近年ではICカード等への実装の点から、水晶振動子は小型化に加えて薄型化も要求されようになっている。前記容器は複数のセラミックシートを積層した状態で焼成によって一体成形されているものが一般的であるが、薄型化に対応するためにはセラミックシートの積層数を少なくする必要がある。例えば前記容器を、板状の底板部と、当該底板部の上に前記凹部を形成するための枠状の枠部とからなる2層構成とする場合、最小限の積層数でセラミックパッケージを構成することができる。しかしながら2層構成の容器の場合、凹部の内底面となる底板部の上面に、水晶素子との隙間を確保するための段部を形成することができなくなる。このため2層構成の容器の場合はタングステン等のメタライズ処理によって電極パッドの厚みを、特許文献1に示すように前記段部が存在する構成における電極パッドの厚みよりも厚肉に形成する必要がある。
前記電極パッドをメタライズ処理によって従来よりも厚肉に形成する場合、一回の印刷で厚膜状態にすることが困難なため複数回の印刷を行う必要がある。例えば計2回の印刷で厚膜の電極パッドを形成する場合、まず凹部の内底面上に第1層目のメタライズ印刷を行う。次に当該第1層目の上面の領域内に収まるように、平面視の面積が第1層目よりも小さい第2層目を第1層目の上面に積層する。前記電極パッドは一対で形成され、互いに異極であるため所定の隙間を隔てて凹部の内底面上に対向配置される。
水晶素子に予め形成された金属バンプと容器内の電極パッドとを超音波接合する場合、前記第2層目の上面が金属バンプと接触するとともに、当該上面の平坦な領域が接合に寄与する領域となる。ここで製造ばらつきによって第2層目が第1層目に対して平面視で所定位置からずれた状態で印刷されることがある。
具体的には本来、第2層目が第1層目の上面の領域内に収まるように形成されていなければならないものが、第2層目が第1層目の上面からはみ出した状態で積層されてしまうことがある。第2層目のうち第1層目からはみ出した部分は第1層目の側面に回り込むように配されるため、当該はみ出した部分は断面視で曲面を呈し、その上面は平坦度が低下してしまう。したがって、当該はみ出した部分にも及ぶように金属バンプを接触させて超音波接合することは困難になる。そのため接合に寄与する第2層目の有効面積が減少してしまうことになる。
以上のことより、第2層目が第1層目の上面からはみ出して形成されると電極パッドと水晶素子との確実な超音波接合が行えなくなる虞がある。また、水晶素子が電極パッドに対して傾斜した状態で接合される虞もある。その結果、導通不良や外部衝撃等を受けた際に水晶素子が破損したり、水晶振動子の特性が悪化してしまうという問題が存在する。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、小型化・薄肉化に対応するとともに、導電性バンプを介して圧電素子を確実に超音波接合することができる容器を用いた圧電デバイスの製造方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために請求項1に係る発明は、圧電デバイスの製造方法であって、前記圧電デバイスに用いられる絶縁性材料から成る容器は、上方に開口した凹部を備え、圧電素子と導電接合される2つの電極パッドが前記凹部の内底面に互いに隙間を空けて配され、前記電極パッドは前記内底面上の第1パッドと、当該第1パッドの上に積層された第2パッドとの2層で構成され、前記2つの電極パッドのうち一方の電極パッドのみにおいて、前記第2パッドの一部が平面視で前記第1パッドの上面から前記隙間に面する方向にはみ出してなり、前記第2パッド形成のためのスキージ時のメタライズの量をコントロールすることによって、第2パッドの前記はみ出した部分の上面の平坦度の低下が抑制された容器を形成する容器形成工程と、前記圧電素子に設けられた一対の接続電極の各々に導電性のバンプを形成するバンプ形成工程と、前記バンプと前記容器の2つの電極パッドとを超音波接合する接合工程を備える圧電デバイスの製造方法となっている。
上記発明によれば、容器が小型になっても圧電素子を電極パッドに確実に超音波接合することができる。これは一方の電極パッドのみにおいて、前記第2パッドの一部が平面視で前記第1パッドの上面から前記隙間に面する方向にはみ出して形成されていることによる。つまり、予め一方の電極パッドにおいて第2パッドの一部を平面視で第1パッドの上面から前記隙間に面する方向にはみ出させることによって、第2パッドが電極パッドの配列方向にずれた場合であっても接合に寄与する第2パッドの有効面積を確保することができる。これにより、圧電素子を電極パッドに確実に超音波接合することができる。
本発明では一方の電極パッドにおいて第2パッドの一部を平面視で第1パッドの上面から前記隙間に面する方向に意図的にはみ出させている。そのため第2パッド形成のためのスキージ時のメタライズの量をコントロールすることによって、前記はみ出た部分の上面の平坦度の低下を抑制することができる。つまり、製造ばらつきによって第2パッドの一部が第1パッドの上面から予期せずにはみ出た電極パッドに比べて、第2パッドの上面全体における平坦度を向上させることができる。これによって、圧電素子を電極パッドに確実に超音波接合することができる。
さらに上記発明によれば、2つの電極パッドの一方のみにおいて第2パッドの一部が第1パッドの上面から前記隙間に面する方向にはみ出しているため、2つの電極パッドの両方において第2パッドの一部が隙間に面する方向にはみ出している構成(特許文献1参照)に比べて、一対の電極パッドの間の距離を多く確保することができる。これにより、第2パッドが一対の電極パッドの配列方向にずれた場合の一対の電極パッド間のショート(絶縁不良)の発生を防止することができる。これは特に水晶振動子が小型になるほど効果的である。
また、上記目的を達成するために請求項2に係る発明は、前記容器形成工程において、前記2つの電極パッドのうち一方の電極パッドにおける第1パッドの平面視の面積が、他方の電極パッドにおける第1パッドの平面視の面積よりも大きく、前記他方の電極パッドのみにおいて第2パッドの一部が平面視で第1パッドの上面から前記隙間に面する方向にはみ出して形成されることを特徴とする。
上記発明によれば、平面視の面積が異なる2つの電極パッドを有する容器においても圧電素子を電極パッドに安定して超音波接合することができる。電極パッドをメタライズ処理およびめっき法を用いて厚肉に形成する場合、その表面が蒲鉾状やドーム状等のように上凸状の曲面が生じ易くなる。これは電極パッドをモリブデンメタライズ層の上面に金等の金属膜を電解めっき等で積層して厚膜にする場合に、電極パッドの側面はその下部から上部に近づくにつれて該電極パッドの中央に向かって曲率を帯び易くなることによる。つまり、電極パッドの表面に上凸状の曲面が形成され易くなる。特に電極パッドの上面の周縁付近は曲面が形成され易い傾向がある。そのため電極パッドの平面視形状が略矩形の場合は、前記曲面の形成が該矩形の長手方向と短手方向とで均一になり難いため略蒲鉾状になり易くなる。一方、電極パッドの平面視形状が略正方形の場合は、略ドーム状(上凸状の半球)になり易くなる。
以上のように電極パッドの平面視形状によって、形成される電極パッドの立体的形状は異なってくる。また、2つの電極パッドの平面視形状が同一であっても平面視の面積が異なっている場合は、形成される電極パッドの上面の平坦な領域の面積が異なってくる。このように2つの電極パッド間で平面視における形状や面積が異なる場合であっても、上記発明であれば圧電素子を電極パッドに安定して超音波接合することができる。これは平面視の面積が相対的に小さい電極パッド(前記他方の電極パッド)のみにおいて、第2パッドの一部が平面視で第1パッドの上面から2つの電極パッドの隙間に面する方向にはみ出して形成されているためである。このことについて次に説明する。
平面視の大きさが異なる2つの電極パッドを比較すると、小さい電極パッドの方が大きい電極パッドに比べて厚肉でかつ、その上面(頂部)に平坦な領域が少ない“尖った”ような状態で形成される傾向がある。上記発明では平面視の面積が相対的に小さい電極パッドのみにおいて、第2パッドの一部が平面視で第1パッドの上面から2つの電極パッドの隙間に面する方向にはみ出して形成されているため、第2パッドが第1パッドに対して2つの電極パッドの配列方向にずれて積層された場合であっても、前記小さい電極パッドの平坦な領域の減少を抑制することができる。また同時に前記小さい電極パッドの相対的な厚肉化を抑制することができる。これにより超音波接合に必要な平坦な領域を確保することができるとともに、2つの電極パッド間の高低差を減少させることができるため、圧電素子を電極パッドに安定して超音波接合することができる。
また、第2パッドの平面視の領域のうち、第1パッドの上面における領域の面積を2つの電極パッド間で略同一に近づけることによって、2つの電極パッド間の高低差を低減して超音波接合後の圧電素子の傾きを抑制することができる。
以上のように本発明によれば、小型化・薄肉化に対応するとともに、導電性バンプを介して圧電素子を確実に超音波接合することができる容器を用いた圧電デバイスの製造方法を提供することができる。
以下、本発明の第1の実施形態を圧電デバイスとして水晶振動子を例に挙げ、図面を参照しながら説明する。
−第1の実施形態−
本発明の第1の実施形態を図1乃至8に基づいて説明する。本実施形態における水晶振動子は略直方体状のパッケージ構造からなる表面実装型の音叉型水晶振動子である。本実施形態では前記水晶振動子の平面視における外形寸法は縦1.6mm、横1.0mmとなっている。
図1に示すように本実施形態における水晶振動子は、凹部を有する絶縁性材料を基材とする容器1と、音叉形状の水晶素子2と、前記凹部を封止する平板状の蓋(図示省略)が主な構成部材となっている。なお図1乃至2では説明の便宜上、前記蓋を取り除いた状態で表している。また図1では視認性の点から水晶素子の基部に設けられた貫通孔や各種電極の記載を省略している。
水晶素子2は容器1の凹部5の内部に収容された後、蓋が凹部5を覆うように容器1の開口部に接合されることによって気密に封止される。容器1と蓋とは封止材(図示省略)を介して接合される。例えば封止材として金錫(AuSn)等の合金を加熱雰囲気下で溶融させて蓋と容器とを接合する融着法や、ガラス樹脂を封止材として加熱雰囲気下で溶融させて蓋と容器とを接合する方法等が用いられる。
容器1はアルミナ等のセラミックを基材とした絶縁性材料から成る箱状体であり、2枚のセラミックグリーンシート1a,1bを積層して一体焼成することによって成形されている(図2参照)。容器1は平面視枠状の堤部6の内側に平面視矩形状の凹部5を有している。そして凹部5の内底面101の一短辺側には、水晶素子と導電接合される2つの電極パッド3a,3bが互いに隙間4を空けた状態で整列して配されている。
電極パッド3a,3bは平面視略矩形となっており、当該矩形の長手方向(図1において符号「X」で示す方向)が平面視矩形状の凹部5の短辺に略平行となるように配置されている。電極パッド3aは電極パッド3bに比べて、その平面視の面積が相対的に大きくなっている。これは後述する音叉形状の水晶素子と対応させたものとなっている。なお、2つの電極パッドはその平面視の面積が同一であってもよい。
電極パッド3a,3bは、モリブデンメタライズ層の上面にニッケルめっき層が形成され、さらにその上層に金めっき層が積層された構成となっている。これらのめっき層は電解めっき法に形成されている。本実施形態では電極パッド3a,3bの厚みは、セラミックグリーンシートの積層数が3以上の容器において形成される電極パッドの厚みよりも厚肉に形成されている。これは本実施形態では水晶振動子の薄型化を図るために、容器1を2層構成としたため内底面101に段部が形成されずに平坦面となっているためである。つまり、本実施形態における容器では前記段部が存在しないため、水晶素子2が内底面101に搭載された状態で水晶素子の下面(内底面101に対向する面)と内底面101との間に或る程度の隙間を確保するために電極パッドを厚肉に形成している。
前述したように電極パッド3a,3bは通常よりも厚肉に形成されており、モリブデンメタライズは印刷技術を用いて行われるため、電極パッドの側面は微視的には垂直な壁状になり難く、側面の下部から上部に近づくにつれて電極パッドの中央に向かって曲率を帯び易くなる。つまり、電極パッドの表面に上凸状の曲面が形成され易くなる。特に電極パッドの上面の周縁付近は曲面が形成され易い傾向がある。そのため図1のような平面視矩形状の電極パッドでは、曲面の形成が長手方向と短手方向とで均一になり難く、略蒲鉾状となっている。
本実施形態では電極パッド3a,3bのモリブデン部分はメタライズの最小単位厚みの点から2段に重ね塗りされており、モリブデン部分の表面に形成される2つのめっき層を含めた全体での厚みは0.02mm(0.005〜0.035mm)となっている。なお、モリブデンの代わりにタングステンを用いてもよい。
電極パッド3aのモリブデン部分は、内底面101上の第1パッド3a1と、第1パッド3a1の上に積層される第2パッド3a2との2層で構成されている。ここで第2パッド3a2は第1パッド3a1よりも平面視の面積が小さくなっている。そして第2パッド3a2と第1パッド3a1とは、互いの隙間4に面する側の縁部(内側の縁)が平面視で略一致するように形成されている。
電極パッド3bのモリブデン部分は、内底面101上の第1パッド3b1と、第1パッド3b1の上に積層される第2パッド3b2との2層で構成されている。ここで第2パッド3b2は、当該第2パッドの一部が平面視で第1パッド3b1の上面から隙間4に面する方向にはみ出して形成されている。つまり、電極パッド3bのみにおいて、第2パッドの一部が平面視で第1パッドの上面から隙間4に面する方向にはみ出して形成されている。
図2に示すように第1パッド3a1の隙間4に面する側の内側面から延出した仮想線Eaと、第1パッド3b1の隙間4に面する側の内側面から延出した仮想線Ebとの間の間隔Sは0.1mmとなっている。つまり、2つの第1パッド3a1,3b1の間の水平方向における距離が0.1mmとなっている。
電極パッド3a,3bのうち電極パッド3aは、図示しない内部配線および容器1の第1層目のシート(1a)の角部に設けられた側面導体(キャスタレーション)を経由して容器の外底面102の4つの外部接続端子7のうちの1つと電気的に接続されている。そして電極パッド3bは、前記第1層目シートの前記角部に対して対角の位置にある角部に設けられた側面導体を経由して4つの外部接続端子7のうちの他の1つの外部接続端子と電気的に接続されている。
図1において、堤部6の上面100には図示しない封止材が平面視で周状に形成されている。この封止材は蓋の容器との接合面の周縁部と対応している。
前述した蓋はコバールを基体とする平面視矩形状の金属性の平板であり、当該蓋の表裏面にはニッケルめっき層、金めっき層の順でめっき層が積層されている(図示省略)。そして蓋の容器との接合面の周縁部には、前記金めっき層の上に金錫合金(AuSn)が周状に形成されている。
次に水晶素子2について図3乃至4を参照しながら説明する。なお説明の便宜上、水晶素子の互いに対向する2つの主面のうち、容器に搭載される際に電極パッドに対面する側の主面を裏面と呼び、当該主面の反対側の主面を表面と呼ぶこととする。つまり、図3は水晶素子2の表面から見た模式図を、図4は水晶素子2の裏面から見た模式図をそれぞれ表している。
本実施形態において水晶素子2は、音叉型の水晶振動片に各種電極が付加された圧電素子となっている。水晶素子2は図3に示すように、基部20と、基部20の一端側201から同一方向に伸長する一対の振動腕29,30と、基部の他端側202から基部の幅方向に突出する突出部21とから成っている。一対の振動腕29,30の先端側(基部の一端側201から遠ざかる側)は、一対の振動腕の幅(振動腕の伸長方向と直交する方向)よりも幅広の部位である幅広部22,22が設けられている。この音叉型水晶素子2は1枚のZ板の人工水晶ウエハから多数個が一括同時に成形される。なお、音叉型水晶素子の外形はフォトリソグラフィ技術とウェットエッチングを用いることによって成形されている。本実施形態において水晶振動片は、振動腕の伸長方向に水晶の結晶軸のY軸が、振動腕の幅方向にX軸が、振動腕の厚み方向にZ軸がそれぞれ設定されている。
一対の振動腕29,30の先端部291,301は、振動腕29,30の他の部位に比べて幅広(突出方向に対して直交する方向に幅広)に形成されており、さらにそれぞれの先端隅部は面取り状(C面状)に加工されている。また、一対の振動腕29,30の各々の表裏主面には等価直列抵抗値(Crystal Impedance。以下、CI値と略)を低下させるために溝Gが形成されている。
基部20は他端側202が一端側201よりも平面視における幅(図5乃至6において符号Xで示す水晶の結晶軸方向における基部の寸法)が狭い縮幅部203を有している。基部20の縮幅部203の一側面からは、基部の幅方向に突出した突出部21が形成されている。この突出部21と水晶素子2の基部20とによって平面視では直角に折れ曲がったアルファベットの「L」字状の部位が形成されている。
水晶素子2には異電位で構成された第1の励振電極25および第2の励振電極26と、第1および第2の励振電極25,26からそれぞれ引き出された引出電極27,28とが形成されている。
また第1および第2の励振電極25,26の一部は、一対の振動腕29,30の溝Gの内部に及んで形成されている。これにより、水晶素子2を小型化しても一対の振動腕29,30の振動漏れが抑制され、良好なCI値を得ることができる。
第1の励振電極25は、一方の振動腕29の表裏主面と他方の振動腕30の内外側面および先端部301の表裏主面とに形成されている。同様に第2の励振電極26は、他方の振動腕30の表裏主面と一方の振動腕29の内外側面および先端部291の表裏主面とに形成されている。
また、引出電極27,28は、基部20および突出部21にも形成されている。基部20に形成された引出電極27により、一方の振動腕29の表裏主面に形成された第1の励振電極25が、他方の振動腕30の内外側面および先端部301の表裏主面に形成された第1の励振電極25に接続されている。同様に基部20に形成された引出電極28により、他方の振動腕30の表裏主面に形成された第2の励振電極26が、一方の振動腕29の内外側面および先端部291の表裏主面に形成された第2の励振電極26に接続されている。
基部20には水晶素子の両主面を貫通する2つの貫通孔TH,THが穿孔されている。これらの貫通孔の内壁面には導電性材料が被着されており、当該貫通孔を介して引出電極27,28が基部20の表裏主面間に引き回されている。
引出電極27,28は、基部20の他端側202および突出部21の先端側の各表裏面まで引き出されている。そして水晶素子の裏面側の基部20の他端側202の領域と、突出部21の先端側の各領域は接続電極271,281となっている。
前述した第1および第2の励振電極25,26や引出電極27,28、接続電極271,281は、水晶基材上にクロム(Cr)層が成膜され、このクロム層の上に金(Au)層が形成された膜構成となっている。これらの電極は、真空蒸着法やスパッタリング等の成膜手段によって前記層構成の金属膜が水晶ウエハの主面全体に形成された後、フォトリソグラフィ技術とメタルエッチングによって所望のパターンに一括同時に形成されている。なお前記各種電極の層構成は、クロム層の上に金層が形成された膜構成に限らず、他の膜構成であってもよい。
第1および第2の振動腕29,30の先端部291,301の幅広の部位22,22の両主面には、引出電極27,28がそれぞれ形成されている。これらの引出電極の上面には周波数調整用の金属膜W(周波数調整用錘)が形成されている。この金属膜Wの質量をレーザービーム等のビーム照射やイオンエッチングによって削減することによって、音叉型水晶素子14の周波数が微調整される。なお前記金属膜Wは前記幅広の部位に形成された引出電極よりも平面視の面積が一回り小さく形成されている。
図4に示すように、2つの接続電極271,281の各々の上面には導電性のバンプ23,24(本実施形態では、めっきバンプ)が形成されている。2つのバンプ23,24は平面視で略楕円形状であり、これらのバンプは略同一の厚み(高さ)となっている。そして略楕円状のバンプ23,24の各長軸は略同一直線上に位置するように、接続電極271,281の上に配されている。
バンプ23における長軸は、基部20の幅方向の中央(一対の振動腕の間の中央)を通り振動腕の伸長方向に伸びる仮想直線CLに対して略直交する位置関係となっている。バンプ23はこの仮想直線CLに近接する位置に形成されている。なお、基部へのバンプの形成位置は本実施形態に限定されるものではない。また基部に突出部が形成されていない形態の音叉型水晶素子であっても本発明は適用可能である。さらに本実施形態では基部20と突出部21とによって平面視でアルファベットの「L」字状となる部位が設けられているが、水晶素子の形状は当該形状に限定されるものではない。例えば基部の他端側から基部の幅方向外側に各々突出した後、振動腕の伸長方向に向きを変えて互いに平行に伸びる左右対称の一対の支持腕が設けられていてもよい。前記一対の支持腕を有する音叉型水晶素子においては、例えば各支持腕の先端領域に各々バンプを設け、容器側の電極パッドをこれらのバンプと対応する位置に形成して当該電極パッドと前記バンプとを導電接合するようにしてもよい。
一方、バンプ24は突出部21の先端部付近の領域に形成されている。2つのバンプ23,24は、いずれも容器の電極パッド3a,3bとの接合に寄与する部材であるが、バンプ23は主たる接合に寄与する部材であるのに対し、バンプ24は副次的な接合に寄与する部材となっている。
本実施形態では水晶素子と電極パッドとの導電接合は、FCB法(Flip Chip Bonding)を用いて行われる。具体的には水晶素子のバンプ23,24が形成された面と反対側の主面(表面)を、超音波を印加するためのホーンによって吸着保持する。このホーンには水晶素子を吸着保持するための吸引孔が設けられている。保持された水晶素子は電極パッドの上面に対して画像認識手段を用いて位置決め載置される。そして温度と圧力を加えながらホーンから超音波を印加する。これによりバンプと電極パッドとが超音波接合される。
本発明の実施形態に係る容器によれば、平面視の面積が異なる2つの電極パッドを有する構成であっても水晶素子を電極パッドに安定して超音波接合することができる。これは平面視の面積が相対的に小さい電極パッドである電極パッド3bのみにおいて、第2パッド3b2の一部が平面視で第1パッド3b1の上面から2つの電極パッドの隙間4に面する方向にはみ出して形成されているためである。
平面視の大きさが異なる2つの電極パッドを比較すると、小さい電極パッドの方が大きい電極パッドに比べて厚肉でかつ、その上面(頂部)に平坦な領域が少ない“尖った”ような状態で形成される傾向がある。これに対して本発明では平面視の面積が相対的に小さい電極パッド3bのみにおいて、第2パッド3b2の一部が平面視で第1パッド3b1の上面から2つの電極パッドの隙間4に面する方向にはみ出して形成されているため、第2パッド3b2が第1パッド3b1に対して2つの電極パッドの配列方向(図1において符号「X」で示す方向)にずれて積層された場合であっても、電極パッド3bの平坦な領域の減少を抑制することができる。これにより超音波接合に必要な平坦な領域を確保することができるため、水晶素子を電極パッドに安定して超音波接合することができる。なお平面視の面積が相対的に大きい電極パッド3aについては、第2パッド3a2が第1パッド3a1に対して2つの電極パッドの配列方向にずれて積層された場合であっても、電極パッド3bよりも大きな面積となっているためその影響度は相対的に小さくて済む。
前述した2つの電極パッドの配列方向における「ずれ」について、図5乃至8を用いて説明する。図5は2つの電極パッドの第2パッド(3a2,3b2)が、図1に示す正常な状態に対して図中の右向き矢印の方向にずれた状態を表した図となっている。なお、図6は図5のB−B線における断面模式図を拡大したものとなっている。図5乃至6によると電極パッド3aの第2パッド3a2は、図中の右向き矢印の方向へのずれによって第1パッド3a1の上面の領域から隙間4の領域にはみ出した状態となっている。ここで図6における符号「α」は電極パッドの形成過程で生じ得る最大のずれ量を指している。また、第1パッド3a1,3b1の間の水平方向における距離Sは前記ずれが生じた場合であっても不変となっている。
一方、電極パッド3bの第2パッド3b2は、前記方向へのずれによって第1パッド3b1の上面の領域内に収まっている。この場合、図1の正常な状態と比較すると、電極パッド3b2の上面の領域のうち平坦な領域の面積(図1および図5において「L1」で示す長さの範囲の一部)は、図1の正常における前記面積から減少することなく維持されている。これにより、2つの電極パッドのうち平面視の面積が相対的に小さい電極パッド3bにおいて、接合に寄与する有効面積の減少を防止することができる。
一方、図7は2つの電極パッドの第2パッド(3a2,3b2)が、図1に示す正常な状態に対して図中の左向き矢印の方向にずれた状態を表した図となっている。なお、図8は図7のC−C線における断面模式図を拡大したものとなっている。また、第1パッド3a1,3b1の間の水平方向における距離Sは前記ずれが生じた場合であっても不変となっている。これによると電極パッド3aの第2パッド3a2は、図中の左向き矢印の方向に最大でαのずれ量だけずれた後の状態においても第1パッド3a1の上面の領域内に収まっている。
一方、電極パッド3bの第2パッド3b2は、前記方向へのずれによって隙間4の領域へのはみ出し量が増大している(2α)。この場合、図1の正常な状態と比較すると電極パッド3b2の上面の平坦な領域(図7において「L2」で示す長さの範囲の一部)はその面積が減少することになる。
しかしこのような場合であっても、第2パッド3b2の上面の平坦な領域の減少を抑制することができるととともに、電極パッド3bが厚肉化するのを抑制することができる。これは前述したように電極パッドの厚みと当該パッド上面の平坦領域の面積への影響が相対的に大きい「小さい電極パッド」である電極パッド3bについて、予め第2パッド3b2の一部を隙間4に面する方向にはみ出させるとともに、この状態において第1パッド3b1の上面の領域内における必要最小限の面積を確保しておくことによって前記効果を得ることができるからである。つまり前記構成にしておくことによって、2つの電極パッドの各々の第2パッドが隙間4に及ぶようにはみ出していない構成の電極パッドに比べて、図中の左向き矢印の方向にずれた場合における第2パッド3b2の上面の平坦な領域の減少を抑制することができる。
以上のように本発明によれば、第2パッドの電極パッドの配列方向への積層ずれによる第2パッド上面の平坦な領域の減少を抑制することができる。
また、電極パッド3bにおいてのみ、第2パッド3b2の一部が平面視で第1パッド3b1の上面から隙間4に面する方向にはみ出しているため、第2パッドの積層ずれによる2つの電極パッド間の隙間の減少を抑制することができる。これにより2つの電極パッド間のショートを防止することができる。
本発明の実施形態において水晶素子は音叉形状であったが、平面視矩形状であってもよい。また水晶素子に用いられる水晶振動板はATカット水晶片であってもよい。
本発明の実施形態ではバンプの平面視形状は楕円形としたが、円形等の他の形状であっても本発明は適用可能である。また、バンプはめっきバンプに限らず、スタッドバンプであってもよい、そしてこれらのバンプは予め圧電素子側に形成しておくだけなく、予め電極パッド側に形成しておいてもよい。
本発明の実施形態では表面実装型の水晶振動子を例に挙げているが、水晶振動子以外に水晶フィルタや水晶発振器など他の圧電デバイスへも適用可能である。
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。