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JP6514622B2 - 射出成形機の成形支援方法 - Google Patents
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JP6514622B2 - 射出成形機の成形支援方法 - Google Patents

射出成形機の成形支援方法

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Description

本発明は、ニューラルネットワークを利用して成形条件を最適化する際に用いて好適な射出成形機の成形支援方法に関する。
従来、射出成形機による成形を支援する方法(手段)として、ニューラルネットワークを利用した方法(手段)も提案されており、この種の方法(手段)としては、既に、本出願人が提案した特許文献1に開示される射出成形機の制御方法及び特許文献2に開示される射出成形機の支援装置が知られている。
特許文献1で開示される射出成形機の制御方法は、高速成形が可能であり且つ複数の変動要素を考慮できる射出成形方法の提供を目的としたものであり、具体的には、ニューラルネットワークを備える制御装置が接続されている射出成形機の制御方法において、射出成形機で試し成形を実施して、計量工程での計量モニタ値及び射出工程での射出モニタ値を取得し、得られた計量モニタ値を入力項目、射出モニタ値を出力項目とし、制御装置のニューラルネットワークにより予測関数を定める予測関数決定工程と、射出成形機で量産成形を開始し、計量工程終了時にその工程での計量モニタ値を取得した制御装置は、取得した計量モニタ値を予測関数に代入することで、射出モニタ値に対応する第1の値を予測する第1の値予測工程と、予測した第1の値を制御装置で加工して、射出条件の一つである第2の値を決定する第2の値決定工程と、この第2の値を含む射出条件に基づいて、制御装置で射出制御及び保圧制御を実施する射出工程とを設けたものである。
また、特許文献2で開示される射出成形機の支援装置は、未熟練作業者の教育に好適で且つ実際の射出成形機の運転に役立つ支援装置の提供を目的としたものであり、具体的には、射出成形機の運転に携わる作業者を支援する射出成形機の支援装置であって、この支援装置は、試し成形で良品が得られたときに用いた複数の成形条件を入力項目とし、良品を測定して得られた品質値を出力項目とし、これらの入力項目及び出力項目に基づいて予測関数を定めるニューラルネットワークと、複数の成形条件から少なくとも一つを選択するとともに、選択された成形条件以外の成形条件に固定値をインプットする第1入力装置と、この第1入力装置により選択された成形条件を特定成形条件と呼ぶときに、予測関数において出力項目を未知数とし、固定値を入力項目に入れ、特定成形条件を変数の形態で入れて演算することで、品質値の予測値である予測品質値を求める演算部と、特定成形条件と予測品質値との関係をグラフ化するグラフ発生部と、このグラフ発生部の情報を表示する表示部と、を含み、作業者は、自己が選択した特定成形条件に対応する予測品質値を、随時目視できるようにしたものである。
特開2008−110485号公報 特開2008−110486号公報
しかし、上述した射出成形機に対する従来の成形支援方法は、次のような解決すべき課題も存在した。
第一に、ニューラルネットワークを利用する場合、試し成形により得られたデータを学習し、パターン認識により予測関数を求めることができる。したがって、ある物理現象を疑似的にモデル化する手法となるため、実際に成形機を運転させなくても入力パラメーターから出力パラメーターをシミュレーションすることができる。一方、これとは逆に、入力パラメーターと出力パラメーターを入れ替え、学習させることにより目的の出力パラメーターを得るための入力パラメーターを予測することも可能である。しかし、複数の出力パラメーター、例えば、三つの出力パラメーターとなる「可塑化時間」,「樹脂温度」及び「消費電力」を選択したような場合、本来、物理的には起こりえない組合わせも計算上は成り立つため、予測に用いる出力パラメーターが多い場合、ほとんど役に立たなくなる。しかも、導出したい入力パラメーターを変更する際には、ニューラルネットワークの入出力関係をリセットし、再学習させる必要があるなど、利用範囲が限定的になるとともに、使い勝手にも難がある。
第二に、入力パラメーターの最適化を行う場合、実数となる入力パラメーターに対して分解能を設定し、各パラメーターを入れ替えることにより、全ての組合わせに対してシミュレーション(予測処理)を行い、最も希望に沿う組合わせを検索することになる。したがって、例えば、分解能を100,パラメーター数を4とした場合、100の4乗となる膨大な処理量が必要になる。結局、最適化処理の高速化を実現する観点からは限界があり、実験レベルにおける解析等には利用できるものの、実際の生産現場における一成形サイクル内で処理を行い、以降の生産に適用するような利用形態は困難となるなど、実用的な使用は容易でない。
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した射出成形機の成形支援方法の提供を目的とするものである。
本発明は、上述した課題を解決するため、コンピュータ機能を有するデータ処理部Eにより、射出成形機Mの成形条件を含む入力パラメーターDf…に係わる成形データとこの入力パラメーターDfに基づく試し成形により得る出力パラメーターDs…に係わる成形データによりニューラルネットワークNの学習に基づく予測関数F…を求め、この予測関数F…により所定の成形条件を予測する射出成形機の成形支援方法であって、予め、データ処理部Eに、入力パラメーターDf…及び出力パラメーターDs…に係わる成形データに対して数理計画法による最適化に用いるための制約条件Xc…及び目的関数Xpを設定するとともに、当該数理計画法により当該制約条件Xc…及び目的関数Xpを満たす入力パラメーターDf…に係わる最適化した成形条件を求める最適化処理プログラムPsを設定し、生産稼働時に、データ処理部Eにより、任意のショット時における可塑化工程(S6−S7)中の出力パラメーターDs…に係わる成形データを取得し、当該可塑化工程(S6−S7)以外の期間中に、当該出力パラメーターDs…に係わる成形データから、予測関数F…及び最適化処理プログラムPsにより最適化した成形条件を求め、この最適化した成形条件により任意のショットが終了した後の他のショットにおける成形条件を変更する処理を行うようにしたことを特徴とする。
この場合、発明の好適な態様により、可塑化工程(S6−S7)以外の期間として、当該可塑化工程の終了(S8)から型締工程の開始(S10)までの期間を適用することができる。また、制約条件Xcとしては可塑化工程(S6−S7)時における樹脂の状態を示す成形データを選定できるとともに、目的関数Xpとして消費電力を選定することができ、この際の成形データには、スクリュ回転数,スクリュ回転速度,スクリュ位置,樹脂圧力,樹脂温度,可塑化時間の一又は二以上、及び/又はこれらの各偏差の一又は二以上を選定できる。一方、任意のショットが終了した後の他のショットには、次回のショットを適用できる。また、目的関数Xpに係わる関数には、非線形関数を適用できる。
このような手法による本発明に係る射出成形機の成形支援方法によれば、次のような顕著な効果を奏する。
(1) 任意のショット時における可塑化工程(S6−S7)中の出力パラメーターDs…に係わる成形データを取得し、当該可塑化工程(S6−S7)以外の期間中に、当該出力パラメーターDs…に係わる成形データから、ニューラルネットワークNの学習に基づく予測関数F…及び数理計画法による最適化に用いるための制約条件Xcと目的関数Xpと最適化処理プログラムPsにより、最適化した成形条件を求め、この最適化した成形条件により任意のショットが終了した後の他のショットにおける成形条件を変更する処理を行うようにしたため、予測した成形条件に対する最適化を容易かつ確実に行うことができる。この結果、利用範囲を拡大し、汎用性を高めることができるとともに、使い勝手に優れた成形支援方法として提供できる。
(2) 入力パラメーターDf…の最適化を行う場合であっても、最適化に係わる信頼性を低下させることなく、最適化に係わる処理量を効果的に低減させることができるため、いわば最適化処理の高速化を実現できる。この結果、実際の生産現場における一成形サイクル内での処理が可能になり、以降の生産において有効に利用できるなど、実際の生産現場における実用性の高い成形支援方法を構築できる。
(3) 好適な態様により、可塑化工程(S6−S7)以外の期間として、当該可塑化工程の終了(S8)から型締工程の開始(S10)までの期間を適用すれば、最適化した成形条件に変更する場合であっても、可塑化工程(S6−S7)に何ら影響することなく変更できる。即ち、生産稼働中であっても、生産量に影響することなく成形品質を高めることができる。
(4) 好適な態様により、制約条件Xcとして可塑化工程(S6−S7)時における樹脂の状態を示す成形データを選定し、かつ目的関数Xpとして消費電力を選定すれば、可塑化工程(S6−S7)時における樹脂の状態を示す成形データ(樹脂温度等)の安定化を図りつつ消費電力を最少にできるため、成形品質を低下させることなく、省エネルギ性及びランニングコストの削減を図ることができる。
(5) 好適な態様により、可塑化工程(S6−S7)時における樹脂の状態を示す成形データとして、スクリュ回転数,スクリュ回転速度,スクリュ位置,樹脂圧力,樹脂温度,可塑化時間の一又は二以上、及び/又はこれらの各偏差の一又は二以上を選定すれば、可塑化工程(S6−S7)時における樹脂の状態を左右する十分な種別の成形データを確保できるため、成形品質を低下させることなく省エネルギ性及びランニングコストの削減を図る観点からの最適化を容易かつ柔軟に行うことができる。
(6) 好適な態様により、任意のショットが終了した後の他のショットに、次回のショットを適用すれば、任意のショットにおける一成形サイクル中における入力パラメーターDf…の最適化及びこの入力パラメーターDf…の変更処理を速やかに実現できるため、各ショットにおける個々の成形品毎に品質を高めることが可能となり、生産全体の品質向上及び均質化に貢献できる。
(7) 好適な態様により、目的関数Xpに非線形関数を適用すれば、任意の非線形関数として表現される様々な課題に対処できるため、射出成形機Mの成形条件を最適化する上で最も望ましい態様として利用できる。
本発明の好適実施形態に係る成形支援方法を実施する際における実際の生産時の処理手順を説明するためのフローチャート、 同成形支援方法を実施する際における生産前の処理手順を説明するためのフローチャート、 同成形支援方法を実施することができる射出成形機及びデータ処理部の処理系統を示すブロック系統図、 同成形支援方法の実施に用いるニューラルネットワークの原理説明図、 同成形支援方法を実施する際における生産前の処理系統を説明するためのブロック系統図、 同成形支援方法を実施するデータ処理部に付属するディスプレイの表示画面図、 同成形支援方法を実施するデータ処理部に付属するディスプレイの他の表示画面図、 同成形支援方法を実施するデータ処理部に付属するディスプレイの他の表示画面図、 同成形支援方法を実施するデータ処理部に付属するディスプレイの他の表示画面図、 同成形支援方法の実施に用いる制約条件及び目的関数を設定する際における関連データを示す表、 同成形支援方法を実施した際の各ショットにおける射出ピーク圧の変化を示すグラフ、 同成形支援方法を実施した際の各ショットにおける可塑化時間の変化を示すグラフ、
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
まず、本実施形態に係る成形支援方法を実施できる射出成形機M及びデータ処理部Eの構成について、図3〜図9を参照して説明する。
図3中、Mは一部を仮想線で描いた射出成形機であり、機台Mbと、この機台Mbの上に搭載された射出装置Mi及び型締装置Mcを備える。射出装置Miは、加熱筒31を備え、この加熱筒31の内部には回転動作及び進退動作するスクリュを収容するとともに、加熱筒31の前端には図に現れない射出ノズルを備え、さらに、加熱筒31の後部には成形材料(樹脂ペレット)を供給するホッパー32を備える。型締装置Mcには可動型と固定型の組合わせからなる金型33を備えるとともに、機台Mb上には側面パネル34を起設し、この側面パネル34に液晶ディスプレイ等を用いたタッチパネル付のディスプレイ35を配設する。
また、射出成形機Mには、各種の制御処理及び演算処理を行うとともに、外部との通信処理を行うコンピュータ機能を有する成形機コントローラ41を内蔵し、この成形機コントローラ41に上述したディスプレイ35を接続する。さらに、射出成形機Mの動作時における温度,回転数,電力,圧力,速度,位置,時間等の各種物理量を計測(検出)する各種センサを含むセンサ群42を備え、このセンサ群42(各種センサ)は、成形機コントローラ41のアナログ入力ポート(又はデジタル入力ポート)に接続する。したがって、成形機コントローラ41は、本実施形態に係る成形支援方法の実施に用いる機能部として、少なくとも、センサ群42の一部又は全部の計測結果(検出結果)を取り込む計測結果取込処理機能部Uiを備えるとともに、計測結果に対して一定の周期でサンプリングして計測値(成形データ)を得るサンプリング処理機能部Usを備える。
一方、Eoは一部を仮想線で描いた一般的なコンピュータシステムであり、Edはディスプレイ、Ekはキーボードを示す。また、ディスプレイEdには、コンピュータ本体部Emを内蔵し、このコンピュータ本体部Emは、各種の制御処理及び演算処理を行うとともに、外部との通信処理を行う汎用的なコンピュータ機能を備えており、本実施形態に係る成形支援方法で用いるデータ処理部Eを構成する。
したがって、コンピュータ本体部Emは、CPU及び内部メモリ等のハードウェアを内蔵するとともに、この内部メモリには、本実施形態に係る成形支援方法の実施に用いる処理プログラム、即ち、数理計画法に基づく最適化処理プログラムPsを格納するとともに、ニューラルネットワークNの学習に基づく予測関数F…を作成するための予測関数作成処理プログラムPnを格納する。さらに、最適化処理プログラムPsに関連して、数理計画法による最適化に用いるための制約条件Xc及び目的関数Xpを設定する機能を有する。このコンピュータ本体部Emと成形機コントローラ41は、LANシステム等により接続することにより相互通信を行うことができる。
以下、予測関数作成処理プログラムPnと最適化処理プログラムPsの基本的な処理機能について、図4〜図9を参照して説明する。
まず、予測関数作成処理プログラムPnは、基本的な処理機能として、射出成形機Mの成形条件を含む入力パラメーターDf…に係わる成形データとこの入力パラメーターDf…に基づく試し成形により得る出力パラメーターDs…に係わる成形データによりニューラルネットワークNの学習に基づく予測関数F…を求め、この予測関数F…により所定の成形条件を予測する処理機能を備えている。
図4は、ニューラルネットワークNの多層構造モデルを示している。入力層Niには処理対象となるパターンが入力され、その入力は中間層Nmで重みを付けられ、出力層Moに伝達される。その伝達総量oiは、[数1]で表される。[数1]において、xiは中間層Nmからの入力信号、即ち、中間層Nmから出力層Noへの出力信号を示すとともに、wijは重みを示す。
Figure 0006514622
この場合、中間層Nmは、入力層Niからの信号入力を受け、出力層Noへ信号を出力する。また、複数の中間層Nmから信号を受けた出力層Noは、各信号に反応して最終的な出力を行う。この際の出力関数には、[数2]に示すシグモイド関数を使用する。なお、出力関数には、例示のシグモイド関数の他、ガウス関数や三角関数なども使用される。
Figure 0006514622
図5は、ニューラルネットワークNにより、本実施形態に係る可塑化における予測関数F…を求める疑似的な可塑化モデルを示している。即ち、試し成形による可塑化試験51により計測データ52が得られる。この計測データ52には、射出成形機Mの成形条件を含む入力パラメーターDf…(入力層Ni)に係わる成形データ、具体的には、加熱筒31の加熱温度となる加熱筒温度に係わる成形データ53,加熱筒31の後部2位置における後部2温度に係わる成形データ54,スクリュの回転数に係わる成形データ55等が含まれるとともに、この入力パラメーターDfに基づく可塑化試験51により得る出力パラメーターDs…(出力層No)に係わる成形データ、具体的には、樹脂温度に係わる成形データ56,標準偏差に係わる成形データ57,消費電力に係わる成形データ58等が含まれる。そして、これらの各成形データに基づき、ニューラルネットワークNの学習により予測関数F…が求められる。
図6〜図9は、ニューラルネットワークNにより、本実施形態に係る可塑化における予測関数F…(可塑化モデル)を求める際に用いる具体的な操作画面Vc及び結果画面Vmを示している。
図6は操作画面Vcであり、射出成形時の可塑化工程における可塑化条件となる入力パラメーターDf…を表示(選択)する入力表示部Vciと、結果として得られる出力パラメーターDs…を表示(選択)する出力表示部Vcoを備える。例示の場合、入力表示部Vciには、入力パラメーターDf…として、上から、加熱筒の基本温度,加熱筒の後部1温度,加熱筒の後部2温度,樹脂の計量値(SM),スクリュの背圧,スクリュの回転数,中間時間,可塑化時間平均,平均樹脂温度,消費電力が順次表示され、加熱筒の基本温度から中間時間までが入力パラメーターDf…として選択された状態を示している。一方、出力表示部Vcoには、出力パラメーターDs…として、上から、可塑化時間平均,平均樹脂温度,消費電力が順次表示され、これら全てが出力パラメーターDs…として、選択された状態を示している。
また、各入力パラメーターDf…と各出力パラメーターDs…に対応する所定数の成形データ(計測データ52)は、予め、複数回にわたって行った試し成形における可塑化工程から得られている。したがって、図6に示す操作画面Vcにおける学習キーVcwをONすることにより、ニューラルネットワークNを用いる予測関数作成処理プログラムPnは、試し成形により得られた所定数の成形データを学習し、パターン認識させることにより、ある物理現象を疑似的にモデル化する。これにより、実際に射出成形機Mを運転させなくても、入力パラメーターDf…による可塑化条件により、可塑化結果をシミュレーションすることができる。
図8は、図6の操作画面Vcに対応する結果画面Vmである。この結果画面Vmには、ニューラルネットワークNを用いる予測関数作成処理プログラムPnにより学習した予測関数Fを表示する予測関数表示部Vmfを備えるとともに、X軸に表示するパラメーターを選択するX軸選択部Vmx及びY軸に表示するパラメーターを選択するY軸選択部Vmyを備える。例示の場合、X軸選択部Vmxにより加熱筒の基本温度を選択し、Y軸選択部Vmyにより平均樹脂温度を選択した場合をそれぞれ示している。これにより、予測関数表示部Vmfには、学習された結果である、成形データがプロットされ、疑似的な相関曲線Laが表示される。この相関曲線Laが予測関数Fとなり、加熱筒の基本温度により平均樹脂温度を予測することができる。
他方、図6及び図8における成形データはそのままとし、入力層Ni(入力パラメーターDf…)と出力層(出力パラメーターDs…)を入れ替えて学習させることにより、希望する結果を得るための成形条件(入力パラメーターDf…)を予測する予測関数F…(可塑化モデル)を作成することができる。
図7は、図6において、出力パラメーターDs…として用いた可塑化時間平均,平均樹脂温度,消費電力を入力パラメーターDf…に変更するとともに、入力パラメーターDf…として用いた加熱筒の基本温度,加熱筒の後部1温度,加熱筒の後部2温度を出力パラメーターDs…に変更した場合を示している。
図9は、図7における操作画面Vcに対応する結果画面Vmを示すとともに、X軸選択部Vmxにより平均樹脂温度を選択し、Y軸選択部Vmyにより加熱筒の平均樹脂温度を選択した場合を示している。これにより、予測関数表示部Vmfには、学習された結果である、成形データがプロットされ、疑似的な相関曲線Lbが表示される。この相関曲線Lbが予測関数Fとなり、平均樹脂温度を得ることができる加熱筒の基本温度を予測することができる。
一方、最適化処理プログラムPsは、基本的な処理機能として、数理計画法により制約条件Xc…及び目的関数Xpを満たす入力パラメーターDf…に係わる最適化した成形条件を求める処理機能を備えており、この処理には、入力パラメーターDf…及び出力パラメーターDs…に係わる成形データに対して、数理計画法に基づいて設定する制約条件Xc…と目的関数Xpが用いられる。
最適化処理プログラムPsの処理機能の理解を容易にするため、数理計画法に基づき成形条件を最適化するためのアルゴリズムについて説明する。なお、数理計画法に基づいて設定する制約条件Xc…と目的関数Xpを用いて最適化するアルゴリズムとしては様々なアルゴリズムが考えられるが、本実施形態に好適な一例として、内点法の一つである信頼領域法を用いたアルゴリズムについて説明する。
今、[数3]に示す非線形関数の最適化問題を考える。[数3]におけるf(x)は、ニューラルネットワークNにおける一つの出力層Noを示す。
Figure 0006514622
信頼領域法では、目的関数Xpの二次近似モデルを最小化することにより最適化を行うことができる。
最初に、二次近似モデルが妥当であると思われる領域(信頼領域)の大きさ(信頼半径)を暫定的に与えることにより探索方向を決定する。k回目の反復計算における信頼半径をΔkとしたとき、f(x)の二次近似モデルを考えれば、探索方向は[数4]の部分問題の解として得られる。
Figure 0006514622
次に、初期点x0,初期信頼半径Δ0を与える。パラメーター0<η1≦η2<1,0<γ1<1<γ2を決め、k=0とする。
これにより、もし、xkが局所的最適解の近似になっていると判断できたならば終了する。
一方、部分問題[数4]を解いてpkを求める。これにより、[数5]が成立すれば、xk+1=xk+pkとする。
Figure 0006514622
この際、もし、[数6]が成立すれば、Δk+1∈[Δk,γ2Δk]として、信頼領域を拡大するとともに、そうでなければ、Δk+1=Δkとして現状を維持する。
Figure 0006514622
もし、[数5]が成立しなければ、Δk+1∈[γ1Δk,Δk]として、信頼領域を減少する。
そして、k=k+1とし、終了条件を調べる。
以上が数理計画法における内点法の一つである信頼領域法を用いたアルゴリズムとなり、データ処理部Eでは、取得した出力パラメーターDs…に係わる成形データから、前述した予測関数F…(予測関数作成処理プログラムPn)及び最適化処理プログラムPsにより最適化した成形条件を求めることが可能となる。
次に、本実施形態に係る成形支援方法の処理手順について、図3〜図12を参照しつつ図1及び図2に示すフローチャートに従って説明する。
まず、本実施形態に係る成形支援方法を実施する際における生産稼働前の処理手順について、図2に示すフローチャートを参照して説明する。
生産稼働前の処理は、基本的に、試し成形を行い、前述した入力パラメーターDf…に係わる所定数の成形データ及び出力パラメーターDs…に係わる所定数の成形データを採取し、ニューラルネットワークNの学習により予測関数F…を作成するとともに、制約条件Xc及び目的関数Xpを設定する処理となる。
本実施形態に係る成形支援は、成形条件のうち、特に、可塑化条件の最適化を目的とするものである。このため、最初に、対象となる射出成形機Mの現状を把握し、可塑化条件の最適化に関係する制御因子、即ち、入力パラメーターDf…及び出力パラメーターDs…を設定する(ステップS21,S22)。例えば、「後部2温度と可塑化時間の安定性には関係がある」,「サイクル時間が長いと可塑化状態が不安定な傾向になる」などの現状を把握し、関連する後部2温度やサイクル時間などを制御因子とし、入力パラメーターDf…と出力パラメーターDs…に振り分けて設定する。
制御因子の設定が終了したなら入力パラメーターDf…を用いて試し成形を行う(ステップS23,S24)。また、試し成形から、設定した制御因子、即ち、成形条件のうちの可塑化条件に係わる入力パラメーターDf…に係わる所定数の成形データと出力パラメーターDs…に係わる所定数の成形データを収集する(ステップS25)。
所定回数の試し成形を行い、成形データの収集が終了したなら、予測関数作成処理プログラムPnを実行し、収集した成形データによりニューラルネットワークNの学習に基づく予測関数F…を求める(ステップS26,S27)。予測関数F…を求めたなら、可塑化モデルとして最適化処理プログラムPsに組み込む(ステップS28,S29)。
一方、最適化処理プログラムPsを機能させる際に必要となる数理計画法による制約条件Xcと目的関数Xpを設定する(ステップS30,S31)。例示の場合、制約条件Xcとして、計量値を20〔mm〕、背圧を8〔MPa〕、サイクル時間(充填時間+可塑化時間+中間時間)を12.5〔秒〕、可塑化最大遅延時間を0.1〔秒〕以下、平均樹脂温度を255〜258〔℃〕、樹脂温度ショット間標準偏差を0.1以下、パージ圧ショット間標準偏差を0.08以下に設定した。また、目的関数Xpとして、1ショット当たりの消費電力量の最小化を設定した。
このように、制約条件Xcに少なくとも樹脂温度を含ませ、かつ目的関数Xpに消費電力を適用すれば、例えば、生産稼働中における樹脂温度の安定化を図りつつ消費電力を最少にできるため、成形品質を低下させることなく、省エネルギ性及びランニングコストの削減を図れる利点がある。また、この場合、目的関数Xpは非線形関数となる。このように、目的関数Xpには非線形関数を適用可能である。したがって、任意の非線形関数として表現される様々な課題に対処でき、射出成形機Mの成形条件を最適化する上で最も望ましい態様として利用できる利点がある。
図10に、試し成形を行った際における入力パラメーターDf…及び出力パラメーターDs…に係わる項目及び各項目に対する目的関数と制約条件,及び関連する基準条件,最適化条件,入力条件,の実際に得られたデータ表を示す。
また、図11はショット毎における射出ピーク圧〔MPa〕の大きさを示したものであり、黒ドットは、図10に示した基準条件により試し成形を行った結果を示し、白ドットは、最適化処理後の条件により試し成形を行った結果を示す。図12はショット毎における可塑化時間〔秒〕の長さを示したものであり、黒ドットは、図10に示した基準条件により試し成形を行った結果を示し、白ドットは、最適化処理後の条件により試し成形を行った結果を示す。
次に、本実施形態に係る成形支援方法を実施する際における実際の生産稼働時の処理手順について、図1に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、射出成形機Mの運転を開始する(ステップS1)。この場合、射出成形機Mは自動運転モードとなり、型締装置Mcは型開状態にある。また、射出装置Miは可塑化終了状態(計量終了状態)にある。
一方、成形工程の開始により型締工程が行われる(ステップS2,S3)。型締工程では、型開状態にある可動型が固定型に対して前進移動し、設定された型締力により金型33の型締めが行われる。型締工程の終了により射出工程が行われる(ステップS4,S5)。射出工程では、加熱筒31内のスクリュが前進移動する。これにより、可塑化(計量)された溶融樹脂が射出ノズルから射出され、金型33のキャビティ内に充填される。
射出工程の終了により、射出装置Miでは可塑化工程が行われる(ステップS6,S7)。可塑化工程では、加熱筒31内のスクリュが設定された回転数で回転するため、ホッパー32内の成形材料(樹脂ペレット)が加熱筒31に取り込まれる。こりにより、成形材料は、加熱筒31の温度とスクリュの回転により可塑化溶融され、前方に移送されることにより加熱筒31の前部に計量蓄積される。
また、型締装置Mcでは型開工程が行われる(ステップS8)。型開工程では、金型33の冷却が行われた後、型締状態にある可動型が固定型から型開位置まで後退移動し、金型33に対する型開きが行われる。型開工程の終了により成形品取出工程が行われる(ステップS9)。成形品取出工程では、金型33に付属するエジェクタ機構により固定型に付着した成形品の取り出しが行われる。
以上により、射出成形機Mの1ショット分の成形工程(成形サイクル)が完了する。この後、生産(生産計画)が終了するまで、同様の成形工程が繰り返される(ステップS10,S2…)。また、計画した生産が終了したなら射出成形機Mの運転は停止する(ステップS10,S11)。
一方、各成形サイクルにおいては、本実施形態に係る成形支援方法に従う成形支援が行われる。
まず、可塑化工程(ステップS6−S7)では、この工程中における出力パラメーターDs…に係わる成形データを取得する。即ち、可塑化工程の開始(ステップS6)により、射出成形機Mのセンサ群42により、可塑化に伴う物理量の変化波形が計測されるとともに、成形機コントローラ41では、計測結果に対してサンプリングを行うことにより、可塑化時間平均,平均樹脂温度,消費電力に係わる成形データを収集する(ステップS12,S13)。そして、収集した成形データは、データ処理部E(コンピュータシステムEm)に送信される(ステップS14)。
また、データ処理部Eでは、受信した成形データを、最適化処理プログラムPsに格納されている可塑化モデルに入力することにより前述した最適化処理を行う。即ち、最初に、受信した成形データから可塑化モデル(予測関数F)により入力パラメーターDf…に係わる成形条件を求めるとともに、数理計画法による最適化に用いるための制約条件Xc及び目的関数Xpを満たす成形条件を導出する(ステップS15,S16)。この処理を対応する成形データに対して繰り返し行うことにより、最適化した成形条件を求めることができる(ステップS17)。
一方、この最適化された成形条件は、データ処理部Eから成形機コントローラ41に送信される(ステップS18)。これにより、成形機コントローラ41は、受信した成形条件を判定し、既設定の成形条件に対して変更処理を行う(ステップS19)。この場合、変更処理は、全ての最適化された成形条件に対して実行してもよいし、レベル判定を行い、一定のレベル(変化レベル)を超える成形条件に対してのみ実行してもよい。
また、変更処理の実行タイミングは、計測を行った任意のショットに対して、次回のショットで行うとともに、可塑化工程(ステップS6−S7)以外の期間、具体的には、可塑化工程の終了(ステップS8)から型締工程の開始(ステップS10)までの期間内に行う。
このように、変更処理を、任意のショットが終了した後、次回のショットで行うようにすれば、任意のショットにおける一成形サイクル中における入力パラメーターDf…の最適化及びこの入力パラメーターDf…の変更処理を速やかに実現できるため、各ショットにおける個々の成形品毎に品質を高めることが可能となり、生産全体の品質向上及び均質化に貢献できる利点がある。
また、可塑化工程(ステップS6−S7)以外の期間として、当該可塑化工程の終了(ステップS8)から型締工程の開始(ステップS10)までの期間を適用すれば、最適化した成形条件に変更する場合であっても、可塑化工程(ステップS6−S7)に何ら影響することなく変更できる。即ち、生産稼働中であっても、生産量に影響することなく成形品質を高めることができる利点がある。
なお、以上の実施形態では、一例として、制約条件Xcに少なくとも樹脂温度を含ませ、かつ目的関数Xpに消費電力を適用した場合を示したが、制約条件Xcと目的関数Xpには、様々な項目(因子)を適用できる。
例えば、目的関数Xpとして消費電力を選定した場合であっても、制約条件Xcとして可塑化工程(S6−S7)時における樹脂の状態を示す、スクリュ回転数,スクリュ回転速度,スクリュ位置,樹脂圧力,樹脂温度,可塑化時間の一又は二以上,及び/又はこれらの各偏差の一又は二以上となる任意の成形データを選定可能である。この場合であっても、可塑化工程時における樹脂の状態を示す成形データの安定化を図りつつ消費電力を最少にすることが可能になるため、成形品質を低下させることなく、省エネルギ性及びランニングコストの削減を図るという目的を達成できる。また、可塑化工程時における樹脂の状態を示す成形データの種類として、スクリュ回転数,スクリュ回転速度,スクリュ位置,樹脂圧力,樹脂温度,可塑化時間の一又は二以上,及び/又はこれらの各偏差の一又は二以上となる任意の成形データを選定することにより、可塑化工程時における樹脂の状態を左右する十分な種別の成形データを確保できるため、成形品質を低下させることなく省エネルギ性及びランニングコストの削減を図る観点からの最適化を容易かつ柔軟に行える利点がある。
よって、このような本実施形態に係る射出成形機の成形支援方法によれば、コンピュータ機能を有するデータ処理部Eにより、射出成形機Mの成形条件を含む入力パラメーターDf…に係わる成形データとこの入力パラメーターDfに基づく試し成形により得る出力パラメーターDs…に係わる成形データによりニューラルネットワークNの学習に基づく予測関数F…を求め、この予測関数F…により所定の成形条件を予測する射出成形機の成形支援方法を前提とし、基本的な成形支援方法として、予め、データ処理部Eに、入力パラメーターDf…及び出力パラメーターDs…に係わる成形データに対して数理計画法による最適化に用いるための制約条件Xc…及び目的関数Xpを設定するとともに、当該数理計画法により当該制約条件Xc…及び目的関数Xpを満たす入力パラメーターDf…に係わる最適化した成形条件を求める最適化処理プログラムPsを設定し、生産稼働時に、データ処理部Eにより、任意のショット時における可塑化工程中の出力パラメーターDs…に係わる成形データを取得し、当該可塑化工程以外の期間中に、当該出力パラメーターDs…に係わる成形データから、予測関数F…及び最適化処理プログラムPsにより最適化した成形条件を求め、この最適化した成形条件により任意のショットが終了した後の他のショットにおける成形条件を変更する処理を行うようにしたため、予測した入力パラメーターDf…(成形条件)に対する最適化を容易かつ確実に行うことができる。この結果、利用範囲を拡大し、汎用性を高めることができるとともに、使い勝手に優れた成形支援方法として提供できる。また、入力パラメーターDf…の最適化を行う場合であっても、最適化に係わる信頼性を低下させることなく、最適化に係わる処理量を効果的に低減させることができるため、いわば最適化処理の高速化を実現できる。この結果、実際の生産現場における一成形サイクル内での処理が可能になり、以降の生産において有効に利用できるなど、実際の生産現場における実用性の高い成形支援方法として構築できる。
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
例えば、データ処理部Eは、射出成形機Mに対して別途用意したコンピュータシステムEmを用いた場合を示したが、成形機コントローラ41と一体に構成してもよい。また、数理計画法として、内点法の一つである信頼領域法を例示したが、その他、線形計画法,分枝限定法など、公知である様々な数理計画法を利用することができる。一方、可塑化条件の最適化について例示したが、射出条件など、各種成形条件に適用できるとともに、制約条件Xc及び目的関数Xpも射出成形機Mにおける様々な動作物理量を適用することができる。
本発明に係る成形支援方法は、ニューラルネットワークを利用して成形条件を最適化する機能を備える各種射出成形機に利用できる。
E:データ処理部,M:射出成形機,Df…:入力パラメーター,Ds…:出力パラメーター,N:ニューラルネットワーク,Xp:目的関数,Xc:制約条件,Ps:最適化処理プログラム,(S6−S7):可塑化工程,(S8):可塑化工程の終了,(S10):型締工程の開始

Claims (6)

  1. コンピュータ機能を有するデータ処理部により、射出成形機の成形条件を含む入力パラメーターに係わる成形データとこの入力パラメーターに基づく試し成形により得る出力パラメーターに係わる成形データによりニューラルネットワークの学習に基づく予測関数を求め、この予測関数により所定の成形条件を予測する射出成形機の成形支援方法であって、予め、前記データ処理部に、前記入力パラメーター及び出力パラメーターに係わる成形データに対して数理計画法による最適化に用いるための制約条件及び目的関数を設定するとともに、当該数理計画法により当該制約条件及び目的関数を満たす前記入力パラメーターに係わる最適化した前記成形条件を求める最適化処理プログラムを設定し、生産稼働時に、前記データ処理部により、任意のショット時における可塑化工程中の前記出力パラメーターに係わる成形データを取得し、当該可塑化工程以外の期間中に、当該出力パラメーターに係わる成形データから、前記予測関数及び前記最適化処理プログラムにより最適化した成形条件を求め、この最適化した成形条件により前記任意のショットが終了した後の他のショットにおける成形条件を変更する処理を行うことを特徴とする射出成形機の成形支援方法。
  2. 前記可塑化工程以外の期間は、当該可塑化工程の終了から型締工程の開始までの期間であることを特徴とする請求項1記載の射出成形機の成形支援方法。
  3. 前記制約条件として可塑化工程時における樹脂の状態を示す成形データを選定するとともに、前記目的関数として消費電力を選定することを特徴とする請求項1記載の射出成形機の成形支援方法。
  4. 前記可塑化工程時における樹脂の状態を示す成形データとして、スクリュ回転数,スクリュ回転速度,スクリュ位置,樹脂圧力,樹脂温度,可塑化時間の一又は二以上、及び/又はこれらの各偏差の一又は二以上を選定することを特徴とする請求項3記載の射出成形機の成形支援方法。
  5. 前記任意のショットが終了した後の他のショットは、次回のショットであることを特徴とする請求項1記載の射出成形機の成形支援方法。
  6. 前記目的関数は、非線形関数であることを特徴とする請求項1記載の射出成形機の成形支援方法。
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