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JP6514441B2 - 鉄を含む鋳造ニッケル基超合金 - Google Patents
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Description

本発明は、少量の鉄を含むコスト効果の高いニッケル基超合金に関し、より具体的には、タービン翼形部用途で使用するためにニッケルと置換された低重量百分率の鉄を含む鋳造ニッケル基超合金に関する。
ガスタービンエンジンの高温セクションに位置する構成要素は通常、ニッケル基超合金、鉄基超合金、コバルト基超合金、及びこれらの組み合わせを含む超合金から形成される。ガスタービンエンジンの高温セクションは、燃焼器セクションとタービンセクションを含む。一部のタイプのタービンエンジンでは、高温セクションは、排気セクションを含む場合がある。エンジンの異なるセクションは、異なるセクションにおける構成要素を構成する材料が異なる特性を有することが必要な異なる条件を受ける可能性がある。実際に、同じセクションにおける異なる構成要素は、異なるセクションにおける異なる材料を必要とする異なる条件を受ける可能性がある。
エンジンのタービンセクションにおけるタービンバケット又は翼形部は、タービンホイールに取り付けられ、エンジンのタービンセクションによって放出される高温の燃焼排気ガス中に超高速度で回転する。これらのバケット又は翼形部は、クリープ抵抗/応力破断、強度、及び延性などの機械的特性を維持しながら、耐酸化性及び耐腐食性があり、高い使用温度にてこれらのミクロ組織を同時に維持しなければならない。これらのタービンバケットは複雑な形状を有するので、コストの削減ため、材料を加工する処理時間並びに複雑な形状を得るための機械加工時間を短縮するために鋳造可能なものである必要がある。
ニッケル基超合金は、タービンセクション環境の厳しい条件を満たす所望の特性を提供できるので、エンジンの高温セクションで使用する構成要素の製作には通常は、ニッケル基超合金が使用されてきた。これらのニッケル基超合金は、耐高温性能を有すると共に、ガンマプライム析出物の発現を含む、析出強化メカニズムによる強化を実現する。鋳造形態のニッケル基超合金は、バケットに利用されており、現在では、適切に熱処理がなされたときに高い体積分離のガンマプライム析出物を形成する、Rene N4、Rene−N5、適切に熱処理がなされたときに幾分低い体積分離のガンマプライム析出物を形成する、GTD(登録商標)−111、Rene 80及びIn 738などのニッケル基超合金から製造される。GTD(登録商標)は、米国コネティカット州Fairfield所在のGeneral Electric Companyの商標である。GTD(登録商標)222及びIn 939のような、更に低い体積分離のガンマプライム析出物を形成する他のニッケル基超合金は、ノズル又は排気部用途のような低温用途で使用される。
ニッケルは高価な材料であるので、高重量百分率のニッケルはニッケル基超合金のコストを増大させる。加えて、ニッケルは、世界中の多くの重要な産業で使用されている、極めて重要な合金である。ニッケルは重要な資源であるが、ニッケルの主要な産地は、オーストラリア、カナダ、ニューカレドニア、及びロシアである。現在、米国内で採掘中のニッケル鉱山は1箇所しかない。そのため、ニッケルに代わる効果的な低コストの代替物は、コスト及び戦略上の両方の観点で有益となる。
米国特許第7341427号明細書
ニッケル基超合金のような超合金においてニッケルに代わる低コストの代替物が必要とされている。より具体的には、タービン用途において、クリープ/応力破断、引張特性、並びに耐酸化性、耐腐食性及び可鋳性のような特性を含む、合金の高温機械特性に影響を及ぼすことなく用いることができる、ニッケルに代わる入手が容易な低コストの代替物が必要とされている。
鋳造ニッケル基超合金が提供される。その広範な実施形態において、鋳造ニッケル基超合金は、重量百分率で、約1〜6%の鉄(Fe)、約7.5〜19.1%のコバルト(Co)、約7〜22.5%のクロム(Cr)、約1.2〜6.2%のアルミニウム(Al)、任意成分として約5%以下のチタン(Ti)、任意成分として約6.5%以下のタンタル(Ta)、任意成分として約1%以下のNb、約2〜6%のタングステン(W)、任意成分として約3%以下のレニウム(Re)、任意成分として約4%以下のモリブデン(Mo)、約0.05〜0.18%の炭素(C)、任意成分として約0.15%以下のハフニウム(Hf)、約0.004〜0.015%のホウ素(B)、任意成分として約0.1%以下のジルコニウム(Zr)、及び残部のニッケル(Ni)と不可避不純物を含む。
この鋳造ニッケル基超合金は、母材中で1対1原子ベースでNiに代わるFeの置換によって特徴付けられる。しかしながら、鉄は、鋳造ニッケル基超合金の重要な機械的特性、ニッケル基超合金のミクロ組織、耐酸化性、又は耐腐食性に悪影響を及ぼさないような量で添加される。ニッケルに代わる鉄の置換は、鋳造品の全体コストを低減する。
本発明の他の特徴及び利点は、例証として本発明の原理を示す添付図面を参照しながら、以下の好ましい実施形態のより詳細な説明から明らかになるであろう。
ガンマプライムソルバス、1550°Fでのガンマプライムモル分率、液相−固相差(又は凝固温度範囲)及び1400°Fでのシグマ相形成の特性に関するニッケル基超合金GTD(登録商標)−222におけるFe増大の影響を示す図。 ガンマプライムソルバス、1550°Fでのガンマプライムモル分率、液相−固相差(又は凝固温度範囲)及び1550°Fでのシグマ相形成の特性に関するニッケル基超合金IN939におけるFe増大の影響を示す図。 ガンマプライムソルバス、1700°Fでのガンマプライムモル分率、液相−固相差(又は凝固温度範囲)、及び1700°FでのMu相形成の特性に関するニッケル基超合金GTD(登録商標)−111におけるFe増大の影響を示す図。 ガンマプライムソルバス、1700°Fでのガンマプライムモル分率、液相−固相差(又は凝固温度範囲)、及び1700°FでのTCP相形成の特性に関するニッケル基超合金RENE−80におけるFe増大の影響を示す図。 ガンマプライムソルバス、1700°Fでのガンマプライムモル分率、液相−固相差(又は凝固温度範囲)、及び1700°FでのTCP相形成の特性に関するニッケル基超合金IN738におけるFe増大の影響を示す図。 ガンマプライムソルバス、1800°Fでのガンマプライムモル分率、液相−固相差(又は凝固温度範囲)、及び1800°FでのTCP相形成の特性に関するニッケル基超合金RENE−N4におけるFe増大の影響を示す図。 ガンマプライムソルバス、1800°Fでのガンマプライムモル分率、液相−固相差(又は凝固温度範囲)、及び1800°FでのTCP相形成の特性に関するニッケル基超合金RENE−N5におけるFe増大の影響を示す図。
本発明の広範な実施形態において、鋳造ニッケル基超合金は、重量百分率で、1〜5%の鉄(Fe)、7.5〜19.1%のコバルト(Co)、7〜22.5%のクロム(Cr)、1.2〜6.2%のアルミニウム(Al)、5%以下のチタン(Ti)、6.5%以下のタンタル(Ta)、1%以下のNb、2〜6%のタングステン(W)、3%以下の レニウム(Re)、4%以下のモリブデン(Mo)、0.05〜0.18%の炭素(C)、0.15%以下のハフニウム(Hf)、0.004〜0.015 ホウ素(B)、0.1%以下のジルコニウム(Zr)、及び残部のニッケル(Ni)と不可避不純物を含む。しかしながら、重要元素のNiの量を低減する目的で、置換的にニッケル母材内に原子レベルでFeが添加されるので、合金の全体コストを低減するためには微量以上のFeを合金に添加しなければならないが、合金の機械的特性、耐腐食性、耐酸化性、可鋳性、又はミクロ組織に悪影響を及ぼさない程度のFeが添加されるべきである。好ましいFeの量は、1〜4.5重量%である。他の好ましいFeの量は、1.5〜3.5%、及び3〜5%である。最も好ましい量は、2〜3%の範囲内である。
Ni代替物としてFeを含むニッケル基超合金は、従来のFe無しの合金組成の場合よりも5%程度低いガンマプライムγ’ソルバス温度を有するべきである。合金はまた、従来のFe無しの合金組成の場合よりも15%程度低い、好ましくは10%程度低いγ’モル分率を有するべきである。これらの特性は、動作温度、熱間強度、及び熱間クリープ/破壊耐性に影響を及ぼす可能性がある。
本明細書で記載される合金中に含める種々の元素の量は、別途記載のない限り重量百分率で表記される。用語「残部が本質的にNi」又は「合金の残部が本質的にNi」とは、Niに加えて、鋳造ニッケル基超合金において本来的なものである、少量の不純物及び他の不可避的元素(その一部が上記で記載されている)を含むのに使用され、これらは、特性及び/又は量の点でニッケル基超合金の有利な態様に影響を及ぼさない。γ’相のような有益な析出物、並びにMu、シグマ及びTCP相のような有害析出物を含む、本明細書で考察される析出硬化可能なニッケル基超合金の析出物の量は、別途記載のない限りモル分率で表記される。本明細書で使用される合金の公称組成は、引用により本明細書に組み込まれる、AMS、SAE、及びMIL規格のような入手可能な周知の合金仕様において確認される合金を含む、個々の元素の承認された組成範囲を含むが、個々の元素は、通常は組成範囲の中間点に関連する単一の代表値として識別することができる。
表1において以下に示されるのは、従来の複数の異なるタイプの鋳造ニッケル基超合金の公称組成である。これらの鋳造ニッケル基超合金は様々な組成を有するが、ほとんどはFeを含まない。In 738だけがFeを含み、約0.5%の公称レベルに維持される。鋳造ニッケル基超合金は、一般に、鉄を含まないとみなされ、実質的に鉄無しの組成で提供されている。理論によって制限することを意図するものではないが、Feは、ニッケル基超合金の機械的特性及び耐酸化性に悪影響を及ぼすとされているので、より大きな濃度では含まれることはないと考えられる。
上記の合金は全て鋳造ニッケル基超合金であるが、鋳造品の使用を決定付けることができる特性に基づいて組成のばらつきがある。従って、例えば、GTD(登録商標)−222及びIN−739は、ノズル鋳造物に利用される。本明細書で使用される場合、これらの材料は低γ’合金と呼ばれる。γ’は、適切に熱処理がなされたときにNiがAl及びTiと結合して形成される強化析出物である。Ta、W、Nb、及びVは、γ’の形成でTi又はAlと置換することができるが、表1の合金はどれもバナジウムを含んでいない。
GTD(登録商標)−111、Rene−80、及びIN738を含むニッケル基超合金は、中γ’合金と呼ばれ、低γ’合金よりも高い体積分率のγ’を含み、低γ’合金に比べてより高温、高強度、及び高耐クリープ/応力破断の用途に好適である。
Rene N4及びRene−N5のようなニッケル基超合金は、低又は中γ’合金よりも高い体積分率のγ’を含み、ガスタービンの最も高温のセクションで使用するのに好適であり、高応力条件に耐えることができる。
低γ’合金は、一般に、Niと結合してγ’、Ni3(Al,Ti)を形成するAl及びTiの重量百分率が低い(中及び高γ’合金と比べて)ことによって特徴付けられる。γ’は、適切に熱処理がなされたときに、これらの合金を強化する鋳造ニッケル基超合金において形成される析出物である。GTD(登録商標)−222及びIN−739から構成されるノズル鋳造物は、高応力、クリープ、又は応力破断に曝されることのない固定部品であるので、これらの低ガンマプライム合金は、このような用途に十分な強度を有する。
GTD(登録商標)−111、Rene−80、IN−738、Rene N4及びRene−N5は、タービンブレード又はタービンバケットで、及びガスタービンの燃焼セクションにおいて用いることができる。(Reneは、North Carolina州Monroe所在のAllvac Metals Corporationの登録商標であったが、現在は取り消されている)。これらのニッケル系材料は、中及び高γ’合金であり、GTD(登録商標)−222及びIN−939両方よりもAl及びTiの重量百分率が高いことによって特徴付けられる。Al及びTiがNiと結合してγ’、Ni3(Al,Ti)を形成し、これは、適切に熱処理がなされたときに、これらの合金を強化する鋳造ニッケル基超合金において形成される析出物である。タービンバケット又はブレードは、高速度で回転し、高応力及び高温に曝される。これらのバケット又はブレードは、高温の燃焼ガスの流路にあるので、高回転速度の結果としてクリープ及び応力破断にも曝される。燃焼器及び前段のタービンセクションにおいて、(第1段及び第2段の)温度が最も高く、ガス温度は2000°Fを超える場合があるが、種々の能動的冷却方式及び熱障壁コーディングにより、合金材料の温度は、より低温の1700〜1900°Fの範囲に維持される。タービンの後段においては、ガス温度は低下し、同様に能動的冷却方式及び熱障壁コーディングにより、バケットを形成する合金材料は、ガス温度よりも低い1600〜1800°Fの範囲の温度に維持される。更に下流側、例えばタービン排気口では、ガス温度は更に低くなる。
より高い高温強度並びに耐応力破断性が要求されるので、低γ’材料は燃焼器又はタービン用途には好適ではないが、ノズルセクションとも呼ばれるタービンの排気セクションにおける更に下流側で使用することができる。中及び高γ’強化材料は、タービンエンジンの燃焼器及びタービンセクションにおいて使用するのに必要とされる付加的強度を提供する。これらの合金を強化するγ’を構築するために、これらの合金の組成に追加のAl及び/又はTiを含める必要があり、表1に記載されたこれらの合金の公称組成は、中及び高γ’合金におけるAl及び/又はTi及び/又はTa及び/又はWの重量百分率のこれらの増加を反映している。
Al及びTiは、超合金中のγ’の体積分率を増大させる。超合金の強度は、Al+Tiの増加に伴って高くなる。また、γ’の体積分率が増大すると、超合金のクリープ抵抗が高くなる。
Coが添加されると、鋳造ニッケル基超合金の応力及びクリープ破断特性を改善すること考えられる。
Crは、超合金の酸化及び高温腐食耐性を向上させる。Crはまた、Cの存在下で高温及び改善したクリープ破断特性での超合金の固溶強化をもたらすと考えられる。
Cは、鋳造Ni基超合金のクリープ破断特性の改善をもたらす。CはCr及び場合によっては他の元素と相互作用して結晶粒界炭化物を形成する。
Ta、W、Mo及びReは、耐クリープ破断性を向上させる高融点の耐火性元素である。これらの元素は、高温まで持続するγ母材の固溶強化をもたらすことができる。Mo及びWは、Tiなどの硬化元素の拡散性を低下させ、これによりγ’の結晶粒粗大化に必要とされる時間が長くなり、クリープ破断のような高温特性が改善される。Ta及びWはまた、特定の合金におけるγ’の形成でTiと置き換えることができる。
Nbは、γ’’の形成を促進させるために含めることができ、上述のように特定の合金におけるγ’の形成でTiと置き換えることができる。
Hf、B及びZrは、鋳造ニッケル基超合金に低重量百分率で添加されて、粒界強化をもたらす。ホウ化物形成は、粒界延性を向上させるために粒界に形成することができる。ジルコニウムはまた、粒界に偏析すると考えられ、延性をもたらすと同時に、あらゆる残留不純物を結束するのを助けることができる。ハフニウムは、鋳造超合金中にγ−γ’共晶の形成と、延性を提供する粒界γ’の促進をもたらす。
鋳造ニッケル基超合金は、かなりの量のFeを利用しないが(IN738で0.5%利用)、本発明は、1%〜6重量%のFe、より好ましくは1%〜5重量%のFeの範囲の1対1原子レベルでNiに代わってFeを置き換える。Feは、Ni母材においてNiと置き換わる。Feは、鋳造Ni基超合金の特定の機械的特性に悪影響を及ぼす可能性があることへの懸念から、鋳造ニッケル基超合金では使用されていない。これらニッケル基超合金の高ニッケル及びCr含有量(Ni+Crが65%よりも多い、及び好ましくは70%よりも多い)に起因して、最大5%までの1対1原子レベルのNiに対するFeの置き換えは、合金の耐酸化性に影響を及ぼさないはずである。ニッケル母材内で原子レベルで添加されるFeは、面心立法(fcc)のNi原子と置き換えられ、合金に使用される重要元素Niの量を低減することになる。これは、重要元素Niへのタービン構成要素の依存性を低減するだけでなく、微量以上のFeがニッケル基合金に添加された場合にこのような構成要素の材料コストを低減する役割も果たすことになる。
置換ベースでニッケル基超合金に添加することができるFeの量は、ニッケル基超合金の用途における機械的特性に悪影響を及ぼしてはならない。前の段落では耐酸化性について考察した。一般に、特定の使用温度でのクリープ強度は、使用温度でのγ’の量に相関性があり、使用温度はまた、γ’ソルバス温度による影響を受ける。γ’ソルバス温度は、母材中でγ’が溶体化又は溶解し始める温度である。γ’の量はまた、ニッケル基超合金の強度と直接相関がある。合金の可鋳性もまた影響を受けるべきではなく、可鋳性は、液相−固相温度差に相関する。融解温度は、使用中に構成要素が受ける温度を優に上回るのが望ましいが、凝固温度範囲は、合金の液相温度と固相温度の間の差異であり、合金において溶融液体から固体への変化が起こる温度範囲である。広い凝固温度範囲は、合金の可鋳性に悪影響を及ぼす可能性がある。凝固機構は複雑なプロセスであるが、広い高温範囲にわたって生じる凝固は、長い時間期間にわたって起こる可能性があり、金属供給が損なわれる可能性がある場合、特に複雑な鋳造物において鋳造欠陥を生じることがある合金の偏析につながる。幾つかの事例において、このような欠陥に関連する問題は、是正することはできるが、インベストメント鋳型のような型の再設計が必要となる可能性がある。鋳造欠陥を排除できた場合でも、高温で時間の延長を要する均質化が必要とすることができ、これによりコスト増となる。一般的には、偏析を最小限にするより狭い凝固温度範囲が好ましく、薄いセクションが最初に凝固し、より大きなセクションから供給できるようにする設計が可能になる。
Feを含む本発明の鋳造Ni基超合金は、Feを含まないもののような高い体積分率のγ’を含むが、体積分率は、上記で考察したように、合金組成に応じて変わることになる。本発明の鋳造超合金は、実質的に均一に分布した微細γ’から強度が得られる。鋳造後、好適な機械的特性を構築するために、鋳造合金は熱処理を行わねばならない。好ましい熱処理サイクルは、凝固プロセス中に形成されるあらゆるγ’を溶融するために、通常は約4時間にわたりそのγ’ソルバスを上回る合金の溶体化を必要とする。この後、空気冷却され、次いで、微細で均一な分布の析出物を発現させるために、通常は1時間にわたりγ’を下回る温度で時効する。必要に応じて、発現した析出物は、所定サイズの析出物を得るのに好適な時間にわたり1350〜1600°Fの温度範囲で更に時効又は結晶粗大化することができる。図1から7に示すように、溶体化温度は、合金が低γ’、中γ’、又は高γ’の形成物であるかに基づいて変化する。これらの分類内であっても、溶体化温度は、特定の合金組成に基づいて変化することになる。一般に、溶体化温度は、γ’含有量の増大に伴って上昇する。
ここで図1〜7を参照すると、これらの図面は、全体的に、ニッケル基超合金に置換として添加されるFeの重量百分率が増大すると、γ’ソルバス温度が低下し、γ’分率(モル分率)が減少することを示している。Feの増大は一般に、凝固温度範囲を増大させる。一部の合金において、Fe含有量の増大は、TCP相、シグマ相、Mu相などの有害相の形成を増大させる可能性がある。Feの増大は一般に上述のようなこれらの特性に影響を及ぼすが、合金の各々に対するFe含有量の増大の作用は幾分異なっている。
本発明の鋳造ニッケル基超合金の第1の好ましい組成は、重量百分率で1〜6%のFe、望ましくは1〜5%のFe、16〜19.1%のCo、20〜22.5%のCr、0.8〜2.5%のAl、1.2〜4%のTi、0.75〜1.5%のTa、0.5〜1%のNb、2〜3%のW、0.08〜0.15%のC、0.004〜0.01%のB、0.02%以下のZr、及び残部のNiと不可避不純物を含む低γ’合金である。より好ましくは、合金は約1.5〜3.5%のFeを含み、及び最も好ましくは、合金は約2〜3%のFeを含む。この好ましい組成で且つ5%レベルのFeを含むこのような低γ’合金のγ’分率は、約0.15〜0.33である。このような低γ’合金のγ’ソルバスは、1795〜2015°F(約979〜1102℃)の範囲にある。このような低γ’合金の凝固温度範囲(液相〜ソルバス差異)は、152〜180°F(約84〜100℃)の範囲にある。シグマ相は、一部の低γ’合金において最大で0.07モル分率を形成する場合がある。
低γ’ニッケル基合金の1つの特定の組成物は、GTD(登録商標)−222であり、そのFeが含まれない公称組成が表1に示されている。本発明によれば、GTD(登録商標)−222の公称組成は、1〜5%のFe、好ましくは約3〜5%のFe、より好ましくは1.5〜3.5%のFe及び最も好ましくは2〜3%のFeを含む。GTD(登録商標)−222の特性に対するFe増大の作用は、図1に記載されている。Feの増大によりγ’ソルバスの低下が生じる。従って、GTD(登録商標)−222におけるFe含有量の増大は、この合金から作られる物品が使用できる最大温度を低下させる。通常は慎重な熱処理によってγ’が発現すると、γ’の溶体化は避けられるはずである。Feが含まれない状態では、γ’ソルバスは約1815°F(約990℃)である。3%のFeでは、γ’ソルバスは約1807°F(約986℃)に低下し、5%のFeまで実質的に直線的に低下し続け、この5%のFeでは、γ’ソルバスは約1795°F(約979℃)まで低下する。5%のFeを超えると、γ’ソルバスは引き続き実質的に直線的に減少するが、線形減少の傾きは、幾分大きくなるように見える。γ’のモル分率もまた、この合金から作られる構成要素が使用できる温度の1つである、1550°FでFe含有量の増大に伴って減少する。合金がFeを含まない場合には、γ’モル分率は約0.162である。3%のFe含有量では、γ’モル分率は約0.16まで直線的に減少し、約5%のFe含有量では約0.15まで直線的に減少する。γ’モル分率は、5%を上回るFe含有量の増大に伴って減少し続ける。従って、γ’モル分率の減少は、Fe含有量の増大に伴う強度及びクリープ抵抗の低下につながる。液相−固相差(凝固温度範囲)は、Fe含有量の増大に伴って上昇する。合金がFeを含まない場合には、凝固温度範囲は約140°Fである。凝固温度範囲は、3%のFe含有量までは直線的に上昇し、ここでは凝固温度範囲は約152°Fであり、更に、約5%のFe含有量では約162°Fまで直線的に上昇する。凝固温度範囲は、5%を上回るFe含有量の増大に伴って上昇し続ける。凝固温度範囲の上昇は、Fe含有量の増大に伴う可鋳性の問題の可能性を示している。Fe含有量の増大は、1550°Fでのシグマ相の形成に対する影響を与えるものではないが、約8.5%のFeにおいては1400°Fで幾らかのシグマ相が発現する場合がある。シグマ相は、合金の延性に悪影響を及ぼす望ましくないプレートである。
低γ’ニッケル基合金の別の特定の組成物はIN939であり、そのFeが含まれない公称組成が表1に示されている。本発明によれば、IN939の公称組成は、1〜5%のFe、好ましくは約3〜5%のFe、より好ましくは1.5〜3.5%のFe及び最も好ましくは2〜3%のFeを含むことができる。IN939の特性に対するFe増大の作用は、図2に記載されている。Feの増大によりγ’ソルバスの低下が生じる。従って、IN939におけるFe含有量の増大は、この合金から作られる物品が使用できる最大温度を低下させる。通常は慎重な熱処理によってγ’が発現すると、γ’の溶体化は避けられるはずである。Feが含まれない状態では、γ’ソルバスは約2030°F(約1100℃)である。3%のFeでは、γ’ソルバスは約2015°F(約1101℃)に低下し、5%のFeまで実質的に直線的に低下し続け、この5%のFeでは、γ’ソルバスは約2000°F(約1093℃)まで低下する。5%のFeを超えると、γ’ソルバスは引き続き実質的に直線的に減少するが、線形減少の傾きは、幾分大きくなるように見える。γ’のモル分率もまた、この合金から作られる構成要素が使用できる温度の1つである、1550°FでFe含有量の増大に伴って減少する。合金がFeを含まない場合には、γ’モル分率は約0.34である。3%のFe含有量では、γ’モル分率は約0.33まで直線的に減少し、約5%のFe含有量では約0.32まで減少する。γ’モル分率は、5%を上回るFe含有量の増大に伴って減少し続ける。従って、γ’モル分率の減少は、Fe含有量の増大に伴う強度及びクリープ抵抗の低下につながる。液相−固相差(凝固温度範囲)は、Fe含有量の増大に伴って上昇する。合金がFeを含まない場合には、凝固温度範囲は約165°Fである。凝固温度範囲は、3%のFe含有量までは直線的に上昇し、ここでは凝固温度範囲は約172°Fであり、更に、約5%のFe含有量では約180°Fまで直線的に上昇する。凝固温度範囲は、5%を上回るFe含有量の増大に伴って上昇し続ける。凝固温度範囲の上昇は、Fe含有量の増大に伴う可鋳性の問題の可能性を示している。Fe含有量の増大は、この合金における1550°Fでのシグマ相の形成に影響を及ぼす。シグマ相は、合金の延性に悪影響を及ぼす望ましくないプレートである。Feを含まない場合には、0.01未満のモル分率のシグマ相が存在する。シグマ相のモル分率は、3%のFeでは約0.04まで直線的に増大する。シグマ相のモル分率は、5%のFeでは約0.07のモル分率まで非直線的に幾分増大する。
本発明の鋳造ニッケル基超合金の別の好ましい組成は、重量百分率で1〜6%のFe、望ましくは1〜5%のFe、8.5〜9.5%のCo、14〜16%のCr、3〜3.5%のAl、3.4〜5%のTi、2.8%以下のTa、約0.85%以下のNb、2.6〜4%のW、1.5〜4%のMo、0.1〜0.18%のC、0.01〜0.015%のB、0.03%以下のZr、及び残部のNiと不可避不純物を広範に含む中γ’合金である。より好ましくは、合金は約1.5〜3.5%のFeを含み、及び最も好ましくは、合金は約2〜3%のFeを含む。1700°F(約927℃)で且つ5%レベルのFeを含むこの好ましい組成のこのような中γ’合金のγ’分率(モル分率で)は、約0.425〜0.455である。このような中γ’合金のγ’ソルバスは、2040〜2110°F(約1116〜1154℃)の範囲にある。このような中γ’合金の凝固温度範囲(液相〜ソルバス差異)は、90〜100°F(約50〜56℃)の範囲にある。5%のFeの場合でも、中γ’合金は、実質的にMu相を含まないが、5%のFeでのこれらの合金の一部において、最大で0.01モル分率のTCP相が形成される場合がある。他の合金では、著しく大きな百分率のFeが添加されるまではTCP相は形成されない。
中γ’ニッケル基合金の1つの特定の組成物は、GTD(登録商標)−111であり、そのFeが含まれない公称組成が表1に示されている。更に、本発明によれば、GTD(登録商標)−111の公称組成は、1〜5%のFe、好ましくは約3〜5%のFe、より好ましくは1.5〜3.5%のFe及び最も好ましくは2〜3%のFeを含むことができる。GTD(登録商標)−111の特性に対するFe増大の作用は、図3に記載されている。Feの増大によりγ’ソルバスの低下が生じる。従って、GTD(登録商標)−111におけるFe含有量の増大は、この合金から作られる物品が使用できる最大温度を低下させる。通常は慎重な熱処理によってγ’が発現すると、γ’の溶体化は避けられるはずである。Feが含まれない状態では、γ’ソルバスは約2120°F(約1160℃)である。3%のFeでは、γ’ソルバスは約2100°F(約1149℃)に低下し、5%のFeまで実質的に直線的に低下し続け、この5%のFeでは、γ’ソルバスは約2090°F(約1143℃)まで低下する。5%のFeを超えると、γ’ソルバスは引き続き実質的に直線的に減少する。γ’のモル分率もまた、この合金から作られる構成要素が使用できる温度の1つである、1700°FでFe含有量の増大に伴って減少する。合金がFeを含まない場合には、γ’モル分率は約0.50である。3%のFe含有量では、γ’モル分率は約0.48まで直線的に減少し、約5%のFe含有量では約0.455%まで減少する。図3で明らかなように、線形減少の傾きは、3%のFeと5%のFeの間で大きくなる。γ’モル分率は、5%を上回るFe含有量の増大に伴って減少し続ける。従って、γ’モル分率の減少は、Fe含有量の増大に伴う強度及びクリープ抵抗の低下につながる。液相−固相差(凝固温度範囲)は、Fe含有量の増大に伴って上昇する。合金がFeを含まない場合には、凝固温度範囲は約91°Fである。凝固温度範囲は、3%のFe含有量までは直線的に上昇し、ここでは凝固温度範囲は約97°Fであり、約5%のFe含有量では約100°Fまで直線的に上昇する。凝固温度範囲は、5%を上回るFe含有量の増大に伴って上昇し続ける。凝固温度範囲の上昇は、Fe含有量の増大に伴う可鋳性の問題の可能性を示している。Fe含有量の増大は、1700°FでのTCP相の形成に影響を与えるようには見えず、Fe含有量が約7%を超えるまではMu相は見られない。
中γ’ニッケル基合金の別の特定の組成物はRene−80であり、そのFeが含まれない公称組成が表1に示されている。本発明によれば、Rene−80の公称組成は、1〜5%のFe、好ましくは約3〜5%のFe、より好ましくは1.5〜3.5%のFe及び最も好ましくは2〜3%のFeを追加的に含むことができる。Rene−80の特性に対するFe増大の作用は、図4に記載されている。Feの増大によりγ’ソルバスの低下が生じる。従って、Rene−80におけるFe含有量の増大は、この合金から作られる物品が使用できる最大温度を低下させる。通常は慎重な熱処理によってγ’が発現すると、γ’の再溶体化は避けられるはずである。Feが含まれない状態では、γ’ソルバスは約2105°F(約1152℃)である。3%のFeでは、γ’ソルバスは約2090°F(約1143℃)に低下し、5%のFeまで実質的に直線的に低下し続け、この5%のFeでは、γ’ソルバスは約2080°F(約1138℃)まで低下する。5%のFeを超えると、γ’ソルバスは引き続き実質的に直線的に減少する。γ’のモル分率もまた、この合金から作られる構成要素が使用できる温度の1つである、1700°FでFe含有量の増大に伴って減少する。合金がFeを含まない場合には、γ’モル分率は約0.46である。3%のFe含有量では、γ’モル分率は約0.45まで直線的に減少し、約5%のFe含有量では約0.44%まで減少する。図4で明らかなように、Fe含有量の増大に伴って、γ’モル分率は、連続的に減少した後、急激に低下する。従って、γ’モル分率の減少は、Fe含有量の増大に伴う強度及びクリープ抵抗の低下につながる。液相−固相差(凝固温度範囲)は、Fe含有量の増大に伴って上昇する。合金がFeを含まない場合には、凝固温度範囲は約94°Fである。凝固温度範囲は、3%のFe含有量までは直線的に上昇し、ここでは凝固温度範囲は約96°Fであり、約5%のFe含有量では約100°Fまで直線的に上昇する。凝固温度範囲は、5%を上回るFe含有量の増大に伴って上昇し続ける。凝固温度範囲の上昇は、Fe含有量の増大に伴う可鋳性の問題の可能性を示しているが、凝固温度範囲は、関心のある鉄含有量において実質的に平坦である。Fe含有量の増大は、1700°FでのTCP相の形成を増大させる。3%のFeでは、TCP相のモル分率は、0.01未満であり、5%のFeでは約0.01まで増大する。TCP相は、上記で考察したシグマ相と同様に、合金の機械的特性に悪影響を及ぼすので、ニッケル基超合金における望ましくない相である。
中γ’ニッケル基合金の更に別の特定の組成物はIN738であり、その公称組成が表1に示されている。従来のIN738の公称組成は、既に0.5%以下のFeを許容している点に留意されたい。本発明は、IN738が公称上、1〜5%のFe、好ましくは約3〜5%のFe、より好ましくは1.5〜3.5%のFe及び最も好ましくは2〜3%のFeを追加的に含むことができることを企図している。IN738の特性に対するFe増大の作用は、図5に記載されている。Feの増大によりγ’ソルバスの低下が生じる。従って、IN738におけるFe含有量の増大は、この合金から作られる物品が使用できる最大温度を低下させる。通常は慎重な熱処理によってγ’が発現すると、γ’の再溶体化は避けられるはずである。Feが含まれない状態では、γ’ソルバスは約2072°F(約1133℃)である。3%のFeでは、γ’ソルバスは約2055°F(約1124℃)に低下し、5%のFeまで実質的に直線的に低下し続け、この5%のFeでは、γ’ソルバスは約20400°F(約1116℃)まで低下する。5%のFeを超えると、γ’ソルバスは引き続き実質的に直線的に減少する。γ’のモル分率もまた、この合金から作られる構成要素が使用できる温度の1つである、1700°FでFe含有量の増大に伴って減少する。合金がFeを含まない場合には、γ’モル分率は0.45を僅かに下回る。3%のFe含有量では、γ’モル分率は約0.44まで直線的に減少し、約5%のFe含有量では約0.425%まで減少する。図5で明らかなように、Fe含有量の増大に伴って、γ’モル分率は、連続的に減少し、5%を上回と急激に低下する。従って、γ’モル分率の減少は、Fe含有量の増大に伴う強度及びクリープ抵抗の低下につながる。液相−固相差(凝固温度範囲)は、Fe含有量の増大に伴って上昇する。合金がFeを含まない場合には、凝固温度範囲は約89°Fである。凝固温度範囲は、3%のFe含有量までは直線的に僅かに上昇し、ここでは凝固温度範囲は約91°Fであり、約5%のFe含有量では約97°Fまで直線的に上昇する。凝固温度範囲は、5%を上回るFe含有量の増大に伴って上昇し続ける。凝固温度範囲の上昇は、Fe含有量の増大に伴う可鋳性の問題の可能性を示しているが、凝固温度範囲は、関心のある鉄含有量において実質的に平坦である。この合金におけるFe含有量の増大は、Fe含有量が10%又はそれ以上になるまでは、1700°Fで有害なTCP相の形成を増大させるようには見えない。
本発明の鋳造ニッケル基超合金の別の好ましい組成物は、重量百分率で1〜6%のFe、望ましくは1〜5%のFe、7.0〜8.0%のCo、6.5〜10.5%のCr、3.5〜6.5%のAl、約4%以下のTi、4.5〜6.8%のTa、0.6%以下のNb、4.6〜6.4%のW、3.2%以下のRe、1.3〜1.7%のMo、0.04〜0.06%のC、0.13〜0.17%のHf、0.003〜0.005%のB、及び残部のNiと不可避不純物を広範に含む高γ’合金である。より好ましくは、合金は約1.5〜3.5%のFeを含み、及び最も好ましくは、合金は約2〜3%のFeを含む。1800°F(約982℃)で且つ5%レベルのFeを含むこの好ましい組成のこのような高ガンマプライム合金のγ’分率(モル分率で)は、0.5よりも大きいモル分率、好ましくは約0.52〜0.59のモル分率を含む。このような高γ’合金のγ’ソルバスは、2135〜2285°F(約1168〜1252℃)の範囲にある。このような高γ’合金の凝固温度範囲(液相〜ソルバス差異)は、105〜115°F(約58〜64℃)の範囲にある。高γ’超合金はTCP相の形成をより起こしやすいので、TCP相は、Fe含有量の増大に伴って低及び中γ’超合金の場合よりも高γ’超合金の方がより問題となる可能性が高い。1800°Fでは、これらの合金は、5%の鉄含有量にて0.03未満のモル分率、好ましくは0.025未満のモル分率のTCP相を形成するのが望ましく、TCP相はFe含有量の増大に伴って増加する。
高γ’ニッケル基合金の1つの特定の組成物は、Rene N4であり、そのFeが含まれない公称組成が表1に示されている。更に、本発明によれば、Rene N4の公称組成は、1〜5%のFe、好ましくは約3〜5%のFe、より好ましくは1.5〜3.5%のFe及び最も好ましくは2〜3%のFeを追加的に含むことができる。Rene N4の特性に対するFe増大の作用は、図6に記載されている。Feの増大によりγ’ソルバスの低下が生じる。従って、Rene N4におけるFe含有量の増大は、この合金から作られる物品が使用できる最大温度を低下させる。通常は慎重な熱処理によってγ’が発現すると、γ’の溶体化は避けられるはずである。Feが含まれない状態では、Rene N4のγ’ソルバスは約2195°F(約1202℃)である。3%のFeでは、γ’ソルバスは約2100°F(約1149℃)に低下し、5%のFeまで実質的に直線的に低下し続け、この5%のFeでは、γ’ソルバスは約2175°F(約1191℃)まで低下する。5%のFeを超えると、γ’ソルバスは引き続き実質的に直線的に減少する。γ’のモル分率もまた、この合金から作られる構成要素が使用できる温度の1つである、1800°FでFe含有量の増大に伴って減少する。合金がFeを含まない場合には、γ’モル分率は約0.555である。3%のFe含有量では、γ’モル分率は約0.54まで直線的に減少し、約5%のFe含有量では約0.51%まで減少する。図6で明らかなように、γ’モル分率は、Fe含有量の増大に伴って減少し続ける。従って、γ’モル分率の減少は、Fe含有量の増大に伴う強度及びクリープ抵抗の低下につながる。液相−固相差(凝固温度範囲)は、Fe含有量の増大に伴って上昇する。合金がFeを含まない場合には、凝固温度範囲は約98°Fである。凝固温度範囲は、Fe含有量の増大に伴って直線的に上昇する。3%のFe含有量では、凝固温度範囲は約110°Fであり、約5%のFe含有量では約117°Fまで直線的に上昇する。凝固温度範囲は、5%を上回るFe含有量の増加に伴って上昇し続ける。凝固温度範囲の上昇は、Fe含有量の増大に伴う可鋳性の問題の可能性を示している。Fe含有量の増大は、1800°FにてTCP相の形成に影響を及ぼし、2%のFe未満ではTCP相の形成は僅かか又は形成されず、約2%のFe含有量にてTCP相の形成が始まり、5%のFeにて約0.015まで増大し、Fe含有量のこれ以上の増大に伴って増大し続けることを示す。
高γ’ニッケル基合金の別の特定の組成物は、Rene−N5であり、そのFeが含まれない公称組成が表1に示されている。本発明によれば、Rene−N5の公称組成は、1〜5%のFe、好ましくは約3〜5%のFe、より好ましくは1.5〜3.5%のFe及び最も好ましくは2〜3%のFeを追加的に含むことができる。Rene−N5の特性に対するFe増大の作用は、図7に記載されている。Feの増大によりγ’ソルバスの低下が生じる。従って、Rene−N5 におけるFe含有量の増大は、この合金から作られる物品が使用できる最大温度を低下させる。通常は慎重な熱処理によってγ’が発現すると、γ’の溶体化は避けられるはずである。Feが含まれない状態では、Rene−N5のγ’ソルバスは、2300°F(約1260℃)を上回る。3%のFeでは、γ’ソルバスは約2255°F(約1235℃)に低下し、5%のFeまで実質的に直線的に低下し続け、この5%のFeでは、γ’ソルバスは約2220°F(約1216℃)まで低下する。5%のFeを超えると、γ’ソルバスは引き続き実質的に直線的に減少する。γ’のモル分率もまた、この合金から作られる構成要素が使用できる温度の1つである、1800°FでFe含有量の増大に伴って減少する。合金がFeを含まない場合には、γ’モル分率は約0.59である。3%のFe含有量までは、γ’モル分率は約0.56まで直線的に減少し、約5%のFe含有量では約0.53%まで減少する。図7に示すように、ガンマプライムのモル分率は、Fe含有量の増大に伴って直線的に減少し続ける。従って、γ’モル分率の減少は、Fe含有量の増大に伴う強度及びクリープ抵抗の低下につながる。液相−固相差(凝固温度範囲)は、Fe含有量の増大に伴って上昇する。合金がFeを含まない場合には、凝固温度範囲は約102°Fである。凝固温度範囲は、Fe含有量の増大に伴って直線的に上昇する。凝固温度範囲は、3%のFe含有量では約115°Fであり、約5%のFe含有量では約121°Fまで直線的に上昇する。凝固温度範囲は、5%を上回るFe含有量の増加に伴って上昇し続ける。凝固温度範囲の上昇は、Fe含有量の増大に伴う可鋳性の問題の可能性を示し、凝固温度範囲は上昇するが、凝固温度範囲の変化は大きくはなく、Feを含まない合金から5%のFeを含む合金までは約20°Fである。Fe含有量の増大は、1800°FにてTCP相の形成に影響を及ぼし、Fe含有量の増大に伴ってTCP相の形成が僅かな増大を示す。Rene−N5は、既に、TCP相の形成に対して影響を受けやすいことが示されている。Feを含有しない状態では、Rene−N5において約0.02モル分率のTCP相が形成される。Fe含有量の増大により形成されるTCP相のモル分率が増大するが、この増大は線形であり、傾きは小さい。3%のFeでは、1800°FにてRene−N5において約.025モル分率のTCP相が形成される。5%のFeでは、1800°FにてRene−N5において約.028モル分率のTCP相が形成される。
好ましい実施形態を参照しながら本発明を説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく種々の変更を行うことができ且つ本発明の要素を均等物で置き換えることができる点は理解されるであろう。加えて、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況又は物的事項を本発明の教示に適合するように多くの修正を行うことができる。従って、本発明は、本発明を実施するために企図される最良の形態として開示した特定の実施形態に限定されるものではなく、また本発明は、添付の特許請求の範囲の技術的範囲内に属する全ての実施形態を包含することを意図している。

Claims (4)

  1. 質量%で、3〜5%のFe、16〜19.1%のCo、20〜22.5%のCr、0.8〜2.5%のAl、1.2〜4%のTi、0.75〜1.5%のTa、0.5〜1%のNb、2〜3%のW、0.08〜0.15%のC、0.004〜0.01%のB、0.02%以下のZr、及び残部のNiと不可避不純物からなり、低γ’超合金である、鋳造ニッケル基超合金。
  2. 前記超合金が、質量%で、3〜5%のFe、19.1%のCo、22.5%のCr、1.2%のAl、2.3%のTi、0.94%のTa、0.8%のNb、2%のW、0.08%のC、0.004%のB、0.02%のZr、及び残部のNiと不可避不純物からなる公称組成を有する、請求項記載の鋳造ニッケル基超合金。
  3. 前記超合金が、質量%で、3〜5%のFe、19%のCo、22.5%のCr、1.9%のAl、3.7%のTi、1.4%のTa、1%のNb、2%のW、0.15%のC、0.01%のB、0.1%のZr、及び残部のNiと不可避不純物からなる公称組成を有する、請求項記載の鋳造ニッケル基超合金。
  4. 前記超合金が、華氏温度で、該超合金と同等の組成であるが3〜5%のFeを含まない超合金のγ’ソルバス温度よりも5%低いγ’ソルバス温度によって特徴付けられる、請求項乃至のいずれか1項記載の鋳造ニッケル基超合金。
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