以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成を示す模式図である。記録装置1には、記録媒体の幅に相当する範囲にノズルを配列した、いわゆるフルラインタイプの記録ヘッド2が設けられる。記録ヘッド2として、クリアインクを吐出するための記録ヘッド21、色材インクを吐出するためのヘッド22(C、M、Y、Kインクのヘッドが一体)の2つが設けられている。これら記録ヘッド各々は、記録媒体Pの搬送方向(副走査方向:X方向)と直交する方向(ノズル配列方向:Y方向)に延在するよう配置される。また、クリアインク用記録ヘッド21が、色材インク用記録ヘッド22よりも搬送方向上流側に配置されており、これにより、クリアインクは色材インクよりも先に記録媒体に吐出、付与されることとなる。記録ヘッド2は、搬送用ベルト5を挟んでプラテン6と対向する位置に設けられる。記録ヘッド2は、ヘッド移動部10によってプラテン6との対向方向において昇降させられる。このヘッド移動部10は、制御部9によりその作動が制御される。また、記録ヘッド2には、インクを吐出するためのノズルと、インクタンク3のインクが供給される共通液室と、この共通液室から各ノズルへインクを導くインク流路とが設けられる。各ノズルには、例えば、インクに気泡を生じさせるための発熱抵抗素子(ヒータ)が設けられ、ヘッドドライバによってヒータを駆動することにより、それぞれのノズルからインクが吐出される。各ノズルのヒータは、ヘッドドライバ2aを介して制御部9に電気的に接続されており、制御部9からのるオン/オフ信号(吐出/不吐出信号)に応じてヒータの駆動が制御される。
それぞれのインクごとの記録ヘッド2は、クリアインク、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インク、ブラック(K)インクをそれぞれ貯留する5つのインクタンク3R、3C、3M、3Y、3K(以下、これらをまとめてインクタンク3と言う)と接続配管4を介して接続されている。また、各インクタンク3は、それぞれ個別に着脱することができる。
制御部9は、記録装置1における各種処理を統括制御する。制御部9は、例えば、CPU33、ROM34やRAM35等のメモリ等、ASIC等で構成される。
記録ヘッド2の側方には、記録ヘッド2の配列間隔に対して半ピッチずらした状態でキャップ7が配置される。そして、制御部9によってその作動が制御されるキャップ移動部8は、キャップ7を記録ヘッド2の側方の位置と直下の位置との間で移動させることができ、これにより、記録ヘッド2に対するキャッピングや予備吐出などの回復処理を行うことができる。記録媒体の搬送方向において、記録ヘッド2の下流側には、図4にて後述される反射型光学センサ30が設けられる。反射型光学センサ30はそのキャリッジによりY方向に動作可能であり、モータドライバ17を介してその動作が制御される。
搬送用ベルト5は、ベルト駆動モータ11に連結された駆動ローラに掛け渡され、駆動ローラが回転駆動されることによって、記録媒体Pを搬送する。搬送用ベルト5は、モータドライバ12を介したその動作が制御される。搬送用ベルト5の上流側には、帯電器13が設けられる。帯電器13は、搬送用ベルト5を帯電することにより、記録媒体Pを搬送用ベルト5に密着させる。帯電器13は、帯電器ドライバ13aを介してその通電のオン/オフが切り換えられる。一対の給送ローラ14は、搬送用ベルト5上に記録媒体Pを供給する。給送用モータ15は、これら一対の給送ローラ14を駆動回転させる。給送用モータ15は、モータドライバ16を介してその動作が制御される。
なお、本発明を実施する上で、図1に示す記録装置の構成は一例であり、必ずしもそのような構成に限られない。例えば、記録ヘッドと記録媒体とが相対的に移動する構成であればよく、その構成は特に問わない。例えば、記録ヘッドが記録媒体に対して移動する構成であってもよい。
図2は、図1に示す記録ヘッド2のノズルを配した記録チップの構成を説明する図である。クリアインク用の記録ヘッド21、色材インク用の記録ヘッド22の各々は同様の構成であるため、色材インク用の記録ヘッド22を例に挙げて説明する。記録ヘッド22には、例えば有効吐出幅が約1インチの長さを持ち、かつシリコンで形成された記録チップH200(H200a〜H200j)が、ベース基板(支持部材)に千鳥状に10個配置されている。Y方向において隣接する記録チップH200同士は、ノズル配列方向(Y方向)にそれぞれ所定のオーバーラップ幅を持って配置されており、これによって、記録チップのつなぎ目においても隙間のない記録が可能となる。
図3は、図2に示すそれぞれの記録チップH200の、特にノズル配置を説明する図である。記録チップH200には、8つのノズル列H201〜H208が設けられている。ノズル列H201、H202はシアンインク、ノズル列H203、H204はマゼンタインク、ノズル列H205、H206はイエローインク、ノズル列H207、H208はブラックインク、にそれぞれ対応する。各ノズル列のノズル配列ピッチはいずれも600dpiであり、各色の2つのノズル列は、相互に半ピッチずれて配置されている。これにより、各色インクについて、Y方向の解像度が1200dpiの記録が可能となる。また、各ノズル列は600個のノズルから形成されており、従って、各色インクについて1200個のノズルを備えることになる。
一方、本実施形態のクリアインク用の記録ヘッド21の記録チップには、2つのノズル列(H207、H208)が設けられ、個の2つのノズル列も同様、相互に半ピッチずれて配され、Y方向において1200の解像度の記録が可能となる。また、ノズルの数も同様に1200個である。なお、クリアインクの記録チップの構成として、図3に示す色材インク用の記録ヘッド22と同様に、8つのノズル列を設け、そのうち、2つのノズル列H207、H208のみを用い、ノズル列H201〜H206を不使用とする形態であってもよい。なお、この場合に、ロバスト性向上のため全ノズル列にて記録を行うことや、不吐補完用の補助ノズルとして他ノズル列を使用することを制限するものではない。
図4は、図1に示す反射型光学センサ30の詳細を説明するための模式図である。反射型光学センサ30はY方向に動作可能なキャリッジ(不図示)に取り付けられ、発光部31と受光部32を有している。発光部31から発した光(入射光)35は、記録媒体Pにおいて反射され、その反射光37は受光部32によって検出される。反射光37の検出信号(アナログ信号)は、フレキシブルケーブル(不図示)を介して制御部9(図1)に伝えられ、その制御部におけるA/D変換器によってディジタル信号に変換される。この光学センサ30としては、比較的低解像度のものを用いることができ、これにより低コスト化を図ることができる。
図5は、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の制御構成を示すブロック図であり、主に、図1に示す制御部9の詳細な構成を示している。
コントローラ(制御部)9は、その機能的な構成として、CPU33、ROM34、RAM35、画像処理部36、記録位置調整部37を有して構成される。CPU33は、本実施形態の記録装置全体の動作を統括制御する。例えば、ROM34に格納されたプログラムに従って各部の動作を制御する。ROM34は、各種データを記憶する。ROM34には、例えば、記録媒体の種類に関する情報、インクに関する情報、温度や湿度等の環境に関する情報、各種制御プログラム等が格納される。画像処理部36は、ホスト装置100からインターフェース100aを介して入力された画像データに対して画像処理を行う。例えば、多値の画像データをN値の画像データに画素毎に量子化し、その量子化した各画素が示す階調値に対応するドット配置パターン割り当てる。そして、最終的には、各ノズル列に対応した吐出データ(記録データ)を生成する。記録位置調整部37は、図27などで後述される記録位置調整処理(レジ調整処理)を行なう。
ホスト装置100は、画像データの供給源であり、記録に係る画像等のデータの作成、処理等を行うコンピュータとすることができる他、画像読み取り用のリーダ部等の形態であってもよい。画像データ、その他のコマンド、ステータス信号等は、インタフェース(I/F)100aを介してコントローラ9と送受信される。センサ群は、装置の状態を検出するためのセンサ群であり、図4にて上述した反射型光学センサ30、ホームポジションを検出するためのフォトカプラ32、および環境温度を検出するために適宜の部位に設けられた温度センサ31などを有する。ヘッドドライバ2aは、記録データ等に応じて記録ヘッド2を駆動するドライバである。ヘッドドライバ2aは、記録データを吐出ヒータの位置に対応させて整列させるシフトレジスタ、適宜のタイミングでラッチするラッチ回路、駆動タイミング信号に同期して吐出ヒータを作動させる論理回路素子の他、記録位置合わせのために駆動タイミング(吐出タイミング)を適切に設定するタイミング設定部等を有する。モータドライバ16は給送モータ15の駆動を制御するドライバであり、記録媒体を給紙するため用いられる。モータドライバ12は搬送用ベルト5を動かすベルト駆動モータ11の駆動を制御するドライバであり、記録媒体PをX方向に搬送するために用いられる。モータドライバ17は、反射型光学センサ30のキャリッジの駆動を制御するドライバである。帯電気ドライバ13aは搬送用ベルト5を帯電し、記録媒体Pを搬送用ベルト5に密着させるために用いられる。
<色材インクとクリアインク>
クリアインクは、色材を含まない液体であり、その成分は、色材インクが顔料インクの場合は、顔料色材を凝集または析出させるものであり、色材インクが染料インクの場合は、染料色素を析出させるものである。本実施形態では、クリアインクは、硝酸カルシウム・4水和物、グリセリン、界面活性剤、および水を含むものであり、色材インクは顔料を色材とする顔料インクを用いる。記録媒体において、クリアインクが予め付与された領域に色材インクが着弾すると、多価金属塩が色材インクの色材である顔料もしくは染料に作用し、不溶性もしくは難溶性の金属複合体が凝集もしくは析出する。その結果、色材インク中の色材成分の記録媒体内部への浸透が抑制され、記録媒体表層付近に残りやすくなる。
<色材インクの記録位置調整パターン>
以下の説明では、記録媒体上の所定の領域に対して、記録装置により記録された領域の比率を「エリアファクタ」という。例えば、記録媒体上の所定の領域内の全体に渡ってドットが記録されている場合はエリアファクタは100%、全く形成されていない場合は0%、記録された面積がその領域の面積の半分ならエリアファクタは50%となる。
図6は、本発明の一実施形態に係る、色材インクの記録位置調整処理で用いるパターン(レジ調整パターン)を説明するための模式図である。同図は、色材インクであるC、M、Y、Kインクそれぞれの記録位置調整用パターンのうち、同じ記録チップにおける、X方向の、シアン(C)インクの記録位置を、ブラック(K)インクの記録位置に合わせるための記録位置調整(色間X方向記録位置調整)のためのパターンを示している。図6において、網がけの相対的に濃いドットは、Kインクのノズル配列の各ノズルから吐出されたインクによって記録されたドットであり、斜線の相対的に薄いドットは、同じくCインクによって記録されたドットを示している。各ドットの間隔はX、Y方向ともに1200dpi相当であり、X方向において4ドット毎にKインクとCインクのドットを交互に配置するものである。
図7(a)〜(d)は、図6に示すパターンについて、KインクとCインクの記録位置が相対的に4つのずれ量でずれたパターンを示す図である。図示を簡易にするため、Kドットが記録される領域は網がけの濃い長方形で、Cドットが記録される領域は斜線の薄い長方形で表している。
図7(a)は、KインクとCインクの相対的な記録位置が理想的に合っている(ずれ量が0)状態のパターンを示している。一方、図7(b)は、相対的な記録位置が所定量ずれた状態、図7(c)、(d)は相対的記録位置がさらにずれた状態のそれぞれパターンを示している。これらの図からも明らかなように、この記録位置調整用パターンは、相互の記録位置のずれが大きくなるにしたがって、そのパターン全体の濃度が低下する。すなわち、図7(a)に示すパターンは、KドットとCドットを合わせたエリアファクタは略100%である。図7(b)〜(d)に示すように、記録位置のずれ量が大きくなるにしたがって、KドットとCドットの重なりが大きくなり、ドットが形成されない領域、すなわちドットによって覆われていない領域が広がる。パターン全体の濃度は、ドットが重なることによる濃度変化よりも、エリアファクタの変化に強く依存することから、エリアファクタの低下に伴いパターン全体の濃度が低下する。
本実施形態は、図6、図7にて説明した記録位置調整用パターンを、Kインクのノズル列からの吐出タイミングを基準として、Cインクのノズル列からの吐出タイミングを所定量ずつずらすことによって、記録する。
なお、Y方向の記録位置調整のためのパターンは、図7(a)〜(d)に示すパターンを90度回転させたパターンとすることができ、これらのパターンは、各色インクについて所定の数の連続するノズルでパターンを記録し、このパターン記録に用いる、連続した所定数のノズルの範囲をずらすことによって記録することができる。
図8は、図7(a)〜(d)に示すような記録位置調整用のパターンを、9つ用いた場合の、記録位置のずれ量と反射濃度との関係を説明する図である。図8において、縦軸は反射濃度(OD値)であり、横軸は記録位置のずれの量である。光学センサ30(図4)を用いる場合、反射率Rは、R=Iref/Iinで表され、透過率T=1−Rである。そして、反射濃度dは、d=−Log(R)という関係がある。上述したように、CドットとKドットの記録位置のずれの量が”0”のときにエリアファクタが100%となるから、反射率Rは最も小さくなる。すなわち、反射濃度dが最大となる。そして、CドットとKドットの記録位置がX方向に対し+、および−のいずれの方向にずれても、反射濃度dは小さくなる。
記録位置調整のための調整値を取得する処理では、図14に示すような相対的なずれ量が異なる記録位置調整用の9つのパターンを記録し、それらの濃度を測定する。そして、測定した4つの濃度から、例えば最小二乗法による曲線近似によって、そのときの記録位置ずれに応じた図8に示すような曲線を得、その曲線において濃度の最大位置を求める。そして、その最大濃度に対応するX方向のずれ量が、そのときの最も相互の記録位置が合っている記録タイミングに対応していることになる。これにより、そのずれ量に対応した記録タイミングを調整値とすることができる。
なお、上例は、同じ記録チップ内のCインクのX方向の記録位置を、Kインクの記録位置に合わせるための色間X記録位置調整に用いる調整パターンの例を説明したが、Y方向の色間記録位置調整(色間Y記録位置調整)も同様に実施することができる。また、隣接する記録チップのオーバーラップ領域について、各記録チップのKインク同士でパターンを形成することで、隣接する記録チップ間の記録位置調整(チップ間記録位置調整)も同様に実施することができる。
<クリアインクの記録位置調整パターン>
図9は、クリアインクの記録位置調整用パターン(レジ調整パターン)を説明するための模式図である。図に示すパターンは、クリアインクと色材インクのX方向の記録位置を調整するためのパターンである。以下では、クリアインクの記録位置をブラック(K)インクの記録位置を基準として調整するパターンを例に説明する。
図9において、白抜き薄いドットはクリアインクのドットを、網がけの濃いドットはKインクのドットをそれぞれ示している。各ドットの間隔はX、Y方向ともに1200dpiであり、それぞれのドットによって形成された1辺18ドットの正方形が、互いに重ならないように千鳥格子状に配置されている。ここで、1200dpiの画素にドットを1つ形成する状態を、「ベタ」記録と言う。標準的な普通紙においては、ベタ記録をした場合のエリアファクタは略100%となる。
図10(a)〜(d)は、図9に示すパターンについて、クリアインクとKインクの記録位置が相対的に4つのずれ量でずれたパターンを示す図である。図示を簡易化するため、クリアインクドットが記録される領域(クリアインクベタ部)は白抜きの正方形で、Kドットが記録される領域(Kベタ部)は網がけの正方形で表している。
図10(a)は、クリアインクとKインクの相対的な記録位置が理想的に合っている(ずれ量が0)状態のパターンを示している。一方、図10(b)は、相互の記録位置が少しずれたときの状態、図10(c)は、相互の記録位置がさらにずれた状態、図10(d)は、さらに大きくずれた状態のパターンをそれぞれ示している。この記録位置調整用パターンは、記録位置のずれが大きくなるにしたがって、クリアインクドットとKインクドットの重なる割合が増加し、重なり部ではKインクが凝集して濃度が増すことで、パターン全体の濃度が増加する。すなわち、図10(a)の状態では、重なり率は略0%である。図10(b)、(c)に示すように相互の記録位置がずれるにしたがって重なり率は増加し、図10(d)では重なり率は略100%となる。このように、重なり率と、前述したエリアファクタは相反する関係にある。クリアインクは色材を有していないことから、単体ではエリアファクタが増えても濃度への寄与はほとんど無い。しかし、Kインクが重なることによって、重なり部のKインクが凝集して濃度が増す。すなわち、図7(a)〜(d)に示す、色材インクインク間の記録位置調整とは異なり、クリアインクドットとKインクドットとの重なり率が増えることにより、パターン全体の濃度は増加する。
なお、Y方向の記録位置調整のためのパターンは、図10(a)〜(d)に示すパターンを90度回転させたパターンとすることができ、これらのパターンは、各色インクについて所定の数の連続するノズルでパターンを記録し、このパターン記録に用いる、連続した所定数のノズルの範囲をずらすことによって記録することができる。
図11は、図10(a)〜(d)に示すような記録位置調整用のパターンを、7つ用いた場合の、記録位置のずれ量と反射濃度との関係を説明する図である。クリアインクドットとKインクドットの記録位置のずれ量が”0”のときに重なり率が略0%となり、反射率Rは最も高くなる。すなわち、反射濃度dが最小となる。クリアインクドットとKインクドットの記録位置がX方向に対して+および−のいずれの方向にずれても、反射濃度dは増加する。
クリアインクの記録位置調整のための調整値を取得する処理では、図16に示すような相対的なずれ量が異なる記録位置調整用の7つのパターンを記録し、それらの濃度を測定する。そして、測定した4つの濃度から、例えば最小二乗法による曲線近似によって、そのときの記録位置ずれの状態に応じた図11に示すような曲線を得、その曲線において濃度の最小位置を求める。そして、その最小濃度に対応するX方向のずれ量が、そのときの最も相互の記録位置が合っている記録タイミングに対応していることになる。これにより、そのずれ量に対応した記録タイミングを調整値とすることができる。
本例のX方向における記録位置のずれは、クリアインクの吐出タイミングをKインクの吐出タイミングに対してずらすことによって行う。Y方向については、色材インクインク間の記録位置調整と同様、ノズルに対する記録データのずらしによって実現することができる。また、ドットサイズや記録位置調整の精度等に応じてパターンは変更することも可能である。
<記録位置調整>
図12は、記録位置調整処理を示すフローチャートである。
最初に、ステップ100で、色材インク同士の記録位置調整(レジ調整)を行う。色材インクの記録位置調整には、隣接チップ間の記録位置を合わせるチップ間記録位置調整と、同チップ内の他色との記録位置を合わせる色間記録位置調整が含まれる。チップ間記録位置調整では、記録チップH200a(図2)を基準とし、隣接する各記録チップ同士の記録位置を調整する。
チップ間記録位置調整では、記録チップ間のKインク同士で記録位置調整用パターンを記録し、その測定値をその記録チップの代表値として使用する。調整は、X方向の記録位置調整は記録チップごとの吐出タイミングを制御することにより実施し、Y方向の記録位置調整は記録チップごとの吐出データをY方向にシフトさせることにより実施する。色間記録位置調整では、Kインクのノズル列H207、H208を基準として、記録チップごとにC、M、Yインクのノズル列による記録位置を調整する。調整値は、同記録チップ内のブラックと該当色にて記録位置調整パターンを記録し、その測定値を該当色のノズル列の調整値として使用する。調整は、X方向の記録位置調整は記録チップごとに色ごとの吐出タイミングを制御することにより実施し、Y方向の記録位置調整は記録チップごとに色ごとの吐出データをY方向にシフトさせることにより実施する。
次に、ステップ200で、クリアインクの記録位置調整を行う。クリアインクの記録位置調整は、Y方向において同位置にある記録チップ同士の記録位置を合わせる調整であり、記録チップごとに実施する。例えば、クリアインク用の記録ヘッド21の記録チップH200aと色材インク用の記録ヘッド22の記録チップH200aとの間で行う。
クリアインクの記録位置調整では、Kインクのノズル列H207、H208を基準として、記録チップごとにクリアインクのノズル列による記録位置を調整する。調整値は、クリアインクと色材インクにて記録位置調整パターンを記録し、その測定値をクリアインクの該当記録チップの調整値として使用する。調整は、X方向の記録位置調整は記録チップごとにクリアインクの吐出タイミングを制御することにより実施し、Y方向の記録位置調整は記録チップごとにクリアインクの吐出データをY方向にシフトさせる、すなわち、使用するノズルの範囲をシフトすることにより実施する。ここで、各方向における記録位置調整の解像度は、Y方向はノズルの実質解像度である1200dpi単位であり、X方向は吐出タイミング制御により4800dpiまでの調整が可能である。
図13は、図12に示すステップS100の色材インクの記録位置調整処理の詳細を示すフローチャートである。
最初に、ステップ101で、X方向およびY方向のそれぞれについて、色材インクの記録位置調整パターンを記録する。色材インクの記録位置調整パターンには、チップ間記録位置調整用の調整パターン、色間記録位置調整用の調整パターンが含まれる。次に、ステップ102で、光学センサ30によって、それらのパターンの光学特性(本実施形態では、濃度)を測定する。そして、ステップ103で、測定したパターンの光学特性に基づいて、X方向およびY方向のそれぞれについて、適切な記録位置合わせ条件(調整置)を求める。その記録位置合わせ条件は、上述したように、例えば最小二乗法による曲線近似のピーク値を用いて求めることができる。ステップ105では、求めた記録位置合わせ条件に基づき、Y方向については、吐出データのシフト量を設定(ステップ104)、X方向については、吐出タイミングの変更設定(ステップ105)を行う。
図14は、図6に示した色材インクの記録位置調整用パターンを記録媒体Pに記録した例を示す図である。図に示す例は、図7(a)〜(d)に示した例の4つとは異なり、KインクとCインクに関して記録位置の相対的なずれ量が異なる9つのパターンを記録した例である。以下では、これらの各パターンをパッチともいう。この9通りのパッチにおいて、KインクとCインクの記録開始タイミングについては、例えばKインクを固定とする。一方、Cインクの開始タイミングについては現在設定されている開始タイミングと、それより早い4段階の開始タイミング、それより遅い4段階の開始タイミングの計9通りのタイミングによって記録する。このような記録開始タイミングの設定、およびそれに基づく9通りのパッチの記録は、所定の指示入力によって起動されるプログラムにより実行することができる。
このようにして記録位置調整パターンとしてのパッチ(a)ないし(i)を記録した後、それらの対向位置に、キャリッジに搭載された反射型光学センサ30が位置するように、記録媒体Pとキャリッジを移動させ、各パッチの光学特性(濃度)を測定する。この測定結果は、図8にて上述したように、その調整時の記録位置ずれの状況に応じたものであり、必ずしも中央部の濃度が最も高くなるものでないことはもちろんである。
なお、ノイズの影響を低減するべく、キャリッジを停止させて測定を行ったり、スポット径の大きいセンサを使用したり、複数点の測定結果を平均化するなどを行ってもよい。これにより、記録されたパターン上の局所的な光学特性(例えば反射光学濃度)のばらつきを平均化して、精度の高い反射光学濃度の測定を行うことができる。
図15は、ステップS200のクリアインクの記録位置調整処理の詳細を示すフローチャートである。
最初に、ステップ201で、X方向およびY方向のそれぞれについて、クリアインクの記録位置調整用パターンを記録する。次に、ステップ202で、光学センサ30によって、そのパターンの光学特性(濃度)を測定する。そして、ステップ203で、測定したパターンの光学特性に基づいて、X方向およびY方向のそれぞれについて、適切な記録位置合わせ条件(調整値)を求める。その位置合わせ条件は、図11にて上述したように、例えば最小二乗法による曲線近似のピーク位置を用いて求めることができる。次に、求めた記録位置合わせ条件に基づき、Y方向については、クリアインクの吐出データのシフト量設定(ステップ204)、X方向については、吐出タイミングの変更設定(ステップ205)を行う。
図16は、図9にて上述したクリアインクの記録位置調整用パターンを記録媒体Pに記録した例を示す図である。図に示す例は、図10(a)〜(d)に示す4つのパッチのパターンとは異なり、記録位置の相対的なずれ量が異なる7つのパッチの例を示している。この7通りのパッチにおいて、クリアインクとKインクの記録開始タイミングについては、基準となるKインクを固定とする。一方、クリアインクの開始タイミングについては現在設定されている開始タイミングと、それより早い3段階の開始タイミング、それより遅い3段階の開始タイミングの計7通りのタイミングとする。このような記録開始タイミングの設定、およびそれに基づく7通りのパッチの記録は、所定の指示入力によって起動されるプログラムにより実行することができる。
<センサ光源と反射濃度>
次に、クリアインクの記録位置調整用パターンの光学センサ30を用いた測定の詳細を説明する。本実施形態の反射型光学センサ30は、記録装置で用いるクリアインク、色材インクの色調、記録ヘッドの構成等に応じて、発光部31として、赤色(R光源)、緑色(G光源)、青色(B光源)の3種の発光ダイオード(LED)から、選択して用いる。
図17は、発光部31で用いるR、G、B発色の発光ダイオードの色波長特性を示す図であり、光源の色ごとの波長に対する光の強度を示している。図17に示すように、左から順に、青色(B光源)は、ピーク波長が470nm付近にある波長特性、緑色(G光源)はピーク波長が530nm付近にある波長特性赤色(R光源)はピーク波長が620nm付近にある波長特性である。
図18(a)〜(d)は、発光部31からの照射光の光学特性を利用した測定原理を説明するための図である。図18(a)は、発光部31のR、G、B各光源のうち、R光源の波長特性を示している。図18(b)は、ドットが形成されていない記録媒体自体の反射率の波長特性を示しており、これは、ドット非形成部における記録媒体自身の色によるものである。図18(c)は、記録媒体自身の光吸収率の波長特性を示しており、これは、上述の反射率を100%から減算したものである。図18(d)は、R光源からの光の、記録媒体からの反射光の波長特性を示しており、波長に対する光の強度(反射光強度)の関係を表している。
本実施形態で用いる記録媒体は、図18(b)ないし(c)に示すように、可視領域の波長に全体にわたり反射率は高く、吸収率は低いものである。従って、図18(d)に示す、R光源の光の反射光の光学特性は、光の強度については記録媒体の光の吸収によってわずかに減少しているが、波長特性は、図18(a)に示すR光源自体のものと、それほど変わらない。図18(d)における斜線部は、可視領域の波長の光の強度を測定する素子の測定出力に寄与する部分である。実際には測定素子の感度特性が影響するのであるが、以下では、説明を分かりやすくするために、この斜線部の面積分がそのまま光学センサの測定結果(反射濃度)となるものとする。斜線部の面積が大きい場合は反射濃度が低く、斜線部の面積が小さい場合は反射濃度が高いということになる。
次に、色材インクの色調と光源色との関係について説明する。以下では、光源色としてR光源を用いた場合を例にして説明する。
図19〜図22は、記録媒体にそれぞれブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色材インクのドットを形成し、それらの光学特性や光学センサを用いた測定結果を説明するための図である。図19〜図22の(a)は、R光源の波長特性を示している。図19〜図22の(b)は、記録媒体における各色インクのドット形成部(記録部分)の反射率を示しており、これは、各色インクによるドット形成部の発色によるものである。図19〜図22の(c)は、記録媒体における各インクのドット形成部の吸収率を示しており、上記反射率を100%から減算したものである。図19〜図22の(d)は、記録媒体からのR光源の反射光の波長特性を示しており、これは反射光の波長と強度との関係を表している。
例えば、図19に示すKインクの場合、図19(b)に示すように、全波長域で反射率が低く、逆に、図19(c)に示すように、全波長域で吸収率が高いことが分かる。このため、赤色の領域である波長620nm付近において、Kドットの反射光強度は、図19(d)に示すように弱くなり、従って、反射濃度が高くなる。その結果、図18(d)に示した紙白部(記録媒体の)の反射光強度と比較すると、その差は大きい。
図20に示すCインクの場合、図20(b)に示すように、その色調に対応する波長460nm付近に反射率のピークがあり、逆に、図20(c)に示すように、その色調に対応する波長以外の可視領域の吸収率が高いことが分かる。従って、赤色の領域である波長620nm付近において、Cドットの反射光強度は、図20(d)に示すように、弱く、反射濃度が高くなる。その結果、Kインクと同様に、紙白部の反射光強度との差は比較的大きい。
図21、図22に示す、それぞれMインク、Yインクの場合、反射率はそれぞれ図21(b)、図22(b)に示すような波長特性を有し、それに伴い吸収率は、図21(c)、図22(c)に示すものとなる。すなわち、Mインク、Yインクは、赤色の領域である波長620nm付近において吸収率が低くなっているのが分かる。従って、R光源に対するMドット、Yドットの反射光強度はそれぞれ、図21(d)、図22(d)に示すように比較的強くなり、反射濃度は比較的低くなる。その結果、図18(d)で示した紙白部の反射光強度と比較した場合、その差は小さいものとなる。
<記録位置調整パターンの反射濃度>
色材インクの記録位置調整は、図7(a)〜(d)に示すようなパターンを用い記録位置ずれに応じたエリアファクタの変化を検出することによって行うものである。この点で、紙白部(記録媒体の地の部分)とドットが形成された部分との間の、光源による反射光強度の差が大きくなるほど、S/N比が向上し検出精度を高めることができる。従って、色材インクの記録位置調整を行う場合は、紙白部の比較的大な反射光強度に対して、調整を行う2つのインクそれぞれの反射光強度が弱くなるような(反射濃度が高くなるような)光源色を選択することが好ましい。
具体的には、例えば,KインクとCインクの記録位置調整を行う場合は、赤色の光源色を選択することが好ましい。すなわち、互いのインクの記録位置が合っている場合は、図7(a)に示したように、KドットとCドットを合わせたエリアファクタが略100%となる。その結果、R光源の下、反射強度は、図19(d)と図20(d)に示したそれぞれの強度が混在したものとなり、従って、反射濃度が高い状態となる。一方、互いのインクの記録位置が比較的大きくずれて、図7(d)に示したようにエリアファクタが低い場合は、記録媒体の露出面積が増える。その結果、R光源の下、図18(d)に示したような紙白部からの反射光強度と同様の反射強度となり、結果として記録部の全体的な反射濃度は低くなる。
同様の理由から、KインクとMインクの記録位置調整を行う場合は緑色の光源色を、KインクとYインクの記録位置調整を行う場合は青色の光源色を選択して使用することが好ましい。
なお、ブラックインク以外のカラー(CMY)インク同士の記録位置調整は、例えば、各色を全てブラックに合わせるように記録位置調整をすることで実現できる。ブラックはRGBの全ての光源において反射光強度が弱いため、ブラックに対して記録位置合わせを行う他の色材インクの色調に応じて、光源色を赤色(R光源)、緑色(G光源)、青色(B光源)のうち、吸光特性が優れるものを選択して光学特性の測定を行うことができる。これにより、パッチにおける色材インクのドットの合計のエリアファクタの変化をより精度良く検出することが可能となり、結果として色材インクの記録位置調整の精度を向上することができる。
一方、クリアインクの記録位置調整に用いる色材インク(の色調)と光源色との関係については、以下のとおりである。
クリアインクの記録位置調整は、図10、図11にて上述したように、基準となる色材インクとクリアインクの相対的なずれ量を変えて記録し、重なり部の色変化を光学特性の変化として検出することによって行うものである。
図23(a)〜(e)は、クリアインクと色材インク単色を重ねて記録した場合と、重ねずに記録した場合の光学特性を説明する図である。図23(a)は、上述した光学特性を説明する図と同様、R光源の波長特性を示している。
図23(b)は、記録媒体においてKインク単体の場合と、Kインクがクリアインクと重なった場合、それぞれのドット形成部の反射率の波長特性を示している。ここで、図23(b)において、実線はKインクがクリアインクに重なった場合の特性を、破線はKインク単色の場合の特性を示している。図23(c)、(d)においても同様である。図23(a)において、実線で示す重なった場合の方が、破線で示すKインク単独の場合に比べて全波長域で反射率が低くなっている。すなわち、Kインクはクリアインクと重なることにより、濃度が高くなることが分かる。図23(c)は、記録媒体上におけるKドット形成部の吸収率の波長特性を示している。これは、上述の反射率を100%から減算したものである。図23(d)は、R光源の下での、記録媒体からの反射光の波長特性を示しており、反射光の波長と強度との関係を表している。図23(e)は、図23(d)に示した反射光の波長特性(反射光強度)の差分を示している。これは、Kインク単体と、Kインクがクリアインク上に重なった場合との、反射光の波長と強度の差分を表している。本発明の一実施形態に係る、クリアインクの記録位置調整では、この差分を利用してクリアインクの記録位置調整を行う。
具体的には、図10(a)に示した、クリアインクドットとKドットが全く重なっていない記録位置の関係では、反射光強度は、図18(d)に示される反射光強度と、図23(d)における破線で示される反射光強度を混在させたものとなる。一方、図10(d)に示した、クリアインクドットとKドットが完全に重なる記録位置の関係では、反射光強度は、図18(d)に示される反射光強度と、図23(d)において実線で示される反射光強度を混在させたものとなる。すなわち、上述した、クリアインクとKインクを単に重ねることを利用した記録位置調整では、重なった場合と重ならない場合との間で、反射光強度つまり測定する濃度に大きな差がない場合があり、この場合には、記録位置のずれによるエリアファクタの変化に応じた濃度の変化を有意に検出できないことになる。このように、クリアインクのドット単体では、R、G、Bいずれの光源の波長領域においてもほとんど吸収に寄与せず、色材インクの記録位置調整で上述したように、エリアファクタの変化を反射光強度の変化として検出するのは困難になる。
なお、従来技術によるクリアインクの記録位置調整では、クリアインクによる色材インクの凝集作用を利用し、クリアインクと色材インクが重なった場合と、重なってない場合の濃度差を光学特性の差分として検出し、相対的な位置関係を検出している。しかし、上述したように、色材インクの記録位置調整パターンのようにエリアファクタの変化を検出する場合に比べて、クリアインクの記録位置調整パターンで用いたような凝集による反射濃度変化は変化量が少なく、検出精度が低下する場合がある。例えば、反射型光学センサや電気回路などデバイスのコストダウンや、使用するメディアやインクの特性などにより上記変化量が低減した場合、検出すべき差分がノイズに埋もれて検出し難くなる可能性がある。
これに対し、本発明は、クリアインクと色材インクが重なった場合と、重なってない場合の反射濃度の差分が大きい記録位置調整用パターンを記録するものである。以下、そのいくつかの実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図24および図25は、二つの異なる色調の色材インクが記録媒体の同じ位置に着弾したときの浸透の様子を説明するための、記録媒体の断面図である。図24(a)〜(d)は、記録媒体にカラー1、カラー2の色材インクが順に着弾した場合を、図25(a)〜(f)は、記録媒体にクリアインク、カラー1のインク、カラー2のインクが順に着弾した場合を示している。
図24(a)に示すように、記録ヘッドからカラー1のインク滴241が吐出される。このインク滴は、記録媒体の紙白部に着弾することにより、インクに含まれる溶剤が記録媒体内部に浸透し、インクに含まれる固形分である色材が記録媒体の表層に定着する。これにより、図24(b)に示すように、ドット242が形成される。続いて、図24(c)に示すように、記録ヘッドから吐出されたカラー2のインク滴243吐出される。そして、このインク滴は、記録媒体に形成されたドット242に重なるように着弾するこのように、記録媒体上に既にインク滴が着弾してドットが形成されていると、図24(d)に示すように、同位置に後から着弾したインク滴243は既に形成されたドット242の奥深くまで浸透し、ドット244の位置まで浸透する。これは、先に着弾しているインクによって記録媒体の濡れ性が増し、浸透しやすい状態になっているためである。このように、クリアインクが無い領域に2つの異なる色調のインクを吐出した場合、後から着弾するカラー2のインク滴243が記録媒体の深部まで浸透することにより、記録媒体の表層には先に着弾したカラー1のインク滴241のドット242が残る。その結果、ドットが重なった部分ではカラー1の色が支配的に観察されることになる。なお、図24では、浸透位置を簡略的に表現するためドット242とドット244を分離して表現しているが、後から着弾したカラー2のインク滴243の色材の一部も表層に残る場合がある。
一方、クリアインクと2種類のインクを用いる場合は、図25(a)に示すように、記録ヘッドからクリアインクのインク滴245が吐出される。このインク滴は、図25(b)に示すように、記録媒体の紙白部に着弾した後、記録媒体の表層に定着することによりドット246が形成される。次に、図25(c)に示すように、記録ヘッドからカラー1のインク滴247が吐出され、記録媒体に形成されたクリアインクのドット246に重なるように着弾する。カラー1のインクはクリアインクと触れることによって凝集し、インクに含まれる溶剤は記録媒体内部に浸透し、図25(d)に示すように、インク滴247に含まれる色材は、図24に示す場合と比べて記録媒体の表層により近い領域で定着し、ドット248が形成される。続いて、図25(e)に示すように、記録ヘッドからカラー2のインク滴249が吐出され、図25(f)に示すように、先に着弾したインク1のドット248に重なるように着弾する。記録媒体の表層には先に着弾したクリアインクドット246の成分が残っていることから、カラー2のインク滴249の色材は、図24に示す例のように奥深く浸透することなく、カラー1のドット248の上側で定着する。
以上のように、2種類のインクとクリアインクを用いる場合、クリアインクを用いない図24に示す場合と比べ、カラー1およびカラー2のインクの色材が記録媒体のより表層近くに定着する。その結果、ドット部の濃度が向上するとともに、その色調は、より上層部に定着するカラー2の色が支配的に見えることとなる。
図26(a)〜(k)は、図24および図25にて上述した、クリアインクを用いる場合と用いない場合の光学特性の違いを説明する図であり、カラー1インクとしてイエロー(Y)インクを、カラー2インクとしてブラック(K)インクを用いた場合を示している。図26(a)、(b)、(c)は、発光部31のR、G、B光源の発光ダイオードそれぞれの波長特性をそれぞれ示している。
図26(d)は、記録媒体においてYインク、Kインクがこの順に重なった場合(破線)と、クリアインク、Yインク、Kインクがこの順に重なった場合(実線)の、ドットが形成された部分の反射率の波長特性を示している。なお、図における破線および実線は、図26(e)〜(h)においても、同様のことを意味している。
図26(d)に示すように、クリアインクを用いる場合(実線)は、全波長域で反射率が低く(反射濃度が高く)なる。また、クリアインク有り(実線)と、無し(破線)とを比べると、特定波長域で反射率を示す曲線の形が変化しているのが分かる。これは、図24および図25にて上述したように、クリアインクの有無に応じて、カラー1インクとカラー2インクの定着位置関係が入れ替わることによる色調の変化によるものである。具体的には、クリアインクが有る場合には、後に着弾したKインクが上層に定着して支配的な色調となるため、全波長域で反射率が低く、その曲線形状は概ねフラットになる。一方、クリアインクが無い場合には、先に着弾したYインクが上層に定着して支配的な色調となる。このため、図26(c)に示すB光源の波長のピーク付近の領域では反射率が比較的低いのに対し、図26(a)、(b)に示すR、G光源の波長のピーク付近の領域では反射率が比較的高くなっている。図26(e)は、記録媒体におけるドット形成部の吸収率の波長特性を示している。これは、上述した反射率を100%から減算したものを表している。
図26(f)、(g)、(h)は、R、G、B光源下における、記録媒体の上記ドット形成部分からの反射光の波長特性を示している。クリアインクが有る場合(実線)は、ブラックが支配的な色調となるため、いずれの光源下においても反射光強度は弱く、従って、反射濃度は高くなる。一方、クリアインクが無い場合(破線)は、イエローが支配的な色調となるため、R、G光源下では、反射光強度が強く(反射濃度が低く)なるが、B光源下では弱く(反射濃度が高く)なる。この点から、クリアインクが無い場合のドット形成部における反射濃度が比較的低くなるR、G光源を選択することにより、クリアインクが有る場合と無い場合の反射濃度の差を大きくすることができる。
図26(i)、(j)、(k)は、R、G、B光源下それぞれで、クリアインクの有無による反射光の波長特性の差分を示している。それぞれの図において、斜線部の面積が反射光強度の差分の大きさを表しており、R、G光源では、B光源に比べて面積が大きくなっている。面積が大きいほど反射濃度の差が大きいため、検出精度は向上する。
なお、上例では、YインクとKインクを順に打ちこむ場合について説明したが、色材インクの色調、打ち込み順、光源色を適切に組み合わせることにより、同様の効果を得ることができる。すなわち、ある光源色に対し、先に着弾するカラー1インクとしては反射濃度が低い色調であり、後に着弾するカラー2インクとしては反射濃度が高い色調を選択する。これにより、1種類の色材インク(単色)を用いる場合に比べて、反射濃度の変化量を大きくすることが可能となり、クリアインクが有る場合と無い場合の差分の検出性を向上させることができる。
<本実施形態におけるクリアインクの記録位置調整>
図27は、本実施形態に係るクリアインクの記録位置調整処理を示すフローチャートである。また、図28(a)〜(h)は、本実施形態に係るクリアインクの記録位置調整における調整用パターンの記録を説明するための、記録媒体の模式的断面図である。なお、本実施形態のクリアインクの記録位置調整では、クリアインクの記録位置が調整対象であり、その基準位置のインクとしてKインクを、検出補助インクとしてYインクを用いる。すなわち、図25(a)〜(f)にて上述した、カラー1インクはYインクに、カラー2インクはKインクに、それぞれ対応する。そして、本実施形態では、光源色として赤色(R光源)を用いる。
図27において、最初に、ステップ301で、クリアインク(調整対象インク)による記録位置調整用のパターン281(図28(a))を記録する。本実施形態の調整用パターン281は、図9および図10にて上述したものと同様の千鳥格子のパターンであり、図28(a)、(e)はそれぞれ、図10(a)、(d)に示すクリアインクによる調整用パターン記録を表したものである。
次に、ステップ302で、検出補助としてのYインクによって、検出補助用パターン282(図28(b))を記録する。本実施形態の検出補助用パターン282は、その後にKインクで記録する基準パターン283と同位置に、同様のパターンを記録する。図28(b)、(f)は、検出補助用パターン282の記録の様子を表したものである。
次に、ステップ303で、基準対象インクとしてのKインクによって、基準用パターン283(図28(c))を記録する。本実施形態の基準用パターン283についても、図9および図10で説明したものと同様であり、図28(c)、(g)はそれぞれ、図10(a)、(d)に示すKインクによる基準用パターンの記録時の様子を表したものである。このように、基準用パターン283は、ステップS302で記録したYインクの検出補助用パターン282の記録部に重ねて記録することとなる。
図29は、図27、図28にて上述したように記録した、クリアインクの記録位置調整用パターンおよびその記録順序を示す図である。図29に示すように、記録媒体に対して、クリアインクによる調整用パターン281、Yインクによる検出補助用パターン282、Kインクによる基準用パターン283が順に記録される。このようなパターンを、クリアインクの記録位置のずらし量を変えながら、図14に示したのと同様に9通り記録する。以上の処理は、X方向およびY方向のそれぞれで行う。
図27を再び参照すると、この記録の後、ステップ304で、R光源における光学特性の測定を行い、ステップ305で、適切な記録位置合わせ条件(調整値)を求める。さらに、ステップS306で、求めた調整値に基づき、Y方向については、クリアインクの吐出データのシフト量を設定し(ステップ306)、X方向については、吐出タイミングの変更設定を行う(ステップ307)。
<記録位置調整パターンの測定値比較>
図30は、本実施形態のクリアインクの記録位置調整における各パッチの反射濃度(実線)を、図15にて上述した比較例に係るクリアインクの記録位置調整における各パッチの反射濃度値(破線)と、対比して説明する図である。図30において、破線は、色材インクとしてKインク単色(基準対象)を用いた場合の、記録位置ずれに応じた反射濃度の変化を示しており、実線は、色材インクとしてYインク(検出補助)およびKインク(基準対象)を用いた場合の反射濃度の変化を示している。反射濃度が最小なる点に対応するずれ量(X軸)がゼロは、図10(a)または図28(d)に示す状態、すなわち、基準のKインクに対するクリアインクの記録位置が合っている状態に対応している。一方、反射濃度値が最大となるずれ量の点は、図10(d)または図28(h)の状態、すなわち、基準のKインクに対するクリアインクの記録位置が大きくずれている状態に対応している。
Kインク単色を用いたクリアインクの記録位置調整における反射濃度値の変化幅を1.0すると、本実施形態のクリアインクの記録位置調整における反射濃度値の変化幅は約1.8となり、その変化量が大きくなっている。このように、2色の色材インクの組み合わせ、記録順、測定に用いる光源色、を適切に組み合わせることにより、クリアインクが有る場合と無い場合における光学特性の差分を増し、その検出性を向上させることが可能となる。
<センサ光源色と検出補助インク、基準対象インクの組み合わせ>
上述した実施形態の説明では、光源色として赤色(R)光源を、記録媒体に先に付与する検出補助用色材インクとしてYインクを、後に付与する基準色材インクとしてKインクを使用するものであるが、他の組み合わせにおいても同様の効果を得られる組み合わせが存在する。
上述したように、本発明は、検査に使用する光源色に対して、先に付与する検出補助用色材インクとしては反射濃度が低い色調のインクを、後に付与する基準対象用色材インクとしては反射濃度が高い色調のインクを選択する。代表的な組み合わせとしては、センサ光源色としてのR、G、Bと、色材インクとしてのC、M、Y、Kが理想的な色と仮定すると、赤色(R)光源下では、検出補助用としてはYインクまたはMインクを、基準対象用としてはKインクまたはCインクを選択する。緑色(G)光源下では、検出補助用としてはCインクまたはYインクを、基準対象用としてはKインクまたはMインクを、また、青色(B)光源下では、検出補助用としてMもしくはCを、基準対象用としてはKもしくはYを、組み合わせて選択する。なお、インクジェット記録装置で使用されるC、M、Y、Kなどの色材インクは色としては理想的なC、M、Y、Kではないことが多く、また、使用する記録媒体による発色性や、記録装置の構成によりドット重ね順の制約もある。この点から、記録に用いる記録媒体に対して、上記条件を変えながら実際にパターンを記録し最適な組み合わせを予め求めることが望ましい。
<光学特性の検出について>
上述した実施形態の説明では、光学特性を検出する手段として、R、G、Bなどの特定のピーク波長をもつ色付き光源を照射し、その反射光強度(反射濃度)を測定する反射型光学センサを用いたが、特定波長域における光学特性を検出する手段であれば、他の手段を用いてもよいことはもちろんである。例えば、白色光源から白色光を照射し、増幅した反射光をRGBの各カラーフィルタにより分光し、撮像素子であるCCDセンサによって読み取ることにより、RGB情報を取得することもできる。また、RGB各光源による反射光を撮像素子であるCMOSセンサによって読み取ることにより、RGB情報を取得することもできる。これらの場合、取得したRGB情報のうち適切なチャンネルにおける輝度値を、上述した反射濃度と読み替えることで同様の効果を得ることができる。
また、他の形態として、目視によって検査を行う場合は、先に付与する検出補助用色材インクとして、白色光による反射濃度が低い(明度が高い)色調のインクを、後から付与する基準色材インクとして、白色光による反射濃度が高い(明度が低い)色調のインクを選択する。これにより、クリアインクと基準色材インクとが重なる場合と重ならない場合とで、反射濃度(明度)の変化量を大きくすることができる。そして、ユーザは、以上のようにして記録した、図16に示すような記録位置調整用パターンを観察し、9つのパッチの中から、図30にて説明したように、最も濃度が低いパッチを選択し、そのパッチに対応するずれ量を調整値として入力する。インクの具体的な組み合わせの一例としては、検出補助用色材インクとしてはYインク、基準色材インクとしてはKインクを用いる。
<検査パターンの変形例>
なお、本実施形態においては検出補助用パターンとして、基準用パターンと同位置、同形状のパターンを記録したが、基準用パターンの記録部全体を含んでいれば、本発明の効果を得ることが可能である。
図31(a)〜(h)は、本変形例に係る検出補助用パターン284および基準用パターン283の記録の様子を示す模式的断面図であり、図28(a)〜(h)と同様の図である。また、図32は、図31に示す記録位置調整用パターンを記録するときの記録順序を示す図である。これら図に示すように、検出補助用パターン284は、基準用パターン283の全体を含むように記録される。
すなわち、R光源下では、Yインクの記録部は反射濃度が低いため、Kインクの基準用パターン283以外の領域にYインクが存在した場合でも、記録位置調整用パターン全体の反射濃度値への影響は軽微である。従って、上述したように、光源色に対して検出補助用色材インクは反射濃度が低いものを、基準対象用色材インクとしては反射濃度が高いものを選択すれば、図28で説明した場合と同様に、図31(d)と図31(h)に示す状態の検出値の差分は、基準用インクとして1つのインクを用いる場合と比べて大きくなる。このような検出補助パターン284を採用することにより、色材インク同士の記録位置を正確に合わせなくても、クリアインクの記録位置調整の精度を向上させることが可能となる。結果として、例えば、記録位置調整としてクリアインクの記録位置調整のみを実施することや、クリアインクの記録位置調整前に色材インクの記録位置調整値をフィードバックする手間を省くことができ、制御負荷や所要時間の軽減することができる。また、一連動作で色材インクの記録位置調整パターンおよびクリアインクの記録位置調整パターンを一度に記録することができ、使用する記録媒体の数を削減することも可能となる。
上述した実施形態の例では、X方向(搬送方向)およびY方向(ノズル列方向)の記録位置合わせを行うものとしたが、この形態に限られないことはもちろんである。必要に応じていずれか一方向についての記録位置調整であってもよい。また、上述の実施形態ではフルマルチヘッドによるものであったが、シリアルスキャン方式の記録装置においても、例えば、キャリッジの右方向の移動における記録位置と左方向の移動における記録位置との位置合わせなどに本発明を適用できるのはもちろんである。
さらに、クリアインクの記録位置調整に使用するパターンは、例えば色材インクの記録位置調整で用いたような罫線のパターンでも良く、ずらし量に伴って重なり率が変わるものであれば、適宜変更可能である。また、パターンサイズも実装する記録装置の調整レンジに応じて変更すことができる。
(第2実施形態)
<最適な2色の色材インクと光源の組み合わせの選択>
上述した第1の実施形態では、光源色として赤色(R光源)を、カラー1インクとしてYインクを、カラー2インクとしてKインクを用いてクリアインクの記録位置調整を行う形態であるが、記録位置調整に使用する記録媒体の特性(浸透性、発色など)や、搭載している色材インクの色調(濃、淡など)、搭載している光源色などによって、検査に最適な組み合わせが異なる場合がある。
図33は、本発明の第2実施形態に係るクリアインクの記録位置調整処理を示すフローチャートである。本実施形態のクリアインクの記録位置調整では、記録位置調整パターンの記録に先立ち、最も検出性の高い色材インク2色の組み合わせと光源色の選択を行う(ステップ400)。この選択後の、ステップ401〜407の処理は、上述した第1実施形態に係るステップ301〜ステップ307と同様であり、それらの説明は省略する。
図34は、ステップ400の、検査対象のインクと光源色の選択処理を示すフローチャートである。最初に、ステップ501で、色材インクを2色選択し、クリアインク無しで、これらインクを重ねてパッチを記録する。このときのドット配置パターンは、各色ともに1200dpiの1つの画素に1つのドットを配置した、いわゆるベタパターンである。本実施形態は、色材インクとしてC、M、Y、Kインクの4色を搭載しており、想定可能な6通り全ての組み合わせ(CM、CY、CK、MY、MK、YK)で、各色インクを重ねたベタのパッチを記録する。なお、本実施形態は、フルラインタイプの記録ヘッドを用い、記録媒体の搬送方向は一方向であることから、通常、記録動作において実現可能な2色のインクの組み合わせは、記録順も含めて上述した6通りが総てである。次に、ステップ502では、上述のステップ501の同じ組みの色材インクに、さらにクリアインクを加えた組合せで、同じベタのパッチを記録する。
次に、ステップ503で、記録した計12種類のベタパッチについて、搭載している各光源色(R、G、B)における光学特性を測定し、ステップ504で、クリアインクの有無によって反射濃度差が最大となる2色のインクの組と、光源色の組み合わせを選択する。そして、ステップ505で、選択した組みの2色のインクが、通常記録動作において、反射濃度が低い色材インク、高い色材インクの順序で吐出されているか否かを判断する。反射濃度について、上述した順番になっていないときは、ステップ506で、選択した組み合わせを除き、再び、ステップS504で、2色の色材インクと光源色の組み合わせを選択する。ステップ505で、反射濃度が上述の順番になっていると判断したときは、ステップ507で、選択した2色の色材インクと光源色を、クリアインクの記録位置調整に使用する組み合わせとして設定する。
他の形態として、選択の対象となる色材インクの組みの数をより少なくする形態がある。すなわち、クリアインクの記録位置調整で使用する記録媒体において、検出補助に用いる色材インクと基準とする色材インクのそれぞれのインクのベタ記録の反射濃度の差が大きい方が、クリアインク有無による変化量が大きくなる傾向がある。この傾向を利用することで、より簡易に適切な色材インク2色の組み合わせと光源色の選択することができる。具体的には、R、G、Bなどの2種類以上の光源と、C、M、Y、Kなどの3色以上の色材インクを用いる場合、クリアインクの記録位置調整に先立ち、各色材インクで単色ベタパッチを記録して各色光源下での反射濃度を測定し、反射濃度差が最も大きくなる光源と色材インク2色の組み合わせを選択して、クリアインクの検査を実施する。
図35は、本形態に係る、検査対象のインクと光源色の選択処理を示すフローチャートである。本実施形態の選択処理を用いることにより、インクと光源の組み合わせ選択のためのベタ記録のパッチの数は、C、M、Y、Kの4種類となり、搭載しているインクの種類が多い場合などには、インクと光源の組み合わせ選択のために記録するパッチの数を低減することができる。