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JP6502803B2 - 断層横断埋設管路の挙動推定方法及び断層横断埋設管路の挙動推定装置 - Google Patents
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JP6502803B2 - 断層横断埋設管路の挙動推定方法及び断層横断埋設管路の挙動推定装置 - Google Patents

断層横断埋設管路の挙動推定方法及び断層横断埋設管路の挙動推定装置 Download PDF

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Description

本発明は、断層横断埋設管路の挙動推定方法及び断層横断埋設管路の挙動推定装置に関する。
図1(a),(b)に示すように、耐震継手ダクタイル鉄管等、耐震継手を介して複数の管1が接合された管路が埋設された地盤に地盤沈下や地割れが発生した場合に、一つの継手の伸縮量や屈曲角が限界に達しても、隣の継手が挙動することで大きな地盤変位が吸収される。
図1(c)には、このような耐震継手ダクタイル鉄管の一例であるNS形ダクタイル鉄管の継手部の伸縮挙動が示されている。上段は標準状態、中段は収縮状態、下段は伸長状態がそれぞれ示されている。図中、符号2は受口、符号3は挿口、符号4はゴム輪、符号5はロックリングを示している。当該耐震継手の伸縮量は管長の±1%であり、引抜耐力は3D(kN)、Dは呼び径mm、配管施工時の許容屈曲角度αは4°、最大許容屈曲角度βは8°である。
特許文献1には、メカニカル継手を含む配管系の不等沈下に対する健全性の評価が可能な維持管理方法として、メカニカル継手を有する地中埋設配管路に沿って、地盤の沈下分布を地表で計測し、沈下分布から局所的な相対沈下量δrと、その発生範囲の長さLとを求め、発生範囲に含まれるメカニカル継手の最大曲げ角度θmaxをθmax≦2arctan(2δr/L)として、最大曲げ角度θmaxとメカニカル継手の許容曲げ角度とを比較することにより、配管系の健全性を評価する維持管理方法が提案されている。
特開平7−248100号公報
上述した配管系の健全性を評価する維持管理方法によれば、地表で計測された地盤の沈下分布に基づいてメカニカル継手の曲げ角度を算出し、算出した曲げ角度と許容曲げ角度とを比較することにより既設の配管系の健全性を評価することができる。
しかし、地震の活動期に入ったといわれている我が国では、断層横断埋設管路の挙動を推定して健全性を評価することの必要性が認識されながら、大掛かりなシミュレーション装置を用いて評価する方法以外に、未だそのための実用的な挙動推定方法が無い。また、既設の管路のみならずこれから敷設する計画管路に対しても、断層横断埋設管路の挙動を推定して十分な安全性を見込んで設計するために断層横断埋設管路の挙動推定方法が求められている。
本発明の目的は、上述した問題点に鑑み、大掛かりなシミュレーション装置を用いず簡易に精度が得られる断層横断埋設管路の挙動推定方法及び断層横断埋設管路の挙動推定装置を提供する点にある。
上述の目的を達成するため、本発明による断層横断埋設管路の挙動推定方法の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、断層横断埋設管路の挙動推定方法であって、所定の継手回転ばねモデルで規定される許容屈曲角度θ、管の有効長Lに対して、断層変位量のうち管軸直角方向の断層変位量Hを吸収するのに必要な断層面から片側の最少の耐震継手数Nを数式〔数1〕に基づいて算出するとともに、そのときの管軸方向の屈曲範囲Lを数式〔数2〕に基づいて算出する第1ステップと、


所定の相対変位δgyを境にばね定数k1y,k2y(k1y>k2y)で定義される管軸直角方向の地盤ばねモデルに従う数式〔数3〕に基づいて、管と地盤の相対変位yに対して管の受ける荷重p(y)を台形分布荷重として算出する第2ステップと、

数式〔数4〕で求まる管軸方向の位置xでの台形分布荷重の曲げモーメントM(x)から各継手位置の曲げモーメント分布を求め、求めた曲げモーメント分布から前記継手回転ばねモデルに従って各継手位置の管の屈曲角度θを求める第3ステップと、

前記第3ステップで求めた屈曲角度θが許容屈曲角度θ以内に収まるか否かに基づいて屈曲性能を評価する屈曲性能評価ステップと、を含む点にある。
第1ステップでは、管軸方向の断層変位量とは無関係に、管軸直角方向の断層変位量Hを吸収するのに必要な断層面から片側の最少の耐震継手数Nの全てが許容屈曲角度θ屈曲するとの仮定の下で、数式〔数1〕に基づいて最少の耐震継手数Nが求められ、そのときの管軸方向の屈曲範囲Lが数式〔数2〕により求められる。
第2ステップでは、管と地盤の相対変位yが断層面を中心に線形に分布するものと仮定し、所定の管軸直角方向の地盤ばねモデルに従う数式〔数3〕により、管と地盤の相対変位yに対して管の受ける荷重p(y)が台形分布荷重として算出される。
第3ステップでは、数式〔数4〕により台形分布荷重に対する各継手位置の曲げモーメント分布が求められ、継手回転ばねモデルに従って各継手位置の管の屈曲角度θが求められる。
屈曲性能評価ステップでは、算出された屈曲角度θが許容屈曲角度θ以内に収まるか否により耐屈曲性能が評価される。即ち、管軸方向の断層変位量が異なる様々な断層変位に対して管軸直角方向の断層変位量Hのみで耐屈曲性能が評価される。
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、断層変位量のうち管軸方向の断層変位量の半値となる断層面での管と地盤の相対変位量X、継手伸縮量δ、数式〔数5〕で規定され断層面を基準とする管軸方向の位置xでの管と地盤の相対変位量y(x)、数式〔数6〕で規定される管軸方向の影響範囲Xに対して、所定の相対変位δを境にばね定数k,k(k>k)で定義される管軸方向の地盤ばねモデルに対応した数式〔数7〕に基づいて軸力f(y)を算出する第4ステップと、



数式〔数8〕に基づいて断層位置での軸力fmaxを算出する第5ステップと、

前記第5ステップで求めた軸力fmaxが所定の基準値に収まるか否かに基づいて軸力を評価する軸力評価ステップと、を備えている点にある。
第4ステップでは、管軸方向の地盤ばねモデルに対応した数式〔数7〕に基づいて軸力f(y)が算出され、第5ステップでは、断層面から管軸方向の影響範囲Xまで軸力f(y)を積分した軸力fmaxが算出される。
そして、軸力評価ステップでは、軸力fmaxが所定の基準値に収まるか否かに基づいて軸力が評価される。即ち、管軸直角方向の断層変位量が異なる様々な断層変位に対して管軸方向の断層変位量Xのみで耐軸力性能が評価される。
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第二の特徴構成に加えて、前記軸力評価ステップで軸力fmaxが所定の基準値を超えると評価されると、前記第3ステップで求めた屈曲角度θが所定の角度閾値θ以下となる位置を継手伸縮量Δの大変位吸収ユニットの設置位置として設定する第6ステップと、大変位吸収ユニットの設置間隔s、管軸方向影響範囲内のユニット数N、及び断層面から一つ目の大変位吸収ユニットまでの継手数nとして、数式〔数9〕で規定される管軸方向の影響範囲Xに対して、数式〔数10〕に基づいて軸力fmaxを算出する第7ステップと、

前記第7ステップで求めた軸力fmaxが所定の基準値に収まるか否かに基づいて軸力を評価する大変位吸収ユニット対応軸力評価ステップと、を備えている点にある。
軸力評価ステップで軸力fmaxが所定の基準値を超えると評価されると、第6ステップでは、第3ステップで求めた屈曲角度θが所定の角度閾値θ以下となる位置が継手伸縮量Δの大変位吸収ユニットの設置位置として設定され、第7ステップでは、数式〔数9〕で規定される管軸方向の影響範囲Xに対して、数式〔数10〕に基づいて軸力fmaxが算出される。そして、大変位吸収ユニット対応軸力評価ステップでは、第7ステップで求められた軸力fmaxが所定の基準値に収まるか否かに基づいて耐軸力性能が評価される。
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第二または第三の特徴構成に加えて、前記軸力fmaxと管の断面積Aから軸応力σ=fmax/Aを算出する軸応力算出ステップと、前記曲げモーメントMと管の断面係数Zから曲げ応力σ=M/Zを算出する曲げ応力算出ステップと、前記軸応力算出で求めた軸応力σと前記曲げ応力算出で求めた曲げ応力σを加算して応力σ=σ+σを算出する応力算出ステップと、前記応力算出ステップで求めた応力σが所定の耐力に収まるか否かに基づいて応力を評価する応力評価ステップと、を備えている点にある。
応力評価ステップでは、軸力fmaxと管の断面積Aから算出された軸応力σと、曲げモーメントMと管の断面係数Zから算出された曲げ応力σとの和で求まる応力が許容値に収まるか否かが評価される。
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第一から第四の何れかの特徴構成を備えた断層横断埋設管路の挙動推定方法を実行する簡易解析実行ステップと、前記簡易解析実行ステップで所定の評価が得られた後に、有限要素法を用いた構造解析方法を実行する詳細解析実行ステップと、を備えている点にある。
短時間で繰り返して実行可能な第一から第四の何れかの特徴構成を備えた断層横断埋設管路の挙動推定方法を実行して、満足の得られた解析結果に基づいて有限要素法を用いた構造解析方法を用いた解析を行なうことで、信頼性を十分に確保した解析が実現でき、時間の掛かる有限要素法を用いた構造解析の繰返し回数を大きく低減できるので、より迅速な評価作業環境が整えられるようになった。
本発明による断層横断埋設管路の挙動推定装置の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、断層横断埋設管路の挙動推定装置であって、上述した第一から第四の何れかの特徴構成を備えた断層横断埋設管路の挙動推定方法を実行する挙動推定演算部と、前記挙動推定演算部による演算条件を設定する条件入力部と、前記挙動推定演算部による演算結果を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された演算結果の何れかを表示する表示部と、を備えている点にある。
このような断層横断埋設管路の挙動推定装置を用いることにより、演算時間のかかる有限要素法を用いたシミュレーション演算を行なうことなく、短時間である程度の信頼性のある評価が行なえるようになり、既設管路の耐震性評価、耐震性の高い未設管路の設計が行なえるようになる。
以上説明した通り、本発明によれば、大掛かりなシミュレーション装置を用いず簡易に精度が得られる断層横断埋設管路の挙動推定方法及び断層横断埋設管路の挙動推定装置を提供することができる。
(a)は耐震継手で接合された管路の地盤沈下時の挙動説明図、(b)は同地割れ時の挙動説明図、(c)は耐震継手の伸縮動作説明図 断層が管路に作用する軸力及び継手屈曲角の説明図 (a)は継手ばね及び地盤ばねの説明図、(b)〜(d)は継手ばねモデルの説明図、(e),(f)は地盤ばねモデルの特性図 断層近傍の継手から屈曲する様子を示したシミュレーション結果の説明図 (a)は継手屈曲角度の挙動推定方法に用いる継手回転ばねモデルの説明図、(b)は断層変位Hに対する管の屈曲範囲Lの説明図管路 (a)は継手屈曲角度の挙動推定方法に用いる管軸直角方向の地盤ばねモデルの説明図、(b)は管路と地盤の相対変位yの分布の説明図、(c)は管路に掛かる荷重p(y)の分布の説明図 (a)は本発明の挙動推定方法による推定結果の継手回転ばねの説明図、(b)は本発明の挙動推定方法による推定結果とFEM解析結果を対比した継手屈曲角度の分布の説明図 断層交差角度が異なっても軸力−管軸方向地盤変位の曲線が一致することを示すFEM解析結果の説明図 (a)は断層変位により継手が圧縮される状態の説明図、(b)は断層面を境に左右対称に地盤と管が相対変位することを示す説明図、(c)は単位長さ当たりの軸力分布の説明図 (a)は管と地盤の相対変位量y(x)の説明図、(b)は軸力を推定するために用いる管軸方向地盤ばねモデルの説明図、(c)継手の屈曲角度分布の説明図 本発明の挙動推定方法による推定結果とFEM解析結果を対比した軸力特性の説明図 (a)は大変位対応ユニットを用いた場合の管と地盤の相対変位量y(x)の説明図、(b)は軸力の影響範囲Xの説明図 (a),(b)は軸力の影響範囲Xの算定方法の説明図 大変位対応ユニットを用いた場合の本発明の挙動推定方法による推定結果とFEM解析結果を対比した軸力特性の説明図 断層横断埋設管路の挙動推定装置の機能ブロック構成図 断層横断埋設管路の挙動推定装置の解析条件入力画面の説明図 断層横断埋設管路の挙動推定装置の解析結果表示画面の説明図 断層横断埋設管路の挙動推定装置の解析結果表示画面の説明図 断層横断埋設管路の挙動推定方法の手順を示すフローチャート
以下に本発明による断層横断埋設管路の挙動推定方法及び断層横断埋設管路の挙動推定装置を、耐震継手ダクタイル鉄管の一例であるNS形ダクタイル鉄管の直管を例に説明する。尚、本発明は、NS形ダクタイル鉄管に限らず、耐震継手を介して複数の管が接合される断層横断埋設管路全般に適用できる。
図2に示すように、本発明は、断層角度φの断層変位を管軸方向と管軸直角方向に二成分に分けて「継手屈曲角」、「軸力」及び「応力」を簡易的に算定することにより管路挙動を推定し評価する方法及び装置であり、継手部を含む管路をモデル化してFEM解析を行なった結果に基づいて構成されている。FEM解析とは、有限要素法を用いた構造解析のことである。
以下、順に説明する。
図3(a)には、継手ばね及び地盤ばねモデルが示されている。解析対象となる耐震継手で接合される管路を弾性床上の梁(剛体)と見なし、実験に基づいて得られたばね定数に基づいて継手および地盤をモデル化した。
図3(b)から(d)には継手ばねの特性が示され、図3(e),(f)には地盤ばねの特性が示されている。継手ばねのうちの回転ばねは、受口側の管の管軸と挿口側の管の管軸が屈曲した状態となって受口側の管の継手部内面に挿口側の管の継手部外面が接触して曲がりにくくなる角度(図3(c)のθ)が設定されている。当該角度θを許容屈曲角度といい、本実施形態では、許容屈曲角度を一律に4.0°に設定している。
呼び径75〜250のNS形ダクタイル鉄管は地震時に曲がりうる最大屈曲角度が8°と規定され、8°以内で継手性能が保持される。尚、許容屈曲角度及び最大許容屈曲角度の値は、本実施形態に記載した値に限るものではなく、呼び径により異なる値であってもよいし、耐震継手鉄管の種類により異なる値に設定されていてもよい。
軸方向ばねは、管とゴム輪が滑り継手部が伸縮する領域、継手の抜け出し防止機構が働き伸縮が止まる領域でそれぞれ異なるばね定数が設定されている。
地盤ばねのうちの管軸方向地盤ばねは、管と地盤の滑りを考慮して管と地盤の相対変位が限界値を超えるとばね定数が小さくなるバイリニアモデルで設定され、管軸直角方向地盤ばねは、管が地盤に対し相対的に下方へ移動する場合は地盤反力を考慮し、管が地盤に対し相対的に上方へ移動する場合は地盤の崩壊を考慮して設定されている。何れも管と地盤の相対変位が限界値を超えるとばね定数が小さくなるバイリニアモデルで設定されている。
3次元骨組構造物非線形動的解析システム「DYNA2E」(伊藤忠テクノソリューションズ株式会社)を用いて、このような継手ばねおよび地盤ばねモデルに対して断層位置や管長を変えてFEM解析を行なった。
先ず、管軸直角方向地盤変位による継手屈曲角度の評価方法について説明する。
図4に示すように、管路に生じる軸力が小さい場合、断層近傍の継手から順に継手が屈曲し、断層変位が吸収されることが判明している。
図5(a),(b)に示すように、FEM解析結果から、断層の影響範囲にある継手は全て許容屈曲角度θだけ屈曲するとともに断層面にある継手は屈曲しないとの仮定の下で、上述した所定の継手回転ばねモデルで規定される許容屈曲角度θ、管の有効長Lに対して、断層変位量のうち管軸直角方向の断層変位量Hを吸収するのに必要な断層面から片側の最少の耐震継手数Nを数式〔数11〕に基づいて算出するとともに、そのときの管軸方向の屈曲範囲Lを数式〔数12〕に基づいて算出する第1ステップを実行する。

次に、図6(b)に示すように、管路と地盤の相対変位yは断層面を中心に安全側となる線形に分布すると仮定するとともに、断層面位置の相対変位はH/2、断層面からL離れた位置の相対変位は0になるとの仮定の下で、図6(a)に示すような所定の相対変位δgyを境にばね定数k1y,k2y(k1y>k2y)で定義される管軸直角方向の地盤ばねモデルに従う数式〔数13〕に基づいて、図6(c)に示すような管と地盤の相対変位yに対して管の受ける荷重p(y)を台形分布荷重として算出する第2ステップを実行する。
次に、数式〔数14〕で求まる管軸方向の位置xでの台形分布荷重の曲げモーメントM(x)から各継手位置の曲げモーメント分布を求め、求めた曲げモーメント分布から図7(a)に示すような継手回転ばねモデルに従って各継手位置の管の屈曲角度θを求める第3ステップを実行する。
さらに、第3ステップで求めた屈曲角度θが許容屈曲角度θ以内に収まるか否かに基づいて屈曲性能を評価する屈曲性能評価ステップを実行する。その結果、管軸方向の断層変位量が異なる様々な断層変位に対して管軸直角方向の断層変位量Hのみで耐屈曲性能が評価できるようになる。
図7(b)には、FEM解析の結果と、本発明による解析結果が示されており、断層近傍の継手屈曲角度は概ね一致することが判明し、簡易的に継手屈曲角度を評価する本発明による方法の有効性が証明された。
次に、簡易的な軸力の評価方法について説明する。
図8に示すように、FEM解析の結果、断層交差角度が異なっても、軸力−管軸方向地盤変位の曲線はほぼ一致することが判明している。
図9(a),(b)に示すように、断層変位後に破線で示される管路の継手が圧縮され、各継手部で相対変位を吸収するとの仮定の下で、図9(c)に示すように、地盤ばねモデルを用いて単位長さ当たりの軸力f(y)分布を求め、軸力f(y)を図中ハッチングで示される範囲で積分することにより、軸力fmaxを求める。
具体的に、図10(a),(b)に示すように、断層変位量のうち管軸方向の断層変位量の半値となる断層面での管と地盤の相対変位量X、継手伸縮量δ、数式〔数15〕で規定され断層面を基準とする管軸方向の位置xでの管と地盤の相対変位量y(x)、数式〔数16〕で規定される管軸方向の影響範囲Xに対して、所定の相対変位δgを境にばね定数k,k(k>k)で定義される管軸方向の地盤ばねモデルに対応した数式〔数17〕に基づいて軸力f(y)を算出する第4ステップを実行する。


次に、数式〔数18〕に基づいて断層位置での軸力fmaxを算出する第5ステップを実行する。
さらに、第5ステップで求めた軸力fmaxが所定の基準値に収まるか否かに基づいて軸力を評価する軸力評価ステップを実行する。所定の基準値は、3DkN(ここに、Dは呼び径である。)により設定される値が好適に用いられる。即ち、管軸直角方向の断層変位量が異なる様々な断層変位に対して管軸方向の断層変位量Xのみで耐軸力性能が評価される。
図11に示すように、断層角45°,60°に対するFEM解析の結果と、本発明による方法を対比すると、低軸力時には曲線はほぼ一致し軸力3DkN付近で安全側に評価できることが証明された。
上述した軸力評価ステップで、軸力fmaxが所定の基準値を超えると評価されると、図10(c)に示すように、第3ステップで求めた屈曲角度θが所定の角度閾値θ以下となる位置を継手伸縮量(長尺継ぎ輪の伸縮量)Δの大変位吸収ユニットの設置位置として設定する第6ステップを実行する。図10(c)では、角度閾値θ以下となるD−E間に大変位吸収ユニットが設置される。
管軸直角方向の変位の影響を受けた範囲、つまり継手が屈曲した範囲を挟むように、大変位対応ユニットを設ける必要がある。そこで、具体的に角度閾値θは安全を考慮して、図7(a)に示す継手回転ばねのモーメントが非常に大きくなる角度θよりも十分に小さな角度に設定され、本実施形態では、角度θの3.2°に対して角度閾値θを1°に設定されている。しかし、角度閾値θは1°に制限される値ではなく、安全を考慮して適宜設定される値であればよい。
図12(a)に示すように、大変位吸収ユニットを用いることにより、軸方向の影響範囲を狭めることができ、大変位吸収ユニットの外側の管路の相対変位量を低減することができ、これにより軸力が低減するようになる。
さらに、数式〔数19〕で規定される管軸方向の影響範囲Xに対して、数式〔数20〕に基づいて軸力fmaxを算出する第7ステップを実行する。数式〔数19〕で、sは大変位吸収ユニットの設置間隔、Nは管軸方向影響範囲内の大変位吸収ユニットの数である。
数式〔数19〕で、nは断層面から一つ目の大変位吸収ユニットまでの継手数である。N,nの値は、任意の実数に対して最大の整数値に変換する天井関数で定まる値である。また、影響範囲Xを示す式の前半部はユニットが縮み切っており、大変位吸収ユニットNとN+1の間の継手が縮んでいる場合(図13(a)参照)を示し、後半部はユニットNが縮んでいる場合(図13(b)参照)を示す。
abは図12(b)に示す領域a+bの相対変位によって生じる軸力である。また、fは領域bの相対変位によって生じる軸力である。軸力fabから軸力fを減算することによりfmaxが求まる。
上述した第7ステップで求めた軸力fmaxが所定の基準値に収まるか否かに基づいて軸力を評価する大変位吸収ユニット対応軸力評価ステップが実行される。
図14に示すように、FEM解析と上述の軸力の解析結果とはほぼ一致することが判明している。
さらに、軸力fmaxと管の断面積Aから軸応力σ=fmax/Aを算出する軸応力算出ステップと、曲げモーメントMと管の断面係数Zから曲げ応力σ=M/Zを算出する曲げ応力算出ステップと、軸応力算出で求めた軸応力σと曲げ応力算出で求めた曲げ応力σを加算して応力σ=σ+σを算出する応力算出ステップと、応力算出ステップで求めた応力σが所定の耐力に収まるか否かに基づいて応力を評価する応力評価ステップとが実行される。
応力評価ステップでは、軸力fmaxと管の断面積Aから算出された軸応力σaと、曲げモーメントMと管の断面係数Zから算出された曲げ応力σとの和で求まる応力が許容値に収まるか否かが評価される。
このような簡易的な解析を行なって管路を見直した後に、最終的にFEM解析を実行することにより、簡易解析の信頼性が担保される。大変位吸収ユニットを付加する場合には、予め上述した簡易解析で大変位吸収ユニットの間隔を定めて最終的にFEM解析を実行すればよい。
図15に示すように、本発明による断層横断埋設管路の挙動推定装置100は、汎用のコンピュータで構成され、上述した断層横断埋設管路の挙動推定方法を実行する挙動推定演算部20と、挙動推定演算部20による演算条件を設定する条件入力部10と、挙動推定演算部20による演算結果を記憶する記憶部30と、記憶部30に記憶された演算結果の何れかを表示する表示部40と、を備えて構成されている。条件入力部10と表示部40とがタッチパネル式液晶表示装置101を用いて実現されている。
このような断層横断埋設管路の挙動推定装置を用いることにより、演算時間のかかる有限要素法を用いたシミュレーション演算を行なうことなく、短時間である程度の信頼性のある評価が行なえるようになり、既設管路の耐震性評価、耐震性の高い未設管路の設計が行なえるようになる。
即ち、汎用のコンピュータを断層横断埋設管路の挙動推定装置として機能させるために、所定の継手回転ばねモデルで規定される許容屈曲角度θ、管の有効長Lに対して、断層変位量のうち管軸直角方向の断層変位量Hを吸収するのに必要な断層面から片側の最少の耐震継手数Nを数式〔数11〕に基づいて算出するとともに、そのときの管軸方向の屈曲範囲Lを数式〔数12〕に基づいて算出する第1ステップと、所定の相対変位δgyを境にばね定数k1y,k2y(k1y>k2y)で定義される管軸直角方向の地盤ばねモデルに従う数式〔数13〕に基づいて、管と地盤の相対変位yに対して管の受ける荷重p(y)を台形分布荷重として算出する第2ステップと、数式〔数14〕で求まる管軸方向の位置xでの台形分布荷重の曲げモーメントM(x)から各継手位置の曲げモーメント分布を求め、求めた曲げモーメント分布から前記継手回転ばねモデルに従って各継手位置の管の屈曲角度θを求める第3ステップと、前記第3ステップで求めた屈曲角度θが許容屈曲角度θ以内に収まるか否かに基づいて屈曲性能を評価する屈曲性能評価ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムがインストールされている。
プログラムは、また、断層変位量のうち管軸方向の断層変位量の半値となる断層面での管と地盤の相対変位量X、継手伸縮量δ、数式〔数15〕で規定され断層面を基準とする管軸方向の位置xでの管と地盤の相対変位量y(x)、数式〔数16〕で規定される管軸方向の影響範囲Xに対して、所定の相対変位δgを境にばね定数k,k(k>k)で定義される管軸方向の地盤ばねモデルに対応した数式〔数17〕に基づいて軸力f(y)を算出する第4ステップと、数式〔数18〕に基づいて断層位置での軸力fmaxを算出する第5ステップと、前記第5ステップで求めた軸力fmaxが所定の基準値に収まるか否かに基づいて軸力を評価する軸力評価ステップと、を備えている。
さらに、前記軸力評価ステップで軸力fmaxが所定の基準値を超えると評価されると、前記第3ステップで求めた屈曲角度θが所定の角度閾値θ以下となる位置を継手伸縮量Δの大変位吸収ユニットの設置位置として設定する第6ステップと、数式〔数19〕で規定される管軸方向の影響範囲Xに対して、数式〔数20〕に基づいて軸力fmaxを算出する第7ステップと、前記第7ステップで求めた軸力fmaxが所定の基準値に収まるか否かに基づいて軸力を評価する大変位吸収ユニット対応軸力評価ステップと、を備えている。
さらにまた、前記軸力fmaxと管の断面積Aから軸応力σ=fmax/Aを算出する軸応力算出ステップと、前記曲げモーメントMと管の断面係数Zから曲げ応力σ=M/Zを算出する曲げ応力算出ステップと、前記軸応力算出で求めた軸応力σと前記曲げ応力算出で求めた曲げ応力σを加算して応力σ=σ+σを算出する応力算出ステップと、前記応力算出ステップで求めた応力σが所定の耐力に収まるか否かに基づいて応力を評価する応力評価ステップと、を備えている。
このようなプログラムは汎用の表計算ソフトに、例えばマクロ命令を用いて組み込むことができる。
図16には、断層横断埋設管路の挙動推定装置の入力画面が示されている。断層交差角、管の呼び径、伸縮量、管長等の管路条件や各種のばねモデルの定数が入力されると、簡易解析が実行され、図17,図18に示すような演算結果が表示される。この出力画面によって解析結果が良好であるか否かが一目瞭然で判断できるように構成されている。
図19には、断層横断埋設管路の挙動推定装置及びFEM解析装置を用いた挙動推定手順が示されている。先ず、挙動推定装置100により定尺管に対する屈曲角度の簡易解析が行なわれ(S1)、結果が評価され(S2)、NGであるなら管路を見直して(S3)、再度屈曲角度の簡易解析が行なわれる。
屈曲角度の簡易解析結果がOKなら(S2)、軸力の簡易解析が行なわれ(S4)、結果が評価され(S5)、NGであるなら管路を見直して(S6)、再度軸力の簡易解析が行なわれる。
軸力の簡易解析結果がOKなら(S5)、応力の簡易解析が行なわれ(S7)、結果が評価され(S8)、NGであるなら管路を見直して(S9)、再度ステップS1からの簡易解析が行なわれる。
応力の簡易解析結果がOKなら(S8)、FEM解析が行なわれ(S10)、結果が評価され、NGなら(S11)、管路を見直して再度FEM解析が行なわれる(S10)。OKなら解析を終了する。このように、挙動推定装置100を用いて、短時間で繰り返して実行されるステップS1からステップS9の解析を行なった結果、満足の得られた解析結果に基づいてFEM解析を行なうことで信頼性を十分に確保した解析が実現できる。そして、最終の時間の掛かるFEM解析の繰返し回数を大きく低減できるので、より迅速な評価作業環境が整えられるようになった。
図19に示したフローチャートでは、ステップS1,S4,S7の各解析の何れでも満足できる評価結果が得られた後にステップS10のFEM解析を実行する例が示されているが、ステップS1,S4,S7の何れか一つの簡易解析で満足できる評価結果が得られた後にステップS10のFEM解析を実行するように構成されていてもよい。つまり、本発明は、屈曲角度、軸力の何れか一つを評価するものであってもよいし、屈曲角度、軸力の何れか一つを評価した後にFEM解析を実行するように構成されていてもよい。
上述した説明は、断層横断埋設管路の挙動推定方法及び断層横断埋設管路の挙動推定装置の一実施形態の説明であり、該記載により本発明の範囲が限定されるものではなく、目的変量及び目的変量のカテゴリの係数が上述した種類及び数値に限るものではなく、本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能であることはいうまでもない。
100:断層横断埋設管路の挙動推定装置
10:条件入力部
20:挙動推定演算部
30:記憶部
40:表示部

Claims (6)

  1. 断層横断埋設管路の挙動推定方法であって、
    所定の継手回転ばねモデルで規定される許容屈曲角度θ、管の有効長Lに対して、断層変位量のうち管軸直角方向の断層変位量Hを吸収するのに必要な断層面から片側の最少の耐震継手数Nを数式〔数1〕に基づいて算出するとともに、そのときの管軸方向の屈曲範囲Lを数式〔数2〕に基づいて算出する第1ステップと、


    所定の相対変位δgyを境にばね定数k1y,k2y(k1y>k2y)で定義される管軸直角方向の地盤ばねモデルに従う数式〔数3〕に基づいて、管と地盤の相対変位yに対して管の受ける荷重p(y)を台形分布荷重として算出する第2ステップと、

    数式〔数4〕で求まる管軸方向の位置xでの台形分布荷重の曲げモーメントM(x)から各継手位置の曲げモーメント分布を求め、求めた曲げモーメント分布から前記継手回転ばねモデルに従って各継手位置の管の屈曲角度θを求める第3ステップと、

    前記第3ステップで求めた屈曲角度θが許容屈曲角度θ以内に収まるか否かに基づいて屈曲性能を評価する屈曲性能評価ステップと、
    を含む断層横断埋設管路の挙動推定方法。
  2. 断層変位量のうち管軸方向の断層変位量の半値となる断層面での管と地盤の相対変位量X、継手伸縮量δ、数式〔数5〕で規定され断層面を基準とする管軸方向の位置xでの管と地盤の相対変位量y(x)、数式〔数6〕で規定される管軸方向の影響範囲Xに対して、所定の相対変位δを境にばね定数k,k(k>k)で定義される管軸方向の地盤ばねモデルに対応した数式〔数7〕に基づいて軸力f(y)を算出する第4ステップと、



    数式〔数8〕に基づいて断層位置での軸力fmaxを算出する第5ステップと、

    前記第5ステップで求めた軸力fmaxが所定の基準値に収まるか否かに基づいて軸力を評価する軸力評価ステップと、
    を備えている請求項1記載の断層横断埋設管路の挙動推定方法。
  3. 前記軸力評価ステップで軸力fmaxが所定の基準値を超えると評価されると、前記第3ステップで求めた屈曲角度θが所定の角度閾値θ以下となる位置を継手伸縮量Δの大変位吸収ユニットの設置位置として設定する第6ステップと、
    大変位吸収ユニットの設置間隔s、管軸方向影響範囲内のユニット数N、及び断層面から一つ目の大変位吸収ユニットまでの継手数nとして、数式〔数9〕で規定される管軸方向の影響範囲Xに対して、数式〔数10〕に基づいて軸力fmaxを算出する第7ステップと、

    前記第7ステップで求めた軸力fmaxが所定の基準値に収まるか否かに基づいて軸力を評価する大変位吸収ユニット対応軸力評価ステップと、
    を備えている請求項2記載の断層横断埋設管路の挙動推定方法。
  4. 前記軸力fmaxと管の断面積Aから軸応力σ=fmax/Aを算出する軸応力算出ステップと、
    前記曲げモーメントMと管の断面係数Zから曲げ応力σ=M/Zを算出する曲げ応力算出ステップと、
    前記軸応力算出で求めた軸応力σと前記曲げ応力算出で求めた曲げ応力σを加算して応力σ=σ+σを算出する応力算出ステップと、
    前記応力算出ステップで求めた応力σが所定の耐力に収まるか否かに基づいて応力を評価する応力評価ステップと、
    を備えている請求項2または3記載の断層横断埋設管路の挙動推定方法。
  5. 請求項1から4の何れかに記載の断層横断埋設管路の挙動推定方法を実行する簡易解析実行ステップと、
    前記簡易解析実行ステップで所定の評価が得られた後に、有限要素法を用いた構造解析方法を実行する詳細解析実行ステップと、
    を備えている断層横断埋設管路の挙動推定方法。
  6. 断層横断埋設管路の挙動推定装置であって、
    請求項1から4の何れかに記載の断層横断埋設管路の挙動推定方法を実行する挙動推定演算部と、
    前記挙動推定演算部による演算条件を設定する条件入力部と、
    前記挙動推定演算部による演算結果を記憶する記憶部と、
    前記記憶部に記憶された演算結果の何れかを表示する表示部と、
    を備えている断層横断埋設管路の挙動推定装置。
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