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JP6493872B2 - 中空糸炭素膜の製造方法、分離膜モジュール、並びに膜分離器 - Google Patents
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JP6493872B2 - 中空糸炭素膜の製造方法、分離膜モジュール、並びに膜分離器 - Google Patents

中空糸炭素膜の製造方法、分離膜モジュール、並びに膜分離器 Download PDF

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Description

本発明は、中空糸炭素膜の製造方法、分離膜モジュール、並びに膜分離器に関し、より詳しくは有機ハイドライドを分解して得られ、水素分子および脱水素化物を含んでなる脱水素反応物から水素分子を分離するための中空糸炭素膜の製造方法、中空糸炭素膜を備える分離膜モジュール、並びに前記分離膜モジュールを備える膜分離器に関する。
炭素膜は、種々の無機膜の中でも優れた気体分離性能を示し、なおかつ有機膜が適用できない耐熱性・耐薬品性が要求される環境でも使用できることからその実用化が期待されている。また、中空糸膜は耐圧性に優れ、かつ単位容積あたりに占める膜面積が大きいため、平膜やスパイラル膜に比べてコンパクトな分離膜モジュールとすることができる特長を有する。
中空糸炭素膜については、膜の脆さ、シールの困難性、コスト等の課題が報告されており、これらの課題を解決するために、安価なポリフェニレンオキシド誘導体を前駆体として利用した中空糸炭素膜(特許文献1参照)やスルホン化されたポリフェニレンオキシド誘導体を前駆体として利用した柔軟性のある中空糸炭素膜(特許文献2参照)等が提案されている。
特開2006−231095号公報 特開2009−034614号公報
燃料電池分野等に利用される水素ガスは、特に高い純度が必要とされており、このような水素ガスを効率良く生産するためには、精製に利用される分離膜の透過性や選択性を精密に制御できる技術が必要である。特に有機ハイドライド(例えばメチルシクロヘキサン)から水素分子を生成する場合、得られる脱水素反応物には水素分子の他に炭化水素等の脱水素化物(例えばトルエン)が含まれており、脱水素反応物から水素分子を効率良く分離することができる水素精製技術が必要である。
即ち、本発明は、有機ハイドライドの脱水素反応物から水素分子を効率良く分離することができる中空糸炭素膜の製造方法、並びにこのような中空糸炭素膜を備えた分離膜モジュールおよび分離膜モジュールを備えた膜分離器を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、中空糸炭素膜の前駆体を炭化する際に、特定の炭化水素ガスの存在下で加熱することにより、得られる中空糸炭素膜が、有機ハイドライドの脱水素反応物から水素分子を分離する分離膜に非常に適したものとなり、特に長時間の使用による経時的な水素透過性の低下を抑制することができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下の通りである。
<1> 有機高分子化合物を中空糸状に成形した前駆体を準備する準備工程、酸素ガスを
含む雰囲気下で前記前駆体を150℃〜400℃に加熱する予備加熱工程、および前記予備加熱工程を経た前駆体を450℃〜850℃に加熱して炭化する炭化工程を含む中空糸
炭素膜の製造方法であって、
前記炭化工程が、窒素原子を含んでいてもよい炭素数1〜8の炭化水素ガスの存在下で加熱することを含み、
前記中空糸炭素膜が、有機ハイドライドを分解して得られ、水素分子および脱水素化物を含んでなる脱水素反応物から前記水素分子を分離するためのものである、中空糸炭素膜の製造方法。
<2> 前記炭化水素ガスは、窒素原子を含む炭化水素である、<1>に記載の中空糸炭
素膜の製造方法。
<3> 前記炭化水素ガスが、炭素−炭素不飽和結合を有する炭化水素である、<1>ま
たは<2>に記載の中空糸炭素膜の製造方法。
<4> 前記有機高分子化合物が、ポリフェニレンオキシド、並びに下記式(a)および
(b)で表される構造を有するポリフェニレンオキシド誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含むものである、<1>〜<3>の何れかに記載の中空糸炭素膜の製造方法。
(式(b)中、Rはそれぞれ独立して水素原子、−SOH、または−SONHを表す。但し、Rが共に水素原子であることはない。)
<5> 下記条件を満たす中空糸炭素膜を製造する方法である、<1>〜<4>の何れか
に記載の中空糸炭素膜の製造方法。
(条件)中空糸炭素膜を円柱に180°以上巻き付けた時に中空糸炭素膜が破断しない円柱の半径(曲げ半径)が5mm以下である。
<6> 有機ハイドライドを分解して得られ、水素分子および脱水素化物を含んでなる脱
水素反応物から前記水素分子を分離するための分離膜モジュールであって、
<1>〜<5>の何れかに記載の中空糸炭素膜の製造方法によって製造された中空糸炭素膜を備えることを特徴とする、分離膜モジュール。
<7> 有機ハイドライドを分解して得られ、水素分子および脱水素化物を含んでなる脱
水素反応物から前記水素分子を分離するための膜分離器であって、
<6>に記載の分離膜モジュールを備えることを特徴とする、膜分離器。
本発明に係る中空糸炭素膜の製造方法によれば、中空糸炭素膜の水素分子等の透過速度や選択性を簡易的に制御することができる。得られた中空糸炭素膜は、有機ハイドライドの脱水素反応物から水素分子を効率良く分離することができ、特に長時間の使用による経時的な水素透過性の低下を抑制することができる優れた特長を有する。
中空糸炭素膜の断面を撮影した走査型電子顕微鏡(SEM)の写真である(図面代用写真)。 中空糸状の前駆体を調製するために利用することができる二重管環状構造の中空糸紡糸ノズルを表した概念図である。 本発明における炭化工程に利用することができる装置の概念図である。 本発明における炭化工程の温度の経時変化の一例を表した図である。 本発明に係る製造方法によって製造された中空糸炭素膜を含んでなる分離膜モジュールの一例を示す概念図である。 本発明に係る製造方法によって製造された中空糸炭素膜を含んでなる分離膜モジュールを備えた膜分離器の例を示す概念図である。
本発明の詳細を説明するに当たり、具体例を挙げて説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り以下の内容に限定されるものではなく、適宜変更して実施することができる。
<中空糸炭素膜の製造方法>
本発明の一態様である中空糸炭素膜の製造方法(以下、「本発明の製造方法」と略す場合がある。)は、有機ハイドライドを分解して得られ、水素分子および脱水素化物を含んでなる脱水素反応物から水素分子を分離するための中空糸炭素膜を製造する方法である。そして、その中空糸炭素膜は、有機高分子化合物を中空糸状に成形した前駆体を準備する準備工程(以下、「準備工程」と略す場合がある。)、酸素ガスを含む雰囲気下で前駆体を150℃〜400℃に加熱する予備加熱工程(以下、「予備加熱工程」と略す場合がある。)、および予備加熱工程を経た前駆体を450℃〜850℃に加熱して炭化する炭化工程(以下、「炭化工程」と略す場合がある。)を含み、さらに炭化工程が、窒素原子を含んでいてもよい炭素数1〜8の炭化水素ガスの存在下で加熱することを含むことを特徴とする。
本発明者らは、中空糸炭素膜について検討を重ねた結果、中空糸炭素膜の前駆体を炭化する際に、特定の炭化水素ガスの存在下で加熱することにより、表面に新たな炭化物層を形成して、得られる中空糸炭素膜の水素分子等の透過性や選択性を簡易的に制御することができることを見出したのである。得られた中空糸炭素膜は、有機ハイドライドの脱水素反応物から水素分子を分離する分離膜に非常に適しており、特に長時間の使用による経時的な水素透過性の低下を抑制することができる優れた特長を有する。
なお、「有機ハイドライド」とは、不飽和結合を有する有機化合物の水素化物を意味し、脱水素化触媒等を用いて、水素分子と脱水素化物(不飽和結合を有する有機化合物)とを含む脱水素化反応物に変換することができる化合物である。
また、「中空糸炭素膜」とは、中空糸膜(ストロー状)の形状を有した炭素(単体)材料を意味するものとし(図1参照)、主に炭素から構成されるものであれば、不純物の含有、結晶構造等の詳細は特に限定されないものとする。
本発明の製造方法は、有機ハイドライドを分解して得られ、水素分子および脱水素化物を含んでなる脱水素反応物から水素分子を分離するための中空糸炭素膜の製造する方法であるが、対象とする有機ハイドライドは、特に限定されず、公知の有機ハイドライドを適宜選択することができる。
前述のように有機ハイドライドは、不飽和結合を有する有機化合物の水素化物であるが、不飽和結合を有する有機化合物は、二重結合または三重結合を分子内に1つ以上有する有機化合物であり、二重結合としては、炭素−炭素二重結合(C=C)、炭素−窒素二重結合(C=N)、炭素−酸素二重結合(C=O)、窒素−酸素二重結合(N=O)が、三重結合としては、炭素−炭素三重結合、炭素−窒素三重結合が挙げられる。なお、二酸化炭素や一酸化炭素は不飽和結合を有しているが一般に有機化合物とは見なされないため、本発明において不飽和結合を有する有機化合物には含まれないものとする。
不飽和結合を有する有機化合物としては、オレフィン類、ジエン類、アセチレン類、ベンゼン、炭素鎖置換芳香族類、へテロ置換芳香族類、多環芳香族類、シフ塩基類、ヘテロ芳香族類、ヘテロ5員環化合物類、キノン類、ケトン類等が挙げられる。
オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン等が挙げられる。ジエン類としては、アレン、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、へブタジエン、オクタジエン、ピペリレン、イソプレンなどが挙げられる。アセチレン類としては、アセチレン、プロピン、ビニルアセチレン等が挙げられる。
炭素鎖置換芳香族類としては、アルキル置換芳香族類等が挙げられる。
アルキル置換芳香族類としては、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、クメン、安息香酸等が挙げられる。
へテロ置換芳香族類としては、アニソール、ジメトキシベンゼン、フェノール、アニリン、N,N−ジメチルアニリン等が挙げられる。
多環芳香族類としては、ナフタレン、メチルナフタレン、アントラセン、テトラセン、フェナントレン、テトラリン、アズレン等が挙げられる。
シフ塩基類としては、2−アザ−ヘプト−1−エン−1−イル−シクロヘキサン等が挙げられる。
ヘテロ芳香族類としては、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン等が挙げられる。
ヘテロ5員環化合物類としては、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール等が挙げられる。
キノン類としては、ベンゾキノン、ナフトキノン等が挙げられる。
ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
不飽和結合を有する有機化合物としては、貯蔵性および輸送性の観点から、常温常圧下で液体状の有機化合物であることが好ましく、具体的にはベンゼン、トルエン、ナフタレン、ビフェニル、テトラリン等がより好ましい。
即ち、本発明の製造方法によって製造される中空糸炭素膜の分離対象の組合せとしては、水素分子(H)とベンゼン(C)、水素分子(H)とトルエン(CCH)、水素分子(H)とナフタレン(C10)、水素分子(H)とビフェニル(C1210)、水素分子(H)とテトラリン(C1012)がより好ましい。
本発明の製造方法によって製造される中空糸炭素膜は、準備工程、予備加熱工程、および炭化工程を含む方法によって製造された中空糸炭素膜であるが、中空糸炭素膜の寸法や物性等は、特に限定されない。以下、具体例を挙げて説明する。
中空糸炭素膜の外径は、通常0.08mm以上、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.15mm以上であり、通常0.5mm以下、好ましくは0.35mm以下、より好ましくは0.25mm以下である。中空糸炭素膜の内径は、通常0.06mm以上、好ましくは0.08mm以上、より好ましくは0.13mm以上であり、通常0.48mm以下、好ましくは0.33mm以下、より好ましくは0.23mm以下である。
中空糸炭素膜は、下記条件を満たすものであることが好ましい。
(条件)中空糸炭素膜を円柱に180°以上巻き付けた時に中空糸炭素膜が破断しない円柱の半径(曲げ半径)が5mm以下である。
中空糸炭素膜の曲げ半径は、好ましくは10mm以下、より好ましくは7mm以下、さらに好ましくは5mm以下であり、通常2mm以上である。
上記範囲内であると、中空糸炭素膜を容器内にコンパクトに充填した分離膜モジュールの作製において中空糸炭素膜の破損を低減することができる。
中空糸炭素膜の水素分子の透過速度、水素分子と脱水素化物の理想分離係数等は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。以下、具体例を挙げて説明する。
中空糸炭素膜の水素分子の透過速度は、通常30×10−6cm(STP)/(cm・sec・cmHg)以上、好ましくは40×10−6cm(STP)/(cm・sec・cmHg)以上である。
中空糸炭素膜による水素分子等の分離メカニズムは「分子ふるい」、即ち分子径の違いを利用したものであり、分子径の大きい気体ほど中空糸炭素膜を透過しにくいことになる。気体の分子径として、H:0.29nm、CH:0.38nm、トルエン:0.55nmであるため、H/CHの分離性能が高い中空糸炭素膜は、必然的にH/トルエンの分離性能も高いことになり、H/CHの分離係数がH/トルエンの分離性能の評価指標になるのである。
中空糸炭素膜の水素分子とメタンの理想分離係数は、通常700以上、好ましくは1000以上、より好ましくは1200以上である。上記範囲内であると、有機ハイドライドの脱水素反応物から水素分子を分離するための分離膜として非常に適したものになる。なお、燃料電池自動車向け高純度水素中の不純物濃度は、ISO規格で全炭化水素(C1換算)が2ppm以下と規定されている。H/CH分離係数700未満では当該規定を満たす高純度水素を得ることは困難である。
以下、「準備工程」、「予備加熱工程」、「炭化工程」について詳細に説明する。
(準備工程)
準備工程は、有機高分子化合物を中空糸状に成形した前駆体を準備する工程であるが、前駆体の準備方法、有機高分子化合物の種類、前駆体の寸法、前駆体の調製方法等は、特に限定されず、公知の内容を適宜選択することができる。以下、具体例を挙げて説明する。
前駆体の準備方法としては、自ら前駆体を調製する方法、前駆体を入手する方法が挙げられる。なお、前駆体を調製する方法については、後述するものとする。
有機高分子化合物は、炭素骨格を有する高分子化合物であれば、ポリフェニレンオキシド、ポリイミド等の合成高分子化合物であっても、セルロース等の天然高分子化合物であってもよいが、合成高分子化合物であることが好ましい。
合成高分子化合物としては、ポリフェニレンオキシド、下記式(a)及び(b)で表される構造を有するポリフェニレンオキシド誘導体(以下「ポリフェニレンオキシド誘導体」と略す場合がある。)等が挙げられる。
(式(b)中、Rはそれぞれ独立して水素原子、−SOH、又は−SONHを表す。但し、Rが共に水素原子であることはない。)
この中でも式(a)及び(b)で表される構造を有するポリフェニレンオキシド誘導体が特に好ましい。有機高分子化合物としてポリフェニレンオキシド誘導体を使用すると、曲げ強度に優れた柔軟な中空糸炭素膜を製造することができる。
ポリフェニレンオキシド誘導体における式(b)で表される構造の比率(式((b)の物質量数/(式(a)の物質量数+式(b)の物質量数)×100)は、通常15%以上、好ましくは18%以上、より好ましくは20%以上であり、通常60%以下、好ましくは40%以下、より好ましくは35%以下である。
なお、有機高分子化合物の分子量は、その種類に応じて適宜選択されるべきであるが、ポリフェニレンオキシドやポリフェニレンオキシド誘導体の場合、重量平均分子量(M)は、通常5,000以上、好ましくは10,000以上、より好ましくは20,000以上であり、通常1,000,000以下、好ましくは900,000以下、より好ましくは800,000以下である。
前駆体は、中空糸状に成形されたものであるが、中空糸の外径は、通常0.2mm以上、好ましくは0.22mm以上、より好ましくは0.25mm以上であり、通常0.5mm以下、好ましくは0.4mm以下、より好ましくは0.35mm以下である。中空糸の内径は、通常0.18mm以上、好ましくは0.2mm以上、より好ましくは0.23mm以上であり、通常0.48mm以下、好ましくは0.38mm以下、より好ましくは0.33mm以下である。
前駆体を調製する方法としては、図2に示すような二重管環状構造の中空糸紡糸ノズルを使用する方法が挙げられる。具体的には、溶解又は融解した有機高分子化合物を二重管の外管から、また有機高分子化合物を溶解しない溶媒を芯液として二重管の内管から同時に押出す方法である。
有機高分子化合物を溶解するために使用する溶媒は、有機高分子化合物の種類に応じて適宜選択されるべきであるが、ポリフェニレンオキシド誘導体の場合、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
凝固浴や芯液に使用する溶媒は、有機高分子化合物を溶解しない溶媒であれば特に限定されないが、ポリフェニレンオキシド誘導体の場合、水、アンモニウム塩水溶液が挙げられる。なお、アンモニウム塩水溶液のアンモニウム塩としては、硝酸アンモニウム、塩酸アンモニウム、硫酸アンモニウムが挙げられる。なお、芯液および凝固浴の温度は、−20℃〜60℃であり、好ましくは0℃〜30℃である。
(予備加熱工程)
予備加熱工程は、前駆体を酸素ガスを含む雰囲気下で150℃〜400℃に加熱する工程であるが、酸素ガスの濃度、加熱装置、加熱温度、加熱時間等は、特に限定されず、公知の内容を適宜選択することができる。以下、具体例を挙げて説明する。
酸素ガスを含む雰囲気としては、空気が挙げられ、酸素ガスの濃度としては、通常1体積%以上、好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上であり、通常100体積%以下、好ましくは50体積%以下、より好ましくは30体積%以下である。
加熱装置は、400℃程度まで加熱することができる装置であればよく、また酸素ガスを含む雰囲気でよいため、装置内が密閉された雰囲気である必要もない。加熱装置としては、マッフル炉が挙げられる。
加熱温度は、150℃〜400℃であるが、好ましくは250℃以上、より好ましく280℃以上であり、好ましくは350℃以下、より好ましくは320℃以下である。
加熱時間は、通常10分以上、好ましくは30分以上、より好ましく1時間以上であり、通常4時間以下、好ましくは3時間以下、より好ましくは2時間以下である。
上記範囲内であると、前駆体の融解等を抑制し、良質な中空糸炭素膜を製造し易くなる。
(炭化工程)
炭化工程は、予備加熱工程を経た前駆体を450℃〜850℃に加熱して炭化する工程であるが、雰囲気ガス、加熱装置、加熱温度、加熱時間等は、特に限定されず、公知の内容を適宜選択することができる。以下、具体例を挙げて説明する。
炭化工程では、前駆体を「炭化」するために、通常、炭素を酸化してしまう物質が含まれない雰囲気で加熱する。具体的には不活性ガスの雰囲気下で加熱することが挙げられる。
不活性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等が挙げられる。
炭素を酸化してしまう物質が含まれない雰囲気で加熱するため、加熱装置としては、密閉可能な回分式反応器や不活性ガス等を連続的に供給・排出できる連続式反応器を外部から加熱する装置が挙げられる。特に図3に示すような連続式管型反応器を外部から加熱する装置が好ましい。
加熱温度は、450℃〜850℃であるが、好ましくは550℃以上、より好ましく600℃以上であり、好ましくは750℃以下、より好ましくは700℃以下である。
加熱時間は、通常5分以上、好ましくは10分以上、より好ましく20分以上、さらに好ましくは30分以上であり、通常4時間以下、好ましくは2時間以下、より好ましくは1時間以下である。
炭化工程は、窒素原子を含んでいてもよい炭素数1〜8の炭化水素ガス(以下、「炭化
水素ガス」と略す場合がある。)の存在下で加熱することを含むことを特徴とするが、「窒素原子を含んでいてもよい」とは、炭化水素ガスが第1級アミノ基(−NH)、シアノ基(−CN)のような窒素原子を含む官能基のほか、第2級アミノ基(−NH−)のような窒素原子を含む官能基を炭素骨格の内部に含んでいてもよいことを意味する。また、炭化水素ガスは、直鎖状の飽和炭化水素基に限られず、炭素−炭素不飽和結合、分岐構造、環状構造のそれぞれを有していてもよく、特に炭素−炭素不飽和結合を有する炭化水素であることが好ましい。炭素−炭素不飽和結合を有する炭化水素であると、中空糸炭素膜の気体分子の透過速度や選択性をより簡易的に制御し易くなる。
炭化水素ガスの炭素数は、好ましくは6以下、より好ましくは4以下、特に好ましくは3以下である。
炭化水素ガスとしては、メタン、エタン、エチレン、アセチレン、アセトニトリル、n−プロパン、i−プロパン、プロピレン、n−ブタン、i−ブタン、1−ブテン、1,3−ブタジエン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。これらの中でも、プロピレン、エチレンが特に好ましい。
炭化工程は、予備加熱工程を経た前駆体を450℃〜850℃に加熱して炭化する工程であり、さらに炭化水素ガスの存在下で加熱することを含むものであるが、具体的な態様としては、予備加熱工程を経た前駆体を不活性ガス及び炭化水素ガスを供給しながら450℃〜850℃に加熱して炭化する態様が挙げられる。なお、炭化工程を始める前の昇温時や炭化工程を終えた降温時も、通常不活性ガスの雰囲気下で行われるものであるが、昇温時や降温時においても不活性ガス及び炭化水素ガスを供給しながら行ってもよい。また、不活性ガス及び炭化水素ガスを常時同時に供給する必要はなく、例えば下記表1に示される供給方法1〜6のような態様が挙げられる。
これらの中でも、特に供給方法3、供給方法5が好ましい。
不活性ガス及び炭化水素ガスを同時に供給する場合の炭化水素ガスの濃度(炭化水素ガスの体積流量/不活性ガスの体積流量×100[体積%])は、通常1体積%以上、好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上であり、通常100体積%以下、好ましくは50体積%以下、より好ましくは20体積%以下である。
炭化工程における加熱温度は、図4に示されるように途中で変更してもよく、加熱温度
の組合せとしては、450℃〜650℃(炭化工程前半)を600℃〜750℃(炭化工程後半)に変更する態様、650℃〜750℃(炭化工程前半)を500℃〜650℃(炭化工程後半)に変更する態様等が挙げられる。
炭化水素ガスを供給している期間の加熱温度としては、好ましくは550℃以上、より好ましく650℃以上であり、好ましくは800℃以下、より好ましくは750℃以下である。
炭化水素ガスの供給時間としては、通常2分以上、好ましくは5分以上、より好ましくは10分以上であり、通常1時間以下、好ましくは30分以下、より好ましくは20分以下である。
本発明の製造方法は、前述の準備工程、予備加熱工程、及び炭化工程を含むものであれば、その他については特に限定されず、公知の工程を含むものであってもよいが、中空糸炭素膜の柔軟性を改善する観点から、炭化工程で得られた中空糸炭素膜を150℃〜300℃に加熱する後処理工程を含むのがより好ましい。
<分離膜モジュール>
前述のように本発明の製造方法は、有機ハイドライドを分解して得られ、水素分子および脱水素化物を含んでなる脱水素反応物から水素分子を分離するための分離膜として機能する中空糸炭素膜を製造する方法であるが、本発明の製造方法によって製造された中空糸炭素膜を備える分離膜モジュール(以下、「本発明の分離膜モジュール」と略す場合がある。)も本発明の一態様である。
本発明の分離膜モジュールの具体的構造、中空糸炭素膜の数等は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。以下、具体例を挙げて説明する。
本発明の分離膜モジュールとしては、図5に示す構造を有するものが挙げられる。
図5の分離膜モジュール1は、容器2および分離膜エレメント3を有している。
分離膜エレメント3は、複数の中空糸炭素膜(分離膜)を束ねて構成された分離膜部31と、分離膜部31の一方を固定する固定部32とを含んで構成されており、容器2の内部空間を第1の空間8と第2の空間9に分割するように配置されている。中空糸炭素膜は、固定部32側の一端が開口し、他端は閉口した構造となっており、当該開口は第1の空間8と通じている。従って、第1の空間8と第2の空間9とは中空糸炭素膜を介して連通していることになる。なお、分離膜エレメント3は、容器2に固定されている。
容器2は、ガス供給口4と、ガス排出口5と、ガス排出口6とを備えており、本実施形態では円筒状である。ガス供給口4は、第2の空間9に供給物質(例えば脱水素反応物)を供給するためのものであり、本実施形態では容器2の周面に設けられている。ガス排出口5は、分離膜部31を透過しなかった非透過物質(例えば脱水素化物)を第2の空間9から容器2外に排出するためのものであり、本実施形態では容器2の一端部に設けられている。ガス排出口6は、分離膜部31を透過した透過物質(例えば水素分子)を第1の空間8から容器2外へ排出するためのものであり、本実施形態では容器2の他端部に設けられている。
なお、分離膜モジュール1に備えられる中空糸炭素膜の数は、中空糸炭素膜の性能や必要とされる高純度水素量等に応じて適宜選択される。
<膜分離器>
本発明の製造方法によって製造された中空糸炭素膜を備える本発明の分離膜モジュールについて前述したが、本発明の分離膜モジュールを備える膜分離器(以下、「本発明の膜分離器」と略す場合がある。)も本発明の一態様である。
本発明の膜分離器の具体的構造、分離膜モジュールの数等は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。以下、具体例を挙げて説明する。
本発明の膜分離器としては、図6(a)および(b)に示す構造を有するものが挙げられる。
図6(a)の膜分離器21Aは、2つの分離膜モジュール1を備えており、これらが並列に接続された構成となっている。2つの分離膜モジュール1において、各ガス供給口4は経路L1を介して、各ガス排出口5は経路L2を介して、各ガス排出口6は経路L3を介して、それぞれ互いに接続されている。これにより、各ガス供給口4には図示しない供給源から経路L1を介して供給ガス(例えば脱水素反応物ガス)を供給することができ、各ガス排出口5からは経路L2を介して中空糸炭素膜の非透過ガス(例えば脱水素化物ガス)を排出することができ、各ガス排出口6からは経路L3を介して透過ガス(例えば水素ガス)を排出することができる仕組みである。分離膜モジュール1のガス供給口4とガス排出口5,6にはそれぞれ開閉バルブ25が設けられている。ガス排出口5,6にはそれぞれ開閉バルブ25の下流側に流量計26が設けられている。流量計26は、ガス排出口5,6から排出される透過ガスまたは非透過ガスの流量を測定するためのものである。経路L1,L2,L3にはそれぞれ圧力計27が設けられている。圧力計27は、経路L1,L2,L3における設置位置の圧力を測定するためのものである。経路L2には背圧弁28が設けられている。背圧弁28は、経路L2における当該背圧弁28より上流側の圧力を所定圧力に維持する機能を有するものである。
図6(b)の膜分離器21Bは、3つの分離膜モジュール1を備えており、2つの分離膜モジュール1が並列に接続され、さらにこれらに他の1つの分離膜モジュール1が直列に接続された構成となっている。
膜分離器に備えられる分離膜モジュールの数は、中空糸炭素膜の性能や必要とされる高純度水素量等に応じて適宜選択される。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<実施例1>
(準備工程)
式(b)で表される構造の比率が28%のスルホン化ポリフェニレンオキシド8.0gをメタノール10.3gとN,N−ジメチルアセトアミド10.3gの混合溶液に溶解させて、28重量%の有機高分子化合物溶液を調製した。外管の外径が0.4mm、内径が0.18mmである二重管環状構造の中空糸紡糸ノズルの外管から得られた有機高分子化合物溶液を、同ノズルの内管から芯液として20重量%硝酸アンモニウム水溶液を、それぞれ同時に水凝固浴中に押し出し、これを室温で風乾して前駆体を準備した。
(予備加熱工程)
得られた前駆体をマッフル炉内にて、空気雰囲気中、8℃/分の速度で320℃まで昇温させ、この温度で1時間加熱した後放冷した。
(炭化工程)
予備加熱を行った前駆体を、連続式管型反応器を用いて、不活性ガスとして高純度窒素ガスを3.0リットル/分の流量で供給しながら炭化処理を行った。この際の操作は、まず120℃に保持して1時間脱水処理を行い、10℃/分の速度で650℃まで昇温させ、この温度で55分間加熱した後、窒素ガスの供給を停止するのと同時に高純度プロピレンガスを3.0リットル/分の流量で供給(炭化水素ガスの濃度:100体積%(プロピレン))して5分間加熱した。その後、プロピレンガスの供給を停止して、窒素ガスに切り替えてから放冷し、中空糸炭素膜を得た(供給方法6)。
<比較例1>
炭化処理において、高純度窒素ガスを3.0リットル/分の流量で供給しながら、まず
120℃に保持して1時間脱水処理を行い、10℃/分の速度で650℃まで昇温させた。この温度で1時間加熱した後、放冷し、中空糸炭素膜を得た。
<実施例2>
高純度プロピレンガスを工業用プロピレンガス(プロピレン濃度:76体積%)に変更した以外(炭化水素ガスの濃度:76〜100体積%(プロピレン等))、実施例1と同様の方法により中空糸炭素膜を得た。なお、工業用プロピレンに含まれる不純物は、プロパン等の炭化水素化合物であり、水分濃度は1000PPM以下である。
<参考例1>
高純度プロピレンガスを高純度エチレンガスに変更した以外(炭化水素ガスの濃度:100体積%(エチレン))、実施例1と同様の方法により中空糸炭素膜を得た。
<参考例2>
炭化処理において、高純度窒素ガスを3.0リットル/分の流量で供給しながら、まず120℃に保持して1時間脱水処理を行い、10℃/分の速度で650℃まで昇温させた。ここで供給ガスを窒素ガスから14体積%アセトニトリル/窒素混合ガスに切り替えて3.4リットル/分の流量で供給(炭化水素ガスの濃度:14体積%(アセトニトリル))し、この温度で1時間加熱した。その後、アセトニトリル/窒素混合ガスの供給を停止して、窒素ガスに切り替えてから放冷し、中空糸炭素膜を得た(供給方法3)。
<参考例3>
14体積%アセトニトリル/窒素混合ガスを16体積%シクロヘキサン/窒素混合ガスに変更した以外(炭化水素ガスの濃度:16体積%(シクロヘキサン))、参考例2と同様の方法により中空糸炭素膜を得た。
<参考例4>
炭化処理において、高純度窒素ガスを3.0リットル/分の流量で供給しながら、まず120℃に保持して1時間脱水処理を行い、10℃/分の速度で650℃まで昇温させた。この温度で1時間加熱した後、10℃/分の速度で600℃まで降温させ、窒素ガスの供給を停止するのと同時に高純度プロピレンガスを3.0リットル/分の流量で供給(炭化水素ガスの濃度:100体積%(プロピレン))して10分間加熱した。その後、プロピレンガスの供給を停止して、窒素ガスに切り替えてから放冷し、中空糸炭素膜を得た(供給方法6)。
<実施例3>
炭化処理において、高純度窒素ガスを3.0リットル/分の流量で供給しながら、まず120℃に保持して1時間脱水処理を行い、20℃/分の速度で700℃まで昇温させた。この温度で15分間加熱した後、窒素ガスの供給を停止するのと同時に高純度プロピレンガスを3.0リットル/分の流量で供給(炭化水素ガスの濃度:100体積%(プロピレン))して5分間加熱した。その後、プロピレンガスの供給を停止して、窒素ガスに切り替えてから放冷し、中空糸炭素膜を得た(供給方法6)。
<比較例2>
炭化処理において、高純度窒素ガスを3.0リットル/分の流量で供給(炭化水素ガスの濃度:0体積%)しながら、まず120℃に保持して1時間脱水処理を行い、20℃/分の速度で700℃まで昇温させた。この温度で20分間加熱した後、放冷し、中空糸炭素膜を得た。
<実施例4>
炭化処理において、高純度窒素ガスを3.0リットル/分の流量で供給しながら、まず120℃に保持して1時間脱水処理を行い、20℃/分の速度で700℃まで昇温させた。ここで供給ガスを窒素ガスから10体積%プロピレン/窒素混合ガスに切り替えて3.0リットル/分の流量で供給(炭化水素ガスの濃度:10体積%(プロピレン))し、この温度で20分間加熱した。その後、プロピレン/窒素混合ガスの供給を停止して、窒素ガスに切り替えてから放冷し、中空糸炭素膜を得た(供給方法3)。
<実施例5>
10体積%プロピレン/窒素混合ガスを5体積%プロピレン/窒素混合ガスに変更した以外(炭化水素ガスの濃度:5体積%(プロピレン))、実施例4と同様の方法により中空糸炭素膜を得た。
<実施例6>
炭化処理において、高純度窒素ガスを3.0リットル/分の流量で供給しながら、まず120℃に保持して1時間脱水処理を行い、20℃/分の速度で700℃まで昇温させた。この温度で10分間加熱した後、供給ガスを窒素ガスから10体積%プロピレン/窒素混合ガスに切り替えて3.0リットル/分の流量で供給(炭化水素ガスの濃度:10体積%(プロピレン))し、この温度でさらに10分間加熱した。その後、プロピレン/窒素混合ガスの供給を停止して、窒素ガスに切り替えてから放冷し、中空糸炭素膜を得た(供給方法5)。
<実施例7>
10体積%プロピレン/窒素混合ガスを20体積%プロピレン/窒素混合ガスに変更した以外(炭化水素ガスの濃度:20体積%(プロピレン))、実施例6と同様の方法により中空糸炭素膜を得た。
<参考例5>
10体積%プロピレン/窒素混合ガスを5体積%プロピレン/窒素混合ガスに変更した以外(炭化水素ガスの濃度:5体積%(プロピレン))、実施例6と同様の方法により中空糸炭素膜を得た。
<参考例6>
炭化処理において、高純度窒素ガスを3.0リットル/分の流量で供給しながら、まず120℃に保持して1時間脱水処理を行い、20℃/分の速度で700℃まで昇温させた。ここで供給ガスを窒素ガスから16体積%シクロヘキサン/窒素混合ガスに切り替えて3.4リットル/分の流量で供給(炭化水素ガスの濃度:16体積%(シクロヘキサン))し、この温度で20分間加熱した。その後、シクロヘキサン/窒素混合ガスの供給を停止して、窒素ガスに切り替えてから放冷し、中空糸炭素膜を得た(供給方法3)。
<実施例8>
炭化処理において、高純度窒素ガスを3.0リットル/分の流量で供給しながら、まず120℃に保持して1時間脱水処理を行い、20℃/分の速度で750℃まで昇温させた。この温度で5分間加熱した後、供給ガスを窒素ガスから10体積%プロピレン/窒素混合ガスに切り替えて3.0リットル/分の流量で供給(炭化水素ガスの濃度:10体積%(プロピレン))し、この温度でさらに5分間加熱した。その後、プロピレン/窒素混合ガスの供給を停止して、窒素ガスに切り替えてから放冷し、中空糸炭素膜を得た(供給方法5)。
<中空糸炭素膜の水素ガスとメタンガスの分離性能の評価>
試験ガス(He、N、CH)を用いて、実施例1〜8、参考例1〜6、及び比較例1〜2の中空糸炭素膜の水素ガス等の分離性能を調べた。前述のように中空糸炭素膜による水素ガス等の分離メカニズムは「分子ふるい」、即ち分子径の違いを利用したものであり、分子径の大きい気体ほど中空糸炭素膜を透過しにくいことになる。気体の分子径として、H:0.29nm、CH:0.38nm、トルエン:0.55nmであるため、H/CHの分離性能が高い中空糸炭素膜は、必然的にH/トルエンの分離性能も高いことになり、H/CHの分離係数がH/トルエンの分離性能の評価指標になるのである。
なお、水素とメタンの分離性能の評価は、次の通りに行った。
中空糸用気体透過速度測定装置に装着した中空糸モジュールの外面に90℃にて一定圧力で試験ガスを供給し、透過してくる気体流量を流量計で測定した。この際に、下記式で求められる気体透過速度Qにより気体分離性能を評価した。
Q={ガス透過流量(cm・STP)}÷{膜面積(cm)×時間(秒)×圧力差(cmHg)}
単位はcm(STP)/(cm・sec・cmHg)である。
また、ガスBに対するガスAの膜の理想分離係数αA/Bは、下記式のように定められ、ガスBに対するガスAの選択性を表す。
αA/B=Q/Q
上記式において、QおよびQは、それぞれガスA及びガスBについての気体透過速度である。
結果を表3に示す。
<中空糸炭素膜の水素ガスとトルエンの気体分離性能の水素ガス透過速度の経時変化>
試験ガス(H、トルエン)を用いて、実施例1及び比較例1の製法で得られた中空糸炭素膜の水素とトルエンの分離性能を調べた。その方法は次のとおりである。
中空糸用気体透過速度測定装置((株)ラウンドサイエンス製、RGP−3000)に装着した分離膜として実施例1及び比較例1の製法で得られた中空糸炭素膜を備える分離膜モジュールの外面に圧力0.2MPaGでHおよび気化させたトルエン混合ガス(H/トルエン:99.5/0.5mol比)を供給し、透過してくる気体流量を流量計((株)シナガワ、 W−NKDa−0.5B)で測定した。水素ガス透過速度の経時変化を評価するため、上述と同様にして評価開始後200時間経過後と500時間経過後と1000時間経過後のそれぞれの水素ガス透過速度QH2(90℃)を測定し、測定が安定した200時間経過後の水素ガス透過速度QH2(90℃)を基準として、500時間経過後と1000時間経過後のそれぞれの水素ガス透過速度QH2(90℃)の低下率を算出した。結果を表4に示す。比較例1の製法で得られた中空糸炭素膜は、時間の経過とともに水素ガス透過速度の低下率が大きくなるのに対して、本発明に係る実施例1の製法で得られた中空糸炭素膜の方は1000時間経過しても500時間経過時と同程度の低下率が維持
されることがわかった。つまり、実施例1の製法で得られた中空糸炭素膜の方が耐久性に優れることがわかった。
<膜の柔軟性の評価>
前述の実施例1〜8、参考例1〜6、及び比較例1〜2の中空糸炭素膜について、種々の直径の円柱に180°以上巻きつけて、中空糸炭素膜が破断するかどうかを観測した。曲げ半径は、中空糸炭素膜が破断しない円柱において最小の半径を有する円柱を求め、その円柱の半径の値で示すことにより、膜の柔軟性を評価した。その結果すべての中空糸炭素膜において、曲げ半径は5mm以下であった。
本発明の製造方法によって製造された中空糸炭素膜は、有機ハイドライドを分解して得られる脱水素反応物から水素を分離するのに利用することができる。
1 分離膜モジュール
2 容器
3 分離膜エレメント
4 ガス供給口
5,6 ガス排出口
8 第1の空間
9 第2の空間
21A,21B 膜分離器
25 開閉バルブ
26 流量計
27 圧力計
28 背圧弁
31 分離膜部
32 固定部
L1,L2,L3 経路

Claims (7)

  1. 有機高分子化合物を中空糸状に成形した前駆体を準備する準備工程、酸素ガスを含む雰囲気下で前記前駆体を150℃〜400℃に加熱する予備加熱工程、および前記予備加熱工程を経た前駆体を450℃〜850℃に加熱して炭化する炭化工程を含む中空糸炭素膜の製造方法であって、
    前記炭化工程が、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数1〜4の炭化水素ガスを供給しながら、前記炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数1〜の炭化水素ガスの存在下で加熱することを含み、
    前記中空糸炭素膜が、有機ハイドライドを分解して得られ、水素分子および脱水素化物を含んでなる脱水素反応物から前記水素分子を分離するためのものである、中空糸炭素膜の製造方法。
  2. 前記炭化工程が、不活性ガス及び炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数1〜4の炭化水素ガスを供給しながら、(炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数1〜4の炭化水素ガスの体積流量/不活性ガスの体積流量×100[体積%])が5体積%以上、50体積%以下で行うことを含む、請求項1に記載の中空糸炭素膜の製造方法。
  3. 前記炭化水素ガスが、プロピレン及びエチレンの少なくとも1種である、請求項1または2に記載の中空糸炭素膜の製造方法。
  4. 前記有機高分子化合物が、ポリフェニレンオキシド、並びに下記式(a)および(b)で表される構造を有するポリフェニレンオキシド誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含むものである、請求項1〜3の何れか1項に記載の中空糸炭素膜の製造方法。

    (式(b)中、Rはそれぞれ独立して水素原子、−SOH、または−SONHを表す。但し、Rが共に水素原子であることはない。)
  5. 前記炭化工程が、不活性ガス及び炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数1〜4の炭化水素ガスを供給しながら、(炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数1〜4の炭化水素ガスの体積流量/不活性ガスの体積流量×100[体積%])が5体積%以上、20体積%以下で行うことを含む、請求項1〜4の何れか1項に記載の中空糸炭素膜の製造方法。
  6. 有機ハイドライドを分解して得られ、水素分子および脱水素化物を含んでなる脱水素反応物から前記水素分子を分離するための分離膜モジュールの製造方法であって、
    請求項1〜5の何れか1項に記載の中空糸炭素膜の製造方法によって中空糸炭素膜を製造し、得られた中空糸炭素膜を用いて分離膜モジュールを製造する、中空糸炭素膜を備える分離膜モジュールの製造方法
  7. 有機ハイドライドを分解して得られ、水素分子および脱水素化物を含んでなる脱水素反応物から前記水素分子を分離するための膜分離器の製造方法であって、
    請求項6に記載の分離膜モジュールの製造方法によって分離膜モジュールを製造し、得られた分離膜モジュールを用いて膜分離器を製造する、分離膜モジュールを備える膜分離器の製造方法
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