JP6470585B2 - ポリマーフィルム、積層フィルムおよびその製造方法、偏光板、ならびに画像表示装置 - Google Patents
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Description
他方、例えば特許文献1にポリマーフィルム(特許文献1にはセルロースエステルフィルムと記載されている。)を偏光子と貼り合わせて偏光板保護フィルムとして用いることが記載されているように、保護フィルムは通常、保護対象の部材に貼り合わせて用いられる。したがって保護フィルムには、他の部材と貼り合せる際の密着性に優れることが求められる。
加えて、保護フィルムに望まれる性質としては、可視光透過率が高いことが挙げられる。可視光透過率が低い保護フィルムは、このフィルムを組み込んだ部材や装置の透明性低下等を引き起こしてしまうからである。
しかるに本発明者らの検討によれば、セルロースアシレートを含有するポリマーフィルムの両面側にそれぞれ硬化層を有する積層フィルムは、他の部材と貼り合わせる際の密着性が十分ではなく剥離が発生してしまうことが明らかになった。これは、セルロースアシレートを含有するポリマーフィルムの表面ではなく硬化層表面が他の部材との貼り合わせ面になることが要因と本発明者らは考えている。しかし、カール抑制のために両面に硬化層を有する積層フィルムでは、いずれかの硬化層表面を貼り合わせ面とせざるを得ない。加えて、両面に硬化層を設けると、片面のみに硬化層を設けるよりもポリマーフィルムと硬化層との界面が1つ増えるため、界面での光の散乱や屈折が起こりやすくなる。その結果、片面のみに硬化層を有する積層フィルムと比べて、可視光透過率は低下してしまう。
このように、セルロースアシレートを含有するポリマーフィルムに硬化層を積層した積層フィルムについて、カール抑制と、保護フィルムとしての適性(他の部材との密着性および可視光透過率)とを両立することは、従来の技術では困難であった。
成分Aおよび成分Bを少なくとも含むポリマーフィルムであって、
成分Aは、セルロースアシレートであり、
成分Bは、重合性化合物および重合性化合物の重合体からなる群から選ばれる一種以上の成分であり、
第一の表面側の表層部および第一の表面の反対側の表面である第二の表面側の表層部に、それぞれ成分Aおよび成分Bを含み、
第一の表面側の表層部における成分Aの含有率は10質量%以上かつ成分Bの含有率は30質量%以上であり、
第一の表面側の表層部と第二の表面側の表層部との間の領域にも成分Aおよび成分Bが存在し、かつ第一の表面側の表層部から第二の表面側の表層部に向かって成分Bの含有率が低下するポリマーフィルム、
を新たに見出した。上記ポリマーフィルムは、第二の表面側に硬化層を設けることにより、カールの発生が抑制された積層フィルムを提供することができるものである。更に、第一の表面を他の部材と貼り合わせることにより、この部材との良好な密着性を示すことができる。加えて、こうして得られた積層フィルムは、両面に硬化層を有する積層フィルムと比べて高い可視光透過率を示すことができる。
以上の点に関する本発明者らによる推察は、後述する。
ポリマーフィルムを厚さ方向に切断し、切断面において、ポリマーフィルムの表面から厚さ方向0.50μmまでの領域(一方の表面側の表層部。具体的には、表面からの距離0.25μmのところにラマン分光のための励起光の光強度プロファイルのピークを当てる(ビーム径は0.50μmφ)。)を測定開始箇所とし、以降、0.50μm間隔ごとに測定箇所をとって、各測定箇所においてラマン分光法による組成分析を行う。表層部での測定と同様に、各測定箇所(それぞれ厚さ0.50μmの領域)では測定箇所の中央にラマン分光のための励起光の光強度プロファイルのピークを当てる(ビーム径は0.50μmφ)。なお組成分析の起点とした一方の表面側の表層部から他方の表面まで0.50μm間隔ごとに測定していくと、最終から2番目の測定箇所と測定の終点となる測定箇所(他方の表面上)との間隔が0.50μmを下回る場合もある。この場合には、ポリマーフィルムの上記表面とは反対側の表面から厚さ方向0.50μmまでの領域(他方の表面の表層部)について、ラマン分光法による組成分析を行う。こうして、ポリマーフィルムの一方の表面側の表層部、他方の表面側の表層部、およびこれら表層部の間に位置する領域の組成分析を行うことができる。例えば面内方向に1〜10cm程度の一定間隔離れた複数の測定位置において、上記のように厚さ方向において0.50μm間隔ごとに測定箇所をとってもよい。
ラマン分光法による組成分析の詳細については、後述の実施例において詳述する。また、構成成分が未知のポリマーフィルムについては、溶媒抽出等の公知の分離方法によりポリマーフィルムから構成成分を分離し、分離された構成成分を、公知の同定方法により同定することができる。こうして同定された構成成分について、ラマン分光法による組成分析を行うことにより、各層の組成を決定することができる。同定方法としては、NMR法(核磁気共鳴分光法)、IR法(赤外分光法)、MS法(質量分析法)等を挙げることができる。
なお、上記組成分析において「検出されない」とは、まったく含まれない場合と、ラマン分光法による検出限界を下回る量で微量含まれる場合と、を包含するものとする。ラマン分光法による検出限界は、例えば1質量%以下である。このように検出されない場合、含有率は0%と表記する。
また、組成分析を行う切断面は、少なくとも1面であり、任意の位置で切断した2箇所以上の複数の切断面であってもよい。一例として、1〜10cm程度の一定間隔離れた位置において切断面を得ることができる。複数の切断面の数は、例えば2〜20程度である。また、複数の切断面において組成分析を行う場合には、複数の切断面における分析結果の算術平均値により、各層を規定することとする。
また、「第一の表面側の表層部と第二の表面側の表層部との間の領域にも成分Aおよび成分Bが存在する」とは、上記のラマン分光法による組成分析において、第一の表面側の表層部および第二の表面側の表層部以外の全測定箇所において、成分A、成分Bがそれぞれ1質量%超の含有率で検出されることをいう。また、「第一の表面側の表層部から第二の表面側の表層部に向かって成分Bの含有率が低下する」とは、ポリマーフィルムの中央部における成分Bの含有率が、第一の表面側の表層部における成分Bの含有率より低く、かつ第二の表面側の表層部における成分Bの含有率より高いことをいう。即ち、第一の表面側の表層部における成分Bの含有率を「αB」質量%、中央部における成分Bの含有率を「βB」質量%、第二の表面側の表層部における成分Bの含有率を「γB」質量%とすると、「αB>βB>γB」の関係を満たすことをいう。ここで、ポリマーフィルムの中央部における成分Bの含有率は、次のように求められる値である。ポリマーフィルムのいずれか一方の表面を起点(深さ0μm)として各測定箇所のフィルム厚さ方向における深さ位置を横軸にとり、ラマン分光法により求められる成分Bの含有率を縦軸にとり、各測定位置における成分Bの含有率をプロットする。こうして得られるグラフを最小二乗法を用いて2次関数近似することで得られる曲線において、ポリマーフィルムの厚さの中央部、即ちポリマーフィルムの厚さを「X」μmとすると上記曲線上の横軸「X/2」μmの位置における成分Bの含有率を、ポリマーフィルムの中央部における成分Bの含有率とする。
なお、本発明および本明細書におけるポリマーフィルムの厚さは、触針式膜厚計により測定される値とする。
上記ポリマーフィルムと、このポリマーフィルムの第二の表面と隣接する隣接層を有し、かつ
上記隣接層が、重合性組成物を硬化させてなる硬化層である、積層フィルム、
に関する。
上記積層フィルムの製造方法であって、
セルロースアシレート、重合性化合物および有機溶剤を含む第一の組成物と、セルロースアシレートおよび有機溶剤を含み、重合性化合物を含む場合には第一の組成物の重合性化合物濃度より低い濃度で重合性化合物を含む第二の組成物と、の共流延により流延膜を形成すること、
形成した流延膜に重合処理を施すこと、
上記流延膜に重合処理を施す前または施した後に、第二の組成物側表面に隣接層形成用重合性組成物を塗布すること、ならびに、
隣接層形成用重合組成物に重合処理を施すこと、
を含む、上記積層フィルムの製造方法、
に関する。
上記積層フィルムと、この積層フィルムに含まれる上記ポリマーフィルムの第一の表面と隣接する偏光子と、を少なくとも含む偏光板、
に関する。
上記積層フィルムおよび上記偏光板からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む画像表示装置、
に関する。
更に本発明によれば、上記積層フィルムを含む偏光板および画像表示装置を提供することもできる。
本発明の一態様にかかるポリマーフィルムは、成分Aおよび成分Bを少なくとも含むポリマーフィルムであって、成分Aはセルロースアシレートであり、成分Bは重合性化合物および重合性化合物の重合体からなる群から選ばれる一種以上の成分であり、第一の表面側の表層部および第一の表面の反対側の表面である第二の表面側の表層部に、それぞれ成分Aおよび成分Bを含み、第一の表面側の表層部における成分Aの含有率は10質量%以上かつ成分Bの含有率は30質量%以上であり、第一の表面側の表層部と第二の表面側の表層部との間の領域にも成分Aおよび成分Bが存在し、かつ第一の表面側の表層部から第二の表面側の表層部に向かって成分Bの含有率が低下するポリマーフィルムである。
これに対し本発明の一態様にかかるポリマーフィルムでは、第一の表面側の表層部および第一の表面の反対側の表面である第二の表面側の表層部、ならびに上記の両表層部の間の領域に、成分Bが存在する。ここで成分Bは、「重合性化合物」および「重合性化合物の重合体」からなる群から選ばれる一種以上の成分である。かかるポリマーフィルムにおいて、第一の表面側の表層部における成分Bの含有率が30質量%以上であり、かつ第二の表面側の表層部に向かって成分Bの含有率が低下することは、フィルム厚さ方向において、第一の表面側が成分Bの高濃度領域となり、第二の表面側が成分Bの低濃度領域となる濃度勾配が存在していることを意味する。このポリマーフィルムの成分Bの低濃度領域側の表面(第二の表面)に重合性組成物を重合処理により硬化させてなる隣接層(硬化層)を積層すると、片面側のみ硬化層が形成された積層フィルムが得られる。こうして得られる積層フィルムでは、ポリマーフィルムにおける成分Bの高濃度領域が硬化層様の役割を果たすことにより、両面に硬化層を形成した状態に類する状態になり得ると考えられる。この点が、本発明の一態様にかかるポリマーフィルムにより、カールが抑制された積層フィルムを得ることが可能になる理由であると、本発明者らは考えている。更に、両面側に硬化層を形成せずともカール抑制が可能となるため、両面側にそれぞれ硬化層を形成した積層フィルムと比べて可視光透過率の高い積層フィルムを、上記ポリマーフィルムによれば提供することができる。
なお上記ポリマーフィルムには、重合処理前の重合性化合物を含むポリマーフィルムも包含される。このようなポリマーフィルムは、例えば、隣接層(硬化層)の積層前に重合処理を施すことにより、または隣接層(硬化層)を形成するための重合処理により、このフィルムに含まれる重合性化合物が重合することで、重合性化合物の重合体を含むポリマーフィルムとなるものである。
(成分Aの分布)
上記ポリマーフィルムは、第一の表面側の表層部における成分A(セルロースアシレート)の含有率が10質量%以上である。これは先に記載したように、第一の表面側に他の部材を貼り合わせた際の密着性向上の観点からである。即ち、第一の表面側の表層部における成分Aの含有率が10質量%以上であることにより、第一の表面側に他の部材を貼り合わせた際の剥離の発生を抑制することができる。より良好な密着性を実現する観点からは、第一の表面側の表層部における成分Aの含有率は、20質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが更に好ましく、35質量%以上であることがいっそう好ましく、40質量%以上であることが更にいっそう好ましく、含有率が高いほど好ましい。
また、上記ポリマーフィルムは、第一の表面側の表層部における成分Bの含有率が30質量%以上であるため、第一の表面側の表層部における成分Aの含有率は70質量%以下である。第一の表面側の表層部における成分Aの含有率は、硬化層を設けた積層フィルムにおけるカールの更なる抑制の観点からは、60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。
上記ポリマーフィルムは、第一の表面側の表層部における成分Bの含有率が30質量%以上である。これにより、先に記載したように、片面側に硬化層を設けることによって両面側に硬化層を設けることなくカールが抑制された積層フィルムを提供することが可能となる。カールの更なる抑制の観点からは、第一の表面側の表層部における成分Bの含有率は、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることが更に好ましく、含有率が高いほど好ましい。また、上記ポリマーフィルムは、第一の表面側の表層部における成分Aの含有率が10質量%以上であるため、第一の表面側の表層部における成分Bの含有率は90質量%以下である。第一の表面側の表層部における成分Aの含有率は、第一の表面側に他の部材を貼り合わせた際の密着性の更なる向上の観点からは、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい。
成分Aは、セルロースアシレートである。セルロースアシレートとしては、特に制限はない。セルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基を置換するアシル基の詳細については、特開2012−215812号公報段落0017を参照できる。好ましくは、アシル基は、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基であり、より好ましくはアセチル基、プロピオニル基であり、更に好ましくはアセチル基である。即ち、上記ポリマーフィルムは、セルロースアシレート(成分A)として、セルロースアセテートが含まれることが好ましい。光学性能(フィルムの透明性等)の観点からは、アセチル置換度が2.95以下のセルロースアシレートが好ましく、より好ましくは2.90以下、更に好ましくは2.89以下である。一方、溶剤溶解性等の観点からは、アセチル置換度が2.00以上のセルロースアシレートが好ましく、より好ましくは2.50以上、更に好ましくは2.80以上である。同様の観点から、セルロースアシレートの総アシル置換度も、アセチル置換度について上記した範囲にあることが好ましい。なお総アシル置換度およびアセチル置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法に準じて測定することができる。アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在している。その他、セルロースアシレートの詳細については、特開2012−215812号公報段落0017〜0020も参照できる。
成分Bは、重合性化合物および重合性化合物の重合体からなる群から選ばれる一種以上の成分である。先に記載したように、上記ポリマーフィルムには、重合処理前の重合性化合物を含むポリマーフィルムも包含される。即ち、光照射や加熱等の重合処理を施されることにより重合性化合物の重合体を含むポリマーフィルムとなるポリマーフィルムも、上記ポリマーフィルムの一態様である。また、重合処理が2回以上の複数の工程にわけて行われるポリマーフィルムであって、複数の工程のうちの一部の工程が行われたポリマーフィルムであって、その後に複数の工程の残りの工程が行われるポリマーフィルムも、上記ポリマーフィルムの一態様である。
なお本発明および本明細書において分子量とは、多量体については、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で測定される重量平均分子量を言うものとする。具体的な測定条件の一例としては、以下の測定条件を挙げることができる。後述する重量平均分子量は、下記測定条件により測定された値である。
GPC装置:HLC−8120(東ソー社製):
カラム:TSK gel Multipore HXL−M(東ソー社製、7.8mmID(内径)×30.0cm)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
具体例として、2官能(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。市販品の一例としては、共栄社化学社製:ライトアクリレートNP−A(ネオペンチルグリコールジアクリレート、分子量212)等を挙げることもできる。
3官能以上の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。市販品の一例としては、日本化薬社製:KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、分子量579)、東亜合成社製:アロニックスM−309(トリメチロールプロパントリアクリレート、分子量296)等を挙げることもできる。
また、上記(メタ)アクリレート化合物は、分子骨格の一部が変性されているものでもよい。例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものを使用することができる。
上記ポリマーフィルムは、以上説明した成分Aおよび成分Bを、先に記載した分布で含む限ものであればよく、一種以上の他の成分を任意に含むことができる。それら成分については、上記ポリマーフィルムの製造に用いることのできる組成物について後述する。なお上記ポリマーフィルムは、フィルムの構成成分であるポリマーとしてセルロースアシレートを少なくとも含むが、先に記載した成分Aおよび成分Bの分布を満たすものである限り、他のポリマーの一種以上が任意に含まれていてもよい。そのようなポリマーは特に限定されるものではなく、ポリマーフィルムの構成成分として一般に知られている各種ポリマーを挙げることができる。
ポリマーフィルムの厚さは、用途に応じて定めればよく、特に限定されるものではない。ポリマーフィルムの厚さは、例えば20μm以上、80μm以下であるが、この範囲を外れる厚さであってもよい。ポリマーフィルムの厚さは、製膜条件により調整することができる。
本発明の一態様にかかる積層フィルムは、上記ポリマーフィルムと、このポリマーフィルムの第二の表面と隣接する隣接層とを有する。上記隣接層は、重合性組成物を硬化させてなる硬化層である。
隣接層は、重合性組成物を硬化させてなる硬化層である。ここで隣接層についての「隣接」とは、直接または間接的に隣り合うことを意味する。即ち、隣接層は、本発明の一態様にかかるポリマーフィルムの第二の表面に他の層を介さず直接接して積層されていてもよく、公知の接着層等の他の層を介して間接的に積層されていてもよい。隣接層(硬化層)が形成される他方の表面側に先に記載したように成分Bの高濃度領域が存在することにより、ポリマーフィルムの両面側にそれぞれ硬化層を形成することなく、片面側(第二の表面側)のみに硬化層を形成することにより、カールが抑制された積層フィルムを得ることができる。
上記積層フィルムは、一方の最表面がポリマーフィルムの第一の表面であり、他方の最表面が上記隣接層の表面であることができる。このように、ポリマーフィルムの片面側のみに隣接層(硬化層)を設けた積層フィルムは、両面側にそれぞれ硬化層を有する積層フィルムと比べて高い可視光透過率を示すことができる。本発明および本明細書において、可視光透過率とは、測定波長550nmにおいて分光光度計を用いて測定される透過率をいうものとする。分光光度計としては、公知の分光光度計を用いることができる。上記積層フィルムは、好ましくは90%以上の可視光透過率を示すことができる。上記可視光透過率は、例えば98%以下であるが高いほど好ましく、98%超であってもよい。
本発明の更なる態様は、先に説明した本発明の一態様にかかる積層フィルムの製造方法であって、セルロースアシレート、重合性化合物および有機溶剤を含む第一の組成物と、セルロースアシレートおよび有機溶剤を含み、重合性化合物を含む場合には第一の組成物の重合性化合物濃度より低い濃度で重合性化合物を含む第二の組成物と、の共流延により流延膜を形成すること、形成した流延膜に重合処理を施すこと、流延膜に重合処理を施す前または施した後に、第二の組成物側表面に隣接層形成用重合性組成物を塗布すること、ならびに、隣接層形成用重合組成物に重合処理を施すこと、を含む上記積層フィルムの製造方法に関する。
以下、上記製造方法について、更に詳細に説明する。
(第一の組成物)
第一の組成物は、第一の組成物は重合性化合物を含む重合性組成物であり、重合性化合物とともに、セルロースアシレートおよび有機溶剤を少なくとも含む。セルロースアシレートおよび重合性化合物の詳細は、先に記載した通りである。
第一の組成物に含まれる有機溶剤としては、一般に流延製膜に用いられる有機溶剤を何ら制限なく用いることができる。一態様では、有機溶剤の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、γ-ブチロラクトン等のエステル類の他、メチルセロソルブ、ジメチルイミダゾリノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルフォキシド、スルホラン、ニトロエタン、塩化メチレン(メチレンクロライド)、アセト酢酸メチルなどが挙げられる。1,3−ジオキソラン、THF(テトラヒドロフラン)、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸メチルおよびメチレンクロライドが好ましい。二種以上の溶剤を混合した混合溶剤においては、上記例示した有機溶剤が最も多くの割合(例えば混合溶剤全量100質量%に対して50質量%以上99質量%未満)を占める主溶剤であることが好ましい。
第一の組成物は、上記成分に加えて、一般にポリマーフィルムの作製に用いられる公知の成分の一種以上を、任意の割合で含むことができる。そのような成分としては、公知の可塑剤、重合開始剤、界面活性剤、マット剤等を挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、ポリマーフィルムの用途に応じて求められる物性に基づき、第一の組成物に含有される成分および含有量を定めることができる。なお、重合性化合物の重合処理は、重合性化合物の種類に応じて、光照射、加熱等により行うことができる。併用される成分によっては、光照射や加熱により活性種を発生し、この活性種が重合性化合物の重合を開始させる作用を発揮する場合がある。そのような場合には、第一の組成物は、重合開始剤を含まないものであってもよい。一例として、セルロースアシレートは、光照射によりラジカルを発生する場合があり、そのような場合には、重合開始剤を用いることなく、重合性化合物とセルロースアシレートを併用して少なくとも光照射を行う重合処理により、重合性化合物の重合処理を行うこともできる。また、重合性化合物が加熱によりラジカルを発生する場合もあり、このような場合には、重合開始剤を用いることなく、少なくとも加熱を行う重合処理により、重合性化合物の重合処理を行うこともできる。
本発明および本明細書において、固形分濃度とは、組成物全量100質量%に対して、溶剤以外の全成分の合計が占める割合をいう。第一の組成物の固形分濃度は、塗布適性を考慮して決定すればよく、例えば5〜40質量%の範囲であり、好ましくは15〜30質量%の範囲である。後述する第二の組成物の固形分濃度についても同様である。
以上説明した第一の組成物は、第二の組成物と共流延(重層同時流延とも呼ばれる)される。共流延は、共流延に用いる組成物の組成を変えることにより、一方の表面側の表層部と他方の表面側の表層部とに組成や物性の違いを持たせることが容易である点で、好ましい。第一の組成物との共流延に用いる第二の組成物は、第一の組成物よりも重合性化合物の濃度の低い組成物であり、例えば先に第一の組成物について記載したセルロースアシレートに対する重合性化合物量の比率に関して、0.5以上の比率差のある組成物であることがより好ましく、重合性化合物を含まない組成物であることが更に好ましい。ここで「含まない」とは、組成物を調製するための成分として積極的に添加しないことを意味する。
第一の組成物と第二の組成物との共流延による流延膜の作製は、公知の流延製膜法により行うことができる。一例として、特開2012−96523号公報の図3および図4ならびに同公報中のこれら図面の説明を参照することができる。ただし、特開2012−96523号公報に記載の態様に限定されるものではなく、公知の流延製膜法を何ら制限なく用いることができる。共流延によれば、通常、共流延用組成物(ドープとも呼ばれる)を支持体上に流延して流延膜を形成し、形成した流延膜に乾燥処理、重合処理等の各種処理を施すことにより、ポリマーフィルムを作製することができる。例えば、共流延用組成物(ドープ)を、走行する流延製膜用支持体(例えばバンドまたはドラム)の上に流延し、支持体とともに走行させながら各種処理を施し、適当な時期に支持体から剥ぎ取る。支持体から剥ぎ取る前、支持体から剥ぎ取った後、またはその両時期において、流延膜に乾燥処理を施すことができる。乾燥処理は、加熱炉内への配置、加熱炉内での搬送、温風の吹き付け等により行うことができる。乾燥時の加熱温度は、重合性化合物の重合反応の進行やセルロースアシレートの大きな熱収縮が生じない程度の温度とすることが好ましい。以上の点からは、乾燥時の加熱温度は70℃以上とすることが好ましく、80℃以上とすることがより好ましい。ここで加熱温度とは、温風の温度または加熱炉内の雰囲気温度をいうものとする。一方、加熱温度を高くすることにより重合性化合物が流延膜において第一の表面側に偏在しやすくなる傾向があり、相対的に第一の表面側におけるセルロースアシレートの含有率は低下する傾向があると、本発明者らは考えている。したがって、先に記載したように成分Aおよび成分Bの分布を制御する手段としては、加熱温度を制御することを挙げることもできる。成分Aおよび成分Bの分布制御の観点からは、加熱温度は120℃以下とすることが好ましく、110℃以下とすることがより好ましい。
上記隣接層は、形成された流延膜の第二の組成物側表面に隣接層形成用重合性組成物を塗布し、この組成物に重合処理を施すことにより形成することができる。一態様では、隣接層形成用重合性組成物の重合処理において、流延膜の重合処理を行うことができる。本態様では、隣接層形成用組成物の塗布前に流延膜に重合処理を施さない態様と、流延膜の重合処理を2回以上の複数の工程で行う場合に一部の工程を隣接層形成用組成物の塗布前に行い、隣接層形成用組成物の重合処理により流延膜の重合処理の残りの工程が行われてもよい。または、他の一態様としては、流延膜に重合処理を施した後に、隣接層形成用組成物の塗布および重合処理を行うこともできる。
本発明の更なる態様は、上記の積層フィルムと、この積層フィルムに含まれる上記ポリマーフィルムの第一の表面と隣接する偏光子と、を少なくとも含む偏光板に関する。
以下、上記偏光板について、更に詳細に説明する。
以上説明したヨウ素染色されたポリビニルアルコール系偏光子の偏光板耐久性を向上するためにも、偏光子の一方または両方に偏光板保護フィルムを設けることは好ましい。更に、この点に関し、本発明者らは、予想外の現象として、上記積層フィルムを第一の表面を偏光子と隣接させて偏光板の一方または両方の保護フィルムとして用いることにより、偏光板耐久性を向上することができることを新たに見出した。これは積層フィルムに含まれるポリマーフィルムが、成分A(セルロースアシレート)とともに成分Bを含むこと、および偏光子と隣接するポリマーフィルムの第一の表面における成分Bの含有率が30質量%以上であることによるものと、本発明者らは推察している。詳しくは、ポリマーフィルムに成分Bが含まれることが、水分が偏光子へ浸入することを抑制することに寄与すると本発明者らは考えている。また、偏光子と隣接するポリマーフィルムの第一の表面における成分Bの含有率が30質量%以上であることが、ヨウ素系錯体の分解により生成されたヨウ素イオンやヨウ素分子が偏光子外へ放出されてしまうことを抑制することに寄与すると、本発明者らは考えている。この点から、ポリマーフィルムの第一の表面側の表層部における成分Bの含有率は、好ましくは40質量%以上であり、50質量%超であることがより好ましく、55質量%以上であることが更に好ましく、60質量%以上であることがいっそう好ましく、含有率が高いほど好ましい。
ただし、以上は本発明者らによる推察であって、本発明を何ら限定するものではない。
本発明の更なる態様は、上記積層フィルムおよび上記偏光板からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む画像表示装置に関する。
また、以下の実施例、比較例で作製したポリマーフィルムおよび積層フィルムの評価にあたっては、フィルムの四方の外側面からそれぞれ1cm以上離れた位置から、20cm四方のフィルムを切り出して測定試料とした。
ポリマーフィルムの総厚は、実施例、比較例について、隣接層(硬化層)形成前のポリマーフィルムから先に記載したように切り出した測定試料の縦横を5cm間隔で4等分する線の、9つの格子点を測定箇所とし、各測定箇所において触針式膜厚計により測定した値の算術平均値として求めた。
隣接層(硬化層)の厚さは、上記測定試料を用いて、前述の方法により求めた。
以下に記載の共流延(流延製膜工程)における流延膜の温度は、非接触の温度計によりモニターした。
<第一の組成物(重合性化合物含有セルロースアシレートドープA)の調製>
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、ドープAを調製した。
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(固形分)
セルロースアセテート(アセチル置換度2.86、重合度350) 100質量部
重合性化合物1 100質量部
(10官能ウレタンアクリレート(日本合成化学社製UV−1700B))
光重合開始剤 2.5質量部
固形分濃度(組成物全量100質量%に対して) 24質量%
(溶剤組成比:溶剤全量100質量%に対して、括弧内はセルロースアセテート
100質量部に対する含有量)
メチレンクロライド 79質量%(500質量部)
メタノール 20質量%(127質量部)
1−ブタノール 1質量%( 6質量部)
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下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、ドープBを調製した。
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(固形分)
セルロースアセテート(置換度2.86,重合度350)
固形分濃度(組成物全量100質量%に対して) 24質量%
(溶剤組成比:溶剤全量100質量%に対して、括弧内はセルロースアセテート
100質量部に対する含有量)
メチレンクロライド 79質量%(625質量部)
メタノール 20質量%(158質量部)
1−ブタノール 1質量%( 8質量部)
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流延ダイとして、図1に示す構成の流延ダイを用いた。実施例1で用いた製膜装置は、流延ドラム(ドラム支持体)を備え、流延ドラムからはぎ取られたフィルムが乾燥室(加熱室)に搬送されて加熱される。乾燥室以外は開放系とした。加熱時間は、乾燥室の搬送距離を変更することにより制御した。図1に示す流延ダイ21は、ドープaの流れとドープbの流れとを合流させた後、先端の吐出口から走行する流延ドラム22上に流出させることによって、ドープa由来の塗布層40aとドープb由来の塗布層40bの積層体として流延膜40を形成する。
上記で調製したドープA、Bを、図1に示すドープaとしてドープA、ドープbとしてドープBを用い、空気面側から支持体側に向かってドープA、Bの順序になるように、それぞれが表1に示す膜厚(設定膜厚)相当になるように流量を調節して、流延ダイから表面温度5℃のドラム支持体上に共流延して流延膜を形成した。その後、ドラム支持体上で40℃の除湿風を当て、ドラム支持体から流延膜を剥ぎとった。
走行する流延膜に乾燥室において乾燥風をあて表1中の乾燥条件に示す温度および時間で加熱し、溶剤を乾燥させた(乾燥処理)。
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して隣接層形成用重合性組成物HC1(固形分濃度58質量%)を調製した。
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溶剤:酢酸メチル 21質量部
メチルエチルケトン(MEK) 21質量部
重合性化合物 56.26質量部
(3.4官能アクリレート(日本化薬社製KAYARAD PET30))
光重合開始剤: 1.74質量部
(BASF社製IRGACURE184)
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上記の乾燥後の流延膜(重合処理前の重合性化合物を含むポリマーフィルム)の第二の組成物(ドープB)側表面に、上記組成物HC1をグラビアコーターを用いて塗布し塗布層を形成した(固形分塗布量:12.1g/m2)。炉内雰囲気温度100℃の加熱炉内で形成した塗布層を乾燥させた後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量150mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層に重合処理を施し硬化させて隣接層(硬化層)を形成し、隣接層とポリマーフィルムの積層フィルムを得た。本実施例では、上記の塗布層の重合処理により、流延膜(ポリマーフィルム)に含まれていた重合性化合物にも重合処理が施される。
ドープAのセルロースアセテート含有量を表1に示す量に変更した点以外、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。
共流延におけるドープAの設定膜厚およびドープBの設定膜厚を表1に示す設定膜厚に変更した点以外、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。
ドープAの重合性化合物として、重合性化合物1に代えて下記重合性化合物を用いた点以外、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。
重合性化合物2:新中村化学工業社製U15HA
重合性化合物3:日本化薬社製DPCA30
重合性化合物4:日本化薬社製DPCA60
重合性化合物5:日本化薬社製DPCA120
重合性化合物6:日本化薬社製DPHA
重合性化合物7:新中村化学工業社製A−TMMT
走行する流延膜に乾燥室において乾燥風をあて表1中の乾燥条件に示す温度および時間で加熱し、溶剤を乾燥させた点以外、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。
実施例1の光開始重合剤を熱重合開始剤(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)に変更し、走行する流延膜に乾燥室において乾燥風をあて表1中の乾燥条件に示す温度および時間で加熱し、溶剤の乾燥および重合開始剤の重合処理(熱重合)を行った点以外、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。
実施例1と同様の方法で流延膜の乾燥処理まで行った後に、乾燥処理を行った乾燥室において、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製)を用いて、照度400mW/cm2-、照射量300mJ/cm2の紫外線を、第一の組成物側表面に照射し重合性化合物の重合処理を行った点以外、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。
ドープAをドープBに変えた(即ち空気面側に流延されるドープとしてもドープBを使用した)点以外、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。
ドープBをドープAに変えた(即ち支持体側に流延されるドープとしてもドープAを使用した)点以外、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。
ドープAの重合性化合物含有量を表1に示す量に変更した点以外、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。
比較例1と同様に流延膜の乾燥処理まで行った後、乾燥処理後の流延膜の第一の組成物(ドープA)側表面に、上記組成物HC1をグラビアコーターを用いて塗布し塗布層を形成した(固形分塗布量:12.1g/m2)。炉内雰囲気温度100℃の加熱炉内で形成した塗布層を乾燥させた後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量150mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層に重合処理を施し硬化させて第一の組成物(ドープA)側表面上に隣接層(硬化層)を形成した。その後、実施例1と同様の方法で第二の組成物(ドープB)側表面に隣接層を形成した。こうしてポリマーフィルムの両面側にそれぞれ隣接層(硬化層)を有する積層フィルムを得た。
<ラマン分光法による組成分析>
ポリマーフィルムの組成分析は、共焦点ラマン顕微鏡(東京インスツルメンツ製:NanoFinder30)を用いて行った。励起波長は785nm、レーザーパワーは18mWであり、100倍の対物レンズを使用した。積算時間は120秒とした。
実施例、比較例について、隣接層(硬化層)形成前のポリマーフィルムから先に記載したように切り出した20cm四方の測定試料において、5cm間隔で測定試料を切断して得られた3つの切断面において、それぞれ5cm間隔で厚さ方向における測定位置を決定した。こうして9つの測定位置が決定される。各測定位置において、流延時の空気面側表面からフィルム厚さ方向0.50μm間隔の測定箇所で上記ラマン顕微鏡を用いたラマン分光法(顕微ラマン分光法)による組成分析を行い、各測定箇所において成分A(セルロースアセテート)および成分B(上記重合性化合物および重合性化合物の重合体からなる群から選ばれる成分)の含有率を測定した。第一の表面側(流延において空気層側)の表層部、第二の表面側(流延において支持体側)の表層部および先に記載した方法により求めた中央部の成分Aおよび成分Bのそれぞれの含有率を、表1に示す。
一例として、実施例1について得られたポリマーフィルムの厚さ方向における成分A、成分Bの含有率変化を示すグラフを、図2に示す。
実施例1〜15、比較例1〜4については、組成分析を行ったポリマーフィルムは、乾燥処理後であって重合処理前の重合性化合物を含むポリマーフィルムである。これらポリマーフィルムにおける各成分の分布は、重合処理(紫外線照射)の前後で変化しないと考えられるため、隣接層の形成を行い得られた積層フィルムに含まれるポリマーフィルムにおける各成分の分布も、上記組成分析により求められた分布と同じ分布と見なすことができる。
一方、実施例16については、組成分析を行ったポリマーフィルムは、乾燥処理中に重合性化合物の重合処理(熱重合)が施されたポリマーフィルムである。実施例17については、組成分析を行ったポリマーフィルムは、乾燥処理後の紫外線照射により重合性化合物の重合処理が施されたポリマーフィルムである。
表1中、ポリマーフィルムの流延時空気面側を第一の表面、支持体面側を第二の表面と表記する。実施例で作製したポリマーフィルムについては、流延時空気面側が第一の表面、支持体側が第二の表面であることが、上記組成分析により確認された。また、上記組成分析により、実施例で作製したポリマーフィルムでは、第一の表面側の表層部と第二の表面側の表層部の間の領域にも、成分Aおよび成分Bが存在することも確認された。
実施例、比較例の積層フィルムのカール評価を、アメリカ国家規格協会の規定する測定方法(ANSI/ASC PH1.29−1985、Method A)の方法にしたがって行った。具体的には、各積層フィルムを3mm×35mmの長方形形状に裁断したフィルム試料をカール板に垂直かつセットする支柱からフィルム試料がはみ出さないようにセットし、温度25℃、相対湿度60%、調湿時間10時間で調湿した。調湿後、フィルム試料の先がカール板のどのメモリまでカールしているかを読み取る。ここで読み取られる値は、一般にF式カール値と呼ばれる。以下、単にカール値と記載する。このときフィルム試料がカールする方向によって測定されるカール値はプラスまたはマイナスの値となる。測定されるカール値の絶対値が大きいほど、カールが強いことを意味する。
図3は、カール評価の説明図であり、フィルム試料のカールを上記のアメリカ国家規格協会の規定する測定方法にしたがって測定する一例を表す。図3では、フィルム試料1のカールは、カール板2における値がマイナス0.5以下(絶対値0.5以下)となっている。
各積層フィルムのカールを、測定されたカール値(絶対値)に基づき以下の基準で評価した。評価結果Dは、積層フィルムを他の部材に貼り合わせることが困難なレベルである。
A:2.0以下
B:2.0より大きく4.0以下
C:4.0より大きく6.0以下
D:6.0より大きい
(偏光板試料の作製)
各実施例、比較例について、それぞれ積層フィルムを2枚用意し、2枚の積層フィルムにそれぞれ、流延時空気面側の最表面に以下の方法により鹸化処理(アルカリ鹸化処理)を施した。
積層フィルムの流延時空気面側の最表面を、液温55℃の1.5規定(1.5mol/L)水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬し、室温の水洗浴槽中で洗浄した後、液温30℃で0.1規定(0.05mol/L)の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。
続いて、厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して厚さ20μmの偏光子を得た。ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3質量%水溶液を接着剤として、2枚の積層フィルムのアルカリ鹸化処理した表面をそれぞれ偏光子の一方の面と他方の面と貼り合わせて偏光板を得た。貼り合わせは、積層フィルムに含まれるポリマーフィルムの流延方向が偏光子の吸収軸と平行になるように貼り付けた。
(偏光板試料の評価)
実施例、比較例の偏光板を、炉内雰囲気温度80℃のオーブンに24時間入れた後、温度25℃相対湿度60%の部屋で調湿を1時間行った後に、4cm×4cmのトムソン刃による打ち抜き器によって5枚のシート試料(偏光板試料)を得た。
打ち抜いた4cm×4cmの平面視が正方形の偏光板試料について、その正方形の各辺における積層フィルムに含まれるポリマーフィルムと偏光子との界面での剥離具合を、以下の基準に基づいて、1試料当たり4点を最高点として点数化した。
0.00点:剥離の発生がない。
0.25点:剥離が発生している領域が、一辺の25%以下。
0.50点:剥離が発生している領域が、一辺の25%超から50%以下。
0.75点:剥離が発生している領域が、一辺の50%超から75%以下。
1.00点:剥離が発生している領域が、一辺の75%超。
5枚の偏光板試料について点数を合計し、以下のように評価を行った。
A:点数0点以上5点以下
B:点数5点超10点以下
C:点数10点超15点以下
D:点数15点超20点以下
実施例、比較例の積層フィルムの可視光透過率(波長550nmにおける透過率)を、紫外可視分光光度計(島津社製UV/visスペクトルメーターU2400)にて測定した。
JIS−K5400に記載のクロスカット法にて評価を行った。即ち、実施例、比較例で得られた積層フィルムの隣接層(比較例4については、ポリマーフィルムの第二の表面側に形成された隣接層)表面に、縦横1mm間隔で10等分する切り込みを入れて合計100個の領域を形成した後、これら領域を形成した表面にセロハンテープ(cellophane tape)(ニチバン社製)を用いて密着試験を行った。密着試験では、新しいセロハンテープを貼ったあとに剥離する操作を同じ箇所で3回繰り返した。密着試験後の上記隣接層表面における剥離領域数から、以下の基準で密着性を判定した。
A:剥離領域数が0個である。
B:剥離領域数が1個以上5個以下である。
C:剥離領域数が6個以上30個以下である。
D:剥離領域数が30個超である 。
更に、表1に示す結果から、実施例の積層フィルムは、このフィルムに含まれるポリマーフィルムの第二の表面と隣接層(硬化層)と密着性も良好であることが確認できる。
各実施例、比較例について、それぞれ前述の方法で偏光板試料を作製した。作製した偏光板試料は、偏光子の両面側にそれぞれ実施例、比較例の積層フィルムを偏光板保護フィルムとして有し、両面側の最表面はそれぞれポリマーフィルムの第二の表面上に形成された隣接層(硬化層)表面である。
上記偏光板試料の一方の最表面(隣接層表面)を、粘着剤(綜研化学SK−2057)を介してガラス板と貼り付けることにより直交透過率測定用試料(約5cm×5cm)を作製した。
こうして作製した測定用試料の透過率を、日本分光社製自動偏光フィルム測定装置VAP−7070を用いて380nm〜780nmの範囲で測定し、10回の測定の算術平均値として、波長410nmにおける透過率(直交透過率、単位:%)を求めた。
その後、雰囲気温度80℃、相対湿度90%の環境下で各測定用試料を1000時間経時保存した後に同様の方法で、10回の測定の算術平均値として、波長410nmにおける直交透過率を求めた。
以下の式:
直交透過率変化量(%)=(1000時間経時前に求められた直交透過率)−(1000時間経時後に求められた直交透過率)
により、直交透過率変化量を算出した。算出された値から、以下の評価基準により偏光板耐久性を評価した。結果を下記表2に示す。
A:直交透過率変化量が0.06%未満
B:直交透過率変化量が0.06%以上、0.08%未満
C:直交透過率変化量が0.08%以上
比較例1の偏光板試料は、成分Bを含まないポリマーフィルムに隣接層(硬化層)が積層されている点で、実施例の偏光板試料と異なる。かかる比較例1では評価結果がCであったのに対し、実施例ではいずれもAまたはBの評価結果が得られたことから、実施例の積層フィルムを偏光板保護フィルムとして用いることにより、偏光板耐久性の向上が可能となることが確認された。なお比較例2〜4での評価結果はAまたはBであるが、これら比較例は、表1にされている通り、前述の評価項目において評価結果に劣るものである。
Claims (16)
- 成分Aおよび成分Bを少なくとも含むポリマーフィルムであって、
前記成分Aは、セルロースアシレートであり、
前記成分Bは、重合性化合物および重合性化合物の重合体からなる群から選ばれる一種以上の成分であり、
第一の表面側の表層部および第一の表面の反対側の表面である第二の表面側の表層部に、それぞれ前記成分Aおよび前記成分Bを含み、
前記第一の表面側の表層部における前記成分Aの含有率は10質量%以上かつ前記成分Bの含有率は40〜80質量%の範囲であり、
前記第一の表面側の表層部と前記第二の表面側の表層部との間の領域にも前記成分Aおよび前記成分Bが存在し、かつ前記第一の表面側の表層部から前記第二の表面側の表層部に向かって前記成分Bの含有率が低下するポリマーフィルム。 - 前記第二の表面側の表層部における前記成分Bの含有率は、5〜20質量%の範囲である請求項1に記載のポリマーフィルム。
- 前記第一の表面側の表層部における前記成分Aの含有率は、20〜60質量%の範囲である請求項1または2に記載のポリマーフィルム。
- 前記第二の表面側の表層部から前記第一の表面側の表層部に向かって前記成分Aの含有率が低下する請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
- 前記セルロースアシレートは、セルロースアセテートを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
- 前記重合性化合物の分子量は、250〜3000の範囲である請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
- 前記重合性化合物の分子量を、一分子中に含まれる重合性基の数で除した値は、30〜500の範囲である請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
- 前記重合性化合物は、エチレン性不飽和結合を含む重合性基を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
- 前記エチレン性不飽和結合を含む重合性基は、(メタ)アクリロイル基および(メタ)アクリロイルオキシ基からなる群から選ばれる重合性基である請求項8に記載のポリマーフィルム。
- 成分Aおよび成分Bを少なくとも含むポリマーフィルムであって、
前記成分Aは、セルロースアシレートであり、
前記成分Bは、重合性化合物および重合性化合物の重合体からなる群から選ばれる一種以上の成分であり、
前記重合性化合物は、エチレン性不飽和結合を含む重合性基を有し、
第一の表面側の表層部および第一の表面の反対側の表面である第二の表面側の表層部に、それぞれ前記成分Aおよび前記成分Bを含み、
前記第一の表面側の表層部における前記成分Aの含有率は10質量%以上かつ前記成分Bの含有率は30質量%以上であり、
前記第一の表面側の表層部と前記第二の表面側の表層部との間の領域にも前記成分Aおよび前記成分Bが存在し、かつ前記第一の表面側の表層部から前記第二の表面側の表層部に向かって前記成分Bの含有率が低下するポリマーフィルム。 - 請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリマーフィルムと、該ポリマーフィルムの前記第二の表面と隣接する隣接層を有し、かつ
前記隣接層が、重合性組成物を硬化させてなる硬化層である、積層フィルム。 - 請求項11に記載の積層フィルムの製造方法であって、
セルロースアシレート、重合性化合物および有機溶剤を含む第一の組成物と、セルロースアシレートおよび有機溶剤を含み、重合性化合物を含む場合には前記第一の組成物の重合性化合物濃度より低い濃度で重合性化合物を含む第二の組成物と、の共流延により流延膜を形成すること、
形成した流延膜に重合処理を施すこと、
前記流延膜に重合処理を施す前または施した後に、第二の組成物側表面に隣接層形成用重合性組成物を塗布すること、ならびに、
前記隣接層形成用重合組成物に重合処理を施すこと、
を含む、前記積層フィルムの製造方法。 - 前記隣接層形成用重合性組成物に施される重合処理により、前記流延膜の重合処理も行われる請求項12に記載の積層フィルムの製造方法。
- 前記重合処理は、光照射に行われる請求項13に記載の積層フィルムの製造方法。
- 請求項11に記載の積層フィルムと、該積層フィルムに含まれる前記ポリマーフィルムの第一の表面と隣接する偏光子と、を少なくとも含む偏光板。
- 請求項11に記載の積層フィルムおよび請求項15に記載の偏光板からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む画像表示装置。
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