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JP6502646B2 - 電極/電解液界面試料の作製方法および電位分布のその場観察方法 - Google Patents
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JP6502646B2 - 電極/電解液界面試料の作製方法および電位分布のその場観察方法 - Google Patents

電極/電解液界面試料の作製方法および電位分布のその場観察方法 Download PDF

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Description

この発明は、電気素子の観察技術に関し、特に電気素子を動作状態で観察するその場観察技術に関する。
電気二重層キャパシタは、大電流で充放電が可能であり、また、電解コンデンサなどの他のキャパシタと比較して容量を大きくすることが可能である。そのため、電気二重層キャパシタは、電気自動車における電力の回生や、自然エネルギー発電を利用する際の出力安定化等において利用される高性能な蓄電装置として期待されている。しかしながら、電気二重層キャパシタのエネルギー密度は、十分に高いとは言えず、よりエネルギー密度の高い電気二重層キャパシタを開発することが求められている。このようなエネルギー密度の高い電気二重層キャパシタの開発は、電気二重層キャパシタを構成する電極構造等の最適化により進められるが、電極構造等の最適化を行うためには、電気二重層が形成された状態における電極/電解液界面近傍の電位分布を把握することが重要となる。
特開2013−234855号公報 特開2000−133186号公報 山本、丹司、日比野、平山、「高精度位相シフト電子線ホログラフィ」、電子顕微鏡、社団法人日本顕微鏡学会、2001年、第36巻、第1号、p.71−74
物質中の電位分布は、電子線ホログラフィ技術を用いて観察することが可能である(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、通常、電子線ホログラフィ顕微鏡においては、試料は高真空の電子線ホログラフィ顕微鏡内部に配置されるため、一般的な電気二重層キャパシタを観察しようとすると、電解液に使用される溶媒が鏡筒内部で蒸発し、試料は電気二重層キャパシタとしての機能を失うとともに、電子線ホログラフィ顕微鏡の内部を汚染する虞がある。また、近年では、気密に保持するための薄膜で真空と仕切られた試料室に試料を配置し、特定のガス雰囲気下に保った状態で試料の観察を行うことが提案されている(例えば、特許文献2参照)。この方法によれば、溶媒の蒸発を抑制することが可能であるが、試料室の大きさに制限があり、当該試料室に配置可能な電気二重層キャパシタとして機能する試料を作製する技術は確立していない。この問題は、電気二重層キャパシタをその場観察するための試料に限らず、リチウム電池等の電解液を有する電気素子をその場観察するための試料に共通する。
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、電解液を有する電気素子を動作状態で観察するその場観察が可能な試料を作製する技術を提供することを目的とする。
上記目的の少なくとも一部を達成するために、本発明は、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
本願発明の一形態としての試料の作製方法は、電解液を有する電気素子を動作状態で観察する電子線照射によるその場観察のための試料の作製方法であって、
前記電子線が透過可能な厚さの薄片部を有し、前記薄片部に前記電子線の進行方向の孔が形成された電極体を準備し、電極部とセパレータとを有し、前記孔から前記電子線の進行方向とは異なる方向に離れた接触位置において、前記セパレータを前記電極体に接触させることが可能なように構成された対電極体を準備し、前記孔に前記電解液が保持されるとともに、前記孔から前記接触位置まで前記電解液が連続するように前記電解液を前記電極体に付着させ、前記セパレータを前記接触位置に接触させることにより、前記セパレータを介して前記電極部を前記電解液に接触させることを特長とする。
この構成によれば、電解液が保持される電極体の孔から電子線の進行方向とは異なる方向に離れた接触位置において対電極体を接触させるため、電解液が保持される孔の部分の観察がより容易となる。また、対電極体の電極部は、孔から接触位置まで連続する電解液にセパレータを介して接触するので、試料を電気素子として動作させることができる。そのため、孔の周縁部を観察することにより、動作状態の電気素子の電極と電解液との界面近傍において発生する現象をその場観察することが可能となる。
さらに、孔を電子線が透過可能な厚さの薄片部に形成することにより、透過型電子顕微鏡や透過走査型電子顕微鏡を用いてその場観察することがより容易となる。また、対電極体は、孔が形成された薄片部から電子線の進行方向とは異なる方向に離れた位置に接触するので、対電極体を接触させる際に薄片部に損傷を与える虞を低減することができる。
[適用例1]
電解液を有する電気素子を動作状態で観察する電子線照射によるその場観察のための試料の作製方法であって、前記電子線の進行方向の孔が形成された電極体を準備し、電極部とセパレータとを有し、前記孔から前記電子線の進行方向とは異なる方向に離れた接触位置において、前記セパレータを前記電極体に接触させることが可能なように構成された対電極体を準備し、前記孔に前記電解液が保持されるとともに、前記孔から前記接触位置まで前記電解液が連続するように前記電解液を前記電極体に付着させ、前記セパレータを前記接触位置に接触させることにより、前記セパレータを介して前記電極部を前記電解液に接触させる、試料の作製方法。
この適用例によれば、電解液が保持される電極体の孔から電子線の進行方向とは異なる方向に離れた接触位置において対電極体を接触させるため、電解液が保持される孔の部分の観察がより容易となる。また、対電極体の電極部は、孔から接触位置まで連続する電解液にセパレータを介して接触するので、試料を電気素子として動作させることができる。そのため、孔の周縁部を観察することにより、動作状態の電気素子の電極と電解液との界面近傍において発生する現象をその場観察することが可能となる。
[適用例2]
適用例1記載の試料の作製方法であって、前記孔は、前記電子線の進行方向に貫通する貫通孔である、試料の作製方法。
この適用例によれば、孔が電子線の進行方向に貫通しているので、孔に保持された電解液中で発生する現象をより明瞭に観察することが可能となる。
[適用例3]
適用例1または2記載の試料の作製方法であって、前記電極体は、前記電子線が透過可能な厚さの薄片部を有し、前記孔は、前記薄片部に形成されている、試料の作製方法。
この適用例によれば、孔を電子線が透過可能な厚さの薄片部に形成することにより、透過型電子顕微鏡や透過走査型電子顕微鏡を用いてその場観察することがより容易となる。また、対電極体は、孔が形成された薄片部から電子線の進行方向とは異なる方向に離れた位置に接触するので、対電極体を接触させる際に薄片部に損傷を与える虞を低減することができる。
[適用例4]
適用例3記載の試料の作製方法であって、前記薄片部は、前記電極体の一端に形成されており、前記孔は、前記薄片部の端の近傍に形成されている、試料の作製方法。
この適用例によれば、薄片部を電極体の一端に形成し、孔を薄片部の端の近傍に形成することにより、孔の周縁部の電子線ホログラフィによる観察をより容易に行うことができる。
[適用例5]
適用例4記載の試料の作製方法であって、複数の前記孔が、前記薄片部の端に対して斜めに配列されている、試料の作製方法。
この適用例によれば、電子線ホログラフィによる観察がより容易な、薄片部の端の近傍に、電解液を保持可能な縁が切れていない孔をより容易に形成することができる。そのため、電子線ホログラフィによる観察に適した試料をより容易に作製することが可能となる。
[適用例6]
適用例4または5記載の試料の作製方法であって、前記電極体を構成する材料からなるバルク片を準備し、前記バルク片の端の近傍に前記電子線の進行方向の集束イオンビームを照射することにより、前記孔を形成し、前記バルク片の前記孔が形成された端部に前記電子線の進行方向とは異なる方向の集束イオンビームを照射することにより、前記薄片部を形成する、試料の作製方法。
この適用例では、孔を形成した後に、薄片部を形成しているので、孔の形成により薄片部が変形することを抑制することができる。
[適用例7]
適用例6記載の試料の作製方法であって、前記孔の形成に先だって、前記孔が形成される端部に前記電子線の進行方向とは異なる方向の集束イオンビームを照射することにより、前記孔の形成に適した厚さの薄厚部を形成する、試料の作製方法。
この適用例では、孔の形成に適した厚さの薄厚部を形成しているので、孔をより容易に形成することができる。
[適用例8]
適用例6または7記載の試料の作製方法であって、前記バルク片は、ガラス状構造を持つカーボンからなる、試料の作製方法。
この適用例によれば、カーボン電極と電解液との界面において発生する現象をその場観察することができる。また、ガラス状構造を持つカーボンを使用することで、結晶構造に由来するノイズの発生を低減することができるので、カーボン電極と電解液との界面において発生する現象をより明瞭に観察することが可能となる。
[適用例9]
適用例4記載の試料の作製方法であって、前記電極体を構成する第1の材料からなり細孔を有する多孔性粉末を準備し、前記多孔性粉末の粒子を、前記電極体を構成する第2の材料からなる支持体の一端に固定し、前記支持体の端部に固定された前記多孔性粉末の粒子に前記電子線の進行方向とは異なる方向の集束イオンビームを照射することにより、前記孔が形成された前記薄片部を形成する、試料の作製方法。
一般に、電気素子の電極としては、多孔体粉末を固定した電極が使用される。そのため、この適用例によれば、電極と電解液との界面において発生する現象を、より実際の電気素子により近い状況において観察することが可能となる。
[適用例10]
適用例9記載の試料の作製方法であって、前記多孔性粉末は、活性炭粉末である、試料の作製方法。
この適用例によれば、カーボン電極と電解液との界面において発生する現象をその場観察することができる。また、活性炭粉末を使用することで、結晶構造に由来するノイズの発生を低減することができるので、カーボン電極と電解液との界面において発生する現象をより明瞭に観察することが可能となる。
[適用例11]
適用例1ないし10のいずれか記載の試料の作製方法であって、前記電解液は、イオン液体である、試料の作製方法。
一般にイオン液体は蒸気圧が低く、真空中においてもほとんど蒸発しない。そのため、試料を真空中に配置する一般的な電子顕微鏡を用いて、その場観察をすることが可能となる。
[適用例12]
電子線ホログラフィによる電解液を有する電気素子の動作状態における電位分布のその場観察方法であって、適用例4ないし10のいずれか記載の作製方法によって作製された試料を準備し、前記試料の前記電極体と前記対電極体との間に電圧を印加した状態における、前記孔の周縁部の第1の電子線ホログラムを取得し、前記試料の前記電極体と前記対電極体との間に電圧を印加しない状態における、前記孔の周縁部の第2の電子線ホログラムを取得し、前記第1と第2の電子線ホログラムから、位相シフト法(例えば、非特許文献1に示される手法)により第1と第2の再生位相像をそれぞれ生成し、前記第1の再生位相像から前記第2の再生位相像を引いた差分位相像を生成して、前記電極体と前記対電極体との間に電圧を印加した状態における、前記孔の周縁部における電位分布を観察する、電位分布のその場観察方法。
この適用例では、孔の周縁部の電子線ホログラフィによる観察に適した試料を用いているので、電子線ホログラムをより容易に取得できる。そして、位相シフト法により再生位相像を生成することにより、空間分解能が高い再生位相像および差分位相像が生成されるので、電極と電解液との界面における電位分布をより詳細に観察することが可能となる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、試料の作製方法およびその作製方法を利用した試料の観察方法、試料の作製の際に用いる装置および試料の作製に適した観察装置等の態様で実現することができる。
試料中における電位分布のその場観察を行う様子を示す説明図。 電位分布の観察対象となる電気二重層キャパシタ(EDLC)と、EDLCにおける電荷および電位の分布とを示す説明図。 EDLCのモデル試料の構成を模式的に示す模式図。 モデル試料を試料ホルダに取り付けた様子を示す説明図。 電極体の作製工程を示す工程図。 貫通孔の周縁部における電荷分布と、当該周縁部を透過する際の電子線の位相変化量とを示す説明図。 貫通孔を形成したカーボン小片の先端部を、FIBを用いて撮影したFIB像。 イオン液体の塗布前後における貫通孔部分のTEM像。 貫通孔部分のホログラムと再生位相像。 再生位相像から生成された差分位相像。 差分位相像から求められた位相変化量プロファイルを示すグラフ。 第2実施形態において使用される電極体を作製する工程を示す工程図。 FIB加工により薄片部を形成した試料電極の先端部を観察したTEM像。 薄片部の端付近のTEM像および電子線ホログラム。 活性炭粒子のホログラムから生成された再生位相像および差分位相像。 図15の差分位相像から求められた位相変化量プロファイルを示すグラフ。
本発明の実施の形態を以下の順序で説明する。
A.第1実施形態:
A1.電位分布のその場観察:
A2.電位分布の観察対象:
A3.モデル試料:
A4.電極体の作製:
A5.モデル試料での電位分布の観察:
A6.第1実施例:
B.第2実施形態:
B1.電極体の作製とモデル試料の形成:
B2.第2実施例:
C.変形例:
A.第1実施形態:
A1.電位分布のその場観察:
図1は、試料SPC中における電位分布のその場観察を行う様子を示す説明図である。電位分布のその場観察を行う電位分布観察装置10は、電子線ホログラフィ顕微鏡100と、直流電源装置200とを備えている。電子線ホログラフィ顕微鏡100の内部に配置された試料SPCと、出力電圧が可変な直流電源装置200とは、2本のリード線12,14により接続されている。
電子線ホログラフィ顕微鏡100は、電子線照射装置110と、対物レンズ120と、電子線バイプリズム130とを備えている。電子線ホログラフィ顕微鏡100は、像面に形成された像を観察面に拡大投影するための中間レンズおよび投影レンズと、観察面に拡大投影された像を取得する撮像装置とを有しているが、図1では、それらの図示を省略している。
電子線照射装置110は、電子源112と、集束レンズ114とを有している。所定の加速電圧で加速され電子源112から射出された電子線は、集束レンズ114によってほぼ平行な電子線となる。ほぼ平行な電子線は、試料SPCが配置された試料面を通過して、対物レンズ120に入射する。対物レンズ120に入射した電子線は、一旦収束された後、電子線バイプリズム130に入射する。
図1に示すように、試料SPCは、試料面のうちのほぼ半分の観察領域AOに配置される。試料SPCが配置された観察領域AOでは、入射した電子線が試料SPCと相互作用することにより、波としての電子線(電子波)の位相や振幅が変化する。一方、試料面のうち試料SPCが配置されていない領域(真空領域)AVを通過した電子線は、試料SPCとの相互作用がないため、電子波の位相や振幅は変化しない。一般に、観察領域AOを通過した電子波は物体波Ψoと呼ばれ、真空領域AVを通過した電子波は参照波Ψrと呼ばれる。
電子線バイプリズム130は、導電性のフィラメント132と、フィラメント132を挟み込む一対の接地電極134とから構成されている。フィラメント132には、接地電極134に対して正の電圧が印加される。なお、図1では、接地電極134を平行平板として描いているが、接地電極134の形状はこの限りでない。一般に、接地電極134は、フィラメント132に面する側が平面となっていれば、種々の形状とすることが可能である。
フィラメント132に正の電圧を印加することにより、負の電荷を持つ電子線がフィラメント132に引き寄せられる。これにより、試料面を通過して電子線バイプリズム130に入射した電子線は、物体波Ψoと参照波Ψrとに分割される。分割された物体波Ψoと参照波Ψrとは互いに重畳されるように屈折し、物体波Ψoと参照波Ψrとが重畳される。なお、第1実施形態では、物体波Ψoと参照波Ψrとを重畳させるため、フィラメント132に接地電極134に対して正の電圧を印加しているが、電子線光学系の構成によっては、物体波Ψoと参照波Ψrとを重畳させるため、フィラメント132に接地電極134に対して負の電圧が印加される。
このとき、電子源112から射出される電子線が可干渉であれば、像面において重畳された物体波Ψoと参照波Ψrとが干渉して、電子の干渉縞IFFが形成される。可干渉な電子源としては、例えば、電界放出型の電子銃を用いることが可能である。このように形成される干渉縞IFFは、物体波Ψoと参照波Ψrとの位相差が変化することによりその形態が変化する。そのため、試料面において電子線が電場や磁場などと相互作用して物体波Ψoの位相が変化すると、干渉縞IFFに歪みが生じる。そこで、干渉縞の歪みを解析することにより、物体波Ψoの位相を再生し、位相差を生じさせる電場や磁場等の状態を可視化することが可能となる。また、試料SPCにより電子線が遮られ、物体波Ψoの振幅が小さくなった場合には、試料SPCの像ISPが像面に形成される。
干渉縞の歪みを解析して物体波Ψoの位相を再生する処理は、像面に形成された干渉縞IFFを観察面に拡大投影した干渉縞に対して行われる。具体的には、像面に形成された干渉縞IFFは、中間レンズと投影レンズ(いずれも図示しない)とによって観察面に拡大投影される。観察面に拡大投影された干渉縞は、観察面に設けられた電荷結合素子(CCD)等の撮像装置(図示しない)により取得される。物体波Ψoの位相は、撮像装置により取得された干渉縞をコンピュータ等を用いて解析処理することにより再生することができる。干渉縞からの位相の再生は、位相シフト法(例えば、非特許文献1参照)等の種々の位相再生方法を用いて行うことができる。このように、物体波Ψoと参照波Ψrを干渉させて得られた干渉縞IFF(電子線ホログラム)から物体波Ψoの位相を再生する技術(電子線ホログラフィ)を用いることにより、試料SPC中における電位分布を観察することができる。なお、位相再生方法として位相シフト法を用いると、再生された再生位相像の空間分解能を0.5nm程度まで高くすることができる。そのため、第1実施形態においては、位相の再生に位相シフト法を用いている。
A2.電位分布の観察対象:
図2は、電位分布の観察対象となる電気二重層キャパシタ(EDLC:Electric Double-Layer Capacitor)300と、EDLC300における電荷および電位の分布とを示す説明図である。図2(a)は、EDLC300に電圧を印加している状態を示す模式図である。EDLC300は、対向する集電極312,322と、各集電極312,322上に配置された活性炭電極314,324と、セパレータ330と、2つの集電極312,322の間に充填される電解液340とを有している。
集電極312と活性炭電極314とは、EDLC300の第1の電極310を構成し、集電極322と活性炭電極324とは、EDLC300の第2の電極320を構成している。セパレータ330は、これら2つの電極310,320を電気的に隔離するとともに、電解液340中のイオンを透過して2つの電極310,320の間でのイオン伝導性を確保する。
図2(a)に示すように、活性炭電極314,324は、多数の活性炭粒子360から構成されている。また、活性炭粒子360自体も、図示しない多数の細孔を有している。そのため、2つの集電極312,322の間に電解液340が充填されると、電解液340は、活性炭粒子360間の空隙、および、活性炭粒子360が有する細孔に入り込む。これにより、電極310,320と電解液340との接触界面の面積が広くなる。
図2(a)の例では、直流電源PSの正極が第1の電極310に接続され、直流電源PSの負極が第2の電極320に接続されている。このようにして、第1の電極310と第2の電極320の間に電圧を印加すると、電気二重層(後述する)が、電極310,320と電解液340との広い界面に形成される。電極310,320と電解液340との界面に形成される電気二重層は、電荷を蓄積する機能を有しているので、EDLC300は、大容量のキャパシタとして機能する。
図2(b)は、図2(a)において破線で示した領域における活性炭粒子360間の電荷の分布を示す模式図である。図2(a)に示すように、第1の電極310(以下、「正電極」とも呼ぶ)側が正、第2の電極320(以下、「負電極」とも呼ぶ)側が負となるように電圧を印加すると、図2(b)に示すように、正電極310を構成する活性炭粒子360においては、電解液340との界面近傍に正の電荷が集まる。一方、電解液340においては、正電極310を構成する活性炭粒子360との界面近傍に負の電荷を持つアニオンが集まる。このように、正電極310の活性炭粒子360と、電解液340との界面には、正負の電荷が対となって配列した層(電気二重層)が形成され、正負の電荷が蓄積される。なお、図2(b)では、正電極310を構成する2つの活性炭粒子360と、電解液340との界面で電気二重層が形成される様子を示しているが、電気二重層は、両電極間310,320と、電解液340との全ての接触界面に形成される。
図2(c)は、図2(b)に示す活性炭粒子360間における電位分布を示すグラフである。図2(c)の横軸は、図2(b)における左右方向の位置を表している。また、図2(c)の縦軸は、各位置における電位を任意単位(AU)で表している。活性炭粒子360に対応する位置(活性炭部分)では、活性炭粒子360が導電性を有するため、電位は、両電極間310,320間に印加した電圧に応じた一定の値となる。そして、電解液340に対応する位置(電解液部分)では、電解液340中のアニオンよびカチオンの分布に応じて、活性炭粒子360との界面から中央に向かって電位が低下する。具体的には、図2(b)に示すようにアニオンが集中する界面付近では、電位が急速に低下し、その後、界面から離れるに従って、漸近的に0電位(第1と第2の電極310,320の中間の電位)に近づいていく。第1実施形態では、このような電解液部分における電位の空間的な変化すなわち電位分布を、EDLC300に相当するモデル試料(後述する)を用いて、電子線ホログラフィにより観察する。
A3.モデル試料:
図3は、EDLC300(図2)のモデル試料900の構成を模式的に示す模式図である。モデル試料900は、電極体910と、電極体910に塗布されたイオン液体940と、セパレータ930と、活性炭電極924と、電極板922とを有している。電極板922は、銅等の金属からなる幅の狭い板材であり、その電極体910側の面に、活性炭電極924と、セパレータ930とが、この順に取り付けられている。なお、活性炭電極924は、本発明における電極部に相当し、活性炭電極924とセパレータ930との全体は、本発明における対電極体に相当する。
電極体910に塗布されるイオン液体は、アニオンとカチオンとの少なくとも一方が有機化合物からなる常温付近で液体の塩であり、電解液として機能する。一般に、電位分布を観察する際、モデル試料900は、高真空の電子線ホログラフィ顕微鏡100の内部に配置される。このとき、電解液として水等の溶媒に電解質を溶解した電解質溶液を用いると、溶媒が蒸発し、電解液としての機能がなくなるとともに、電子線ホログラフィ顕微鏡100の内部を汚染する虞がある。そのため、第1実施形態においては、電解液として、蒸気圧が極めて低く、真空中でほとんど蒸発しないイオン液体を用いている。このようなイオン液体としては、アンモニウム系、イミダゾリウム系、コリン系、スルホニウム系、ピラゾリウム系、ピリジニウム系、ピロリジニウム系、あるいは、ホスホニウム系の種々のイオン液体を使用することができる。但し、電位分布を観察する際には、イオン液体が塗布された領域に電子線が照射されるので、耐還元性が高いピロリジニウム系のイオン液体を用いるのが好ましい。
電極体910は、ガラス状構造を持つカーボン(グラッシーカーボン)をガリウムなどのイオンを細く絞った集束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)を用いて加工すること(集束イオンビーム法)により作製される。なお、電極体910の具体的な作製方法については、後述する。グラッシーカーボンから作製された電極体910は、厚みがあるバルク部912と、電子線が透過可能な厚さ(例えば、100nm)の薄片部914とを有している。薄片部914の先端部には、電子線ホログラフィ顕微鏡100(図1)における電子線の進行方向(以下、「電子線進行方向」と呼ぶ)に貫通する複数の貫通孔916が設けられている。なお、貫通孔916は、電子線進行方向に貫通しているので、貫通孔916は、電子線進行方向の孔と謂うことができる。
図3に示すように、電極体910の先端部に適量のイオン液体940を塗布すると、表面張力により、貫通孔916にイオン液体940が保持される。このように、貫通孔916にイオン液体940が保持された状態で、セパレータ930をバルク部912のイオン液体940が塗布された部分に接触させると、EDLC300(図2)に相当するモデル試料900が形成される。
図4は、モデル試料900(図3)を試料ホルダ700に取り付けた様子を示す説明図である。ここで、試料ホルダ700とは、電子線ホログラフィ顕微鏡100(図1)の試料面において試料SPC(すなわち、モデル試料900)を保持するための機構である。なお、図示の便宜上、図4では、試料ホルダ700のうち、試料SPCを取り付ける試料取付部を拡大して図示している。この試料ホルダ700を電子線ホログラフィ顕微鏡100に取り付けた状態では、電子線は、紙面の表側から裏側に向かって進行する。
試料ホルダ700は、外枠710と、外枠710に固定された絶縁板722,732と、銅等の金属で形成された固定板724,734と、止めネジ728,738とを有している。固定板724,734には、それぞれ、穴726,736とが設けられている。止めネジ728,738を、穴726,736を通して締め付けることにより、固定板724,734は、試料ホルダ700に固定される。固定板724,734は、それぞれ別個のリード線(図示しない)を介して直流電源装置200(図1)に接続されており、固定板724,734の間に電圧を印加することが可能となっている。
電極体910は、導電性テープや導電性ペースト等を用いて、銅等の金属で形成された支持板740に貼り付けられる。そして、電極体910を貼り付けた支持板740を、固定板724と絶縁板722との間に挟み込むことにより、電極体910は試料ホルダ700に固定される。固定された電極体910の先端部には、図3に示すように、イオン液体940が塗布される。イオン液体940の塗布の後、電極板922の先端がバルク部912のイオン液体940が塗布された部分に位置するように調整して、固定板734と絶縁板732との間に電極板922を挟み込む。これにより、電極板922に取り付けられたセパレータ930(図3)がイオン液体940に接触し、モデル試料900が形成される。
A4.電極体の作製:
図5は、電極体910の作製工程を示す工程図である。電極体910の作製工程では、まず、グラッシーカーボンのバルク片910aを準備する(図5(a))。ここでバルク片910aとは、機械的な取り扱いが十分に可能な大きさ(例えば、幅および長さが2〜5mm、厚さが1〜2mm)のグラッシーカーボンの小片をいう。バルク片910aは、例えば、バルク片910aよりも大きいグラッシーカーボン部材を割ることにより得ることが可能である。また、ダイシング等の種々の加工方法により、グラッシーカーボン部材からバルク片910aを切り出すものとしても良い。得られたバルク片910aは、図4に示すように、支持板740を介して試料ホルダ700に取り付けられる。
試料ホルダ700にバルク片910aを取り付けた後、バルク片910aの先端部の薄厚化を行う。具体的には、図5(b)に示すように、バルク片910a(図5(a))の先端部に、電子線進行方向と直交する方向のFIBを照射して、貫通孔916c(図5(c))の形成に適した厚さ(例えば、0.5〜2μm)の薄厚部914bを形成する。これにより、薄厚部914bと、バルク部912とを有するバルク片910bが得られる。
次いで、薄厚部914bに電子線進行方向に貫通した貫通孔916cを形成する。具体的には、図5(c)に示すように、薄厚部914b(図5(b))の端(エッジ)付近に、電子線進行方向のFIBを照射することにより、貫通孔916cを形成する。これにより、貫通孔916cが形成された薄厚部914cと、バルク部912とを有するバルク片910cが得られる。
貫通孔916cが形成された薄厚部914cは、電子線が透過可能な厚さまで薄片化される。具体的には、図5(d)に示すように、電子線進行方向と直交する方向のFIBを照射することにより、薄片部914を形成する。これにより、電子線が透過可能で、貫通孔916が形成された薄片部914と、バルク部912とを有する電極体910が得られる。なお、このように、第1実施形態では、貫通孔916cが形成された薄厚部914cを薄片化し、薄片部914を形成している。このように、貫通孔916cを形成した後に薄片化を行うことにより、貫通孔916の形成により薄片化された部分が変形するのを抑制することができる。
A5.モデル試料での電位分布の観察:
図6は、貫通孔916の周縁部における断面図を示しており、電荷分布と、当該周縁部を透過する際の電子線の位相変化量とを示す説明図である。図6(a)および図6(b)は、それぞれ、電極体910(図3)と電極板922との間に電圧を印加していない状態における、電荷分布と、電子線の位相変化量とを示している。図6(a)に示すように、電極体910に塗布されたイオン液体940は、貫通孔916の外側の薄片部914では、ほぼ均一な厚さとなっている。一方、貫通孔916の内側においては、貫通孔916の縁(貫通孔縁)から内側に向かってイオン液体940の厚さが減少する。そして、貫通孔縁からの距離が長くなると、イオン液体940の厚さは、ほぼ均一となる。なお、厚さがほぼ均一になった領域においては、イオン液体940の厚さは、薄片部914の厚さと同程度になる。
電圧を印加していない状態においては、薄片部914中の自由電子と、イオン液体940中のイオンとは、それぞれの内部で均一に分布して、薄片部914とイオン液体940の全領域が電気的に中性となる。そのため、電子線の位相変化量は、透過する材料の内部電位による位相変化量のみの和として観察される。具体的には、薄片部914を透過する電子線の位相変化量は、図6(b)に示すように、右上から左下方向のハッチングを付した薄片部914自体の内部電位による位相変化量と、左上から右下方向のハッチングを付した薄片部914を覆うイオン液体940の内部電位による位相変化量との和になる。上述のように、貫通孔916の外側の薄片部914では、イオン液体940は、ほぼ均一な厚さで電極材料を覆っている。そのため、薄片部914を覆っているイオン液体940による位相変化量は、ほぼ一定の値となる。一方、貫通孔916の内側では、イオン液体940の厚さの変化に伴って、イオン液体940による位相変化量が変化する。
図6(c)および図6(d)は、それぞれ、電極体910(図3)と電極板922との間に電圧を印加した状態における、電荷分布と、電子線の位相変化量とを示している。図6(c)に示すように、電圧を印加しても、イオン液体940の形態はほとんど変化しない。しかしながら、薄片部914中では正の電荷がイオン液体940との界面に集まるとともに、イオン液体940中ではアニオンが薄片部914との界面に集まることで、電気二重層が形成される。
このように、電圧を印加すると、薄片部914自体と、薄片部914を覆うイオン液体940中の電位は、電圧を印加しない場合よりも高くなる。そのため、薄片部914を透過する電子線の位相変化量は、図6(d)に示すように、左右方向のハッチングを付した電圧印加による位相変化量の分だけ大きくなる。一方、貫通孔916の内側では、イオン液体940中の電位は、図2(c)に示すように、貫通孔縁から内側に向かって低下する。そのため、図6(d)において上下方向のハッチングを付した貫通孔916の内側における電圧印加による位相変化量は、この電位の変化に応じて、貫通孔縁に近い領域では、急速に低下し、その後、内側に進むに従って、漸近的に0に近づいていく。
このように、電気二重層が形成されることによるイオン液体940中の電位分布は、貫通孔916の内側における、電圧印加による位相変化量として観察される。そのため、電圧を印加した状態で観察される位相変化量から、電圧を印加しなかった状態で観察される位相変化量を引いた差を求めることにより、電気二重層によるイオン液体940中の電位分布を観察することが可能となる。
A6.第1実施例:
[電極体の作製]
イオン液体中の電位分布を観察するため、電気二重層キャパシタのモデル試料を構成する試料電極(図3の電極体910に相当する)を作製した。具体的には、グラッシーカーボンの板材を割り、図5のバルク片910aに相当するグラッシーカーボンの小片(以下、「カーボン小片」とも呼ぶ)を得た。その後、上述のように、得られたカーボン小片の先端部をガリウムのFIBで加工することにより、貫通孔が設けられた薄片部を形成し、試料電極を作製した。
図7は、FIBを走査することにより、貫通孔を形成したカーボン小片の先端部を撮影したFIB像である。図7(a)は、カーボン小片の先端部全体を撮影したFIB像であり、図7(b)は、貫通孔の形成部分を拡大撮影したFIB像である。なお、図7(a)および図7(b)の各FIB像は、図5(d)のように電子線が透過可能となるように薄片化する前の、貫通孔を形成した段階(図5(c))における先端部(薄厚部914cを含む領域に相当する)の様子を示している。
第1実施例では、図5で示したように、貫通孔を形成する前に、カーボン小片(図5(a)のバルク片910aに相当する)の先端部を薄厚化した。そのため、図7(a)に示すように、カーボン小片の先端部には、薄厚化により平坦な面が形成されている。そして、薄厚化した先端部をFIBで加工することにより、図7(b)に示すように、電子線進行方向に貫通する貫通孔が形成されている。図7(a)および図7(b)のFIB像を撮影した後、さらに、図7(a)の矢印に示すように、先端部にFIBを照射して薄片化し、試料電極を得た。なお、第1実施例においては、図7(b)に示すように、複数の貫通孔を先端部の端に対して斜めに配列した。一般に、電子線ホログラフィによる観察は、先端部の端から離れた位置で行うのが困難である。そこで、第1実施例では、先端部の端により近い位置に縁が切れていない貫通孔をより容易に形成するため、複数の貫通孔を先端部の端に対して斜めに配列した。但し、単一の貫通孔を形成するものとしても良く、また、複数の貫通孔を先端部の端に対して平行に配列することも可能である。
[イオン液体の塗布]
試料電極を作製した後、イオン液体を試料電極の先端部に塗布した。なお、塗布するイオン液体としては、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムをカチオンとし、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドをアニオンとするピロリジニウム系のイオン液体を使用した。
図8は、イオン液体の塗布前後における貫通孔部分の透過電子顕微鏡像(TEM像)である。図8(a)および図8(b)のTEM像は、それぞれ、イオン液体の塗布前およびイオン液体の塗布後の状態を示している。図8(a)に示すように、薄片化を行った後においても、縁が切れていない貫通孔が試料電極の先端部に形成されていることが確認できた。また、図8(b)に示すように、イオン液体を試料電極の先端部に塗布することにより、貫通孔にイオン液体が保持されることが確認できた。
[電子線ホログラムの撮影と再生位相像の生成]
イオン液体を試料電極の先端部に塗布した後、図3に示すように、試料電極(図3の電極体910に相当する)に塗布されたイオン液体940に、活性炭電極924を介して電極板922に取り付けられたセパレータ930を接触させ、モデル試料を形成した。そして、試料電極と電極板922との間に印加する電圧(印加電圧)を変えながら、貫通孔部分の電子線ホログラム(以下、単に「ホログラム」とも呼ぶ)を撮影した。なお、第1実施例においては、試料電極側が正、電極板側が負となるように電圧を印加した。次いで、この撮影したホログラムをコンピュータにより解析処理することにより、再生位相像を生成した。
図9は、貫通孔部分のホログラムと再生位相像である。図9(a)ないし図9(c)は、それぞれ、印加電圧を0V,1.5V,2.5Vとしたときのホログラムである。図9(d)ないし図9(f)は、それぞれ、印加電圧を0V,1.5V,2.5Vとしたときの再生位相像である。図9(a)ないし図9(c)のホログラムにおいて、貫通孔の外側、すなわち、試料電極の内周端において、干渉縞が大きく歪んでいる領域の存在が確認された。この領域は、試料電極を加工する際に使用したガリウム(Ga)がグラッシーカーボンに入り込んだGa挿入部である。Ga挿入部では、試料電極の内部電位がガリウムの存在により変化する。そのため、Ga挿入部を透過した電子線の位相変化量は、ガリウムが入り込んでいない領域と異なったものとなる。このようなGa挿入部と、試料電極の他の領域との位相変化量の違いは、図9(d)ないし図9(f)の再生位相像においても確認された。
一方、貫通孔内側のイオン液体の部分においては、Ga挿入部のような大きな位相変化は生じない。そのため、図9(a)ないし図9(c)のホログラムにおいて、干渉縞の歪みとしてイオン液体部分の位相分布を確認することは、必ずしも容易でない。しかしながら、図9(d)ないし図9(f)の再生位相像においては、貫通孔の内部における位相変化量の分布を明瞭に観察することができた。
[差分位相像の生成と電位分布の観察]
上述の通り、電気二重層によるイオン液体中の電位分布は、電圧を印加した状態で観察される位相変化量から、電圧を印加しなかった状態で観察される位相変化量を引いた差を求めることにより観察される。そこで、印加電圧を1.5Vおよび2.5Vとしたときの再生位相像、すなわち、図9(e)および図9(f)に示す再生位相像から、印加電圧を0Vとしたときの再生位相像(図9(d))を引いた、差分位相像を生成した。なお、以下では、印加電圧をxV(xは、任意の実数)としたときの再生位相像から、印加電圧を0Vとしたときの再生位相像を引いた差分位相像を、印加電圧をxVととしたときの差分位相像とも呼ぶ。
図10は、再生位相像から生成された差分位相像である。図10(a)および図10(b)は、それぞれ、印加電圧を1.5Vおよび2.5Vとしたときの差分位相像である。図10(a)および図10(b)から分かるように、試料電極の部分において、印加電圧を2.5Vとしたときの位相変化量は、印加電圧を1.5Vとしたときの位相変化量よりも大きくなっている。このことから、試料電極に電圧が印加されていることが分かる。また、印加電圧が1.5Vと2.5Vとのいずれの場合においても、貫通孔の内側のイオン液体部分における位相変化量は、試料電極側で大きくなっていた。この位相変化量の分布は、試料電極とイオン液体との界面において形成される電気二重層による電位分布に相当する。
[位相変化量プロファイルの評価]
電気二重層が電位分布に影響を与える範囲を評価するため、電位分布に相当する位相変化量プロファイルを評価した。具体的には、図10(a)および図10(b)において、白い枠で囲った領域について、貫通孔の縁から内側方向(プロファイル評価方向)の位相変化量プロファイルを求めた。
図11は、差分位相像から求められた位相変化量プロファイルを示すグラフである。図11(a)および図11(b)は、それぞれ、印加電圧を1.5Vおよび2.5Vとしたときの、位相変化量プロファイルを示している。図11(a)および図11(b)において、横軸は、貫通孔縁からの距離(単位は、nm)を表し、縦軸は、位相変化量(単位は、rad)を表している。
図11(a)および図11(b)から分かるように、印加電圧を高くすると、位相変化量の絶対値は大きくなるが、プロファイルの形態はほとんど変化しなかった。そして、印加電圧が1.5Vおよび2.5Vのいずれの場合においても、貫通孔縁からの距離、すなわち、電極と電解液(イオン液体)の界面からの距離が180nmの位置で、位相変化量はほぼ0radとなった。これは、電気二重層による電位分布の拡がる範囲が180nmであることを表している。このことから、電気二重層キャパシタ(図2のEDLC300)において、第1実施例で用いたイオン液体を電解液として使用する場合には、活性炭粒子360間の空隙もしくは活性炭粒子360が有する細孔の半径が180nm以上となると、電気容量が飽和することが分かった。すなわち、第1実施例で用いたイオン液体を電解液として使用する電気二重層キャパシタの容量を大きくするためには、半径が180nm以下の細孔を多くするのが好ましいことが分かった。
このように、第1実施形態および第1実施例によれば、電極体910に形成された薄片部914の先端部に貫通孔916を設けるとともに、電極体910の先端付近にイオン液体940を塗布している。このとき、イオン液体940が有する表面張力により、貫通孔916にはイオン液体940が保持されるとともに、イオン液体940は、貫通孔916から、セパレータ930が接触する位置まで、連続した状態で、電極体910に付着している。そのため、セパレータ930を電極体910に接触させると、活性炭電極924がセパレータ930を介してイオン液体940に接触する。これにより、モデル試料900は、電気二重層キャパシタとして機能する。
また、セパレータ930が接触するバルク部912は、貫通孔916から電子線進行方向と異なる方向に離れた位置にあるので、貫通孔916の周縁部の観察をより容易に行うことができるとともに、セパレータ930を接触させることによる薄片部914の損傷を抑制することができる。さらに、貫通孔916は、電極体910の一端に形成された薄片部914の先端部、すなわち、薄片部914の端の近傍に形成されているので、より容易に、貫通孔916の周縁部を電子線ホログラフィにより観察することができる。そして、貫通孔916周縁部のホログラムを撮影し、ホログラムを解析処理することにより、貫通孔916周縁部の電位分布を観察することができる。
なお、第1実施形態および第1実施例では、電極体910をグラッシーカーボンから形成しているが、電極体を金属等の他の導電素材を用いて形成することも可能である。但し、結晶構造に由来するノイズの発生を低減することができ、イオン液体940を含む領域の電位分布をより明瞭に観察することが可能となる点で、グラッシーカーボンを用いるのが好ましい。
さらに、第1実施形態および第1実施例では、貫通孔916を形成して貫通孔916の周縁部を観察しているが、周縁部を観察する孔は、必ずしも貫通している必要はない。但し、孔の内部における電位分布をより明瞭に観察することが可能になる点で、貫通孔916を形成し、その貫通孔916の周縁部を観察するのが好ましい。
B.第2実施形態:
第2実施形態は、電位分布の観察に使用するモデル試料に、グラッシーカーボンのバルク片910a(図5)から作製された電極体910に換えて、活性炭粉末を用いて作製された電極体を用いる点で、第1実施形態と異なっている。他の点は、第1実施形態と同様であるので、ここでは、第1実施形態と同様な事項については、その説明を省略する。
B1.電極体の作製とモデル試料の形成:
図12は、第2実施形態において使用される電極体980(図12(d))を作製する工程を示す工程図である。電極体980の作製工程では、まず、活性炭粉末の粒子(活性炭粒子)984を固定するための支持体982を準備する。支持体982は、棒状の金属片である。なお、図12(a)では、支持体982を先端まで外径が同一であるものとして描いているが、支持体982は、試料ホルダ700に取り付け可能であれば、形状はこれに限定されない。
次いで、準備された支持体982に活性炭粒子984を固定する(図12(b))。具体的には、活性炭粉末に導電性ペーストを加えた後、活性炭粉末と導電性ペーストとの混合物を支持体982の先端部に塗布する。これにより、活性炭粒子984は、支持体982の表面に固定される。なお、図12(b)では、図示の便宜上、支持体982に直接固定された活性炭粒子984のみを描いているが、一般的には、多数の活性炭粒子984が互いに固定された状態で支持体982に固定される。活性炭粒子984を支持体982に固定した後、支持体982のうち活性炭粉末と導電性ペーストとの混合物が塗布されていない部分を、試料ホルダ700(図4)の固定板724と絶縁板722との間に挟み込む。これにより、支持体982および支持体982に固定された活性炭粒子984は、試料ホルダ700に固定される。
支持体982を試料ホルダ700に固定した後、支持体982の先端部に固定された活性炭粒子984を薄片化する(図12(c)および図12(d))。具体的には、支持体982の先端部に固定された活性炭粒子984にガリウム等のFIBを照射し、1つの平坦面を有する活性炭粒子984cを形成する図12(c)。次いで、平坦面が設けられた活性炭粒子984cに、さらにFIBを照射することにより、薄片部986を有する活性炭粒子984dを形成する(図12(d))。これにより、先端部が薄片化された電極体980が得られる。なお、上述のように、図12(b)ないし図12(d)では、図示の便宜上、支持体982に直接固定された活性炭粒子984のみを描いている。そのため、図12(c)および図12(d)では、1つの活性炭粒子984を薄片化するように描いているが、一般には、支持体982の先端部に固定された複数の活性炭粒子984が薄片化される。
得られた電極体980を用いてモデル試料を形成するため、まず、電極体980の活性炭粒子984が固定された部分(活性炭固定部)に、十分な量のイオン液体を浸透させる。これにより、活性炭粒子984が有する細孔(図示しない)に、イオン液体が保持される。活性炭固定部にイオン液体を浸透させた後、図3の例と同様に、活性炭固定部の薄片部986から離れた位置に、活性炭電極924を介して電極板922に取り付けられたセパレータ930を接触させる。具体的には、図4の例と同様に、電極板922の先端が活性炭固定部に位置するように調整し、固定板734と絶縁板732との間に電極板922を挟み込む。これにより、電極板922に取り付けられたセパレータ930が、活性炭固定部に浸透させたイオン液体と接触し、モデル試料が形成される。
B2.第2実施例:
[試料電極の作製]
試料電極を作製するため、まず、支持体982(図12)に相当するタングステンチップを準備した。次いで、準備したタングステンチップの先端部に、活性炭粉末と導電性ペーストの混合物を塗布した。その後、上述のように、ガリウムのFIBを用いて、タングステンチップの先端部に固定された活性炭粒子の薄片化を行い、薄片部を有する試料電極を得た。
図13は、FIB加工により薄片部を形成した試料電極(図12(d)の電極体980に相当する)の先端部を観察したTEM像である。図13(a)は、試料電極の先端部を低倍率で観察したTEM像である。図13(a)に示すように、試料電極を構成する多数の活性炭粒子と、活性炭粒子間に形成される空隙とが観察された。図13(b)は、試料電極先端部の中倍率TEM像である。図13(b)のTEM像では、活性炭粒子が有する多数の細孔が確認できた。また、図13(b)に示すように、電子線バイプリズム130(図1)により干渉縞が形成される領域の幅は、試料面では約300nm程度となる。そのため、ホログラムの観察が可能な領域は、薄片部の先端から約300nmの狭い範囲となる。なお、ホログラムは、試料電極の位置で干渉縞が形成されるように、電子線バイプリズム130を試料電極方向に移動させることにより行うことができる。
図14は、薄片部の端付近のTEM像およびホログラムである。図14(a)は、薄片部の端付近にある活性炭粒子の高倍率TEM像である。図14(a)に示すように、活性炭粒子には、様々な大きさの細孔が形成されていることが確認できた。図14(b)は、活性炭粒子のホログラムである。図14(b)に示すように、細孔が形成されている部分(細孔部)においては、ホログラムの干渉縞が若干歪んでいた。このように細孔部で干渉縞が歪むのは、電子線の位相を変化させるカーボンの厚さが細孔の周囲のマトリックスの部分(マトリックス部)に比べて薄いためと考えられる。なお、このように、細孔部はくぼんだ状態となっている、すなわち、細孔部の表面は、マトリックス部の表面よりも電子線進行方向側に位置しているので、活性炭の細孔は、電子線進行方向の孔と謂うことができる。
[電位分布の評価]
細孔内に形成される電気二重層による電位分布の評価を行った。具体的には、薄片部を形成した試料電極の活性炭固定部に、第1実施例と同じイオン液体を浸透させた。そして、イオン液体を浸透させた活性炭固定部に、活性炭電極924(図3)を介して電極板922に取り付けられたセパレータ930を接触させ、モデル試料を形成した。モデル試料の形成の後、印加電圧を変えながら薄片部先端のホログラムを撮影し、撮影したホログラムをコンピュータにより解析処理して、再生位相像および差分位相像を生成した。
図15は、活性炭粒子のホログラムから生成された再生位相像および差分位相像である。図15(a)および図15(b)は、それぞれ、印加電圧を1.5Vおよび2.5Vとしたときの再生位相像であり、図15(c)および図15(d)は、それぞれ、印加電圧を1.5Vおよび2.5Vとしたときの差分位相像である。図15(a)ないし図15(d)に示すように、再生位相像および差分位相像には、縦縞のノイズが現れた。この縦縞のノイズは、位相シフト法により再生位相像を生成することにより生じるアーティファクトであり、除去することは容易ではない。そこで、図15(c)および図15(d)において黒枠で示す、縦縞に沿ったプロファイル評価領域A−Bについて、位相変化量プロファイルを求めた。
図16は、図15の差分位相像から求められた位相変化量プロファイルを示すグラフである。図16(a)および図16(b)において、実線は、それぞれ、印加電圧を1.5Vおよび2.5Vとしたときの、位相変化量プロファイルを示している。図16(a)および図16(b)において、横軸は、プロファイル評価領域の端(評価領域端)Aからの距離(単位は、nm)を表し、縦軸は、位相変化量(単位は、rad)を表している。図16(a)および図16(b)の黒丸は、第1実施例において求めた位相変化量プロファイルを、重ね合わせたものである。なお、第1実施例と第2実施例の位相変化量プロファイルを重ね合わせる際に、第1実施例における貫通孔縁の位置とその位置での位相変化量が、第2実施例における細孔の縁の位置とその位置での位相変化量に一致するように、第1実施例の位相変化量プロファイルをずらしている。
図16(a)および図16(b)から分かるように、印加電圧の高低にかかわらず、活性炭の細孔の内側における位相変化量プロファイルの形態は同様であった。また、印加電圧が1.5Vおよび2.5Vのいずれの場合においても、孔の内部における第1実施例と第2実施例の位相変化量プロファイルは、よく一致することが分かった。このことから、活性炭の細孔内に形成される電気二重層による電位分布の評価が可能であることが分かった。また、第1実施例のように、グラッシーカーボンからなり、貫通孔が形成された薄片部を有する試料電極を用いてモデル試料を形成することにより、実際の電気二重層キャパシタ(図2のEDLC300)における電位分布を十分に高い精度で予測することが可能であることが分かった。
このように、第2実施形態および第2実施例によれば、活性炭固定部の一端に薄片部986を形成し、活性炭固定部に十分な量のイオン液体を浸透させている。このとき、イオン液体は、薄片部986の活性炭由来の細孔中に保持されるとともに、細孔からセパレータ930が接触する位置まで、少なくとも活性炭固定部中の空隙において連続した状態で、電極体980に付着している。そのため、セパレータ930を電極体980に接触させると、活性炭電極924がセパレータ930を介してイオン液体に接触する。これにより、第2実施形態および第2実施例のモデル試料は、電気二重層キャパシタとして機能する。
また、セパレータ930の接触位置は、活性炭固定部のうちの薄片部986から離れた位置、すなわち、薄片部986の活性炭由来の細孔から電子線進行方向と異なる方向に離れた位置となる。そのため、細孔の周縁部の観察をより容易に行うことができるとともに、セパレータ930を接触させることによる薄片部986の損傷を抑制することができる。さらに、細孔は、薄片部986の全体に遍在しているので、薄片部986の端の近傍にも存在する。そのため、細孔の周縁部を電子線ホログラフィにより観察することができる。そして、細孔周縁部のホログラムを撮影し、ホログラムを解析処理することにより、細孔周縁部の電位分布を観察することができる。
また、第2実施形態および第2実施例によれば、電極体980を活性炭粉末を固定することにより形成しているので、電気二重層キャパシタにおいて一般的に使用される電極と構成が近い。そのため、第1実施形態および第1実施例よりも、より実際の電気二重層キャパシタに近い状況における電位分布を観察することができる。一方、第1実施形態および第1実施例は、貫通孔916の周縁部を観察することができるので、孔の内部、すなわち、イオン液体中における電位分布をより明瞭に観察することが可能となる。
C.変形例:
本発明は上記各実施形態および実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
C1.変形例1:
上記各実施形態および実施例では、試料SPCを真空中に配置する電子線ホログラフィ顕微鏡100を用いて観察を行うため、真空中でほとんど蒸発しないイオン液体を電解液として使用している。但し、特許文献2のように、試料を特定のガス雰囲気下に保った状態で観察できる場合には、電解液として、電解質を溶媒に溶解した電解質溶液を使用することも可能である。
C2.変形例2:
上記各実施形態および実施例では、その場観察の対象を電気二重層キャパシタとしているが、本発明は、電解液を有する一次電池や二次電池等の種々の電気素子のその場観察に適用することができる。この場合、電極体は、グラッシーカーボンや活性炭粉末に換えて、観察対象において使用される電極材のバルク片や多孔性粉末を用いて形成される。なお、バルク片や多孔性粉末は、結晶構造に由来するノイズの発生を低減することができる点で、非晶質であるのが好ましい。
C3.変形例3:
上記各実施形態および各実施例では、電気二重層キャパシタの電解液中の電位分布の観察に本発明を適用しているが、本発明は、リチウム電池におけるデンドライトの発生等の構造の変化をその場観察する際にも適用することが可能である。なお、構造の変化をその場観察する場合においては、電子線ホログラフィを用いずに、試料SPC(図1)の像ISPを観察するものとしても良い。この場合、一般的な透過型電子顕微鏡によりその場観察を行うことができる。また、電子線ホログラフィを用いない場合には、電極体の中央部等、電極体の任意の位置に薄片部を形成することも可能であり、孔の形成位置も薄片部任意の位置に形成することも可能である。
C4.変形例4:
上記各実施形態、実施例および変形例では、本発明を透過型電子顕微鏡によりその場観察を行うための試料の作製に適用しているが、本発明は、透過型電子顕微鏡の他、透過走査型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡等の種々の電子顕微鏡によりその場観察を行うための試料の作製に適用することができる。なお、走査型電子顕微鏡のように、電子線を透過させる必要がない場合には、薄片部の形成を省略することができる。
10…電位分布観察装置
12,14…リード線
100…電子線ホログラフィ顕微鏡
110…電子線照射装置
112…電子源
114…集束レンズ
120…対物レンズ
130…電子線バイプリズム
132…フィラメント
134…接地電極
200…直流電源装置
310,320…電極
312,322…集電極
314,324…活性炭電極
330…セパレータ
340…電解液
360…活性炭粒子
700…試料ホルダ
710…外枠
722,732…絶縁板
724,734…固定板
726,736…穴
728,738…止めネジ
740…支持板
900…モデル試料
910…電極体
910a,910b,910c…バルク片
912…バルク部
914…薄片部
914b,914c…薄厚部
916,916c…貫通孔
922…電極板
924…活性炭電極
930…セパレータ
940…イオン液体
980…電極体
982…支持体
984,984c,984d…活性炭粒子
986…薄片部
AO…観察領域
AV…真空領域
IFF…干渉縞
ISP…像
PS…直流電源
SPC…試料
Ψo…物体波
Ψr…参照波

Claims (12)

  1. 電解液を有する電気素子を動作状態で観察する電子線照射によるその場観察のための試料の作製方法であって、
    前記電子線が透過可能な厚さの薄片部を有し、前記薄片部に前記電子線の進行方向の孔が形成された電極体を準備し、
    電極部とセパレータとを有し、前記孔から前記電子線の進行方向とは異なる方向に離れた接触位置において、前記セパレータを前記電極体に接触させることが可能なように構成された対電極体を準備し、
    前記孔に前記電解液が保持されるとともに、前記孔から前記接触位置まで前記電解液が連続するように前記電解液を前記電極体に付着させ、
    前記セパレータを前記接触位置に接触させることにより、前記セパレータを介して前記電極部を前記電解液に接触させる、
    試料の作製方法。
  2. 請求項1記載の試料の作製方法であって、
    前記孔は、前記電子線の進行方向に貫通する貫通孔である、
    試料の作製方法。
  3. 請求項1または2記載の試料の作製方法であって、
    前記薄片部は、前記電極体の一端に形成されており、
    前記孔は、前記薄片部の端の近傍に形成されている、
    試料の作製方法。
  4. 請求項記載の試料の作製方法であって、
    複数の前記孔が、前記薄片部の端に対して斜めに配列されている、
    試料の作製方法。
  5. 請求項または記載の試料の作製方法であって、
    前記電極体を構成する材料からなるバルク片を準備し、
    前記バルク片の端の近傍に前記電子線の進行方向の集束イオンビームを照射することにより、前記孔を形成し、
    前記バルク片の前記孔が形成された端部に前記電子線の進行方向とは異なる方向の集束イオンビームを照射することにより、前記薄片部を形成する、
    試料の作製方法。
  6. 請求項記載の試料の作製方法であって、
    前記孔の形成に先だって、前記孔が形成される端部に前記電子線の進行方向とは異なる方向の集束イオンビームを照射することにより、前記孔の形成に適した厚さの薄厚部を形成する、
    試料の作製方法。
  7. 請求項または記載の試料の作製方法であって、
    前記バルク片は、ガラス状構造を持つカーボンからなる、
    試料の作製方法。
  8. 請求項記載の試料の作製方法であって、
    前記電極体を構成する第1の材料からなり細孔を有する多孔性粉末を準備し、
    前記多孔性粉末の粒子を、前記電極体を構成する第2の材料からなる支持体の一端に固定し、
    前記支持体の端部に固定された前記多孔性粉末の粒子に前記電子線の進行方向とは異なる方向の集束イオンビームを照射することにより、前記孔が形成された前記薄片部を形成する、
    試料の作製方法。
  9. 請求項記載の試料の作製方法であって、
    前記多孔性粉末は、活性炭粉末である、
    試料の作製方法。
  10. 請求項1ないしのいずれか記載の試料の作製方法であって、
    前記電解液は、イオン液体である、
    試料の作製方法。
  11. 電子線ホログラフィによる電解液を有する電気素子の動作状態における電位分布のその場観察方法であって、
    請求項ないしのいずれか記載の作製方法によって作製された試料を準備し、
    前記試料の前記電極体と前記対電極体との間に電圧を印加した状態における、前記孔の周縁部の第1の電子線ホログラムを取得し、
    前記試料の前記電極体と前記対電極体との間に電圧を印加しない状態における、前記孔の周縁部の第2の電子線ホログラムを取得し、
    前記第1と第2の電子線ホログラムから、位相シフト法により第1と第2の再生位相像をそれぞれ生成し、
    前記第1の再生位相像から前記第2の再生位相像を引いた差分位相像を生成して、前記電極体と前記対電極体との間に電圧を印加した状態における、前記孔の周縁部における電位分布を観察する、
    電位分布のその場観察方法。
  12. 請求項11記載の電位分布のその場観察方法であって、
    前記電解液は、イオン液体である、
    電位分布のその場観察方法。
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