレタン弾性繊維の提案に関しては、細糸を1000m/分以上の高速紡糸時の糸キレや摩擦性の改善効果において、未だ充分に満足できるレベルでなく、ポリウレタン組成物の提案についても、脂肪酸金属塩の濃度を高くした場合に、脂肪酸金属塩が凝集し、粘度が高くなる傾向があり、更に貯槽タンクで貯蔵中に経時的に粘度が上昇し、このため配管内を通して、脂肪酸金属塩組成物の紡糸工程への輸送が困難になる問題があった。
このように粘度が上昇した脂肪酸金属塩組成物を使用したポリウレタン弾性繊維は、紙管に巻かれて保管されている状態で、経時的に紙管内層部の糸が、擬接着により、解除が困難となり、内層部の糸は使用できず破棄される問題があった。
これに加えて、ステアリン酸金属塩とアミド系溶剤からなる分散液は、固形分濃度が10%以上の場合に分散直後でも粘度が高くなり、更に、保管中に分散液の流動性が低下し、粘度が上昇する等の粘度安定性が乏しい問題もあった。
尚、本発明においてポリウレタンとは、特に限定がない限り、類似の物性を有することが従来から知られているポリウレタンとポリウレタンウレアの両者を言う。
(2)前記アミド系溶剤がN、N’−ジメチルアセトアミド又はN、N’−ジメチルホルムアミドである、請求項1に記載の金属石鹸分散液である。
(3)ポリウレタン100重量部に対して、前記(1)又は(2)に記載の金属石鹸分散液を0.0001〜5.0重量%含有することを特徴とする、ポリウレタンフィルム、シート又はテープである。
(4)以下の工程:
前記アミド系溶剤及び前記金属石鹸を含む金属石鹸分散液を、70〜150℃にて加熱、混合及び溶解する工程;
前記の加熱後の金属石鹸分散液を、ラインミキサー及び/又はホモミキサー中で混合させながら50〜110℃で0.5〜10時間維持する工程;
前記の金属石鹸分散液を前記ミキサー中で70℃以下に冷却しながら、0.5〜10時間かけて40℃以下に冷却する工程;
を含む、前記(1)又は(2)に記載のポリウレタン用金属石鹸分散液の製造方法である。
まず、本発明のポリウレタンを製造するために用いる、ポリウレタン用金属石鹸分散液について説明する。
本発明のポリウレタン用金属石鹸分散液は、アミド系溶剤並びに12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸マグネシウムを含む金属石鹸分散液であって、前記12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウムとステアリン酸マグネシウムとの重量比が70:30〜2:98であり、前記金属石鹸の示差走査熱量測定において観測されるシングルピークのピーク温度が100〜130℃であることを特徴とする。
すなわち、本発明の金属石鹸分散液は、以下の工程を経ることによって製造される。
該アミド系溶剤及び該金属石鹸を含む金属石鹸分散液を、70〜150℃にて加熱、混合及び溶解する工程;
上記の加熱後の金属石鹸分散液を、ラインミキサー及び/又はホモミキサー中を通過させながら50〜110℃で0.5〜10時間維持する工程;
上記の冷却後の金属石鹸分散液を、ラインミキサー及び/又はホモミキサー中を通過させながら70℃以下に冷却させながら、0.5〜10時間かけて40℃以下に冷却する工程;を含む製造方法により製造される。
上記で得られた加熱後の金属石鹸分散液を、たとえばホモミキサーが連結されたパイプラインミキサー中を通過させながら、ゆるやかに徐冷し、ゆっくりと金属石鹸を析出させる。加熱混合された温度よりも低温度にて、徐々に徐冷しながら、金属石鹸をゆっくりと析出させる。徐冷による析出条件は、分散液組成や処理量にもよるが、より好ましい温度及び時間の範囲は、それぞれ60〜80℃にて1〜10時間かけて、より好ましくは3〜8時間かけて徐冷する。このように金属石鹸分散液をゆっくりと徐冷しながらラインミキサー中(ホモミキサー中も含む)を通過させるのは、当該ミキサーのマイルドな分散によって、微粒子の発生を抑制し再凝集や粒径の大きなものを発生させない為である。又、分散後の系内の温度を段階的に降下させるのは、急激な析出による巨大粒子の生成を防止する為である。以下の工程も同様である。
平均粒子径が1μm以下の小さな粒径のものは、再凝集し、大きな粒子になりやすく、フィルターで詰まりを起こしやすい。20μm以上の大きな粒子の物は、例えばポリウレタンの製造工程でのフィルター詰まりなどを引き起こす。更に好ましい平均粒子径は2〜10μmである。
各々の図中において、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウムとステアリン酸マグネシウムがシングルピークを有する理由については明らかではない(特に後者の場合は驚きである)が、微粒子の大きさが小さくかつ均一であることが関係し、またアミド系溶剤により溶媒和された各々の金属石鹸が配位的又は錯体的な均質構造を形成し、しかも準安定構造を形成しやすくなっているからと推察される。
以上、図3に示されるステアリン酸マグネシウムと12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウムからなる金属石鹸の製造方法について説明したが、図3から分かるように、各成分の比率を変えることによって、100℃〜130℃の温度領域内に、それぞれの金属石鹸のシングルピークが観測される。
12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウムとステアリン酸マグネシウムの重量部比が2/98より小さくても、70/30より大きくても、アミド系溶剤中の金属石鹸分散液の粘度安定性は低下する。さらにステアリン酸マグネシウムよりも12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウムの方が高価である為、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウムの配合比を少なく用いる方が、経済的な面でのメリットがある。12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウムとステアリン酸マグネシウムの好ましい重量部比は50/50〜5/95である。
特に、本発明で製造されるポリウレタンは、弾性性能や透湿性の特徴を生かす上でフィルム、シート又はテープとして用いられるのが好ましく、これらの具体的用途としては、特に、最近注目を浴びつつある、携帯電話向けの帯電防止フィルムとして、さらに医療、衛生用品または人工皮革等に用いられるのが好ましい。
これらの製造方法は特に限定はなく、公知の方法が使用できる。例えば、フィルムの製造方法として、支持体や離形材にポリウレタン重合体溶液を塗布し、凝固浴中で溶媒その他の可溶性物質を抽出する湿式製膜法と、支持体や離形材にポリウレタン樹脂溶液を塗布し、加熱あるいは減圧等により溶媒を乾燥させる乾式製膜法が挙げられる。
乾燥製膜する際に用いる支持体は特に限定されないが、ポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレンフィルム、ガラス、金属、剥離材を塗布した紙はあるいは布等が用いられる。塗布の方式は特に限定されないが、ナイフコーター、ロールコーター、スピンコーター、グラビアコーター等の公知のいずれのものでもよい。乾燥温度は乾燥機の能力によって任意に設定できるが、乾燥不十分、あるいは急激な脱溶媒によって、ポリウレタンの表面が不均一にならない温度範囲を選ぶことが必要である。好ましくは常圧又は減圧下において、室温〜250℃、より好ましくは60℃〜200℃の範囲である。乾燥後にこれらの支持体からポリウレタンを引きはがす際の離形性も本発明のポリウレタンは良好な特性を示す。
更に、通常用いられる他の化合物、例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、耐ガス安定剤、着色剤、艶消し剤、充填剤等も併用してもよい。
上記のポリカルボン酸系共重合化合物は、本出願人による特開2012−193259号公報に詳細に記載されている。好ましいポリカルボン酸系共重合化合物の具体的な一例としては、日油株式会社製の商品名マリアリムAKM−0531、AFB−0561、AFB−1521、AAB−0851、AEM−3511、AWS−0851等があげられる。さらに好ましい化合物はAKM−0531、AAB−0851である。
(1)<粘度の測定法>
東機産業株式会社製TVE−20H型 E型粘度計を用いて25℃の雰囲気下で測定した。
あらかじめN,N’−ジメチルアセトアミド溶剤中でスラリー状に均一分散した金属石鹸の分散液を用いて、N,N’−ジメチルアセトアミド溶剤を用いたベックマン・コールター株式会社製LS13―320型粒度分布測定装置にて、サンプル液を数滴滴下し、この装置の適正な測定可能濃度に調整した後、体積統計値基準での測定値から平均粒径を求めた。
島津製作所製 DSC−50を用いて、試料を5mg(本発明の金属石鹸分散液を150℃、10時間、真空乾燥機内にて乾燥させて得られた固形物)をクリンプセルに計りとり、25〜300℃(昇温速度10℃/分)の条件で測定した。
下記の実施例2で得られた、製膜時の支持体であるPETフィルム上のポリウレタンフィルムを、1cm×6cmの長方形に2枚切り取って、ポリウレタンフィルムの面を合わせて、それを2枚のガラス板に挟んで、ガラス板上に3Kgの重りを載せ、60℃の環境下で18Hr放置した後、取り出して、室温冷却後にPETフィルムで挟まれた2枚重ねのポリウレタンフィルムを得た。次に、PETフィルムの両面にポリウレタンフィルムを傷つけないように端から1.0cmの切込みを入れて、PETフィルム部を直角に折り曲げたポリウレタン部分の両端部を引張試験機の上下のチャックに固定して、引っ張り試験を行って、重ねたポリウレタンフィルムの引きはがす時の粘着応力(剥離力)を測定した。
尚、引張試験機(オリエンテック(株)製商品名UTM−III 100型)を使用し、20℃、湿度65%の条件下で試料長5cmの試験フィルムを、チャック間距離を10mmとし、100mm/分の速度で引張破断強度の測定を行った。
ポリウレタンの剥離性の評価は以下の評価基準に従って評価した。
○:引張試験において、応力値として、剥離距離(剥離したポリウレタンフィルム間の剥離距離で、測定時のチャック間距離から初期のチャック間距離を差し引いた値)が0mmを超えて60mmまでの間で2g〜15gの値を示す。
×:引張試験において、応力値として、前記の剥離距離が0mmを超えて60mmまでの間で2g未満又は15g以上の値を示す。
尚、当評価で、2g未満のときは、フィルム同士が滑りやすく問題であり、逆に15g以上のときは、フィルム同士の合着が激しく、剥離が極めて困難である。
平均分子量2000のポリテトラメチレングリコール166.6重量部および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート31.2重量部を、窒素ガス気流中95℃において80分間攪拌しつつ反応させて、両末端がイソシアネート基残有のプレポリマーを得た。ついで、これを室温まで冷却した後、N,N−ジメチルアセトアミド270重量部を加え、溶解してプレポリマー溶液とした。
一方、エチレンジアミン2.34重量部およびジエチルアミン0.37重量部をN,N’−ジメチルアセトアミド157重量部に溶解し、これを前記プレポリマー溶液に室温で添加して、粘度2050ポイズ(30℃)のポリウレタン重合体溶液(A)を得た。
ステアリン酸マグネシウム((株)サンエース製、 製品名 SAK−MS−P)、95.55kgと12―ヒドロキシステアリン酸マグネシウム((株)サンエース製、製品名 SCI−HMS)、40.95kgとを、N,N’−ジメチルアセトアミド溶剤(237.9kg)に加えた混合物を、窒素雰囲気下、2時間、90℃にて撹拌混合して36.5重量%溶解させた溶液とした。この溶液を、プライミクス株式会社製のパイプラインホモミクサー内を循環させながら70℃まで徐冷した。その後、引き続きラインミキサー内を68℃で1時間循環(同温度で維持)させてから、次に同ラインミキサー内で3時間かけて60℃まで冷却しながら循環し、同ラインミキサー内循環させて5時間かけて30℃まで降温させた。得られた金属石鹸分散液は懸濁状の分散液で、この分散液を粒度分布計で測定した結果、平均粒子径は、2.2μmであった。作製直後の粘度は690mPa・s、50℃で10日間放置後の粘度を測定したところ940mPa・sであり、経時安定性は極めて良好であった。さらに、乾燥後の金属石鹸のDSCピーク温度は112.52℃であった。その結果を表1に記載した。尚、同表中で、StMgと12−OHStMgはそれぞれステアリン酸マグネシウムと12-ヒドロキシステアリン酸マグネシウムを表す。
実施例1における温度条件をすべて30℃に設定する以外は実施例1と同様の操作により、ステアリン酸マグネシウムと12―ヒドロキシステアリン酸マグネシウムからなる金属石鹸のN,N’−アセトアミド分散液を得た。得られた金属石鹸分散液は懸濁状の分散液で、分布計で測定した結果、平均粒子径は、20.0μmであった。作製直後の粘度は1470mPa・s、50℃で10日間放置後の粘度を測定したところ4250mPa・sであり、経時安定性は悪かった。さらにDSCピークは100〜150℃の範囲で複数ピークが観測された。その結果を表1に記載した。
参考例1で作成した製膜用原液(A)(125.5g)にN,N’−ジメチルアセトアミド溶剤(141.8g)を加えて均一に希釈したポリウレタン重合体溶液(B)を作成する。この溶液(B)にポリウレタン重合体固形分100重量部に対して、実施例1で作製した金属石鹸分散液の1重量部を加えて均一になるように充分に撹拌混合し溶液(C)を製造した。
厚さ0.06mmのアプリケーター(YOSHIMITU製)を用いて、ガラス板(縦20cm、横20cm及び厚さ4mm)の上に、支持体であるPETフィルムを両面テープで固定した上に(C)溶液をキャストして、熱風乾燥機中で70℃24時間放置し、乾燥させPETフィルムの上にポリウレタンフィルムを製膜した。得られたポリウレタンフィルムを前記のフィルムの剥離評価を行った結果、良好な剥離性(○)を示した(2回の繰り返し評価(n=2))。図4の符号12(n=2のうちの一つ目、n=1/2)及び13(n=2/2)に剥離応力の応力カーブを示した。その結果を表1に示した。
実施例2において使用した実施例1の金属石鹸分散液の代わりに、比較例1で作製した分散液を使用する以外は、実施例2と同様にして、ポリウレタンフィルムを製膜した。得られたポリウレタンフィルムは評価直後から剥離が生じてしまい、悪い評価(×)であった(表1)。評価は1回(n=1)行われ、図4の符号14にその剥離応力の結果を示した。
実施例2において金属石鹸分散液を添加しない以外は、実施例2と同様にして、ポリウレタンフィルムを製膜した。得られたポリウレタンフィルムは、支持体であるPETフィルムとの合着が激しく、悪い評価(×)であった(表1)。評価は繰り返し3回(n=3)行われ、図4の符号15〜17にその剥離応力の結果を示した。
2 実施例1と同様の製造条件により得られた、加熱混合後のステアリン酸マグネシウムのDSCカーブ。
3 加熱混合前の12-ヒドロキシステアリン酸マグネシウムのDSCカーブ。
4 実施例1と同様の製造条件により得られた、加熱混合後の12-ヒドロキシステアリン酸マグネシウムのDSCカーブ。
5 2と同様のカーブ。
6 ステアリン酸マグネシウムと12-ヒドロキシステアリン酸マグネシウムの重量部比(StMg:12−OHStMg)を9:1として、実施例1と同様の製造条件にして得られた金属石鹸のDSCカーブ。
7 StMg:12−OHStMgを8:2にして得られた金属石鹸のDSCカーブ。
8 StMg:12−OHStMgを7:3にして得られた金属石鹸のDSCカーブ。
9 StMg:12−OHStMgを3:7にして得られた金属石鹸のDSCカーブ。
10 StMg:12−OHStMgを1:9にして得られた金属石鹸のDSCカーブ。
11 4と同様のDSCカーブ。
12 実施例2で得られたポリウレタンの剥離性(n=1/2)
13 実施例2で得られたポリウレタンの剥離性(n=2/2)
14 比較例2で得られたポリウレタンの剥離性(n=1/1)
15 比較例3で得られたポリウレタンの剥離性(n=1/3)
16 比較例3で得られたポリウレタンの剥離性(n=2/3)
17 比較例3で得られたポリウレタンの剥離性(n=3/3)
Claims (4)
- アミド系溶剤並びに12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸マグネシウムを含む金属石鹸分散液であって、前記12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウムとステアリン酸マグネシウムとの重量部比が70:30〜2:98であり、前記金属石鹸の示差走査熱量測定において観測されるシングルピークのピーク温度が100〜130℃であることを特徴とする、ポリウレタン用金属石鹸分散液。
- 前記アミド系溶剤がN、N’−ジメチルアセトアミド又はN、N’−ジメチルホルムアミドである、請求項1に記載の金属石鹸分散液。
- ポリウレタン100重量部に対して、請求項1又は2に記載の金属石鹸を0.0001〜5.0重量%含有する、ポリウレタンフィルム、シート又はテープ。
- 以下の工程:
前記アミド系溶剤及び前記金属石鹸を含む金属石鹸分散液を、70〜150℃にて加熱、混合及び溶解する工程;
前記の加熱後の金属石鹸分散液を、ラインミキサー及び/又はホモミキサー中で混合させながら50〜110℃で0.5〜10時間維持する工程;
前記の金属石鹸分散液を前記ミキサー中で70℃以下に冷却しながら、0.5〜10時間かけて40℃以下に冷却する工程;
を含む、請求項1又は2に記載のポリウレタン用金属石鹸分散液の製造方法。
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