図8に示す上記従来の発光装置においては、有機LED素子等の経時的に輝度が低下する傾向のある発光素子23を有しているために、長期間使用すると発光素子23の輝度が低下するとい問題点があった。そこで、特許文献1のように、測定されたEL素子各々の電圧電流特性に基づいてEL素子の各々に印加する電圧を制御することが考えられる。このような場合に、EL素子のインピーダンスを測定できれば、より高い精度でEL素子の輝度を制御できる。その目的のために、発光状態のEL素子及びその陽極(アノード電極)側に接続されたスイッチとしてのTFTに流れる電流を測定するときに、TFT自体に流れる電流を測定しようとすると、それが困難である場合があった。これについては詳細な原因は不明であるが、EL素子の陰極(カソード電極)はアルミニウム(Al)層を含む場合が多く、そのアルミニウム層を用いて測定しようとすると、アルミニウム層は発光装置の多くの部位で使用されているために、カソード電極以外の部位のアルミニウム層と容量結合等を起こしてその影響を受けやすいことに起因していると考えられる。
また、特許文献2のように、発光素子の輝度を自動的に補正する補正回路を有する構成である場合、発光素子が発光状態であるときには補正回路を動作させて補正する必要があるために、発光装置の消費電力が非常に大きくなるという問題点があった。例えば、発光素子が発光状態であるときに動作する補正回路を有する発光装置は、その補正回路を有していない発光装置と比較して、数100倍以上の電力を消費する場合があった。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、発光素子の経時劣化の度合いを正確に測定することができ、それに基づいて高い精度で発光素子の輝度を制御できる発光装置とすることである。また、消費電力の増大を抑えることができる発光装置とすることである。
本発明の発光装置は、発光素子と、前記発光素子の経時劣化による輝度低下を前記発光素子に供給される電源電流によって断続的に補正するように制御する補正制御部と、前記補正制御部の指示に基づいて補正処理を行う補正処理部と、を有する発光装置であって、
前記補正制御部は、前記電源電流を断続的に補正するための断続期間を漸次長くするように制御し、
前記補正処理部は、前記発光素子を流れる前記電源電流の値から前記発光素子のインピーダンスを測定するとともに、前記発光素子のインピーダンスの経時変化に応じて前記電源電流を補正する構成である。
本発明の発光装置は、好ましくは、前記発光素子における前記電源電流の電流経路について、薄膜トランジスタ及びそれに接続された前記発光素子を含む第1の電流経路と、前記薄膜トランジスタと前記発光素子とを接続する接続線の途中から分岐した前記発光素子を含まない第2の電流経路と、が形成されており、
前記補正処理部は、前記第1の電流経路における第1の電流値と前記第2の電流経路における第2の電流値から前記発光素子のインピーダンスを算出するインピーダンス演算部を有している。
また本発明の発光装置は、好ましくは、前記第2の電流経路は、前記接続線に一方の電極が並列接続され、他方の電極が抵抗を通して接地部に接続されているとともに、インピーダンスが前記薄膜トランジスタのインピーダンスよりも小さい他の薄膜トランジスタを含んでいる。
また本発明の発光装置は、好ましくは、前記他の薄膜トランジスタは、インピーダンスが前記薄膜トランジスタのインピーダンスの100分の1以下である。
また本発明の発光装置は、好ましくは、前記補正制御部は、前記発光素子の累積発光時間を測定する発光時間測定部の結果に基づいて補正処理を実行させる。
また本発明の発光装置は、好ましくは、前記発光素子の累積発光時間を初期、中期、終期に分けた場合、前記中期の断続期間は前記初期の断続期間の1.1倍〜3倍であり、前記終期の断続期間は前記初期の断続期間の2倍〜5倍である。
また本発明の発光装置は、好ましくは、前記初期は前記累積発光時間が10時間から100時間までの期間であり、前記中期は10時間を超えて1000時間までの期間であり、前記終期は1000時間を超えた期間である。
本発明の発光装置は、発光素子と、発光素子の経時劣化による輝度低下を発光素子に供給される電源電流によって断続的に補正するように制御する補正制御部と、補正制御部の指示に基づいて補正処理を行う補正処理部と、を有する発光装置であって、補正制御部は、電源電流を断続的に補正するための断続期間を漸次長くするように制御し、補正処理部は、発光素子を流れる電源電流の値から発光素子のインピーダンスを測定するとともに、発光素子のインピーダンスの経時変化に応じて電源電流を補正することから、発光素子のインピーダンスから発光素子の経時劣化の度合いを正確に測定することができる。また、補正制御部は、電源電流を断続的に補正する断続期間を漸次長くするように制御するので、発光素子の経時劣化が発生しやすい初期段階で断続期間を短くして電源電流を補正することにより、高い精度で発光素子の輝度を制御できる。また、発光素子の経時劣化による輝度低下を発光素子に供給される電源電流によって断続的に補正するので、消費電力の増大を抑えることができる。
本発明の発光装置は、好ましくは、発光素子における電源電流の電流経路について、薄膜トランジスタ及びそれに接続された発光素子を含む第1の電流経路と、薄膜トランジスタと発光素子とを接続する接続線の途中から分岐した発光素子を含まない第2の電流経路と、が形成されており、補正処理部は、第1の電流経路における第1の電流値と第2の電流経路における第2の電流値から発光素子のインピーダンスを算出するインピーダンス演算部を有していることから、発光素子のインピーダンスを取得することができ、その結果、より高い精度で発光素子の輝度を制御できる。
本発明の発光装置は、第2の電流経路は、接続線に一方の電極が並列接続され、他方の電極が抵抗を通して接地部に接続されているとともに、インピーダンスが薄膜トランジスタのインピーダンスよりも小さい他の薄膜トランジスタを含んでいる場合、薄膜トランジスタのインピーダンスから発光素子のインピーダンスを導き出すことができる。
また本発明の発光装置は、他の薄膜トランジスタは、インピーダンスが薄膜トランジスタのインピーダンスの100分の1以下である場合、薄膜トランジスタのインピーダンスから発光素子のインピーダンスをより正確に導き出すことができる。
また本発明の発光装置は、補正制御部は、発光素子の累積発光時間を測定する発光時間測定部の結果に基づいて補正処理を実行させる場合、発光素子の累積発光時間と発光素子の経時劣化による輝度低下との相関に基づいて高い精度で、発光素子に供給される電源電流によって発光素子の輝度を断続的に補正することができる。
また本発明の発光装置は、発光素子の累積発光時間を初期、中期、終期に分けた場合、中期の断続期間は初期の断続期間の1.1倍〜3倍であり、終期の断続期間は初期の断続期間の2倍〜5倍である場合、発光素子の経時劣化が大きい累積発光時間の初期、発光素子の経時劣化が次に大きい累積発光時間の中期、発光素子の経時劣化が小さい累積発光時間の後期のそれぞれに対応して断続期間の長さを調整できる。その結果、発光素子の経時劣化による輝度低下が認識されたり、検出されることを、長期間にわたって抑えることができる。
また本発明の発光装置は、初期は累積発光時間が10時間から100時間までの期間であり、中期は10時間を超えて1000時間までの期間であり、終期は1000時間を超えた期間である場合、発光素子の経時劣化が大きい累積発光時間の初期、発光素子の経時劣化が次に大きい累積発光時間の中期、発光素子の経時劣化が小さい累積発光時間の後期のそれぞれを、有機EL素子等の経時劣化を有する発光素子に対してより正確に設定できる。その結果、発光素子の経時劣化による輝度低下が認識されたり、検出されることを、長期間にわたって抑えることができる。
以下、本発明の発光装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。但し、以下で参照する各図は、本発明の発光装置の実施の形態における構成部材のうち、本発明の発光装置を説明するための主要部を示している。従って、本発明の発光装置は、図に示されていない回路基板、配線導体、制御IC,LSI等の周知の構成部材を備えていてもよい。
図1〜図4は本発明の発光装置を示すものであり、図1(a)〜(c)は、本発明の発光装置について実施の形態の1例を示す図であり、(a)は発光装置の全体の平面図、(b)は(a)のA部及び駆動素子の回路図、(c)は(b)の第1のTFT、第2のTFT及び発光素子の部位の回路図である。図1〜図4に示すように、本発明の発光装置は、発光素子3と、発光素子3の経時劣化による輝度低下を発光素子3に供給される電源電流によって断続的に補正するように制御する補正制御部41aと、補正制御部41aの指示に基づいて補正処理を行う補正処理部A(43),B(41b)と、を有する発光装置であって、補正制御部41aは、電源電流を断続的に補正するための断続期間を漸次長くするように制御し、補正処理部A(43),B(41b)は、発光素子3を流れる電源電流の値から発光素子3のインピーダンスを測定するとともに、発光素子3のインピーダンスの経時変化に応じて電源電流を補正する構成である。この構成により、発光素子3のインピーダンスから発光素子3の経時劣化の度合いを正確に測定することができる。また、補正制御部41aは、電源電流を断続的に補正するための断続期間を漸次長くするように制御するので、発光素子3の経時劣化が発生しやすい初期段階で断続期間を短くして電源電流を補正することにより、高い精度で発光素子3の輝度を制御できる。また、発光素子3の経時劣化による輝度低下を発光素子3に供給される電源電流によって断続的に補正するので、消費電力の増大を抑えることができる。
まず本発明の発光装置の基本構成について以下に説明する。本発明の発光装置は、有機LEDプリンタ(OLEDP)ヘッド等に適用されるものであり、ガラス基板等から成る長板状の基板1の一面に、複数の発光素子3の発光(点灯)をそれぞれ駆動する複数の駆動回路ブロック2と、基板1の長手方向に沿って2列(2行または2段)に並べられて配置された複数の発光素子3と、駆動回路ブロック2を構成する配線及び駆動回路ブロック2と発光素子3を接続する配線とが、CVD法等の薄膜形成法によって形成されている。複数の駆動回路ブロック2は、複数の発光素子3の列に沿って列状に並べられており、例えば1つの駆動回路ブロック2が400個の発光素子3を駆動するものであり、その駆動回路ブロック2が20個並べられている。従って、発光素子3は合計で8000個ある。また、基板1の一面の一端部には駆動回路ブロック2及び発光素子3を駆動し発光素子3の発光を制御する駆動素子4が、COG方式等の実装方法によって設置されている。また、基板1の一面における駆動素子4設置部の近傍の縁部に、FPC5が設置されている。このFPC5は、駆動素子4との間で駆動信号、制御信号等を入出力する。
図1(b)に示すように、2列を成す2個の発光素子3a,3bに対して1組の駆動回路が形成されており、1組の駆動回路は、シフトレジスタ10、論理和否定(NOR)回路11、インバータ12、CMOSトランスファゲート素子13a,13b、第1のTFT14a,14b、第2のTFT15a,15bを有している。第1のTFT14a,14bの各ドレイン電極部に、有機LED素子から成る発光素子3a,3bに接続される接続線がそれぞれ接続されている。
1組の駆動回路は、以下のように順次動作する。シフトレジスタ10は、クロック端子(CLK)にハイ(「1」)のクロック信号(CLK)が入力されるとともに入力端子(in)にハイの同期信号(Vsync)が入力されたときに、出力端子(Q)からハイの信号が出力されるとともに反転出力端子(XQ)からロー(「0」)の信号が出力される。次に、NOR回路11は、反転出力端子(XQ)からローの信号が入力されるとともに反転イネーブル信号(XENB)であるローの信号が入力されて、ハイの信号を出力する。次に、インバータ12はローの信号を出力する。次に、CMOSトランスファゲート素子13aは、n型MOSトランジスタのゲート電極部にNOR回路11からのハイの信号が入力されるとともにp型MOSトランジスタのゲート電極部にインバータ12からローの信号が入力されてオン状態となり、データ信号(DATA11)を出力する。次に、データ信号(DATA11)がTFT14a(以下、第1のTFT14aともいう)のゲート電極部に入力されて第1のTFT14aがオン状態となり、データ信号(DATA11)に応じた電源電圧(VDD)による電源電流が発光素子3aに供給される。同時に、CMOSトランスファゲート素子13bは、n型MOSトランジスタのゲート電極部にNOR回路11からのハイの信号が入力されるとともにp型MOSトランジスタのゲート電極部にインバータ12からローの信号が入力されてオン状態となり、データ信号(DATA12)を出力する。次に、データ信号(DATA12)が第1のTFT14bのゲート電極部に入力されて第1のTFT14bがオン状態となり、データ信号(DATA12)に応じた電源電圧(VDD)による電源電流が発光素子3bに供給される。以上の一連の動作が、次段の駆動回路によって順次実行されていき、すべての発光素子3が順次発光していく。
また、本発明の発光装置は、第1のTFT14a,14bと発光素子3a,3bとの間の接続線に一方の電極(例えば、ソース電極)が並列接続され、他方の電極(例えば、ドレイン電極)が抵抗18を通して接地部(VSS)に接続されているとともに、インピーダンスが第1のTFT14a,14bのインピーダンスよりも小さく設定されている他のTFT15a,15b(以下、第2のTFT15a,15bともいう)を有している。
図2は、図1の発光装置における駆動素子4について実施の形態の1例であって好適な例を示す図であり、駆動素子4の内部の機能を説明するためのブロック回路図である。図2に示すように、駆動素子4は、発光素子3の駆動の制御を行う制御部41、発光素子3に駆動のための輝度に応じたデータを伝送する駆動部42、一方の補正処理部A(43)を有している。
制御部41は、補正の実行、停止の制御、断続期間の長さの制御等を行う補正制御部41aと、電流経路切替部としての他方の補正処理部B(41b)と、を有している。制御部41は、クロック信号(CLK)、同期信号(Vsync)、反転イネーブル信号(XENB)、電源電圧(VDD)を出力する。補正制御部41aは、補正を行なわずに発光素子3を通常の発光状態とする第1の状態(MODE1)と、補正を行う第2の状態(MODE2)とのいずれかを選択する。MODE2が選択されて、補正処理部Bが起動されない場合、第1の電流値I1が測定される。このとき、第2のTFT15aはオンされず、スイッチ17は接地部(VSS)に接続されている。そして、補正処理部Aが起動し、電流測定部43aが電源電圧(VDD)による電源電流値を測定する。このときの電源電流値は、第1のTFT14a及びそれに接続された発光素子3aを含む第1の電流経路IK1における第1の電流値I1である。次に、補正処理部Bが第2のTFT15aをオンするためのゲート信号(Vm)を出力するとともに、スイッチ17を電源電圧(VDD2)側が閉状態(導通状態)となるように切り替えるスイッチ信号(SW)を出力し、発光素子3aを非発光状態とし、第1のTFT14aと第2のTFT15aと抵抗18を含むが発光素子3aを含まない第2の電流経路IK2における第2の電流値I2が測定される。
次に、インピーダンス演算部43bにおいて、第1の電流値I1と第2の電流値I2から発光素子3aのインピーダンスを算出する。第1の電流値I1は、第1のTFT14aのインピーダンスと発光素子3aのインピーダンスと電源電圧(VDD)の電源電流値によって決まり、第2の電流値I2は、第1のTFT14aのインピーダンスと第2のTFT15aのインピーダンスと抵抗18と電源電圧(VDD)の電源電流値によって決まる。抵抗18は既知であり、第1の電流値I1及び第2の電流値I2は測定によって得られるので、第2のTFT15aのインピーダンスを第1のTFT14aのインピーダンスよりも無視できる程度に非常に小さく設定すれば、発光素子3aのインピーダンスを求めることができる。
次に、発光素子3aのインピーダンスに応じた補正データを記憶している補正データ記憶部43cが、駆動部42に補正データを入力し、駆動部42が補正データ(補正されたDATA11)をデータ線に入力する。駆動部42は、データを補正データに書き換えて、補正データを保持する。なお、このときDATA12はデータ線に入力されておらず、発光素子3b側はオフ状態とされている。
次に、DATA11をデータ線に入力せずに発光素子3a側をオフ状態として、上記の補正動作を発光素子3bについて実行する。これにより、発光素子3bも補正データによって駆動される。次に、次段以降の発光素子3についても同様に補正動作を実行し、すべての発光素子3のデータが補正される。
本発明の発光装置は、図1(c)に示すように、発光素子3における電源電流の電流経路について、第1のTFT14a及びそれに接続された発光素子3aを含む第1の電流経路IK1と、第1のTFT14aと発光素子3aとを接続する接続線の途中から分岐した発光素子3aを含まない第2の電流経路IK2と、が形成されており、補正処理部A(43)は、第1の電流経路IK1における第1の電流値I1と第2の電流経路IK2における第2の電流値I2から発光素子3aのインピーダンスを算出するインピーダンス演算部43bを有していることが好ましい。この場合、発光素子3aのインピーダンスを取得することができ、その結果、より高い精度で発光素子3aの輝度を制御できる。上述したように、第1の電流値I1は、第1のTFT14aのインピーダンスと発光素子3aのインピーダンスと電源電圧(VDD)の電源電流値によって決まり、第2の電流値I2は、第1のTFT14aのインピーダンスと第2のTFT15aのインピーダンスと抵抗18(図1(b))と電源電圧(VDD)の電源電流値によって決まる。抵抗18は既知であり、第1の電流値I1及び第2の電流値I2は測定によって得られるので、第2のTFT15aのインピーダンスを第1のTFT14aのインピーダンスよりも無視できる程度に非常に小さく設定すれば、発光素子3aのインピーダンスを求めることができる。すなわち、I1=VDD/(R1+ROLED)、I2=VDD/(R1+R2+R)(R1は第1のTFT14aのインピーダンス、ROLEDは発光素子3aのインピーダンス、R2は第2のTFT15aのインピーダンスでR2≒0、Rは抵抗18の値)からROLEDを求めることができる。
上述したように、本発明の発光装置は以下のような好適な構成を有するものとなる。すなわち、発光装置は、発光素子3aと、発光素子3aに供給される電源電流を制御することによって発光素子3aの輝度を制御するデータ(DATA11)を伝送するデータ線と、データ(DATA11)をゲート制御入力として発光素子3に接続されている第1のTFT14aと、第1のTFT14aと発光素子3との間の接続線に一方の電極が並列接続され、他方の電極が抵抗を通して接地部(VSS)に接続されているとともに、インピーダンスが第1のTFT14aのインピーダンスよりも小さく設定されている第2のTFT15aと、補正制御部41aと、補正処理部A(43),B(41b)と、を有しており、補正処理部A(43),B(41b)は、発光素子3aの発光状態で第1のTFT14a及び発光素子3aを流れる電源電流の第1の電流経路IK1と、発光素子3aの非発光状態で第1のTFT14a、第2のTFT15a及び抵抗18を流れる電源電流の第2の電流経路IK2と、を切り替える電流経路切替部と、第1の電流経路IK1における第1の電流値I1と第2の電流経路IK2における第2の電流値I2から発光素子3aのインピーダンスを算出するインピーダンス演算部43bと、発光素子3aのインピーダンスに応じた補正データを記憶している補正データ記憶部43cと、補正データ記憶部43cから補正データをデータ線に入力する駆動部42と、を有している。この場合、第1のTFT14aのインピーダンスから発光素子3aのインピーダンスを導き出すことができる。その結果、発光素子3aのインピーダンスから発光素子3aの経時劣化の度合いを正確に測定することができ、高い精度で発光素子3aの輝度を制御できる。
本発明の発光装置は、第2のTFT15aは、インピーダンスが第1のTFT14aのインピーダンスの100分の1以下であることが好ましい。この場合、第1のTFT14aのインピーダンスから発光素子3aのインピーダンスをより正確に導き出すことができる。上述したように、第1の電流値I1と第2の電流値I2から発光素子3aのインピーダンスを導き出す際に、第2のTFT15aのインピーダンスを第1のTFT14aのインピーダンスよりも無視できる程度に非常に小さく設定すれば、発光素子3aのインピーダンスを求めることができるからである。例えば、第1のTFT14aのインピーダンスが200kΩ〜300kΩ程度である場合、第2のTFT15aのインピーダンスは2kΩ〜3kΩ程度とする。またこの場合、抵抗18を100kΩとすれば、発光素子3aのインピーダンスは500kΩ程度となる。また、例えばVDD,VDD2はそれぞれ10V、Vmは10V〜16V、VSSは0Vである。
また本発明の発光装置は、発光素子3が有機EL素子から成る場合に、発光状態の発光素子3について、第1のTFT14aが発光素子3の陽極(アノード電極)側に接続されており、第1のTFT14aと発光素子3aとの間の接続線に第2のTFT15aが並列接続されており、第2の電流値I2を測定するために発光素子3の陰極側をVDD2に接続して非発光状態とすることが好適である。この場合、第1のTFT14a自体に流れる電流を測定することが容易になる。すなわち、有機EL素子の陰極はAl層を含む場合が多く、そのAl層を用いて第1のTFT14a自体に流れる電流を測定しようとすると、陰極以外の部位のAl層の影響を受けやすく、それを防ぐことができるからであると考えられる。
本発明の発光装置における補正制御部41aは、電源電流を断続的に補正するための断続期間を漸次長くするように制御するが、これは図4(a)に示すように、発光素子3の経時劣化が使用の初期段階で比較的大きく、その後なだらかに変化していくとともにあるレベルに漸近するように変化が小さくなっていくことに基づく。
また、断続期間は以下のようにして決定することができる。発光素子3の輝度kの変化が、例えば、漸近線k=bに漸近する曲線k=a・exp(−t2)+b(a,bは定数、tは時間)で表される場合、tはt=(ln(a/(k−b)))1/2で表される。これにより、1回目の断続期間は、輝度kの変化Δk10=k1−k0が所定の値になるときのΔt10=(ln(a/(k1−b)))1/2−(ln(a/(k0−b)))1/2を求めて、断続期間をΔt10とすることができる。なお、k0は発光装置の使用開始時の輝度、k1は最初の断続期間の終了時の輝度である。2回目以降も同様にして、断続期間Δt21,Δt32・・・Δtnn-1(nは1以上の整数)を決定することができる。
また本発明の発光装置は、発光素子3の経時劣化は発光素子3の累積発光時間に対応させることができるので、図3に示すように、補正制御部41aは、発光素子3の累積発光時間を測定する発光時間測定部41aaの結果に基づいて補正処理を実行させることが好ましい。この場合、発光素子3の累積発光時間と発光素子3の経時劣化による輝度低下との相関に基づく補正データを予め所得しておき、その補正データに基づいて高い精度で、発光素子3に供給される電源電流によって発光素子3の輝度を断続的に補正することができる。発光素子3の累積発光時間は、例えば、発光素子3に供給される電源電流の供給時間としてカウントでき、または発光素子3から放射された光を受光するフォトダイオード等の受光素子を設けておき、受光素子の受光時間としてカウントしてもよい。また、断続期間として、発光素子3の累積発光時間に発光素子3に流した電流値を乗算した値を用いてもよい。この場合、発光素子3の劣化の度合いをより正確に予測することができる。
また本発明の発光装置は、図4(a)に示すように、発光素子3の累積発光時間を初期、中期、終期に分けた場合、中期の断続期間は初期の断続期間の1.1倍〜3倍であり、終期の断続期間は初期の断続期間の2倍〜5倍であることが好ましい。この場合、発光素子3の経時劣化が大きい累積発光時間の初期、発光素子3の経時劣化が次に大きい累積発光時間の中期、発光素子3の経時劣化が小さい累積発光時間の後期のそれぞれに対応して断続期間の長さを調整できる。その結果、発光素子3の経時劣化による輝度低下が認識されたり、検出されることを、長期間にわたって抑えることができる。上記した、初期の断続期間の長さ、中期の断続期間の長さ、終期の断続期間の長さのそれぞれの設定は、断続期間の平均値によって行ってもよい。すなわち、中期の断続期間の平均値が初期の断続期間の平均値の1.1倍〜3倍となるようにしてもよく、終期の断続期間の平均値が初期の断続期間の平均値の2倍〜5倍となるようにしてもよい。図4(a)において、HS1,HS2,HS3・・・HSn(nは2以上の整数)は補正を実行するタイミングである補正時点、DP1,DP2,DP3・・・DPnは補正を実行しない期間である断続期間である。そして、断続期間DP1,DP2,DP3・・・DPnは、漸次長くなるように制御されている。図4(b)は、断続期間が漸次長くなる各種の例を示しており、断続期間の経時変化を示す第1のグラフDPaは、断続期間が時間の経過に対して線形に(直線的に)増大する例を示している。第2のグラフDPbは、断続期間が時間の経過に対して増加率が増大する例、例えば2次曲線的、指数関数的に増大する例を示している。第3のグラフDPcは、断続期間が時間の経過に対して階段状(ステップ状)に増大する例を示している。
また本発明の発光装置は、初期は累積発光時間が10時間から100時間までの期間であり、中期は10時間を超えて1000時間までの期間であり、終期は1000時間を超えた期間であることが好ましい。この場合、発光素子3の経時劣化が大きい累積発光時間の初期、発光素子3の経時劣化が次に大きい累積発光時間の中期、発光素子3の経時劣化が小さい累積発光時間の後期のそれぞれを、有機EL素子等の経時劣化を有する発光素子3に対してより正確に設定できる。その結果、発光素子3の経時劣化による輝度低下が認識されたり、検出されることを、長期間にわたって抑えることができる。なお、上述した駆動素子4における各種の駆動、制御は、例えば駆動素子4内のROM,RAM等に格納されたプログラムソフトによって実行させることができる。
本発明の発光装置の発光素子が有機発光層を有する有機EL素子である場合の、発光素子及びその周辺部の詳細な構成を図5、図6に示す。図5は、発光装置の3つの発光素子及びその周辺部の平面図である。図6は、発光素子及び周辺部の断面図であり、図5のC1−C2線における断面図である。これらの図に示すように、発光装置は、ガラス基板等の透光性を有する基板51上に形成されたTFT(第1のTFT)62と、そのTFT62上にアクリル樹脂等から成る第1の絶縁層57を挟んで積層された有機発光体部71と、その有機発光体部71とTFT62のドレイン電極56bとを導電接続するコンタクトホール72と、を含む発光部を有しており、有機発光体部71は、TFT62の側からコンタクトホール72に電気的に接続された第1の電極層58、有機発光層60、第2の電極層61が積層されており、第1の絶縁層57及び第1の電極層58上に有機発光層60を囲むようにアクリル樹脂等から成る第2の絶縁層59が形成されている構成である。なお、図5、図6において、第2のTFTは図示していないが、発光素子70とTFT62との間の接続線に並列接続される。
また、図5、図6において、70は第1の電極層58及び第2の電極層61によって有機発光層60に直接的に電界が印加されて発光する発光領域としての発光素子である。また、第1の電極層58が陽極であってインジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide :ITO)等の透明電極から成り、第2の電極層61が陰極であってAl,Al−Li合金,Mg−Ag合金(Agを5〜10重量%程度含む),Mg−Cu合金(Cuを5〜10重量%程度含む)等の仕事関数(約4.0V以下)が低く遮光性、光反射性を有する金属、合金から成る場合、有機発光層60で発光した光は基板51側から出射される。即ち、発光方向(図6の白抜き矢印で示す方向)が下方(底部方向)であるボトムエミッション型の発光装置となる。一方、第1の電極層58が陰極であって上記の遮光性、光反射性を有する金属またはそれらの合金から成り、第2の電極層61が陽極であって透明電極から成る場合、発光方向が上方(頂部方向)であるトップエミッション型の発光装置となる。
TFT62は、基板51側から、ゲート電極52、ゲート絶縁膜53、チャネル部としてのポリシリコン膜54及びポリシリコンに不純物をチャネル部よりも高濃度に含有させた高濃度不純物領域54aから成る半導体膜、窒化シリコン(SiNx),酸化シリコン(SiO2)等から成る絶縁膜55、ソース電極56a及びドレイン電極56bが、順次積層された構成を有している。なお、図5において、56aLはソース電極56aにソース信号(電源電流)を伝達するソース信号線(電源線)であり、52Lはゲート電極52にゲート信号を伝達するゲート信号線である。各ゲート信号線52Lに入力するゲート信号の電圧を制御することにより、各有機発光層60の発光強度を制御することができる。このようにソース信号線56aLは電源線として機能する。
第1の電極層58または第2の電極層61に用いられる透明電極は、インジウム錫酸化物(ITO)、インイジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化珪素を添加したインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)、リン,ボロンを含むシリコン(Si)等の導電性材料であって透光性を有する材料から成る。また第1の絶縁層57及び第2の絶縁層59は、アクリル樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド、ベンゾシクロブテン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA樹脂)、ポリシロキサン、ポリシラザン等を用いることができる。ポリシロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合によって骨格構造が形成されたものである。ポリシロキサンは、その酸素の置換基として、少なくとも水素を含む有機基、例えばアルキル基、芳香族炭化水素基を有するもの、また酸素の置換基として、少なくとも水素を含む有機基とフルオロ基を有するものであってもよい。ポリシラザンは、珪素(Si)と窒素(N)の結合を有するポリマー材料を出発原料として形成される材料である。絶縁層として上記の有機材料から成るものを用いると、表面の平坦性を高めることができ、平坦化層とすることが容易である。
TFT62は、基板51側から、ゲート電極52、ゲート絶縁膜53、チャネル部としてのポリシリコン膜54及びポリシリコンに不純物をチャネル部よりも高濃度に含有させた高濃度不純物領域54aから成る半導体膜、窒化シリコン(SiNx),酸化シリコン(SiO2)等から成る絶縁膜55、ソース電極56a及びドレイン電極56bが、順次積層された構成を有している。TFT62を構成する半導体は低温ポリシリコン(Low-Temperature Poly Silicon:LTPS)、アモルファスシリコン、インジウムガリウム亜鉛酸化物(Indium Gallium Zinc Oxide:IGZO)等の酸化物半導体などから成っていてもよい。図6に示すTFT62はゲート電極52がチャネル部の下方にあるボトムゲート型のTFTであるが、ゲート電極52がチャネル部の上方にあるトップゲート型のTFTであってもよく、ゲート電極52がチャネル部の下方及び上方の双方にあるダブルゲート型のTFTであってもよい。トップゲート型のTFT、ダブルゲート型のTFTは、一般に遮光性を有する金属等から成るゲート電極52がチャネル部の上方にあるので、チャネル部に光が入り込むことをより抑えることができ好適である。
有機発光層60は、バックライトが不要な自発光型の有機電界発光性を有するものである。例えば有機発光層60は数100nm程度の厚みを有する積層構造体であり、陰極側から電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極を積層したものである。電極層間の各層の厚みは数nm〜数100nm程度である。電極層を含む厚みは1μm程度である。有機発光層60の発光層の発光材料としては、低分子蛍光色素材料、蛍光性の高分子材料、金属錯体材料等が採用し得る。
発光層に正孔を注入しやすくするためには発光層のイオン化エネルギーが6.0eV以下であることがよく、発光層に電子を注入しやすくするためには発光層の電子親和力が2.5eV以上であることがよい。発光層の発光材料としては、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)、ビス(ベンゾキノリノラト)ベリリウム錯体(BeBq)、トリ(ジベンゾイルメチル)フェナントロリンユーロピウム錯体(Eu(DBM)3(Phen))、ジトルイルビニルビフェニル(DTVBi)などがある。高分子材料としては、蛍光性のポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリアルキルチオフェン等のπ共役高分子があり、これらの高分子材料は置換基の導入によってキャリア輸送性を制御することができる。電子輸送層の材料としては、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレンテトラカルボン酸誘導体等が採用し得る。正孔輸送層の材料としては、1,1-ビス(4-ジ-p-アミノフェニル)シクロヘキサン、トリフェニルアミン誘導体、カルバゾール誘導体等が採用し得る。正孔輸送層に正孔を注入する正孔注入層の材料としては、銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン、芳香族ジアミン等が採用し得る。
第1の電極層58、有機発光層60、第2の電極層61は、蒸着法、スパッタリング法等の薄膜形成法等によって形成され得る。例えば、第1の電極層58はスパッタリング法等によって形成でき、有機発光層60は真空蒸着法、インクジェット法、スピンコート法、印刷法等によって形成でき、第2の電極層61は電子ビーム(Electron Beam:EB)蒸着法、スパッタリング法等によって形成できる。
図7(a),(b)は、本発明の発光装置について実施の形態の他例を示す図であり、(a)は発光装置の全体の平面図、(b)は(a)のA1部及び駆動素子の回路図である。図7に示すように、4列を成す4個の発光素子3a,3b,3c,3dに対して1組の駆動回路が形成されていてもよい。この場合、1組の駆動回路は、シフトレジスタ10、論理和否定(NOR)回路11、インバータ12、CMOSトランスファゲート素子13a,13b,13c,13d、第1のTFT14a,14b,14c,14d、第2のTFT15a,15b,15c,15dを有している。また、発光素子3は2m列(mは1以上の整数)を成すように配置されていてもよい。
なお、本発明の発光装置は、上記実施の形態に限定されるものではなく、適宜の設計的な変更、改良が施されていてもよい。