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JP6531625B2 - 薄肉鋳片の製造方法 - Google Patents
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本発明は、一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶鋼溜まり部に、溶鋼を供給して、δ凝固鋼からなる薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造方法に関するものである。
金属の薄肉鋳片を製造する方法として、内部に水冷構造を有する冷却ドラムを備え、回転する一対の冷却ドラム間に形成された溶鋼溜まり部に溶鋼を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させ、一対の冷却ドラムの外周面にそれぞれ形成された凝固シェル同士をドラムキス点で接合し、圧下して所定の厚さの薄肉鋳片を製造する双ドラム式連続鋳造装置が提供されている。このような双ドラム式連続鋳造装置は、各種金属において適用されている。
上述の双ドラム式連続鋳造装置においては、一対の冷却ドラム間に形成された溶鋼溜まり部は、冷却ドラムの軸心に平行な長手方向(薄肉鋳片の幅方向)に延在する形状となり、溶鋼を冷却ドラムの長手方向に十分に行き渡るように供給する必要がある。
このため、例えば特許文献1に示すように、内ノズルと、底面に多孔質耐火物フィルターが配設された外ノズルと、を有し、内ノズルから外ノズル内に溶鋼を供給し、外ノズル内に溶鋼を一旦貯留し、溶鋼溜まり部に対して溶鋼を供給する構造とされた浸漬ノズルが提案されている。
ところで、上述の双ドラム式連続鋳造装置を用いて製造される薄肉鋳片においては、溶鋼が凝固時に急冷されることから、凝固組織のほぼ全体が、両面の表層から1/2厚部に向かう柱状晶となる。材質や鋳造条件によっては、1/2厚部にわずかに等軸晶が形成されることもあるが、薄肉鋳片においては、鋳片厚みに対する等軸晶比率は10%未満であった。
ここで、薄肉鋳片においては、上述のように、柱状晶からなる凝固シェルが貼り合わされて形成されているので、1/2厚部に径1mm以下のミクロポロシティや中心偏析が生成しやすい傾向にある。また、柱状晶は方向性を有していることから、薄肉鋳片を巻き取る際や巻き戻す際に、割れが生じやすいといった問題があった。
ポロシティ及び中心偏析の低減や曲げ時の割れを抑制するためには、凝固組織の等軸晶比率を向上させることが有効である。
ここで、厚さが数十mm以上の鋳片を製造する通常の連続鋳造法においては、等軸晶比率を向上する手段として、低温鋳造、鋳型内電磁撹拌等が提案されているが、双ドラム式連続鋳造装置においては、これらの手段を適用することは困難であった。例えば、低温鋳造の場合、冷却ドラムの幅方向端部に配設されたサイド堰と溶鋼が接する面に地金が生成し、操業の支障となり易い。また、双ドラム式連続鋳造装置の溶鋼溜まり部のスペースは狭いので、鋳型内電磁撹拌装置を設置することはほぼ不可能である。
等軸晶比率を向上させる他の手段としては、凝固核生成を促進する物質を溶鋼中に分散させる「接種」が知られている。凝固核生成を促進する物質としては、凝固初晶と結晶格子定数が近似した、すなわち結晶整合性の良好な物質が有効である。例えば、δ−Feが凝固初晶であるδ凝固鋼においては、TiNやMgO、MgO・Al(スピネル)(以降、MgOとMgO・AlをまとめてMgOと記載)が等軸晶比率を向上させるために有効である。
一般に、溶鋼中にMgを添加する場合には、取鍋やタンディッシュ内の溶鋼に対して、Mgワイヤーを添加する方法や、Mg粉末をフラックスとともに添加する方法が実施されている。しかしながら、Mgの固体を溶鋼に添加した場合には、溶鋼中でMgが急激に気化し、大きな気泡が急浮上することから、Mgの添加歩留まりが低くなる。また、湯面が激しく揺れるため、歩留まりの変動も大きくなるほか、操業の安定性に欠ける。
このような欠点を改善し、Mgを歩留り良く安定して添加し、微細なMgOを溶鋼中に分散させる手段として、特許文献2及び特許文献3には、Mg蒸気をキャリアガスとともに、浸漬ランスを用いてタンディッシュや鋳型内の溶鋼中に添加する方法が提案されている。
特開昭63−183752号公報 特開2005−169404号公報 特開2005−219072号公報
ところで、特許文献2及び特許文献3に記載された方法を双ドラム式連続鋳造装置に適用しようとした場合、溶鋼溜まり部は非常に狭く溶鋼量が少ないことから、Mg気泡による湯面変動が非常に大きくなり、湯面レベルを安定に保つことが不可能である。そのため、タンディッシュ中の溶鋼に対してMg蒸気を供給することが現実的である。しかしながら、薄肉鋳片の鋳造を行う場合、一般的な連続鋳造に比べてスループット(単位時間当たりの鋳造量)が少ないので、タンディッシュ容量が小さく、溶鋼の浴深も浅くなる。このため、タンディッシュ中の溶鋼にMg蒸気を供給しても、Mg蒸気の気泡が短時間で浮上してしまい、溶鋼とMg蒸気との反応時間を確保できず、溶鋼中にMgを歩留り良く添加することができない。
また、特許文献2及び特許文献3に記載された方法では、浸漬ランスを溶鋼内に浸漬させていることから、生成したMgOが高密度で分布する浸漬ランスの出口近傍で凝固が促進され、浸漬ランス出口近傍に地金が付着して、浸漬ランスを閉塞させてしまい、長時間安定して鋳造を行うことができないおそれがある。
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたものであって、δ凝固鋼からなる薄肉鋳片を製造する場合であっても、溶鋼中にMg蒸気を歩留り良くかつ安定して供給することができ、接種核としてMgOを微細に分散させて等軸晶比率の高い薄肉鋳片を製造可能な薄肉鋳片の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る薄肉鋳片の製造方法は、回転する一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶鋼溜まり部に溶鋼を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させて、δ凝固鋼からなる薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造方法であって、前記溶鋼溜まり部に前記溶鋼を供給する浸漬ノズルは、前記冷却ドラムの長手方向に沿った底面形状を有するとともに内部に圧損構造体を備えた外ノズルと、この外ノズル内に溶鋼を供給する内ノズルと、を備え、前記内ノズルから供給された前記溶鋼が前記外ノズルの内部に貯留される構成とされており、前記内ノズルと前記外ノズルとの間の前記溶鋼上の閉空間に対してMg蒸気を供給するとともに前記閉空間内の雰囲気ガスを排気し、前記閉空間におけるMg蒸気分圧を調整することにより、前記溶鋼中のMg含有量を3質量ppm以上とすることを特徴としている。
この構成の薄肉鋳片の製造方法によれば、前記内ノズルと前記外ノズルとの間の前記溶鋼上の閉空間に対してMg蒸気を供給するとともに前記閉空間内の雰囲気ガスを排気しているので、前記閉空間内のMg蒸気分圧を安定して高く維持することができる。これにより、溶鋼湯面とMg蒸気との接触面積及び時間が確保され、溶鋼とMg蒸気とが効率良く反応し、溶鋼中にMgOを十分に分散させることができる。また、Mg蒸気の供給口を溶鋼中に浸漬する必要がないので、Mg蒸気の供給口が閉塞するおそれがなく、長時間安定して操業することができる。
また、前記閉空間におけるMg蒸気分圧を調整することにより、前記溶鋼中のMg含有量を3質量ppm以上としているので、等軸晶比率の高い薄肉鋳片を確実に製造することができる。
さらに、前記閉空間内の雰囲気ガスを排気しているので、前記閉空間内の圧力変動を抑えることができ、湯面変動を抑制することができる。これにより、湯面レベルを制御する流量調整機構(例えば、ストッパー、スライディングノズル)の動作を安定させることができ、鋳造を安定して実施することができる。
ここで、本発明に係る薄肉鋳片の製造方法においては、前記閉空間におけるMg蒸気分圧を0.015MPa以上とすることが好ましい。
この場合、前記閉空間におけるMg蒸気分圧を0.015MPa以上に調整していることから、外ノズル内に貯留された溶鋼上部の閉空間に十分なMg蒸気が存在することになり、溶鋼中のMg含有量を確実に3質量ppm以上とすることができる。
また、本発明に係る薄肉鋳片の製造方法においては、不活性ガスからなるキャリアガスによって、前記閉空間に前記Mg蒸気を供給する構成としてもよい。
この場合、キャリアガスによってMg蒸気を前記閉空間に確実に供給することができる。また、キャリアガスとMg蒸気の混合比を調整することで、前記閉空間におけるMg蒸気分圧を比較的容易に調整することが可能となる。
上述のように、本発明によれば、δ凝固鋼からなる薄肉鋳片を製造する場合であっても、溶鋼中にMg蒸気を歩留り良くかつ安定して供給することができ、接種核としてMgOを微細に分散させて等軸晶比率の高い薄肉鋳片を製造可能な薄肉鋳片の製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態である薄肉鋳片の製造方法に用いられる双ドラム式連続鋳造装置の一例を示す説明図である。 本発明の実施形態である薄肉鋳片の製造方法に用いられる浸漬ノズルの概略説明図である。 本発明の実施形態である薄肉鋳片の製造方法に用いられる他の浸漬ノズルの概略説明図である。 本発明の実施形態である薄肉鋳片の製造方法に用いられる他の浸漬ノズルの概略説明図である。 本発明の実施形態である薄肉鋳片の製造方法に用いられる他の浸漬ノズルの概略説明図である。 実施例において、内ノズルと外ノズルとの間の閉空間におけるMg蒸気分圧と溶鋼中のMg含有量との関係を示すグラフである。(b)は、Mg蒸気分圧が低い領域を拡大したものである。 実施例において、溶鋼中のMg含有量と薄肉鋳片の等軸晶比率との関係を示すグラフである。(b)は、Mg含有量が低い領域を拡大したものである。 実施例において、等軸晶比率と内部欠陥厚み比率との関係を示すグラフである。
以下に、本発明の実施形態である薄肉鋳片の製造方法について、添付した図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態において製造される薄肉鋳片1は、凝固する際に初晶としてδ相(δ−Fe)が晶出するδ凝固鋼からなるものとされている。δ凝固鋼としては、例えば、炭素量が0.5質量%以下の炭素鋼、Siを含有する電磁鋼、Cr系のステンレス鋼等が挙げられる。
また、本実施形態では、製造される薄肉鋳片1の幅が500mm以上2000mm以下の範囲内、厚さが1mm以上5mm以下の範囲内とされている。
次に、本実施形態である薄肉鋳片の製造方法に用いられる双ドラム式連続鋳造装置について、図1を用いて説明する。
図1に示す双ドラム式連続鋳造装置10は、一対の冷却ドラム11、11と、薄肉鋳片1を曲げるベンダーロール12、12と、薄肉鋳片1を支持するピンチロール13、13と、一対の冷却ドラム11、11の幅方向端部に配設されたサイド堰15と、これら一対の冷却ドラム11、11とサイド堰15とによって画成された溶鋼溜まり部16に供給される溶鋼3を保持するタンディッシュ18と、このタンディッシュ18から溶鋼溜まり部16へと溶鋼3を供給する浸漬ノズル20と、を備えている。
この双ドラム式連続鋳造装置10においては、溶鋼3が回転する冷却ドラム11,11に接触して冷却されることにより、冷却ドラム11,11の周面の上で凝固シェル5、5が成長し、一対の冷却ドラム11,11にそれぞれ形成された凝固シェル5、5同士がドラムキス点で圧着されることによって、所定厚みの薄肉鋳片1が鋳造される。
ここで、上述の浸漬ノズル20においては、図2に示すように、外ノズル21と、この外ノズル21の内部に挿入される内ノズル30と、を備えている。
外ノズル21は、図2に示すように、冷却ドラム11の軸心に平行な長手方向(薄肉鋳片の幅方向)に沿った底面形状を有する下部領域21aと、この下部領域21aの上方に位置する上部領域21bと、を備えている。
下部領域21aの長手方向側面には、溶鋼3の吐出口22が複数設けられている。また、下部領域21aの内部には、圧損構造体として多孔質耐火物フィルター23が配設されている。圧損構造体である多孔質耐火物フィルター23が配設されることで、外ノズル21の内部には、溶鋼3が貯留されることになる。
ここで、外ノズル21の下部領域21aの長手方向長さ(冷却ドラム11の軸心に平行な長手方向に沿った方向の長さ)は、鋳造する薄肉鋳片1の幅の40〜80%の範囲内に設定されている。
内ノズル30は、図2に示すように、管状をなしており、外ノズル21の上部から挿入されている。
そして、この内ノズル30と外ノズル21とによって、外ノズル21内に貯留された溶鋼の上に閉空間40が画成される。
また、この浸漬ノズル20においては、上述の閉空間40にMg蒸気を供給するMg蒸気供給部41と、閉空間40内の雰囲気ガスを外部に排気する排気部42とが設けられている。
本実施形態では、図2に示すように、Mg蒸気供給部41が、外ノズル21の上部領域21bに配設され、外ノズル21内に貯留された溶鋼3に対してMg蒸気を吹き付ける方向に配置されている。また、排気部42も、外ノズル21の上部領域21bに配設されており、上述のMg蒸気供給部41よりも上方に配置されている。
次に、上述した双ドラム式連続鋳造装置10を用いた本実施形態である薄肉鋳片の製造方法について説明する。
一対の冷却ドラム11、11とサイド堰15によって形成された溶鋼溜まり部16に、タンディッシュ18から浸漬ノズル20を介して溶鋼3を供給するとともに、一対の冷却ドラム11、11を回転方向Rに向けて、すなわち、一対の冷却ドラム11、11同士が近接する領域が薄肉鋳片1の引抜方向(図1においては下方向)に向かうように、それぞれの冷却ドラム11、11を回転させる。
すると、冷却ドラム11の周面には、凝固シェル5が形成される。そして、冷却ドラム11の周面の上で凝固シェル5が成長し、一対の冷却ドラム11、11にそれぞれ形成された凝固シェル5、5同士がドラムキス点で圧着されることにより、所定厚みの薄肉鋳片1が鋳造される。
ここで、本実施形態においては、Mg蒸気供給部41より、閉空間40に対してMg蒸気を供給することにより、閉空間40におけるMg蒸気分圧を調整し、溶鋼3中のMg含有量を3質量ppm以上とする。なお、本実施形態では、閉空間40におけるMg蒸気分圧を0.015MPa以上となるように調整している。
本実施形態では、固体Mgを密閉容器に装入し、外部から電気ヒータにより加熱することでMg蒸気を発生させる構成とされている。密閉容器内部の温度を常時測定し、加熱温度を制御することにより、Mg蒸気の発生量を安定して制御することが可能となる。
このようにして得られたMg蒸気を不活性ガスからなるキャリアガスとともに閉空間40へと供給する。このとき、Mgの加熱温度とキャリアガス流量を調整することにより、閉空間40のMg蒸気分圧を調整することが可能となる。ここで、キャリアガスとして使用される不活性ガスとして、例えば、Ar、N、及び、これらの混合ガス等を用いることができる。
そして、閉空間40のMg蒸気分圧が調整されることで、外ノズル21内に貯留された溶鋼3の上にMg蒸気が存在することになり、このMg蒸気と溶鋼3とが反応し、溶鋼3中にMgが含有され、溶鋼中酸素と反応して、MgOが微細分散されることになる。これにより、等軸晶比率の高い薄肉鋳片1が製造される。
なお、Ti含有鋼からなる薄肉鋳片1を製造する場合には、キャリアガスにNを含有させることにより、溶鋼3中にTiNを生成することが可能となり、等軸晶比率をさらに向上させることが可能となる。
以上のような構成とされた本実施形態である薄肉鋳片1の製造方法においては、内ノズル30と外ノズル21とによって画成された閉空間40に、Mg蒸気供給部41を介してMg蒸気を供給し、閉空間40のMg蒸気分圧を調整しているので、外ノズル21の内部に貯留された溶鋼3とMg蒸気とが効率良く接触して反応し、溶鋼3中のMg含有量を3質量ppm以上とすることができる。これにより、MgOを微細に分散させることができ、等軸晶比率の高い薄肉鋳片1を製造することができる。
また、Mg蒸気供給部41が溶鋼3中に浸漬されていないので、Mg蒸気供給部41に地金が付着して操業中に閉塞するおそれがなく、長時間安定して操業を行うことが可能となる。
さらに、外ノズル21に、閉空間40の雰囲気ガスを排出する排気部42が配設されているので、閉空間40内の圧力変動を抑えることができ、湯面変動を抑制することができる。これにより、湯面レベルを制御する流量調整機構の動作を安定させることができ、鋳造を安定して実施することができる。
また、本実施形態においては、閉空間40のMg蒸気分圧を0.015MPa以上となるように調整しているので、外ノズル21内に貯留された溶鋼3の上部空間に十分なMg蒸気が存在することになり、Mgが含有されにくい鋼種であっても、溶鋼3中のMg含有量を確実に3質量ppm以上とすることができ、等軸晶比率の高い薄肉鋳片1を確実に製造することが可能となる。
さらに、本実施形態においては、不活性ガスからなるキャリアガスによって、閉空間40にMg蒸気を供給する構成としていることから、Mg蒸気を閉空間40に確実に供給することができる。また、キャリアガスとMg蒸気の混合比を調整することで、閉空間40におけるMg蒸気分圧を比較的容易に調整することが可能となる。
具体的には、固体Mgを加熱してMg蒸気を発生させる際の加熱温度とキャリアガス流量とを調整しているので、閉空間40のMg蒸気分圧を精度良く制御することが可能となる。
また、本実施形態においては、Mg蒸気供給部41が、外ノズル21の上部領域21bに配置され、外ノズル21内に貯留された溶鋼3に対してMg蒸気を吹き付けるように構成されているので、鋳造初期において閉空間40のMg蒸気分圧が十分に高くなっていない非定常部であっても、溶鋼3とMg蒸気とを反応させることができ、早期に溶鋼3中のMg含有量を上昇させることが可能となる。よって、鋳造量が少ない場合であっても、等軸晶比率が高い薄肉鋳片が占める割合を増加させることができる。
以上、本発明の実施形態である本実施形態である薄肉鋳片1の製造方法について具体的に説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、図1に示すように、ベンダーロール及びピンチロールを配設した双ドラム式連続鋳造装置を例に挙げて説明したが、これらのロール等の配置に限定はなく、適宜設計変更してもよい。
また、本実施形態では、図2に示すように、Mg蒸気供給部41及び排気部42を外ノズル21に配設したものとして説明したがこれに限定されることはない。
例えば、図3に示すように、Mg蒸気供給部41を外ノズル21に配設し、排気部42を内ノズル30に配設したものであってもよい。また、図4に示すように、Mg蒸気供給部41を内ノズル30に配設し、排気部42を外ノズル21に配設したものであってもよい。さらに、図5に示すように、Mg蒸気供給部41及び排気部42を内ノズル30に配設したものであってもよい。なお、内ノズル30の内部は、溶鋼3によって充満しておらず空隙が形成されているので、内ノズル30にMg蒸気供給部41や排気部42を配設しても、閉空間40にMg蒸気を供給することや閉空間40の雰囲気ガスを外部に排出することは可能である。
以下に、本発明の効果を確認すべく、実施した実験結果について説明する。
60t溶解炉で表1及び表2に示す組成の各種溶鋼を溶製し、成分調整を行った後、図1に示す双ドラム式連続鋳造装置を用いて下記の条件で薄肉鋳片を製造した。
タンディッシュ容量:5t
冷却ドラムの直径:1200mm
鋳造幅:800mm
鋳造雰囲気:Ar
鋳造厚み:2.5mm
単位時間当たりの鋳造量:1.1t/分
Mgを加熱してMg蒸気を発生させて、表3及び表4に示すキャリアガスと混合し、外ノズルと内ノズルとの間の閉空間に吹き込んだ。Mg加熱温度を調整し、キャリアガス流量を1〜20NL/分(大気圧、室温での流量)の範囲で変更し、閉空間内のMg蒸気分圧を調整した。Mg蒸気及びキャリアガスは、外ノズルの上部に設けられた供給孔から溶鋼湯面に向けて吹き込んだ。また、外ノズルの上部に直径5mmの排気配管を接続し、閉空間の雰囲気ガスを排出し、閉空間内部を大気圧に維持した。
(Mg蒸気分圧)
鋳造時、あるいはガス温度が鋳造時と同等の条件(鋳造準備時又は鋳造前後)に、閉空間内の雰囲気ガスを採取する。このMg蒸気を含む雰囲気ガスと、Mg蒸気を含まない条件でキャリアガスのみの、同一体積を採取し、室温まで冷却した後、両者の体積比を測定する。高温でガス化したMg蒸気は、室温では微粒子に凝縮するので、両者の体積の差をMg蒸気体積の差とみなすことができる。気体の体積は温度低下に伴い減少するため、室温での体積は、高温時の体積と異なるが、Mg蒸気分圧は、雰囲気ガス中の体積分率にほぼ比例するとみなすことができるので、室温におけるMg蒸気を含む雰囲気ガスとMg蒸気を含まないキャリアガスとの体積比が分かれば、閉空間におけるMg蒸気分圧を求めることが可能となる。
(薄肉鋳片の等軸晶比率)
得られた薄肉鋳片の1/4幅、1/2幅、3/4幅位置の断面の凝固組織を観察し、各位置の(等軸晶厚み)/(鋳片全厚み)×100(%)を算出し、3ヶ所の平均値を代表値とした。
(内部欠陥の最大厚み比率)
鋳造方向に直交する断面において、1/4幅、1/2幅、3/4幅を中心とした±15mm(合計30mm)の領域を光学顕微鏡で観察して、内部欠陥(ポロシティや引け巣、あるいはこれらの密集領域全体の厚み)の最大厚みを測定し、鋳片厚みに占める比率(%)を評価した。
(曲げ試験)
室温で、薄肉鋳片をバイスに挟み、曲率半径2mmの棒に当てて90°曲げた際の割れの発生の有無を目視観察した。割れ無しを「合格」、割れ有りを「不合格」とした。
Figure 0006531625
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Figure 0006531625
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No.1〜22においては、Mg蒸気分圧を調整することで、Mgの含有量が3質量ppm以上となっており、薄肉鋳片における等軸晶比率が15%以上とされていた。また、内部欠陥も少なく、曲げ性にも優れていた。
なお、No.12においては、Cr系ステンレス鋼とされており、Mgを含有しやすい鋼種であることから、Mg蒸気分圧が0.011MPaであっても、Mgの含有量が3質量ppm以上となった。また、No.18〜22においては、Mgの活量を低下させる元素であるSiを多めに含有していることから、Mgの含有量が比較的多くなった。
一方、No.31〜43は、本発明の条件を外れた比較例である。
No.31及び43においては、Mg蒸気及びキャリアガスを、タンディッシュの溶鋼中に浸漬したランスを用いて吹き込んだため、Mgの添加歩留まりが低く、Mgの含有量が3質量ppm未満となり、薄肉鋳片における等軸晶比率が低く、内部欠陥も多く、曲げ試験でも割れが確認された。
No.32〜42においては、Mg蒸気分圧が十分ではなく、Mgの含有量が3質量ppm未満であった。このため、薄肉鋳片における等軸晶比率が低く、内部欠陥も多く、曲げ試験でも割れが確認された。
ここで、Mg蒸気分圧と溶鋼中のMgの含有量との関係を図6に示す。なお、タンディッシュ内にMg蒸気を吹き込んだNo.31、43のデータは除いた。Mg蒸気分圧を0.015MPa以上とすることにより、Mgの含有量が3質量ppm以上となることが確認される。なお、上述のように、No.12は、Mgを含有しやすいCr系ステンレス鋼においては、Mg蒸気分圧が0.011MPaであっても、Mgの含有量が3質量ppm以上となった。
また、Mgの含有量と薄肉鋳片における等軸晶比率との関係を図7に示す。この図7に示すように、Mgの含有量を3質量ppm以上とすることで、等軸晶比率が15%以上とすることができる。
さらに、等軸晶比率と内部欠陥厚み比率との関係を図8に示す。この図8に示すように、等軸晶比率を15%以上とすることにより、内部欠陥厚み比率を15%以下に低減することができる。
以上のことから、溶鋼中のMgの含有量が3質量ppm以上となるように、鋼種に応じて、閉空間におけるMg蒸気分圧を調整することで、等軸晶比率の高く、内部欠陥の少ない薄肉鋳片が得られることが確認された。
1 薄肉鋳片
3 溶鋼
20 浸漬ノズル
21 外ノズル
23 多孔質耐火物フィルター(圧損構造体)
30 内ノズル
40 閉空間

Claims (3)

  1. 回転する一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶鋼溜まり部に溶鋼を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させて、δ凝固鋼からなる薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造方法であって、
    前記溶鋼溜まり部に前記溶鋼を供給する浸漬ノズルは、前記冷却ドラムの長手方向に沿った底面形状を有するとともに内部に圧損構造体を備えた外ノズルと、この外ノズル内に溶鋼を供給する内ノズルと、を備え、前記内ノズルから供給された前記溶鋼が前記外ノズルの内部に貯留される構成とされており、
    前記内ノズルと前記外ノズルとの間の前記溶鋼上の閉空間に対してMg蒸気を供給するとともに前記閉空間内の雰囲気ガスを排気し、前記閉空間におけるMg蒸気分圧を調整することにより、前記溶鋼中のMg含有量を3質量ppm以上とすることを特徴とする薄肉鋳片の製造方法。
  2. 前記閉空間におけるMg蒸気分圧を0.015MPa以上とすることを特徴とする請求項1に記載の薄肉鋳片の製造方法。
  3. 不活性ガスからなるキャリアガスによって、前記閉空間に前記Mg蒸気を供給することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の薄肉鋳片の製造方法。
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